説明

高所作業車用作業表示装置

【課題】高所作業車に適用される作業表示装置の改良。オペレータが現場の状況を確認しながら作業アームの姿勢を容易に把握することができる作業表示装置の提供。
【解決手段】この作業表示装置10は、梯子付き消防車に適用される。作業表示装置10は、梯子の先端に設けられたカメラ11と、梯子の姿勢を表示する表示部12とを備える。表示部12は、液晶表示画面24を有する。液晶表示画面24には、梯子の姿勢が表示される。カメラ11が撮影した現場映像は、液晶表示画面24に映し出される。この現場映像は、梯子姿勢画像30と共に液晶表示画面24に重ねて映し出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梯子付き消防車、クレーン車等の作業アーム付き高所作業車に採用される作業表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、火事現場では梯子付き消防車が活躍する。この消防車は、現場付近に安定的に駐車される。この消防車に搭載された梯子は、現場建物等に向かって伸長され、あるいは現場建物等に架け渡される。梯子の先端にはバスケットが装着される場合があり、作業者(通常、消防士)は、このバスケットに搭乗して被災者の救助活動及び消火活動を効率的に行う。また、一般に梯子にはリフターが設けられている。このリフターは、梯子に沿って昇降するものであり、消防士は、このリフターに搭乗し、消火・救助活動等を行う。
【0003】
このような梯子付き消防車では、通常、消防車本体に梯子操作部が設けられている。現場では、オペレータが梯子操作部に配置され、梯子は、オペレータによって操作される。図3は、この梯子操作部の斜視図である。
【0004】
同図が示すように、梯子操作部1は、梯子2の側方に設置されている。梯子操作部1には、オペレータシート3、操作レバー4、5のほか、梯子姿勢表示装置6等が設けられている。梯子姿勢表示装置6は、梯子2の伸長長さ、起立角度等を表示する。オペレータは、オペレータシート3に着席した状態で操作レバー4、5を操作する。これにより、梯子2は、現場状況に応じて起伏され、あるいは伸縮される。なお、梯子2の起伏動作及び伸縮動作は、一般に油圧装置によって行われる。
【0005】
ところで、梯子2を現場建物等に向かって適切な位置に伸長させる作業は、必ずしも容易ではない。なぜなら、一般に梯子付き消防車が必要とされる火事現場では、数十メートルの高所まで梯子が伸長される必要があるため、地上から(当該操作部1から)梯子2を適切に操作するためには、オペレータに熟練が要求されるからである。上記梯子姿勢表示装置6は、オペレータによる梯子操作を支援するものである。オペレータは、梯子姿勢表示装置6が表示する梯子2の姿勢を参照しながら当該梯子2の操作を行う。このように梯子等の作業アームの姿勢等を表示する表示装置に関する先行技術文献としては、下記の特許文献1及び特許文献2が存在する。
【0006】
また、消火・救助活動を一層効率的に行うために、従来の梯子付き消防車には、梯子2の先端部にカメラが装着されているものがある。このカメラは、現場の状況を撮影する。この現場映像は、梯子操作部1に設けられたモニター7に映し出される。オペレータは、この現場映像により自己から数十メートル離れた現場の状況を確認しながら梯子2の操作を行うことができる。
【0007】
【特許文献1】特開平7−137982号公報
【特許文献2】特開平6−7471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、オペレータは、梯子姿勢表示装置6が表示する梯子姿勢やモニター7が映し出す現場映像のみに基づいて梯子2を操作するのではない。オペレータは、安全な梯子操作のためには、梯子2の姿勢を現実に目視することが重要である。このため、現場においてオペレータは、梯子姿勢表示装置6、モニター7及び梯子2を同時に目視する必要があり、その結果、オペレータの作業負担が大きいという問題があった。この問題は、梯子付き消防車に限定されるものではなく、たとえばクレーン車その他の高所作業車においても同様である。
【0009】
そこで、本発明の目的は、現場の状況を確認しながら梯子等の姿勢を容易に把握することができる高所作業車用作業表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明に係る高所作業車用作業表示装置は、作業アームを有する高所作業車に適用される作業表示装置である。この高所作業車用作業表示装置は、作業アームに取り付けられ、作業現場を撮影するカメラと、表示画面を有し、作業アームの姿勢を表す絵を表示画面に表示すると共にカメラが撮影した画像のデータに基づいて現場映像を表示画面に重ねて表示する表示部とを備えている。
【0011】
この構成によれば、作業アーム(典型的には、梯子付き消防車における梯子等)の姿勢は、表示部の表示画面に絵として表示される。したがって、作業アームのオペレータは、表示画面に表示された作業アームの姿勢を参考にしながら、当該作業アームを操作することができる。しかも、カメラによって撮影された現場映像は、上記表示画面に重ねて表示される。したがって、オペレータは、視線を移すことなく作業アームの姿勢と、現場の状況とを確認することができる。
【0012】
(2) 上記表示画面は、作業アームの姿勢を表示する第1表示領域及び作業アームの操作に関する警告を表示する第2表示領域を含む複数の表示領域を有しており、上記表示部は、上記現場映像を上記第1表示領域に表示するように構成されているのが好ましい。この構成では、作業アームの姿勢を表示する第1表示領域の背景として、上記現場映像が映し出される。したがって、オペレータは、視線をまったく変化させることなく、現場映像を確認することができる。
【0013】
(3) 上記表示部は、上記現場映像を上記表示画面全体に表示するように構成されていてもよい。この構成では、上記現場映像は、上記表示画面全体の背景として映し出される。したがって、オペレータは、視線をまったく変化させることなく、現場映像を一層明確に確認することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業アームのオペレータは、視線を移すことなく当該作業アームの姿勢及び現場の映像を同時に確認することができるので、作業半径の余裕、過荷重等の安全に関する重要な情報をタイムリーに得ることができ、現場の状況を把握しながら作業アームの操作を適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る作業表示装置を模式的に示す図である。
【0017】
この作業表示装置10は、梯子付き消防車(高所作業車)に適用されるものである。本実施形態では、消防車に架装された梯子は、いわゆる屈折可能タイプのものであって、したがって、後に詳述されるが、作業表示装置10は、梯子の伸長長さ、起伏角度、旋回角度等を表示するようになっている。なお、本発明は、梯子付き消防車に限定して適用されるものではなく、クレーン車等の作業アームを備えた高所作業車一般に適用され得ることは勿論である。
【0018】
梯子付き消防車の概略構成は、次の通りである。すなわち、梯子付き消防車は、消防車本体と、消防車本体に設けられたアウトリガー・ジャッキ装置と、上記梯子と、この梯子を操作するための操作部とを有する。梯子付き消防車が現場建物等の近傍に到着すると、アウトリガー・ジャッキ装置が駆動される。具体的には、アウトリガーが消防車本体の側方に張り出され、続いてジャッキによって消防車本体が安定的に支持される。この状態でオペレータが梯子を操作し、梯子は、所要の角度に起伏され、所要の長さに伸長される。梯子の先端部にバスケットが装着される場合がある。バスケットにも通常上記操作部が設けられている。オペレータは、バスケットに乗り込み、バスケットの操作部から梯子の操作を行うこともできる。また、梯子には一般にリフターが備えられている。リフターには消防士等が搭乗する。消防士は、リフターを用いて火事現場と地上とを往復しながら救助・消火活動を行う。
【0019】
作業表示装置10は、梯子の先端部に取り付けられたカメラ11と、梯子の姿勢等を表示する表示部12とを備えている。表示部12は、例えば上記操作部に組み込まれており、梯子の姿勢等を絵として表す。表示部12には、状態監視部13が接続されている。この状態監視部13は、後述される種々のセンサを備えており、消火・救助作業中の消防車本体及び梯子の状態を監視する。本実施形態に係る作業表示装置10の特徴とするところは、上記表示部12には、上記カメラ11が撮影した現場映像が背景として映し出されるようになっている点であり、これにより、オペレータは、梯子の操作を的確且つ安全に行うことができる。
【0020】
表示部12は、画像生成部14と、モニター15とを備えている。このモニター15に梯子の姿勢等を表す絵が表示される。カメラ11はCCDカメラであって、後述の通信手段を介して画像生成部14と接続されている。
【0021】
状態監視部13は、梯子の状態(伸長長さや起伏角度等)を検出するセンサ部16と、制御器17とを備えている。センサ部16は、種々のセンサを備える。本実施形態では、センサ部16は、アウトリガー伸長検出センサS1、梯子長さ検出センサS2、梯子起伏角度検出センサ(S3)、梯子旋回角度検出センサ(S4)、先端障害検出センサ(S5)、背面荷重検出センサ(S6)、過負荷検出センサ(S7)、バスケット装着検出センサ(S8)、屈折状態検出センサ(S9)、屈折部開放状態検出センサ(S10)、リフター使用状態検出センサ(S11)、横桟一致検出センサ(S12)、飛出防止固定検出センサS13を備えている。なお、同図では、簡略化のために各種センサS1〜S13のうち一部のみが図示されている。また、センサの種類はこれらに限定されるものではない。これらの各センサS1〜S13に加えて、梯子や消防車本体の状態を監視する他のさまざまなセンサが設けられ得ることは勿論である。
【0022】
アウトリガー伸長検出センサS1は、アウトリガーの張出長さを検出し、検出信号n1を出力する。アウトリガーの張出長さが大きいほど消防車本体が安定的に支持され、したがって、梯子の作業半径が大きくなる。なお、「作業半径」とは、梯子の旋回中心から梯子の先端までの水平距離であり、この作業半径内において梯子の安全な操作が可能となっている。
【0023】
梯子長さ検出センサS2は、梯子の伸長長さを検出し、検出信号n2を出力する。梯子起伏角度検出センサ(S3)、は、梯子の起伏角度を検出し、検出信号(n3)を出力する。これら各センサS2、(S3)によって検出された梯子の伸長長さ及び起伏角度によって、上記作業半径が決定される。すなわち、作業半径Rは、梯子長さをLとし、起伏角度をθとすれば、R=L×COSθで表される。また、梯子旋回角度検出センサ(S4)は、梯子の旋回角度を検出し、検出信号(n4)を出力する。なお、「旋回角度」とは、消防車本体の前後方向を基準とする梯子の向きを示す。
【0024】
先端障害検出センサ(S5)は、梯子の先端近傍に障害物が近づいたときにこれを検出し、検出信号(n5)を出力する。この先端障害検出センサ(S5)により、梯子が障害物に衝突することが回避される。
【0025】
背面荷重検出センサ(S6)は、梯子を当該梯子の背面側に曲げようとする力が作用した場合にこれを検出し、検出信号(n6)を出力する。過負荷検出センサS7は、梯子に過大な負荷が作用した場合にこれを検出し、検出信号(n7)を出力する。これら各センサ(S6)(S7)によって、梯子に作用する負荷により梯子が損傷を受けることが防止される。
【0026】
バスケット装着検出センサ(S8)は、バスケットが梯子の先端部に装着されたことを検出し、検出信号(n8)を出力する。このバスケット装着検出センサ(S8)により、オペレータは、バスケットが装着されていることを認識することができる。屈折状態検出センサ(S9)は、梯子が屈折状態にあることを検出し、検出信号(n9)を出力する。この屈折状態検出センサ(S9)により、オペレータは、作業中の梯子が屈折していることを認識することができる。屈折部開放状態検出センサ(S10)は、梯子が屈折許容状態にあることを検出し、検出信号(n10)を出力する。通常、梯子の屈折部には、屈折を規制し真直状態を維持するストッパーが装備されている。梯子が屈折するためには、このストッパーが解除されなければならない。オペレータは、操作部からこのストッパーを解除することができ、その状態でこの屈折部開放状態検出センサ(S10)が梯子の屈折許容状態を検出する。これにより、オペレータは、安全に梯子を屈折させることができる。
【0027】
リフター使用状態検出センサ(S11)は、リフターが梯子に沿って昇降している状態を検出し、検出信号(n11)を出力する。このリフター使用状態検出センサ(S11)により、オペレータは、リフターが作動していることを認識することができる。横桟一致検出センサ(S12)は、梯子が伸長したときに横桟が揃っていることを検出し、検出信号(n12)を出力する。この横桟一致検出センサ(S11)により、オペレータは、横桟が一致していることを認識することができ、その結果、消防士及び被災者は、自力で安全に梯子を昇降することができる。飛出防止固定検出センサS13は、梯子飛出防止装置が作動したことを検出し、検出信号n13を出力する。「梯子飛出防止装置」とは、梯子が収納状態となったときに、梯子の伸長を規制する装置である。この装置により、梯子付き消防車が走行しているときに、振動等によって梯子が伸長することが防止される。
【0028】
カメラ11は、現場を撮影する。その画像データは、上記画像生成部14に伝送される。本実施形態では、当該画像データは、赤外線を用いて画像生成部14に送られる。この赤外線を利用したデータ送受信手段20は、カメラ11側に設けられた赤外線発信器18と、画像生成部14側に設けられた赤外線受信機19とを有する。この赤外線受信器19は、受信した赤外線を所定のデジタル信号N1(画像のデータ)に変換する。このデジタル信号N1は、画像生成部14に入力される。
【0029】
制御器17は既知の構成であって、内部に予め所要のコンピュータプログラムが記憶されたROMと、CPUとを備えている。上記各センサS1〜S13が出力する検出信号n1〜n13は、制御器17に入力される。CPUは、上記コンピュータプログラムにしたがって上記各検出信号n1〜n13を処理し、各検出信号n1〜n13に応じた出力信号Kiを出力する。例えば、上記検出信号n2、n3、n4に対して、それぞれ出力信号K2、K3、K4が出力されるが、出力信号K2は梯子の伸長長さを表すデータ、出力信号K3は梯子の起伏角度を表すデータ、K3は梯子の旋回角度を表すデータである。また、例えば、上記検出信号n5、n6に対して、それぞれ出力信号K5、K6が出力されるが、出力信号K5は梯子の先端部に障害物が存在することを意味する警告データであり、出力信号K6は、梯子に過大な背面荷重が作用したことを意味する警告データである。これら各出力信号Kiは、上記画像生成部14に入力される。
【0030】
画像生成部14は、予め所要のコンピュータプログラムが記憶されたROMと、CPUとを有する。CPUは、コンピュータプログラムにしたがって上記デジタル信号N1(画像のデータ)を処理し、現場映像を構成する。また、CPUは、コンピュータプログラムにしたがって上記各出力信号Kiを処理する。前述のように、各出力信号Kiは、梯子の伸長長さ、起伏角度、旋回角度等を表すデータであるから、これらデータに基づいてCPUが梯子の状態を表す絵を構成すると共に、上記各警告データを処理する。さらに、CPUは、コンピュータプログラムにしたがって上記現場映像と梯子の状態を表す絵とを合成し、合成画像信号N2を生成する。この合成画像信号N2は、上記各警告データと共にモニター15に送られる。モニター15は、後に詳述されるように上記現場映像を背景として梯子の状態を表す絵を同時に表示すると共に、必要な警告を表示する。
【0031】
モニター15は、液晶表示画面(以下、単に「表示画面」と称される。)24を備えている。この表示画面24は、上記画像生成部14のROMに記憶されたコンピュータプログラムにしたがって5つの領域に分割されている。すなわち、表示画面24は、梯子の姿勢を絵として表示する第1表示領域25、26と、梯子の操作に関する上記警告を表示する第2表示領域27と、梯子の操作状況を数値表示する第3表示領域28、29に区画されている。図2は、この表示画面24の拡大図であり、各表示領域25〜29が詳細に示されている。
【0032】
梯子付き消防車が現場建物の近傍に到着すると、前述のようにアウトリガー・ジャッキ装置により消防車本体が安定的に支持される。梯子は、オペレータによって所要の角度に起伏され、所要の長さに伸長される。また、必要に応じて、梯子は所定方向へ旋回される。このときのアウトリガーの状態、梯子の姿勢等は、上記各センサS1〜S13によって検出され、画像生成部14は、上記検出信号n1〜n13に基づく出力信号Kiを受信する(図1参照)。
【0033】
画像生成部14は、前述のように、梯子長さ検出信号n2及び梯子起伏角検出信号(n3)に対応する出力信号Kiに基づいて梯子の状態を表す絵(以下、「梯子姿勢画像」と称される。)30を作成する。この梯子姿勢画像30は、図2が示すように、表示画面24の第1表示領域25に表示される。なお、カメラ11が作動しているときは、前述のように現場映像と梯子姿勢画像30とが合成される。また、この第1表示領域25には、消防車本体を中心とする目盛31が同時に表示されている。この目盛31は、画像生成部14のROMに記憶されたコンピュータプログラムにしたがって第1表示領域25に表示されるようになっている。したがって、オペレータは、この第1表示領域25を目視することによって、梯子の起立角度、伸長長さ及び作業半径を瞬時に把握することができる。
【0034】
同様に、画像生成部14のCPUは、梯子旋回角度検出信号(n4)に対応する出力信号Kiを上記コンピュータプログラムにしたがって処理し、梯子姿勢画像32を作成する。この梯子姿勢画像32は、図2が示すように、表示画面24の第1表示領域26に表示される。この梯子姿勢画像32は、梯子の平面視画像である。この第1表示領域26にも、消防車本体を中心とする目盛33が同時に表示されている。この目盛33は、画像生成部14のROMに記憶されたコンピュータプログラムにしたがって第1表示領域26に表示されるようになっている。したがって、オペレータは、この第1表示領域26を目視することによって、梯子の旋回方向を瞬時に把握することができる。
【0035】
梯子の先端部にバスケットが装着された場合は、上記バスケット装着検出信号(n8)が出力され、これに対応する出力信号Kiが画像生成部14に入力される。画像生成部14のCPUは、この出力信号Kiを上記コンピュータプログラムにしたがって処理し、「バスケット使用」のインジケータ34を表示させる。このとき、バスケットに搭乗したオペレータが梯子を操作する場合には、「バスケット操作」のインジケータ35が表示される。このインジケータ35も、上記コンピュータプログラムにしたがってCPU21により表示される。さらに、バスケットには、非常事態に備えて緊急停止装置が装備されている。オペレータは、非常事態が発生した場合には、梯子の操作を停止すべく、緊急停止装置を作動させる。この緊急停止装置が作動した場合には、「バスケット緊急停止」のインジケータ41が表示される。このインジケータ41も、上記コンピュータプログラムにしたがってCPU21により表示される。
【0036】
リフターが使用された場合は、上記リフター使用状態検出信号(n11)が出力され、これに対応する出力信号Kiが画像生成部14に入力される。画像生成部14のCPUは、この出力信号Kiを上記コンピュータプログラムにしたがって処理し、「リフタ使用」のインジケータ36を表示させる。
【0037】
オペレータが梯子を屈折させようとした場合には、前述のストッパーが開放される。このとき、上記屈折部開放状態検出信号(n10)が出力され、これに対応する出力信号Kiが画像生成部14に入力される。画像生成部14のCPUは、この出力信号Kiを上記コンピュータプログラムにしたがって処理し、「屈折部開放」のインジケータ37を表示させる。そして、梯子が屈折操作された場合には、上記屈折状態検出信号(n9)が出力され、これに対応する出力信号Kiが画像生成部14に入力される。画像生成部14のCPUは、この出力信号Kiを上記コンピュータプログラムにしたがって処理し、「屈折状態」のインジケータ38を表示させる。
【0038】
梯子が伸縮され、横桟が一致したときには、上記横桟一致検出信号(n12)が出力され、これに対応する出力信号Kiが画像生成部14に入力される。画像生成部14のCPU21は、この出力信号Kiを上記コンピュータプログラムにしたがって処理し、「横桟一致」のインジケータ39を表示させる。また、梯子飛出防止装置が作動したときには、飛出防止固定検出信号n13が出力され、これに対応する出力信号Kiが画像生成部14に入力される。画像生成部14のCPUは、この出力信号Kiを上記コンピュータプログラムにしたがって処理し、「飛出防止固定」のインジケータ40を表示させる。
【0039】
前述のように、アウトリガーの張出長さの大きさによって梯子の作業半径の限界が決定される。画像生成部14のCPUは、上記アウトリガー伸長検出信号n1に対応する出力信号Kiを上記コンピュータプログラムにしたがって処理し、アウトリガーの張出長さを算出する。また、画像生成部14のCPUは、上記梯子長さ検出信号n2及び梯子起伏角検出信号(n3)に対応する出力信号Kiを上記コンピュータプログラムにしたがって処理し、作業半径の限界を算出する。オペレータは、この作業半径の限界内でのみ梯子を操作することができる。梯子が伸長された状態で倒伏されると、やがて図2が示すように梯子の作業半径の限界が訪れる。この場合、「使用限界」のインジケータ42が表示される。このインジケータ42も、画像生成部14のCPUが上記コンピュータプログラムにしたがって表示するものである。
【0040】
梯子の操作中に上記先端障害検出信号(n5)が出力されると、これに対応する出力信号Kiが画像生成部14に入力される。画像生成部14のCPUは、この出力信号Kiを上記コンピュータプログラムにしたがって処理し、「先端障害」のインジケータ43を表示させる。特に、梯子が水平から下方へ倒伏されるときに上記先端障害検出信号(n5)が出力されると、画像生成部14のCPUは、上記コンピュータプログラムにしたがって「倒伏障害」のインジケータ44を表示させる。
【0041】
梯子が現場建物の壁面等に立てかけられた場合に、上記背面荷重検出信号(n6)が出力されると、これに対応する出力信号Kiが画像生成部14に入力される。画像生成部14のCPUは、この出力信号Kiを上記コンピュータプログラムにしたがって処理し、「背面荷重」のインジケータ43を表示させる。また、例えばバスケットに多数の被災者が乗り込むなど、梯子に過大な負荷が作用した場合には、上記過負荷検出信号(n7)が出力され、これに対応する出力信号Kiが画像生成部14に入力される。画像生成部14のCPUは、この出力信号Kiを上記コンピュータプログラムにしたがって処理し、「過負荷」のインジケータ45を表示させる。
【0042】
このように、第2表示領域27には、梯子操作に関する種々の警告が表示される。したがって、オペレータは、安全に梯子を操作することができる。
【0043】
第3表示領域29には、梯子の状態、姿勢が数値表示される。具体的には、梯子の起伏角度は、「起伏角」のインジケータ46によって数値表示される。この数値は、画像生成部14のCPUが上記梯子起伏角度検出信号(n3)に対応する出力信号Kiを上記コンピュータプログラムにしたがって処理することによって表示される。梯子の伸長長さは、「梯子長さ」のインジケータ47によって数値表示される。この数値は、画像生成部14のCPUが上記梯子長さ検出信号n2に対応する出力信号Kiを上記コンピュータプログラムにしたがって処理することによって表示される。なお、同様に、梯子の屈折角度は、「屈折角」のインジケータ48によって数値表示され、作業半径は、「作業半径」のインジケータ49によって数値表示される。また、第3表示領域28には、作業半径の限界を警告するインジケータ50、バスケットが3名搭乗モードに設定されたことを示すインジケータ51及び風速を数値表示するインジケータ52が表示される。これらは、前述と同様に、画像生成部14のCPUが表示するようになっている。
【0044】
カメラ11が作動しているときは、画像生成部14に入力された上記デジタル信号N1(図1参照)は、前述のように画像生成部14のCPUによって処理され、上記合成画像信号N2が生成される。この合成画像信号N2は、カメラ11が撮影した現場映像と上記梯子姿勢画像30、32とが重ね合わされたものである。画像生成部14のCPUは、上記コンピュータプログラムにしたがって、この重ね合わされた画像をモニター15に映し出す。カメラ11が撮影した現場映像は、上記第1表示領域25に表示されるようになっている。このとき、現場映像は、第1表示領域25の背景として表示される。
【0045】
このように本実施形態に係る作業表示装置10では、梯子の姿勢は、表示部12の表示画面24に絵として表示される。したがって、オペレータは、表示画面24に表示された梯子の姿勢の絵を参考にしながら、当該梯子を操作することができる。しかも、カメラ11によって撮影された現場映像は、表示画面24に重ねて表示される。したがって、オペレータは、視線を移すことなく梯子の姿勢と、現場の状況とを確認することができる。
【0046】
特に本実施形態では、梯子の姿勢を表示する第1表示領域25の背景として上記現場映像が映し出される。したがって、オペレータは、視線をまったく変化させることなく、現場映像を確認することができるという利点がある。
【0047】
本実施形態では、上記現場映像は、上記第1表示領域25に表示されたが、表示画面24の全体に表示されてもよい。この場合、上記現場映像は、表示画面24の全体の背景として映し出される。したがって、オペレータは、視線をまったく変化させることなく、現場映像を一層明確に確認することができる。なお、上記現場映像が表示画面24の全体に表示されるためには、画像生成部14のROMに記憶されたコンピュータプログラムが変更されればよい。
【0048】
加えて、本実施形態では、上記梯子姿勢画像30、32や現場映像は、コンピュータプログラムにしたがって作動するCPUによって映し出されるが、これに限定されるものではない。すなわち、CPU及びコンピュータプログラムによる制御に代えて例えばLSI等が採用されてもよいことは勿論である。また、本実施形態では、モニター15に液晶が採用されているが、これに代えて有機素子が採用されていてもよいし、またブラウン管が採用されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、梯子付き消防車、クレーン車等の高所作業車の作業表示装置に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る作業表示装置を模式的に示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る作業表示装置の表示画面の拡大図である。
【図3】図3は、従来の消防自動車本体に設けられた操作部の斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
10・・・作業表示装置
11・・・カメラ
12・・・表示部
13・・・状態監視部
14・・・主制御部
15・・・モニター
16・・・センサ部
17・・・制御器
18・・・赤外線発信器
19・・・赤外線受信器
20・・・データ送受信手段
24・・・液晶表示画面
25、26・・・第1表示領域
27・・・第2表示領域
28、29・・・第3表示領域
30・・・梯子姿勢画像
31・・・目盛
32・・・梯子姿勢画像
33・・・目盛
34〜49・・・インジケータ
55・・・画像合成器
Ai・・・表示信号
N1・・・デジタル信号
N2・・・合成画像信号
Ki・・・出力信号
S1・・・アウトリガー伸長検出センサ
S2・・・梯子長さ検出センサ
S3・・・梯子起伏角度検出センサ
S4・・・梯子旋回角度検出センサ
S5・・・先端障害検出センサ
S6・・・背面荷重検出センサ
S7・・・過負荷検出センサ
S8・・・バスケット装着検出センサ
S9・・・屈折状態検出センサ
S10・・・屈折部開放状態検出センサ
S11・・・リフター使用状態検出センサ
S12・・・横桟一致検出センサ
S13・・・飛出防止固定検出センサ
n1・・・アウトリガー伸長検出信号
n2・・・梯子長さ検出信号
n3・・・梯子起伏角度検出信号
n4・・・梯子旋回角度検出信号
n5・・・先端障害検出信号
n6・・・背面荷重検出信号
n7・・・過負荷検出信号
n8・・・バスケット装着検出信号
n9・・・屈折状態検出信号
n10・・・屈折部開放状態検出信号
n11・・・リフター使用状態検出信号
n12・・・横桟一致検出信号
n13・・・飛出防止固定検出信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業アームを有する高所作業車に適用される作業表示装置であって、
作業アームに取り付けられ、作業現場を撮影するカメラと、
表示画面を有し、作業アームの姿勢を表す絵を表示画面に表示すると共にカメラが撮影した画像のデータに基づいて現場映像を表示画面に重ねて表示する表示部とを備えた高所作業車用作業表示装置。
【請求項2】
上記表示画面は、作業アームの姿勢を表示する第1表示領域及び作業アームの操作に関する警告を表示する第2表示領域を含む複数の表示領域を有しており、
上記表示部は、上記現場映像を上記第1表示領域に表示するように構成されている請求項1に記載の高所作業車用作業表示装置。
【請求項3】
上記表示部は、上記現場映像を上記表示画面全体に表示するように構成されている請求項1に記載の高所作業車用作業表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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