説明

高炉装入原料の製造方法及び高炉装入原料の製造装置

【課題】結晶水を含む鉄鉱石を高炉用原料とするためにプラスチックを浸透させるに当たって、鉄鉱石内のプラスチック含有量を従来よりも多く含有させて、その結果、鉄鉱石の高炉装入時の強度と被還元性を向上させることができる高炉装入原料の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】結晶水を含む鉄鉱石を加熱し、結晶水を熱分解除去して、鉄鉱石の内部に気孔を生成させる工程と、前記生成した鉄鉱石の内部の気孔に、溶融状態のプラスチックを浸透させて、プラスチックが浸透した鉄鉱石を製造する工程とを有する高炉装入原料の製造方法であって、前記溶融状態のプラスチックを浸透させる時の温度を、前記結晶水を熱分解除去するときの温度以下とすることを特徴とする高炉装入原料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
結晶水を含む塊状の鉄鉱石の強度を向上させる高炉装入原料の製造方法に関する。さらに、結晶水を含む鉄鉱石の被還元性を向上させる高炉装入原料の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
塊状の鉄鉱石は高炉装入原料として10〜20mass%使用されることが多く、結晶水を含む塊状の鉄鉱石も使用されている。このとき塊状の鉄鉱石は高炉内での通気を良好に保つために通常は10mm以上30mm以下の粒径に篩い分けられて使用される。
結晶水を含む塊状の鉄鉱石を、溶融状態のプラスチックに浸漬させて、結晶水を熱分解除去して生じた鉄鉱石中の気孔に前記溶融状態のプラスチックを浸透させて、鉄鉱石の強度と被還元性を改善する方法が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−111168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
塊状の鉄鉱石に含まれる結晶水は、200℃程度から分解をはじめて、鉄鉱石中から除去される。鉄鉱石に含まれる結晶水が分解して除去されるとき、鉄鉱石内部に亀裂が発生し、気孔量が多くなり、強度が低下する。
したがって、結晶水を含有する塊状の鉄鉱石が高炉に装入されて昇温され、鉄鉱石に含まれる結晶水が分解して除去されると、高炉内で鉄鉱石の強度が低下する。その結果、該鉄鉱石が高炉内で粉化し、高炉内のガスの通気性が阻害され、高炉操業が阻害される。
特に、結晶水を4mass%以上含有する塊状の鉄鉱石、例えば豪州産の褐鉄鉱石は、結晶水が分解して除去された後の強度が大きく低下するので、結晶水を4mass%以上含有する塊状の鉄鉱石の使用量を増やすと、高炉操業が阻害されると特許文献1に記載されている。ここで、結晶水の分析はカールフィッシャー法(JIS M8211)によるものである。
【0005】
特許文献1には、結晶水を含む塊状の鉄鉱石の還元粉化性と被還元性を改善する方法が記載されている。特許文献1に記載されている方法は、結晶水を含む塊状の鉄鉱石を加熱して結晶水を熱分解させる工程と、結晶水が熱分解除去して生じた鉄鉱石中の気孔に溶融状態のプラスチックが浸透する工程とを、一つの処理槽で同時に進行させる方法である。
【0006】
さらに、特許文献1には、鉄鉱石中の結晶水の加熱分解は、200℃程度から始まって300℃付近で活発になり、プラスチックの溶融は、その種類に依存するが150℃程度から始まり、プラスチックのガス化は400℃程度から始まると記載されている。
すなわち、結晶水の熱分解と鉄鉱石へのプラスチックの浸透を一つの処理槽で同時に進行させるためには、その処理槽の温度を300〜400℃に制御する必要があると考えられる。
【0007】
結晶水の分解速度を大きくして、結晶水を十分に熱分解するとともに処理時間を短くするためには300℃よりもさらに高い温度にすることがより望ましい。一方、プラスチックのガス化量を抑制し、鉄鉱石中に浸透するプラスチック量を十分確保するとともに、プラスチックの利用効率を上げるためには、その処理槽の温度をガス化が始まる400℃よりもさらに低い温度にすることがより望ましい。
【0008】
しかしながら、結晶水を含む鉄鉱石を加熱する温度を高くすることと、プラスチックのガス化量を抑制するために温度を低くすることを、一つの処理槽で同時に達成することは困難である。
【0009】
本発明は、結晶水を含む鉄鉱石を高炉用原料とするためにプラスチックを浸透させるに当たって、上記課題を解決し、鉄鉱石内のプラスチック含有量を従来よりも多く含有させて、その結果、鉄鉱石の高炉装入時の強度と被還元性を向上させることができる高炉装入原料の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)結晶水を含む鉄鉱石を加熱し、結晶水を熱分解除去して、鉄鉱石の内部に気孔を生成させる工程と、前記生成した鉄鉱石の内部の気孔に、溶融状態のプラスチックを浸透させて、プラスチックが浸透した鉄鉱石を製造する工程とを有する高炉装入原料の製造方法であって、前記溶融状態のプラスチックを浸透させる時の温度を、前記結晶水を熱分解除去するときの温度以下とすることを特徴とする高炉装入原料の製造方法。
【0011】
(2)前記結晶水を含む鉄鉱石が10mm以上30mm以下の粒径の塊状の鉄鉱石であることを特徴とする(1)記載の高炉装入原料の製造方法。
(3)前記結晶水を含む鉄鉱石中の結晶水の割合が4mass%以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の高炉装入原料の製造方法。
(4)前記溶融状態のプラスチックの原料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、若しくはポリスチレン、又はこれらを含む混合物を用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法。
(5)前記溶融状態のプラスチックの原料の一部又は全部として、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び、ポリスチレンのうちの1種又は2種以上を、加熱して熱分解したガスを冷却して得られる常温で固体または液体の生成物を用いることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法。
(6)前記結晶水を熱分解除去するときの温度が350〜550℃であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法。
(7)前記溶融状態のプラスチックが、プラスチックを200〜350℃に加熱した後に得られるものであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法。
(8)前記溶融状態のプラスチックを浸透させるときの温度が200〜350℃であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法。
【0012】
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法に使用する高炉装入原料の製造装置であって、プラスチックを200〜350℃に加熱して溶融するプラスチック溶融槽と、結晶水を含む鉄鉱石を350〜550℃に加熱して結晶水を熱分解除去する鉄鉱石処理槽と、前記プラスチック溶融槽中の溶融状態のプラスチックを結晶水が熱分解除去された鉄鉱石が存在する前記鉄鉱石処理槽へ移送する溶融プラスチック移送管とを備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の高炉装入原料の製造方法、または製造装置を用いると、結晶水を含む鉄鉱石を高炉用原料とするためにプラスチックを浸透させるに当たって、鉄鉱石中のプラスチック含有量を従来よりも多くすることが可能となり、高炉の安定操業に必要な、結晶水を含む塊状の鉄鉱石の強度又は強度と被還元性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】:本発明に係る鉄鉱石処理プロセスの一例を示す図である。
【図2】:実施例1〜3における実験装置を示す図である。
【図3】:実施例4、比較例1における実験装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
結晶水を含有する鉄鉱石であっても、鉄鉱石中の気孔に溶融状態のプラスチックを浸透させることによって、鉄鉱石の強度を向上させることができ、さらに、浸透したプラスチック中の炭素分や水素分といった還元性成分によって、鉄鉱石の還元速度も大きくすることができる。
【0016】
鉄鉱石の強度をより向上させ、鉄鉱石の還元速度をより大きくするためには、鉄鉱石中の気孔に溶融状態のプラスチックをなるべく大量に浸透させることが望ましい。そこで本発明者等が鋭意検討した結果、従来技術のように鉄鉱石中の結晶水の除去とプラスチックの浸透を同時に行うのではなく、まず鉄鉱石を加熱して、鉄鉱石中の結晶水を除去し、鉄鉱石中に十分な気孔を生成させてから、次に、その気孔中に溶融状態のプラスチックを浸透させることが効果的であることを見出して本発明を為すに至った。
【0017】
ここで、本発明で言うところの鉄鉱石とは、ペレットや焼結鉱とせずに高炉に直接装入する塊状の鉄鉱石のことである。この塊状の鉄鉱石は、通常は、篩い分けにより10〜30mmの粒径に揃えられている。
【0018】
結晶水を4mass%以上含む鉄鉱石は高炉内での結晶水の熱分解で生じる強度低下による粉化がとくに大きいので、結晶水を4mass%以上含む鉄鉱石を前記の加熱処理をすることによって高炉内での鉄鉱石の粉化を抑制し粉化によって生じる高炉操業異常を回避する効果がとくに大きい。
【0019】
プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンまたはこれらを含む混合物を用いることが可能で、使用済みの廃プラスチックもこれに含まれる。使用済みの廃プラスチックを使用することは経済的であり、かつ資源リサイクルを効率的に行うことが可能となる。
【0020】
また、プラスチックとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンまたはこれらを含む混合物を加熱して熱分解により発生したガスを冷却して得られる常温で固体状または液体状の生成物を全量または一部混合して用いることも可能である。このようにして得られた常温で固体状または液体状の生成物は200℃以上での溶融状態の粘性がきわめて低く、鉄鉱石内の微細な気孔にも良く浸透する。
鉄鉱石内に生成する気孔が微細であるときにはこのような熱分解により発生したガスを冷却して得られる固体状または液体状の生成物をプラスチックとして全量または一部混合して使用することが有効である。
【0021】
鉄鉱石中の結晶水の加熱分解反応は高温であるほど活発なので、鉄鉱石中の結晶水を加熱分解する温度は高温であるほど望ましい。また、プラスチックのガス化反応も高温であるほど活発なので、プラスチックのガス化反応が緩慢な低い温度で加熱溶融することが望ましい。
【0022】
鉄鉱石中の結晶水の加熱分解は、200℃程度から始まり、350℃以上から鉄鉱石中の結晶水の加熱分解速度が大きくなるため、加熱処理時間を短くするためには350℃以上で鉄鉱石を処理することが望ましい。ただし、高温ほど鉄鉱石中の結晶水の加熱分解速度は大きくなるものの、550℃よりも高い温度に加熱することは、消費エネルギーが大きくなるにもかかわらず、温度上昇による結晶水の加熱分解速度増加の効果が小さくなるため、加熱温度は550℃以下にすることが望ましい。
【0023】
一方、プラスチックのガス化温度は、その種類に依存するが400℃程度であるため、ガス化があまり生じない350℃以下でプラスチックの溶融処理および鉄鉱石へのプラスチックの浸透処理を行うことが望ましい。ただし、プラスチックが溶融して容易に鉄鉱石中の気孔に浸透するためには、プラスチックを200℃以上に加熱して溶融プラスチックの粘度を低下させることが望ましい。
【0024】
鉄鉱石中の結晶水の加熱分解する温度を350℃以上、550℃以下にするとともに、プラスチックを溶融する温度を200℃以上、350℃以下にするためには、一つの処理槽で結晶水の熱分解除去とプラスチックの溶融・浸透とを段階的に処理して温度を制御することも可能だが、一つの処理槽で段階的に処理するよりも、二つの処理槽に分けて、それぞれの処理槽で温度を制御して処理することが好ましい。
【0025】
例えば、プラスチック溶融槽2と鉄鉱石処理槽4とからなる図1に示す鉄鉱石処理プロセスを構成して、プラスチック溶融槽2でプラスチックを加熱して溶融し、鉄鉱石処理槽4で結晶水を含む鉄鉱石を加熱して結晶水を熱分解除去し、プラスチック溶融槽2から溶融プラスチック搬送ポンプ7を用い溶融プラスチック搬送管9を通して溶融プラスチックを鉄鉱石処理槽4に装入して、あらかじめ鉄鉱石処理槽4で結晶水を熱分解除去した鉄鉱石中に生じた気孔に溶融状態のプラスチックを鉄鉱石処理槽4で浸透させることが効率的である。
また、その逆に、プラスチック溶融槽2の溶融プラスチック中に、結晶水が熱分解除去された気孔を有する鉄鉱石を投入して、気孔中に溶融状態のプラスチックを浸透させて処理することもできる。
【0026】
なお、図1に示すプロセスでは、鉄鉱石処理槽4から揮発するガス状態のプラスチックはガス状プラスチック搬送管11を通って温度制御されたプラスチック回収槽6で凝縮し液体状態で回収される。
プラスチック回収槽6で回収された溶融プラスチックは溶融プラスチック搬送ポンプ8により溶融プラスチック搬送管10を通ってプラスチック溶融槽2に搬送される。プラスチック回収槽6から揮発するガス状態のプラスチックは、ガス状プラスチック搬送管13を通って回収や燃焼処理される。
プラスチック溶融槽2から揮発するガス状態のプラスチックは、ガス状プラスチック搬送管47を通って回収や燃焼処理される。
その他、プラスチック原料は、プラスチック原料槽1からプラスチック溶融槽2に、また、鉄鉱石原料は、鉄鉱石原料槽3から鉄鉱石処理槽4にそれぞれ装入され、浸透処理後の鉄鉱石は、鉄鉱石成品槽5に回収される。
【0027】
結晶水を熱分解除去して生じた鉄鉱石中の気孔に溶融状態のプラスチックを浸透させるときの鉄鉱石処理槽4内の温度は、プラスチックの粘性が十分に低くなる200℃以上であることが望ましい。
また、はじめに鉄鉱石処理槽4で結晶水を含む鉄鉱石を加熱して結晶水を熱分解除去する温度よりも、つぎに鉄鉱石処理槽4で鉄鉱石中の気孔に溶融状態のプラスチックを浸透させる温度を高くすると、はじめに熱分解除去する過程で残存した結晶水がプラスチックを浸透させる過程でさらに熱分解して新たな亀裂が生じる。このように新たな亀裂発生とプラスチック浸透が同時に進行する場合、結晶水が分解して発生する蒸気によってプラスチックの浸透が妨げられる結果、新たに発生する亀裂に十分プラスチックが浸透しなくなる。
そのため、プラスチックを浸透させるときに新たな亀裂発生が生じないように、溶融状態のプラスチックを浸透させるときの鉄鉱石処理槽4内の温度は、はじめに結晶水を含む鉄鉱石を加熱して結晶水を熱分解除去するときの鉄鉱石処理槽4内の温度以下とする。
【0028】
さらに、結晶水を熱分解除去して生じた鉄鉱石中の気孔に溶融状態のプラスチックを十分に浸透させて含有させるためには、鉄鉱石処理槽4内の温度を、プラスチックのガス化が活発に起きない350℃以下にすることが望ましい。
【0029】
なお、プラスチック溶融槽2でプラスチックを加熱するときに発生するガスは、例えば、図1に示すように、ガス状プラスチック排出管12を通って排出され、回収もしくは燃焼処理される。鉄鉱石処理槽4で鉄鉱石を加熱するときに発生するガスまたは溶融プラスチックを鉄鉱石に浸透させるときに発生するガスは、例えば、図1に示すように、ガス状プラスチック搬送管11を通して、90℃〜200℃に保温されたプラスチック回収槽6に溶融状態のプラスチックとして回収されて、溶融プラスチック搬送ポンプ8を用い溶融プラスチック搬送管10を通して溶融プラスチックをプラスチック溶融槽2に搬送する。プラスチック回収槽6の温度は、結晶水等に由来する水蒸気が凝縮しないように90℃以上にすることが好ましく、またガス状プラスチックを凝縮させて効率良く回収する為には200℃以下にすることが好ましい。
【0030】
いったんガス化した後に凝縮回収されるプラスチックは90℃〜200℃で粘度の低い液体であり、溶融プラスチック搬送ポンプ8を用い溶融プラスチック搬送管10を通してプラスチック溶融槽2に搬送することは、90℃〜200℃で可能である。プラスチック回収槽6で回収されないガスは、ガス状プラスチック排出管13を通って排出され、回収もしくは燃焼処理される。鉄鉱石処理槽4で溶融プラスチックを鉄鉱石に浸透処理した後に鉄鉱石処理槽4に残留する過剰の溶融プラスチックは、鉄鉱石処理槽4から双方向に溶融プラスチックを搬送可能な溶融プラスチック搬送ポンプ7もしくは別途設置した溶融プラスチック搬送ポンプを用いて溶融プラスチック搬送管9を通してプラスチック溶融槽2に搬送される。
【実施例】
【0031】
本発明の鉄鉱石の強度を向上させる高炉装入原料の製造方法、さらには被還元性を向上させる高炉装入原料の製造方法の実施例を以下に示す。
(実施例1)
図2に示す試験装置を用いて、結晶水を熱分解除去後の鉄鉱石にプラスチックを浸透させ、プラスチックを浸透させた鉄鉱石の強度と被還元性が、もとの結晶水を含む鉄鉱石よりも向上することを確認した。
鉄鉱石には結晶水を8mass%含有した15〜20mm粒径の塊状の鉄鉱石を使用した。結晶水の分析はカールフィッシャー法(JIS M8211)による。プラスチックには、ポリエチレン29mass%、ポリプロピレン24mass%、およびポリスチレン28%を含む廃プラスチックを使用した。残りの成分はポリ塩化ビニル等のその他のプラスチック類と夾雑物である。
【0032】
鉄鉱石の強度を評価する試験方法は、焼結鉱の還元粉化試験法によりRDI(Reduction Degradation Index)として指数化する方法に準拠した。すなわち、還元ガス(CO=30vol%、N2=70vol%)により、15〜20mmの大きさの試料500gを、550℃で30分間還元して冷却し、小型回転ドラムにて毎分30回転で30分間回転させたあとに篩い分けて、3mm以下の粉率で評価した。
【0033】
鉄鉱石の被還元性を評価する試験方法は、鉄鉱石類の還元試験法(JIS M 8713)に準拠した。ただし、この鉄鉱石類の還元試験法(JIS M 8713)と異なる条件として、15〜20mmの大きさの鉄鉱石試料を用いることとした。すなわち、還元ガス(CO=30vol%、N2=70vol%)により、15〜20mmの大きさの試料500gを、900℃で180分間還元してその還元率を求めた。
【0034】
図2に基づき、結晶水を含む鉄鉱石を加熱処理した後にプラスチックを浸透させる方法を説明する。
結晶水を8mass%含有した粒度15〜20mmの塊状の鉄鉱石を鉄鉱石処理槽23に装入する。ポリエチレン29mass%、ポリプロピレン24mass%、およびポリスチレン28%を含む廃プラスチックをプラスチック原料槽21に装入し、プラスチック原料槽21からプラスチック溶融槽22に装入する。
【0035】
電気炉内に設置した鉄鉱石処理槽23を550℃に加熱し、鉄鉱石処理槽23内の鉄鉱石の結晶水を熱分解除去した。電気炉内に設置したプラスチック溶融槽22を250℃に加熱し、プラスチック溶融槽22内の廃プラスチックを溶融状態にし、撹拌機31でプラスチック溶融槽22内の溶融プラスチックを撹拌した。
【0036】
まず1つ目の操作として、プラスチック溶融槽22内の250℃の溶融プラスチックを、溶融プラスチック搬送管41を通して溶融プラスチック搬送ポンプ28を用いて鉄鉱石処理槽23に搬送した。次に2つ目の操作として、鉄鉱石処理槽23内の溶融プラスチックを、溶融プラスチック搬送管42を通して溶融プラスチック搬送ポンプ29を用いてプラスチック溶融槽22に搬送した。そして3つ目の操作として、廃プラスチックをプラスチック原料槽21からプラスチック溶融槽22に装入した。この3段階の操作を鉄鉱石処理槽23内の温度が350℃になるまで繰り返し、350℃で浸透処理を実施した。
【0037】
鉄鉱石処理槽23から揮発するガス状態のプラスチックはガス状プラスチック搬送管43を通って150℃に温度制御されたプラスチック回収槽24で凝縮し液体状態で回収される。
プラスチック回収槽24で回収された溶融プラスチックは溶融プラスチック搬送ポンプ30により溶融プラスチック搬送管46を通ってプラスチック溶融槽22に搬送される。プラスチック回収槽24から揮発するガス状態のプラスチックは、ガス状プラスチック搬送管44を通って室温に温度制御されたプラスチック回収槽25で、一部は凝縮し液体状態で回収され、残りはプラスチック回収槽25から揮発するので、これをガス状プラスチック排出管45を通して燃焼放散装置に導いて処理する。
【0038】
プラスチック溶融槽22から揮発するガス状態のプラスチックは、ガス状プラスチック搬送管47を通って室温に温度制御されたプラスチック回収槽26で、一部は凝縮し液体状態で回収され、残りはプラスチック回収槽26から揮発するので、これをガス状プラスチック排出管48を通して燃焼放散装置に導いて処理する。
【0039】
350℃で浸透処理を実施した後に、鉄鉱石処理槽23に残留している余剰の溶融プラスチックを、溶融プラスチック搬送管42を通して溶融プラスチック搬送ポンプ29を用いてプラスチック溶融槽22に搬送する。実験終了時は、プラスチック溶融槽22にある溶融プラスチックを溶融プラスチック受け槽27に回収する。
【0040】
鉄鉱石処理槽23を室温まで冷却した後に、プラスチックが浸透した鉄鉱石を鉄鉱石処理槽23から取出して、強度と被還元性を評価した。
処理前の結晶水を8mass%含有した鉄鉱石の評価結果とプラスチック浸透処理鉱石の評価結果を併せて表1に示す。
【0041】
鉄鉱石中のプラスチック含有率の指標として、プラスチック浸透処理鉱石中の炭素(C)含有率(mass%)は10.4%であった。プラスチック浸透処理鉱石は、処理前の結晶水を8mass%含有した鉄鉱石よりも、RDIが低下し、還元率が上昇するという品質改善効果が得られた。このときの鉄鉱石処理槽を室温から550℃に加熱し、鉄鉱石処理槽を350℃にして浸透処理するのに要した処理時間は45分であった。
【0042】
【表1】

【0043】
プラスチック原料槽21からプラスチック溶融槽22に投入したプラスチック量に対する、プラスチック回収槽25、プラスチック回収槽26、及び溶融プラスチック受け槽27で回収したプラスチックの回収率は78%であった。
【0044】
(実施例2)
図2に基づき、結晶水を含む鉄鉱石を加熱処理した後にプラスチックを浸透させる方法を説明する。
実施例1で用いた鉄鉱石と同じ種類の、結晶水を8mass%含有した粒度15〜20mmの塊状の鉄鉱石を鉄鉱石処理槽23に、実施例1と等しい重量を装入した。実施例1で用いた廃プラスチックと同じ種類の、ポリエチレン29mass%、ポリプロピレン24mass%、およびポリスチレン28%を含む廃プラスチックをプラスチック原料槽21に装入し、プラスチック原料槽21からプラスチック溶融槽22に実施例1と等しい重量を装入した。
【0045】
鉄鉱石処理槽23を300℃に加熱し、鉄鉱石処理槽23内の鉄鉱石の結晶水を熱分解除去した。プラスチック溶融槽22を300℃に加熱し、プラスチック溶融槽22内の廃プラスチックを溶融状態にし、撹拌機31で撹拌した。
プラスチック溶融槽22内の300℃の溶融プラスチックを、実施例1と同様に、鉄鉱石処理槽23に搬送し、鉄鉱石処理槽23内の温度を300℃にして浸透処理を実施した。
【0046】
鉄鉱石処理槽23から揮発するガス状態のプラスチックは、実施例1と同様に、プラスチック回収槽24で凝縮し液体状態で回収し、プラスチック溶融槽22に搬送した。プラスチック回収槽24から揮発するガス状態のプラスチックは、実施例1と同様に、プラスチック回収槽25で、一部は凝縮し液体状態で回収され、残りは燃焼放散装置に導いて処理した。
プラスチック溶融槽22から揮発するガス状態のプラスチックは、実施例1と同様に、プラスチック回収槽26で、一部は凝縮し液体状態で回収され、残りは燃焼放散装置に導いて処理した。
【0047】
300℃で浸透処理を実施した後に、鉄鉱石処理槽23に残留している余剰の溶融プラスチックを、実施例1と同様に、プラスチック溶融槽22に搬送し、実験終了時に、プラスチック溶融槽22にある溶融プラスチックを溶融プラスチック受け槽27に回収した。
鉄鉱石処理槽23を室温まで冷却した後に、プラスチックが浸透した鉄鉱石の強度と被還元性を、実施例1と同様に評価した。
評価結果を表2に示す。
【0048】
プラスチック浸透処理鉱石は、処理前の結晶水を8mass%含有した鉄鉱石よりも、RDIが低下し、還元率が上昇するという品質改善効果が得られたが、実施例1の品質改善効果には及ばなかった。
実施例1の品質改善効果には及ばなかった原因は、鉄鉱石の結晶水が十分には熱分解除去されなかったため、亀裂の発生が少なくプラスチックの浸透量が少なかったことと、RDI試験における550℃での還元のときに、残留している鉄鉱石の結晶水が熱分解除去され、新たな亀裂が発生して、鉄鉱石の強度が低下したためと考えられる。
【0049】
【表2】

【0050】
実施例1と同様の投入したプラスチック量に対する回収したプラスチックの回収率は79%であった。
【0051】
(実施例3)
図2に基づき、結晶水を含む鉄鉱石を加熱処理した後にプラスチックを浸透させる方法を説明する。
実施例1で用いた鉄鉱石と同じ種類の、結晶水を8mass%含有した粒度15〜20mmの塊状の鉄鉱石を鉄鉱石処理槽23に、実施例1と等しい重量を装入した。実施例1で用いた廃プラスチックと同じ種類の、ポリエチレン29mass%、ポリプロピレン24mass%、およびポリスチレン28%を含む廃プラスチックをプラスチック原料槽21に装入し、プラスチック原料槽21からプラスチック溶融槽22に実施例1と等しい重量を装入した。
【0052】
鉄鉱石処理槽23を400℃に加熱し、鉄鉱石処理槽23内の鉄鉱石の結晶水を熱分解除去した。プラスチック溶融槽22を400℃に加熱し、プラスチック溶融槽22内の廃プラスチックを溶融状態にし、撹拌機31で撹拌した。
【0053】
プラスチック溶融槽22内の400℃の溶融プラスチックを、実施例1と同様に、鉄鉱石処理槽23に搬送し、鉄鉱石処理槽23内の温度を400℃にして浸透処理を実施した。
【0054】
鉄鉱石処理槽23から揮発するガス状態のプラスチックは、実施例1と同様に、プラスチック回収槽24で凝縮し液体状態で回収し、プラスチック溶融槽22に搬送した。プラスチック回収槽24から揮発するガス状態のプラスチックは、実施例1と同様に、プラスチック回収槽25で、一部は凝縮し液体状態で回収され、残りは燃焼放散装置に導いて処理した。
プラスチック溶融槽22から揮発するガス状態のプラスチックは、実施例1と同様に、プラスチック回収槽26で、一部は凝縮し液体状態で回収され、残りは燃焼放散装置に導いて処理した。
【0055】
400℃で浸透処理を実施した後に、鉄鉱石処理槽23に残留している余剰の溶融プラスチックを、実施例1と同様に、プラスチック溶融槽22に搬送し、実験終了時に、プラスチック溶融槽22にある溶融プラスチックを溶融プラスチック受け槽27に回収した。
鉄鉱石処理槽23を室温まで冷却した後に、プラスチックが浸透した鉄鉱石の強度と被還元性を、実施例1と同様に評価した。
評価結果を表3に示す。
【0056】
プラスチック浸透処理鉱石は、処理前の結晶水を8mass%含有した鉄鉱石よりも、RDIが低下し、還元率が上昇するという品質改善効果が得られたが、実施例1の品質改善効果には及ばなかった。実施例1の品質改善効果には及ばなかった原因は、鉄鉱石処理槽23内の浸透処理温度が高かったため、鉄鉱石中に浸透したプラスチックの一部がガス化する為、プラスチックの浸透量が少なくなったためと考えられる。
【0057】
【表3】

【0058】
実施例1と同様の投入したプラスチック量に対する回収したプラスチックの回収率は70%であった。
この原因は、プラスチック溶融槽22から揮発するガス状態のプラスチックの重量が増加し、かつプラスチック回収槽26で回収されずにガス状プラスチック排出管48から燃焼放散装置で処理されたガス状態のプラスチック量が増加したためと考えられる。
【0059】
(実施例4)
図3に基づき、結晶水を含む鉄鉱石を加熱処理した後にプラスチックを浸透させる方法を説明する。
実施例1で用いたプラスチック原料槽21、鉄鉱石処理槽23、プラスチック回収槽26、及び溶融プラスチック受け槽27と同じものを使用し、図3に示す試験装置を用いて、結晶水を含む鉄鉱石にプラスチックを浸透させ、プラスチックを浸透させた鉄鉱石の強度と被還元性を評価した。なお、この実施例では、実施例1の鉄鉱石処理槽23を鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’として使用した。
【0060】
実施例1で用いた鉄鉱石と同じ種類の、結晶水を8mass%含有した粒度15〜20mmの塊状の鉄鉱石を鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’に、実施例1と等しい重量を装入した。実施例1で用いた廃プラスチックと同じ種類の、ポリエチレン29mass%、ポリプロピレン24mass%、およびポリスチレン28%を含む廃プラスチックをプラスチック原料槽21に装入した。
【0061】
鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’を550℃に加熱し、鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’内の鉄鉱石の結晶水を熱分解除去した。
【0062】
次に、プラスチック原料槽21からプラスチックを鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’に装入した。鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’の加熱を中止して自然放冷による冷却と、電気炉による鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’の加熱を組み合わせて、鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’内の温度を350℃に制御して、350℃で鉄鉱石へのプラスチックの浸透処理を実施した。
【0063】
鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’から揮発するガス状態のプラスチックは、ガス状プラスチック搬送管47を通って室温に温度制御されたプラスチック回収槽26で、一部は凝縮し液体状態で回収され、残りはプラスチック回収槽26から揮発するので、これをガス状プラスチック排出管48を通して燃焼放散装置に導いて処理した。
350℃で浸透処理を実施した後に、鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’に残留している余剰の溶融プラスチックを、実験終了時に、を溶融プラスチック受け槽27に回収した。
【0064】
鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’を室温まで冷却した後に、プラスチックが浸透した鉄鉱石を、鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’から取出して、強度と被還元性を実施例1と同様に評価した。
評価結果を表4に示す。
【0065】
プラスチック浸透処理鉱石は、処理前の結晶水を8mass%含有した鉄鉱石よりも、RDIが低下し、還元率が上昇した。その品質改善効果は、実施例1とほぼ同等であった。しかしながら、このときの鉄鉱石処理槽を室温から550℃に加熱し、鉄鉱石処理槽を350℃にして浸透処理するのに要した処理時間は115分であった。鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’のみで、結晶水の熱分解処理、プラスチックの溶融処理、及び鉱石へのプラスチックの浸透処理を実施するため、処理時間が長くなり、浸透処理の効率低下が生じた。
【0066】
【表4】

【0067】
(比較例1)
図3に基づき、結晶水を含む鉄鉱石にプラスチックを浸透させる方法を説明する。
実施例4で用いた、図3に示す試験装置を用いて、結晶水を含む鉄鉱石にプラスチックを浸透させ、プラスチックを浸透させた鉄鉱石の強度と被還元性を評価した。
【0068】
実施例1で用いた鉄鉱石と同じ種類の、結晶水を8mass%含有した粒度15〜20mmの塊状の鉄鉱石を鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’に、実施例1と等しい重量を装入した。実施例1で用いた廃プラスチックと同じ種類の、ポリエチレン29mass%、ポリプロピレン24mass%、およびポリスチレン28%を含む廃プラスチックをプラスチック原料槽21に装入した。
【0069】
続いて、プラスチック原料槽21からプラスチックを鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’に装入し、鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’内の温度を450℃に制御して、450℃で鉄鉱石へのプラスチックの浸透処理を実施した。
【0070】
鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’から揮発するガス状態のプラスチックは、実施例4と同様に、プラスチック回収槽26で、一部は凝縮し液体状態で回収され、残りは燃焼放散装置に導いて処理した。
450℃で浸透処理を実施した後に、鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’に残留している余剰の溶融プラスチックを、実験終了時に、溶融プラスチック受け槽27に回収した。
【0071】
鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’を室温まで冷却した後に、プラスチックが浸透した鉄鉱石を鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’から取出して、強度と被還元性を評価した。
評価結果を表5に示す。
【0072】
【表5】

【0073】
プラスチック浸透処理鉱石は、処理前の結晶水を8mass%含有した鉄鉱石よりも、RDIが低下し、還元率が上昇するという品質改善効果が得られたが、実施例1〜4の品質改善効果には及ばなかった。実施例1〜4の品質改善効果には及ばなかった原因は、鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽23’内で浸透処理されるさいに、同時に結晶水の熱分解が生じるため、鉄鉱石内から発生する結晶水の蒸気に邪魔されて、鉄鉱石中へのプラスチックの浸透が阻害されたためと考えられる。
【符号の説明】
【0074】
1 プラスチック原料槽
2 プラスチック溶融槽
3 鉄鉱石原料槽
4 鉄鉱石処理槽
5 鉄鉱石成品槽
6 プラスチック回収槽
7 溶融プラスチック搬送ポンプ
8 溶融プラスチック搬送ポンプ
9 溶融プラスチック搬送管
10 溶融プラスチック搬送管
11 ガス状プラスチック搬送管
12 ガス状プラスチック排出管
13 ガス状プラスチック排出管
21 プラスチック原料槽
22 プラスチック溶融槽
23 鉄鉱石処理槽
23’ 鉄鉱石処理槽兼プラスチック溶融槽
24 プラスチック回収槽
25 プラスチック回収槽
26 プラスチック回収槽
27 溶融プラスチック受け槽
28 溶融プラスチック搬送ポンプ
29 溶融プラスチック搬送ポンプ
30 溶融プラスチック搬送ポンプ
31 撹拌機
41 溶融プラスチック搬送管
42 溶融プラスチック搬送管
43 ガス状プラスチック搬送管
44 ガス状プラスチック搬送管
45 ガス状プラスチック排出管
46 溶融プラスチック搬送管
47 ガス状プラスチック搬送管
48 ガス状プラスチック排出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶水を含む鉄鉱石を加熱し、結晶水を熱分解除去して、鉄鉱石の内部に気孔を生成させる工程と、前記生成した鉄鉱石の内部の気孔に、溶融状態のプラスチックを浸透させて、プラスチックが浸透した鉄鉱石を製造する工程とを有する高炉装入原料の製造方法であって、前記溶融状態のプラスチックを浸透させる時の温度を、前記結晶水を熱分解除去するときの温度以下とすることを特徴とする高炉装入原料の製造方法。
【請求項2】
前記結晶水を含む鉄鉱石が10mm以上30mm以下の粒径の塊状の鉄鉱石であることを特徴とする請求項1記載の高炉装入原料の製造方法。
【請求項3】
前記結晶水を含む鉄鉱石中の結晶水の割合が4mass%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高炉装入原料の製造方法。
【請求項4】
前記溶融状態のプラスチックの原料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、若しくはポリスチレン、又はこれらを含む混合物を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法。
【請求項5】
前記溶融状態のプラスチックの原料の一部又は全部として、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び、ポリスチレンのうちの1種又は2種以上を、加熱して熱分解したガスを冷却して得られる常温で固体または液体の生成物を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法。
【請求項6】
前記結晶水を熱分解除去するときの温度が350〜550℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法。
【請求項7】
前記溶融状態のプラスチックが、プラスチックを200〜350℃に加熱した後に得られるものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法。
【請求項8】
前記溶融状態のプラスチックを浸透させるときの温度が200〜350℃であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造方法に使用する高炉装入原料の製造装置であって、プラスチックを200〜350℃に加熱して溶融するプラスチック溶融槽と、結晶水を含む鉄鉱石を350〜550℃に加熱して結晶水を熱分解除去する鉄鉱石処理槽と、前記プラスチック溶融槽中の溶融状態のプラスチックを結晶水が熱分解除去された鉄鉱石が存在する前記鉄鉱石処理槽へ移送する溶融プラスチック移送管とを備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の高炉装入原料の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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