説明

高甘味度甘味料の呈味改善剤

【課題】高甘味度甘味料の不快な後味を抑制し、さらにコクやボリューム感を付与することにより、高甘味度甘味料含有飲食品の嗜好性をより高めることのできる呈味改善剤を得る。
【解決手段】本発明の高甘味度甘味料の呈味改善剤は、L値25以上40以下の焙煎コーヒー豆を水蒸気蒸留により脱臭し、次いで水、エタノールまたはこれらの混合物で抽出して得られたコーヒー抽出物を有効成分として含むものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高甘味度甘味料の呈味改善剤に関するものである。更に詳しくは、高甘味度甘味料の不快な後味を改善し、飲食品にコクやボリュームを付与する呈味改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康指向の高まりから、ショ糖の使用を控え、甘味料としてアスパルテーム、ステビア、アセスルファムK、スクラロースなどの高甘味度甘味料を使用した商品が増加している。このような高甘味度甘味料はショ糖の数百倍から数千倍の甘味を有し、少ない添加量で飲食品にショ糖と同等の甘味を付与するという優れた性能を持つ反面、後味として甘味が持続し続けるため味の切れが悪く、コクやボリューム感も十分ではないため、甘味の質がショ糖に比して劣るという欠点を有している。そのため、高甘味度甘味料の汎用的使用に関しては、その味質の改善が最大の課題となっている。
【0003】
高甘味度甘味料の呈味改善については、L−アスパラギン等のアミノ酸や、グルコン酸、クエン酸等の有機酸やその塩を使用する方法(特許文献1〜3)、高甘味度甘味料とルチン、ヘスペリジン等の天然物を組み合わせる方法(特許文献4、5)、ガラクトマンナン分解物、ニゲロオリゴ糖、ビートオリゴ糖、マンノース等の糖類を高甘味度甘味料の味質改善に用いる方法(特許文献6〜9)、さとうきび由来のバガス抽出物や酵素処理イチョウ葉エキス等の植物由来の抽出物を高甘味度甘味料に配合する方法(特許文献10、11)、コーヒー豆を酵素またはアルカリで加水分解処理して得られた処理物を精製して得られるキナ酸を含むコーヒー豆加水分解物を用いる高甘味度甘味料の甘味改善剤(特許文献12)、紅茶葉の水抽出物を吸着剤で処理して得られる精製物を用いる高甘味度甘味料の呈味改善剤(特許文献13)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−270804号公報
【特許文献2】特開2003−210147号公報
【特許文献3】特開昭60−188035号公報
【特許文献4】特開平10−146165号公報
【特許文献5】特開平8−256725号公報
【特許文献6】特開平9−19268号公報
【特許文献7】特開平10−234331号公報
【特許文献8】特開2000−197462号公報
【特許文献9】特開2002−272411号公報
【特許文献10】特開2000−217540号公報
【特許文献11】特開2003−180288号公報
【特許文献12】特許第4068788号
【特許文献13】特開2007−14212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような既存の方法は、高甘味度甘味料の不快な後味を抑え、すっきりした味質に改善する効果は認められるものの、後味の改善により却ってコクやボリューム感が減少する場合があり、高甘味度甘味料の呈味改善という面では十分な効果が得られていなかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、高甘味度甘味料の不快な後味を抑制し、さらにコクやボリューム感を付与することにより、高甘味度甘味料含有飲食品の嗜好性をより高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、高甘味度甘味料を含有する飲食品に通常のコーヒー飲料を得るときよりも浅炒りの焙煎コーヒー豆から水蒸気蒸留により不快臭を除去した後、水、エタノール又はこれらの混合物で抽出して得られた抽出物を添加すると、高甘味度甘味料に特有の不快な後味が抑制されるだけではなく、コクやボリューム感が付与され、高甘味度甘味料含有飲食品の嗜好性がより高まることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明は以下のように構成される。
(1)L値25以上40以下の焙煎コーヒー豆を水蒸気蒸留により脱臭し、次いで水、エタノール又はこれらの混合物で抽出して得られたコーヒー抽出物を有効成分として含む高甘味度甘味料の呈味改善剤。
(2)高甘味度甘味料がアスパルテーム、ステビア、スクラロース、アセスルファムKである(1)記載の高甘味度甘味料の呈味改善剤。
(3)(1)又は(2)記載の呈味改善剤を高甘味度甘味料含有飲食品に添加することを特徴とする高甘味度甘味料含有飲食品の呈味改善方法。
(4)飲食品がコーヒー風味の飲食品である(3)記載の呈味改善方法。
(5)(1)又は(2)記載の呈味改善剤を添加したことを特徴とする高甘味度甘味料含有飲食品。
(6)飲食品がコーヒー風味の飲食品である(5)記載の高甘味度甘味料含有飲食品。
【発明の効果】
【0009】
本発明の高甘味度甘味料の呈味改善剤によれば、高甘味度甘味料の不快な後味を改善することができることに加え、飲食品にコクやボリューム感を付与することができ、高甘味度甘味料含有飲食品の嗜好性をより高めることができる。したがって、本発明の呈味改善剤を高甘味度甘味料を含有する飲食品に添加することで、高甘味度甘味料の不快な後味が改善され、しかも飲食品にコクやボリューム感が付与されて、嗜好性の高い高甘味度甘味料含有飲食品を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[コーヒー豆]
本発明で使用するコーヒー豆は特に制限なく、いずれの品種、産地のコーヒー豆であっても使用できる。コーヒー豆の焙煎方法は特に制限なく、直火焙煎、熱風焙煎、遠赤外線焙煎、マイクロ波焙煎など、種々の焙煎方法を用いることができる。本発明ではコーヒー豆の焙煎度をL値(黒を0、白を100としコーヒー豆の焙煎状態を豆の色で表した値)で表した場合、25未満の中〜深炒り焙煎ではコーヒー抽出物の苦味が強くなってしまい、40超の浅炒り焙煎では生豆臭が強すぎて生豆臭の除去が困難であり、コーヒー抽出物の添加により飲食品に生豆臭の風味を与えてしまうことになることから、焙煎度を25〜40とするのが好ましく、さらに27〜35とするのが好ましい。
【0011】
[水蒸気蒸留]
焙煎したコーヒー豆は適度な粒度、例えば0.2〜3.0mm程度に粉砕した後、水蒸気蒸留により脱臭して生豆臭を除去する。水蒸気蒸留は本来香気成分を精油として抽出する方法であるが、本発明では焙煎コーヒー豆に残存する不快な生豆臭を除去する方法として用いる。水蒸気蒸留方法は特に制限がなく、加圧水蒸気蒸留、常圧水蒸気蒸留、減圧水蒸気蒸留のいずれの方法もとることができる。水蒸気の温度や蒸気流量、蒸留液の留出液量などは原料の生豆臭の強さなどに応じて任意に設定することができる。具体的には、生豆臭の脱臭度を考慮すると蒸留温度80〜100℃、蒸気流量は空間速度(蒸気流量(m/hr)/コーヒー豆仕込量(m))100〜600(1/hr)、蒸留液の留出液量はコーヒー豆に対して重量で0.5〜1.5倍量とすることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
【0012】
[抽出]
次いで水蒸気蒸留により生豆臭を除去したコーヒー豆から抽出により、コーヒー抽出物を得る。抽出方法としては従来から使用されている方法を特に制限なく用いることができ、例としてドリップ抽出、浸漬抽出などを挙げることができる。抽出溶媒としては水、エタノール又はエタノール水溶液を用いることができる。エタノール水溶液を用いる場合のエタノール濃度は特に制限なく任意に設定できるが、一般に30〜80質量%、好ましくは40〜60質量%である。抽出温度及び抽出時間については特に制限なく、任意に設定することができる。具体的には抽出温度75〜100℃、抽出時間は30〜180分間が好ましいが、この範囲に限定されるものではない。また、コーヒー豆に対する抽出溶媒の量についても特に制限はないが、抽出溶媒の回収率を考慮するとコーヒー豆に対し重量で3〜30倍の抽出溶媒量が好ましい。得られた抽出液はそのまま呈味改善剤として用いることもできるが、適当な濃度に濃縮して使用することが好ましい。この場合には、少ない添加量でも呈味改善効果を高めることができる。抽出液を濃縮する場合、抽出溶媒として水を用いた場合は、例えばBrix5〜50まで濃縮したコーヒー抽出物として使用することが好適であり、抽出溶媒としてエタノールまたはエタノール水溶液を用いた場合は、例えば乾燥固形分が10〜60質量%になるように濃縮したコーヒー抽出物とすることが好適である。また、必要に応じて、一度濃縮した抽出液を再度溶媒で希釈して用いるようにしてもよい。例えば乾燥固形分が10〜60質量%になるように濃縮したコーヒー抽出物を再度エタノール水溶液で希釈して乾燥固形分を5〜30質量%に調整したコーヒー抽出物として使用するようにしてもよい。尚、乾燥固形分とは、コーヒー抽出液を乾燥して得られる固形分を意味している。また、必要に応じて活性炭や多孔性のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる合成樹脂吸着剤などを用いた精製処理を行うことができる。
【0013】
[用法]
抽出により得られたコーヒー抽出物はそのまま或いは適宜濃縮して本発明の呈味改善剤として高甘味度甘味料含有飲食品に使用(添加)することができる。高甘味度甘味料とは、ショ糖の数百倍から数千倍もの甘みを持つ天然及び合成の化合物である。ショ糖より少ない添加量でショ糖と同等の甘味を与えることができるので、ショ糖の代わりに使用すれば低カロリーの飲食品等を提供できる。本発明の呈味改善剤が使用できる高甘味度甘味料としては、アスパルテーム、ステビア、アセスルファムK、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、グリチルリチン,グリチルリチン酸2カリウム,グリチルリチン酸2ナトリウム,グリチルリチン酸アンモニウム塩、ソーマチン、サッカリン、サッカリンナトリウム等を挙げることができるが、特にアスパルテーム、ステビア、スクラロース、アセスルファムKが好ましい。
【0014】
本発明の呈味改善剤の高甘味度甘味料に対する添加量は、特に限定されるものではないが、少なすぎると呈味改善効果が得られにくくなり、多すぎるとコーヒー抽出物の味が強調されてしまう。本呈味改善剤の添加量は、高甘味度甘味料のショ糖換算量(高甘味度甘味料の添加量×甘味度)に対しコーヒー抽出物の乾燥固形分が0.005質量%〜0.5質量%となるよう添加することが適している。このように、本発明の呈味改善剤は、高甘味度甘味料に対し、非常に少ない量でも十分な呈味改善効果が得られる点においても優れている。尚、本発明の呈味改善剤は、これまでに高甘味度甘味料の後味改善効果が知られているキナ酸、生コーヒー豆の酵素加水分解物、紅茶抽出物よりも呈味の改善効果が高いが、それは抽出物がクロロゲン酸(0.1〜5質量%)、キナ酸(0.1〜2質量%)、クエン酸(0.1〜2質量%)等を含み、それらの成分が複合的或いは相乗的に呈味改善に寄与しているためであると考えられる。
【0015】
本発明の高甘味度甘味料の呈味改善剤は、高甘味度甘味料を含有する各種飲食品、例えばコーヒー、ココア、茶飲料などの各種飲料や、チョコレート、キャンディー、チューイングガム、ゼリー、アイスクリームなどの菓子、冷菓等に制限なく使用することができるが、本発明の呈味改善剤自体の風味が飲食品の風味に与える影響を考慮すると、使用対象となる高甘味度甘味料含有飲食品としてはコーヒー風味を有する飲食品が適しており、特にコーヒー飲料への使用が好ましい。本発明におけるコーヒー飲料とは、公正競争規約に定義されたコーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料の他、乳固形分を3%以上含み、乳等省令で乳飲料として扱われるミルク入りコーヒーやカフェオレなども含む。本発明の呈味改善剤を使用(添加)する対象となる高甘味度甘味料含有コーヒー飲料は、高甘味度甘味料の添加によりショ糖の使用を抑えたコーヒー飲料あるいは高甘味度甘味料のみが添加されてショ糖を全く含まないコーヒー飲料である。
【0016】
上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば水、エタノール、プロピレングリコールやグリセリンなどの溶剤中で各種天然香料や合成香料と組み合わせて香料組成物としたり、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンEなど)や糖類、甘味料と組み合わせた組成物として使用することもできる。また、凍結乾燥または加熱乾燥などの処理を行い固形物として使用することも可能である。さらに、賦形剤(デキストリン等)を添加し噴霧乾燥により粉末状にすることも可能であり、用途に応じて種々の剤形を採用することができる。
【実施例】
【0017】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
【0018】
[製造例1]
L値35に焙煎したブラジル産コーヒー豆2000gを0.2〜1.0mmに粉砕し、常圧下で水蒸気蒸留(蒸留温度100℃、空間速度300(1/h)、蒸留液の留出液量2000g)して生豆臭を除去した後、95℃の熱水でドリップ抽出を行ってドリップ液10000gを得た。その後、ドリップ液をBrix30まで濃縮し、コーヒー抽出物を得た。
【0019】
[製造例2]
L値35に焙煎したブラジル産コーヒー豆2000gを0.2〜1.0mmに粉砕し、常圧下で水蒸気蒸留(蒸留温度100℃、空間速度600(1/h)、蒸留液の留出液量2000g)して生豆臭を除去した。この生豆臭を除去したコーヒー豆200gに対し10倍量(質量)の50質量%エタノール水溶液を加え、加熱還流(82℃)を2時間行った後、コーヒー豆を分離すると抽出液が1970g得られた。この抽出液に、生豆臭除去したコーヒー豆をさらに200g加え、加熱還流を2時間行った。コーヒー豆を分離後、得られた抽出液を−15℃で一晩冷却し、ろ過することで、コーヒー抽出物1930gを得た。
【0020】
[参考例1]
特許第4068788号公報に記載の実施例2と同様の方法によりコーヒー豆加水分解物を得た。即ち、微粉砕したコーヒー生豆500gに70重量%エタノール水溶液5000mlを加え、2時間加熱還流した。冷却後、遠心濾過器で固液分離し、濾過液をエタノール含量5重量%以下まで減圧濃縮し、クロロゲン酸エステラーゼ(キッコーマン社製)1000単位(クロロゲン酸エステラーゼの1単位は30℃の水中において3−カフェオイルキナ酸を1分間に1マイクロモル加水分解する酵素量である)を加え40℃、3時間攪拌した。遠心分離により不溶物を取り除いた後、処理液を合成吸着剤(ダイヤイオンHP−20)1000mlを充填したカラムに通導し、溶出してきた液を凍結乾燥することにより、成分重量比:キナ酸32%、グルコース16%、フルクトース15%からなるコーヒー豆加水分解物の甘味改善剤26.6gを得た。
【0021】
[参考例2]
特開2007−14212号公報に記載の製造例5と同様の方法により紅茶抽出物を得た。即ち、紅茶葉100gに蒸留水1000gを加え、それを30分間、常温(15〜30℃)で抽出した。抽出液を遠心濾過器で固液分離し、濾液900gを得た。その濾液に活性炭30gを加え、1時間攪拌して精製処理を行った。その後、活性炭を除去し、濃縮後、濃縮液140gを得た。濃縮液を、陽イオン交換樹脂(スチレン系陽イオン交換樹脂(「ダイヤイオン(登録商標)」)100mlを充填したカラムに供し、空間速度SV=2で送液して精製処理を行った(再精製処理1回目) 。通過液を濃縮し約40gにした後、95%エタノール52.5g 、活性炭2gを加え、撹拌及び冷却後、不溶物を濾過した(再精製処理2回目)。得られた濾液78gを凍結乾燥することにより、紅茶葉抽出物4.7gを得た。
【0022】
〔実施例1〕
表1の処方により作製した微糖コーヒー飲料に先行技術文献記載の呈味改善剤(キナ酸、参考例1のコーヒー豆加水分解物、参考例2の紅茶抽出物)及び本発明の呈味改善剤(製造例1及び製造例2のコーヒー抽出物)をそれぞれ表2のように添加し、10名のパネルにより官能評価を行った。なお、キナ酸はナカライテスク株式会社製の市販品を用いた。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
官能評価は以下の評価基準を用いて比較例及び実施例のコクの強さ、後切れの良さ、嗜好性に関する各項目を点数で評価し、各パネルの評価点を平均した。結果を表3に示す。
評価基準(コクの強さ、後切れの良さ)
非常に高い効果が見られた:5点
高い効果が見られた :4点
効果が見られた :3点
やや効果が見られた :2点
効果が見られなかった :1点
評価基準(嗜好性)
非常に高い:5点
高い:4点
中程度:3点
低い:2点
非常に低い:1点
【0026】
【表3】

【0027】
キナ酸、参考例1、参考例2の呈味改善剤を添加したものは、高甘味度甘味料の後切れが良かったが、コクが弱い傾向にあった。一方、製造例1、製造例2の呈味改善剤を添加したものは、高甘味度甘味料の後切れが良く、コクが強く、さらに嗜好性が高かった。
【0028】
[実施例2]コーヒーゼリー
表4の処方(質量比)のように各原料を配合し加温溶解させた後、ゼリーカップに充填し、85℃20分間殺菌を行ってコーヒーゼリーを得た。製造例1のコーヒー抽出物を配合したもの(処方A)と配合しないもの(処方B)の2種類のコーヒーゼリーを調製し、10名のパネルにより、実施例1と同じ評価基準により官能評価を行った。官能評価の結果を表5に示した。
【0029】
【表4】

【0030】
【表5】

【0031】
製造例1のコーヒー抽出物を添加した処方Aのコーヒーゼリーはコクが強く、高甘味度甘味料の後切れが良く、嗜好性が高かった。一方、コーヒー抽出物を添加しなかった処方Bのコーヒーゼリーは、コクが弱く、後切れが悪く、嗜好性が低かった。
【0032】
〔実施例3〕黒糖キャンディー
表6の配合量(質量比)に基づき、還元麦芽糖水飴を185℃まで加温した後、150℃まで急冷し、水に溶かしたアセスルファムK、スクラロースと製造例1のコーヒー抽出物および黒糖フレーバーを添加後、成型、冷却して黒糖キャンディーを得た(処方C)。同様にコーヒー抽出物無添加の黒糖キャンディーを調製し(処方D)、10名のパネルにより、実施例1と同じ評価基準により官能評価を行った。官能評価の結果を表7に示した。
【0033】
【表6】

【0034】
【表7】

【0035】
製造例1のコーヒー抽出物を添加した処方Cの黒糖キャンディーは、コクが強く、高甘味度甘味料の後切れが良く、嗜好性が高かった。一方、コーヒー抽出物を添加しなかった処方Dの黒糖キャンディーは、コクが弱く、後切れが悪く、嗜好性が低かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
L値25以上40以下の焙煎コーヒー豆を水蒸気蒸留により脱臭し、次いで水、エタノール又はこれらの混合物で抽出して得られたコーヒー抽出物を有効成分として含む高甘味度甘味料の呈味改善剤。
【請求項2】
高甘味度甘味料がアスパルテーム、ステビア、スクラロース、アセスルファムKである請求項1記載の高甘味度甘味料の呈味改善剤。
【請求項3】
請求項1又は2記載の呈味改善剤を高甘味度甘味料含有飲食品に添加することを特徴とする高甘味度甘味料含有飲食品の呈味改善方法。
【請求項4】
前記飲食品がコーヒー風味の飲食品である請求項3記載の呈味改善方法。
【請求項5】
請求項1又は2記載の呈味改善剤を添加したことを特徴とする高甘味度甘味料含有飲食品。
【請求項6】
前記飲食品がコーヒー風味の飲食品である請求項5記載の高甘味度甘味料含有飲食品。

【公開番号】特開2011−62181(P2011−62181A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218064(P2009−218064)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(591011410)小川香料株式会社 (173)
【Fターム(参考)】