高精度スクリーン印刷機及びその印刷方法
【課題】 高精度の印刷が可能なスクリーン印刷機及び印刷方法を提供する
【解決手段】 被印刷体の上部にクリアランスを設けて設置したスクリーン版の上部から、スキージの短手方向の一端部を被印刷体に押し付けながら摺動して、スクリーン版の上部の印刷剤を被印刷体に転移するための印刷機固定ホルダを有するスクリーン印刷機であって、スキージの短手方向の他端部を所定の長さ狭持するスキージホルダ部と、印刷機固定ホルダに備わり、各々把持力が調整可能であり、スキージホルダ部を介してスキージの他端部の長手方向の所定の箇所を把持する複数の把持機構部とを有する。
【解決手段】 被印刷体の上部にクリアランスを設けて設置したスクリーン版の上部から、スキージの短手方向の一端部を被印刷体に押し付けながら摺動して、スクリーン版の上部の印刷剤を被印刷体に転移するための印刷機固定ホルダを有するスクリーン印刷機であって、スキージの短手方向の他端部を所定の長さ狭持するスキージホルダ部と、印刷機固定ホルダに備わり、各々把持力が調整可能であり、スキージホルダ部を介してスキージの他端部の長手方向の所定の箇所を把持する複数の把持機構部とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷法を用いて電子部品や電子回路基板へ電極形成等を行うなど、特に高精度が要求される用途分野において使用する高精度スクリーン印刷機及びその印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、スクリーン印刷に用いられる版は、一定の張力を付与された状態で版枠に固定された所定メッシュのスクリーンの内部に感光性樹脂(エマルジョン)等で印刷パターンを形成して構成される。スクリーン印刷においては、スクリーンを被印刷体印刷面から一定距離(クリアランス)を隔てて配置し、そのスクリーンの上部からスキージを用いて一時的に印刷面に接触させ、スクリーンの弾性変形を利用した復元力により直ちに離隔させることによって、上記印刷パターンに従って印刷剤を塗布する。そのため、その版離れ性を確保する目的で、スクリーンには一定の張力が付与されている。
【0003】
スキージは厚さ5〜10mmで高さ50mm程度のゴム板をアルミ製のホルダに取り付けたものが一般的である。また、ゴム板の内部に硬質の樹脂板を埋め込み補強したものや、全体が一様なゴム板でなく、ゴム部の高さを10〜20mm程度として、これを硬質の樹脂板に取り付け一体としたマイクロスキージ(商品名:マイクロ・テック株式会社製)なども近年は広く用いられている。
【0004】
スキージゴムの材質としては、耐溶剤性、耐摩耗性が比較的優れるポリウレタンゴムが一般的であり、その他の材質として、ブチルゴム、ネオプレンゴム、シリコンゴム、ふっ素ゴム等種々有るが、これらは特殊な印刷剤(インキ)に限られて使用されることが多い。ゴムの硬さは配合、加硫技術により種々加工され使用されており、ゴムの硬度はJISのK6253規格に対応した硬度計であるデュロメーターのタイプAで測定した値で表される。低硬度で弾力性に富む50度から数字が大きくなるほど高強度で形状安定性が高くなり、90度程度のものまでがスクリーン印刷で使用される。
【0005】
スキージの被印刷体印刷面に接触する側の先端エッジ部は平滑度と平行度が要求され、使用により磨耗したり丸みを帯びたりした場合、これを再研磨してシャープなエッジとする事が必要となる。スキージの形状は平型、剣型(シングルカットとダブルカットの2種類)、角型の3種類があるが、研磨が容易にできる平型が最も広く使用されている。
【0006】
スキージは一般にアルミ製のスキージホルダにネジ等で取り付け、アルミ製のホルダ部を印刷機のスキージ固定ホルダに取り付けて使用される。スキージ固定ホルダには2つ又は3つ以上の複数のクランプが配設され、アルミ製のスキージホルダを把持することによりスキージを固定している。
【0007】
スクリーン印刷において印刷パターンを忠実に再現する事は極めて重要である。電子部品や電子回路基板への電極形成において、電子部品の小型化や高集積化に伴い印刷パターンも微細化しており、位置精度が高く再現性に優れた印刷機及び印刷方法への要求が高まっている。
【0008】
スクリーン印刷において高精細な印刷を実現する重要な要素の1つとして、スキージが被印刷体表面を押し付ける印圧を、スキージ幅方向に均一にすることがある。ここで印圧とは、スキージがスクリーン上部より被印刷体表面を実質的に押し付けるスキージの単位長さ当たりの力で[N/cm]で表される。
【0009】
印圧の均一化を達成する為に、スキージ幅方向におけるスキージ先端エッジ部と被印刷体印刷面とを平行とするよう、スキージ固定ホルダの左右に設置してあるスキージの高さ調整機構等で調整することが一般におこなわれている。しかしながら、スキージ先端エッジ部と被印刷体印刷面との平行を達成しても、スキージの印圧は、スキージへ印加する圧力とスクリーンの張力による反発力とのバランスにより決まるため、スキージ中央部に比べて幅方向の端部近傍になるほど張力による反発力が強くなり、端部近傍の印圧は低くなる。その結果、印刷されたパターンには不均一な歪みが発生し、高精細な印刷という要求を十分には満たすことができなかった。
【0010】
このような問題を解決するため、スキージの変形を抑制する押さえ治具を、スキージの摺動方向に対して背面側に一定の空間を設けて設置することで、スキージ両端部と中央部での印圧差を少なくするという、スクリーン印刷用スキージが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006-168278
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、押さえ治具とスキージとの間で設定する空間が広すぎると押さえ治具の効果は無く、狭すぎるとあたかもスキージゴムの硬度が高くなったような印刷特性を示すと伴に、スキージ端部近傍の押さえ治具も変形するなど、空間の調整が困難であったり印刷条件の設定が難しいなど、実用的でないという問題がある。
【0012】
本発明は、このような従来の問題を解決する為になされたもので、スクリーン版の張力によって生じる印圧のバラツキを、スキージの幅方向の実印圧バラツキを均一化し、印圧バラツキに起因する印刷物の歪みを抑制し、高い印刷寸法精度の要求に対応したスクリーン印刷機およびスクリーン印刷の方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、第1の発明は、被印刷体の上部にクリアランスを設けて設置したスクリーン版の上部から、スキージの短手方向の一端部を被印刷体に押し付けながら摺動して、スクリーン版の上部の印刷剤を被印刷体に転移するための印刷機固定ホルダを有するスクリーン印刷機であって、スキージの短手方向の他端部を所定の長さ狭持するスキージホルダ部と、印刷機固定ホルダに備わり、各々把持力が調整可能であり、スキージホルダ部を介してスキージの他端部の長手方向の所定の箇所を把持する複数の把持機構部とを有する高精度スクリーン印刷機を提供するものである。
【0014】
さらに第2の発明は、上記第1の発明において、把持機構部は、スキージの他端部の長手方向に関して中央部と両端部を把持する高精度スクリーン印刷機を提供するものである。
【0015】
さらに第3の発明は、上記第1または第2の発明において、把持機構部は、スキージの摺動方向と反対面の印刷機固定ホルダの側面に各々備わる高精度スクリーン印刷機を提供するものである。
【0016】
さらに第4の発明は、上記第1乃至第3のいずれかの発明において、把持機構部は、その把持力を生成する手段が、空気圧シリンダ、油圧シリンダ、弾性部材、及び、ねじによる締め込み力、のいずれか1種または2種以上を組み合わせたものである高精度スクリーン印刷機を提供するものである。
【0017】
さらに第5の発明は、上記第1乃至第4のいずれかの発明において、スキージの少なくともスキージホルダ部に狭持される部分は、硬度70度以上のゴムまたは樹脂または複合材料である高精度スクリーン印刷機を提供するものである。
【0018】
さらに第6の発明は、上記第1乃至5のいずれかの発明のスクリーン印刷機を用いて把持機構部の把持力を調整することにより、印刷時の被印刷体上でのスキージの長手方向における印圧を均一にする高精度スクリーン印刷方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、スキージの長手方向に対してスキージを固定する把持力を個別に調整することが可能な複数の把持機構を有することにより、被印刷体表面の印圧を均一化することが可能となり、印刷されるパターンの歪みが抑制され、位置精度が高く、再現性に優れた高精度印刷が可能となる。また、スキージの長手方向における印圧が均一になることから、スクリーン版のパターンを形成する部分を広く取ることが可能となり、生産効率の向上、製造コスト低減の効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態である高精度スクリーン印刷機について、図を参照して詳細に説明をする。
【0021】
図1は本実施形態の高精度スクリーン印刷機が備えるスキージ部の断面図であり、図2は本実施形態の高精度スクリーン印刷機が備えるスキージ部の正面図である。なお、本実施形態の高精度スクリーン印刷機の他の構成は、従来のスクリーン印刷機とほぼ同様であるため説明は省略する。
【0022】
本実施形態のスキージ部100は、把持駆動部101と、クランプ102と、印刷機固定ホルダ103と、スキージホルダ部104と、スキージ補強部材105と、スキージゴム106とを含んで構成される。
【0023】
印刷機固定ホルダ103は、長手方向に形成された溝部103aを有する略柱状の部材であって、スキージ部100の本体部でもある。印刷機固定ホルダ103は、本実施形態の高精度スクリーン印刷機に備わる不図示の駆動機構により、被印刷体Wの上部にクリアランスを設けて設置したスクリーン版107の上部から、スキージの短手方向の一端部を被印刷体に押し付けながら摺動して、スクリーン版107の上部の印刷剤Pを被印刷体Wに転移させる。また、印刷機固定ホルダ103は、その溝部103aを有する面に垂直な一側面に、後述するクランプ102を貫通させて取り付けるための複数の貫通穴(不図示)を備える。
【0024】
スキージホルダ部104は、後述するスキージ補強部材105の短手方向の他端部を狭持して収容するための溝部104aを有する略板状の部材である。また、スキージホルダ部104は、印刷機固定ホルダ103の溝部103a内に所定の間隔Bをもって収容される。
【0025】
クランプ102は大径の円板部と小径の円柱部が同軸上に接合した形状を有し、印刷機固定ホルダ103の複数の貫通穴に円柱部が挿入されて摺動可能に複数取り付けられる。また、クランプ102の円柱部の先端は、印刷機固定ホルダ103の複数の貫通穴に挿入された際に、スキージホルダ部104の溝部104aを有する面に垂直な面に当接する。
【0026】
把持駆動部101は、その可動端が、クランプ102の大径の円板部に当接して印刷機固定ホルダ103に設置される。把持駆動部101は、空気圧シリンダ及び油圧シリンダ等を用いることができ、また、ねじなどの締め込み力(トルク)を利用したり、バネやゴムなどの弾性力を利用することでも良い。さらに空気圧や油圧、締め込み力や弾性力などを適宜組み合わせ、個別に把持力を調整する機構でも良い。なお、以下の説明において、把持駆動部101とクランプ102とが一体になった構造を単に把持機構部とも呼ぶ。
【0027】
スキージ補強部材105は、長板状の部材であり、その短手方向の一端がスキージホルダ104に狭持され、他端にはスキージゴム106が備わる。なお、以下の説明において、スキージ補強部材105とスキージゴム106とが一体になった構造を単にスキージと呼ぶ場合もある。また、スキージは、スキージ補強部材105を伴わず、平板状のスキージゴム106自体がスキージ本体をなしスキージホルダ部104に狭持される構成が一般的であり、このようなスキージを本実施形態に適用することも可能である。
【0028】
スクリーン印刷機のスキージ部100にスキージを設置するには、先ずスキージ補強材105の短手方向の一端をスキージホルダ104の溝部104aに挿入して取り付け、一体となったものを印刷機固定ホルダ103の溝部102aに挿入して印刷機に固定する。印刷機固定ホルダ103には複数の把持機構部が設けられており、その把持機構部によりスキージ補強材105を狭持したスキージホルダ部104の側面を押さえることによりスキージ補強部材105を把持固定している。従来の印刷機では把持駆動部101の駆動力として、スキージ脱着の迅速性から、空気圧や油圧により全てのクランプ102への同一圧力にて同時加圧する方式が用いられている。
【0029】
本実施形態では、印刷機固定ホルダ103にスキージホルダ部104の把持力を個別に調整できる把持機構部を3個以上持たせることにより、把持機構部の個別の把持力が、スキージホルダ部104及びスキージ補強部材105を通してスキージゴム106の先端エッジ部へ伝わり、被印刷体Wの印刷面における印圧として検出することにより、スキージの全幅に掛かる印圧の均一化を可能とする。
【0030】
スキージはスキージホルダ部104に取り付け一体となったものをスクリーン印刷機に設置するが、この時、スキージ摺動方向(図中のA)に対して被印刷体Wの印刷面から鋭角な角度をもって取り付ける。把持機構部は、印刷機固定ホルダ103に通常スキージの摺動方向Aの反対面の上部より取り付ける。
【0031】
本実施形態におけるスキージホルダ104の把持力を個別に調整できる把持機構部は、把持力を個別に調整する機能を有すれば、印刷機固定ホルダ103のスキージの摺動方向Aの正方向の面または反対方向の面のいずれに取り付けてもかまわない。しかしながら、被印刷体Wの印刷面に押し付けたスキージゴム106の先端エッジ部が、印圧の反力により押し返され、変形しようとする応力を効果的に緩和するには、把持機構部を印刷機固定ホルダ103のスキージの摺動方向Aの反対面に取り付け、スキージの摺動方向Aの反対面から把持力を調整するのが好ましい。このように、通常使用されるクランプに、把持力を個別に調整する把持駆動部101を付加することで、比較的容易に本実施形態の印刷機を提供することが可能となる。
【0032】
把持力を個別に調整する把持機構部は、少なくともスキージの長手方向の中央部や左右両端部方向へ複数個配置することが好ましい。被印刷体Wの表面に対しスキージゴム106の先端エッジ部を平行に設置し、スクリーン版107の上からスキージを被印刷体Wに押し付けた時、スクリーン版107の張力による反発力によってスキージ補強部材105及びスキージゴム106は変形し、特にスキージゴム106の両端部に近くなるほど変形量も大きくなるため、スキージゴム106の中央部から両端部に向けて印圧は低下する。このスキージゴム106の中央から両端部に向けての変形による印圧の低下を抑制するために、把持力を個別に調整する把持機構部は少なくとも2箇所以上とすることが好ましく、左右対称に配置することが好ましい。
【0033】
把持力を個別に調整する把持機構部が2個以上あれば、少なくともスキージゴム106の中央部付近と両端部付近との印圧の不均衡を調整することが可能である。特に、スキージの長手方向に関して中央部と両端部を把持するように把持機構部を多数設けることにより、スキージ幅方向の印圧の均一性をより精度良く調整することが可能となるのでより好ましい。隣接する把持機構部の間隔は、使用するスキージ補強部材105及びスキージゴム106の硬度、形状や構造にもよるが、150mm以下、好ましくは100mm以下が良い。また設置間隔はスキージの長手方向全長にわたって等間隔でも、端部方向に向けて短くするなど、任意の間隔で設置することでも良い。
【0034】
通常、スクリーン印刷機の固定ホルダには複数のクランプが設けられており、そのクランプでスキージホルダ部を押さえることによりスキージを固定しているが、クランプの駆動力としては、空気圧や油圧を用いるものが多い。本実施形態における把持力を個別に調整する把持機構部の把持駆動部101でも、その駆動力は空気圧などのガス圧や油圧を用いることができる。特に、既存の把持駆動部101の駆動力に空気圧や油圧を用いた印刷機に対しては、圧力レギュレータなどの調節機構を配管系に付加することにより、本実施形態の印刷機とすることも可能である。
【0035】
また、把持駆動部101の駆動力としては、ねじなどの締め込み力を利用したり、バネやゴムなどの弾性力を利用することでも良い。さらに空気圧や油圧、締め込み力や弾性力などを適宜組み合わせ、個別に把持力を調整する機構でも良い。把持力の調整方法としては、駆動力が空気圧や油圧の場合は圧力を高めることにより、ねじの場合は締め付けトルクを強くすることにより、また、バネの場合は圧縮量を増すことにより、操作を行った個別の把持機構部の近傍のスキージ部分の印圧を高めることができる。このような操作を個々の把持機構部の全てで行うことにより、スキージ幅方向の印圧を均一に調整する。
【0036】
ここで、個別に調整する把持機構部の把持力に関しては、スキージ補強部材105をスキージホルダ部104に取り付け一体化したものをスクリーン印刷機の印刷機固定ホルダ103に固定するのに必要な把持力(以後、最小把持力と称する)に加え、印圧の調整を可能とするような把持力が必要である。すなわち、把持力をスキージホルダ部104に加えると、スキージホルダ部104には可逆的な歪が生ずると伴にスキージ補強部材105及びスキージゴム106に把持力が伝播して、被印刷体Wの表面への印圧として作用する。このとき最小把持力を上回る把持力は、より大きな可逆的歪をスキージホルダ部104に発生させるので印圧の調整が可能となる。このように、印圧の調整にはスキージホルダ部104の形状や材質も影響を与えるので、把持力を調整する把持駆動部101の駆動力との組み合わせで、適宜選択を行えばよい。
【0037】
次に、個別に把持力を調整することが可能な2個以上の把持機構部を有する本実施形態の高精度スクリーン印刷機を用いて、スキージ幅方向の印圧を均一に調整して印刷する方法を説明する。
【0038】
被印刷体Wの表面に対しスキージゴム106の先端エッジ部を平行に設置し、スクリーン版107の上からスキージゴム106を被印刷体Wに押し付けた時の、スキージ幅方向の印圧を測定しながら、把持駆動部101で調整しつつ印圧の均一化をはかる。印圧の測定はスキージ幅と同等以上の長さの線状又は面状の圧力分布を計測可能なフィルムやシート状のセンサーまたは感圧紙を、スクリーン版107と被印刷体Wとの隙間にセットして用いることが望ましい。しかしながら、スキージ幅全長を同時に計測できなくとも、幅方向に逐次ずらしつつ印圧の計測と調整を行うことができれば、印圧の均一化を図ることは可能である。
【0039】
印圧調整を行う時のスキージの位置は、スクリーン版107の中央部付近、すなわちスキージの摺動範囲のほぼ中央部が望ましいが、調整作業の容易さやセンサーの構造上の点からスキージ摺動の起点近傍で行っても差し支えない。印圧の均一化が図れたら、測定に用いたセンサーや感圧紙を外して通常のスクリーン印刷の作業を行えばよい。
【0040】
以上説明したように本実施形態の高精度スクリーン印刷機によれば、スキージの長手方向に対して少なくとも2個以上のスキージを固定する把持力を個別に調整することが可能な把持機構部を有することにより、被印刷体表面の印圧を均一化することが可能となり、印刷されるパターンの歪みが抑制され、位置精度が高く再現性に優れた高精度印刷が可能となる。また、スキージの長手方向における印圧が均一になることから、スクリーン版のパターンを形成する部分を広く取ることが可能となり、生産効率の向上や製造コスト低減を図ることが可能となる。
【実施例】
【0041】
次に、実施例をあげて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
スキージの幅方向に対して個別に把持力を調整することが可能な7個の把持駆動部101a〜101gを有する本発明の第1実施例の高精度スクリーン印刷機で評価を行った。
【0043】
具体的には、マイクロ・テック株式会社製のスクリーン印刷機MT−1000TVCの、スキージ取り付け部のクランプ部を加工したものを評価に使用する。すなわち、本実施例におけるスクリーン印刷機は、7個のエアー駆動の把持駆動部101a〜101g及びクランプ102a〜102gで把持する把持機構部を備えているが、個々の把持機構部のエアシリンダに対してレギュレータを取り付けることにより圧力調整が可能な機構とした。なお、隣接する各クランプ102a〜102g間の距離は90mmである。
【0044】
スキージ補強部材105は、ガラス繊維で補強したエポキシ樹脂(樹脂部寸法、厚さ1mm、高さ45mm、幅350mm)の補強材であり、先端にスキージゴム106としてウレタンゴム(ゴム部寸法、厚さ9mm、高さ13mm、幅350mm)で被覆されたマイクロスキージ(商品名:マイクロ・テック株式会社製)を使用した。スキージ補強部材105の短手方向の一端をスキージホルダ部104に取付け、被印刷体Wの表面に対してスキージゴム106の先端エッジ部が平行となるよう印刷機に固定する。
【0045】
次に、300mm角のパターン部を有するスクリーン版107を被印刷体Wから所定の隙間(クリアランス)を設けて印刷機に設置する。スキージの印刷開始位置すなわち摺動開始位置にて、スキージを被印刷体Wに押接する。被印刷体Wとスクリーン版107との間には、スキージ幅方向の印圧計測用のフィルム状の圧力測定センサーであるスキージースキャン(商品名、ニューロング精密工業株式会社製)をあらかじめ設置しておき、このときの印圧分布を測定する。
【0046】
クランプを一様な圧力で駆動させた従来の状態ではスキージ把持力は全て一定のため、スクリーン版の張力に反発してスキージが変形する両端部の印圧は低く、中央部では印圧は高くなる。このときの印圧分布の結果を図3に示した。
【0047】
一方、スキージ幅方向の印圧を均一化するため、スキージの両端部の印圧がほぼ所定値となるよう把持駆動部101a、101gの各々の空気圧を調整し、その後中央部に向けて、設置した把持駆動部101b〜101eに接続するレギュレータを調整することにより行い、所定の均一度が得られるまでこの調整を繰り返した。この場合、把持駆動部101a〜101gの各々の空気圧はスキージの中心部が低く、両端部に向けて高くなる。これは周辺近傍ほどスクリーンの復元力の影響が大きく、スキージの変形を修正するために圧力を高くする必要があるためである。また、このときの印圧分布の結果を図5に示した。
【0048】
(印刷結果)
印圧の均一化を図らない従来の機構のままで、すなわち図3に示す印圧にバラツキがある状態でスクリーン印刷を行った場合の印刷結果を図4に示した。また、本実施例の印圧の均一化を図った図5の状態での印刷結果を図6に示した。図4及び図6では、スクリーンパターンの基準線をそれぞれ実線4a、6aで示し、これに対する印刷物のパターンをそれぞれ破線4b、6bで示した。なお、測定に用いた印刷条件は次の通りである。
スキージの種類:マイクロスキージ(商品名:マイクロ・テック株式会社製)
スキージゴムの硬度:70度
スキージ角度:70度
スキージの幅:350mm
平均印圧:30N/35cm
把持クランプ数:7箇所
クリアランス:3.4mm
スキージ摺動速度:80mm/sec
印刷パターン寸法:全長 300mm角
【0049】
図3から判るように、把持力の調整を行わない従来法では、スキージの両端部で印圧の低下がみられ、またスキージ中央部においてもスキージ先端エッジ部の磨耗状態に起因すると考えられる印圧のバラツキが発生している。このような印圧分布のスキージにて印刷した結果である図4から、印圧の低いスキージの両端部に比べて、印圧の高いスキージ中央部は伸び量が大きく、形状としては山なりに湾曲したパターンとして印刷されていることが判る。
【0050】
これに対し、把持力の調整を行う本実施例では、図5に示すようにスキージ全幅にわたって印圧を均一に制御することができる。このような均一な印圧を示すスキージで印刷した結果である図6では、印圧分布が不均一な場合に見られた山なりに湾曲したパターンのような不安定な印刷形状の歪みはなく、印刷精度の向上が図られていることが判る。
【0051】
(実施例2)
スキージを補強部材105を伴わないスキージゴム106のみからなる一般的な平スキージとし、スキージゴム106の種類を硬度70度のウレタンゴム製の平スキージとした以外は実施例1と同様とし、スキージ幅方向の把持力調整の有無による印圧の均一化の状態を測定した。図7は把持力調整がない場合の印圧分布の結果であり、図8は把持力の調整を行った場合の印圧分布の結果である。
【0052】
(実施例3)
スキージを補強部材105を伴わないスキージゴム106のみからなる一般的な平スキージとし、スキージゴム106の種類を硬度80度のウレタンゴム製の平スキージとした以外は実施例1と同様とし、スキージ幅方向の把持力調整の有無による印圧の均一化の状態を測定した。図9は把持力調整がない場合の印圧分布の結果であり、図10は把持力の調整を行った場合の印圧分布の結果である。
【0053】
(比較例1)
スキージを一般的な平スキージとし、スキージゴムの種類を硬度60度のウレタンゴム製の平スキージとした以外は実施例1と同様とし、スキージ幅方向の把持力調整の有無による印圧の均一化の状態を測定した。図11は把持力調整がない場合の印圧分布の結果であり、図12は把持力の調整を行った場合の印圧分布の結果である。
【0054】
実施例2及び実施例3においては、把持力の調整により印圧の均一化が達成されることが判る(図8及び図10)。これに対してゴム硬度が60度の柔らかいスキージを用いた場合では、把持力を調整しても十分には印圧の均一化を図ることができない(図12)。これは、把持力の調整による印圧の均一化は、クランプに印加した圧力がスキージホルダを通してスキージに伝わり達成されるが、スキージ構成部材が柔らかいと印加した応力が分散しやすいため、一定度以上のゴム硬度が必要なためと考えられる。したがって、スキージゴムの硬度を70度以上とすることが好ましいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施形態のスクリーン印刷機が備えるスキージ部の断面図の一例である。
【図2】本実施形態のスクリーン印刷機が備えるスキージ部の正面図である。
【図3】把持力の調整を行わない従来法でのスキージ幅方向の印圧分布を示す図である。
【図4】把持力の調整を行わない従来法での印刷パターンの形状を示す図である。
【図5】本実施例の把持力調整を行ったスキージ幅方向の印圧分布を示す図である。
【図6】本実施例の把持力調整を行った印刷パターンの形状を示す図である。
【図7】本実施例のスクリーン印刷機においてスキージのゴム硬度を70度とした場合の把持力調整前の印圧分布を示す図である。
【図8】本実施例のスクリーン印刷機においてスキージのゴム硬度を70度とした場合の把持力調整後の印圧分布を示す図である。
【図9】本実施例のスクリーン印刷機においてスキージのゴム硬度を80度とした場合の把持力調整前の印圧分布を示す図である。
【図10】本実施例のスクリーン印刷機においてスキージのゴム硬度を80度とした場合の把持力調整後の印圧分布を示す図である。
【図11】ゴム硬度60度のスキージでの把持力調整前の印圧分布を示す図である。
【図12】ゴム硬度60度のスキージでの把持力調整後の印圧分布を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
100:スキージ部
101:把持機構部
102:クランプ
103:印刷機固定ホルダ
104:スキージホルダ部
105:スキージ補強部材
106:スキージゴム
107:スクリーン版
P :印刷剤(インク、ペースト)
W :被印刷体
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷法を用いて電子部品や電子回路基板へ電極形成等を行うなど、特に高精度が要求される用途分野において使用する高精度スクリーン印刷機及びその印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、スクリーン印刷に用いられる版は、一定の張力を付与された状態で版枠に固定された所定メッシュのスクリーンの内部に感光性樹脂(エマルジョン)等で印刷パターンを形成して構成される。スクリーン印刷においては、スクリーンを被印刷体印刷面から一定距離(クリアランス)を隔てて配置し、そのスクリーンの上部からスキージを用いて一時的に印刷面に接触させ、スクリーンの弾性変形を利用した復元力により直ちに離隔させることによって、上記印刷パターンに従って印刷剤を塗布する。そのため、その版離れ性を確保する目的で、スクリーンには一定の張力が付与されている。
【0003】
スキージは厚さ5〜10mmで高さ50mm程度のゴム板をアルミ製のホルダに取り付けたものが一般的である。また、ゴム板の内部に硬質の樹脂板を埋め込み補強したものや、全体が一様なゴム板でなく、ゴム部の高さを10〜20mm程度として、これを硬質の樹脂板に取り付け一体としたマイクロスキージ(商品名:マイクロ・テック株式会社製)なども近年は広く用いられている。
【0004】
スキージゴムの材質としては、耐溶剤性、耐摩耗性が比較的優れるポリウレタンゴムが一般的であり、その他の材質として、ブチルゴム、ネオプレンゴム、シリコンゴム、ふっ素ゴム等種々有るが、これらは特殊な印刷剤(インキ)に限られて使用されることが多い。ゴムの硬さは配合、加硫技術により種々加工され使用されており、ゴムの硬度はJISのK6253規格に対応した硬度計であるデュロメーターのタイプAで測定した値で表される。低硬度で弾力性に富む50度から数字が大きくなるほど高強度で形状安定性が高くなり、90度程度のものまでがスクリーン印刷で使用される。
【0005】
スキージの被印刷体印刷面に接触する側の先端エッジ部は平滑度と平行度が要求され、使用により磨耗したり丸みを帯びたりした場合、これを再研磨してシャープなエッジとする事が必要となる。スキージの形状は平型、剣型(シングルカットとダブルカットの2種類)、角型の3種類があるが、研磨が容易にできる平型が最も広く使用されている。
【0006】
スキージは一般にアルミ製のスキージホルダにネジ等で取り付け、アルミ製のホルダ部を印刷機のスキージ固定ホルダに取り付けて使用される。スキージ固定ホルダには2つ又は3つ以上の複数のクランプが配設され、アルミ製のスキージホルダを把持することによりスキージを固定している。
【0007】
スクリーン印刷において印刷パターンを忠実に再現する事は極めて重要である。電子部品や電子回路基板への電極形成において、電子部品の小型化や高集積化に伴い印刷パターンも微細化しており、位置精度が高く再現性に優れた印刷機及び印刷方法への要求が高まっている。
【0008】
スクリーン印刷において高精細な印刷を実現する重要な要素の1つとして、スキージが被印刷体表面を押し付ける印圧を、スキージ幅方向に均一にすることがある。ここで印圧とは、スキージがスクリーン上部より被印刷体表面を実質的に押し付けるスキージの単位長さ当たりの力で[N/cm]で表される。
【0009】
印圧の均一化を達成する為に、スキージ幅方向におけるスキージ先端エッジ部と被印刷体印刷面とを平行とするよう、スキージ固定ホルダの左右に設置してあるスキージの高さ調整機構等で調整することが一般におこなわれている。しかしながら、スキージ先端エッジ部と被印刷体印刷面との平行を達成しても、スキージの印圧は、スキージへ印加する圧力とスクリーンの張力による反発力とのバランスにより決まるため、スキージ中央部に比べて幅方向の端部近傍になるほど張力による反発力が強くなり、端部近傍の印圧は低くなる。その結果、印刷されたパターンには不均一な歪みが発生し、高精細な印刷という要求を十分には満たすことができなかった。
【0010】
このような問題を解決するため、スキージの変形を抑制する押さえ治具を、スキージの摺動方向に対して背面側に一定の空間を設けて設置することで、スキージ両端部と中央部での印圧差を少なくするという、スクリーン印刷用スキージが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006-168278
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、押さえ治具とスキージとの間で設定する空間が広すぎると押さえ治具の効果は無く、狭すぎるとあたかもスキージゴムの硬度が高くなったような印刷特性を示すと伴に、スキージ端部近傍の押さえ治具も変形するなど、空間の調整が困難であったり印刷条件の設定が難しいなど、実用的でないという問題がある。
【0012】
本発明は、このような従来の問題を解決する為になされたもので、スクリーン版の張力によって生じる印圧のバラツキを、スキージの幅方向の実印圧バラツキを均一化し、印圧バラツキに起因する印刷物の歪みを抑制し、高い印刷寸法精度の要求に対応したスクリーン印刷機およびスクリーン印刷の方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、第1の発明は、被印刷体の上部にクリアランスを設けて設置したスクリーン版の上部から、スキージの短手方向の一端部を被印刷体に押し付けながら摺動して、スクリーン版の上部の印刷剤を被印刷体に転移するための印刷機固定ホルダを有するスクリーン印刷機であって、スキージの短手方向の他端部を所定の長さ狭持するスキージホルダ部と、印刷機固定ホルダに備わり、各々把持力が調整可能であり、スキージホルダ部を介してスキージの他端部の長手方向の所定の箇所を把持する複数の把持機構部とを有する高精度スクリーン印刷機を提供するものである。
【0014】
さらに第2の発明は、上記第1の発明において、把持機構部は、スキージの他端部の長手方向に関して中央部と両端部を把持する高精度スクリーン印刷機を提供するものである。
【0015】
さらに第3の発明は、上記第1または第2の発明において、把持機構部は、スキージの摺動方向と反対面の印刷機固定ホルダの側面に各々備わる高精度スクリーン印刷機を提供するものである。
【0016】
さらに第4の発明は、上記第1乃至第3のいずれかの発明において、把持機構部は、その把持力を生成する手段が、空気圧シリンダ、油圧シリンダ、弾性部材、及び、ねじによる締め込み力、のいずれか1種または2種以上を組み合わせたものである高精度スクリーン印刷機を提供するものである。
【0017】
さらに第5の発明は、上記第1乃至第4のいずれかの発明において、スキージの少なくともスキージホルダ部に狭持される部分は、硬度70度以上のゴムまたは樹脂または複合材料である高精度スクリーン印刷機を提供するものである。
【0018】
さらに第6の発明は、上記第1乃至5のいずれかの発明のスクリーン印刷機を用いて把持機構部の把持力を調整することにより、印刷時の被印刷体上でのスキージの長手方向における印圧を均一にする高精度スクリーン印刷方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、スキージの長手方向に対してスキージを固定する把持力を個別に調整することが可能な複数の把持機構を有することにより、被印刷体表面の印圧を均一化することが可能となり、印刷されるパターンの歪みが抑制され、位置精度が高く、再現性に優れた高精度印刷が可能となる。また、スキージの長手方向における印圧が均一になることから、スクリーン版のパターンを形成する部分を広く取ることが可能となり、生産効率の向上、製造コスト低減の効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態である高精度スクリーン印刷機について、図を参照して詳細に説明をする。
【0021】
図1は本実施形態の高精度スクリーン印刷機が備えるスキージ部の断面図であり、図2は本実施形態の高精度スクリーン印刷機が備えるスキージ部の正面図である。なお、本実施形態の高精度スクリーン印刷機の他の構成は、従来のスクリーン印刷機とほぼ同様であるため説明は省略する。
【0022】
本実施形態のスキージ部100は、把持駆動部101と、クランプ102と、印刷機固定ホルダ103と、スキージホルダ部104と、スキージ補強部材105と、スキージゴム106とを含んで構成される。
【0023】
印刷機固定ホルダ103は、長手方向に形成された溝部103aを有する略柱状の部材であって、スキージ部100の本体部でもある。印刷機固定ホルダ103は、本実施形態の高精度スクリーン印刷機に備わる不図示の駆動機構により、被印刷体Wの上部にクリアランスを設けて設置したスクリーン版107の上部から、スキージの短手方向の一端部を被印刷体に押し付けながら摺動して、スクリーン版107の上部の印刷剤Pを被印刷体Wに転移させる。また、印刷機固定ホルダ103は、その溝部103aを有する面に垂直な一側面に、後述するクランプ102を貫通させて取り付けるための複数の貫通穴(不図示)を備える。
【0024】
スキージホルダ部104は、後述するスキージ補強部材105の短手方向の他端部を狭持して収容するための溝部104aを有する略板状の部材である。また、スキージホルダ部104は、印刷機固定ホルダ103の溝部103a内に所定の間隔Bをもって収容される。
【0025】
クランプ102は大径の円板部と小径の円柱部が同軸上に接合した形状を有し、印刷機固定ホルダ103の複数の貫通穴に円柱部が挿入されて摺動可能に複数取り付けられる。また、クランプ102の円柱部の先端は、印刷機固定ホルダ103の複数の貫通穴に挿入された際に、スキージホルダ部104の溝部104aを有する面に垂直な面に当接する。
【0026】
把持駆動部101は、その可動端が、クランプ102の大径の円板部に当接して印刷機固定ホルダ103に設置される。把持駆動部101は、空気圧シリンダ及び油圧シリンダ等を用いることができ、また、ねじなどの締め込み力(トルク)を利用したり、バネやゴムなどの弾性力を利用することでも良い。さらに空気圧や油圧、締め込み力や弾性力などを適宜組み合わせ、個別に把持力を調整する機構でも良い。なお、以下の説明において、把持駆動部101とクランプ102とが一体になった構造を単に把持機構部とも呼ぶ。
【0027】
スキージ補強部材105は、長板状の部材であり、その短手方向の一端がスキージホルダ104に狭持され、他端にはスキージゴム106が備わる。なお、以下の説明において、スキージ補強部材105とスキージゴム106とが一体になった構造を単にスキージと呼ぶ場合もある。また、スキージは、スキージ補強部材105を伴わず、平板状のスキージゴム106自体がスキージ本体をなしスキージホルダ部104に狭持される構成が一般的であり、このようなスキージを本実施形態に適用することも可能である。
【0028】
スクリーン印刷機のスキージ部100にスキージを設置するには、先ずスキージ補強材105の短手方向の一端をスキージホルダ104の溝部104aに挿入して取り付け、一体となったものを印刷機固定ホルダ103の溝部102aに挿入して印刷機に固定する。印刷機固定ホルダ103には複数の把持機構部が設けられており、その把持機構部によりスキージ補強材105を狭持したスキージホルダ部104の側面を押さえることによりスキージ補強部材105を把持固定している。従来の印刷機では把持駆動部101の駆動力として、スキージ脱着の迅速性から、空気圧や油圧により全てのクランプ102への同一圧力にて同時加圧する方式が用いられている。
【0029】
本実施形態では、印刷機固定ホルダ103にスキージホルダ部104の把持力を個別に調整できる把持機構部を3個以上持たせることにより、把持機構部の個別の把持力が、スキージホルダ部104及びスキージ補強部材105を通してスキージゴム106の先端エッジ部へ伝わり、被印刷体Wの印刷面における印圧として検出することにより、スキージの全幅に掛かる印圧の均一化を可能とする。
【0030】
スキージはスキージホルダ部104に取り付け一体となったものをスクリーン印刷機に設置するが、この時、スキージ摺動方向(図中のA)に対して被印刷体Wの印刷面から鋭角な角度をもって取り付ける。把持機構部は、印刷機固定ホルダ103に通常スキージの摺動方向Aの反対面の上部より取り付ける。
【0031】
本実施形態におけるスキージホルダ104の把持力を個別に調整できる把持機構部は、把持力を個別に調整する機能を有すれば、印刷機固定ホルダ103のスキージの摺動方向Aの正方向の面または反対方向の面のいずれに取り付けてもかまわない。しかしながら、被印刷体Wの印刷面に押し付けたスキージゴム106の先端エッジ部が、印圧の反力により押し返され、変形しようとする応力を効果的に緩和するには、把持機構部を印刷機固定ホルダ103のスキージの摺動方向Aの反対面に取り付け、スキージの摺動方向Aの反対面から把持力を調整するのが好ましい。このように、通常使用されるクランプに、把持力を個別に調整する把持駆動部101を付加することで、比較的容易に本実施形態の印刷機を提供することが可能となる。
【0032】
把持力を個別に調整する把持機構部は、少なくともスキージの長手方向の中央部や左右両端部方向へ複数個配置することが好ましい。被印刷体Wの表面に対しスキージゴム106の先端エッジ部を平行に設置し、スクリーン版107の上からスキージを被印刷体Wに押し付けた時、スクリーン版107の張力による反発力によってスキージ補強部材105及びスキージゴム106は変形し、特にスキージゴム106の両端部に近くなるほど変形量も大きくなるため、スキージゴム106の中央部から両端部に向けて印圧は低下する。このスキージゴム106の中央から両端部に向けての変形による印圧の低下を抑制するために、把持力を個別に調整する把持機構部は少なくとも2箇所以上とすることが好ましく、左右対称に配置することが好ましい。
【0033】
把持力を個別に調整する把持機構部が2個以上あれば、少なくともスキージゴム106の中央部付近と両端部付近との印圧の不均衡を調整することが可能である。特に、スキージの長手方向に関して中央部と両端部を把持するように把持機構部を多数設けることにより、スキージ幅方向の印圧の均一性をより精度良く調整することが可能となるのでより好ましい。隣接する把持機構部の間隔は、使用するスキージ補強部材105及びスキージゴム106の硬度、形状や構造にもよるが、150mm以下、好ましくは100mm以下が良い。また設置間隔はスキージの長手方向全長にわたって等間隔でも、端部方向に向けて短くするなど、任意の間隔で設置することでも良い。
【0034】
通常、スクリーン印刷機の固定ホルダには複数のクランプが設けられており、そのクランプでスキージホルダ部を押さえることによりスキージを固定しているが、クランプの駆動力としては、空気圧や油圧を用いるものが多い。本実施形態における把持力を個別に調整する把持機構部の把持駆動部101でも、その駆動力は空気圧などのガス圧や油圧を用いることができる。特に、既存の把持駆動部101の駆動力に空気圧や油圧を用いた印刷機に対しては、圧力レギュレータなどの調節機構を配管系に付加することにより、本実施形態の印刷機とすることも可能である。
【0035】
また、把持駆動部101の駆動力としては、ねじなどの締め込み力を利用したり、バネやゴムなどの弾性力を利用することでも良い。さらに空気圧や油圧、締め込み力や弾性力などを適宜組み合わせ、個別に把持力を調整する機構でも良い。把持力の調整方法としては、駆動力が空気圧や油圧の場合は圧力を高めることにより、ねじの場合は締め付けトルクを強くすることにより、また、バネの場合は圧縮量を増すことにより、操作を行った個別の把持機構部の近傍のスキージ部分の印圧を高めることができる。このような操作を個々の把持機構部の全てで行うことにより、スキージ幅方向の印圧を均一に調整する。
【0036】
ここで、個別に調整する把持機構部の把持力に関しては、スキージ補強部材105をスキージホルダ部104に取り付け一体化したものをスクリーン印刷機の印刷機固定ホルダ103に固定するのに必要な把持力(以後、最小把持力と称する)に加え、印圧の調整を可能とするような把持力が必要である。すなわち、把持力をスキージホルダ部104に加えると、スキージホルダ部104には可逆的な歪が生ずると伴にスキージ補強部材105及びスキージゴム106に把持力が伝播して、被印刷体Wの表面への印圧として作用する。このとき最小把持力を上回る把持力は、より大きな可逆的歪をスキージホルダ部104に発生させるので印圧の調整が可能となる。このように、印圧の調整にはスキージホルダ部104の形状や材質も影響を与えるので、把持力を調整する把持駆動部101の駆動力との組み合わせで、適宜選択を行えばよい。
【0037】
次に、個別に把持力を調整することが可能な2個以上の把持機構部を有する本実施形態の高精度スクリーン印刷機を用いて、スキージ幅方向の印圧を均一に調整して印刷する方法を説明する。
【0038】
被印刷体Wの表面に対しスキージゴム106の先端エッジ部を平行に設置し、スクリーン版107の上からスキージゴム106を被印刷体Wに押し付けた時の、スキージ幅方向の印圧を測定しながら、把持駆動部101で調整しつつ印圧の均一化をはかる。印圧の測定はスキージ幅と同等以上の長さの線状又は面状の圧力分布を計測可能なフィルムやシート状のセンサーまたは感圧紙を、スクリーン版107と被印刷体Wとの隙間にセットして用いることが望ましい。しかしながら、スキージ幅全長を同時に計測できなくとも、幅方向に逐次ずらしつつ印圧の計測と調整を行うことができれば、印圧の均一化を図ることは可能である。
【0039】
印圧調整を行う時のスキージの位置は、スクリーン版107の中央部付近、すなわちスキージの摺動範囲のほぼ中央部が望ましいが、調整作業の容易さやセンサーの構造上の点からスキージ摺動の起点近傍で行っても差し支えない。印圧の均一化が図れたら、測定に用いたセンサーや感圧紙を外して通常のスクリーン印刷の作業を行えばよい。
【0040】
以上説明したように本実施形態の高精度スクリーン印刷機によれば、スキージの長手方向に対して少なくとも2個以上のスキージを固定する把持力を個別に調整することが可能な把持機構部を有することにより、被印刷体表面の印圧を均一化することが可能となり、印刷されるパターンの歪みが抑制され、位置精度が高く再現性に優れた高精度印刷が可能となる。また、スキージの長手方向における印圧が均一になることから、スクリーン版のパターンを形成する部分を広く取ることが可能となり、生産効率の向上や製造コスト低減を図ることが可能となる。
【実施例】
【0041】
次に、実施例をあげて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
スキージの幅方向に対して個別に把持力を調整することが可能な7個の把持駆動部101a〜101gを有する本発明の第1実施例の高精度スクリーン印刷機で評価を行った。
【0043】
具体的には、マイクロ・テック株式会社製のスクリーン印刷機MT−1000TVCの、スキージ取り付け部のクランプ部を加工したものを評価に使用する。すなわち、本実施例におけるスクリーン印刷機は、7個のエアー駆動の把持駆動部101a〜101g及びクランプ102a〜102gで把持する把持機構部を備えているが、個々の把持機構部のエアシリンダに対してレギュレータを取り付けることにより圧力調整が可能な機構とした。なお、隣接する各クランプ102a〜102g間の距離は90mmである。
【0044】
スキージ補強部材105は、ガラス繊維で補強したエポキシ樹脂(樹脂部寸法、厚さ1mm、高さ45mm、幅350mm)の補強材であり、先端にスキージゴム106としてウレタンゴム(ゴム部寸法、厚さ9mm、高さ13mm、幅350mm)で被覆されたマイクロスキージ(商品名:マイクロ・テック株式会社製)を使用した。スキージ補強部材105の短手方向の一端をスキージホルダ部104に取付け、被印刷体Wの表面に対してスキージゴム106の先端エッジ部が平行となるよう印刷機に固定する。
【0045】
次に、300mm角のパターン部を有するスクリーン版107を被印刷体Wから所定の隙間(クリアランス)を設けて印刷機に設置する。スキージの印刷開始位置すなわち摺動開始位置にて、スキージを被印刷体Wに押接する。被印刷体Wとスクリーン版107との間には、スキージ幅方向の印圧計測用のフィルム状の圧力測定センサーであるスキージースキャン(商品名、ニューロング精密工業株式会社製)をあらかじめ設置しておき、このときの印圧分布を測定する。
【0046】
クランプを一様な圧力で駆動させた従来の状態ではスキージ把持力は全て一定のため、スクリーン版の張力に反発してスキージが変形する両端部の印圧は低く、中央部では印圧は高くなる。このときの印圧分布の結果を図3に示した。
【0047】
一方、スキージ幅方向の印圧を均一化するため、スキージの両端部の印圧がほぼ所定値となるよう把持駆動部101a、101gの各々の空気圧を調整し、その後中央部に向けて、設置した把持駆動部101b〜101eに接続するレギュレータを調整することにより行い、所定の均一度が得られるまでこの調整を繰り返した。この場合、把持駆動部101a〜101gの各々の空気圧はスキージの中心部が低く、両端部に向けて高くなる。これは周辺近傍ほどスクリーンの復元力の影響が大きく、スキージの変形を修正するために圧力を高くする必要があるためである。また、このときの印圧分布の結果を図5に示した。
【0048】
(印刷結果)
印圧の均一化を図らない従来の機構のままで、すなわち図3に示す印圧にバラツキがある状態でスクリーン印刷を行った場合の印刷結果を図4に示した。また、本実施例の印圧の均一化を図った図5の状態での印刷結果を図6に示した。図4及び図6では、スクリーンパターンの基準線をそれぞれ実線4a、6aで示し、これに対する印刷物のパターンをそれぞれ破線4b、6bで示した。なお、測定に用いた印刷条件は次の通りである。
スキージの種類:マイクロスキージ(商品名:マイクロ・テック株式会社製)
スキージゴムの硬度:70度
スキージ角度:70度
スキージの幅:350mm
平均印圧:30N/35cm
把持クランプ数:7箇所
クリアランス:3.4mm
スキージ摺動速度:80mm/sec
印刷パターン寸法:全長 300mm角
【0049】
図3から判るように、把持力の調整を行わない従来法では、スキージの両端部で印圧の低下がみられ、またスキージ中央部においてもスキージ先端エッジ部の磨耗状態に起因すると考えられる印圧のバラツキが発生している。このような印圧分布のスキージにて印刷した結果である図4から、印圧の低いスキージの両端部に比べて、印圧の高いスキージ中央部は伸び量が大きく、形状としては山なりに湾曲したパターンとして印刷されていることが判る。
【0050】
これに対し、把持力の調整を行う本実施例では、図5に示すようにスキージ全幅にわたって印圧を均一に制御することができる。このような均一な印圧を示すスキージで印刷した結果である図6では、印圧分布が不均一な場合に見られた山なりに湾曲したパターンのような不安定な印刷形状の歪みはなく、印刷精度の向上が図られていることが判る。
【0051】
(実施例2)
スキージを補強部材105を伴わないスキージゴム106のみからなる一般的な平スキージとし、スキージゴム106の種類を硬度70度のウレタンゴム製の平スキージとした以外は実施例1と同様とし、スキージ幅方向の把持力調整の有無による印圧の均一化の状態を測定した。図7は把持力調整がない場合の印圧分布の結果であり、図8は把持力の調整を行った場合の印圧分布の結果である。
【0052】
(実施例3)
スキージを補強部材105を伴わないスキージゴム106のみからなる一般的な平スキージとし、スキージゴム106の種類を硬度80度のウレタンゴム製の平スキージとした以外は実施例1と同様とし、スキージ幅方向の把持力調整の有無による印圧の均一化の状態を測定した。図9は把持力調整がない場合の印圧分布の結果であり、図10は把持力の調整を行った場合の印圧分布の結果である。
【0053】
(比較例1)
スキージを一般的な平スキージとし、スキージゴムの種類を硬度60度のウレタンゴム製の平スキージとした以外は実施例1と同様とし、スキージ幅方向の把持力調整の有無による印圧の均一化の状態を測定した。図11は把持力調整がない場合の印圧分布の結果であり、図12は把持力の調整を行った場合の印圧分布の結果である。
【0054】
実施例2及び実施例3においては、把持力の調整により印圧の均一化が達成されることが判る(図8及び図10)。これに対してゴム硬度が60度の柔らかいスキージを用いた場合では、把持力を調整しても十分には印圧の均一化を図ることができない(図12)。これは、把持力の調整による印圧の均一化は、クランプに印加した圧力がスキージホルダを通してスキージに伝わり達成されるが、スキージ構成部材が柔らかいと印加した応力が分散しやすいため、一定度以上のゴム硬度が必要なためと考えられる。したがって、スキージゴムの硬度を70度以上とすることが好ましいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施形態のスクリーン印刷機が備えるスキージ部の断面図の一例である。
【図2】本実施形態のスクリーン印刷機が備えるスキージ部の正面図である。
【図3】把持力の調整を行わない従来法でのスキージ幅方向の印圧分布を示す図である。
【図4】把持力の調整を行わない従来法での印刷パターンの形状を示す図である。
【図5】本実施例の把持力調整を行ったスキージ幅方向の印圧分布を示す図である。
【図6】本実施例の把持力調整を行った印刷パターンの形状を示す図である。
【図7】本実施例のスクリーン印刷機においてスキージのゴム硬度を70度とした場合の把持力調整前の印圧分布を示す図である。
【図8】本実施例のスクリーン印刷機においてスキージのゴム硬度を70度とした場合の把持力調整後の印圧分布を示す図である。
【図9】本実施例のスクリーン印刷機においてスキージのゴム硬度を80度とした場合の把持力調整前の印圧分布を示す図である。
【図10】本実施例のスクリーン印刷機においてスキージのゴム硬度を80度とした場合の把持力調整後の印圧分布を示す図である。
【図11】ゴム硬度60度のスキージでの把持力調整前の印圧分布を示す図である。
【図12】ゴム硬度60度のスキージでの把持力調整後の印圧分布を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
100:スキージ部
101:把持機構部
102:クランプ
103:印刷機固定ホルダ
104:スキージホルダ部
105:スキージ補強部材
106:スキージゴム
107:スクリーン版
P :印刷剤(インク、ペースト)
W :被印刷体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷体の上部にクリアランスを設けて設置したスクリーン版の上部から、スキージの短手方向の一端部を前記被印刷体に押し付けながら摺動して、前記スクリーン版の上部の印刷剤を前記被印刷体に転移するための印刷機固定ホルダを有するスクリーン印刷機であって、
前記スキージの短手方向の他端部を所定の長さ狭持するスキージホルダ部と、
前記印刷機固定ホルダに備わり、各々把持力が調整可能であり、前記スキージホルダ部を介して前記スキージの他端部の長手方向の所定の箇所を把持するための複数の把持機構部と、
を有することを特徴とする高精度スクリーン印刷機。
【請求項2】
前記把持機構部は、前記スキージの他端部の長手方向に関して中央部と両端部を把持することを特徴とする請求項1に記載の高精度スクリーン印刷機。
【請求項3】
前記把持機構部は、前記スキージの摺動方向と反対面の前記印刷機固定ホルダの側面に各々備わることを特徴とする請求項1または2に記載の高精度スクリーン印刷機。
【請求項4】
前記把持機構部は、その把持力を生成する手段が、空気圧シリンダ、油圧シリンダ、弾性部材、及び、ねじによる締め込み、のいずれか1種または2種以上を組み合わせたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の高精度スクリーン印刷機。
【請求項5】
前記スキージの少なくとも前記スキージホルダ部に狭持される部分は、硬度70度以上のゴムまたは樹脂または複合材料であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の高精度スクリーン印刷機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のスクリーン印刷機を用いて前記把持機構部の把持力を調整することにより、印刷時の被印刷体上での前記スキージの長手方向における印圧を均一にすることを特徴とする高精度スクリーン印刷方法。
【請求項1】
被印刷体の上部にクリアランスを設けて設置したスクリーン版の上部から、スキージの短手方向の一端部を前記被印刷体に押し付けながら摺動して、前記スクリーン版の上部の印刷剤を前記被印刷体に転移するための印刷機固定ホルダを有するスクリーン印刷機であって、
前記スキージの短手方向の他端部を所定の長さ狭持するスキージホルダ部と、
前記印刷機固定ホルダに備わり、各々把持力が調整可能であり、前記スキージホルダ部を介して前記スキージの他端部の長手方向の所定の箇所を把持するための複数の把持機構部と、
を有することを特徴とする高精度スクリーン印刷機。
【請求項2】
前記把持機構部は、前記スキージの他端部の長手方向に関して中央部と両端部を把持することを特徴とする請求項1に記載の高精度スクリーン印刷機。
【請求項3】
前記把持機構部は、前記スキージの摺動方向と反対面の前記印刷機固定ホルダの側面に各々備わることを特徴とする請求項1または2に記載の高精度スクリーン印刷機。
【請求項4】
前記把持機構部は、その把持力を生成する手段が、空気圧シリンダ、油圧シリンダ、弾性部材、及び、ねじによる締め込み、のいずれか1種または2種以上を組み合わせたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の高精度スクリーン印刷機。
【請求項5】
前記スキージの少なくとも前記スキージホルダ部に狭持される部分は、硬度70度以上のゴムまたは樹脂または複合材料であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の高精度スクリーン印刷機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のスクリーン印刷機を用いて前記把持機構部の把持力を調整することにより、印刷時の被印刷体上での前記スキージの長手方向における印圧を均一にすることを特徴とする高精度スクリーン印刷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−149367(P2010−149367A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329278(P2008−329278)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(391018341)株式会社NBCメッシュテック (59)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(391018341)株式会社NBCメッシュテック (59)
【Fターム(参考)】
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