説明

高発光の色−選択材料

【課題】高いスペクトル純度の光ルミネセンス放出を伴う高い量子収率を示す半導体ナノ結晶子を提供する。
【解決手段】光放出可能な被覆されたナノ結晶であって、CdX(ただしXはS、Se、Te及びそれらの混合物である)からなる群より選択される、実質的に単分散粒子の集合の一部であるコア;およびZnY(ただしYはS、Se、であり、それらの上に均一に積層されている)のオーバーコートを含み、その被覆されたコアは、照射時に半値全幅(FWHM)で約60nm、最も好ましくは40nm以下である狭いスペクトル範囲で粒子が光を放出する被覆されたナノ結晶。コアの粒子サイズは、約2nm(20Å)〜約12.5nm(125Å)の範囲であり、コアにおいて10%未満の偏差を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、非常に狭い範囲の波長上で可視光を放出する発光微細結晶質に関するものである。さらに本発明は、全体の可視光スペクトル上で同調可能な、狭い範囲の可視光を放出する材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
その半径がバルクの励起子のボーア半径より小さい半導体ナノ結晶子(量子ドット)は、物質の分子とバルク形態の間の中間体の物質群を構成する。全三次元での電子およびホール両方の量子の閉じ込めにより、結晶子サイズが減少して材料の有効なバンドギャップの増加が生じる。結果的に、量子ドットの光吸収および放出の両方が、ドットのサイズがより小さくなるために青(より高いエネルギー)側にシフトする。
【0003】
バウエンディ(Bawendi)とその協力者は、熱い配位溶媒へ注入された有機金属試薬の熱分解により、単分散の半導体ナノ結晶子を調製する方法を説明した(J.Am.Chem.Soc.,115:8706(1993))。これは、一時的に個々の核形成を可能にし、マクロ的な量のナノ結晶子の制御された成長が起こる。成長溶液からの結晶子のサイズ選択的析出により、狭いサイズ分布を有する結晶子が供給される。量子ドットの狭いサイズ分布により、非常に狭いスペクトル幅における光放出が可能になる。
【0004】
バウエンディとその協力者が説明したように調製された半導体ナノ結晶子が単分散に近い状態で、それ故に高い色選択性を示しているとしても、その結晶子の発光特性は劣っている。このような結晶子は低い光ルミネセンス生産量を示し、すなわち照射時に放出された光は低い輝度のものである。これはバルク内部のエネルギー的な禁制ギャップ内に存在する結晶子の表面におけるエネルギーレベルによる。これらの表面エネルギー状態は、材料のルミネセンス特性を劣化させる電子およびホールのトラップとして作用する。
【0005】
量子ドットの光ルミネセンス生産量を向上する努力において、ナノ結晶子表面は、禁制エネルギーレベルを除去できるように有機不活化配位子と量子ドットの表面原子の反応により不活化された。このような不活化により、半導体および不活化層の界面で、化学的ポテンシャルの原子的な突然の増加がもたらされる(A.P.Alivisatos,J.Phys.Chem.100:13226(1996)を参照)。バウエンディ等(J.Am.Chem.Soc.,115:8706(1993))は、量子収率が約5〜10%である、トリ−n−オクチルホスフィン(TOP)およびトリ−n−オクチルホスフィン酸化物(TOPO)のような有機成分でキャップされたCdSeナノ結晶子について説明している。
【0006】
無機材料を用いた量子ドットの不活化も報告されている。無機コーティングにより不活化された粒子は有機的に不活化されたドットよりも強く、それらのデバイスへの組込に必要な加工条件に対する耐性はより大きい。従来報告された無機的に不活化された量子ドットの構造としては、CdSでキャップしたCdSeおよびCdSeでキャップしたCdS(Tian等、J.Phys.Chem.100:8927(1996)):CdS上で成長したZnS(Youn等、J.Phys.Chem.92:6320(1988));CdSe上のZnSおよびその逆の構造(Kortan等、J.Am.Chem.Soc.112:1327(1990);ならびにSi上のSiO2(Wilson等、Science、262:1242(1993)が挙げられる。これらの報告された量子ドットは、非常に低い量子効率を示し、それ故に光放出用途において商業的に利用できない。
【0007】
M.A.ハインズ(M.A.Hines)およびP.Guyot−Sionnestは、ZnSでキャップしたCdSeナノ結晶子の調製を報告しており、これは室温においてルミネセンス生産量を量子収率の50%まで上げたという重要な改良を示した(J.Phys.Chem.100:468(1996))。しかしながら、放出された光の質は許容できないままであり、なぜなら生じたキャップされたナノ結晶子のコアの大きいサイズの分布(12〜15%rms)のためである。この大きいサイズの分布により、広いスペクトル範囲での光放出が生じる。加えて、報告された調製方法は、この方法により得られる粒子サイズの制御が不可能で、それ故に色の制御も不可能である。
【0008】
ダネック(Danek)等は、ZnSeオーバーコート層を持つCdSeナノ結晶子の電子的および化学的不活化を報告している(Chem.Materials 8:173(1996))。このようなZnSeでキャップしたCdSeナノ結晶子は、ZnSeのより優れた単位セル適合(unit cell matching)により、ZnS類似体と同様に良い、またはより優れた量子収率を示すことが予想されるにもかかわらず、実際には結果生じる材料は量子効率において失望的な改良しか示さなかった(≦0.4% 量子収率)。
【0009】
このように、狭い粒子サイズを持ち(それゆえに狭い光ルミネセンスペクトル範囲を持つ)、可視スペクトルを通じて高い量子効率を持つ光放出が可能である半導体ナノ結晶子の必要性は残されたままである。
【0010】
本発明の目的は、先行技術の制限を克服し、高いスペクトル純度の光ルミネセンス放出を伴う高い量子収率を示す半導体ナノ結晶子を提供することである。
【発明の概要】
【0011】
発明の概要
本発明の一つの観点において、光放出可能な被覆ナノ結晶は、CdX(ただし、XはS、Se、Teである)からなる群より選択された、実質的に単分散のコア;およびZnYのオーバーコート(ただし、Yは、それらの上に均一に沈着されたS、Seおよびそれらの混合物である)を含み、前述の被膜コアは、照射されたとき半値全幅(FWHM)で約40nm以下の狭いスペクトル範囲において粒子が光を放出することを特徴とする。いくつかの実施形態において、該狭いスペクトル範囲は約470nm〜約620nmの範囲におけるスペクトルから選択され、該コアの粒子サイズは、約20Å〜約125Åの範囲から選択される。
【0012】
本発明の他の実施形態において、該被膜ナノ結晶は、該コアの直径において、10%未満、好ましくは5%未満のrms偏差を示すことを特徴とする。該ナノ結晶は、好ましくは30%を超える、最も好ましくは約30〜50%の範囲の量子収率を有する光ルミネセンスを示す。
【0013】
本発明のその他の実施形態において、該オーバーコートは、1〜2のZnYの単層を含む。該ナノ結晶はさらに、ナノ結晶の外表面上に有機層を含んでもよい。該有機層は、懸濁媒体に対する親和性を持つ成分を末端に持つ短鎖のポリマー等の、懸濁媒体との適合性を提供するために選択される成分、および量子ドット表面に親和性を示す成分を含みうる。ナノ結晶表面に対する親和性は、有機化合物を外表面の量子ドットへの配位を促進し、懸濁媒体に対する親和性を持つ成分は量子ドット懸濁液を安定化させる。
【0014】
本発明の他の観点において、光放出可能な被覆ナノ結晶を調製する方法は、実質的に単分散の第一半導体ナノ結晶および熱変換可能な前駆体を配位溶媒中で第二半導体材料中に導入することを含む。該配位溶媒は、該前駆体を該第二半導体材料に変えるのに十分な、しかし実質的に第一半導体ナノ結晶の単分散性に変えるには不十分な温度で維持され、該第二半導体材料は、該第一半導体ナノ結晶より大きいバンドギャップを有する。該第二半導体材料のオーバーコートは、該第一半導体ナノ結晶の上に形成される。
【0015】
本発明の一つの実施形態において、ナノ結晶の単分散性が、前駆体の変換および第一半導体ナノ結晶のオーバーコート中にモニターされる。他の実施形態において、有機オーバーコートは該ナノ結晶をナノ結晶表面に対する親和性を持つ有機化合物と接触させることにより、該有機化合物に配位溶媒から置き換えることによって得られる、ナノ結晶の外表面上に存在する。
【0016】
より高い量子効率を持つことに加えて、ZnSオーバーコート粒子は、有機的に不活化されたナノ結晶子より強く、潜在的に光電子デバイスにより有用である。本発明の(CdSe)ZnSドットは、電子発光素子(LED)に使用しうる。加えて、本発明の(CdSe)ZnSドットは、高および低電圧電子の両方による励起時に、陰極ルミネセンスを示し、交流薄膜電子発光素子(ACTFELD)の生産において潜在的に有用であり得る。キャップされたナノ結晶子を参照するためにここで用いた従来技術において、丸かっこに入れてある化合物はコア化合物を表し(すなわち、裸の“ドット”)、一方で続く化合物は被覆した不活化層を表している。
【0017】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、以下の発明の説明において述べられている。
【0018】
図面の簡単な説明
本発明は、図面を参照しながら説明され、これらは単に説明の目的のために存在し、それらは:図1は、ZnSの1〜2の単層でオーバーコートする前(破線)および後(実線)の、(a)23Å、(b)42Å、(c)48Åおよび(d)55Åの実測直径を有するCdSeドットの吸収スペクトルを示し、図2は、ZnSでオーバーコートする前(破線)および後(実線)の、図1のサンプルの室温の光ルミネセンス(PL)スペクトルを示し、図3は、本発明の(CdSe)ZnS複合量子ドットの発光の広いスペクトル範囲、および色純度を示したカラー写真であり、図4は、約0、0.65、1.3、2.6および5.3の単層のZnS被膜を持つ(CdSe)ZnS量子ドットに対する、吸収スペクトルの進行を示したものであり、および図5は、多様なZnS被膜を持つ、図4の〜40Å直径の(CdSe)ZnSドットに対する、PLの進化を示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、ZnSの1〜2の単層でオーバーコートする前(破線)および後(実線)の、(a)23Å、(b)42Å、(c)48Åおよび(d)55Åの実測直径を有するCdSeドットの吸収スペクトルを示す。
【図2】図2は、ZnSでオーバーコートする前(破線)および後(実線)の、図1のサンプルの室温の光ルミネセンス(PL)スペクトルを示す。
【図3】図3は、本発明の(CdSe)ZnS複合量子ドットの発光の広いスペクトル範囲、および色純度を示したカラー写真である。
【図4】図4は、約0、0.65、1.3、2.6および5.3の単層のZnS被膜を持つ(CdSe)ZnS量子ドットに対する、吸収スペクトルの進行を示したものである。
【図5】図5は、多様なZnS被膜を持つ、図4の〜40Å直径の(CdSe)ZnSドットに対する、PLの進化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
本発明は、一連の狭い粒子サイズ分布を持つ、室温で高い発光性のZnSでキャップしたCdSe((CdSe)ZnS)ナノ結晶子を調製することを目的とする。本発明のナノ結晶子は、約30%超の、好ましくは約30〜50%の範囲の優れた高い量子収率、および470nm〜625nmの可視光スペクトルのほとんどにかかる狭いバンドエッジのルミネセンスを示す。ナノ結晶子のコアは、実質的に単分散である。その用語がここで用いられている単分散とは、懸濁粒子が実質的に同一のサイズおよび形状を持つコロイド系を意味する。本発明の目的において、単分散粒子は、コアにおいてrms直径において10%未満の偏差であり、好ましくはコアにおいて5%未満である。
【0021】
本発明のキャップされた量子ドットが一次光源で照射される場合、光の二次放出は、該量子ドットに使用されている半導体材料のバンドギャップと一致する頻度で生じる。前記したように、このバンドギャップはナノ結晶子のサイズの関数である。本発明のキャップされたナノ結晶子の狭いサイズ分布の結果として、照射された量子ドットは狭いスペクトル範囲の光を放出し、これにより高い純度の光を生じる。半値全幅(FWHM)で約60nm、好ましくは40nm、および最も好ましくは30nm以下の狭い範囲のスペクトル放出が観察される。
【0022】
本発明はまた、狭い粒子サイズ分布を持つ、キャップされた量子ドットを製造する方法を目的としている。本発明のキャップされた量子ドットは、サイズ選択されたナノ結晶子を最初に合成し、次に予め選択された厚さの不活化層でオーバーコートする二段階の合成を用いて製造される。好ましい実施形態において、反応温度、単分散の程度および層の厚さのような工程パラメーターは、狭い粒子サイズ分布、高いスペクトル純度および高い量子効率の被覆された量子ドットを提供できるように結晶成長およびオーバーコートの間モニターされる。ここで使用されている用語として“量子収率”とは、吸収された光子に対する放出された光子の割合を意味し、例えば光ルミネセンス量子収率である。
【0023】
本方法は(CdSe)ZnS量子ドットのために記述されているが、本方法が様々な既知の半導体材料の調製において適用されうることは明白である。(CdSe)ZnS量子ドットの合成のための二段階工程の第一段階は、ほとんど単分散のCdSeナノ結晶子の調製を含む。その粒子は、約5〜10%の粒子サイズ分布を持つ約23Åから約55Åの範囲の大きさを有する。これらのドットは、“裸の”ドットとして言及される。該CdSeドットは高温コロイド成長工程、次にサイズ選択的析出によって得られる。
【0024】
高温コロイド状成長工程は、適切な有機金属前駆体を高温の配位溶媒へ迅速に注入して、一時的に分離した均一な核形成を生じることによって達成される。一時的に分離した核形成は、注入時の試薬濃度の迅速な増加によって達成され、これにより核形成により緩和される突然の過飽和が生じ、続いてはじめに形成された核上で成長がおこる。配位溶媒中の遅い成長およびアニーリングは、コア構造において均一な表面偏差および規則性を生じる。試薬を高温反応溶媒に注入することにより、均一核形成の短いバーストが生じる。核形成による試薬の枯渇および室温の試薬の導入に関連する突然の温度降下は、さらなる核形成を妨げる。次に溶液を穏やかに加熱して、溶液温度を再構築する。緩やかに再加熱することによって、結晶子が成長およびアニーリングできる。小さい結晶子のより高い表面自由エネルギーは、より大きい結晶子に比べて溶媒中の溶解に関してそれらをより不安定にする。この安定性の勾配の全体の結果として、小さい粒子から大きい粒子の表面への材料の遅い拡散が生じる(“オストワルド熱成”)。この種の成長により、はじめにかなり多分散でありうる系から、高い単分散性のコロイド状懸濁液が得られる。
【0025】
サンプルにおける結晶子の平均サイズおよびサイズ分布の両方は、成長温度に依存する。安定した成長を維持するのに必要な成長温度は、平均結晶サイズを増加させながら上昇する。該サイズ分布が鋭いため、該温度は安定した成長を維持するために上昇させることができる。該サイズ分布が鋭いため、該温度は安定した成長を維持するために5〜10℃の増加で上昇させることができる。逆に、該サイズ分布が広がり始める場合、該温度を5〜10℃減少し、オストワルド熱成および均一な結晶成長を促進するために、一般的に、直径40Åのナノ結晶子は、温度範囲250度〜280℃で、2〜4時間で成長できる。より大きいサンプル(60Åまたはそれ以上)は成長するのに数日を要し、320℃もの高温を必要とする。その成長期間は、より高い温度を用いることにより、または追加の前駆体物質を添加することにより、有意に短縮され得る(例えば数時間)。
【0026】
反応の成長段階におけるサイズ分布は、粒子の吸収ライン幅をモニターすることにより近似される。粒子の吸収スペクトルの変化に対応した反応温度の変更により、成長中の鋭い粒子サイズ分布の維持を可能にする。反応物質が結晶成長中に核形成溶液へ添加され、より大きい結晶に成長することも考察されている。
【0027】
該粒子サイズ分布はさらに、サイズ選択的析出により精製されてもよい。好ましい実施形態において、これはナノ結晶子懸濁液の溶媒組成物の取り扱いによってなされてもよい。
【0028】
CdSeナノ結晶子は、結晶子の外表面上のアルキル基の親液性コーティングの形成により溶液中で安定化される。該アルキル基は、成長期間中に用いられる配位溶媒によって提供される。該親液性コーティングによって生じる粒子間の反発力により、溶液中において粒子の凝集を防いでいる。安定化の効力は、溶媒とのアルキル基の相互作用に強く依存している。非溶媒の段階的な添加は、ナノ結晶子のサイズ依存的凝集を生じるであろう。非溶媒とは、結晶子の外表面に結合しうる基が大きな親和性を示さない溶媒である。本実施例において、配位基がアルキル基の場合、適切な非溶媒としては、メタノール、プロパノールおよびブタノールのような低分子量アルコールが挙げられる。この現象は、サイズ選択的析出工程によって、ナノ結晶子の粒子サイズ分布をさらに狭くするのに使用されうる。非溶媒の連続的な添加において、まず最も大きい粒子が凝集する。はじめの溶液から凝集した粒子の集合部分を除去することにより、沈殿および上清の両方において、粒子サイズ分布を狭くすることになる。
【0029】
潜在的な有機金属前駆体および高い沸点の配位溶媒の利点は、CdSeドットの調製においてどれが使用されるかということに存在する。有機金属前駆体はそれらの安定性、調製の容易さ、きれいな分解産物および低いクラッキング温度に応じて選択される。Cdソースとして使用するのに特に適切な有機金属前駆体としては、CdMe2のようなアルキルカドミウム化合物が挙げられる。Seソースとして使用するのに適切な有機金属前駆体は、ビス(トリメチルシリル)セレニウム((TMS)2Se)、(トリ−n−オクチルホスフィン)セレン化物(TOPSe)、および、(トリ−n−ブチルホスフィン)セレン化物(TBPSe)のようなトリアルキルホスフィンセレン化物が挙げられる。他の適切な前駆体としては、同一分子内にカドミウムおよびセレニウムの両方を含んでいてもよい。アルキルホスフィンおよびアルキルホスフィン酸化物は、高沸点配位溶媒として使用されてもよい;しかしながら、ピリジン類、フラン類、およびアミン類のような他の配位溶媒もナノ結晶子の製造に適している。
【0030】
単分散CdSe量子ドットの調製は、ムレイ(Murray)等(J.Am.Chem.Soc.,115:8706(1993))において詳細に説明されており、これは引用によりその全体をここに関連させる。
【0031】
次に、該CdSe粒子は、配位溶媒(例えばTOP)中に亜鉛および硫黄前駆体を含む溶液を、望ましい温度でCdSeナノ結晶子の懸濁液中に導入することによりオーバーコートされる。ドットがオーバーコートされる温度は、生じた複合粒子の質に関連する。比較的高温でCdSe粒子をオーバーコートすると、CdSeのシード結晶がオストワルド熱成を介して成長し始め、粒子のサイズ分布が低下し、これによりより広いスペクトルライン幅になる。比較的低温で粒子をオーバーコートすると、前駆体の不完全な分解がおこる、またはZnSシェルの結晶性の減少がおこる。理想的な成長温度は、コアのサイズ分布が一定であり、および高度の結晶性を持つシェルが形成されるように、それぞれのCdSeのコアサイズについて決定されうる。好ましい実施形態において、CdSe結晶子は、亜鉛および硫黄の前駆体としてジエチル亜鉛およびヘキサメチルジシラチアンを用いてオーバーコートされる。約23Å〜30Åの範囲の直径を持つCdSe結晶子は、約135〜145℃の範囲、好ましくは約140℃の温度でオーバーコートされる。同様に、約35Å、40Å、48Åおよび55Åの直径を持つナノ結晶子はそれぞれ、約155〜165℃、好ましくは160℃で、約175〜185℃、好ましくは180℃で、約195〜205℃、好ましくは200℃で、および約215〜225℃、好ましくは220℃でそれぞれオーバーコートされる。実際の温度範囲は、前駆体および結晶子コアの相対的な安定性、およびオーバーコート層の組成によって異なる。これらの温度範囲は、前駆体の相対的な安定性により、10〜20℃変更されることが必要となりうる。例えば、より安定なトリアルキルホスフィンカルコゲニド(TOPSeのようなもの)が使用されている場合、より高温が用いられる。生じる(CdSe)ZnS複合粒子はまた、それらの最も外側の表面上でTOPO/TOPにより不活化される。
【0032】
該ZnS前駆体溶液の濃度およびそのCdSe粒子への添加速度は、ZnS粒子を製造する均一な核形成ではなく、CdSe核上へのZnSの不均一な成長を促進するように選択される。不均一な成長に有利な条件は滴下であり、例えばZnS前駆体溶液を1〜2滴/秒でCdSe溶液に添加し、ZnS前駆体溶液を低い濃度に保つ。低い濃度とは、典型的に0.0005〜0.5Mの範囲である。いくつかの好ましい実施形態において、オーバーコートされたドットがサイズ選択的析出されて、主に(CdSe)ZnS複合粒子だけが最終産物中に存在するようさらにする最終精製段階を含むことが望ましい。
【0033】
他の実施形態において、結晶子外表面を、キャップされた量子ドットの安定な懸濁液を形成できるように修飾することが望ましい。ナノ結晶の外表面は、キャップ成長工程中に用いられた配位溶媒由来の有機層を含む。結晶子表面は、過量の競合する配位基に繰り返し晒されることによって改変されてもよい。例えば、キャップされた量子ドットの分散が配位する有機化合物、例えばピリジン等で処理され、ピリジン、メタノールおよび芳香族化合物中に容易には分散するが、脂肪族化合物には分散しない結晶子を製造してもよい。このような表面改変工程は、キャップされた量子ドットの外表面に配位又は結合することのできる様々な化合物を用いて実行され、例えばホスフィン類、チオール類、アミン類およびホスフェートを介して、行われても良い。他の実施形態において、キャップされた量子ドットは、一方ではキャップされた表面に親和性を示し、懸濁または分散媒体に対して親和性を持つ部分で終わる短鎖ポリマーに晒されてもよい。このような親和性は、懸濁液の安定性を促進しキャップされた量子ドットの凝集を防ぐ。
【0034】
上記で説明した合成により、一定の範囲のコアおよびシェルサイズを有するオーバーコートされた量子ドットが製造される。意義深いことには、本発明の方法は、ナノ結晶子のサイズ分布およびオーバーコートの厚さの両方を個別に制御することが可能である。図1は、1〜2のZnSの単層でオーバーコートする前(破線)および後(実線)の、直径(a)23Å、(b)42Å、(c)48Åおよび(d)55Åの粒子サイズ分布を持つCdSeドットの吸収スペクトルを示す。ここで用いられる用語としての“単層”とは、長球型ドットの主軸に沿って3.1Å(バルクのウルツ鉱ZnSの[002]軸に沿った連続した平面の間の距離)と測定されるZnSのシェルを意味する。吸収スペクトルは、量子ドットによって吸収される光の吸収の波長と輝度を表している。図1は、ZnSマトリックスへの励起子の部分的なもれによる、オーバーコート後の赤(より低いエネルギー)側への吸収スペクトルの小さいシフトを示している。この赤側へのシフトは、励起子のZnSシェルへのもれが電荷担体の閉じ込めエネルギーにより劇的な効果を持つより小さなドットでより明白である。
【0035】
図2は、ZnSによるオーバーコート前(破線)および後(実線)の図1に示されるサンプルの室温のルミネセンススペクトル(PL)を示す。該PL量子収率は、裸のドットにおける5〜15%から、ZnSで不活化されたドットにおける30〜50%の範囲の値へ増加している。該PLスペクトルは、それぞれ(a)40%、(b)50%、(c)35%および(d)30%のより高い量子収率によりかなり強い。該量子収率は、ZnSの約1.3の単層を添加すると最高値に達する。より高いZnS被覆における量子収率の減少は、ZnSシェルにおける欠陥の形成によるかもしれない。
【0036】
図3は、本発明の(CdSe)ZnS複合量子ドットからのルミネセンスの広いスペクトル範囲を示すカラー写真である。該写真は、同じ石英キュベットに入れた、希釈ヘキサン溶液中に分散したZnSオーバーコートCdSeドットの6つの異なるサンプルを示す。該サンプルは、全ての溶液について一度にルミネセンスを観察するために紫外線ランプの356nmの紫外線で照射された。CdSeコアのサイズが増加するに従って、ルミネセンスの色は、青から緑、黄、オレンジを介して赤へ連続的な進行を示す。それらのPLピークは(図3の右から左へ)(a)470nm、(b)480nm、(c)520nm、(d)560nm、(e)594nmおよび(f)620nmで生じる。対照的に、TOPOでキャップした裸のドットの最も小さいサイズでは、PLの色は、通常広く深いトラップ放出によって支配されており、弱い白色光のように見える。
【0037】
CdSeドットの光学的および構造的な特性に関するZnS不活化の効果を示すために、大量の〜40Å(±10%)の直径のCdSeドットは、同一の温度および可変時間のもとで、ZnおよびSの前駆体の量を変化させてオーバーコートされた。その結果は、ZnSシェル厚さを変化させていた以外は、類似のCdSeコアを持つ一連サンプルであった。図4は約0(裸のTOPOキャップされたCdSe)、0.65、1.3、2.6および5.3単層のZnS被膜を持つこれらのサンプルに対する、吸収スペクトルの進行を示す。図の右側は、吸収スペクトルの長波長領域であり、最も低い光学遷移を示している。そのスペクトルから、より厚いZnSオーバーコートを有する赤側へのシフトの増加、ならびにシェル厚さの多分散性が増加したことによるスペクトル中の第一のピークの広がりが示される。スペクトルの左側は、より高いZnSバンドギャップのZnSシェルへの直接的な吸収により、ZnS厚さが増加したことに従う、より高いエネルギーでの増加した吸収を示すスペクトルの紫外線領域を示す。
【0038】
ZnS被膜を持つ同様の〜40Å直径CdSeドットに関するPLの進行を図5に示す。CdSe表面上のZnS被覆数が増加すると、蛍光量子収率における劇的な増加が観察され、その後に〜1.3単層のZnSの後に、一定の減退が続く。そのスペクトルは赤側にシフトし(吸収スペクトルにおけるシフトよりわずかに大きい)、被覆数が高くなると広がりが増すことが示される。図5への挿入は、ZnSシェル厚さの関数としてこれらのドットのための量子収率の進化を記している。この特別なサンプルにおいて、該量子収率は裸のTOPOでキャップされたCdSeドットにおいて15%で始まり、ZnSを添加により増加し、約〜1.3単層被膜で最高値の50%に達した。より高い被膜数では、該量子収率は、約5単層被膜で約30%の値に達するまでがだんだんと減少し始めた。
【0039】
本発明をCdSe(ZnS)の調製および性能を参照しながら説明してきたが、該調製方法が、ナノ結晶子コアおよびオーバーコートの様々な組み合わせを持つ、単分散のオーバーコート量子ドットを得るために使用されうることは容易に明白である。本発明の方法は、非常に狭い粒子サイズ分布を持ち、色純度および光ルミネセンスの放出の強さを向上する様々なキャップされたナノ結晶子の調製を可能にしている。多様なカドミウムカルコゲニド、例えば、CdX(ただし、XはS、Se、Teである)が調製され、および本発明の方法によりオーバーコートされることが考察されている。さらに、該オーバーコートは多様であり、例えばZnS、ZnSe、CdSおよびそれらの混合物のみを含みうることも考察されている。
【実施例】
【0040】
本発明を以下の実施例を参照しながら説明するが、これらは説明のために存在するものであって、本発明の範囲を限定するものではなく、その範囲はこの明細書に続く先に述べる請求項にある。
【0041】
実施例1.CdSeの調製 トリオクチルホスフィン酸化物(TOPO、純度90%)およびトリオクチルホスフィン(TOP、純度95%)をストレム(Strem)およびフルカ(Fluka)からそれぞれ得た。ジメチルカドミウム(CdMe2)およびジエチル亜鉛(ZnEt2)をアルファ(Alfa)およびフルカよりそれぞれ得て、不活性雰囲気のボックス内で、両方の材料を別々に0.2μmフィルターを介して濾過した。トリオクチルホスフィンセレン化物は、TOP100ml中にSe0.1モルを溶解することによって調製され、TOPSe1M溶液を製造した。ヘキサメチル(ジシラチアン)(TMS2S)は、アルドリッチから購入して使用した。HPLCグレードのn−ヘキサン、メタノール、ピリジンおよびn−ブタノールは、EMサイエンスから購入した。
【0042】
典型的なTOP/TOPOでキャップしたCdSeナノ結晶子の調製を示す。TOPO(30g)をフラスコに入れ、180℃で吸引下(〜1Torr)で1時間乾燥した。フラスコを次に窒素で充填し、350℃に熱した。不活性雰囲気の乾燥ボックス中で、次の注入溶液を調製した:CdMe2(200μl、2.78mmol)、1MのTOPSe溶液(40ml、4.0mmol)、およびTOP(16ml)。この注入溶液を徹底的に混合し、シリンジに充填し、乾燥ボックスから取り出した。
【0043】
反応フラスコから熱を除き、この試薬混合物を一回の連続した注入で激しく撹拌しているTOPOへ注入した。これにより470〜500nmで鋭い吸収特徴を持つ濃黄/オレンジ色の溶液が生成し、急激に温度を〜240℃に低下させた。該反応フラスコを再び加熱して徐々に260〜280℃へ上げた。
【0044】
反応溶液の一部分を、規則的なインターバル(5〜10分)で分取し、結晶子の成長をモニターするために吸収スペクトルを測定した。最も良いサンプルは、吸収スペクトルにおける特徴の鮮明度を推定しながら、サイズ分布における変化へ対応して成長温度を調節することにより、2〜3時間の一定成長の期間を超過して調製されたものであった。その温度は、サイズ分布における増加に対応して5〜10℃低くした。代わりに、反応はこの時点で停止することもある。成長が停止したように見えた場合、その温度を5〜10℃上昇させる。望ましい吸収特徴が得られたときは、その反応フラスコを〜60℃まで冷却させ、20mlのブタノールを添加しTOPOの固体化を防いだ。かなり過量のメタノールの添加により粒子の凝集を生じた。その凝集は遠心分離により上澄み液から分離された;生じた粉末は様々な有機溶媒(アルカン、エーテル、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエン等)に分散させることができ、光学的に透明な溶液を生成した。
【0045】
サイズ選択的析出
ナノ結晶子は、ヘキサン中の〜10%ブタノールの溶液に分散させた。次に乳白色を呈するまで、この撹拌溶液にメタノールを滴下して添加した。遠心分離による上澄みおよび凝集の分離により、サンプル中の最も大きい結晶子で豊富な析出を生成した。この方法は、光吸収スペクトルのさらなる鋭さが記録されなくなるまで繰り返された。サイズ選択的析出は、様々な溶媒/非溶媒の対で実施され、ピリジン/ヘキサンおよびクロロホルム/メタノールを含む。
【0046】
表面変換
結晶子表面の誘導は、過量の競合するキャッピング基に繰り返し晒すことにより改変される。TOPO/TOP〜50mgの混合物を〜60℃へ加熱することで結晶子をキャップし、溶媒中でピリジン5〜10mlに徐々に該結晶子を分散させた。過量のヘキサンでの分散処理により結晶子の凝集が生じ、これは次に遠心分離された。ピリジンへの分散及びヘキサンでの凝集の工程は数回繰り返され、ピリジン、メタノール、及び芳香族化合物に容易に分散するが、脂肪族化合物には分散しない結晶子を生成した。
【0047】
実施例2 CdSeの調製
CdSeコアを製造する第二の方法において、実施例1のホスフィンカルコゲニド前駆体は、(TMS)2Seで置き換えられている。最小の(〜12Å)CdSe種は、より穏やかな条件で、〜100℃で実施される注入及び成長により製造された。生産物はさらに実施例1に記載のように処理された。
【0048】
実施例3 (CdSe)ZnSの調製
直径で23Å〜55Åの範囲の、ほとんど単分散のCdSe量子ドットが合成され、実施例1に記載のようにサイズ選択的析出によって精製された。
【0049】
TOPO5gを含むフラスコを、吸引下で数時間、190℃まで加熱し、次にトリオクチルホスフィン(TOP)0.5mlを添加した後に60℃まで冷却した。ヘキサンに分散させたCdSeドット0.1〜0.4μmolをシリンジを通して反応器へざっと移し、溶媒を抽出した。
【0050】
ジエチル亜鉛(ZnEt2)及びヘキサメチルジシラチアン((TMS)2S)を、それぞれZn及びSの前駆体として使用した。各CdSeサンプルに対する望ましい厚さのZnSシェルを成長させるのに必要なZnおよびS前駆体の量は、下記のように決定された:第一に、CdSeドットの平均半径は、TEM又はSAXS測定により決定された。次に、望ましい厚さのシェルを形成するのに必要なCdSeに対するZnSの割合は、球状コア及びシェルと推測されるCdSe及びZnSのバルク格子パラメータを考慮するコアの質量に対するシェル質量の割合に基づいて計算されている。より大きい粒子において、同じ厚さのシェルを達成するのに必要なCdに対するZnの割合は、より小さいドットにおいてより小さい。CdSeコア上で成長するZnSの実際の量は、一般的に前駆体の不完全な反応及び反応中のフラスコの壁上のいくらかの材料のロスにより、加えられた量より少なかった。
【0051】
等モル量の前駆体を、不活性雰囲気のグローブボックス内で、TOP2〜4ml中に溶解した。この前駆体溶液をシリンジに充填し、反応フラスコに取り付けられた漏斗へ移した。TOPO及びTOP中に分散したCdSeドットを含む反応フラスコを、N2雰囲気下で加熱した。この前駆体が添加される温度は、直径23Åのドットにおける140℃から、直径55Åのドットにおける220℃への範囲であった。望ましい温度が達成された場合、Zn及びS前駆体を、5〜10分にわたって激しく撹拌されている反応混合物に滴下して添加した。
【0052】
添加が完了した後、その混合物を90℃に冷却し、数時間撹拌し続けた。ブタノール(5ml)を該混合物に添加して、TOPOが室温に冷却されて固体化することを防いだ。オーバーコートされた粒子はそれらの成長溶液中に保存され、ドットの表面がTOPOで不活化されたままでいることを確かめた。それらは後にメタノールで析出させ、ヘキサン、クロロホルム、トルエン、THFおよびピリジンを含む多様な溶媒に再分散させることにより粉末形状に戻された。
【0053】
いくつかの場合において、成長したCdSe結晶子は、十分に単分散であると判断され、サイズ選択的析出は実行されなかった。一度これらのCdSe粒子が望ましいサイズに成長したら、反応フラスコの温度を低くし、ZnおよびS前駆体をオーバーコートを形成するために滴下して添加した。
【0054】
光学的特徴決定
紫外線吸収スペクトルはHP8452ダイオードアレイスペクトルフォトメーターを用いた。ヘキサン中のドットの希釈溶液は1cm石英キュベット中に入れられ、それらの吸収及び相対する蛍光を測定した。光ルミネセンススペクトルは、表面収集モードでSPEXフルオロログ−2スペクトルメーターを用いて測定された。室温の量子収率は、溶液中でのドットの統合された放出と、励起波長で同一の光学密度のローダミン590又はローダミン640の溶液の放出とを比較することにより決定された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光放出可能な被覆されたナノ結晶であって、
CdX(ただしXはS、Se、Te及びそれらの混合物である)からなる群より選択される、実質的に単分散粒子の集合の一部であるコア;および
ZnY(ただしYはS、Se、であり、それらの上に均一に積層されている)のオーバーコートを含み、
該被覆されたコアは、照射されたときに半値全幅(FWHM)で約60nm以下の狭いスペクトル範囲で粒子が光を放出することを特徴とする被覆されたナノ結晶。
【請求項2】
光放出可能な被覆されたナノ結晶であって、
CdX(ただしXはS、Se、Te及びそれらの混合物である)からなる群より選択される、実質的に単分散粒子の集合の一部であるコア;および
ZnY(ただしYはS、Se、であり、それらの上に均一に積層されている)のオーバーコートを含み、
該被覆されたコアは、該ナノ結晶が該コアの直径において10%rms未満の偏差を示すことを特徴とする被覆されたナノ結晶。
【請求項3】
該スペクトル範囲は、半値全幅(FWHM)で約40nm以下である、請求項1に記載の被覆されたナノ結晶。
【請求項4】
該スペクトル範囲は、半値全幅(FWHM)で約30nm以下である、請求項1に記載の被覆されたナノ結晶。
【請求項5】
該被覆されたナノ結晶は、30%を超過する量子収率を持つ光ルミネセンスを示す、請求項1に記載の被覆されたナノ結晶。
【請求項6】
該被覆されたナノ結晶は、約30〜50%の範囲の量子収率を持つ光ルミネセンスを示す、請求項1に記載の被覆されたナノ結晶。
【請求項7】
該被覆されたナノ結晶は、コアのサイズにおいて5%rms未満の偏差を示す、請求項2に記載の被覆されたナノ結晶。
【請求項8】
該オーバーコートがZnYの1〜2の単層を含む、請求項1又は2に記載の被覆されたナノ結晶。
【請求項9】
該狭いスペクトル範囲は、約470nm〜約620nmの範囲のスペクトルから選択される、請求項1に記載の被覆されたナノ結晶。
【請求項10】
該コアの粒子サイズは、約20Å〜約125Åの範囲から選択される、請求項2に記載の被覆されたナノ結晶。
【請求項11】
該ナノ結晶は、さらに該ナノ結晶の外表面上に有機層を含む、請求項1または2に記載の被覆されたナノ結晶。
【請求項12】
該有機層は、懸濁媒体との相溶性を提供するために選択される部位を含む、請求項11に記載の被覆されたナノ結晶。
【請求項13】
該有機層は、該ナノ結晶子の外表面に対して親和性を示すために選択される部位を含む、請求項11に記載の被覆されたナノ結晶。
【請求項14】
該有機層は、懸濁媒体に対する親和性を持つ部位で終結する短鎖のポリマーを含む、請求項13に記載の被覆されたナノ結晶。
【請求項15】
実質的に単分散の第一半導体コア集合体と、第二半導体材料に熱変換できる前駆体とを配位溶媒中に導入することを含み、
該配位溶媒は該前駆体を該第二半導体材料に変換するのに十分な温度ではあるが、第一半導体のコアの単分散性を実質的に変化させるには不十分な温度に維持され、
該第二半導体材料は該第一半導体のナノ結晶より大きいバンドギャップを持ち、かつ
これにより、該第二半導体材料のオーバーコートが該第一半導体のナノ結晶上に形成される、光放出可能な被覆されたナノ結晶の調製方法。
【請求項16】
該前駆体の変換および該第一半導体ナノ結晶のオーバーコートの間、該ナノ結晶の単分散性をモニターすることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
吸収スペクトルより推測されるサイズ分布の広がりに応じて低くする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
温度を、モニターにより成長が停止したように見えた場合に応じて上げる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
該第一半導体の結晶は、CdX(ただし、XはS、SeまたはTeである)からなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
該第二半導体材料は、ZnS、ZnSe、CdSおよびCdSeならびにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
該コアの粒子サイズは、約20Å〜約125Åの範囲である、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
該ナノ結晶は、該ナノ結晶の外表面上に有機層をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
該有機層は、該ナノ結晶の表面に対する親和性を持つ有機化合物へ該ナノ結晶を晒すことにより、該有機化合物に該配位溶媒を置き換えることによって得られる、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−189643(P2010−189643A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43383(P2010−43383)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【分割の表示】特願2000−521557(P2000−521557)の分割
【原出願日】平成10年11月10日(1998.11.10)
【出願人】(500219537)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (25)
【氏名又は名称原語表記】MASSACHUSETTS INSTITUTE OF TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】77 Massachusetts Avenue, Cambridge, Massachussetts 02139,U.S.A
【Fターム(参考)】