説明

高温融体導電材料の熱物性測定方法及び測定装置

【課題】 本発明は、高温融体導電材料の熱伝導率κ及び放射率εを直接的かつ正確に測定することを課題とする。
【解決手段】 高温融体導電材料を中心部にて液滴として溶融させて電磁浮遊させる空間を有する高周波コイルと、上部より変調モードで熱エネルギーを加えるレーザー加熱手段と、溶融した上記材料の揺動を抑えるとともに上記材料内部の対流を抑制するための静磁場を与える手段と、下部より溶融した上記材料の温度を計測する手段とを用いた熱物性測定において、測定により得られたレーザー周期加熱の角周波数と位相差との関係を、非定常熱伝導方程式から導出した数式の数値解析結果で非線形最小二乗法に基づきフィッティングすることにより、パラメータである熱伝導率κ及び放射率εを得ることによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属融体や半導体融体の高温融体導電材料の熱物性(半球全放射率・熱伝導率)の計測に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコン単結晶などの結晶成長、タービンブレードなどに用いられる耐熱合金の鋳造、自動車や構造材料の溶接などの分野では、迅速さと精緻さが要求され、従来からの勘や経験による対応だけでは国際競争に対処できなくなってきている。特に、高品質を要求されるIT分野や航空宇宙分野においては、コンピュータシミュレーション解析による製品開発が必須になってきている。
このようなシミュレーション解析で用いる材料の融体(液体状態)及び結晶(固体状態)の高精度な熱物性値が産業界から強く要望されている。ところが、例えばシリコンの様な半導体材料やニッケル基合金の様な超高温耐熱材料が液体となっている状態(高温融体)は化学的に極めて活性で、その熱物性値は測定自体が困難であり、これまで用いられている熱物性値については、信頼に足る値が得られているとは言い難い。
【0003】
従来の熱物性の測定について概略的に以下に記述する。物質が固体状態にある場合の熱物性値は比較的測定が容易である。例えば比熱に関しては、交流カロリメトリー法と呼ばれる方法で測定ができる。交流カロリメトリー法とは、試料に対して交流振動を伴う加熱を行い、温度応答の振幅(一定温度からの温度の変化量)によって測定する方法である。固体の比熱測定はこの方法で測定が可能であるが、溶融状態にある試料については、融液を保持する容器などへの熱伝導が起こるために、交流カロリメトリー法は適用できない。
そのため融体を対象とした比熱の測定には、溶けた試料を油などの間接媒体の中に滴下し、その間接媒体の温度上昇から求める方法が用いられている。この方法では、落下中の温度降下、間接媒体との反応、及びそれに起因する間接媒体のコンタミネーション、間接的な測定によることからの精度の低さが問題となっている。
【0004】
上記のような高温で溶融状態にある被測定物の熱物性値を正確に測定する目的で、各種の浮遊方法(電磁浮遊、静電浮遊、ガス浮遊、音波浮遊等)を用いて、試料を非接触に保持する技術を用いることが考えられている。試料を浮遊させることにより、熱物性値の測定を行う際に、試料を容器壁面からの汚染を防ぐことや、容器からの計測ノイズを除去することが期待される。ところが浮遊法を併用して行われたほとんどの熱物性測定において、精度ある実測値は存在していない。
例えば、シリコンの熱伝導率の測定では、上記方法では、シリコン融液に表面張力分布起因のマランゴニ対流や密度の不均一に起因する自然対流に加えて、電磁浮遊の場合には電磁力による非常に速度の速い対流が発生し真の熱伝導率は得られていない。
【0005】
WunderlichとFecht(非特許文献1)は、電磁浮遊した高温融体に交流カロリメトリーを行い、定圧モル熱容量及び半球全放射率を測定する方法を確立し、過冷却領域まで含めたこれらの熱物性を測定している。彼らの方法によると、原理的には被測定試料の熱伝導率も測定できるが、通常は、液滴試料に密度差による自然対流及び表面張力差によるマランゴニ対流が存在するため、測定される熱伝導率はそれらの影響を受けた見掛けの値となり、真の熱伝導率は測定できない。非特許文献2、非特許文献3においては、静磁場中における電磁浮遊による融液試料の熱伝導率の測定を行っているが、温度分布の電磁撹拌による対流の影響を考慮していないことと、熱伝導率の算出の方法が不明である。
【0006】
また熱伝導率の測定の従来の技術としては、棒状の試料の一端を加熱して、加熱点から離れた点において、熱伝導による温度上昇を測定する方法が一般的である。融体の熱伝導率の測定は、融液を保持する容器などへの熱拡散が起こるために難しいことは、比熱の測定と同様である。
前述のように融体を浮遊させた状態にして熱伝導率を測定する方法も考えられるが、比熱の測定と同様に、種々の対流を抑制する手段が講じられねばならない。例えば、密度差に起因する自然対流を抑制するためには、ロケットや落下塔のような微小重力環境の利用が考えられる。しかしながら、現在、十分な実験時間を確保できる微小重力環境下で実験する機会はほとんどない。
【0007】
レーザーによる瞬間的な試料加熱に対応する温度変化から熱拡散率を測定して、熱伝導率を導出する方法がある(レーザーフラッシュ法)。熱伝導率と熱拡散率の関係式は以下のように表され、この式から熱伝導率が導出される。
κ= cp a ρ
ここで、κ:熱伝導率(W m-1K-1)、a:熱拡散率 (m2s-1)、cp:質量熱容量 (J kg-1K-1)、ρ:密度 (kg m-3)である。この方法は測定時間が短いため対流が発生する前に測定を終えることができると言われている。しかしながら、上記のように熱伝導率に換算する場合には、他で測定された熱容量や密度のデータを必要とする(非特許文献4)。
非定常熱線法は、直接熱伝導率を求めることができる。測定原理は、試料中に設置した加熱細線に定電流を流し、加熱細線の温度上昇の時間変化から熱伝導率を決定するものである。しかしながら、非定常熱線法を金属融体に適用する場合には、細線に絶縁皮膜を施さねばならず、その絶縁皮膜の影響を評価しなければならない(非特許文献5)。
【0008】
その他、電気抵抗率からWiedemann-Franz則を用いて熱伝導率を推定する方法がある。Wiedemann-Franz則は以下の式で表される。
κ=LT /ρE
ここでL:ローレンツ数(2.45×10-8 WΩK-2)、T:温度(K)、ρE:電気抵抗率(mΩ)である。Wiedemann-Franz則は、電気的過程における緩和時間と熱的過程における緩和時間が等しいという仮定に基づいており、この法則が成立するか否かは、実測をもって確認しなければならない。特に、合金系やシリコンのような半導体融液に対しては注意が必要である。この算出法は別の物性値からの推定によるもので、直接熱伝導率を測定するものではない。
【0009】
次に放射率については、赤外光の計測などにより放射率を測定する手法が一般的に用いられている。しかし、高温の物質の放射率測定においては、被測定物以外の周囲の材料なども高温の状態にあるため、それらからの熱放射がノイズとなり、正確な物性値の測定はできない。特に被測定物が高温で溶融状態にあるときは、必ずそれを保持する容器などと接しているために、融体の熱放射率の測定が困難であることは、前記二つの熱物性値の測定と同様である。
【0010】
電磁浮遊法は浮遊技術の一種で、試料の周りに配置した高周波コイルにより、導電性の試料に誘導電流を発生させ、交流磁場との相互作用によるローレンツ力を用いて試料を浮遊させる方法である。高温融体を非接触に保持できるため、各種の熱物性測定や過冷却実験などに用いられる。例えば、電磁浮遊法によって浮遊させた金属融体には、マランゴニ対流や自然対流に加えて、電磁力による対流が発生しているため、このままでは、熱伝導率の測定は不可能である。このような状態の金属融体に、さらに外部から強い静磁場(数テスラ程度)を印加すると、金属融体と静磁場の相互作用により、ローレンツ力が、融液の重心の移動や融液中の対流を抑制する方向に働く。すなわち、強い静磁場中では、液体の流れは強く抑制され、熱的には固体と同じように振る舞う。Yasudaら(非特許文献6)は、電磁浮遊液滴に静磁場を重畳するとローレンツ力により、液滴の振動や表面の対流が抑制され、剛体球が回転するように液滴が振る舞うことを報告した。
【0011】
次に発明者らは、これまでは間接的にしか計測できなかった溶融状態の材料の熱伝導率及び放射率の測定に関して、これを直接的に計測できる方法を公表した。
すなわち、高温融体導電材料を中心部にて溶融させ電磁浮遊させる空間を有する高周波コイルと、材料の上部より材料に対して変調モードで熱エネルギーを加えるレーザー装置と、溶融した材料の揺動を抑えるとともに溶融材料内部の対流を抑制するための静磁場を与える磁石装置と、下部より溶融した材料の温度を計測する放射温度計とを用いた高温溶融導電材料の熱物性測定方法において、
レーザーで材料上部から加熱し、材料下部の温度を測定するための、液滴の重心を原点とする球座標系における非定常熱伝導方程式を、
1)系は軸対称である。
2)周期加熱の温度振幅の範囲で熱物性値は一定である。
3)入射レーザー光は液滴表面でその物質の吸収率に応じて吸収され、透過しない。
4)入射レーザー光の強度分布はガウス分布にしたがう。
5)液滴表面からの放熱は、輻射のみである。
6)平均温度上昇及び温度の振幅は、初期温度に比べて小さい。
の1)〜6)の条件で解いて得た、
交流定常状態での温度応答の振幅ΔTAC、レーザー加熱からの温度応答の遅れ(位相差φs)、放射による外部熱緩和時間τ、熱伝導による内部熱緩和時間τに関する以下の式(8)〜(11)を用意するステップ1、
【0012】
【数2】

【0013】
(ここでε:分光放射率、ω:レーザー周期加熱の角周波数、P:レーザー強度の振幅、C:定圧熱容量、ε:半球全放射率、R:溶融液滴半径、T:初期温度、κ:熱伝導率、σSB:ボルツマン定数である。)
溶融した材料にレーザー周期加熱により融液を加熱し、交流定常状態での温度応答の振幅ΔTAC、レーザー加熱からの温度応答の遅れ(位相差φs)を計測した後、レーザー周期加熱を停止し、融液の放射冷却曲線を計測するステップ2、
測定したωに対する温度応答の振幅ΔTACと角周波数との積ΔTAC*ωの最大値を与えるωの数値を決定し(8)式より融液の定圧熱容量Cを算出するステップ3、
ステップ3で計測した融液の放射冷却曲線に対して、放射冷却中の温度T(t=t)と放射による外部熱緩和時間τとの次の関係式
(t=t)=T+ΔTDCexp(−t/τ) (12)
(ここでT:周期加熱前の初期温度、ΔTDC:周期加熱時に上昇した平均温度、t:時間である。)
とを、フィッティングさせることによりτを得て、式(10)より半球全放射率εを算出するステップ4、
ステップ1で計測した位相差φsの値と、ステップ4で得られたτの値を代入した式(9)をフィッティングさせることによりτを得、ステップ3で得られた定圧熱容量Cを用いて式(11)より熱伝導率κを算出するステップ5、
を含む高温融体導電材料の熱物性測定方法をすでに提案している(非特許文献7)。
【非特許文献1】R. K. Wunderlich and H. -J. Fecht, Meas. Sci. Technol., 16 (2005), 402-416.
【非特許文献2】大西史倫、Space Utiliz. Res. 21(2005),p39
【非特許文献3】大西史倫、第26回日本熱物性シンポジウム講演論文集 475ページ 講演番号C314
【非特許文献4】T. Nishi, A. Ikari, H. Shibata and H. Ohta, Materials. Trans., 44 (2003), 2369-2374.
【非特許文献5】E. Yamasue, M. Susa, H. Fukuyama, and K. Nagata, J. Crys. Growth, 234 (2002), 121-131.
【非特許文献6】H. Yasuda, I. Ohnaka, R. Ishii, S. Fujita and Y. Tamura: ISIJ Int., 45, No. 7(2005), 991-996.
【非特許文献7】H. Kobatake, H. Fukuyama, I. Minato, T. Nakamura and S. Awaji: The 26th Japan Symposium on Thermophysical Properties,2005,Tsukuba C309 460-462.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の高温融体導電材料の熱物性測定方法は、これまで間接的にしか計測できなかった溶融状態の材料の熱伝導率及び放射率の測定に関して、これを直接的に計測できる方法としては評価されるものではあるが、上記の高温融体導電材料の熱物性測定方法は、試料内部の熱伝導によるサーマルコンダクタンスの過程として、球体の中心から外部への熱伝導緩和過程を前提とするものであったため、現実の測定方法と相違する結果となっていた。そこで本発明は、レーザー加熱による熱物性値測定法を忠実に表現する熱伝導の基礎式を導き、これにより高温融体導電材料の真の熱物性を直接的に測定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するための手段は、次のとおりである。
1.高温融体導電材料を中心部にて液滴として溶融させて電磁浮遊させる空間を有する高周波コイルと、高温融体導電材料の上部より変調モードで熱エネルギーを加えるレーザー加熱手段と、溶融した高温融体導電材料の揺動を抑えるとともに高温融体導電材料の上下方向の対流を抑制するための静磁場を与える手段と、下部より溶融した高温融体導電材料の温度を計測する手段とを用いた高温融体導電材料の熱物性測定方法において、次の第1〜第3のステップにより高温融体導電材料の熱伝導率κ及び半球全放射率εを決定することを特徴とする高温融体導電材料の熱物性測定方法。
交流定常状態での温度応答の振幅(交流成分)ΔTAC、熱伝導率κ、半球全放射率ε、レーザー加熱からの温度応答の遅れである位相差φに関する以下の偏微分方程式(1)(2)、そのレーザー照射部の境界条件式(3)(4)、そのレーザー非照射部の境界条件式(5)(6)及びその位相差の定義式(7)を用意する第1のステップ、
【0016】
【数3】

【0017】
ここで、
:定圧質量熱容量(比熱)[J/kg.K]
elaser:レーザーの入射方向を示す単位ベクトル
κ:熱伝導率[W/m.K]
n:液滴表面の法線方向の距離[m]
n:液滴表面の法線方向単位ベクトル
:レーザーパワー[W]
s:液滴表面の半径方向距離[m]
r: 球座標の半径方向の距離[m]
rlaser:レーザービームのe-2半径[m]
T:温度[K]
:初期温度[K]
ρ:密度[kg/m3]
σSB:ステファン・ボルツマン定数[W/m2K4]
θ:球座標の極角[rad]
α:吸収率
ε: 半球全放射率
φ: 位相差[rad]
ω:レーザー周期加熱の角周波数[rad/s]
ΔTACin:温度の振幅ΔTACのレーザーと同一の位相(in-phase)成分
ΔTACout:温度の振幅ΔTACのレーザーからπ/2ずれている位相(out-of-phase )成分
averageΔTACin:放射温度計の測定面積におけるΔTACinの平均値
averageΔTACout:放射温度計の測定面積におけるΔTACoutの平均値
である。
【0018】
溶融した高温融体導電材料にレーザー周期加熱により融液を加熱し、定常状態での温度応答の振幅(交流成分)ΔTAC、レーザー加熱からの温度応答の遅れ(位相差φ)を、レーザー周期加熱の角周波数ωについて測定する第2のステップ、
及び上記第2のステップで測定された位相差φのω依存性を、上記式(1)〜(7)の数値解析結果で非線形最小二乗法に基づきフィッティングすることにより、パラメータである熱伝導率κ及び半球全放射率εを得る第3のステップ。
【0019】
2.上記第2のステップと第3のステップとの間に、レーザーの変調周波数ωに対するΔTACとωとの積の極大値から、融液の定圧熱容量Cを求めるステップを含む高温融体導電材料の熱物性測定方法。
3.上記高温融体導電材料は、シリコンである高温融体導電材料の熱物性測定方法。
4.高温融体導電材料内部の対流を抑制するための上記静磁場は、2T以上である高温融体導電材料の熱物性測定方法。
【0020】
5.上記1から4のいずれかの高温融体導電材料の熱物性測定方法に使用される熱物性測定装置であって、高温融体導電材料を中心部にて溶融させ電磁浮遊させる空間を有する高周波コイルと、上部より高温融体導電材料に変調モードで熱エネルギーを加えるレーザー装置と、溶融した高温融体導電材料の揺動を抑えるとともに高温融体導電材料における上下方向の対流を抑制するための静磁場を与える磁石装置と、下部より溶融した高温融体導電材料の温度を計測する放射温度計とを備えた高温融体導電材料の熱物性測定装置。
6.上記レーザー装置は、半導体レーザー装置であり、上記放射温度計は、2色放射温度計である高温融体導電材料の熱物性測定装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、いままできわめて困難であった、高温融体の熱物性測定を直接的にかつ正確に測定できる、画期的な方法を開発したことになる。この発明により、例えばシリコンの結晶成長や太陽電池用シリコンの凝固過程の数値シミュレーションに必要な、熱物性値が精度よく測定できるようになることからこれらプロセスの改良が行われ、結果として、品質の向上、省エネルギー、コスト削減に役立つ。また、この測定方法は他の金属にも適用できるため、超耐熱合金などの精密鋳造ならびに自動車や構造材料の精密溶接などの数値シミュレーションに必要な熱物性値を提供することもできる。したがって、鋳造や溶接の迅速化、高精度化、高信頼性化を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(測定原理)
本発明に係る、静磁場印加電磁浮遊交流カロリメトリーの測定原理図を図1に示す。
高温融体導電材料を中心部にて液滴として溶融させて電磁浮遊させる空間を有する高周波コイルと、高温融体導電材料の上部より変調モードP0(1+cosωt)で熱エネルギーを加えるレーザー加熱手段と、溶融した高温融体導電材料の揺動を抑えるとともに高温融体導電材料内部の対流を抑制するための静磁場を与える超伝導磁石のような手段と、下部より溶融した高温融体導電材料の温度を計測する手段とを用いた、レーザー照射交流カロリメトリー法により、高温融体導電材料の熱物性である熱伝導率κ及び半球全放射率εを直接的に測定するものである。
以下高温融体導電材料としてシリコンを例示して、本発明を詳細に説明する。
【0023】
(測定装置)
図2に測定装置の概略図を示す。本発明では、試料の浮遊及び加熱に電磁浮遊炉を用いた。電磁浮遊炉は、コイル、高周波電源、真空チャンバー、制御盤、冷却水循環装置からなる。コイルは、重力に抗して上向きの力で試料を浮遊させる浮遊コイル、上部から試料を下向きの力で安定化させる安定化コイルから構成されている。コイルに電力を供給する高周波電源は、トランジスタインバータ方式であり、出力電力は15kW、200kHzである。真空チャンバーは、ロータリーポンプを介してターボ分子ポンプに接続されており、2つの真空ポンプを併用することにより10-4 Paオーダーまで減圧することができる。試料温度は、試料の浮遊位置に依存するため、高周波電源の出力電力を調整することで温度の調節を行うことができる。半導体CWレーザー(140W、808nm)を利用して試料の周期加熱を行う。
【0024】
試料には、約0.8gになるように立方体状に切り出した高純度単結晶シリコンを用いた。石英製のロッドで高周波コイルの中心に試料を保持し、チャンバー内を高純度Arガス(99.9999%)で置換した後、ターボ分子ポンプで10-3〜10-2 Paオーダーまで減圧した。半導体レーザーを用いてシリコンを予熱してから、超伝導マグネット中に設置された高周波コイル内で試料を浮遊溶融させた。静磁場(0.5〜4T)を印加し、高周波電流を調節することにより、溶融シリコンの位置及び温度を制御した。溶融シリコンの半径は4mmである。
試料垂直上方から半導体CWレーザーを照射することにより周期加熱を行った。ファンクションジェネレータを用いてレーザー出力の周期変調を行った。試料表面におけるレーザー照射径は直径4mmである。試料の温度応答は、試料下部から2色放射温度計(λ=0.9μm、1.35μm)を用いて測定した。試料からの放射光のみを選択的に通過させるために、試料下方約610mmの位置に、直径6mmの孔を有する高さ60mmの絞りを設置した。
【0025】
(非定常熱伝導方程式から関係式の導出)
レーザーで上部から加熱し、下部から測定するための、液滴の重心を原点とする球座標系における非定常熱伝導方程式を後述する1)〜6)の仮定のもとで簡略化することにより、定常状態での温度応答の振幅ΔTAC、熱伝導率κ、半球全放射率ε、レーザー加熱からの温度応答の遅れ:位相差φsに関する以下の、偏微分方程式(1)(2)、そのレーザー照射部の境界条件式(3)(4)、そのレーザー非照射部の境界条件式(5)(6)及びその位相差の定義式(7)を得た。
【0026】
【数4】

【0027】
ここで、
:定圧質量熱容量(比熱)[J/kg.K]
elaser:レーザーの入射方向を示す単位ベクトル
κ:熱伝導率[W/m.K]
n:液滴表面の法線方向の距離[m]
n:液滴表面の法線方向単位ベクトル
:レーザーパワー[W]
s:液滴表面の半径方向距離[m]
r: 球座標の半径方向の距離[m]
rlaser:レーザービームのe-2半径[m]
T:温度[K]
:初期温度[K]
ρ:密度[kg/m3]
σSB:ステファン・ボルツマン定数[W/m2K4]
θ:球座標の極角[rad]
α:吸収率
ε: 半球全放射率
φ: 位相差[rad]
ω:レーザー周期加熱の角周波数[rad/s]
ΔTACin:温度の振幅ΔTACのレーザーと同一の位相(in-phase)成分
ΔTACout:温度の振幅ΔTACのレーザーからπ/2ずれている位相(out-of-phase )成分
averageΔTACin:放射温度計の測定面積におけるΔTACinの平均値
averageΔTACout:放射温度計の測定面積におけるΔTACoutの平均値
である。
【0028】
上記各式は、それぞれ次の(a)〜(c)において得られる。
(a) 数値シミュレーションにおける仮定
1)系は軸対称である。
2)周期加熱の温度振幅の範囲で熱物性値は一定である。
3)入射レーザー光は液滴表面でその物質の放射率に応じて吸収され、透過しない。
4)入射レーザー光の強度分布はガウス分布にしたがう。
5)液滴表面からの放熱は、輻射のみである。
6)平均温度上昇(直流成分)ΔTDC及び温度の振幅(交流成分)ΔTACは初期温度Tに比べ小さい( ΔTDC << T0、ΔTAC<< T0 )。
【0029】
(b) 基礎式及び境界条件
上記の仮定の下で、原点を液滴の重心とする球座標系(図3参照)における非定常熱伝導方程式は以下のように与えられる。
【0030】
【数5】

【0031】
ここで、ρ[kg/m3]は密度、cp [J/kg.K]は定圧質量熱容量(比熱)、T [K]は温度、t [s]は時間、κ [W/m.K]は熱伝導率、r [m]及びθ[rad]は、球座標の半径方向の距離及び極角である。
境界条件は次式により与えられる。
液滴表面(レーザーにより加熱されている部分):
【0032】
【数6】

【0033】
液滴表面(レーザーにより加熱されていない部分):
【0034】
【数7】

【0035】
対称軸:
【0036】
【数8】

【0037】
ここで、T[K]は周囲温度、σSB [W/m2.K4]はステファン・ボルツマン定数、ε[-]は半球全放射率、α[-]は吸収率、I0 [W/m2]は中心軸上のレーザー強度、Rs [m]は液滴表面の半径方向距離、rlaser [m]はレーザービーム半径、nは液滴表面の法線方向単位ベクトル、elaserはレーザーの入射方向を示す単位ベクトルであり、本解析対象の場合elaser=cosθer-sinθeθで与えられる。また、I0はいわゆるレーザー強度P [W]と以下の関係にある。
【0038】
【数9】

【0039】
ここで、ω [rad/s]は、レーザー周期加熱の角周波数である。
また、初期条件は、
T=T (18)
となる。
【0040】
(c) モデルの簡略化
温度Tを以下のように直流成分ΔTDCと交流成分ΔTACに分けて考える。
T(r、θ、t)= T0+ΔTDC(r、θ、t)+ΔTAC(r、θ、t) (19)
いま、交流成分を以下のように書き換える。
T(r、θ、t)= T0+ΔTDC(r、θ、t)+ΔTACin(r、θ)cosωt+ΔTACout(r、θ)sinωt
(20)
ここで、ΔTACin及びΔTACoutは、それぞれΔTACのレーザーと同一の位相、in-phase 及びレーザーからπ/2ずれている位相、out-of-phase 成分である。
式(19)を式(13)に代入すると、
【0041】
【数10】

【0042】
となり、さらに、
【0043】
【数11】

【0044】
のように直流成分と交流成分に関する偏微分方程式に分けることができる。ここで、式(23)に式(20)を適用すると、
【0045】
【数12】

【0046】
となるから、cosωtとsinωtに関して整理すると、ΔTACin及びΔTACoutに関する以下の偏微分方程式を得ることができる。
【0047】
【数13】

【0048】
次に、境界条件を考える。式(14)に式(19)を代入すると、
【0049】
【数14】

【0050】
が得られる。ここで、
【0051】
【数15】

【0052】
であり、(a)の仮定6)に基づき高次の項を無視すると、式(27)は
【0053】
【数16】

【0054】
となる。式(29)に式(20)を代入すると、
【0055】
【数17】

【0056】
となる。ここで、ΔTACのcosωtとsinωtに関して整理すると、
【0057】
【数18】

【0058】
が得られる。式(15)、 (16)の境界条件も同様に扱うと、
【0059】
【数19】

【0060】
式(22)、 (25)、 (26)を境界条件式(31)から(36)のもとで解くと、
ΔTACin及びΔTACoutが得られる。
以上の結果を用いて、測定結果に相当する位相差φsは次式により得られる。
【0061】
【数20】

【0062】
ここで、
【0063】
【数21】

【0064】
であり、Spyrometerは放射温度計のスポットの無次元面積である。
【0065】
なお式(22)、 (25)、 (26)を境界条件式(31)から(36)のもとで解いて、 ΔTACin及びΔTACoutを得るためには、以下の(d)無次元化及び(e)離散化の手段を用いることによって導出が実現できる。
(d) 無次元化
長さ,温度及び熱伝導度の代表値として、それぞれ液滴の球相当半径R[m],初期温度T0 [K]及びκref [W/m.K]を用い、式(25)、 (26)を無次元化すると次式が得られる。
【0066】
【数22】

【0067】
ここで、上付き*は無次元の値を示す.
境界条件は次式のようになる.
液滴表面(レーザーにより加熱されている部分):
【0068】
【数23】

【0069】
液滴表面(レーザーにより加熱されていない部分):
【0070】
【数24】

【0071】
対称軸:
【0072】
【数25】

【0073】
ここで、Ra*(=4σSBεRT03ref)はラディエーション数である。また、無次元レーザー強度P0*は 2αP0/(πT0κrefR)、無次元周波数ω*はωR2ρcprefで定義される。
【0074】
(e) 離散化
ここでは、基礎式及び境界条件式(40)から(47)をGalerkin有限要素法により離散化する。ただし、上付き添え字*は省略した。式(40)のGalerkin有限要素方程式は、重み関数をφiとすると、次式により与えられる。
【0075】
【数26】

【0076】
部分積分を適用すると,
【0077】
【数27】

【0078】
ここで、nr及びnθは法線方向単位ベクトルnの各成分であり、上式の最終項は境界での表面積分項を示す。例えば,液滴表面(レーザー照射部)においては、式(42)より、
【0079】
【数28】

【0080】
であるから、式(50)は以下のようになる。
【0081】
【数29】

【0082】
ここで、
【0083】
【数30】

【0084】
である。同様に、式(41)を離散化すると、
【0085】
【数31】

【0086】
となる。
式(52)、 (54)を解くに当たり、対象領域(0≦r≦r(θ),0≦θ≦π)を有限個の9節点四角形要素に分割し、各要素内でΔTACin及びΔTACoutを以下のように近似する。
【0087】
【数32】

【0088】
ここで、φiは双2次の内挿関数である。式(55-1,2)を式(52)及び(54)に代入すると、最終的に以下の代数方程式が得られる。
【0089】
【数33】

【0090】
式(56)、 (57)を直説法で解くことにより、各節点でのΔTAC,jin及びΔTAC,joutが求まる。
【0091】
(測定データの取得)
図2に示す測定装置において、レーザーによる周期加熱が始まると、試料温度は徐々に上昇し、定常状態に達する。定常状態においてレーザーの周波数を変化させ、連続で測定を行った。測定は、初期温度To、静磁場及びレーザーの周期加熱の角周波数ωを以下の範囲で変化させて必要なデータを取得した。
初期温度T:1700<T<2050K
静磁場:0〜4T
角周波数ω:0<ω<2rad/s
【0092】
角周波数ωを0.1256rad/s(0.02Hz)とした場合の交流定常状態の典型的な温度応答を図4に示す。レーザーの周期加熱の角周波数ωを変化させて測定することにより、位相差φs及び温度振幅ΔTACの角周波数ω依存性が計測される。
【0093】
(熱伝導率・半球全放射率の算出)
位相差φsの空間分布は、ΔTAC,jin及びΔTAC,joutを用いて式(7)より得られるので、測定により得られた角周波数ωと位相差φsとの関係(図5参照)を、上記式(1)〜(7)の数値解析結果で非線形最小二乗法に基づきフィッティングすることにより、パラメータである熱伝導率κ及び放射率εが得られる。フィッティングは自作のプログラムを用いて行った。また、計算には、市販のコンピュータが制限なく使える。
【0094】
なお上記熱伝導率κ及び放射率εの算出に必要な融液の定圧熱容量Cの数値は、既存の数値を採用してもいいが、段落0013でも紹介した非特許文献7により公知の方法により熱伝導率κ及び放射率εの算出に先だって測定値より算出することができる。すなわち測定したωに対する温度応答の振幅ΔTACと角周波数ωとの積の最大値を与えるωの数値を決定し、(8)式より融液の定圧熱容量Cを算出することができる。この場合には、融液状態のシリコンの定圧熱容量C、熱伝導率κ及び放射率εといった熱物性値について全て直接計測が可能となる利点がある。
【0095】
(半球全放射率の算出結果)
本測定で得られた溶融シリコンの半球全放射率の数値を図6に示す。静磁場の強さを1T〜4T及び温度を1750〜1930Kの範囲で測定された数値が示されている。静磁場による半球全放射率に対する影響は認められない。測定された数値の平均をとることにより、シリコンの半球全放射率として0.25が得られた。なお半球全放射率については文献値も少なく、図中に示すように融点近傍の値が一つある程度である。
【0096】
(熱伝導率の算出結果)
次に本測定で得られた溶融シリコンの熱伝導率の数値を図7に示す。静磁場の強さを0.5T〜4T及び温度を1750〜2050Kの範囲で測定された数値が示されている。静磁場の強さを変えて測定を行った結果、磁場を大きくすると見かけ上、熱伝導率の値は徐々に小さくなっているのが分かる。そして2T以上では有意の差違は認められない。これは2T以上では、静磁場の流動抑制効果により、溶融シリコン中の対流が抑制されたためと考えられる。
参考までに図7中に既往の測定値(Cusack〜Yamasue)を図示する。既往の測定値は、1800Kより低い温度範囲の測定値に限られている。
【0097】
本測定とは別に、図8に静磁場の有無によるシリコン液滴の表面挙動の違いを示す。図8は、静磁場の有無(0T及び3T)によるシリコン液滴表面の流れの違いについて観察した結果(Side view)をコマ送りで示したものである。同図において、どちらも直径10mmのシリコン球を用いて、浮遊溶解し、リカレッセンスが始まった直後の画像で、白く見える部分は、凝固したシリコンである。このような島状のシリコン結晶は、シリコン融液表面において、トレーサーの役割を果たしており、矢印に示すシリコン結晶の移動距離から、水平横方向及び垂直縦方向の速度を算出した。
図8より、静磁場強度が3Tの場合では、垂直縦方向の動きはかなり抑制され、試料の垂直軸を回転軸とする回転運動をしていることが分かる。この傾向は2T以上の静磁場でみられることが確認されている。
このようなことから、磁場強度2〜4Tの熱伝導率の値を平均して、シリコンの熱伝導率として62Wm−1−1を得た。
【0098】
なお本測定においては、高温融体導電材料としてシリコンを用いたが、ニッケル、白金等の金属であってもよい。すなわち高周波コイル中で溶融・浮遊させるためのローレンツ力が働く程度の導電性を持った高温融体となるような材料であれば、本発明は適用可能である。
また本発明の熱物性測定方法は、任意形状の液滴に適用可能である。すなわち測定される高温融体導電材料が、重力その他の影響によってその形状が理想的な真球形状でなく、例えば上下方向に歪んだ形状をとっても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】静磁場印加電磁浮遊交流カロリメトリーの測定原理図である。
【図2】静磁場印加電磁浮遊交流カロリメトリー装置の概略図である。
【図3】球座標系を表す図である。
【図4】溶融シリコンのレーザー照射(0.02Hz)による温度応答図である。
【図5】角周波数ωと位相差φsとの関係を示す図である。
【図6】溶融シリコンの半球全放射率の測定値を示す図である。
【図7】溶融シリコンの熱伝導率の測定値を示す図である。
【図8】静磁場の有無によるシリコン液滴の表面挙動の違いを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温融体導電材料を中心部にて液滴として溶融させて電磁浮遊させる空間を有する高周波コイルと、高温融体導電材料の上部より変調モードで熱エネルギーを加えるレーザー加熱手段と、溶融した高温融体導電材料の揺動を抑えるとともに高温融体導電材料内部の対流を抑制するための静磁場を与える手段と、下部より溶融した高温融体導電材料の温度を計測する手段とを用いた高温融体導電材料の熱物性測定方法において、次の第1〜第3のステップにより高温融体導電材料の熱伝導率κ及び半球全放射率εを決定することを特徴とする高温融体導電材料の熱物性測定方法。
交流定常状態での温度応答の振幅(交流成分)ΔTAC、熱伝導率κ、半球全放射率ε、レーザー加熱からの温度応答の遅れである位相差φに関する以下の偏微分方程式(1)(2)、そのレーザー照射部の境界条件式(3)(4)、そのレーザー非照射部の境界条件式(5)(6)及びその位相差の定義式(7)を用意する第1のステップ、
【数1】

ここで、
:定圧質量熱容量(比熱)[J/kg.K]
elaser:レーザーの入射方向を示す単位ベクトル
κ:熱伝導率[W/m.K]
n:液滴表面の法線方向の距離[m]
n:液滴表面の法線方向単位ベクトル
:レーザーパワー[W]
s:液滴表面の半径方向距離[m]
r: 球座標の半径方向の距離[m]
rlaser:レーザービームのe-2半径[m]
T:温度[K]
:初期温度[K]
ρ:密度[kg/m3]
σSB:ステファン・ボルツマン定数[W/m2K4]
θ:球座標の極角[rad]
α:吸収率
ε: 半球全放射率
φ: 位相差[rad]
ω:レーザー周期加熱の角周波数[rad/s]
ΔTACin:温度の振幅ΔTACのレーザーと同一の位相(in-phase)成分
ΔTACout:温度の振幅ΔTACのレーザーからπ/2ずれている位相(out-of-phase) 成分
averageΔTACin:放射温度計の測定面積におけるΔTACinの平均値
averageΔTACout:放射温度計の測定面積におけるΔTACoutの平均値
である。
溶融した高温融体導電材料にレーザー周期加熱により融液を加熱し、定常状態での温度応答の振幅(交流成分)ΔTAC、レーザー加熱からの温度応答の遅れ(位相差φ)を、レーザー周期加熱の角周波数ωについて測定する第2のステップ、
及び上記第2のステップで測定された位相差φのω依存性を、上記式(1)〜(7)の数値解析結果で非線形最小二乗法に基づきフィッティングすることにより、パラメータである熱伝導率κ及び半球全放射率εを得る第3のステップ。
【請求項2】
上記第2のステップと第3のステップとの間に、ωに対するΔTACとωとの積の極大値から、融液の定圧熱容量Cを求めるステップを含む請求項1に記載の高温融体導電材料の熱物性測定方法。
【請求項3】
上記高温融体導電材料は、シリコンである請求項1又は2に記載の高温融体導電材料の熱物性測定方法。
【請求項4】
高温融体導電材料内部の対流を抑制するための上記静磁場は、2T以上である請求項1から3のいずれか1項に記載の高温融体導電材料の熱物性測定方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の高温融体導電材料の熱物性測定方法に使用される熱物性測定装置であって、高温融体導電材料を中心部にて溶融させ電磁浮遊させる空間を有する高周波コイルと、上部より高温融体導電材料に変調モードで熱エネルギーを加えるレーザー装置と、溶融した高温融体導電材料の揺動を抑えるとともに高温融体導電材料内部の対流を抑制するための静磁場を与える磁石装置と、下部より溶融した高温融体導電材料の温度を計測する放射温度計とを備えた高温融体導電材料の熱物性測定装置。
【請求項6】
上記レーザー装置は、半導体レーザー装置であり、上記放射温度計は、2色放射温度計である請求項5に記載の高温融体導電材料の熱物性測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−8793(P2008−8793A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180330(P2006−180330)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年2月28日 化学工学会発行の「化学工学会 第71年会 研究発表講演要旨集」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年3月1日 社団法人 日本鉄鋼協会発行の「材料とプロセス、Vol.19(2006)No.1」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年3月21日 社団法人 日本金属学会発行の「日本金属学会講演概要」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年5月29日 社団法人 日本伝熱学会発行の「第43回日本伝熱シンポジウム CD−ROM講演論文集」に発表
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【Fターム(参考)】