説明

高所作業車の作業台

【課題】高所作業車の作業台として本体床に対して拡張床を格納・張出自在に設けたものにおいて、拡張床の格納・張出操作時に拡張床用手摺を自動で格納姿勢と使用姿勢に変化させ得るようにする。
【解決手段】本体床3に対して拡張床4を格納・張出自在にスライドさせ得るようにした高所作業車の作業台2において、本体床3と拡張床4との間に拡張床4の左右各側縁部をそれぞれガードし得る一対の拡張床側縁手摺42を設け、各拡張床側縁手摺42は本体床3に対して水平揺動自在に枢支した第1手摺部材43と拡張床4に対して水平揺動自在に枢支した第2手摺部材44とを有し且つ第1手摺部材43の自由端と第2手摺部材44の自由端とを枢支したものを使用し、拡張床4の格納・張出によって拡張床側縁手摺42が折畳み状態の格納姿勢と直線状に伸長する使用姿勢とに自動で変化するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、高所作業車における作業員搭乗用の作業台に関し、さらに詳しくは該作業台として本体床と該本体床に対して格納・張出自在とした拡張床とを有した高所作業車の作業台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高所作業車の作業台は、不使用時(例えば車輌走行姿勢時)には格納スペースの制約等から小面積である方が好ましく、高所作業時(作業員が搭乗して高所作業を行うとき)には面積を拡張すると作業範囲(搭乗スペース)が拡大できて有利となる。
【0003】
高所作業車において作業員搭乗用の作業台の面積を拡縮できるようにしたものとして、例えば特許文献1(特開2001−130881号公報)に開示されたものがある。
【0004】
この公知例(特許文献1)の高所作業車に使用されている作業台は、本体床と該本体床の一側縁部において上下に揺動させ得る拡張床とを有している。そして、この作業台は、拡張床を本体床の一側縁部に立ち起こす(格納する)ことで小面積(コンパクト)にできる一方、該拡張床を本体床の一側縁部から外方に倒す(張出する)ことで作業台全体の面積を拡大させ得るようになっている。
【0005】
ところで、高所作業車の作業台には、その外縁部に転落防止用のガードとなる手摺を取付ける必要があるが、上記公知例(特許文献1)の高所作業車のように拡張床により作業台面積を拡大できるようにした作業台では、本体床部分には予め手摺を固定的に取付けておくことができるものの、拡張床部分にはその張出及び格納の度に拡張床用の手摺を着脱させる必要があった。即ち、この作業台では、拡張床の外縁部に手摺を取付けた状態のままでは該拡張床を張出したり格納したりすることができず、該拡張床の張出及び格納の度に拡張床上にあがって手摺を装着したり取外したりする必要があった。
【0006】
又、上記公知例(特許文献1)の高所作業車の作業台では、拡張床を本体床に対して上下に揺動(格納・張出)させるのに油圧作動式の伸縮シリンダを使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−130881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記公知例(特許文献1)のように、拡張床により作業台面積を拡縮可能にしたものでは、拡張床の張出及び格納の度に拡張床用手摺を着脱させる必要があり、その拡張床用手摺の着脱作業が面倒であった。
【0009】
又、拡張床の張出姿勢高さは、ブームの最大倒伏状態であっても地上から3〜3.5m程度あって、拡張床用手摺の着脱作業をかなり高所で行う必要があり、しかもその手摺着脱作業は拡張床に手摺がない状態で作業員が拡張床上にあがる必要があるので、その拡張床用手摺の着脱作業には拡張床上からの転落の危険があるという問題があった。
【0010】
又、上記公知例(特許文献1)の高所作業車の作業台では、拡張床が本体床に対して油圧作動式の伸縮シリンダで上下に揺動(格納・張出)させるようにしているが、このように拡張床の上下揺動を伸縮シリンダで行わせるものでは、作動油配管や作動油切換等の操作手段が必要となって構成が複雑になるとともに、コスト面や重量面で不利になるという問題がある。
【0011】
そこで、本願発明は、高所作業車の作業台として本体床に対して拡張床を格納・張出自在に設けたものにおいて、拡張床の格納・張出操作時に拡張床用手摺(特に拡張床の側縁手摺)を自動で格納姿勢と使用姿勢に変化させ得るようにすることを第1の目的とする一方、拡張床の格納・張出操作を手動式の操作部材で行えるようにすることを第2の目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
【0013】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明は、ブームの先端部に作業員搭乗用の作業台を取付けた高所作業車の作業台を対象にしている。
【0014】
そして、この請求項1の作業台は、本体床と該本体床に対して操作手段によって格納・張出自在にスライドさせ得る拡張床とを有している。拡張床は本体床の下面側にスライド自在に支持されていて、該拡張床を本体床の一側縁部(例えば後側の縁部)から水平方向に出没させ得るようにしている。
【0015】
拡張床を本体床の一側縁部から出没させる操作手段としては、後述の請求項2で特定するように手動式の操作部材(例えば長尺レバー)が好ましいが、この請求項1では、該操作手段として動力式の伸縮シリンダやモータを使用することもできる。又、この操作手段は、本体床と拡張床間にチエンやワイヤーを掛け渡して、該チエンやワイヤーを回転ハンドルで可逆的に引っ張ることで拡張床をスライドさせ得るようにしたものでもよい。
【0016】
ところで、作業台の本体床と拡張床には、それぞれの床面の外縁部に手摺を設ける必要がある。そして、本体床用手摺は、拡張床が出没する部分を除く本体床外縁部に予め固定的に取付けることができる(一部に出入口用の可動手摺部分を設ける)が、拡張床用手摺は、拡張床が本体床に対してスライドする関係で次のように構成されている。
【0017】
即ち、拡張床用手摺としては、本体床と拡張床との間に拡張床の左右各側縁部をそれぞれガードし得る一対の拡張床側縁手摺を設ける。尚、拡張床の出没側端縁部(後縁部)には予め後部手摺部材を固定的に取付けることができる。
【0018】
左右の各拡張床側縁手摺は、本体床に対して一端側を水平揺動自在に枢支した第1手摺部材と拡張床に対して一端側を水平揺動自在に枢支した第2手摺部材とを有し、且つ第1手摺部材の自由端と第2手摺部材の自由端とを枢支したものを使用している。
【0019】
そして、この各拡張床側縁手摺は、拡張床の格納状態では各側の第1手摺部材と第2手摺部材とがそれぞれ本体床の外縁部近傍位置に折畳まれる一方、拡張床の張出状態では各側の第1手摺部材と第2手摺部材とがそれぞれ拡張床の各側縁部に直線状に伸長するように構成している。
【0020】
この請求項1の作業台は、次のように機能する。まず、拡張床の格納状態(本体床側に没入した状態)では、作業台の面積が小さくなっている(コンパクトになっている)一方、拡張床の張出状態(本体床から突出した状態)では、該拡張床の張出面積だけ作業台面積が大きくなる(作業員搭乗スペースが広くなる)。
【0021】
又、拡張床の格納状態では、左右の各拡張床側縁手摺(第1手摺部材と第2手摺部材)が本体床の外縁部近傍位置(邪魔にならない位置)に折畳まれた状態で保持されている一方、拡張床が格納状態から本体床の外方に張出されると、各拡張床側縁手摺(第1手摺部材と第2手摺部材)が拡張床の左右各側縁部においてそれぞれ直線状に伸長して、手摺として機能する。
【0022】
従って、この請求項1の作業台では、操作手段による拡張床の格納・張出操作に連動して左右の各拡張床側縁手摺を自動的に格納状態(折畳み状態)と使用状態(伸長状態)に変化させることができるようになっている。
【0023】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の作業台において、拡張床をスライドさせる操作手段として、上記拡張床側縁手摺(第1手摺部材と第2手摺部材)と、該拡張床側縁手摺を折畳み状態(格納状態)と伸長状態(使用状態)とに変化させる手動式の操作部材とで構成したものである。
【0024】
この請求項2で使用される操作手段の操作部材としては、第1手摺部材をその本体床側の枢支部を中心にして水平揺動させ得るものであればよく、例えば該第1手摺部材に固定的に連続させた長尺のレバー状のものや、第1手摺部材の支軸を回転させることができる回転ハンドル(減速ギヤ付き)等を使用できる。
【0025】
又、操作部材は、左右の拡張床側縁手摺の各第1手摺部材を同時に逆向きに水平揺動させるようにしたものでもよいが、左右の拡張床側縁手摺のいずれか一方の第1手摺部材を水平揺動させ得るものでよい。尚、操作部材で一方の拡張床側縁手摺の第1手摺部材を水平揺動させると、拡張床を本体床に対して出没させ得るので、その拡張床の出没動作により他方の拡張床側縁手摺も屈伸(折畳み又は伸長)するようになる。
【0026】
そして、この請求項2の作業台では、手動式の操作部材を操作するにより左右の各拡張床側縁手摺(第1手摺部材と第2手摺部材)を介して拡張床の格納・張出操作が行えるようになっている。
【発明の効果】
【0027】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の高所作業車の作業台は、本体床に対して拡張床を格納・張出自在に設けたものにおいて、左右の各拡張床側縁手摺(第1手摺部材と第2手摺部材)を本体床と拡張床に跨がって装着し、且つ操作手段により拡張床を格納・張出操作することにより各拡張床側縁手摺を自動で格納姿勢(本体床外縁部近傍位置での折畳み姿勢)と使用姿勢(拡張床両側縁部でのガード姿勢)に変化させ得るようになっている。
【0028】
従って、本願請求項1の作業台では、拡張床を格納又は張出させる際に、作業員が拡張床上にあがって各拡張床側縁手摺を着脱させるという作業が不要となるという効果がある。尚、このように、拡張床を格納又は張出させる際に拡張床側縁手摺の着脱作業が不要であると、手摺着脱のための高所(拡張床上)での危険な作業を行う必要がないので、手摺着脱作業時における拡張床上からの転落の危険性を未然に解消できる。
【0029】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の高所作業車の作業台において、手動式の操作部材を操作することにより、左右の各拡張床側縁手摺(第1手摺部材と第2手摺部材)を介して拡張床の格納・張出操作が行えるようになっている。
【0030】
従って、この請求項2の作業台では、拡張床をスライドさせる操作手段として手動式のものを使用しているので、上記請求項1の効果に加えて、動力式(例えば油圧式)のものに比して、構成が簡単(伸縮シリンダやその配管や切換等の操作手段が不要)であり、且つ安価に製作でき、しかも軽量化を達成できるという効果がある。
【0031】
又、この請求項2の作業台では、各拡張床側縁手摺(第1手摺部材と第2手摺部材)が拡張床スライド用のリンクとして機能するので、該各拡張床側縁手摺を拡張床スライドのための手段として有効利用できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本願第1実施例の作業台を備えた高所作業車の側面図である。
【図2】図1の高所作業車に使用されている作業台(拡張床格納状態)の平面図である。
【図3】図2のIII−III拡大断面図である。
【図4】図2の作業台の一部拡大斜視図である。
【図5】図2の作業台における拡張床張出状態の平面図である。
【図6】本願第2実施例の作業台(拡張床格納状態)の平面図である。
【図7】図6の作業台における拡張床張出状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0033】
以下、図1〜図7を参照して本願実施例の高所作業車の作業台を説明すると、図1には本願第1実施例の作業台2を備えた高所作業車を示し、図2〜図5には同第1実施例の作業台2を示し、図6〜図7には本願第2実施例の作業台2を示している。
【0034】
図1に示す高所作業車は、車輌1の荷台11上に設けた旋回台12に、複数の単ブームを伸縮自在に連続させた伸縮ブーム13を起伏自在に取付けているとともに、先端ブームの先端部に取付台14を介して作業台2を取付けて構成されている。
【0035】
旋回台2は、荷台11の後端部寄り位置に設置されており、伸縮ブーム13の格納姿勢では、該伸縮ブーム13の先端側が車輌1の前方に向くようになっている。
【0036】
作業台2は、その取付台14をレベルシリンダ15で前後に揺動させることにより、水平姿勢に維持させ得るようになっている。又、この作業台2は、取付台14の上部において旋回装置16により水平回転可能となっている。
【0037】
[図1〜図5に示す第1実施例の作業台2の説明]
図1〜図5に示す第1実施例の作業台2は、かなりの大面積を有した本体床3と、本体床3の下面側において本体床3に対して出没自在に支持された拡張床4とを有している。尚、以下の説明において、図2及び図5に示す作業台2の前後・左右とは、図1に示す作業台格納状態での方向であって、「前」とは車輌前方側のことであり、「後」とは車輌後方側のことであり、「左」とは車輌前方側から見ての左側のことであり、「右」とは車輌前方側から見ての右側のことである。
【0038】
本体床3は、矩形形状の床部30に、該床部30の外周縁ガードする手摺31を取付けて構成されている。尚、本体床用手摺31は、本体床3の床部30の外周縁における拡張床4の出没部分(後述する)を除く範囲に設けている。
【0039】
本体床3の床部30の面積は、特に限定するものではないが、前後長さが3m程度で左右幅が2m程度の大きさを有している。本体床3の床部30は、フレーム材を縦横に組付けてなる床フレーム30aの上面に床板30bを張設して構成されている。尚、本体床3の床部30上の左・後隅部には、操作パネル17が設けられている。
【0040】
本体床3の手摺31は、本体床30の前縁部において3分割状態で設置された各前縁手摺部材32,32,32と、床部30の左右各側縁部においてそれぞれ2分割状態で設置された各側縁手摺部材33,33と、床部30の後縁部の左右各端寄り位置においてそれぞれ1つずつ設置された各後縁手摺部材34,34とで構成されている。
【0041】
2つの後縁手摺部材34,34の各内側縦棒部間には、後述する細長形状の拡張床4の床部40の左右幅(例えば70cm程度)よりやや広い間隔(例えば80cm程度)を有している。
【0042】
そして、これらの本体床3用の各手摺部材32,33,34は、それぞれ所定高さ(例えば90cm程度)を有した門型形状に形成されていて、それらの手摺部材32,33,34のそれぞれ縦棒部を床部30に対して固定的に取付けている。尚、3つの前縁手摺部材32,32,32のうちの中央位置にある前縁手摺部材32は、作業台2への出入口となるもので、開閉自在となっている。
【0043】
拡張床4は、細長形状の床部40に、該床部40の左右各側縁部及び後縁部の範囲をガードする手摺41を取付けて構成されている。
【0044】
拡張床4の床部40の面積は、この第1実施例のものでは前後長さが2.5m程度で左右幅が70cm程度の大きさを有している。この拡張床4の床部40は、フレーム材を縦横に組付けてなる床フレーム40aの上面に床板40bを張設して構成されている。尚、拡張床4の床部40の上記大きさ・形状は特に特定するものではなく、適宜に設計変更できるものである。
【0045】
拡張床4の床フレーム40aにおける左右各側縁部のそれぞれ外面には、後述のスライドガイド装置5で支持される長尺の横向き突状部40c,40cが前後方向に向けて取付けられている。
【0046】
拡張床4の床部40は、本体床3の床部30の下面側の左右中央部においてスライドガイド装置5により前後方向にスライド自在に支持されている。
【0047】
このスライドガイド装置5は、本体床3の床部30の下面における後部寄り位置に、左右一対で前後2組(合計4つ)の支持台51,51・・を取付けて構成している。この4つの支持台51,51・・は、図2に示すように、本体床3の床部30の下面における左右幅中心線を挟んだ後部寄り位置において、前後間隔が70cm程度(特に限定しない)で、左右に拡張床4の上記各横向き突状部40c,40cの間隔を隔てた位置の4箇所に設置されている。この各支持台51,51・・のそれぞれ内面となる側には、図3に示すように拡張床4に設けている横向き突状部40cを上下から挟む2つのローラ52,52を設けている。
【0048】
そして、このスライドガイド装置5は、前後左右の4つの支持台51,51・・で拡張床4の左右各横向き突状部40c,40cをそれぞれ前後2箇所で支持することにより、拡張床4を本体床3の後縁部から出没させ得るようにガイドしている。
【0049】
拡張床4の手摺41は、床部40の左右各側縁部をガードする一対の拡張床側縁手摺42,42と、床部40の後端部をガードする後部手摺部材45とを有している。
【0050】
後部手摺部材45は、この第1実施例では、床部40の後縁部をガードする部分と該後縁部ガード部分の両端部から前方に向けて所定小長さ(例えば30〜40cm)だけ連続させた平面コ形のものが使用されている。又、この後部手摺部材45は、床部40に固定状態で取付けている。
【0051】
左右の各拡張床側縁手摺42,42は、拡張床4が本体床3に対して前後に出没する関係で、それぞれ第1手摺部材43と第2手摺部材44とを屈伸自在に取付けて構成している。各拡張床側縁手摺42,42の第1手摺部材43と第2手摺部材44は、それぞれ所定高さ(例えば90cm程度)を有した門型形状(2つの縦棒部の上部を水平棒部で連続させたもの)に形成されている。
【0052】
尚、左右の各拡張床側縁手摺42,42は、図2及び図3に示すように作業台2の左右幅中心線を挟んで対称形のものが使用されているので、各拡張床側縁手摺42,42の構造については一方(図4では右側の拡張床側縁手摺を表示している)の拡張床側縁手摺42で説明する。
【0053】
この拡張床側縁手摺42は、図2〜図4に示すように、本体床3に対して一端側を水平揺動自在に枢支した第1手摺部材43と拡張床4に対して一端側を水平揺動自在に枢支した第2手摺部材44とを有し、且つ第1手摺部材43の自由端と第2手摺部材44の自由端とを枢支したものを使用している。尚、第1手摺部材43及び第2手摺部材44の平面視における長さは、それぞれ60〜70cm程度である。
【0054】
この第1実施例で使用されている拡張床側縁手摺42は、図2〜図4に示すように構成されている。
【0055】
第1手摺部材43は、その基端側縦棒部43aを本体床3側の後縁手摺部材34の内側縦棒部34a(本体床3の床部30に固定されている)に対して上下2箇所の各ブラケット43b,34bを介して支軸46で枢支している。従って、該第1手摺部材43は、支軸46を中心にして水平揺動し得るようになっている。尚、この支軸46は、第1手摺部材43側の上下各ブラケット43b,43bに対して回転不能に固定されていて、後縁手摺部材34側の上下各ブラケット34b,34bに対しては回転可能となっている。
【0056】
第2手摺部材44は、その基端側縦棒部44aを拡張床4側の後部手摺部材45の前側縦棒部45a(拡張床4の床部40に固定されている)に対して上下2箇所の各ブラケット44b,45bを介して支軸47で枢支している。従って、該第2手摺部材44は、支軸47を中心にして水平揺動し得るようにしている。尚、この支軸47は、第2手摺部材44側の上下各ブラケット44b,44b又は後部手摺部材45側の上下各ブラケット45b,45bのいずれか一方に対して回転可能となっている。
【0057】
そして、この第1実施例では、図2及び図3に示すように第1手摺部材43と第2手摺部材44の各自由端側縦棒部がそれぞれ左右外方に延出する姿勢で、第1手摺部材43の自由端側縦棒部と第2手摺部材44の自由端側縦棒部とを上下2箇所の各ブラケットを介して支軸48で枢支している。
【0058】
尚、他の実施例では、第1手摺部材43の基端側縦棒部43aは直接本体床3の床部30上において水平揺動し得る状態で支持させてもよく、第2手摺部材44の基端側縦棒部44aも同様に直接拡張床4の床部40上において水平揺動し得る状態で支持させてもよ
い。
【0059】
この作業台2は、拡張床4を本体床3に対して操作手段6で前後にスライドさせ得るようにしている。この第1実施例で採用している操作手段6は、第1手摺部材43と第2手摺部材44からなる一方(右側)の拡張床側縁手摺42と、該拡張床側縁手摺42の第1手摺部材43を水平揺動させるための手動式の長尺レバー61とで構成している。
【0060】
長尺レバー61の基端部は、第1手摺部材43の基端側縦棒部43aの上部ブラケット43b(又は支軸46)に固定している。
【0061】
そして、この操作手段6は、該長尺レバー61を図2に示す左右向き位置(図4の符号61の位置)と図5に示す前後向き位置(図4の符号61′の位置)との角度90°の範囲で水平揺動させることにより、支軸46を中心にして第1手摺部材43を本体床3の後縁部に沿った左右向き姿勢(図2の状態)と拡張床4の側縁部に沿った前後向き姿勢(図5の状態)との範囲で水平揺動させ得るようになっている。
【0062】
又、第1手摺部材43が水平揺動されると、該第1手摺部材43の自由端が支軸46を中心にして円弧状に水平移動する。このとき第1手摺部材43の自由端と第2手摺部材44の自由端とが支軸48で枢支されており、且つ該第2手摺部材44の基端側縦棒部44aが拡張床4の側縁部(後部手摺部材45の前側縦棒部45a)に支軸47で枢支されているので、第1手摺部材43と第2手摺部材44とが、図2に示す折畳み状態と図5に示す伸長状態との間で変化するようになる。そのとき第1手摺部材43と第2手摺部材44との屈伸動作により、第2手摺部材44の基端側縦棒部44aを介して拡張床4を前後にスライドさせるようになる。尚、一方(右側)の拡張床側縁手摺42(第1手摺部材43と第2手摺部材44)の屈伸によって拡張床4が前後にスライドされると、他方(左側)の拡張床側縁手摺42(第1手摺部材43と第2手摺部材44)も追従して屈伸するようになる。
【0063】
このように、この第1実施例で使用されている操作手段6は、長尺レバー61を手動で揺動操作することにより、第1手摺部材43と第2手摺部材44とを介して拡張床4を本体床3の後縁部から出没させることができるようになっている。即ち、長尺レバー61を図2に示すように左右向きに指向させた状態では、図1に実線図示(及び図2)するように拡張床側縁手摺42(第1手摺部材43と第2手摺部材44)が本体床3の床部30の後縁部近傍位置で折畳まれて拡張床4の大部分の長さが本体床3側に没入し(格納状態となる)、他方、長尺レバー61を図5に示すように前後向きに指向させた状態では、図1に符号4′で示す鎖線図示する(及び図5)ように拡張床側縁手摺42(第1手摺部材43と第2手摺部材44)が拡張床4の床部40の側縁部に沿って伸長されて拡張床4の後部側が本体床3の後縁部からかなりの長さだけ張出するようになる。尚、この第1実施例では、第1手摺部材43と第2手摺部材44の合計長さとほぼ同長さ範囲(例えば110〜120cm程度)で拡張床4を前後にスライドさせ得るようになっている。
【0064】
尚、操作手段6の長尺レバー61は、図示例のものでは、例えば1m程度の長さを有しているが、拡張床4を出没させるための拡張床側縁手摺42を比較的軽快に屈伸させ得るものであれば、該長尺レバー61の長さを適度に短くしてもよい。又、この長尺レバー61は、その基端部付近において着脱自在(例えば抜き差し自在)に連結させ得るようにしておくこともでき、その場合は拡張床4の非操作時には該長尺レバー61を抜き外しておくことができる(長尺レバー61が邪魔にならない)。
【0065】
この第1実施例の作業台2には、操作手段6を不用意に(誤って)操作できないようにするためのロック機構7(図4参照)を設けている。
【0066】
この第1実施例で使用されているロック機構7は、図4に示すように、長尺レバー61で回転される支軸46の下端部に固定された突出片71と、該突出片71の揺動を禁止するロックピン73とを有している。
【0067】
突出片71の先端部には、ロックピン73が挿入されるピン穴72を設けている一方、本体床3の床部30には、長尺レバー61が拡張床格納操作位置(図4の実線図示位置)にあるときの突出片71のピン穴72の直下と長尺レバーが拡張床張出操作位置(図4に鎖線図示する符号61′の位置)にあるときの突出片71′のピン穴72′の直下の2箇所にそれぞれピン穴74、75を設けている。
【0068】
そして、このロック機構7は、長尺レバー61が拡張床4の格納操作位置又は張出操作位置にあるときに、ロックピン73を突出片71のピン穴72と床部30側のいずれかのピン穴74,75に挿入することによって、長尺レバー61を揺動操作できない(ロックする)ようにしている。長尺レバー61を揺動操作するときには、ロックピン73を抜き外せばよい。尚、上記ロック機構7は、拡張床4をスライド不能にロックし得るものであれば、適宜の構成りものを採用できる。
【0069】
この第1実施例の作業台2では、次のような機能がある。
【0070】
まず、拡張床4の格納状態(図2)では、作業台2の面積が小さくなっている(コンパクトになっている)一方、拡張床4の張出状態(図5)では、該拡張床4の張出面積だけ作業台面積が大きくなる(作業員搭乗面積が広くなる)。
【0071】
又、拡張床4の格納状態(図2)では、左右の各拡張床側縁手摺42,42(第1手摺部材43と第2手摺部材44)が本体床3の後縁部近傍位置に折畳まれた状態で保持されているので、該各拡張床側縁手摺42,42が邪魔にならない。他方、拡張床4が格納状態から図5に示すように本体床3の後方に張出されると、各拡張床側縁手摺42,42(第1手摺部材43と第2手摺部材44)が拡張床4の床部40の左右各側縁部においてそれぞれ直線状に伸長して、手摺として機能する。
【0072】
従って、この第1実施例の作業台2では、長尺レバー61による拡張床4の格納・張出操作に連動して左右の各拡張床側縁手摺42,42を自動的に格納状態(折畳み状態)と手摺としての使用状態(伸長状態)に変化させることができるようになっている。尚、このように、拡張床4を格納又は張出させる際に各拡張床側縁手摺42,42を自動で屈伸させるようにすると、各拡張床側縁手摺42,42の着脱のための高所(拡張床4上)での危険な作業を行う必要がないので、手摺着脱作業時における拡張床4上からの転落の危険を未然に解消できる。
【0073】
又、この第1実施例の作業台2では、拡張床4をスライドさせる操作手段6として手動式のもの(長尺レバー61)を使用しているが、このように手動式の操作手段6を採用すると、動力式(例えば油圧式)のものに比して構成が簡単(伸縮シリンダやその配管や切換等の操作手段が不要)であり、且つ安価に製作でき、しかも軽量化を達成できる。
【0074】
さらに、この第1実施例の作業台2では、各拡張床側縁手摺42,42(第1手摺部材43と第2手摺部材44)が拡張床スライド用のリンクとして機能するので、該各拡張床側縁手摺42,42を拡張床スライドのための手段として有効利用できる。
【0075】
[図6〜図7に示す第2実施例の作業台2の説明]
図6〜図7に示す第2実施例の作業台2は、上記第1実施例の変形例を示すもので、拡張床4の左右幅を本体床3の左右幅より僅かに小さい程度のかなり広幅(例えば1.8m幅程度)にしたものを使用している。
【0076】
又、この第2実施例の作業台2では、拡張床4の格納状態(図6)において、拡張床4の後端部の後方への突出長さを可及的に短くするために、拡張床4の床部40の後端部に固定している後部手摺部材45を左右向きの直線状態で設置している。尚、この後部手摺部材45は、左右に2分割したものを使用している。
【0077】
この作業台2でも、拡張床4を本体床3に対して、長尺レバー61と拡張床側縁手摺42(第1手摺部材43と第2手摺部材44)からなる操作手段6により前後にスライドさせ得るようになっている。
【0078】
各拡張床側縁手摺42,42は、第1手摺部材43の基端側縦棒部(図6における左右外端部)を本体床3(床部30)の後端縁の角部付近(側縁手摺部材33の後端側における小長さだけ内方に曲げた部分の先端縦棒部)に支軸46で枢支している一方、第2手摺部材44の基端側縦棒部(図6における左右外端部)を拡張床4(床部40)の後端縁の角部(後部手摺部材45の外端側縦棒部)に支軸47で枢支しているとともに、第1手摺部材43と第2手摺部材44の各自由端側縦棒部を支軸48で枢支している。尚、各支軸46,47,48は、それぞれの縦棒部に固定しているブラケットを介して枢支している。
【0079】
又、操作手段6の長尺レバー61は、図示例では右側の第1手摺部材43の基端側縦棒部(ブラケット)に固定されていて、拡張床4の格納状態(図6)では該長尺レバー61が右側の側縁手摺部材33に沿った前後向き姿勢となる一方、拡張床4の張出状態(図7)では該長尺レバー61が中央側の左右向き姿勢になる。尚、拡張床4の張出状態(図7)において、長尺レバー61が中央側に位置していると、該長尺レバー61が邪魔になるので、該長尺レバー61をその基端部付近において着脱自在(例えば抜き差し自在)に連結させ得るようにしておくとよい。
【0080】
そして、拡張床4の格納状態(図6)では、左右の拡張床側縁手摺42,42(第1手摺部材43と第2手摺部材44)がそれぞれ内方側に向けて折畳まれる一方、拡張床4の張出状態(図7)では、左右の側縁手摺42,42(第1手摺部材43と第2手摺部材44)がそれぞれ拡張床4(床部40)の左右各側縁部で直線状に伸長するようになっている。
【0081】
この第2実施例の作業台2では、拡張床4(床部40)として左右幅がかなり広いもの(例えば1.8m幅のもの)を使用しているので、拡張床4の張出状態での搭乗スペースが広くなる。又、このように左右幅の広い拡張床4(床部40)を使用したものであっても、拡張床4の格納状態(図6)において左右の拡張床側縁手摺42,42(第1手摺部材43と第2手摺部材44)をそれぞれ内向きに折畳むと、該各拡張床側縁手摺42,42が作業台2の側縁部から外方に突出しない(各拡張床側縁手摺42,42をコンパクトに格納できる)。
【0082】
又、この第2実施例の作業台2では、拡張床4側の後部手摺部材45を左右方向に向く直線部分だけにしているので、拡張床4の格納状態では、該拡張床4の後方出幅を可及的に短くできる(拡張床格納状態での作業台2がコンパクトになる)。
【0083】
尚、この第2実施例の作業台2でも、上記第1実施例で説明した機能、即ち長尺レバー61を揺動操作すると拡張床側縁手摺42,42が格納位置と手摺としての使用位置との間で自動で変位する機能を有している。
【符号の説明】
【0084】
1は車輌、2は作業台、3は本体床、4は拡張床、5はスライドガイド装置、6は操作手段、30は本体床の床部、31は本体床用手摺、40は拡張床の床部、41は拡張床用手摺、42は拡張床側縁手摺、43は第1手摺部材、44は第2手摺部材、46は支軸、47は支軸、48は支軸、61は長尺レバーである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームの先端部に作業員搭乗用の作業台を取付けた高所作業車において、
前記作業台は、本体床と該本体床に対して操作手段によって格納・張出自在にスライドさせ得る拡張床とを有し、
前記本体床と前記拡張床との間に、拡張床の左右各側縁部をそれぞれガードし得る一対の拡張床側縁手摺を設け、
前記各拡張床側縁手摺は、本体床に対して一端側を水平揺動自在に枢支した第1手摺部材と拡張床に対して一端側を水平揺動自在に枢支した第2手摺部材とを有し、且つ前記第1手摺部材の自由端と前記第2手摺部材の自由端とを枢支したものを使用しているとともに、
拡張床の格納状態では各側の第1手摺部材と第2手摺部材とがそれぞれ本体床の外縁部近傍位置に折畳まれる一方、拡張床の張出状態では各側の第1手摺部材と第2手摺部材とがそれぞれ拡張床の各側縁部に直線状に伸長するように構成している、
ことを特徴とする高所作業車の作業台。
【請求項2】
請求項1において、
前記拡張床をスライドさせる前記操作手段は、前記各拡張床側縁手摺と、該各拡張床側縁手摺を折畳み状態と伸長状態とに変化させる手動式の操作部材とで構成している、
ことを特徴とする高所作業車の作業台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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