高精細な円形編機を用いて製品を編成する方法
【解決手段】円形編機、特に高精細な円形編機を用いて製品を編成する方法は、製品の形成の間少なくとも1度、作動する針の数が、特定の針により形成された編地の最後のループを隣接する針に移し、このようにして、作動し続ける他の針により編地の次の少なくとも1列を形成する間、編地のループを移した針を編成から除外することにより減らされることにある。これにより、ある数の針で編成された領域と、より少ない数の針で編成された領域とを有する製品を作製し、製品に特殊な透明性又は成形効果を与える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形編機、特に高精細、高ゲージの円形編機を用いて製品を編成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1本の針からこの針が形成した編地のループを隣接する針へ移すことができる靴下類等のための編機が公知である。この種の機械は、例えば国際公開第2002/070799号パンフレットに開示されている。
【0003】
これまでこの編地のループを移す技術は、主に製品のオープンワークを得るために用いられてきた。オープンワークのためのこの技術の適用例は、同一出願人による国際公開第2005/080653号パンフレットに開示されている。
【0004】
製品の一部の領域での作動する針の数の増加に基づき、円形編機を用いて成形製品を編成する方法も公知である。この種の技術は、作動する針を増やすことのみ可能であるという欠点を有するため、製品の編成を最小数の針で編成されなければならない側部から開始する必要がある。この事実により、可能な編成工程及びこの技術で得られることができる形状が限定される。
【特許文献1】国際公開第2002/070799号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/080653号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の意図は、円形編機、特に高精細な円形編機を用いて製品を編成し、編地のループを1本の針から隣接する針へ移す技術を用いることにより、製品の特殊な成形効果及び/又は美的効果を得ることができる方法を提供することである。
【0006】
この意図の範囲で、本発明の目的は、原材料の浪費を避けるために製品の一部の領域で糸の消費を減らすことにも用いられ得る方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、高精細な、好ましくは略インチ当り16乃至50針を備える円形編機を用いて製造された製品に成形効果又は美的効果を得るために用いられ得る方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この意図、並びにこれらの目的及び以下に明らかとなるその他の目的は、円形編機、特に高精細な円形編機を用いて製品を編成する方法によって達成され、前記製品の形成の間少なくとも1度、特定の針により形成された編地の最後のループを隣接する針に移し、このようにして、作動し続ける針により編地の次の少なくとも1列を形成する間、当該特定の針を編成から除外することにより、作動する針の数が減らされることを特徴とする。
【0009】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面の非限定例として例証された、本発明に係る方法の好ましい、しかし限定するものではない実施形態の記述によって更に明瞭となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1乃至図3を参照して、本発明に係る方法は、実質的に製品の形成の間少なくとも一度、作動する針の数が、特定の針によって形成された編地の最後のループを隣接する針へ移すことにより減らされることにある。編地のループの移転後、これらの針は編成から除外され、一方、他の針は機械の次のフィード又はドロップで編地を形成し続ける。
【0011】
図1は本発明に係る方法で得られた製品の一部を示す。便宜上、製品の一部の表示は、8針の編成に限定され、その編地の列は参照番号1乃至8により表される。編地の一部の形成は、図1では底部から上方に進む。
【0012】
本発明によれば、編地の第1領域Aの作製後、パターンの要件による作動する針の変更を除いて機械の略全ての針を用いて、編地の領域Bは、編地の領域Aを形成するために用いられた針の半分を用いて製造される。作動する針のこの減少は、本発明によれば、それ自体公知の方法で、例えば国際公開第2002/070799号パンフレットに記載されているように(図8,9参照)、列1,3,5,7を形成する針によって形成された編地の最後のループを、列2,4,6,8を形成する針に移すことにより得られ、その後編成を続けて編地の領域Bを形成する。
【0013】
編成から除外された針Nは、他の針Nの作業又は機械の他の要素の作業を妨害しないように、シンカSにより形成される編み終わり平面下でニードルシリンダCy内に引き込まれた状態におかれる。
【0014】
編地の領域Bは、より少ない数の針で編成され、それゆえ編地のより少ない数のループで編成されているために、編地の更なる透明性及び/又は伸縮性の減少が当該編地の領域Bで得られる。また、この理由のため更に前記領域で製品は収縮する。このようにして、製品の成形を達成することができる。
【0015】
製品の形成後いつでも、編成から以前除外された針のうち少なくとも数針で編成を再開することができるので、本発明に係る方法で得ることができる成形効果及び/又は透明効果はいくつかあり、交互に替えられ得る。
【0016】
図3は、図1を参照して説明された方法と同様の方法で、編成工程のあるステップで一部の針を編成から除外して、次のステップで、以前編成から除外された針で編成を再開することによる、本発明に係る方法で製造された製品の一部を示す。図3でも、便宜上、製品の一部の表示は、8針の編成に限定され、その編地の列は参照番号1乃至8により表される。編地の一部の形成は、図3では底部から上方に進む。
【0017】
特に、パターンの要件による作動する針の変更を除いて機械の略全ての針を用いた編地の第1領域Aの作製後、編地の領域Bは、編地の領域Aを形成するために用いられた針の半分を用いて製造される。作動する針のこの減少は、本発明によれば、それ自体公知の方法で、列1,3,5,7を形成する針によって形成された編地の最後のループを、列2,4,6,8を形成する針に移すことにより得られ、その後編成を続けて編地の領域Bを形成する。
【0018】
編成から除外された列1,3,5,7の針は、その後再び編成させられ、他の針と共に、列1,3,5,7の針が編成から除外される前に形成された編地の領域Aと同様の編地の領域Aを形成する。
【0019】
尚、明細書での便宜上、領域Bの形成の間、2本の隣接する針ごとに1本の針が編成から除外されると仮定したが、要件に応じて編成から除外される針の数が変更されてもよい。実際、編地のループ、任意には隣接する針から以前受けた編地のループを繰り返し移すことにより、3本の針ごとに2本の針、又は4本の針ごとに3本の針を編成から除外することも可能である。図2は、1本の針から隣接する針へ編地のループを繰り返し移すことにより、5本の隣接する針ごとに4本の針を編成から除外することにより製造された領域Bを示す。この図では、図1及び3と同一の番号が付けられており、編地のある数の列の後、編成から除外されるべき針から隣接する針へ編地のループを移すことが必要とされ、編地の列1,3,4,5,6,8を形成する針は徐々に編成から除外され、一方、編地の列2及び7を形成する針は編成し続ける。
【0020】
更に、要件に応じて、以前編成から除外された針が全て作業に戻されてもよく、又は以前編成から除外された針のうち数針のみ作業に戻されてもよい。
【0021】
また、編成から除外された針は、好ましくは互いに均等に離隔されているが、相互に異なる間隔で配置されてもよい。例えば、編地の同一列の形成では、隣接する2本の針毎にそのうちの1本の針によって編成された列の領域、及び隣接する3本の針毎にそのうちの1本の針によって編成された列の領域、及び/又は隣接する4本の針毎にそのうちの1本の針によって編成された列の領域などがあってもよい。
【0022】
このようにして、要件に応じて変更することができる多様な透明性及び成形効果を有する製品の領域を得ることができる。
【0023】
その上、領域Bはより少ない数の針で編成されるので、領域Bにはより少量の糸が製造に必要とされる点に特に注目すべきである。それゆえ、以下に明らかになる通り、製品の仕上げのステップで、裁断及び廃棄されることが意図される製品の領域を領域Bとして作製することは特に有利である。
【0024】
単に例として、図4は、本発明に係る方法で製造することができるアンダーシャツ10を示す。
【0025】
アンダーシャツ10は、好ましくは下端11から開始して、それ自体公知の方法で、例えば機械の全ての針に編成させることにより、パターンを製造するために作動する針を変更する必要性、及びアームホールを作製するための糸の切断を考慮して、ネック領域12までアンダーシャツのほとんど全てを作製することにより製造される。実際には、ネック領域12を除いて、アンダーシャツ10全体が図1,2,3を参照して上述された領域Aのように作製することができる。
【0026】
ネック領域12は、作動する針の数を減らすことにより製造される。作動する針の数は、本発明によれば、次に編成から除外されなければならない針から編地の最後のループを隣接する針に移すことにより減らされる。実際には、ネック領域12は図1,2,3を参照して上述された領域Bのように作製することができる。
【0027】
このようにして、ネック領域12は、製品の残りの部分に対して高度に成形されて狭く、当該領域に優れたフィット性を得る。
【0028】
図5は、ボディスーツを作製するための筒状の半仕上げの中間製品20を示し、編成製品の仕上げのステップで取り除かれることを意図された領域21,22,23,24,25,26が表されている。
【0029】
この場合には、製品のほとんど全ては、図1,2,3を参照して上述された領域Bと同様に、すなわち減らされた数の針を用いて作製することができる。このようにして、商品全体に透明効果を得ることができ、糸の使用が、特に後に取り除かれることを意図される領域を製造するために減らされ、製造される製品の様々な領域で成形効果を得ることができる。
【0030】
上述したように、同一列であっても製品の異なる領域を製造するために用いられる針の数を変更することにより、製品の透明性及び成形効果が得られることができる。
【0031】
より高い密度及び/又はより低い透明性及び/又は製品の周方向の寸法の増加を必要とする製品の特定の領域、例えばブラジャーのカップ領域27は、製品の残りの部分を製造するために用いられた針に対してこれらの領域を製造するために用いられる作動する針を増やすことにより作製することができる。実質上、領域27は図1,2,3を参照して上述された領域Aのように作製することができる。
【0032】
図6a、6bは、一着のアンダーパンツを製造するための筒状の中間製品30の前側及び後側を示す。中間製品は、好ましくは、ベルト領域31から製造を開始して、製品の仕上げのステップで取り除かれることを意図される領域32,33を、減らされた数の針で、例えば図1,2,3を参照して上述された領域Bのように製造することにより得られ、一方、製品の残り部分34は、機械の残りの針略全てを用いて、例えば図1,2,3を参照して上述された領域Aのように、パターン効果及び/又はオープンニット/オープンワーク及び/又は伝線しない編成構造を得るために作動する針を変更することを考慮して製造される。
【0033】
これにより、取り除かれることを意図された領域32,33を作製するための糸の量が減らされる。
【0034】
図7a,7bは、製品の仕上げのステップで取り除かれることを意図された領域42,43を有する、一着のアンダーパンツを製造するための筒状の中間製品40の前側及び後側を示す。
【0035】
好ましくは、筒状の半仕上げの中間製品40は、ベルト領域41から製造を開始することにより得られる。製品は、その製造のほとんどに対して、例えば図1,2,3を参照して上述された領域Aのように、機械の残りの針全てを用いて、パターン効果及び/又はオープンニット及び/又は伝線しない編成構造を得るために作動する針を変更することを考慮して製造される。任意で、製造の仕上げのステップで取り除かれることを意図された領域42,43は、減らされた数の針で、例えば図1,2,3を参照して上述された領域Bのように作製されてもよい。
【0036】
例えば臀部の前中央領域及び/又は周辺領域のような予め設定された領域44,45で、透明効果及び/又は伸縮性を減じる効果が、包み込む効果及び/又は成形効果及び/又はサポート効果を達成すべく得られるように、編成は、例えば図1,2,3を参照して上述された領域Bの製造のように、減らされた数の針を用いて行われる。
【0037】
実質上上述された例では、ある数の針での編成(領域A)から減らされた数の針での編成(領域B)への移行は、本発明によれば、その後編成から除外されなければならない針によって形成された編地の最後のループを、代わりに編成し続けなければならない隣接する針に移すことにより得られる。減らされた数の針での編成(領域B)からより多い数の針での編成(領域A)へのいかなる移行も、単に以前編成から除外された針の少なくとも一部を作業に戻すことにより達成される。
【0038】
尚、本発明に係る方法は、好ましくは針がインチ当り16乃至50本の範囲である精細さ又はゲージを有する円形編機に用いられることを意図されており、以前はこれらの精細さには決して得られなかった透明性及び/又は成形効果を有する高精細な製品を得る。
【0039】
上述した実施形態の例では、特定の例に関して挙げられた個々の特徴は、実際には実施形態の他の例に存在する他の異なる特徴と相互に交換されてもよい。
【0040】
実際には、作動する針を減らすために1本の針から編地のループを隣接する針に移す技術を用いることにより、高精細な製品であっても、製品の特殊な成形効果及び/又は美的透明効果及び/又は糸の節約を図ることが可能であるので、本発明は完全に意図された目的を達成することが分かった。
【0041】
このようにして考案された方法は、その全てが添付した請求項の範囲内にある多くの修正及び変更を加えることができ、また細部の全ては、更に他の技術的に等価な要素に置き換えてもよい。
【0042】
実際には、用いられる材料並びに寸法は、要件及び技術の状態に応じて如何なるものであってもよい。
【0043】
本出願が優先権を主張するイタリア特許出願第MI2005A001189号明細書における開示内容は、参照してここに盛り込まれる。
【0044】
任意の請求項に記載されている技術的特徴の後には参照符号が続いているが、これらの参照符号は、請求項の明瞭性を高めるためだけに含まれているものであり、このような参照符号により一例として識別される各要素の解釈をいかなる形においても限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態に係る方法で得られた製品の一部の裏面を示す図である。
【図2】図1で示された編地の構造的変形を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る方法で得られた製品の一部の裏面を示す図である。
【図4】本発明に係る方法で得られることができるアンダーシャツの概略図である。
【図5】本発明に係る方法で得られたボディスーツを製造するための筒状の半仕上げの中間製品を示す図である。
【図6】一着のアンダーパンツを編成するための筒状の中間製品の前側及び後側を夫々示す図である。
【図7】一着のアンダーパンツを編成するための筒状の中間製品の前側及び後側を夫々示す図である。
【図8】ステッチが1本の針から放され、隣接する針に移される公知の技術である調整可能なカムの配置の部分図である。
【図9】図8で示されたカムの位置に係るステッチパターンの作成を示す隣接するフック及びシンカの平面概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形編機、特に高精細、高ゲージの円形編機を用いて製品を編成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1本の針からこの針が形成した編地のループを隣接する針へ移すことができる靴下類等のための編機が公知である。この種の機械は、例えば国際公開第2002/070799号パンフレットに開示されている。
【0003】
これまでこの編地のループを移す技術は、主に製品のオープンワークを得るために用いられてきた。オープンワークのためのこの技術の適用例は、同一出願人による国際公開第2005/080653号パンフレットに開示されている。
【0004】
製品の一部の領域での作動する針の数の増加に基づき、円形編機を用いて成形製品を編成する方法も公知である。この種の技術は、作動する針を増やすことのみ可能であるという欠点を有するため、製品の編成を最小数の針で編成されなければならない側部から開始する必要がある。この事実により、可能な編成工程及びこの技術で得られることができる形状が限定される。
【特許文献1】国際公開第2002/070799号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/080653号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の意図は、円形編機、特に高精細な円形編機を用いて製品を編成し、編地のループを1本の針から隣接する針へ移す技術を用いることにより、製品の特殊な成形効果及び/又は美的効果を得ることができる方法を提供することである。
【0006】
この意図の範囲で、本発明の目的は、原材料の浪費を避けるために製品の一部の領域で糸の消費を減らすことにも用いられ得る方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、高精細な、好ましくは略インチ当り16乃至50針を備える円形編機を用いて製造された製品に成形効果又は美的効果を得るために用いられ得る方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この意図、並びにこれらの目的及び以下に明らかとなるその他の目的は、円形編機、特に高精細な円形編機を用いて製品を編成する方法によって達成され、前記製品の形成の間少なくとも1度、特定の針により形成された編地の最後のループを隣接する針に移し、このようにして、作動し続ける針により編地の次の少なくとも1列を形成する間、当該特定の針を編成から除外することにより、作動する針の数が減らされることを特徴とする。
【0009】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面の非限定例として例証された、本発明に係る方法の好ましい、しかし限定するものではない実施形態の記述によって更に明瞭となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1乃至図3を参照して、本発明に係る方法は、実質的に製品の形成の間少なくとも一度、作動する針の数が、特定の針によって形成された編地の最後のループを隣接する針へ移すことにより減らされることにある。編地のループの移転後、これらの針は編成から除外され、一方、他の針は機械の次のフィード又はドロップで編地を形成し続ける。
【0011】
図1は本発明に係る方法で得られた製品の一部を示す。便宜上、製品の一部の表示は、8針の編成に限定され、その編地の列は参照番号1乃至8により表される。編地の一部の形成は、図1では底部から上方に進む。
【0012】
本発明によれば、編地の第1領域Aの作製後、パターンの要件による作動する針の変更を除いて機械の略全ての針を用いて、編地の領域Bは、編地の領域Aを形成するために用いられた針の半分を用いて製造される。作動する針のこの減少は、本発明によれば、それ自体公知の方法で、例えば国際公開第2002/070799号パンフレットに記載されているように(図8,9参照)、列1,3,5,7を形成する針によって形成された編地の最後のループを、列2,4,6,8を形成する針に移すことにより得られ、その後編成を続けて編地の領域Bを形成する。
【0013】
編成から除外された針Nは、他の針Nの作業又は機械の他の要素の作業を妨害しないように、シンカSにより形成される編み終わり平面下でニードルシリンダCy内に引き込まれた状態におかれる。
【0014】
編地の領域Bは、より少ない数の針で編成され、それゆえ編地のより少ない数のループで編成されているために、編地の更なる透明性及び/又は伸縮性の減少が当該編地の領域Bで得られる。また、この理由のため更に前記領域で製品は収縮する。このようにして、製品の成形を達成することができる。
【0015】
製品の形成後いつでも、編成から以前除外された針のうち少なくとも数針で編成を再開することができるので、本発明に係る方法で得ることができる成形効果及び/又は透明効果はいくつかあり、交互に替えられ得る。
【0016】
図3は、図1を参照して説明された方法と同様の方法で、編成工程のあるステップで一部の針を編成から除外して、次のステップで、以前編成から除外された針で編成を再開することによる、本発明に係る方法で製造された製品の一部を示す。図3でも、便宜上、製品の一部の表示は、8針の編成に限定され、その編地の列は参照番号1乃至8により表される。編地の一部の形成は、図3では底部から上方に進む。
【0017】
特に、パターンの要件による作動する針の変更を除いて機械の略全ての針を用いた編地の第1領域Aの作製後、編地の領域Bは、編地の領域Aを形成するために用いられた針の半分を用いて製造される。作動する針のこの減少は、本発明によれば、それ自体公知の方法で、列1,3,5,7を形成する針によって形成された編地の最後のループを、列2,4,6,8を形成する針に移すことにより得られ、その後編成を続けて編地の領域Bを形成する。
【0018】
編成から除外された列1,3,5,7の針は、その後再び編成させられ、他の針と共に、列1,3,5,7の針が編成から除外される前に形成された編地の領域Aと同様の編地の領域Aを形成する。
【0019】
尚、明細書での便宜上、領域Bの形成の間、2本の隣接する針ごとに1本の針が編成から除外されると仮定したが、要件に応じて編成から除外される針の数が変更されてもよい。実際、編地のループ、任意には隣接する針から以前受けた編地のループを繰り返し移すことにより、3本の針ごとに2本の針、又は4本の針ごとに3本の針を編成から除外することも可能である。図2は、1本の針から隣接する針へ編地のループを繰り返し移すことにより、5本の隣接する針ごとに4本の針を編成から除外することにより製造された領域Bを示す。この図では、図1及び3と同一の番号が付けられており、編地のある数の列の後、編成から除外されるべき針から隣接する針へ編地のループを移すことが必要とされ、編地の列1,3,4,5,6,8を形成する針は徐々に編成から除外され、一方、編地の列2及び7を形成する針は編成し続ける。
【0020】
更に、要件に応じて、以前編成から除外された針が全て作業に戻されてもよく、又は以前編成から除外された針のうち数針のみ作業に戻されてもよい。
【0021】
また、編成から除外された針は、好ましくは互いに均等に離隔されているが、相互に異なる間隔で配置されてもよい。例えば、編地の同一列の形成では、隣接する2本の針毎にそのうちの1本の針によって編成された列の領域、及び隣接する3本の針毎にそのうちの1本の針によって編成された列の領域、及び/又は隣接する4本の針毎にそのうちの1本の針によって編成された列の領域などがあってもよい。
【0022】
このようにして、要件に応じて変更することができる多様な透明性及び成形効果を有する製品の領域を得ることができる。
【0023】
その上、領域Bはより少ない数の針で編成されるので、領域Bにはより少量の糸が製造に必要とされる点に特に注目すべきである。それゆえ、以下に明らかになる通り、製品の仕上げのステップで、裁断及び廃棄されることが意図される製品の領域を領域Bとして作製することは特に有利である。
【0024】
単に例として、図4は、本発明に係る方法で製造することができるアンダーシャツ10を示す。
【0025】
アンダーシャツ10は、好ましくは下端11から開始して、それ自体公知の方法で、例えば機械の全ての針に編成させることにより、パターンを製造するために作動する針を変更する必要性、及びアームホールを作製するための糸の切断を考慮して、ネック領域12までアンダーシャツのほとんど全てを作製することにより製造される。実際には、ネック領域12を除いて、アンダーシャツ10全体が図1,2,3を参照して上述された領域Aのように作製することができる。
【0026】
ネック領域12は、作動する針の数を減らすことにより製造される。作動する針の数は、本発明によれば、次に編成から除外されなければならない針から編地の最後のループを隣接する針に移すことにより減らされる。実際には、ネック領域12は図1,2,3を参照して上述された領域Bのように作製することができる。
【0027】
このようにして、ネック領域12は、製品の残りの部分に対して高度に成形されて狭く、当該領域に優れたフィット性を得る。
【0028】
図5は、ボディスーツを作製するための筒状の半仕上げの中間製品20を示し、編成製品の仕上げのステップで取り除かれることを意図された領域21,22,23,24,25,26が表されている。
【0029】
この場合には、製品のほとんど全ては、図1,2,3を参照して上述された領域Bと同様に、すなわち減らされた数の針を用いて作製することができる。このようにして、商品全体に透明効果を得ることができ、糸の使用が、特に後に取り除かれることを意図される領域を製造するために減らされ、製造される製品の様々な領域で成形効果を得ることができる。
【0030】
上述したように、同一列であっても製品の異なる領域を製造するために用いられる針の数を変更することにより、製品の透明性及び成形効果が得られることができる。
【0031】
より高い密度及び/又はより低い透明性及び/又は製品の周方向の寸法の増加を必要とする製品の特定の領域、例えばブラジャーのカップ領域27は、製品の残りの部分を製造するために用いられた針に対してこれらの領域を製造するために用いられる作動する針を増やすことにより作製することができる。実質上、領域27は図1,2,3を参照して上述された領域Aのように作製することができる。
【0032】
図6a、6bは、一着のアンダーパンツを製造するための筒状の中間製品30の前側及び後側を示す。中間製品は、好ましくは、ベルト領域31から製造を開始して、製品の仕上げのステップで取り除かれることを意図される領域32,33を、減らされた数の針で、例えば図1,2,3を参照して上述された領域Bのように製造することにより得られ、一方、製品の残り部分34は、機械の残りの針略全てを用いて、例えば図1,2,3を参照して上述された領域Aのように、パターン効果及び/又はオープンニット/オープンワーク及び/又は伝線しない編成構造を得るために作動する針を変更することを考慮して製造される。
【0033】
これにより、取り除かれることを意図された領域32,33を作製するための糸の量が減らされる。
【0034】
図7a,7bは、製品の仕上げのステップで取り除かれることを意図された領域42,43を有する、一着のアンダーパンツを製造するための筒状の中間製品40の前側及び後側を示す。
【0035】
好ましくは、筒状の半仕上げの中間製品40は、ベルト領域41から製造を開始することにより得られる。製品は、その製造のほとんどに対して、例えば図1,2,3を参照して上述された領域Aのように、機械の残りの針全てを用いて、パターン効果及び/又はオープンニット及び/又は伝線しない編成構造を得るために作動する針を変更することを考慮して製造される。任意で、製造の仕上げのステップで取り除かれることを意図された領域42,43は、減らされた数の針で、例えば図1,2,3を参照して上述された領域Bのように作製されてもよい。
【0036】
例えば臀部の前中央領域及び/又は周辺領域のような予め設定された領域44,45で、透明効果及び/又は伸縮性を減じる効果が、包み込む効果及び/又は成形効果及び/又はサポート効果を達成すべく得られるように、編成は、例えば図1,2,3を参照して上述された領域Bの製造のように、減らされた数の針を用いて行われる。
【0037】
実質上上述された例では、ある数の針での編成(領域A)から減らされた数の針での編成(領域B)への移行は、本発明によれば、その後編成から除外されなければならない針によって形成された編地の最後のループを、代わりに編成し続けなければならない隣接する針に移すことにより得られる。減らされた数の針での編成(領域B)からより多い数の針での編成(領域A)へのいかなる移行も、単に以前編成から除外された針の少なくとも一部を作業に戻すことにより達成される。
【0038】
尚、本発明に係る方法は、好ましくは針がインチ当り16乃至50本の範囲である精細さ又はゲージを有する円形編機に用いられることを意図されており、以前はこれらの精細さには決して得られなかった透明性及び/又は成形効果を有する高精細な製品を得る。
【0039】
上述した実施形態の例では、特定の例に関して挙げられた個々の特徴は、実際には実施形態の他の例に存在する他の異なる特徴と相互に交換されてもよい。
【0040】
実際には、作動する針を減らすために1本の針から編地のループを隣接する針に移す技術を用いることにより、高精細な製品であっても、製品の特殊な成形効果及び/又は美的透明効果及び/又は糸の節約を図ることが可能であるので、本発明は完全に意図された目的を達成することが分かった。
【0041】
このようにして考案された方法は、その全てが添付した請求項の範囲内にある多くの修正及び変更を加えることができ、また細部の全ては、更に他の技術的に等価な要素に置き換えてもよい。
【0042】
実際には、用いられる材料並びに寸法は、要件及び技術の状態に応じて如何なるものであってもよい。
【0043】
本出願が優先権を主張するイタリア特許出願第MI2005A001189号明細書における開示内容は、参照してここに盛り込まれる。
【0044】
任意の請求項に記載されている技術的特徴の後には参照符号が続いているが、これらの参照符号は、請求項の明瞭性を高めるためだけに含まれているものであり、このような参照符号により一例として識別される各要素の解釈をいかなる形においても限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態に係る方法で得られた製品の一部の裏面を示す図である。
【図2】図1で示された編地の構造的変形を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る方法で得られた製品の一部の裏面を示す図である。
【図4】本発明に係る方法で得られることができるアンダーシャツの概略図である。
【図5】本発明に係る方法で得られたボディスーツを製造するための筒状の半仕上げの中間製品を示す図である。
【図6】一着のアンダーパンツを編成するための筒状の中間製品の前側及び後側を夫々示す図である。
【図7】一着のアンダーパンツを編成するための筒状の中間製品の前側及び後側を夫々示す図である。
【図8】ステッチが1本の針から放され、隣接する針に移される公知の技術である調整可能なカムの配置の部分図である。
【図9】図8で示されたカムの位置に係るステッチパターンの作成を示す隣接するフック及びシンカの平面概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形編機、特に高精細な円形編機を用いて製品を編成する方法において、前記製品の形成の間少なくとも1度、特定の針により形成された編地の最後のループを隣接する針に移し、このようにして、作動し続ける針により編地の次の少なくとも1列を形成する間、前記特定の針を編成から除外することにより、作動する針の数が減らされることを特徴とする方法。
【請求項2】
編成の次の少なくとも1ステップの間、以前編成から除外された前記針の少なくとも一部が作業に戻されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
編成から除外された前記針は、互いに均等に離隔されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
精細な、略インチ当り16乃至50本の針を有する円形編機を用いて行われることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項1】
円形編機、特に高精細な円形編機を用いて製品を編成する方法において、前記製品の形成の間少なくとも1度、特定の針により形成された編地の最後のループを隣接する針に移し、このようにして、作動し続ける針により編地の次の少なくとも1列を形成する間、前記特定の針を編成から除外することにより、作動する針の数が減らされることを特徴とする方法。
【請求項2】
編成の次の少なくとも1ステップの間、以前編成から除外された前記針の少なくとも一部が作業に戻されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
編成から除外された前記針は、互いに均等に離隔されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
精細な、略インチ当り16乃至50本の針を有する円形編機を用いて行われることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2008−544101(P2008−544101A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517373(P2008−517373)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005672
【国際公開番号】WO2006/136312
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(598014043)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005672
【国際公開番号】WO2006/136312
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(598014043)
【Fターム(参考)】
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