説明

高温磨耗用途のための組成物および物品

特定の種類の炭素フィラメントによって改良される、熱、磨耗、および酸化剤に曝される環境において有用な組成物および物品が本明細書において開示される。この組成物および物品は、高温ポリマー、高温充填剤、および炭素フィラメントの混合物を含み、前記炭素フィラメントの混合物は、多層の軸方向炭素フィラメントを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、周囲温度および高温での磨耗に耐性のある組成物および物品に関する。
【背景技術】
【0002】
多成分組成物が、応力、磨耗に曝され、結果として交換される用途(例えば、軸受および回転軸)に用いられる。特定のこのような組成物は、周囲温度および高温(航空機および自動車のエンジン分野など)の両方で、または空気などの酸化性雰囲気中で、あるいはその両方での磨耗下で強度と長寿命との組合せを維持することが好ましい。
【0003】
以下の開示は、本発明の様々な態様に関連している可能性があり、以下のとおりに簡潔に要約することができる:
【0004】
堤らに交付された米国特許第5,312,866号明細書には、99.9〜50重量%のポリイミド材料および0.1〜50重量%のPEK(ポリエーテルケトン)樹脂および/またはポリエステル樹脂を含み、より特定的には420℃以下の温度で異方性溶融相を形成することが可能なポリエステル樹脂およびポリイミド系の成形用樹脂組成物を含む成形用樹脂組成物が開示されており、この成形用樹脂組成物は、前記樹脂、ならびにフェノール樹脂、フッ素樹脂、黒鉛、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維および結晶化促進剤などの他の添加剤を含み、耐熱性、耐化学薬品性、機械的強度および加工性が優れている。
【0005】
「Oxidatively stable rigid aromatic polyimide compositions and process for their preparation」という発明の名称で、1999年3月23日に発行され、DeColibusに交付された米国特許第5,886,129号明細書には、特定のポリイミドポリマー、およびこれらのポリイミドとともに用いられ得る特定の充填剤が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
周囲温度および高温(航空機および自動車のエンジン分野など)の両方で、または空気などの酸化性雰囲気中で、あるいはその両方での磨耗下で強度と長寿命との組合せを備えた組成物および物品が依然として必要とされ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特定の種類の炭素フィラメントによって改良される、熱、磨耗、および酸化剤に曝される環境において使用するのに適した組成物および物品に関する。この組成物および物品は、(a)約20重量パーセント〜約55重量パーセントの高温ポリマーと、(b)約35重量パーセント〜約55重量パーセントの高温充填剤と、(c)約0.1重量パーセント〜約10重量パーセントの炭素フィラメントの混合物とを含み;前記組成物の重量パーセントの合計が100に等しく、前記炭素フィラメントの混合物は、多層の軸方向炭素フィラメントを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】公知の技術の図1は、先細のチューブとしての最上部の六角格子状のグラフェン層、およびその下にある約16のこのようなチューブの積層を示すコンピュータグラフィックスである。
【図2】公知の技術の図2は、8つの先細のチューブの積層の部分切取図の概略図である。
【図3】公知の技術の図3は、図2のような積層の外面上の炭素のフィルムの3つの領域の概略図である。
【図4】公知の技術の図4は、同心円状の多層カーボンナノチューブの断面の概略図を示す。
【図5】公知の技術の図5は、らせん状に巻き付けられた多層カーボンナノチューブの断面の概略図を示す。
【図6A】公知の技術の図6は、触媒が炭素フィラメントタイプを生成する段階の概略図である。
【図6B】公知の技術の図6は、触媒が炭素フィラメントタイプを生成する段階の概略図である。
【図6C】公知の技術の図6は、触媒が炭素フィラメントタイプを生成する段階の概略図である。
【図6D】公知の技術の図6は、触媒が炭素フィラメントタイプを生成する段階の概略図である。
【図7】炭素フィラメントCF−Aの透過電子顕微鏡像である。
【図8】炭素フィラメントCF−Aのより高い倍率の透過電子顕微鏡像である。
【図9】炭素フィラメントCF−Aのさらに高い倍率の透過電子顕微鏡像である。
【図10】炭素フィラメントおよび鉄粒子を示す混合物CF−CNの透過電子顕微鏡像である。
【図11】炭素フィラメントを示す混合物CF−CNのより低い倍率の透過電子顕微鏡像である。
【図12】フィラメントの構造を示す混合物CF−CNのより高い倍率の透過電子顕微鏡像である。
【図13】混合物CF−CPの透過電子顕微鏡像である。
【図14】CF−CPの1つのフィラメントの一部のより高い倍率の透過電子顕微鏡像である。
【図15】CF−CPの別のフィラメントの一部の中程度の倍率の透過型電子顕微鏡写真である。
【図16A】ラマンスペクトルを示す。
【図16B】ラマンスペクトルを示す。
【図16C】ラマンスペクトルを示す。
【図16D】ラマンスペクトルを示す。
【図17】振動/揺動試験方法を用いた磨耗を測定するための装置の一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、熱、温度変化、磨耗(例えば、質量の摩擦損失)、酸化剤、他の応力、またはそれらの組合せに曝される環境において使用するのに適した組成物および物品に関する。このような組成物および物品は、本明細書において、特定の種類の炭素フィラメントの添加によって改良される。この組成物および物品は、ポリマーおよび充填剤も含む。この物品は、加熱された環境および冷却された環境において用いられ得る軸受またはブッシングを含み得る。このような使用の例としては:往復動または振動または揺動による磨耗に曝されるか、または空気もしくは酸素などの酸化環境に曝されるか、または引張応力もしくはせん断応力に曝されるか、あるいはそれらの組合せである自動車もしくは航空機のエンジンルームまたは油弁(oil well)が挙げられる。
【0010】
このような環境における組成物または物品の劣化は、化学的または物理的変化を通して進行され得る。障害は、徐々に進み、高コストの予防保守または交換を必要とすることがあり(例えば、物品の組成物の腐食または組成物の劣化による障害または障害の危険性)、さもなければ大惨事になり得る(例えば、劣化または腐食した物品の強度の低下がおそらくは取り返しの付かない突然の機能喪失を引き起こすことによって)。約20重量パーセント〜約55重量パーセントの高温ポリマーと、約35重量パーセント〜約55重量パーセントの高温充填剤と、約0.1重量パーセント〜約10重量パーセントの炭素フィラメントの混合物とを含む組成物であって;前記組成物の重量パーセントの合計が100に等しく、前記炭素フィラメントが、多層の軸方向炭素フィラメントを含む組成物が本明細書において開示される。
【0011】
本明細書の組成物の炭素フィラメントは、その直径に比して比較的長い細長の炭素構造であるため、フィラメントは、約10、または100、または10,000、またはさらには約1,000,000を超えるが、1,000,000,000未満であるアスペクト比(長さを直径で除算した値)を有し得る。フィラメントは、特定の実施形態において、チューブ形状であってもよく、したがってフィラメントの内側の環状開口などの穴のサイズを表す内径も有するため、アスペクト比で言及される直径は、フィラメントの外径である。穴は、炭素を含まなくてもよく、および/または空であるかまたは排気可能であってもよく、または穴は、炭素架橋を含んでもよい。しかしながら、他の実施形態において、フィラメントは、穴または内側の環状開口を実質的には有さない。
【0012】
ほとんどの炭素フィラメントは、形状が比較的規則的であり、直径がほぼ一定であるが、フィラメントの規定の直径値は、内径であるかまたは外径であるかにかかわらず、フィラメントの所定の長さのために決定された平均直径値である。本明細書において使用される炭素フィラメントの外径は、約1nm、または5nm、10nm、100nm超、なおかつ約500nm未満であり得る。
【0013】
穴を有する炭素フィラメントの場合、本明細書において使用されるフィラメントの内径は、約1nm、または5nm、10nm超、または約50nm超、なおかつ約300nm未満であり得る。中空穴を有するフィラメントに対する中空穴の直径の比率は、0.5未満、好ましくは0.4、0.3、0.2、または0.1未満であり得る。
【0014】
炭素フィラメントの断面は、円筒、またはほぼ円筒の形状、あるいは多面体の形状を成し得る。約1nm〜約20nm、または約1nm〜約10nm、または約1nm〜約5nmなどのより小さいサイズ範囲の外径を有するフィラメントは、ほぼ真円筒の形状を有するため、ほぼ真円の断面を有する。
【0015】
本明細書において使用するのに適した炭素フィラメントは、炭素標的の蒸着またはレーザーアブレーションなどの様々な公知の方法によって作製され得る。気相成長フィラメントは、遷移金属触媒の存在下で、有機化合物、特に、ベンゼン、トルエン、またはキシレンなどの炭化水素ガスを熱分解することによって作製され得る。このフィラメントは、互いに対する様々な異なる幾何学形状および配向を有し得る1つ以上のグラフェン層を触媒元素の周りに形成することによって得られる。好適な触媒としては、ニッケルおよび鉄が挙げられる。2つ以上のグラフェン層が存在する場合、それらは規則的に繰り返す模様で配置されることが多い。
【0016】
本明細書において使用される炭素フィラメントでは、黒鉛炭素原子が、凝塊、結晶、層、同心円層、巻かれた層、樹状構造、または中空構造のうちの1つまたはそれらの組合せを含む様々な配置を有し得る。
【0017】
グラフェンシートは、軸に対してある角度で位置し、したがって傾斜しているように示される配向でフィラメントの軸から広がる。この配置におけるグラフェンシートは、積層されたカップまたは逆さにしたランプシェードを成しているように見え、これは、図1〜3に示される。
【0018】
軸方向配置として知られている配置におけるグラフェンシートは、フィラメントの軸に平行またはほぼ平行に位置してもよく、断面を見ると、円形またはほぼ円形に見えるであろう。このタイプの配置は、図4および5に示される。
【0019】
本明細書において使用するのに適した炭素フィラメントは、炭素フィブリル、微細炭素繊維または炭素ナノ繊維と呼ばれることがある構造を含み、そのうちのいずれも、実際には、個々のフィラメントの束であり得る。これらの炭素構造は、典型的に、約50nm〜約300nmの範囲、または約100nm〜約250nmの範囲の外径を有し得る。本明細書において使用するのに適した炭素フィラメントは、カーボンナノチューブと呼ばれることがある構造も含み、それは、単層ナノチューブ、または多層ナノチューブ、あるいは多層の軸方向炭素フィラメントであり得る。単層炭素フィラメントは、典型的に、約1nm〜約5nmの範囲の外径を有し;多層の軸方向炭素フィラメントは、典型的に、層の数に応じて、約2nm〜約300nm、または約50nm〜約200nmの範囲の外径を有し得る。
【0020】
異なる種類の炭素フィラメントの混合物も本明細書において使用するのに適しており、ここで、混合物の様々な成分は、直径、アスペクト比、形状、グラフェンシートの積層の程度、グラフェンシートの配置、「巻き上げられた」グラフェンシートから形成されるチューブの閉端の有無、ならびに欠陥および汚染物質の有無について異なり得る。典型的な欠陥は、グラフェンのエッジであり、これは、シートから形成される構造から突出する、グラフェンシートの六員環のエッジである。これは、環が、エッジに沿って隣接する環に結合されず;グラフェンシート内に、好ましい六員環ではなく五員または七員炭素環が存在するために起こる。欠陥部位は、フィラメントが、当該箇所において、熱酸化の影響をより受けやすいため、望ましくない。典型的な汚染物質は、製造作業からの触媒残渣(例えば、鉄粒子)、製造作業から得られる外部からの(extraneous)不要な生成物(例えば、非結晶質炭素)、または他の汚染物質(例えば、「溶解された」鉄)である。
【0021】
好ましい実施形態において、本明細書において使用される炭素フィラメントは、ホウ素、ケイ素、鉄または水素などの他の元素を微量(約150重量百万分率未満、約30、5、1、0.5重量百万分率未満、または約0.1重量百万分率未満)しか有さないであろう。好ましくは、本明細書において使用されるフィラメント、およびそれらを含む組成物は、硫化鉄、硫化バリウム、硫化カルシウム、硫化銅、酸化バリウム、酸化カルシウム、または酸化銅、あるいはバリウム、銅、カルシウム元素の化合物、あるいは鉄、バリウム、銅またはカルシウム元素などの反応性の不純物を0.5重量パーセント未満有するであろう。
【0022】
鉄の場合、炭素繊維に存在する約200ppm未満の元素を有するのが好ましい。約100、30、5、1、0.5重量百万分率未満、または約0.1重量百万分率未満を有するのがより好ましい。好ましい値の同じ範囲および限度が、フィラメントを含む組成物に適用される。鉄は、由来源にかかわらず、すなわち外部由来(adventitious)かまたは特定の触媒由来(specifically catalytic)か;フィラメント由来かまたは組成物中の他の成分由来かにかかわらず、組成物およびその物品の高温特性に特に有害であるようである。
【0023】
本明細書の組成物に使用するのに適した様々な炭素フィラメントとしては以下のものが挙げられる:
【0024】
内部に繊維に沿った空洞を含み、多層構造、2〜500nmの外径、および10〜15,000のアスペクト比を有する気相成長微細炭素繊維(これは、あらゆる目的のために全体が本明細書の一部として参照により援用される米国特許第6,730,398号明細書にさらに記載されている);
【0025】
長軸およびある直径を有する細長の構造を形成するように複数の層に配置された黒鉛シートを含み、実質的に長軸の長さにわたる7つ以上の外側ファセットを有する単離された黒鉛多面体結晶であって、直径が5nm〜1000nmであり、外側ファセットが実質的に等しいサイズのものであり、結晶が環、錐体、先端が2つある角錐、ナノロッドおよびウィスカの形態であり得る黒鉛多面体結晶(これは、あらゆる目的のために全体が本明細書の一部として参照により援用される米国特許第6,740,403号明細書にさらに記載されている);
【0026】
微細炭素繊維であって、繊維の各繊維フィラメントの本体が、約1〜約500nmの外径および約10〜約15,000のアスペクト比を有し、中心軸に沿って延在する空洞および同心円状の環を形成する複数の炭素層からなる多層シース構造を備え、繊維フィラメントが、外側に突出している炭素層で形成されるかまたは局部的に増加した数の炭素層で形成されるこぶ状の(nodular)部分を有する微細炭素繊維;および同様の微細炭素繊維であって、繊維フィラメントが、繰り返し拡張した突出部分を有し、フィラメント直径が、フィラメントの長さに沿って変化し、外側に拡張した部分が存在しない位置で測定した繊維の繊維フィラメントの直径(d)に対する、外側に拡張した部分で測定した繊維の繊維フィラメントの直径(d”)の比率;すなわち、d”/dが約1.05〜約3である微細炭素繊維(これらは両方とも、あらゆる目的のために全体が本明細書の一部として参照により援用される米国特許第6,844,061号明細書にさらに記載されている);
【0027】
微細炭素繊維を含む、気相成長法によって生成された微細炭素繊維混合物であって、繊維の各繊維フィラメントが、1〜500nmの外径および10〜15,000のアスペクト比を有し、中心軸に沿って延在する空洞および複数の炭素層からなる多層シース構造を備える微細炭素繊維混合物(これは、あらゆる目的のために全体が本明細書の一部として参照により援用される米国特許第6,974,627号明細書にさらに記載されている);
【0028】
VGCF(登録商標)(昭和電工株式会社の製品)、平均繊維径:150nm、平均繊維長:9μm、アスペクト比:60、BET比表面積:13m2/g、d002=0.339nm、およびId/Ig=0.2;およびVGCF(登録商標)−S(平均繊維径:100nm、平均繊維長:13μm、アスペクト比:130、BET比表面積:20m2/g、d002=0.340nm、およびId/Ig=0.14)(これは、あらゆる目的のために全体が本明細書の一部として参照により援用される米国特許第7,569,161号明細書にさらに記載されている);
【0029】
2つ以上の同心円状の隣接するグラフェンチューブを有するかあるいは巻かれた、または巻き上げられたタイプの構造を有する多層の軸方向炭素フィラメントであって、炭素フィラメントが、1つ以上の黒鉛層を含み、黒鉛層が、互いに重ね合わせて配置された2つ以上のグラフェン層から構成され、黒鉛層が、巻き上げられた構造を成し、炭素フィラメントの断面が、黒鉛層のらせん状の配列を示し、炭素フィラメントが、3〜100nmの平均直径を示す多層の軸方向炭素フィラメント(これは、あらゆる目的のために全体が本明細書の一部として参照により援用される米国特許出願公開第2009/0124705号明細書にさらに記載されている);および
【0030】
1つの多層の軸方向カーボンナノチューブ内に同時に存在する巻き物状のもの(scroll)および入れ子になったチューブであって、巻かれた構造において、層が、長さ軸Aにほぼ平行に配向され、軸とともにある角度を形成し、この角度は、典型的に0度、または20度、10度、もしくは5度未満のうちの少なくとも1つより小さく;あるいはA軸に平行なチューブまたは巻き物状のものの長さ寸法が、A軸に垂直な外径の5倍、10倍、20倍、40倍、80倍、160倍、または300倍のうちの少なくとも1つだけ長い巻き物状のものおよび入れ子になったチューブ(これは、飯島澄男(S.Iijima)、Nature、354(1991)56〜58;およびJ.Gerard Lavina、Shekhar Subramoney、Rodney S.Ruoff、Savas Berber、およびDavid Tomanekによる「Scrolls and nested tubes in multiwall carbon nanotubes」、Carbon 40(2002)1123〜1130にさらに記載されている)。
【0031】
本明細書の組成物に使用するのに適した様々な他の炭素フィラメントとしては、以下のとおりにさらに記載される、様々な図に示されるものが挙げられる:
【0032】
図1は:1つのランプシェード形グラフェン構造10(切頂円錐管状グラフェン層)、および方向Aに沿った多くのこのような層の積層のコンピュータグラフィックスである。ランプシェード形グラフェン構造10は、底の抜けたカップと称することもできる。図1において、軸方向Aの平行線に対するランプシェード形グラフェン構造10の表面の角度が、炭素フィラメントにおけるグラフェン層の配向の態様を示し;1つのランプシェード形グラフェン構造10の間の距離が、分かりやすくするために誇張されている。
【0033】
図2:外面30および内面32を有する、8つのランプシェード形グラフェン構造の積層を部分切取図で示す、図1の概略図。各ランプシェード形グラフェン構造は、図1の軸方向Aの両側に広い端部20および狭い端部22を有する。ランプシェード形グラフェン構造の切取部分は、図1の軸方向ベクトルAの平行線に対して約45度の角度を示す。この構造は、内面32によって形成される中空コア14を有する。
【0034】
図3:積層されたランプシェード形グラフェン構造の外面30を有するフィラメント31の一部および非結晶質炭素などの付着された炭素質材料12の外側部分。
【0035】
図4:3つの同心円状のグラフェン層(内側層11、中間層12、および外側層13)を有する多層の軸方向炭素フィラメントの一部。多層の軸方向炭素フィラメントは、チューブの長さに沿ってほぼ平行に配向された2つ以上の同心円状の隣接するグラフェンチューブを有する。
【0036】
図5:3つ以上かつ5つ未満の層を有するものとして表されている1つのらせん状のグラフェンシート15で形成される多層の軸方向炭素フィラメントの縦方向切取図。
【0037】
図6は:図6Aにおいて、担体60上の鉄触媒61を概略的に示し;図6Bにおいて、鉄粒子62と担体60との間のグラフェンの成長が、末端の鉄触媒とともに多層の軸方向炭素フィラメント63を生成することができることを概略的に示し;または図6Cにおいて、独自の末端鉄触媒64を有する底を塞がれた単層炭素フィラメント65が担体60から成長し得ることを概略的に示し;または図6Dにおいて、軸方向多層および垂直(90度)単層グラフェン68、およびその独自の末端鉄触媒66を有する多層炭素フィラメント67(図6Dの構造は、一般的に「竹のような」多層炭素フィラメントと呼ばれている)を概略的に示す。
【0038】
図7、8、および9は、昭和電工株式会社(日本の東京)から入手される多層の軸方向炭素フィラメントである混合物CF−Aの顕微鏡写真である。さらなる特徴は、実施例の項で説明される。
【0039】
図10、11、および12は、Nanostructured & Amorphous Materials,Inc.(NanoAmor)(Houston、TX)から入手したCF−CNの顕微鏡写真または混合物である。図10には、(像様(imagewise)エネルギー分散分光法によって確認されるように)鉄を含む粒子を指す矢印がある。図11は、存在する繊維が様々な直径および長さであることを示す。図12は、黒鉛またはグラフェンを含まない比較的大きい内部穴を備えた繊維の一部を示す。内径は、フィラメント径の約20%であると推定される。さらなる特徴は、実施例の項で説明される。
【0040】
図13、14、および15は、Pyrograf Products Inc(Cedarville、OH)から入手した混合物CF−CPの顕微鏡写真である。この試料の鉄含量は、製造業者が測定した際に約168ppmであった。以下の等温時効試験は、試料の2.082%の重量減少を示した。フィラメントは、大部分(>50%)が、100〜200(約150)nmの直径、30〜100ミクロンの長さ、15〜25(m2/g)の表面積を有する黒鉛化炭素ナノ繊維であった。ほとんどのフィラメントは、多くの場合、多層の軸方向炭素フィラメントの外側シース内に、明らかな積層されたランプシェード形態を有した。
【0041】
図16は、4つのフィラメント試料の4つのラマンスペクトルを示す。これらのスペクトルは、785nmの光によるフィラメント試料の励起から得られ、ラマン応答の誘発が記録される。X軸が、発光のラマンシフト(単位cm-1)として表示され;依存軸が、表示される強度(エネルギーの任意単位)である。1回の分析では、主な目立つラマンバンドが、約1575cm-1(Gバンド)、および約1310cm-1(Dバンド)で得られる。示されるスペクトルにおいて、Gバンドのピーク高さのエネルギー単位は、任意エネルギー単位値1に正規化され;したがって、785nmの励起におけるラマンDバンド対Gバンドの高さ比の比率が、Dバンドの強度である。
【0042】
図16Aは、実施例の項に記載されるような市販の試料CF−CAのスペクトルを示す。785nmの励起におけるラマンDバンド対Gバンドの高さ比は0.34であった。図16Bは、実施例の項に記載されるような市販の試料CF−CBのスペクトルを示す。785nmの励起におけるラマンDバンド対Gバンドの高さ比は0.33であった。図16Cは、実施例の項に記載されるような市販の試料CF−CNのスペクトルを示す。785nmの励起におけるラマンDバンド対Gバンドの高さ比は1.05であった。図16Dは、実施例の項に記載されるような市販の試料CF−CPのスペクトルを示す。785nmの励起におけるラマンDバンド対Gバンドの高さ比は0.55であった。
【0043】
好ましいフィラメント試料は、ピーク高さで測定したラマンDバンド対ピーク高さで測定したGバンド(両方とも785nmの励起における)の比率(「785nmの励起におけるラマンDバンド対Gバンドの高さ比」)の低い比率を有する。より明確には、好ましいフィラメントは、785nmの励起におけるラマンDバンド対Gバンドの高さ比が低く、例えば、1.5未満、または0.9未満;より好ましくは0.45未満、さらにより好ましくは0.35未満である。
【0044】
昭和電工株式会社(日本の東京)製のVGCF(登録商標)、VGCF(登録商標)−H、VGCF(登録商標)−S、およびVGCF(登録商標)−X気相成長炭素フィラメントならびにPyrograf Products,Inc.(Cedarville、Ohio、USA)製のPyrograf(登録商標)III炭素ナノ繊維などのいくつかの炭素フィラメントが市販されている。
【0045】
本発明の混合物中の好ましい炭素フィラメントは、少なくとも70ナノメートルかつ400ナノメートル以下の直径を有する。用いられる多層の軸方向炭素フィラメントには、大きい直径の多層ナノチューブ(50nm超〜1000nm未満の平均外径)、および小さい直径の多層ナノチューブ(2nm超〜50nm未満の平均外径)が含まれ得る。本発明の様々な態様において、炭素ナノ繊維が好ましく;より好ましいのは多層の軸方向炭素フィラメントである。本明細書に開示される組成物および物品において、前記多層の軸方向炭素フィラメントに対する多層の傾斜したカーボンナノチューブの比率が0.2未満である多層の傾斜した炭素フィラメントを含む炭素フィラメントが好ましい。
【0046】
例えば高温ポリマーなどの特定のポリマーが、対象となる環境において組成物および物品に好ましい。高温ポリマーとしては、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(エーテルケトン)(PEK)、ポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)、ポリビスマレイミド、フェノール、フルオロポリマー、エポキシ(特に、エポキシ−フェノール)、あるいはそれらの組合せまたはコポリマーが挙げられる。各高温ポリマーは、全高温ポリマーの任意の割合;例えば、高温ポリマーの0.5重量%未満〜95重量%超または任意の中間値を構成し得る。
【0047】
典型的に、ポリマーは、連続相またはマトリクスまたは充填剤の周囲相の少なくとも一部を成し、充填剤は、不連続相の少なくとも一部を成すが、他の配置が可能である。
【0048】
例えば高温充填剤などの特定の充填剤が、対象となる環境のための本明細書に開示される組成物および物品に適している。高温充填剤には:黒鉛、炭素繊維または炭素ナノ繊維または炭素フィラメント(本明細書に記載される炭素フィラメントを含むかまたはそれ以外)であり得る炭素質充填剤、炭素以外の繊維またはナノ繊維またはフィラメント;ガラス繊維;ポリマー繊維が;単独でまたは組み合わせて含まれる。充填剤には、二酸化チタンまたは二硫化モリブデンなどの無機材料も含まれ得る。
【0049】
組成物に用いられるポリマーの量は、組成物の総重量の約20重量パーセント〜約55重量パーセントであり得る。組成物に用いられる充填剤の量は、組成物の重量の少なくとも約35重量パーセント〜約55重量パーセントであり得る。組成物に用いられる炭素フィラメントの量は、炭素フィラメントの混合物の約0.1重量パーセント〜約10重量パーセントであり得る。例えば、組成物の総重量の6重量%未満、4重量%未満、またはさらには2重量%未満などの特に少量の炭素フィラメントが、組成物および物品に用いられてもよい。さらに、組成物は、少なくとも70ナノメートルかつ400ナノメートル以下、より好ましくは少なくとも70nm〜200nmの直径を有する炭素フィラメントを含むのが好ましい。
【0050】
本発明の組成物に使用するのに適した特定の充填剤は黒鉛である。黒鉛は、典型的に、強度、コスト、磨耗または摩擦特性、または熱膨張係数のうちの1つ以上を改善するために、組成物、特にポリイミド組成物に加えられる。ここで、このような目的のためにポリイミド組成物に用いられる黒鉛の量は、場合により、組み合わせられる構成要素(mating component)の熱膨張係数に適合するように有利に選択される。
【0051】
黒鉛は、多くの場合微粉末としての様々な形態で市販されており、例えば5〜75ミクロンの範囲、または6〜25ミクロンの範囲の非常に様々な平均粒径を有し得る。
【0052】
本明細書において使用される炭素充填剤または黒鉛は、10未満、好ましくは9、8、7、6、3、または2のうちの1つより小さいアスペクト比を有する材料のみに制限され得る。
【0053】
本明細書において使用するのに適した黒鉛は、天然黒鉛または合成黒鉛のいずれかであり得る。天然黒鉛が、一般に広範囲の不純物濃度を有する一方、より低い濃度の反応性不純物を有する合成により生成または変性された黒鉛が市販されている。許容できないほど高濃度の不純物を含有する黒鉛は、例えば、鉱酸による化学的処理を含む様々な公知の処理のいずれかによって精製することができる。例えば、高温または還流温度における、硫酸、硝酸または塩酸による不純黒鉛の処理を用いて、不純物を所望のレベルまで減少させることができる。
【0054】
本明細書の組成物または物品に場合により使用するのに適した添加剤および/または充填剤としては、限定はされないが、以下のうちの1つ以上が挙げられる:顔料;酸化防止剤;より低い熱膨張係数を与える材料;高強度特性を与える材料、例えば、ガラス繊維、セラミック繊維、ホウ素繊維、ガラスビーズ、またはウィスカ;熱放散または耐熱特性を与える材料、例えばアラミド繊維、金属繊維、セラミック繊維またはウィスカ、シリカ、炭化ケイ素、酸化ケイ素、アルミナ、マグネシウム粉末またはチタン粉末;耐コロナ性を与える材料、例えば、天然雲母、合成雲母またはアルミナ;導電性を与える材料、例えば、カーボンブラック、銀粉末、銅粉末、アルミニウム粉末またはニッケル粉末;磨耗または摩擦係数をさらに低下させる材料、例えば、窒化ホウ素またはポリ(テトラフルオロエチレン)ホモポリマーおよびコポリマーなどのフルオロポリマー。このような添加剤および/または充填剤は、組成物または物品から除外されることもある。
【0055】
本発明に適したポリマーは、例えば、Pure Appl.Chem.、Vol.81、No.6、pp.1131〜1186、(2009)内の3.30項の1158ページに記載されるようなポリイミドであり得る。
【0056】
本発明の組成物に使用するのに好ましいポリマーは、ポリイミド組成物であり、前記ポリイミドは、a)芳香族テトラカルボン酸二無水物成分ならびにb)(i)60モルパーセント以上〜約85モルパーセントのp−フェニレンジアミン;および(ii)15モルパーセント〜40モルパーセント以下のm−フェニレンジアミンを含むジアミン成分を有し;比較的高い分子量の縮合ポリマーを作製するために、a)およびb)は、約1:1のモル比で存在する。このようなポリイミドは、参照により本明細書に援用される、DeColibusに交付された米国特許第5,886,129号明細書に記載されるように作製することができる。
【0057】
組成物に使用するためのポリイミドのための好ましい芳香族テトラカルボン酸二無水物成分は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)である。
【0058】
充填剤、ポリマー、フィラメント、混合物、および記載される他の成分は、好ましくは、0.5重量パーセント未満の反応性不純物を含有し得る。好ましくは、本発明の充填剤、ポリマー、フィラメントおよび混合物は、硫化鉄、硫化バリウム、硫化カルシウム、硫化銅、酸化バリウム、酸化カルシウム、または酸化銅、あるいはバリウム、銅、鉄、カルシウム元素の化合物、あるいは鉄、バリウム、銅またはカルシウム元素の各々を0.5重量パーセント未満含む。
【0059】
元素としてのまたは化合物中の鉄の場合、存在する元素として0.02重量%未満を有するのが好ましい。しかしながら、鉄が0.02%、0.02%未満または0.02%超である場合、鉄は、炭素によって封鎖されるか、または鉄粒子の周りの炭素層により保護されるのが望ましい。その結果、存在する鉄は、酸化、反応、または触媒反応に利用できないであろう。炭素フィラメント自体が、炭素フィラメントの混合物の重量を基準にして0.02重量パーセント未満の鉄粒子を含有するのが好ましい。
【0060】
本明細書に記載されるポリマー、充填剤、および炭素フィラメントの様々な態様(重量部の比率、フィラメントのラマンDバンド対Gバンドの高さ比、フィラメントの熱安定性、フィラメントまたは組成物における鉄のタイプまたは含量など)は、本明細書に記載される他の成分とともに、本明細書に記載される組成物の使用のいずれかのために本発明の組成物の例に組み込むことができる。
【0061】
本明細書の組成物から作製される物品は、ブッシング(例えば、可変静翼ブッシング)、軸受、ワッシャ(例えば、スラストワッシャ)、シールリング、ガスケット、磨耗パッド、スプライン、摩耗ストリップ、バンパー、およびスライドブロック(slide block)などの航空機エンジン部品などの航空宇宙用途に有用であり得る。これらの航空宇宙用途部品は、往復動ピストンエンジンおよび、特にジェットエンジンなどのあらゆるタイプの航空機エンジンに用いられ得る。航空宇宙用途の他の例としては、以下に限定はされないが:ターボチャージャ;シュラウド、逆推力装置、ナセル、フラップシステムおよびバルブ、ならびに航空機用ファスナー(aircraft fastener)などの航空機サブシステム;発電機、油圧ポンプ、および他の機器を駆動するのに用いられる航空機スプライン継ぎ手;油圧管路、熱風管路、および/または電気管路をエンジンハウジングに取り付けるための、航空機エンジン用チューブクランプ;制御連結構成要素、ドア機構、ならびにロケットおよび人工衛星の構成要素が挙げられる。
【0062】
本明細書の組成物から作製される物品は、例えば、以下に限定はされないが、自動車、レクリエーショナルビークル、オフロード車、軍用車両、商用車、農機具および建設機器およびトラックなどの車両の構成要素として、輸送用途に有用であり得る。車両の構成要素の例としては、以下に限定はされないが:自動車用のおよび他のタイプの内燃機関;排ガス再循環システムおよびクラッチシステムなどの他の車両サブシステム;燃料システム(例えば、ブッシング、シールリング、帯ばね(band spring)、弁座);ポンプ(例えば、真空ポンプベーン);変速機構成要素(例えば、スラストワッシャ、弁座、および無段変速機のシールリングなどのシールリング)、トランスアクスル構成要素、ドライブトレイン構成要素、航空機以外のジェットエンジン;エンジンベルトテンショナ;点火配電器のラビングブロック;パワートレイン用途(例えば、エミッション構成要素(emission component))、可変バルブシステム、ターボチャージャ(例えば、転がり軸受保持器、ウェイストゲートブッシング、空気導入モジュール);ドライブライン用途(例えば、シールリング、スラストワッシャならびにマニュアルおよびデュアルクラッチ変速機のフォークパッド、トランスファーケース);高荷重オフロード車用変速機用のシールリングおよびスラストワッシャならびに油圧モータ;全地形用車両(「ATV」)および雪上車の無段変速機用のブッシング、ボタン、およびローラ;および雪上車の変速装置用のチェーンテンショナ;ブレーキシステム(例えば、磨耗パッド、アンチロックブレーキシステム用のバルブ構成要素);ドアヒンジブッシング;ギアシフトローラ;ホイールディスクナット、ステアリングシステム、空調システム;サスペンションシステム;吸気および排気システム;ピストンリング;および衝撃吸収材が挙げられる。
【0063】
本明細書の組成物から作製される物品は、射出成形機および押出し装置(例えば、プラスチック射出成形および押出し装置用の絶縁体、シール、ブッシングおよび軸受)、コンベヤ、ベルトプレスおよびテンターフレーム;ならびにフィルム、シール、ワッシャ、軸受、ブッシング、ガスケット、磨耗パッド、シールリング、摺動子および押しピン、クランプおよびパッドなどのガラス処理部品、アルミニウム鋳造機のシール、バルブ(例えば、弁座、スプール)、ガス圧縮機(例えば、ピストンリング、ポペット、バルブプレート、ラビリンスシール)、油圧タービン、計量装置、電動機(例えば、ブッシング、ワッシャ、スラストプラグ)、携帯用ツール機器のモータおよびファン用の小型モータブッシングおよび軸受、トーチ用絶縁体、ならびに低摩耗が望ましい他の用途などの材料処理装置および材料加工装置に有用であり得る。
【0064】
本明細書の組成物から作製される物品は、飲料缶の製造、例えば、缶形状を形成する本体製造機のブッシング、真空マニホールド部品、ならびにシェルプレスバンドおよびプラグにおいて;ブッシングおよびマンドレルライナーとして、鋼およびアルミニウム圧延機産業において;ガスおよび石油探査および精製装置において;ならびに繊維機械(例えば、織機用のブッシング、編織機用のボールカップ(ball cup for knitting loom)、繊維加工仕上げ機用の摩耗ストリップ)において有用であり得る。
【0065】
本明細書の組成物から作製される物品は、物品を含む装置が通常使用される時間の少なくとも一部の間、金属と接触されながら使用するのに適している。
【実施例】
【0066】
方法:
Horiba Jobin Yvon Inc.(Edison.NJ)製のJobin Yvon Labram HR分光計を用いて各フィラメント試料についてのラマンスペクトルを記録した。方法を実施するために、フィラメントの試料を、785nmの励起を用いて励起し、誘発されたラマン応答を記録した。1回の分析では、主な目立つラマンバンドが、約1575cm-1(Gバンド)、および約1310cm-1(Dバンド)で得られ;ピーク高さの比率をデータから計算した。
【0067】
ASTM E8(2006)、「Standard Tension Test Specimen for Powdered Metal Products−Flat Unmachined Tensile Test Bar」に準拠して、室温および690MPa(100,000psi)成形圧力における直接成形によって、各組成物の乾燥粉末を、熱酸化安定性(TOS)試験測定のための引張バーに加工した。引張バーを、405℃で3時間、窒素雰囲気中で焼結した。
【0068】
重量減少についての等温時効試験を、熱重量分析によって約813K(1000°F)で行った。引張バー試料を、窒素雰囲気下で813Kまで加熱し、次に5気圧(500kPa)の圧力で窒素雰囲気を空気雰囲気(約21%の酸素)に取り替え、空気下で813Kで4時間試料を保持し、その時間で試料を冷却し、重量減少パーセントを測定した。
【0069】
700Kで3時間にわたる300サイクル/分における改訂ASTM G133−05(2005)Wear Rate Method Bによって、乾燥粉末を試験のための磨耗試験片に加工した。試験片ディスクは、直径が2.5cmで厚さが約0.5cmであり、米国特許第4,360,626号明細書(特に第2欄、54〜60行に注目されたい)に記載される手順に実質的にしたがった手順を用いて、直接成形によって製造された。これらの試験では、鋼製の転がり軸受を、試験片ディスクの表面に擦り付けた。試験の最後に、試験片における得られた磨耗傷の体積を、光学的形状測定によって測定した。磨耗傷の体積を、これらの試験条件下での磨耗値として報告する。好ましいのは、これらの条件下で5000×10-7cm3未満、好ましくは4000×10-7cm3未満の磨耗傷体積である。
【0070】
場合によっては、相対的な磨耗も、振動/揺動試験方法(V/O試験)を用いて測定した。図17を参照すると、この試験方法は、2つの試験片、すなわち円筒状のブッシング試験片(断面図で示される36)および航空機エンジン(タービンタイプ)ベーン試験片を用い、図17に示されるように、ベーンの軸が軸方向に(38)同時に高速で移動(すなわち、振動)される際に、ベーンの軸(34)はブッシング内で揺動して(40)回転する。試験片は、規定の組の条件下で揺動回転(40)移動および軸方向(38)移動で互いに対して移動する。荷重(42)が、水平方向に取り付けられたブッシング試験片に対して、ベーン試験片を通して垂直方向に下向きにかかる。半径方向荷重、運動ストローク長さおよび頻度、試験温度、および試験持続時間は、ブッシングが実際のジェット/タービンエンジンにおいて受け得る荷重/磨耗サイクルに試験が最も近似するように選択される。結果を、壁の磨耗について報告する。このタイプの試験においてベーンの硬度および表面仕上げが重要であり、航空機エンジン製造者は、特定のブッシング/ベーン試験についてのこれらのパラメータを注意深く規定する。さらに、航空機エンジン製造者は、特定のベーン/ブッシングの組合せを試験する際に以下を規定することになる:揺動および回転運動の繰り返し頻度および大きさ、ベーン軸に対する荷重、ベーンの直径、ベーンの材料、ベーンの硬度、ブッシングの構造、ブッシングとベーン試験片との間の隙間(すなわち、公差)、試験温度および加熱方法(例えば、試験チャンバ内への強制熱風または放射電気熱あるいはこれらの組合せ)。
【0071】
材料
ポリイミド前駆体:
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を、三菱ガス化学株式会社(日本の東京)から入手した。m−フェニレンジアミンおよびp−フェニレンジアミンを、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington、Delaware、USA)から入手した。
【0072】
以下に記載されるとおりにポリイミドを作製した。
【0073】
充填剤:
用いられる黒鉛は、最大灰分0.05%、平均粒径が約8ミクロンの合成黒鉛であった。
【0074】
炭素フィラメント:
炭素フィラメントCF−A
炭素フィラメントの試料(試料CF−A)が、昭和電工株式会社(日本の東京)から含有された。試料の密度は、約2.1g/cm3である。試料が、約13(m2/g)の表面積を有することが報告された。誘導結合プラズマ分析によって、鉄含量が、約13ppmであることが分かった。等温時効試験により、試料の0.882%の重量減少が示された。785nmの励起におけるラマンDバンド対Gバンドの高さ比は0.34であった。CF−Aの顕微鏡写真は図7〜9である。
【0075】
CF−Aのフィラメントは、大部分(>50%)が、典型的に直径が約150nm、ほぼ全ての直径が350nm未満である多層の軸方向炭素フィラメントであった。平均フィラメント長さは、約10〜20ミクロンであった。各繊維は、約10nmの狭い観察可能な中空穴を有するか、または観察可能な穴を有さず、穴は、存在する場合、1つの狭い端部を明らかに貫通するが、繊維の両方を貫通するわけではない(一端は閉鎖されているようであり、他端は閉鎖されていない)。フィラメントは分岐していなかった。試料は、約1のアスペクト比および約100〜300nmの長さを有する多面体炭素粒子を含有していた。顕微鏡法によって観察した際に、明らかに15%未満の他の炭素フィラメントが試料中に存在した。顕微鏡法によって観察した際に、明らかに10%未満のフィラメントが、図1のランプシェード形フィラメントまたは図6Dの竹のようなグラフェンであった。
【0076】
図7は、透過電子顕微鏡法によって、フィラメントCF−Aの特徴を示す。フィラメントの多くは、直径および長さが著しく均一であった。図8は、CF−Aの均一構造を同様に示す拡大図であり;最後に、図9は、グラフェン層の多層軸方向配置が明らかなさらなる拡大図を示す。
【0077】
炭素フィラメントCF−B
第2のタイプの炭素フィラメント(試料CF−B)を、昭和電工株式会社(日本の東京)から入手した。蛍光X線によって測定した際に、試料の鉄含量は、約16ppmであった。等温時効試験により、試料の1.187%の重量減少が示された。785nmの励起におけるラマンDバンド対Gバンドの高さ比は0.33であった。
【0078】
CF−Bのフィラメントは、特に、CF−Aのフィラメントより狭く、大部分(>50%)が、典型的に直径が約100nm(>70nm)で長さが約10〜20ミクロンであり;その他は試料の全てのフィラメントがCF−Aと同様であった。フィラメントは、最高約3070Kで黒鉛化されたことが製造業者によって報告された。
【0079】
炭素フィラメントCF−CN
炭素フィラメント(試料CF−CN)の別の試料を、Nanostructured & Amorphous Materials Inc.(NanoAmor)(Houston、TX)から入手した。製造業者が測定した際に、試料の鉄含量は約73ppmであった。鉄の粒子が、試料CF−CNの図10に示されるように顕微鏡法によって示された。
【0080】
図10は、保持された鉄触媒の粒子を示す。試料CF−CNのフィラメントは、特に均一でなかった。製造業者は、それらを直径約80〜200nmおよび長さ10〜40ミクロンの黒鉛化された炭素ナノ繊維として特徴付けた。図11は、より小さい規模で不均一性をさらに強調していた。図12は、図の右側に、矢印が付いたフィラメントを示し;図の左側は、より大きいフィラメントではなく、アーチファクト(artifact)である。図12において、繊維のほとんどを貫通する穴が存在し、繊維の多層グラフェン部分に、フィラメントの外径の約50%の内径を与えており;CF−CNにおいてこのような構造がよく見られた。フィラメントの多くは竹のような構造を有していたが、多層のランプフェード形の積層部分を有していたものはほとんどなかった。
【0081】
CF−CNの等温時効試験により、試料の18.21%の重量減少が示された。785nmの励起におけるラマンDバンド対Gバンドの高さ比は1.05であった。
【0082】
炭素フィラメントCF−CP
炭素フィラメント(CF−CP)を含む別の試料を、Pyrograf Products Inc(Cedarville、OH)から入手した。製造業者が測定した際に、試料の鉄含量は約168ppmであった。等温時効試験により、試料の2.082%の重量減少が示された。785nmの励起におけるラマンDバンド対Gバンドの高さ比は0.55であった。
【0083】
フィラメントは、大部分(>50%)が、100〜200(〜150)nmの直径、30〜100ミクロンの長さ、15〜25(m2/g)の表面積を有する黒鉛化された炭素ナノ繊維であり、最高3,275Kの温度まで加熱されるものと考えられる。CF−CPの図13は、多くのフィラメントが、多くの場合、多層の軸方向外側シース内に、明らかな積層されたランプシェード形態を有した。図14は、グラフェンの外側の多層軸方向配置(矢印)および積層されたカップの図1を想起させる内側コアを有するこのようなフィラメントを示す。CF−CPの中身の図15は、「竹のような」構造を示し、2つの矢印が、1つのフィラメントにおいて繰り返される1つのセグメントを示している。
【0084】
製造業者は、金属触媒、硫化水素およびアンモニアの存在下で、メタン、エタン、他の脂肪族炭化水素、または石炭ガスのいずれかを分解することによって、気相内にフィラメントが生成されることを開示している。
【0085】
炭素フィラメントの特性は、表1にまとめられている。
【0086】
【表1】

【0087】
フルオロポリマー粉末充填剤
フルオロポリマーZONYL(登録商標)MP1300粉末を、E.I.du Pont de Nemours Company,Inc(Wilmington、Delaware)から入手した。フルオロポリマー粉末は、332℃(DSC)の融点および11ミクロンの粒径(D50、レーザー回折)を有する。
【0088】
図7〜15は、CF−A、CF−CN、およびCF−CPの差異を示す顕微鏡像である。
【0089】
図7は、炭素フィラメントCF−Aの透過電子顕微鏡像である。後続の図と比較して繊維の比較的均一な厚さおよび長さが明らかである。図8は、典型的なフィラメントの直径が約150nmであることを示す。図9は、CF−Aの構造が、グラフェン層の多くの傷(score)を有する非常に規則的な多層の軸方向フィラメントであることを明らかにし;表面の非常に小さい不規則な部分が矢印によって示される。
【0090】
図10は、炭素フィラメントおよび鉄粒子を指す矢印を示す混合物CF−CNの透過電子顕微鏡像である。図11は、非常に様々なタイプの炭素フィラメントがCF−CNに見られることを示す。図12は、1つのこのようなフィラメント、すなわち比較的大きい中空コアを有する狭い(<75ミクロン)フィラメントの構造を示す。
【0091】
図13は、混合物CF−CPの透過電子顕微鏡像である。左下において、「竹のような」フィラメントの端部が明らかである。フレームの左側からフレームの中央の下部に下がっているフィラメントが、図1および2に示されるタイプのものであるように見え;他のフィラメントが、図3の例であるように見え、外側部分が、グラフェン層の多層の軸方向配置である。図14は、後者のタイプの構造の拡大図であり;図15は、竹のようなフィラメントを拡大したものである。
【0092】
これらの顕微鏡写真の図から、CF−Aが、「竹のような」または積層されたランプシェード形グラフェン構造を最小限の量で有し、均一な多層の軸方向炭素フィラメントを最大の割合で有することが明らかである。
【0093】
ラマン分光法は、炭素フィラメント試料の差異を示す。図16Aは、CF−Aのラマンスペクトルの一部を示し;図16Bは、それに対応して、CF−Bのスペクトルを示し;図16Cは、それに対応して、CF−CNのスペクトルを示し、図16Dは、それに対応して、CF−CPのスペクトルを示す。CF−AおよびCF−Bのスペクトルはきわめて類似しているが;CF−CNスペクトルが、Gバンドに対する比率で比較的大きいDバンドエネルギー放出を有する一方、CF−CPのスペクトルは中間である。認められた比率を表1に記録する。
【0094】
実施例1。合計で100部の中に50部の[BPDA−alt−MPD]0.3−コ−[BPDA−alt−PPD]0.7ポリイミド、47部の黒鉛および3部のCF−Aを含有する組成物および物品の調製。
【0095】
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、m−フェニレンジアミン(MPD)およびp−フェニレンジアミン(PPD)をベースとするポリイミドを、あらゆる目的のために全体が本明細書の一部として参照により援用される米国特許第5,886,129号明細書に記載される方法にしたがって調製した。成分は、8.77gのMPD(81.1mmol)、20.47g(189mmol)のPPD、および79.55g(270mmol)のBPDAであった。(このポリイミド組成物を、比較例を含む全ての例に使用する)。BPDAを、MPDおよびPPDのピリジン溶液に加えた。生成されたポリアミド酸溶液を、41.92gの黒鉛および2.68gの炭素フィラメントCF−Aの存在下でイミド化して、50重量パーセントのポリイミド、47重量パーセントの黒鉛および3.0重量パーセントのCF−Aを含有するポリマーを生成した。組成物を単離し、洗浄し、乾燥させた。乾燥の後、Wileyミルを用いて20メッシュスクリーンによって組成物を粉砕して、粉末を形成した。
【0096】
粉末を、上述したような直径が2.5cmで厚さが約0.5cmの試験片ディスクに加工した。試験片の磨耗速度を、700Kで3時間にわたる300サイクル/分における改訂ASTM G133−05(2005)Wear Rate Method Bによって測定し、表2に示し、10-7cm3の単位の磨耗傷体積として報告する。熱酸化安定性(TOS)を、5気圧(0.5MPa)下で測定し、700K(800°F、427℃)で25時間後の重量減少を表2に示す。この測定は、10の再現組成物の平均である。
【0097】
表2の各組成物について同じ技術によって実験結果を得た。
【0098】
実施例2。45部のポリイミド、50部の黒鉛および5部のCF−Aを含有するポリイミド組成物および物品の調製。
【0099】
実施例1と類似の実験結果を伴う表2に示されるように、適切な比率の成分を用いて組成物の5%のCF−A含量を得たことを除き、実施例1の方法によってこの組成物および物品を調製した。粉末を、上述したような直径が2.5cmで厚さが約0.5cmの試験片ディスクに加工した。試験片の磨耗速度を、700Kで3時間にわたる300サイクル/分における改訂ASTM G133−05(2005)Wear Rate Method Bによって測定し、表2に示し、10-7cm3の単位の磨耗傷体積として報告する。熱酸化安定性(TOS)を、5気圧(0.5MPa)下で測定し、700K(800°F、427℃)で25時間後の重量減少を表2に示す。この測定は、9つの再現組成物の平均である。
【0100】
実施例3。50部のポリイミド、49部の黒鉛および1部のCF−Bを含有するポリイミド組成物および物品の調製。
【0101】
調製にCF−AではなくCF−B炭素フィラメントを使用したことを除き、実施例1の方法によってこの組成物および物品を調製した。改訂ASTM G133によって測定した際の得られた物品の磨耗速度およびTOSを、表2に示す。
【0102】
実施例4。50部の([BPDA−alt−MPD]0.3−コ−[BPDA−alt−PPD]0.7)ポリイミド、48部の黒鉛および2部のCF−CPを含有するポリイミド組成物および物品の調製。
【0103】
調製にCF−AではなくCF−CPを使用したことを除き、実施例1の方法によってこの組成物および物品を調製した。ASTM G133によって測定した際の得られた物品の磨耗速度およびTOSを、表2に示す。
【0104】
実施例5。50部の([BPDA−alt−MPD]0.3−コ−[BPDA−alt−PPD]0.7)ポリイミド、47部の黒鉛および3部のCF−CNを含有するポリイミド組成物および物品の調製。
【0105】
調製にCF−AではなくCF−CN炭素ナノ繊維を使用したことを除き、実施例1の方法によってこの組成物および物品を調製した。ASTM G133(改訂)によって測定した際の得られた物品の磨耗速度およびTOSを、表2に示す。
【0106】
実施例6、および相対的な磨耗の振動試験。
【0107】
黒鉛添加の際に少量のフルオロポリマー粉末を加えて、実施例1と同様に実施例6を調製した。乾燥粉末を、以下の比較例Bと同じ条件下での振動/揺動試験のための試験片として調製した。
【0108】
比較例A。50部の([BPDA−alt−MPD]0.3−コ−[BPDA−alt−PPD]0.7)ポリイミドおよび50部の黒鉛を含有するポリイミド組成物および物品の調製。
【0109】
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、m−フェニレンジアミン(MPD)およびp−フェニレンジアミン(PPD)をベースとするポリイミドを、あらゆる目的のために全体が本明細書の一部として参照により援用される米国特許第5,886,129号明細書に記載される方法にしたがって調製した。成分は、8.77gのMPD(81.1mmol)、20.47g(189mmol)のPPD、および79.55g(270mmol)のBPDAであった。BPDAを、MPDおよびPPDのピリジン溶液に加えた。生成されたポリアミド酸溶液を、41.92gの黒鉛の存在下でイミド化して、50重量パーセントの黒鉛および50重量パーセントのポリイミドを含有する組成物を生成した。組成物を単離し、洗浄し、乾燥させた。乾燥の後、Wileyミルを用いて20メッシュスクリーンによって組成物を粉砕して、粉末を形成した。
【0110】
粉末を、上述したような直径が2.5cmで厚さが約0.5cmの試験片ディスクに加工した。ASTM G133−05e1(2005年5月1日)(「ASTM G133」)手順B、すなわち記載のように改訂された(「ASTM G133」)によって測定した際の試験片の磨耗速度を表2に示し、10-8in3(10-7cm3)の単位の磨耗傷体積として報告する。熱酸化安定性(TOS)を、5気圧(0.5MPa)下で測定し、700K(800°F、427℃)で25時間後の重量減少を表2に示す。この測定は、10の再現組成物の平均である。
【0111】
黒鉛添加の際に少量のフルオロポリマー粉末を加えて、比較例Aと同様に比較例Bを調製した。あらゆる目的のために全体が本明細書の一部として参照により援用される米国特許第4,360,626号明細書に記載される方法にしたがって、実施例6および比較例Bを円筒状のブッシングに加工した。各例について1つの円筒状のブッシングに、399℃(750°F)で25時間、上述したような振動−揺動磨耗試験を行った。比較例Bに対する改善率としての実施例6の壁の磨耗の減少は、25パーセントであった(磨耗の値の比率が0.75である)。各実施例6および比較例Bについて1つの円筒状のブッシングに、475°F(246℃)で25時間、上述したような振動磨耗試験を行った。比較例Bに対する改善率としての実施例6の壁の磨耗の改善は、40パーセントであった(値の比率が0.6:1である)。
【0112】
表2は、試料および比較例の組成物および性能をまとめたものである。
【0113】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約20重量パーセント〜約55重量パーセントの高温ポリマーと;(b)約35重量パーセント〜約55重量パーセントの高温充填剤と;(c)約0.1重量パーセント〜約10重量パーセントの炭素フィラメントの混合物とを含む組成物であって、前記炭素フィラメントの混合物が、多層の軸方向炭素フィラメントを含み;
前記組成物の重量パーセントの合計が100に等しい組成物。
【請求項2】
前記高温充填剤が、高温充填剤の重量を基準にして50〜100重量パーセントの黒鉛を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記炭素フィラメントの混合物が、785nmの励起で、0.9未満のラマンDバンド対Gバンドの高さ比を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記比率が0.45未満である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記炭素フィラメントの混合物が、前記炭素フィラメントの混合物の重量、または前記組成物の重量を基準にして100ppm未満の鉄を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物の重量を基準にして30ppm未満の鉄を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記高温ポリマーが、ポリイミドポリマー、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ビスマレイミド、ポリアミドイミド、ポリ(エーテルエーテルケトン)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテルケトンケトン)、ポリ(ビスマレイミド)、フェノール、フルオロポリマー、およびエポキシ(特にエポキシ−フェノール)ポリマーからなる群から選択される少なくとも1つ以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記高温ポリマーが、ポリイミドを含み、前記ポリイミドが、
a)芳香族テトラカルボン酸二無水物成分ならびに
b)以下を含むジアミン成分:
(i)60モルパーセント超〜約85モルパーセントのp−フェニレンジアミン;および
(ii)15モルパーセント〜40モルパーセント未満のm−フェニレンジアミン
を有し;
a)およびb)が、約1:1の比率で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記芳香族テトラカルボン酸二無水物成分が、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
2ミクロン超かつ20ミクロン未満の長さを有する炭素フィラメントを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項11】
70ナノメートル超かつ400ナノメートル未満の幅を有する炭素フィラメントを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項12】
中空穴を有する炭素フィラメントを含む組成物であって、前記穴が、前記穴を有する前記炭素フィラメントの直径の0.4倍未満の直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物から作製される物品。
【請求項14】
5000×10-7cm3未満の、700Kで3時間にわたる300サイクル/分における改訂ASTM G133−05(2005)Wear Rate Method Bを有する、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
4000×10-7cm3未満の、700Kで3時間にわたる300サイクル/分における改訂ASTM G133−05(2005)Wear Rate Method Bを有する、請求項13に記載の物品。
【請求項16】
ブッシングである、請求項13に記載の物品。
【請求項17】
低磨耗用途に使用するのに適している、請求項13に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図17】
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【公表番号】特表2013−508533(P2013−508533A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536979(P2012−536979)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/054208
【国際公開番号】WO2011/053621
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】