説明

高清浄/低研磨シリカ材料およびそのような材料を含有する歯磨剤

in situで生じた沈降シリカとシリカゲルの組成物である独特な研磨性および/または増粘性材料を提供する。そのような組成物は、in situで生じた複合材料の構造によって異なる有利な特徴を示す。構造性の低い複合体(アマニ油吸油レベルにより、吸収された油40〜100mL/複合体100gと測定されるもの)を用いると、歯の表面を有害にすり減らすことなく歯の表面を効果的に清浄する歯磨剤を使用者に与えるために、高い被膜清浄特性および中程度の象牙質摩耗レベルを同時に存在させることが可能である。高構造複合材料の量が増加すると、より大きな粘度上昇および増粘の利点を、低構造タイプの場合に比べ程度は低いがそのような望ましい摩耗および清浄特性と一緒に、もたらす傾向がある。したがって、範囲中央の清浄性の材料は、100を超え150までの吸油レベルを示し、高増粘性/低摩耗性複合体は、150を超える吸油特性を示す。そのようなin situで同時に生成した沈降シリカ/シリカゲルの組合せ物は、前記成分の物理的混合物と比較して、そのような思いのほか効果的な低い研磨能力および高い清浄能力ならびに異なる増粘特性を提供する。本発明は、前記目的のためのそのようなゲル/沈降シリカ複合材料、ならびに上記構造範囲内のさまざまな材料、および前記を含む歯磨剤の独特な作成方法を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、in situで生じた沈降シリカとシリカゲルの組成物である独特な研磨および/または増粘材料に関する。そのような組成物は、in situで生じた複合材料の構造によって異なる有利な特徴を示す。構造性の低い複合体(アマニ油吸油レベルにより、吸収された油40〜100mL/複合体100gと測定されるもの)を用いると、歯の表面を有害にすり減らすことなく歯の表面を効果的に清浄する歯磨剤を使用者に与えるために、高い被膜(pellicle film)清浄性および中程度の象牙質摩耗レベルを同時に存在させることが可能である。高構造複合材料の量が増加すると、より大きな粘度上昇および増粘の利点を、低構造タイプの場合に比べ程度は低いがそのような望ましい摩耗性および清浄性と一緒に、もたらす傾向がある。したがって、範囲中央(mid-range)の清浄性の材料は、100を超え150までの吸油レベルを示し、高増粘性/低摩耗性複合体は、150を超える吸油性を示す。そのようなin situで同時に生成した沈降シリカ/シリカゲルの組合せ物は、前記成分の物理的混合物と比較して、そのような思いのほか効果的な低い研磨能力および高い清浄能力ならびに異なる増粘特性を提供する。本発明は、前記目的のためのそのようなゲル/沈降シリカ複合材料、ならびに上記構造範囲内のさまざまな材料、および前記を含む歯磨剤の独特な作成方法を包含する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の背景
歯の表面から被膜を含むさまざまな付着物を除去するために、従来の歯磨剤組成物には研磨物質が包含されている。被膜はしっかり密着しており、歯に見苦しい外観を付与する茶色または黄色の顔料を含有していることが多い。清浄は重要であるが、研磨剤は、歯に損傷を与えるほど強力であるべきでない。理想的には、効果的な歯磨剤用研磨材料は、被膜の除去を最大にする一方、硬い歯牙組織に対し最小限の摩耗および損傷をもたらす。したがって、とりわけ、歯磨剤の性能は、研磨成分により引き起こされる摩耗の程度の影響を非常に受けやすい。従来、研磨性清浄材料は、歯磨剤組成物に流動性を有する乾燥粉末の形態で、または、歯磨剤の配合前または配合時に調製された流動性を有する乾燥粉末形態の艶出剤の再分散により導入されてきた。また、貯蔵、輸送、および標的の歯磨製剤内への導入を容易にするために、最近になってそのような研磨剤のスラリー形態が提供されている。
【0003】
合成低構造シリカは、該材料が研磨剤として提供する有効性、ならびに、低い毒性特性、および他の歯磨剤成分、一例としてフッ化ナトリウムなどとの適合性に起因して、前記目的のために利用されてきた。合成シリカを調製する場合、目標は、清浄を最大にすると同時に硬い歯の表面への衝撃を最小限にするシリカを得ることである。歯科研究者は、そのような目標をかなえる研磨材料の識別に継続的に携わっている。
【0004】
(より高構造の)合成シリカはまた、歯磨剤および他の同様のペースト材料のための増粘剤として、改善された制御のために流動学的性質、例えば、粘度上昇、形状保持(stand up)、歯ブラシでの垂れ(brush sag)などを補い変性するために、利用されてきた。例えば、練り歯磨き製剤の場合、多くの消費者の要件を満たすことができる安定なペーストを提供する必要性があり、該要件は、制限するものではないが、容器(チューブなど)の中から外へ圧力(すなわちチューブを絞ること)により寸法的に安定なペーストとして移動し、そのような圧力の除去により以前の状態へ戻る能力;容易に、そしてそのような移動中および移動後にチューブの中から外へ流れ出ることなく、そのような方法で歯ブラシのヘッドに移動する能力;使用前、およびブラッシング前に標的の歯に当てたときに、ブラシ上で寸法的に安定であり続ける傾向;ならびに、少なくとも使用者の利益のための審美的目的のために、適切な食感を示すこと、などである。
【0005】
一般に、歯磨剤は、主成分であり標的の対象歯との適切な接触を可能にするための保湿剤(例えばソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコールなど);対象歯を適切に清浄しすり減らすための研磨剤(沈降シリカなど);水;および他の活性成分(虫歯予防の利益のためのフッ素に基づく化合物など)を含む。そのような歯磨剤に適切な流動学的利益を付与する能力は、支持材の適切な網目を形成して前記重要な保湿剤、研磨剤、および虫歯予防成分が適切に含有されるように、増粘剤(例えば、水和シリカ、ヒドロコロイド、ガムなど)を適切に選択し利用することによりもたらされる。したがって、適切な歯磨剤組成物を配合することは、配合の観点、ならびにそのような配合物中に存在する成分の数、量およびタイプの両方の点から、かなり複雑であり得ることが明らかである。結果として、歯磨剤の業界内で優先順位が高いわけではないが、そのような成分の数を減らす能力、または、これら必要とされる性質の少なくとも2種に合致する特定成分を提供する試みは、全体的製造費を潜在的に削減するのは言うまでもなく、配合の複雑さを潜在的に緩和する可能性がある。
【0006】
多くの水不溶性の研磨艶出剤が歯磨剤組成物用に用いられ、または記載されてきた。これら研磨艶出剤としては、天然または合成の研磨粒子材料が挙げられる。一般に公知の合成の研磨艶出剤としては、非晶質の沈降シリカおよびシリカゲルならびに沈降炭酸カルシウム(PCC)が挙げられる。歯磨剤のための他の研磨艶出剤としては、白亜、炭酸マグネシウム、リン酸二カルシウムおよびその二水和物形態、ピロリン酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、メタリン酸カリウム、オルトリン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、パーライトなどが挙げられてきた。
【0007】
とりわけ合成的に生成した沈降低構造シリカは、その清浄能力、相対的安全性、および典型的な歯磨剤成分、例えば、保湿剤、増粘剤、着香剤、虫歯予防薬などとの適合性に起因して、歯磨製剤中の研磨成分として用いられてきた。公知のように、合成沈降シリカは一般に、最初に形成する一次粒子が互いに会合して複数の凝集体(すなわち一次粒子の別個のクラスター)を形成する傾向があるが三次元ゲル構造には凝集しない条件下で、鉱酸および/または酸性ガスを添加することにより、可溶性アルカリシリケートから非晶質シリカを不安定化し沈殿させて生成される。得られる沈殿物を、濾過し、洗浄し、乾燥する手順により反応混合物の水性画分から分離した後、適切な粒径および流度分布が得られるように、乾燥した生成物を機械的に微粉砕する。
【0008】
シリカの乾燥手順は、従来、噴霧乾燥、ノズル乾燥(nozzle drying)(例えば、塔(tower)または注入管(fountain))、ホイール乾燥(wheel drying)、フラッシュ乾燥、回転ホイール乾燥(rotary wheel drying)、オーブン/流動床乾燥などを用いて遂行されている。
【0009】
しかし実際は、前記従来の研磨材料は、清浄を最大限にし象牙質の摩耗を最小限に抑えることに付随する制限を、ある程度欠点として持つ。これまで、そのような特徴を最適化する能力は一般に、そのような目的のために用いられる個々の成分の構造を制御することにより制限されてきた。そのような歯磨剤用の沈降シリカ構造における変性の例は、当該分野において、Wasonへの米国特許第3967563号、第3988162号、第4420312号および第4122161号、Aldcroft et al.への米国特許第4992251号および第5035879号、Newton et al.への米国特許第5098695号、ならびにMcGill et al.への米国特許第5891421号および第5419888号などの公表物中に記載されている。シリカゲルにおける変性も、McGill et al.への米国特許第5647903号、DeWolf, II et al.への米国特許第4303641号、Seybertへの米国特許第4153680号、およびPader et al.への米国特許第3538230号などの公表物に記載されている。前記開示物は、歯磨剤の利益のために増大した被膜清浄能力および象牙質摩耗レベルにおける低下を付与するために、そのようなシリカ材料を改善することを教示している。しかしながら、これらの典型的な改善は、歯磨剤の製造業者に、そのような個々の材料を異なる量で他の同様の成分と混和して、結果として得られる異なるレベルの前記清浄および摩耗特性を達成する能力を与える、好ましい特性レベルをもたらすことができない。前記制限を補うために、シリカのさまざまな組合せ物を提供して異なるレベルを標的にすることを可能にするための試みがなされてきた。異なる粒径および比表面積の組成物を包含するそのようなシリカの組合せ物は、Karlheinz Scheller et al.への米国特許第3577521号、Macyarea et al.への米国特許第4618488号、Muhlemannへの米国特許第5124143号、およびPloger et al.への米国特許第4632826号に開示されている。しかしながら、得られるそのような歯磨剤は、望ましいレベルの摩耗と高いペリクル清浄性を同時に提供することができない。
【0010】
特定構造の沈降シリカとシリカゲルとの物理的混合物を提供するために、他の試みがとりわけRiceへの米国特許第5658553号内でなされている。一般に、シリカゲルはエッジを示し、したがって、理論上、構造性の低いタイプであっても、沈降シリカより大きな程度で表面をすり減らす能力を示すと理解されている。したがって、この特許内では、当時、前記材料を一緒にブレンドして、沈降シリカ単独に比べ高い被膜清浄能力と結び付けて考えられる制御されているが高いレベルの研磨性の点で、改善が提供された。前記開示物では、別個に生成され一緒に混和されるシリカゲルと沈降シリカは、増大したPCRおよびRDAレベルを可能にすることができるが、非常に高いPCRの結果を示すこれまで提供されてきたシリカの場合に比べ、より低い研磨特性のために明らかにより大きな制御を用いることが示されている。残念ながら、これらの結果は確かに正しい方向への一工程ではあるが、シリカに基づく歯科用研磨剤であって、十分に高い被膜清浄性をより低放射性の象牙質研磨特性と同時に示し、これにより、該膜の除去を、象牙質を有害に破壊することなく達成することができるような研磨剤を提供するためには、なお大きく満たされていない必要性が存在する。実際には、該必要性は、歯科用シリカ業界内でこれまで提供されてきたものに比べ著しく高いPCRレベル対RDAレベルを示す、より安全な研磨剤に関するものである。改めて、Riceの特許は、所望の研磨特性への出発点に過ぎない。さらに、これら別個のゲルおよび沈降物材料を生成し、前記特性の適切な標的レベルになるようにそれらを計量するという要件は、費用を増大させ、製造手順にプロセス工程を増加させる。したがって、そのような組合せ物の利益を、ただし非常に高いレベルの被膜清浄および比較的低い〜中程度の象牙質摩耗に対し、同時に歯磨製剤内への組込みを容易にして提供する方法は、今のところ当業界で得られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
購入、貯蔵および歯磨製剤内への導入に必要な添加剤の数を制限することは、どのような場合であっても望ましい。そのこと自体、前記特性のために多数の成分を添加することを回避するために増粘特性と研磨特性を同時に提供する能力は、当業界内で満たされていない必要性である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の目的および概要
今回、沈降シリカの生成方法における改良が、その中でのin situにおける標的量のシリカゲルの同時生成、とりわけ、in situで生じた複合体の最終構造を制御することができる同時生成をもたらすことができることが見いだされた。したがって、そのような新規方法により、in situで生じるゲル/沈降シリカ材料であって、歯磨剤内か、または単独で生成され、貯蔵され、導入される前記添加剤の導入により優れた増粘性ならびに望ましい研磨性および清浄性を示すような製剤内に、優れた象牙質摩耗能力および被膜清浄能力を提供する材料の生成が可能になる。
【0013】
詳細には、特定のin situで形成した複合体は、より低放射性の象牙質摩耗の結果と比較して非常に高レベルの被膜清浄を示し、その結果、歯磨剤の製造業者は、得られる材料を他の研磨材料(例えば、より低構造の沈降シリカ、炭酸カルシウムなど)と一緒に加えて、より低い研磨性とともに特定の高レベルの清浄を標的にすることができ、このようにして、最終使用者に、より大きな余地で摩耗の保護を提供しつつ、清浄の最適化を提供することができる。また、あらゆる特定の科学理論に結びつけるものではないが、最終的複合材料内のシリカゲルの量が増大すると、より狭い粒径範囲を提供して高い清浄レベルおよび低下した象牙質摩耗レベルの制御された結果を導くのに役立つと考えられる。以下でより詳細に解説するように、前記材料の物理的に混合した組合せ物(すなわち、同一反応中に同時に生成したものではない)は、そのような特性を限られたレベルでしか付与せず、従って許容しうる高いレベルの被膜清浄を与えるためには同時に、極めて高く潜在的に有害な象牙質摩耗レベルを示す材料(とりわけ沈降シリカ成分)を用意する必要があることが見いだされている。意外にも、新規のin situで生じた沈降物/ゲルの組合せ物のシリカは、より高度の被膜清浄性を著しくより低い象牙質摩耗値と一緒に提供し、このようにして、歯磨剤業界に、潜在的により望ましくより低研磨性であるだけでない材料をより良好な歯科的保護のために与える。多様な量のそのようなシリカゲル成分の存在は、研磨性に関しゲル凝集物により示される鋭いエッジの利益を可能にし、異なる構造のさまざまなレベルのシリカ沈降物の共存とともに、3種の一般的性質、すなわち、高清浄性、範囲中央の清浄性、または増粘性/低清浄性のうち1種を示す複合体全体を与えることがわかった。そのような一般的性質はすべて、アマニ油の吸油量(先に記載したような)により測定されるゲル/沈降物複合体全体の構造に依存する。in situで生成すると、得られるそのようなゲル/沈降物材料は、意外にも、別個に生成したそのような成分のドライブレンドと比較して改善された特性を提供する。このようにして、高清浄性変形物の一例として、被膜清浄レベルはかなり高いが、実際に得られる象牙質摩耗レベルは限定的であり、これにより、標的の歯科的基体に過度に高い摩耗レベルも付与することなく優れた清浄材料を得られることが見いだされた。
【0014】
あるいは、決して重要性が低いわけではないが、単一の添加剤で前記の有利な結果が得られるように、シリカに基づく成分の材料を、象牙質摩耗特性および被膜清浄特性(先のパラグラフで言及したものより程度は低いが)ならびに共存する増粘性を付与する同じ反応媒体内で同時に生成する能力である。出発材料の濃度ならびに/またはゲルおよび/もしくは沈降反応条件の改良により、最終複合体中のシリカゲルのレベルおよび/または該複合体中の沈降物成分の標的の高−、中−もしくは低−構造を制御する能力は、複合体それ自体の全体的な清浄特性、研磨特性および/または増粘特性を制御する能力を提供する。したがって、より優れた増粘性および低下したが有効な被膜清浄特性を示す複合体は、より多量のシリカゲルおよび/またはより多量の高構造沈降物のいずれかを包含し、その結果、複合体全体は、標的の所望の増粘性/低摩耗性を提供するのに十分高いアマニ油吸油量(150mL/100g材料を超える)を示す。したがって、前記シリカゲル/沈降物の生成パラメーターを制御することにより、単一の添加物が、同じ目的のために、潜在的に高価でおよび/または混和しにくい材料の複数の添加を用いることなく、これらの多様な清浄性、研磨性、および/または増粘性を提供することが見いだされた。
【0015】
本明細書中で用いる部、パーセンテージおよび比率はすべて、特記しない限り重量基準で表す。本明細書中で引用する文書はすべて、参考として援用する。
したがって、本発明の目的の一つは、改善された被膜清浄を、象牙質またはエナメル質の摩耗を許容し得ないほど高く相当して増大させることなく提供する、沈降シリカとゲルシリカの複合材料を提供することである。本発明の他の目的は、そのような有効な沈降/ゲルシリカの組合せ物の新規生成方法であって、そのような材料を同時にin situで生成し、これにより、歯磨剤の生産中ではなく、該材料の生成中に、適切な比率の前記材料を作成するのを可能にする方法を提供することである。in situで生じた沈降/ゲルシリカ複合材料であって、これにより示されるアマニ油吸油レベルが以下の3つの範囲のうち1つの範囲内にある複合材料を提供することも、本発明の目的である:非常に高い清浄性の材料で、吸収された油40〜100mL/複合材料100g、範囲中央の高い清浄性の材料で、100を超え最高150mL/100g、および、清浄性/増粘性/低摩耗性材料で150を超える。
【0016】
したがって、本発明は、シリカゲルと沈降シリカを同時に生成するための方法を包含し、前記方法は、順次、
a)十分な量のアルカリシリケートと酸性化剤を一緒に混合してシリカゲル組成物を形成する工程;そして、前記形成したシリカゲル組成物を最初に洗浄、精製または変性することなく、
b)同時に、前記シリカゲル組成物に十分な量のアルカリシリケートと酸性化剤を導入して沈降シリカを形成し、これにより、沈降/ゲルシリカの組合せ物を生成する工程、
を含む。本発明はそのような方法の生成物も包含し、ここにおいて、生成物中に存在するシリカゲルの量は、得られた同時に生成した沈降/ゲルシリカの組合せ物全体の5〜80容量%である。さらに、本発明は、3つの範囲の吸油量測定値にある上記複合材料、および前記材料を含む歯磨製剤、および上記本発明の方法の生成物を包含する。
【0017】
一般に、合成沈降シリカは、ゾルおよびゲルへの凝集が起こり得ない条件下で希薄なアルカリシリケート溶液を強い水性鉱酸と混合し、撹拌した後、沈降シリカを濾過して取り出すことにより調製する。つぎに、得られた沈降物を洗浄し、乾燥し、所望のサイズに微粉砕する。
【0018】
一般に、シリカゲルは、同様に、シリカのヒドロゲル、含水ゲル、エーロゲルおよびキセロゲルを包含する。シリカゲルも、アルカリシリケート溶液を強酸と反応させるかまたはその逆でヒドロゾルを形成し、新たに形成したヒドロゾルをエージングしてヒドロゲルを形成することにより形成する。その後、ヒドロゲルを洗浄し、乾燥し、微粉砕して、所望の材料を形成する。
【0019】
上記のように、従来、そのような材料を別個に生成すると、これら別個の材料を製造し、それらの所望の清浄/摩耗レベルが得られるように、歯磨製剤内への組み込み中にそれら2つを一緒に適切に計量することが必要であった。
【0020】
それとは反対に、前記材料を同時に生成するための本発明の方法は、製造業者が、シリカゲルおよび沈降シリカ成分の量の範囲ならびに沈降成分の構造を標的化して、別個の組込による前記材料の従来の物理的混合物(すなわちドライブレンド)とは大きく異なり、生成中に制御されたパラメーターにより所望のレベルの清浄/研磨を付与することを可能にする。基本的に、新規方法は、非晶質沈降シリカの生成中にそのような所望のレベルが生じるように、所望のシリカゲルの量を標的化し、特定の反応条件を具体的に選択することを必要とする。
【0021】
本発明の研磨組成物は、口腔清浄用組成物、例えば、歯磨剤、練り歯磨きなどの調製においてすぐ使用できる添加剤であり、練り歯磨きの作成プロセスにおける原料としてとりわけ適している。さらに、そのようなシリカ生成物は、鋭いエッジおよびより低い研磨性が望ましい用途、例えば、限定するものではないが、ある種の製剤、例えば、限定するものではないが、自動食器洗い機用洗剤中の抑泡剤に、利用することができる。前記材料の追加的な考えうる用途としては、食品用キャリヤー、ゴム用の添加剤およびキャリヤー、化粧料用添加剤、パーソナルケア用添加剤、プラスチック用粘着防止剤、ならびに医薬品添加物が挙げられるが、これらに限定されない。
発明の詳細な説明
本発明に用いられる研磨および/または増粘の組合せは、in situで形成した材料であり、これを要求に応じて他の成分と容易に配合すると、歯の表面上に過度の摩耗を引き起こすことなく高い清浄効果を有する口腔清浄用組成物を調製することができる。研磨および/または増粘組成物の実質的成分および所望による成分、ならびに関連する本発明のその作成方法を、より詳細に以下に記載する。
一般的生成方法
本発明のシリカ組成物は、以下の二段法に従って、シリカゲルを第1工程で形成し、沈降シリカを第2工程で形成して調製する。この方法では、ケイ酸ナトリウムのようなアルカリシリケートの水溶液を、均質混合を確実にするのに適した混合手段を備える反応器に入れ、反応器中のアルカリシリケートの水溶液を約40℃〜約90℃の温度に予熱する。好ましくは、アルカリシリケート水溶液は、約3.0〜35重量%、好ましくは約3.0〜約25重量%、より好ましくは約3.0〜約15重量%のアルカリシリケート濃度を有する。アルカリシリケートは、SiO:NaO比が約1〜約4.5、より詳細には約1.5〜約3.4であるケイ酸ナトリウムであることが好ましい。反応器に入れるアルカリシリケートの分量は、そのバッチに用いられる全シリケートの約10重量%〜80重量%である。所望により、硫酸ナトリウム溶液のような電解質を反応媒体(シリケート溶液または水)に加えてもよい。つぎに、希薄溶液(例えば、約4〜35重量%、より典型的には約9.0〜15.0重量%の濃度)として加えられる水性酸性化剤または酸、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸など(好ましくは硫酸)をシリケートに加えて、ゲルを形成する。シリカゲルが生じ、pHを所望のレベル、例えば約3〜10に調整したら、酸の添加を中断し、ゲルをバッチ反応温度、好ましくは約65℃〜約100℃に加熱する。この第1工程が終了した後、生じたシリカゲルを形はどうあれ変性しないことに留意することが重要である。したがって、この得られたゲルは、第2工程の開始前に、洗浄、精製、清浄などを行わない。
【0022】
つぎに、第2工程は、ゲル反応温度を上昇させた後、反応器に以下のものを同時に添加して開始する:(1)先に用いたものと同じ酸性化剤の水溶液、および(2)反応器内にあるものと同じアルカリシリケート種を含有する追加的量の水溶液、ここにおいて、該水溶液は約65℃〜約100℃の温度に予熱されている。酸性化剤とシリケートの添加速度を調整すると、第2工程の反応中の同時添加のpHを制御することができる。このpH制御を用いると生成物の物理的性質を制御することができ、一般に、平均バッチのpHが高いほど低構造のシリカ生成物が得られ、平均バッチのpHが相対的に低いほど高構造のシリカ生成物が得られる。高剪断再循環(high shear recirculation)を利用してもよく、酸溶液の添加は反応器のバッチのpHが約4〜約9に低下するまで継続する。本発明の方法の目的に関し、“平均バッチのpH”という用語は、沈降物形成工程中に5分間隔でpHレベルを測定し、経過した時間全体にわたり全凝集体を平均化することにより得られる平均pHを意味するものとする。
【0023】
酸性化剤とアルカリシリケートの流入を中断した後、反応器の内容物を一定のpHで維持しつつ、反応器のバッチを放置して5分〜30分にわたりエージングすなわち“熟成”した。熟成終了後、反応バッチを濾過し、水洗して、過剰の副生物無機塩を、導電率により測定してシリカ濾過ケークからの洗浄水が最大5%の塩副生物含量になるまで除去する。
【0024】
シリカ濾過ケークを水中でスラリー化した後、任意の従来の乾燥技術、例えば、噴霧乾燥により乾燥すると、約3重量%〜約50重量%の水分を含有する非晶質シリカが生じる。その後、該シリカを微粉砕して、約3μm〜25μm、好ましくは約3μm〜約20μmの所望のメジアン粒径を得ることができる。さらに狭いメジアン粒径範囲の分類は、増大した清浄性の利益を提供するのにも役立つことができる。
【0025】
合成非晶質シリカを沈降させる上記生成プロセス手順に加えて、シリカ生成物の調製は必ずしもこれに限定されるわけではなく、一般に、例えば、先行する米国特許第3893840号、第3988162号、第4067746号、第4340583号および第5891421号に記載されている手順に従って、そのような方法を適切に改良して再循環および高剪断処理を組み込むのであれば、遂行することもでき、ここにおいて、該米国特許をすべて本明細書中で参考として援用する。当業者なら理解するように、得られる沈降シリカの特性に影響を及ぼす反応パラメーターとしては、以下のものが挙げられる:さまざまな反応体を加える速度およびタイミング;さまざまな反応体の濃度レベル;反応pH;反応温度;生成中の反応体の撹拌;および/または任意の電解質を加える速度。
【0026】
本発明の材料の他の生成方法としては、スラリー形態において、制限するものではないが、McGill et al.への米国特許第6419174号内に教示されている手順、ならびに、Huangへの米国公開特許出願第20030019162号内およびその全体に記載されているようなフィルタープレススラリー法が挙げられる。
【0027】
本発明のシリカ複合材料は、特性を決定して、上記のように、それぞれで示されるアマニ油吸油量範囲に応じて、3つの異なるカテゴリーに分離することができる。吸油量試験は、以下でより詳細に検討するが、一般に、J. Soc. Cosmet. Chem.、29、497-521(1978年8月)およびPigment Handbook:第1巻、Properties and Economics、第2版、John Wiley & Sons、1988、p.139-159に説明されているように沈降シリカ材料の構造を決定するために用いられる。しかしながら、本発明の場合、そのような試験を今回は、代わりにゲル/沈降シリカ複合体全体の構造を決定するために利用していることに留意することが重要である。したがって、本発明の3種の基本タイプは、先に定義したように、そして以下の節で検討するように分類する。
【0028】
本発明のin situで生じたシリカゲルと沈降物の複合体(“組合せ物”ともよぶ)は、さまざまな機能、例えば、限定するものではないが、以下の3種の主要タイプに有用である:i)高清浄性であり、典型的な高清浄性のシリカに基づく生成物に比べ相関的に低い研磨性(例えば、250未満のRDAレベル)を備える歯科用研磨剤;ii)範囲中央の清浄性で、低減した高清浄レベル(上記からの高清浄性材料と比較して)を備えるが、RDA測定値がはるかにより低い(例えば、最大約150)歯科用研磨剤;および、iii)特定レベルの清浄性および研磨性(例えば、示されるPCRが90未満で、測定されるRDAが80未満)を示す増粘性(粘度調整性)生成物。各タイプの生成は、異なる要因、例えば、反応条件(例えば、温度、撹拌/剪断、反応体の添加速度、ゲル成分の量など)および反応体の濃度(例えば、一例として、シリケートと酸のモル比)に基づいている。これらをさらに、以下で別個に概説する。
高清浄性研磨材料
本発明のin situ法は、意外にも、反応pH、反応体組成、ゲル成分の量、および、その結果それから作成される得られるゲル/沈降シリカ複合材料の構造に関しその結果として生じる選択性で、非常に高い被膜清浄性を示す研磨材料をもたらした。そのような高清浄材料を、同様にある種の低構造ゲル/沈降シリカ複合材料を生成することにより調整すると、清浄の利点を弱めることなく、より低放射性の象牙質摩耗レベルを標的化することができる。そのような材料を少なくとも以下の実施例4、6、7、11および15で例証する。これらは、象牙質摩耗を不利に悪化させることのない清浄能力を示す(例えば、歯磨製剤1、3および4内で)。そのような生成物は、歯磨剤内の唯一の清浄/研磨成分として利用することができ、または、考えうる好ましい一態様において、歯磨製剤の全体的な清浄および研磨レベルを標的化するために、より低研磨性の他の添加剤と一緒に補足物として用いることができる。
【0029】
この高清浄材料の場合、ゲル成分は、最終的に形成したゲル/沈降シリカ複合材料の5〜50容量%の量で存在する(したがって、沈降シリカ成分は、結果として95〜50容量%の量で存在する)。高清浄材料を形成することができるゲルの量は複合材料の50%に上ることができるが、前記量は主としてはるかに少ないことが好ましい。これは、高清浄材料中に存在するゲルの量が多いほど、以下の工程中に生成する必要がある低構造沈降シリカ成分の量が多くなることが見いだされたためである。したがって、生成するゲルの全量は、比較的少ないことが好ましい(例えば10〜25%)。ゲル成分のそのようなパーセンテージは、実際、異なるシリカ材料それぞれの生成工程中に存在するシリケートの量を表す。したがって、10%のゲル測定値は、ゲルが最初に作成される間に反応器内にシリケート反応体の体積全体の10%が存在していることを反映している(一例として)。最初のゲル生成に続き、残りの90%シリケート反応体体積を、沈降シリカ成分の生成に用いる。しかしながら、沈降物形成工程の開始により、シリケートの一部は実際はゲルを生成する可能性があるが、最終的に形成した複合材料内の各成分のパーセンテージの決定は、そのような可能性を反映していないことに留意することが重要である。したがって、上記パーセンテージは、成分の最終的量の具体的な測定値ではなく、最良の推定値に過ぎない。このような問題点は、残りのin situゲル/沈降物複合材料のカテゴリー内にも存在する。
【0030】
一般に、そのような特殊な高清浄性研磨剤は、適切な酸と適切なシリケート出発材料(ここにおいて、水溶液中の酸濃度は5〜25%、好ましくは10〜20%、より好ましくは10〜12%であり、同様に水溶液中のシリケート出発材料の濃度は4〜35%である)を混合して、最初にシリカゲルを形成する方法により生成することができる。ゲル形成に続き、形成すべき高清浄複合材料に望ましいさまざまな構造(構造において低度であることが好ましいが、全体的構造が必要な被膜清浄レベルをもたらすのに十分であるならば、製造中に他の構造のシリカ生成物が生じてもよい)の沈降シリカ成分をさらに生成するために、十分なシリケートと酸を、(相当程度のあらゆる洗浄、または他のタイプの精製、またはゲルの物理的変性を行うことなく)形成したゲルに加える。反応全体のpHは3〜10の範囲内のどこかに制御することができ、低構造沈降シリカの生成にはより高いpHが望ましい。この方法により高清浄性で中程度〜低い研磨性の材料を提供するためには、ゲルの量はより少ないことが好ましく(上記のように、複合体の10〜30容量%)、低構造沈降シリカの量は比較的多い(複合体の90〜70容量%)ことが好ましいことがわかった。このカテゴリーに関連する適切なPCRおよびRDAレベルを示すためには、得られるゲル/シリカ複合材料は、油40〜100mL/材料100gのアマニ油吸油量を示さなければならない。
【0031】
概して、本発明の高清浄ゲル/沈降シリカの組合せ物は一般に、以下の性質を有する:損失約5〜30mg/100000回転の範囲の10% Brass Einlehner硬度値、ならびに、試験歯磨製剤(実施例内で以下に示すようなもの)内での約180〜約240のRDA(放射性象牙質摩耗(Radioactive Dentin Abrasion))値、および(同じ試験歯磨製剤内での)90〜160のPCR(ペリクル清浄比(Pellicle Cleaning Ratio))値、ここにおいて、RCRとRDAの比率は0.45〜0.7の範囲内である。
範囲中央の清浄性の研磨剤
本発明のin situ法はまた、意外にも、反応pH、反応体濃度、ゲル成分の量、および、その結果それから作成される得られるゲル/沈降シリカ複合材料の全体的構造に関しその結果として生じ、上記高清浄材料の場合と同程度の選択性で、範囲中央の生成物(より低い摩耗レベルを伴う、実質的に低下しているが、なお比較的高い清浄レベル)の複合体を同様に生成する方法ももたらした。したがって、とりわけ、異なる濃度、pHレベル、最終的なゲルの割合を選択すると、全体的に中構造(medium structure)のゲル/沈降シリカ複合材料を生成して、上記高清浄材料と比較して低い研磨性を伴う比較的高い被膜清浄の結果を得ることができる。少なくとも以下の実施例5、10、12、14、16、および17は、そのような範囲中央の研磨生成物の特定の生成方法を示している(さらに、以下の歯磨製剤2、7、9および10内で例証する)。
【0032】
この範囲中央の清浄材料の場合、ゲル成分は、最終的に形成したゲル/沈降シリカ複合材料の10〜60重量%の量で存在する(したがって、沈降シリカ成分は、結果として90〜40重量%の量で存在する)。高清浄材料を形成することができるゲルの量は複合材料の60%に上ることができるが、前記量は主としてはるかに少ないことが好ましい。これは、範囲中央の清浄性の材料内に存在するゲルの量が多いほど、以下の工程中に生成する必要がある低構造沈降シリカ成分の量が多くなることが見いだされたためである。したがって、生成するゲルの全量は、比較的少ないことが好ましい(例えば20〜33%)。ゲル成分のそのようなパーセンテージは、実際に、高清浄材料について上記したように、異なるシリカ材料それぞれの生成工程中に存在するシリケートの量を表す。
【0033】
一般に、そのような特殊な範囲中央の清浄性の研磨剤は、適切な酸と適切なシリケート出発材料(ここにおいて、水溶液中の酸濃度は5〜25%、好ましくは10〜20%、より好ましくは10〜12%であり、同様に水溶液中のシリケート出発材料の濃度は4〜35%である)を混合して、最初にシリカゲルを形成する方法により生成することができる。ゲル形成に続き、形成すべき範囲中央の清浄性の複合材料に望ましい適切な構造性の沈降シリカ成分をさらに生成するために、十分なシリケートと酸を、(相当程度のあらゆる洗浄、または他のタイプの精製、またはゲルの物理的変性を行うことなく)形成したゲルに加える。反応全体のpHは3〜10の範囲内のどこかに制御することができる。最初に形成したゲルの量に応じて、沈降シリカ成分の量および構造を、高清浄材料の場合とほとんど同様に標的化することができる。この方法により範囲中央の清浄性で低研磨性の材料を提供するためには、上記高清浄材料と比較して、ゲルの量は多い(上記のように、複合体の10〜60容量%、好ましくは20〜33%)ことが好ましく、低構造沈降シリカの量は少ない(複合体の90〜40容量%、好ましくは80〜67%)ことが好ましいことがわかった。このカテゴリーに関連する適切なPCRおよびRDAレベルを示すためには、得られるゲル/シリカ複合材料は、100を超え最高150mLの油/材料100gのアマニ油吸油量を示さなければならない。
【0034】
概して、本発明の範囲中央の清浄性のゲル/沈降シリカの組合せ物は一般に、以下の性質を有する:2.5〜12.0の範囲の10% Brass Einlehner硬度値、ならびに、試験歯磨製剤(実施例内で以下に示すようなもの)内での約95〜約150のRDA(放射性象牙質摩耗)値、および(同じ試験歯磨製剤内での)90〜120のPCR(ペリクル清浄比)値、ここにおいて、RCRとRDAの比率は0.7〜1.1の範囲内である。
増粘性清浄剤/研磨剤
最後にまた、意外にも、上記2タイプの研磨剤とほとんど同じように、本発明のin situ法の利用により、シリカに基づく粘度調整材料であって、ある程度の研磨性および清浄性も示す材料を提供することができることが見いだされた。意外にも、同時に生成したゲル/沈降物の存在は、高構造シリカ生成法により生成した場合、歯磨製剤中に有効な増粘(または他のタイプの粘度調整)を提供する材料中に、ある種の研磨性をもたらすと考えられる。したがって、粘度調整効果のためのみならず、同時に存在しているより高い清浄性/研磨性の歯磨き剤成分を補足するためにも、そのような増粘剤を加えることができる。少なくとも実施例3、8、9および13は、そのような増粘性研磨剤の一般的生成方法を示している(さらに、以下の歯磨製剤5、6および8内で例証する)。
【0035】
この低清浄レベルの材料の場合、ゲル成分は、最終的に形成したゲル/沈降シリカ複合材料の20〜85容量%の量で存在する(したがって、沈降シリカ成分は、結果として80〜15容量%の量で存在し、該成分は高構造形態で存在することが好ましい)。高清浄材料を形成することができるゲルの量は複合材料の20%程度であることができるが、前記量は主としてはるかに多いことが好ましい。これは、増粘性研磨材料内に存在するゲルの量が少ないほど、以下の工程中に生成する必要がある高構造沈降シリカ成分の量が多くなることが見いだされたためである。したがって、生成するゲルの全量は、比較的多いことが好ましい(例えば、45〜65%、より好ましくは50%)。ゲル成分のそのようなパーセンテージは、実際に、他のカテゴリーの清浄材料について上記したように、異なるシリカ材料それぞれの生成工程中に存在するシリケートの量を表す。
【0036】
一般に、そのような特殊な増粘性研磨剤は、適切な酸と適切なシリケート出発材料(ここにおいて、水溶液中の酸濃度は5〜25%、好ましくは10〜20%、より好ましくは10〜12%であり、同様に水溶液中のシリケート出発材料の濃度は4〜35%である)を混合して、最初にシリカゲルを形成する方法により生成することができる。ゲル形成に続き、形成すべき増粘性研磨複合材料に望ましい高構造沈降シリカ成分をさらに生成するために、十分なシリケートと酸を、(相当程度のあらゆる洗浄、または他のタイプの精製、またはゲルの物理的変性を行うことなく)形成したゲルに加える。反応全体のpHは3〜10の範囲内のどこかに制御することができる。最初に形成したゲルの量に応じて、沈降シリカ成分の量および構造を、続いてより酸性の媒体中でシリケートおよび酸反応体と反応させてより多くの量の高構造沈降シリカ成分を形成することにより、標的化することができる。この方法により増粘性研磨材料を提供するためには、ゲルの量はより多い(上記のように、複合体の20〜85容量%、好ましくは45〜65%)ことが好ましく、低構造沈降シリカの量は比較的少ない(可能な限り少ない)ことが好ましいが、高構造沈降シリカの量は比較的多い(複合体の80〜15容量%、好ましくは55〜35%)ことが好ましいことがわかった。このカテゴリーに関連する適切なPCRおよびRDAレベルを示すためには、得られるゲル/シリカ複合材料は、150mLを超え、場合によっては最大約225mLの油/材料100gのアマニ油吸油量を示さなければならない。
【0037】
概して、本発明の増粘性の研磨性ゲル/沈降シリカの組合せ物は一般に、以下の性質を有する:損失1.0〜5.0mg/100000回転の範囲の10% Brass Einlehner硬度値、ならびに、試験歯磨製剤(実施例内で以下に示すようなもの)内での約20〜約80のRDA(放射性象牙質摩耗)値、および(同じ試験歯磨製剤内での)50〜80のPCR(ペリクル清浄比)値、ここにおいて、RCRとRDAの比率は0.8〜3.5の範囲内である。
本発明の材料の歯磨剤での使用
本明細書中に記載する本発明のin situで生成したゲル/沈降シリカ複合材料は、本発明の歯磨剤組成物中に提供される清浄剤成分として単独で利用することができるが、少なくとも高清浄カテゴリーの材料の場合、中程度に高いRDAレベルは一部の消費者に受け入れられない可能性がある。したがって、この点で、適切な歯磨製剤中では、本発明の複合材料と、これと物理的にブレンドされる他の研磨剤との組合せ物が、所望の保護レベルで標的化した歯科的清浄および研磨の結果をもたらすために好ましい可能性がある。したがって、任意の数の他の従来タイプの研磨添加剤が、本発明に従って本発明の歯磨剤中に存在することができる。他のそのような研磨粒子としては、例えば、制限するものではないが、沈降炭酸カルシウム(PCC)、重質炭酸カルシウム(GCC)、リン酸二カルシウムまたはその二水和物形態、シリカゲル(単独で、そして任意の構造のもの)、非晶質沈降シリカ(単独で、そして同様に任意の構造のもの)、パーライト、二酸化チタン、ピロリン酸カルシウム、アルミナ水和物、焼成アルミナ、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、不溶性炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられ、所望の場合は、所望の研磨組成物中に導入して、標的製剤(例えば歯磨剤など)の艶出特性を調整することもできる。
【0038】
沈降/ゲルシリカの上記組合せ物は、歯磨剤組成物中に組み込む場合、とりわけ歯磨剤が練り歯磨きである場合、約5重量%〜約50重量%、より好ましくは約10重量%〜約35重量%のレベルで存在する。本発明の研磨組成物を包含する歯磨剤または口腔清浄製剤は全般的に、以下の考えうる成分およびその相対量を好都合に含むことができる(量はすべて重量%):
【0039】
【数1】

【0040】
これに加えて、上記のように、本発明の研磨剤は、他の研磨材料、例えば、沈降シリカ、シリカゲル、リン酸二カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、メタケイ酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、アルミナ、焼成アルミナ、ケイ酸アルミニウム、沈降および重質炭酸カルシウム、白亜、ベントナイト、粒状熱硬化性樹脂、ならびに当業者に公知の他の適切な研磨材料と併せて用いてもよい。
【0041】
研磨成分に加えて、歯磨剤は、1種以上の感覚刺激増強剤(organoleptic enhancing agent)を含有することもできる。感覚刺激増強剤としては、保湿剤、甘味剤、界面活性剤、着香剤、着色剤および増粘剤(場合によっては、バインダー、ガムまたは安定剤としても知られる)が挙げられる。
【0042】
保湿剤は、歯磨剤に腰(body)または“口当たり(mouth texture)”を加えるのに役立つほか、歯磨剤が乾燥するのを妨げる。適切な保湿剤としては、ポリエチレングリコール(さまざまな異なる分子量で)、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、エリトリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、および水素化デンプン加水分解物、ならびにこれら化合物の混合物が挙げられる。保湿剤の典型的レベルは、練り歯磨き組成物の約20重量%〜約30重量%である。
【0043】
甘味剤を練り歯磨き組成物に加えると、製品に心地よい味を付与することができる。適切な甘味剤としては、サッカリン(ナトリウム、カリウムまたはカルシウムサッカリンとして)、シクラミン酸塩(ナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩として)、アセスルファン−K(acesulfane-K)、タウマチン、ネオヒスペリジンジヒドロカルコン(neohisperidin dihydrochalcone)、アンモニア化グリチルリチン、デキストロース、果糖、ショ糖、マンノースおよびグルコースが挙げられる。
【0044】
界面活性剤を本発明の組成物に用いると、該組成物が化粧料的により許容しうるものになる。界面活性剤は、該組成物に洗剤的性質および発泡性を付与する洗剤材料であることが好ましい。適切な界面活性剤は、安全で有効な量のアニオン性、カチオン性、非イオン性、双性イオン性、両性およびベタイン界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;ラウロイルサルコシネート、ミリストイルサルコシネート、パルミトイルサルコシネート、ステアロイルサルコシネートおよびオレオイルサルコシネートのアルカリ金属もしくはアンモニウム塩;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、イソステアレート、およびラウレート;ラウリルスルホ酢酸ナトリウム;N−ラウロイルサルコシン;N−ラウロイル、N−ミリストイルまたはN−パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウムおよびエタノールアミン塩;アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合体;ココアミドプロピルベタイン;ラウラミドプロピルベタイン;パルミチルベタインなどである。ラウリル硫酸ナトリウムが好ましい界面活性剤である。界面活性剤は典型的に、約0.1〜約15重量%、好ましくは約0.3重量%〜約5重量%、例えば約0.3重量%〜約2重量%の量で、本発明の口腔ケア組成物中に存在する。
【0045】
所望により着香剤を歯磨剤組成物に加えることができる。適切な着香剤としては、制限するものではないが、ウインターグリーン油、ハッカ油、スペアミント油、サッサフラス油、およびチョウジ油、桂皮、アネトール、メントール、チモール、オイゲノール、ユーカリプトール、レモン、オレンジ、および果実の雰囲気、香辛料の雰囲気などを加える他のそのような香味化合物が挙げられる。これらの着香剤は、化学的にアルデヒド、ケトン、エステル、フェノール類、酸、ならびに脂肪族、芳香族および他のアルコールの混合物からなる。
【0046】
着色剤を加えると、製品の審美的外観を改善することができる。適切な着色剤は、FDAなどの適切な規制機関により認可されている着色剤およびEuropean Food and Pharmaceutical Directivesに挙げられている着色剤から選択され、TiOのような顔料、ならびにFD&CおよびD&C染料などの着色物(color)を包含する。
【0047】
増粘剤は、練り歯磨きを相分離に対し安定化するゼラチン状構造を提供するために、本発明の歯磨剤組成物に有用である。適切な増粘剤としては、シリカ増粘剤;デンプン;デンプンのグリセリン剤;ガム、例えば、カラヤガム(ステルクリアガム(sterculia gum))、トラガカントゴム、アラビアゴム、ガティガム、アカシアゴム、キサンタンガム、グアーガムおよびセルロースガム;ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum);カラゲナン;アルギン酸ナトリウム;寒天;ペクチン;ゼラチン;セルロース化合物、例えば、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、および硫酸化セルロース;天然および合成粘土、例えばヘクトライト粘土;ならびに、これらの化合物の混合物が挙げられる。増粘剤またはバインダーの典型的レベルは、練り歯磨き組成物の約0重量%〜約15重量%である。
【0048】
虫歯、歯周病および温度過敏症の予防および処置に備えるために、治療薬を本発明の組成物に用いてもよい。治療薬の例は、制限するものではないが、フッ化物源、例えば、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、フッ化第一スズ、フッ化カリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウムなど;縮合リン酸塩、例えば、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸一水素三ナトリウム;トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、トリメタリン酸塩およびピロリン酸塩、例えば;抗菌剤、例えば、トリクロサン、ビスグアニド(bisguanide)、例えば、アレキシジン、クロルヘキシジンおよびグルコン酸クロルヘキシジン;酵素、例えば、パパイン、ブロメライン、グルコアミラーゼ、アミラーゼ、デキストラーゼ、ムターゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、タンナーゼおよびプロテアーゼ;第四級アンモニウム化合物、例えば、塩化ベンザルコニウム(BZK)、塩化ベンゼトニウム(BZT)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、および臭化ドミフェン;金属塩、例えば、クエン酸亜鉛、塩化亜鉛、およびフッ化第一スズ;サンギナリア抽出物およびサンギナリン;精油、例えば、ユーカリプトール、メントール、チモール、およびサリチル酸メチル;フッ化アミン;過酸化物などである。治療薬は、歯磨製剤中に単独または組合わせて、治療的に安全で有効なレベルで用いることができる。
【0049】
細菌の生育を妨げるために、本発明の組成物に所望により防腐剤を加えることもできる。口腔用組成物に認可されている適切な防腐剤、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンおよび安息香酸ナトリウムを、安全で有効な量で加えることができる。
【0050】
本明細書中で開示する歯磨剤はまた、さまざまな追加的成分、例えば、脱感作剤、治癒剤、他の虫歯予防薬、キレート化/金属イオン封鎖剤、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、他の抗プラーク/抗歯石剤、乳白剤、抗生物質、酵素阻害薬、酵素、pH調整剤、酸化剤、酸化防止剤などをしてもよい。
【0051】
上記添加剤に加え、水が組成物の残余分を提供する。水は、好ましくは、脱イオンされており、不純物を含まない。歯磨剤は通常、約20重量%〜約35重量%の水を含む。
前記練り歯磨き製剤中での利用に有用なシリカ増粘剤としては、非限定的例として、非晶質沈降シリカ、例えば、ZEODENT(登録商標)165シリカが挙げられる。他の好ましい(非限定的であるが)シリカ増粘剤は、ZEODENT(登録商標)163および/または167ならびにZEOFREE(登録商標)153、177および/または265シリカであり、すべて、米国メリーランド州Havre de GraceのJ.M.Huber Corporationから入手可能である。
【0052】
本発明の目的に関し、“歯磨剤”は、Oral Hygiene Products and Practice、Morton Pader、Consumer Science and Technology Series、Vol. 6、Marcel Dekker、ニューヨーク、1988、p. 200に定義されている意味を有し、これを本明細書中で参考として援用する。すなわち、“歯磨剤”は、“・・・歯の到達しうる表面を清浄するために歯ブラシと一緒に用いられる物質である。歯磨剤は主に、水、洗剤、保湿剤、バインダー、着香剤、および主要成分としての研磨剤細粉で構成される。・・・歯磨剤は、虫歯予防薬を歯に送達するための研磨剤含有剤形であると考えられる”。歯磨製剤は、歯磨製剤中に組み込む前に溶解しなければならない成分を含有する(例えば、フッ化ナトリウム、リン酸ナトリウムなどの虫歯予防薬、サッカリンなどの着香剤)。
【0053】
本明細書中に記載するさまざまなシリカおよび練り歯磨き(歯磨剤)の性質は、特記しない限り、以下のように測定した。
本出願中で報告している沈降シリカ/シリカゲルの硬度を測定するために用いたBrass Einlehner(BE)摩耗試験は、本明細書中で参考として援用する米国特許第6616916号に詳細に記載されており、以下のように用いられるEinlehner AT-1000摩耗試験機を包含する:(1)フォードリニア黄銅ワイヤスクリーンの重量を測定し、10%水性シリカ懸濁液の処置に一定長さの時間暴露する;(2)その後、摩耗量を、100000回転あたりのフォードリニアワイヤスクリーンからのミリグラムでの黄銅損失として決定する。結果、すなわちmg単位で測定される損失を、10%黄銅Einlehner(BE)摩耗値として特性とすることができる。
【0054】
吸油量の値は、練り合わせ法を用いて測定する。この方法は、アマニ油をシリカと、堅いパテ様ペーストが形成するまで平滑表面上をへらでこすることにより混合する原理に基づいている。広げるとカールするペースト混合物を有するのに必要な油の分量を測定することにより、シリカの吸油量の値、すなわち、シリカの収着能力を飽和するためにシリカの単位重量あたりに必要な油の体積を表す値を、算出することができる。吸油レベルが高いほど、高構造の沈降シリカを示す;同様に、小さい値は、低構造沈降シリカと考えられるものを示唆している。吸油量の値の算出は以下のように行った:
吸油量=(吸収された油mL/シリカの重量、グラム)×100=油mL/シリカ100グラム
屈折率(“RI”)および光の透過率の程度の測定における第1工程として、ある範囲のグリセリン/水保存溶液(約10種)を、これらの溶液の屈折率が1.428〜1.46であるように調製した。必要とされる厳密なグリセリン/水の比率は、用いられる厳密なグリセリンに依存し、測定を行う技術者により決定される。典型的には、これらの保存溶液は、水中に70重量%〜90重量%のグリセリンの範囲に及ぶ。屈折率を決定するために、1または2滴の各標準溶液を、屈折計(Abbe 60 Refractometer Model 10450)の固定プレート上に別個に載せる。カバープレートを固定し、所定の位置にロックする。光源および屈折計のスイッチを入れ、各標準溶液の屈折率を読みとる。
【0055】
別個の20mLボトル内に、2.0+/−0.01mLの本発明のゲル/沈降シリカ生成物を正確に重量を測定して入れ、18.0+/−0.01mLの各グリセリン/水保存溶液をそれぞれ加えた(測定した吸油量が150を超える生成物の場合、試験では、1gの本発明のゲル/沈降シリカ生成物と19gのグリセリン/水保存溶液を用いた)。その後、ボトルを激しく振盪してシリカ分散液を形成し、ボトルから栓を取り外し、ボトルをデシケーター内に置いた後、真空ポンプを用いて排気した(約24インチHg)。
【0056】
その後、分散液を120分間脱泡し、完全に脱泡したかを視覚的に検査した。サンプルを室温に戻した後(約10分)、590nm(Spectronic 20 D+)での透過率%(“%T”)を製造業者の操作説明書に従って測定した。
【0057】
透過率%は、本発明の生成物/グリセリン/水分散液において、各分散液のアリコートを石英キュベットに入れ、各サンプルについて波長590nmでの%Tを0〜100目盛りで読みとることにより測定した。用いた保存溶液の透過率%対RIを曲線上にプロットした。本発明の生成物の屈折率を、透過率%対RI曲線上にプロットしたピーク最大値の位置(縦座標またはX値)と定義した。ピーク最大値のY値(または横座標)は透過率%であった。
【0058】
本明細書中で報告する沈降シリカ/シリカゲルの表面積は、Brunaur et al.、J. Am. Chem. Soc.、60、309 (1938)のBET窒素吸着法により決定している。
全細孔容積(Hg)は、Micromeritics Autopore II 9220装置を用いて水銀圧入法により測定する。細孔直径は、接触角シータ(θ)=140°および表面張力ガンマ=485ダイン/cmを採用してウォッシュバーン方程式により算出することができる。この計測器は、さまざまな材料の気孔率および細孔分布を測定するものである。水銀を圧力に応じて気孔に押し込み、サンプル1グラムにつき入り込んだ水銀の容積を各圧力設定において算出する。本明細書中で表す全細孔容積とは、真空〜60000psiの圧力で入り込んだ水銀の累積容積である。各圧力設定における容積の増分(cm/g)を、圧力設定の増分に対応する細孔の半径または直径に対してプロットする。入り込んだ容積対細孔の半径または直径の曲線のピークは、細孔径分布のモードに対応しており、サンプル中のもっとも一般的な細孔径を特定する。具体的には、サンプルのサイズを、5mLバルブを備える粉末針入度計において25〜75%のステム容積(stem volume)および約1.1mLのステム容積を達成するように調整する。サンプルを50μmのHgの圧力まで排気し、5分間保持した。1.5〜60000psiにわたり約103のデータ収集点のそれぞれにおいて10秒の平衡時間で細孔を水銀で満たす。
【0059】
メジアン粒径は、ペンシルベニア州Boothwyn、Horiba Instrumentsから入手可能なModel LA-930(またはLA-300または等価物)レーザー光散乱計測器を用いて決定する。
粒径分布の密接さ(tightness)を記載するための2つの基準は、Horibaレーザー光散乱計測器を用いて測定した粒径のスパン比およびベータ値である。“粒径のスパン比”という用語は、第10百分位数における粒子の累積直径(D10)から、第90容積百分位数での累積容積(D90)を引き、第50容積百分位数における粒子の直径(D50)で割る、すなわち、(D10−D90)/D50を意味する。スパン比が小さいほど粒径分布が狭いことを示す。“粒径のベータ値”という用語は、第25容積百分位数における粒子の累積直径(D25)を、第75容積百分位数における粒子の直径(D75)で割る、すなわち、D25/D75を意味する。ベータ値が高いほど粒径分布は狭いことを示す。
【0060】
シリカのCTAB外表面積は、シリカ表面上でCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)を吸収させ、過剰分を遠心分離により分離し、界面活性剤電極を用いたラウリル硫酸ナトリウムでの滴定により決定することにより決定する。シリカの外表面は吸着したCTABの分量(吸着前後のCTABの分析)から決定する。具体的には、約0.5gのシリカを、100.00mLのCTAB溶液(5.5g/L)を有する250mLビーカーに入れ、電気撹拌プレート上で1時間混合した後、10000rpmで30分間遠心分離する。1mLの10% Triton X-100を、100mLビーカー内の5mLの透明な上澄み液に加える。0.1NのHClを用いてpHを3.0〜3.5に調整し、試験体を、界面活性剤電極(Brinkmann SUR1501-DL)を用いて0.0100Mラウリル硫酸ナトリウムで滴定して、終点を決定する。
【0061】
本発明のシリカの325メッシュ残留物の%は、44ミクロンすなわち0.0017インチの開口部を有するU.S. Standard Sieve No. 325を用いて、10.0グラムのサンプルを0.1グラムに近似した正確さで1クォートのカップHamilton mixer Model No.30に重量を測定して入れ、約170mLの蒸留または脱イオン水を加え、スラリーを少なくとも7分間撹拌することにより測定する。混合物を325メッシュのスクリーン上に移し;カップを洗浄して洗浄液をスクリーン上に加える。水噴霧器を20psiに調整し、スクリーン上に直接2分間噴霧する。(噴霧器のヘッドは、スクリーン用布の上部約4〜6インチで保持すべきである。)残留物をスクリーンの一側面へ洗い流し、洗瓶からの蒸留または脱イオン水を用いて蒸発皿へ洗い流すことにより移す。2〜3分間放置し、透明な水をデカントする。乾燥し(150℃での熱対流オーブン、または赤外線加熱オーブン下で約15分間)、冷却し、残留物を化学天秤で秤量する。
【0062】
水分または乾燥減量(LOD)は、105℃、2時間で測定されたシリカサンプルの損失重量である。強熱減量(LOI)は、900℃、2時間で測定されたシリカサンプルの損失重量である(サンプルは予め105℃で2時間予熱しておく)。
【0063】
本発明で直面する反応混合物(5重量%スラリー)のpH値は、任意の従来のpHに敏感な電極でモニタリングすることができる。
硫酸ナトリウム含量は、濃度が分かっているシリカスラリーの導電率により測定した。具体的には、38gのシリカ湿潤ケークサンプルをHamilton Beach Mixer、モデル番号30の1クォートのミキサーカップに重量を測定して入れ、140mLの脱イオン水を加えた。スラリーを5〜7分間混合した後、スラリーを250mLメスシリンダーに移し、該シリンダーに、ミキサーカップをすすぐための水を用いて、脱イオン水を250mLの標線まで満たした。サンプルを、メスシリンダー(蓋をしている)を数回ひっくり返すことにより混合した。導電率計、例えば、Cole Palmer CON 500 Model #19950-00を用いて、スラリーの導電率を決定した。硫酸ナトリウム含量は、サンプルの導電率を、公知の硫酸ナトリウム/シリカ組成物スラリー添加方法(known method-of-addition sodium sulfate/silica composition slurries)から生じた標準曲線と比較することにより決定した。
【0064】
以下に続くさらなる試験を用いて、全体的in situゲル/沈降物生成方法中に最初に生成したシリカゲルの構造を分析した。これらの分析としては多孔度が挙げられる。そのようなアクセッシブル(accessible)多孔度の性質は、窒素吸着−脱着恒温測定を用いて得た。BJH(Barrett-Joiner-Halender)モデルの平均細孔直径を、ジョージア州Norcross、Micromeritics Instrument Corporationから入手可能なAccelerated Surface Area and Porosimetry System (ASAP 2010)を用いて、脱着枝(desorption branch)上で決定した。真空圧が約5μmの水銀になるまで、150〜200℃でサンプルからガスを抜いた。そのような分析器は77Kでの自動容積測定タイプであった。細孔容積は、圧力P/P=0.99で得た。平均細孔直径は、円筒形の細孔と仮定して、細孔容積および表面積から導かれる。細孔径分布(ΔV/ΔD)は、ある範囲内の細孔直径の細孔容積を提供するBJH法を用いて算出した。直径1.7〜300.0nmの細孔径範囲については、Halsey厚み曲線タイプを用い、この場合、両端で開いている細孔の部分はない。
【0065】
練り歯磨き(歯磨剤)の粘度は、Helipath T-Fスピンドルを装備し5rpmに設定したブルックフィールド粘度計モデルRVTを用いて、スピンドルが練り歯磨き試験サンプルを貫いて降下するときに異なる3レベルで25℃において練り歯磨きの粘度を測定し、結果を平均化することにより測定する。ブルックフィールド粘度はセンチポアズ(cP)で表される。
【0066】
本発明で用いられるシリカ組成物を含有する歯磨き剤の放射性象牙質摩耗(RDA)値は、Hefferen、Journal of Dental Res.、1976年7月〜8月、55 (4)、pp.563-573により説明されておりWasonの米国特許第4340583号、第4420312号および第4421527号に記載されている方法に従って決定し、これらの出版物および特許を本明細書中で参考として援用する。
【0067】
歯磨剤組成物の清浄性は典型的に、ペリクル清浄比(“PCR”)値に関して表される。PCR試験は、歯磨剤組成物が一定のブラッシング条件下で歯から被膜を除去する能力を測定するものである。PCR試験については、“In Vitro Removal of Stain With Dentifrice”G. K. Stookey, et al.、J. Dental Res.、61、1236-9、1982に記載されている。PCRおよびRDAの結果はともに、歯磨剤組成物の成分の性質および濃度に応じて変動する。PCRおよびRDAの値に単位はない。
発明の好ましい態様
本発明の材料は、順次、(in situで)最初にシリカゲル(またはゲル様材料)を形成し、これに十分な量の反応体を加えて、最初に生成したゲル(またはゲル様材料)と同時に存在する沈降シリカ成分を形成することにより調製した。ゲルの量は第1工程における反応体の分量により制御し、沈降シリカの量は第2工程における反応体の分量により制御する。最終生成物の構造は、沈降シリカの量に関連している最初に生成したゲルの量、および、先により詳細に検討したような温度、速度、濃度、pHなどの反応パラメーターにより制御する。
【実施例】
【0068】
最初のゲル形成
実施例1〜2
最初の2つの実施例は、全体的ゲル/沈降物生成方法中でのシリカゲルの生成を示している。最初の生成後、これらのサンプルの一部を続いて洗浄および精製し、得られた材料を分析して、実際のゲルが最初に形成したかどうか、ならびに、そのようなサンプルにより示される他のゲル特性に関し決定した。サンプルの残りは、まったく洗浄、精製などを行うことなく、以下のさらなるゲル/沈降生成物の生成に用いたことに留意することが重要である。
【0069】
各実施例において、3.3モル比の規定濃度のケイ酸ナトリウムのある容量の水溶液を30ガロンの反応器に入れ、その中で60rpmで撹拌した。その後、反応器の内容物を50℃に加熱した後、11.4%硫酸(30℃に加熱したもの)を規定速度で規定時間にわたり加えた後、得られた生成物を放置してゲル様材料を形成させた。その後、この材料を濾過し、続いて水洗し(約60℃で)、噴霧乾燥した。その後、そのような収集し乾燥した材料を、以下に述べるような多くの性質について試験した。これに関する試験については先に概説した。以下の表1は、反応のパラメーターおよび条件を包含しており;表2は、これら最初に生成したゲル生成物について分析した性質を提供している。分析により、シリカゲル材料が最初に形成したことが明らかであった。先と同様に、これらの収集後に実施した濾過および洗浄工程は、形成したゲルを以下の表2に従って特定の性質についてさらに分析するためにのみ必要であった。そのような分析は一般に、標的のゲル/沈降シリカの組合せ物の実際の本発明のin situでの生成中には実施しない。これは、シリカゲルが最初に生成しているかどうか、およびその性質を分類するために決定するための興味に過ぎなかった。さらに、この表に関し、およびこの開示の全体にわたり、得られない、または測定していないあらゆるデータは、ダッシュ記号で表している。したがって、シリカゲル単独について測定した吸油性は、本発明のゲル/沈降シリカの組合せ物全体について暗示するものではなく、組合せ物全体の吸油量の決定と混同すべきでないことに留意することが重量である。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
In Situゲル/沈降物複合体の生成
実施例3〜7
実施例3〜7は、約10〜約23容量%のゲルと、したがって約90容量%〜約77容量%の沈降シリカを含有していた(添付する表に記載するように)。これらの実施例の生成物は、低構造(LS)〜中構造(MS)〜高構造(HS)のさまざまなシリカ構造レベルを有していた。
【0073】
第1工程に従って、SiO:NaO比が3.3である規定濃度(シリケート濃度A)のケイ酸ナトリウムのある容量の水溶液(シリケート容量A)を反応器に入れ、その中で撹拌した(反応器の大きさに応じて、撹拌速度は約60〜約92rpmであったが、そのような手順にはあらゆる速度を用いることができる)。反応器の内容物を50℃に加熱した後、11.4%硫酸を規定速度(酸速度A)で規定時間(酸添加時間A)にわたり加えた。(例えば実施例5では、撹拌機の速度を、酸添加時間の4〜5分の間に1分間にわたり120RPMに一時的に上昇させた以外は、60rpmに設定した。)この時点で、規定の水容量を、必要であれば形成したシリカゲルに加えた。その後、シリカゲルを視覚的に確認し、スラリーのpHを試験して、所望により、示されているように、酸添加速度を調整することによりpH5.0で維持した。その後、得られたスラリーを93℃と同程度の高温まで加熱した後(他の場合は、それより低い80℃ほどの温度に加熱したが、第2工程の沈降が開始した後、そのまま最高93℃まで加熱し続けた)、前記温度をバッチ生成期間にわたり維持した。続いて、85℃に予熱したケイ酸ナトリウムの第2の量の水溶液の同時添加を、規定濃度(シリケート濃度B)、規定速度(シリケート速度B)および規定濃度(酸濃度B)の同じ硫酸で開始した。酸とシリケートの同時添加を始めた後、速度75LPMで反応器の内容物の再循環を開始し、熟成の最初から最後まで継続した。規定時間(シリケート添加時間B)のケイ酸ナトリウム導入の後、その流れを中断した。反応器の内容物のpHは、同時添加工程中は継続的にモニタリングした。バッチ全体のpHが約7.0に低下するまで酸添加を続けた。このpHに達したら、酸の流れを1分あたり約2.7リットルまで遅くし、そのような速度で、得られたバッチの全体的pHが4.6に低下するまで継続した。その後、完了したバッチを、バッチのpHを4.6で維持しつつ、93℃で10分間加熱した(熟成)。その後、得られたスラリーを濾過により回収し、濾液の導電率をモニタリングすることにより決定して約5%未満(好ましくは4%未満、もっとも好ましくは2%未満)の硫酸ナトリウム濃度まで洗浄した後、入口温度約480℃を用いて約5%の水のレベルまで噴霧乾燥した。その後、乾燥した生成物を均一サイズまで微粉砕した。実施例3〜7で使用したパラメーターを表3に記載する。いくつかの実施例の酸速度レベルは、以下で注記しているように、反応中に調整した。
【0074】
【表3】

【0075】
実施例3〜7のいくつかの性質を上記方法に従って決定した。結果を表4に要約する。
【0076】
【表4】

【0077】
実施例8〜12
実施例8〜12は、約25〜35容量%のゲルと約75〜65容量%の沈降シリカを含有していた。これらの実施例の生成物は、非常に低い構造〜高構造のさまざまなシリカ構造レベルを有していた。これらの実施例は、以下の表5に記載したパラメーターを除き、実施例3〜7に挙げた手順に従って調製した(実施例12は、容量で約40000リットルという非常に大きな反応器内において、撹拌速度約92rpm、高剪断再循環流速約3050リットル/分で生成した点に留意されたい)。
【0078】
【表5】

【0079】
実施例8〜12のいくつかの性質を上記方法に従って決定した。結果を表6に要約する。
【0080】
【表6】

【0081】
実施例13〜14
実施例13〜14は、約50%のゲルと約50%の沈降シリカを含有していた。これらの実施例の生成物は、低構造〜非常に高い構造のさまざまなシリカ構造レベルを有していた。これらの実施例は、以下の表7に記載したパラメーターを除き、実施例3〜7に挙げた手順に従って調製した。
【0082】
【表7】

【0083】
実施例13〜14のいくつかの性質を上記方法に従って決定した。結果を表8に要約する。
【0084】
【表8】

【0085】
実施例15〜17
実施例15〜17は、ゲル/沈降物生成中の沈降シリカ成分のpH調整により、および反応体濃度における変化により、ゲルレベルおよびシリカの構造を調整する能力を反映するものであった。これらの実施例は、以下の表9に記載したパラメーターを除き、実施例3〜12に挙げた手順に従って、上記実施例12で注記したものと同じ反応器内および同じ撹拌条件下で調製した。しかしながら、実施例15および17では高剪断再循環を行わなかったが、実施例16では、実施例12と同じ高剪断再循環流速を使用した。
【0086】
【表9】

【0087】
実施例15〜17のいくつかの性質を上記方法に従って決定した。結果を表10に要約する。
【0088】
【表10】

【0089】
歯磨製剤
練り歯磨き製剤を上記ゲル/沈降シリカの実施例のいくつかを用いて調製して、最適な歯の保護の利益のために2成分をさらに計量することなく、要求に応じてすぐ使用できる本発明の組成物の能力を実証した。
【0090】
歯磨剤を調製するために、グリセリン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびソルビトールを一緒に混合して、成分が溶解して第1混合物が形成するまで撹拌した。脱イオン水、フッ化ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウムおよびサッカリンナトリウムも一緒に混合して、これらの成分が溶解して第2混合物が形成するまで撹拌した。その後、これら2種の混合物を、撹拌しつつ組み合わせた。その後、所望による着色物を撹拌しつつ加えて、“プレミックス”を得た。プレミックスをRossミキサー(モデル130 LDM)に入れ、シリカ増粘剤、研磨性シリカおよび二酸化チタンを減圧せずに混合した。30インチの真空に引き、得られた混合物を約15分間撹拌した。最後に、ラウリル硫酸ナトリウムおよび着香剤を加え、混合物を約5分間、低下させた混合速度で撹拌した。得られた歯磨剤をプラスチック製の練り歯磨き用ラミネートチューブに移し、後日の試験のために保存した。歯磨剤の配合を以下の表11に挙げる。使用した歯磨製剤は、本発明および比較用の清浄研磨剤のPCRおよびRDA(および粘度)の測定値を決定する目的に適した試験歯磨製剤であると考えられた。物理的および審美的観点から歯磨剤の適切な形成を可能にするために、特定の状況では、カルボキシメチルセルロースの量を変更し、脱イオン水を加えて量を補正したが、上記のような次に続く試験のために全体的に基本の歯磨製剤は実質的に変化させなかった。
【0091】
【表11】

【0092】
上記のように調製した歯磨製剤を、上記方法に従ってPCRおよびRDAの性質について評価した;測定値、および各歯磨製剤に関するPCR:RDA比を以下の表12に挙げる。製剤1、3および8に関するPCRデータは、ルイジアナ州Port AllenのSoutheastern Dental Research Corporationから、残りのPCRデータはインディアナ州インディアナポリスのOral Health Research Instituteから得た。
【0093】
【表12】

【0094】
結果は、非常に有効な清浄能力を比較的低い象牙質摩耗性で伴うさまざまな性能を示している。
いくつかの他の歯磨製剤を、製剤12〜14では本発明の2種のシリカの組合わせ、そして製剤11では本発明のシリカと市販のシリカ(J.M. Huber CorporationからのZEODENT(登録商標) 115)の組合わせを用いて調製した。歯磨製剤は、上記方法に従って、表11で先に挙げたものとほとんど同じ成分を用いて調製した。以下の表13に、本明細書中に記載する発明に関して異なるシリカ研磨剤のブレンドを包含するこれらの練り歯磨きの配合を挙げる。
【0095】
【表13】

【0096】
上記のように調製した歯磨製剤を、上記方法に従ってPCRおよびRDAの性質について評価した;測定値、および各歯磨製剤に関するPCR:RDA比を以下の表14に挙げる。
【0097】
【表14】

【0098】
これらの組合わせ、詳細には製剤12、13および14の清浄能力は、はるかに低い摩耗レベルを伴う非常に驚くべき有効な歯学的艶出しおよび膜除去材料を証明している。
図面の詳細な説明
図1は、先に挙げた歯磨製剤のいくつかで入手可能なRDAおよびPCRの比率を、Riceへの米国特許第5658553号内に開示されている方法とほとんど同じ方法で生成したシリカゲルと沈降シリカの物理的混合物と比較して、グラフ表示で示している。各線の傾きは異なる各製剤により得られる一般的結果を示し、同時に形成した本発明の組合せ物が、より大きなPCRの結果をより小さなRDAと相関して与えることを示している。したがって、意外にも、このような本発明の組合せ物が、同時に許容できないほど高度に象牙質を摩耗することなく、より優れた清浄能力を可能にすることが見いだされた。
【0099】
すべての歯磨剤が、許容しうる粘度、フッ化物の有効性、および優れた審美性(スタンドアップ、テキスチャー、分散性)を示した。とりわけ、図1中のグラフ表示を考慮すると、そのような材料の比較となる物理的ブレンドは、in situで生じた本発明の組合せ物と同様のより小さなRDA値を伴う被膜清浄効果における望ましい増大を、示さないことが明らかである。
【0100】
同様に、図2には、本発明のin situシリカの組合せ物の増粘能力対Riceの特許中に記載されているゲルと沈降物の物理的ブレンドの増粘能力の比較を提供する(上記と同じ試験歯磨製剤中で)。in situで生じた複合材料は、Rice特許のブレンドに比べ、該材料中に存在するゲル/沈降物の量の範囲の全体にわたり異なる程度の増粘性を示しているため、これら異なるタイプの材料の全体的構造および得られる機能には著しい差があることは明白である。したがって、これら2つの異なるタイプの歯磨剤添加剤の形態および特性に差異があることは明らかである。
【0101】
さらに、図3は、幅広い範囲にわたる本発明のゲル/沈降物複合材料のPCR対RDAの読みの測定値を、従来の沈降シリカ研磨剤に関する同じ測定値と比較するグラフ表示を示している(この場合もやはり上記と同じ試験歯磨製剤中で測定している)。この表示から、本発明のゲル/沈降シリカ複合材料は、従来の研磨材料と比べ、はるかに大きなPCRの結果を相関するより低いRDA特性とともにもたらしていることが明らかであり、比較の研磨剤と本発明のin situで生成したタイプとの著しい差を示している。このように、意外にも、シリカゲルと沈降シリカ材料のブレンドのin situ生成は、改善された被膜清浄の利益をもたらすと同時にはるかに小さな象牙質摩耗の読みを示し、これにより、使用中に歯の表面を有害にすり減らす傾向がより低く、より有効な清浄材料を提供することがわかった。
【0102】
本発明を特定の好ましい態様および実施と関連して記載し開示するが、本発明をこれらの具体的態様に限定する意図はまったくなく、むしろ、添付する請求項およびその等価物の範囲により規定することができるように、同等の構造、構造的等価物およびすべての代替的態様および修正を対象とすることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明のin situで生成したゲル/沈降シリカ複合体および前記材料の比較となる物理的混合物について、歯磨剤組成物に関する象牙質摩耗と被膜清浄の比率の相関を表すグラフである。
【図2】本発明のin situで生成したゲル/沈降シリカ複合体および前記材料の比較となる物理的混合物について、増粘能力とシリカゲルの構造との相関を表すグラフである。
【図3】本発明のin situで生成したゲル/沈降シリカ複合体についての歯磨剤組成物に関する象牙質摩耗と被膜清浄の測定値と、比較となる従来の歯科用研磨剤に関する同測定値との相関を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
in situで生成したゲル/沈降シリカの組合せ物であって、前記組合せ物が、10〜60容量%のシリカゲルを含み、前記組合せ物が、100を超え最高150mL/100gのアマニ油吸油量を示し、前記組合せ物が、損失約2.5〜12mg/100000回転の範囲の10% Brass Einlehner硬度値を示す、前記組合せ物。
【請求項2】
前記組合せ物が20〜33容量%のシリカゲルを含む、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項3】
前記組合せ物が、3〜20ミクロンのメジアン粒径範囲を示す粒子の形態にある、請求項1に記載のin situで生成したゲル/沈降シリカの組合せ物。
【請求項4】
前記組合せ物が、3〜20ミクロンのメジアン粒径範囲を示す粒子の形態にある、請求項2に記載のin situで生成したゲル/沈降シリカの組合せ物。
【請求項5】
請求項1で定義した組合せ物を含む歯磨製剤。
【請求項6】
請求項2で定義した組合せ物を含む歯磨製剤。
【請求項7】
請求項3で定義した組合せ物を含む歯磨製剤。
【請求項8】
さらに、前記組合せ物以外の研磨材料を含む、請求項5に記載の歯磨製剤。
【請求項9】
さらに、前記組合せ物以外の研磨材料を含む、請求項6に記載の歯磨製剤。
【請求項10】
さらに、前記組合せ物以外の研磨材料を含む、請求項7に記載の歯磨製剤。
【請求項11】
請求項1で定義した組合せ物の生成方法であって、前記方法が、順次、
a)水溶液中に4〜35%の濃度を有するアルカリシリケートおよび水溶液中に5〜25%の酸濃度を有する酸性化剤の十分な量を、約40〜約90℃の温度の撹拌下で一緒に混合して、シリカゲル組成物を形成する工程;そして、前記形成したシリカゲル組成物を最初に洗浄、変性、または精製することなく、
b)続いて、前記シリカゲル組成物に十分な量のアルカリシリケートと酸性化剤を導入して、シリカゲルに影響を及ぼすことなく沈降シリカを形成し、これにより、ゲル/沈降シリカの組合せ物を生成する工程、ここにおいて、反応全体のpHは3〜10の範囲内にある、
を含む、前記方法。
【請求項12】
工程“a”における酸濃度が10〜20%である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
in situで生成したゲル/沈降シリカの組合せ物であって、前記組合せ物が、10〜60容量%のシリカゲルを含み、前記組合せ物が、唯一の研磨成分として試験歯磨き組成物中に導入される場合、前記歯磨剤組成物が、約0.7〜約1.1のPCR:RDA比、約90〜110のPCR値、および約95〜約150のRDAレベルを示す、前記組合せ物。
【請求項14】
前記組合せ物が20〜33容量%のシリカゲルを含む、請求項13に記載の組合せ物。
【請求項15】
請求項13で定義した組合せ物を含む歯磨製剤。
【請求項16】
請求項14で定義した組合せ物を含む歯磨製剤。
【請求項17】
さらに、前記組合せ物以外の研磨材料を含む、請求項15に記載の歯磨製剤。
【請求項18】
さらに、前記組合せ物以外の研磨材料を含む、請求項16に記載の歯磨製剤。
【請求項19】
請求項13で定義した組合せ物の生成方法であって、前記方法が、順次、
a)水溶液中に4〜35%の濃度を有するアルカリシリケートおよび水溶液中に5〜25%の酸濃度を有する酸性化剤の十分な量を、約40〜約90℃の温度の撹拌下で一緒に混合して、シリカゲル組成物を形成する工程;そして、前記形成したシリカゲル組成物を最初に洗浄、変性、または精製することなく、
b)続いて、前記シリカゲル組成物に十分な量のアルカリシリケートと酸性化剤を導入して、シリカゲルに影響を及ぼすことなく沈降シリカを形成し、これにより、ゲル/沈降シリカの組合せ物を生成する工程、ここにおいて、反応全体のpHは3〜10の範囲内にある、
を含む、前記方法。
【請求項20】
工程“a”における酸濃度が10〜20%である、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−521801(P2008−521801A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543042(P2007−543042)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/035923
【国際公開番号】WO2006/057718
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(596129189)ジェイ・エム・ヒューバー・コーポレーション (22)
【Fターム(参考)】