説明

高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの製造方法

【課題】 高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの製造方法を提供する。
【解決手段】 エチレンオキシド付加副生成物を含むβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物と1,1’−ビス−β−ナフトールなどを反応させて副生成物を含まないβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム包接錯体を分離し、これを炭酸ガスと反応分解させ、高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム−カーボネイト及び/又は−ビカーボネイトを取得する。この水溶液を陽イオン交換膜隔膜で電気分解してβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを副生成物や他のアニオンの挟雑なしに水溶液の形で得る。この水溶液に目的物の分解生成物であるアンモニアやN,N−ジメチルエタノールアミンが混在する場合には水溶液を減圧濃縮して留去する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォトレジスト現像液として更なる用途拡大につながるのみならず、界面活性剤、エラストマー、重合触媒、医薬、農薬、アミンイミド中間体原料として有用な高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの製造方法に関するものである。本発明はまた、上記の合成方法の原料に用いるβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトの製造方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】従来、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの合成法としては、1,1−ジメチルヒドラジンとエチレンオキシドの反応により、下記式(1)の通り、
【化1】


目的化合物を得る方法が知られている{J.Org.Chem.,33,1374(1968)}[従来技術1]。
【0003】また、下記式(2)
【化2】


に示すとおり、1,1−ジメチルヒドラジンとエチレンオキシド誘導体の反応により中間体としてアミンイミンを得、単離することなく、エステル類と反応させ、アミンイミドを得ている(Ger.Offen.2,501,616)[従来技術2]。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドは、前記式(1)に示すとおり、1,1−ジメチルヒドラジンへのエチレンオキシドの付加反応により製造される。
【0005】しかしながら、本発明者らの研究によると、1,1−ジメチルヒドラジンとエチレンオキシドとの付加反応では、上記式(1)で示されるβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの他に、不可避的な不純物が副生し、この不純物は下記式(3)
【化3】


の構造を有すると推定される副生成物であることをイオンクロマトグラフィー等から推定した。
【0006】この副生成物は、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドに更にエチレンオキシドが逐次的に付加反応したもので、n=1および2が主なものである。従来のβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド水溶液中には、上記副生成物がβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドに対して、0.2〜1.0%程度含まれている。
【0007】β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド中の前記式(3)の副生成物は、反応条件の改良、蒸留、再結晶、吸着などの一般的な化学的物理的操作処理では、生成抑制や除去は実用上不可能である。また、カラムクロマトグラフィーによる、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドと副生成物の極性が類似しているため、分離精製には至っていない。
【0008】しかるに、上記[従来技術1]においては、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの生成が確認されているものの、副生成物に関する記載は一切なく、得られたβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドは上記副生成物を含んだ純度の低いものであると認められる。また、前記[従来技術2]では、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを、単離しておらず、副生成物を含有した状態で次の反応を行っている。
【0009】かように、純粋なβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの製造は未だなされていないのが現状である。副生成物を含まない高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを製造することができれば、フォトレジスト現像液として更なる用途拡大につながるのみならず、界面活性剤、エラストマー、重合触媒、医薬、農薬、アミンイミド中間体原料として新規用途が期待できる。
【0010】本発明者らは、純粋なβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを合成するための中間体及び反応経路に関して包括的な研究を行った。その結果、1)それ自体公知の方法で合成されるβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物を包接錯体とすることにより、これを前記式(3)の副生成物から分離することが可能となること、2)この包接錯体を炭酸ガスと反応させることにより、この包接体中のゲスト分子をβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトとして、分解し、取り出すことが可能となること、及び3)このカーボネイト及び/又はビカーボネートを、陽イオン交換膜を隔膜とする電気分解に付すことにより、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを、アニオン等の挟雑なしに、純粋に取り出し可能となることを見出した。
【0011】即ち、本発明の目的は、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを高純度な状態で取得可能にする製造方法を提供するにある。本発明の他の目的は、高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトを中間体とし、電気分解による手段で、高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを製造する方法を提供するにある。本発明の更に他の目的は、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物の包接錯体を原料とする高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの製造方法を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトを、陽イオン交換膜を隔膜とする電気分解に付し、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを水溶液として回収することを特徴とするβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの製造方法が提供される。本発明によればまた、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム包接錯体と炭酸ガスを反応させることを特徴とするβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトの製造方法が提供される。本発明によれば更に、不純物を含有するβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物と1,1’−ビス−β−ナフトールとを水性媒体中で反応させることを特徴とするβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム包接錯体の製造方法が提供される。本発明によれば更にまた、不純物を含有するβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物と1,1’−ビス−β−ナフトールとを水性媒体中で反応させ、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム・1,1’−ビス−β−ナフトールの包接錯体を得、該包接錯体と炭酸ガスを反応させて高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトとし、得られた高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトを、陽イオン交換膜を隔膜とする電気分解に付し、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを水溶液として回収することを特徴とする高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの製造方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】[作用]本発明の方法の目的物であるβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドは、下記式(4)
【化4】


で表される化学構造を有する強塩基性化合物であり、ヒドラジニウム骨格の4級窒素原子に2個のメチル基と1個のβ−ヒドロキシエチル基とが結合し、ヒドロキシアニオンが配位した構造を有するものである。この化合物は、既に説明したとおり、高純度の形で単離することが従来困難であった物質である。
【0014】本発明では、上記物質を合成する原料(中間体)として、下記式(5)
【化5】


で表されるβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又は下記式(6)
【化6】


で表されるβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトを選択し使用する。及び/又はとは、どちらか一方の成分であっても、両方の成分であってもよいという意味であり、これは、中間体の合成においても、中間体から目的物への反応においても、同様の挙動を示すことによる。これらのカーボネイトビカーボネイトを、陽イオン交換膜を隔膜とする電気分解に付することにより、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを高純度の形で分離することが可能となる。
【0015】即ち、この電気分解による反応は、下記式(7)
【化7】


で表され、アニオンであるカーボネイトイオン或いはビカーボネイトイオンが炭酸ガスの形で揮発分離するので、アニオンによる挟雑がないという点で優れたものである。後に詳述するとおり、この電気分解に際して、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの分解生成物であるアンモニア及びN,N−ジメチルエタノールアミンが副生する場合もあるが、これらの分解物の除去は、水溶液の濃縮等の簡単な手段で至って容易に行われる。
【0016】電気分解反応の原料(中間体)として用いる上記のβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトは、特に下記式(8)
【化8】


で表される包接錯体と炭酸ガスとを反応させることにより得られる。
【0017】一方、上記式(8)の包接錯体は、下記式(9)
【化9】


で表されるβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物と下記式(10)
【化10】


で表される1,1’−ビス−β−ナフトールとを水性媒体中で反応させることにより得られる。上記β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物は、エチレンオキサイドの2モル以上の付加物を不純物として不可避的に含有するが、下記反応式(11)
【化11】


で示すとおり、包接錯体の形成が選択的に行われることが特徴である。
【0018】一般に、ある化合物(A)が他の化合物(B)を取り込んで錯体を形成するとき、この錯体を包接錯体といい、前者の化合物(A)をホスト分子、後者の化合物(B)をゲスト分子という。
【0019】既に指摘したとおり、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物は、1,1−ジメチルヒドラジンとエチレンオキシドとの付加により合成されるが、生成物中には、前記式(3)で示される副生成物(2モル以上のエチレンオキシド付加物)を不可避的に含有している。本発明は、1,1’−ビス−β−ナフトール等のホスト分子が、このような副生成物を含有するβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物水溶液中のβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物のみと包接錯体を形成し、一方副生成物とは包接錯体を形成しないという新規な知見に基づくものである。この反応式は、前記式(11)で表される。即ち、本発明では、副生成物を含有するβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物の水溶液と1,1’−ビス−β−ナフトール等のホスト分子を反応させて、副生成物を含まないβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム包接錯体を形成させるが、この包接錯体は結晶の形で、副生成物を含む母液から容易に分離することができる。
【0020】以上説明したとおり、本発明によれば、1)不純物を含有するβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム包接錯体の形成、2)この包接錯体と炭酸ガスの反応による、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトへの分解、及び3)このカーボネイト及び/又はビカーボネートの電気分解を組み合わせることにより、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを、前記式(3)の副生成物やアニオン等の挟雑なしに、比較的高い収率で製造することが可能となる。
【0021】[包接錯体の製造]本発明に使用するホスト化合物としては、例えば特公平6−21017号公報に記載されているフェノール化合物を挙げることができるが、ゲスト分子に対する選択性の点で特に好適なものとして、1,1’−ビス−β−ナフトール、即ち、前記式(10)の化合物が使用される。
【0022】尚、1,1’−ビス−β−ナフトール等のフェノール類が、コリンや、β−ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウムヒドロキシドと包接錯体をつくることは、特開平8−119911号公報、特開平8−218191号公報等により、既に知られているが、ヒドラジニウム化合物、特にβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドと1,1’−ビス−β−ナフトールとが包接錯体を形成することは全く未知であり、況や前記式(3)等の副生成物とは包接錯体を形成しないという選択性を示すことは全く予想外のことであった。
【0023】本発明に使用するゲスト化合物は、前記式(9)で表されるβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物であり、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド(X=ヒドロキシアニオン)が高純度のものを得るという見地から特に好適であるが、他に、ハライド(X=Cl、Br)等の無機酸アニオンや、酢酸等の有機酸アニオンとの塩であってもよい。というのは、前記式(11)で示すとおり、包接錯体中に取り込まれるのは、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムであり、包接錯体とこれらのアニオンとは固液分離で分離されるからである。以下、本発明を、不純物を含むβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドについて専ら説明するが、本発明はこの場合に限定されるものでは決してない。
【0024】本発明では、前記反応式(1)の方法で製造されるβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド水溶液を原料として使用可能である。
【0025】1,1’−ビス−β−ナフトール及びβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド水溶液を、1,1’−ビス−β−ナフトール/β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド=1/1又は1/2(モル比)となるような割合で、純水あるいは純水乃至精製メタノール混合溶媒と共に反応器に仕込み、加熱溶解させる。なお、使用するβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド水溶液は、式(1)の方法で製造され、前記一般式(3)の副生成物を含有している。
【0026】加熱溶解後、水を加えたり、また、室温で1〜2日間、放置することにより1,1’−ビス−β−ナフトールとβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムとの包接錯体結晶が析出する。ろ過又は遠心分離後、水洗、乾燥し、副生成物を含まない高純度包接錯体を収率80モル%以上で得ることができる。
【0027】[カーボネイト及び/又はビカーボネイトの製造]得られた高純度包接錯体に純水を加え、炭酸ガスを吹き込んだ後、1,1’−ビス−β−ナフトールを不溶性結晶としてろ過または遠心分離で除去すると、副生成物を含まない高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイト水溶液を得ることができる。なお、この水溶液中には、ホスト化合物の1,1’−ビス−β−ナフトールは混入していない。
【0028】また、回収した1,1’−ビス−β−ナフトールは再使用可能であり、回収率はほぼ定量的である。
【0029】[電気分解]得られた高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイト水溶液を、陽イオン交換膜を隔膜とする電気分解に付することにより、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを生成させる。
【0030】本発明の電気分解法は、通常、陽イオン交換膜で陽極室と陰極室とに区画された一般的な電解槽が使用され、その形式は特に限定されない。
【0031】本発明に使用する陽イオン交換膜は、それ自体公知の陽イオン交換膜、例えばスルフォン酸基、カルボン酸基、ホスフォン酸基等の陽イオン交換基を有するものであり、好適にはフッ素樹脂を骨格とするものが使用される。フッ素樹脂系の<ナフィオン966>あるいは<ナフィオン350>(デュポン社製)等のスルフォン酸系の陽イオン交換膜が好適に使用できる。
【0032】本発明に使用する陽極は、耐食性の導電性基体上に白金族の金属あるいはその酸化物を含む被膜を形成した電極やマグネタイト等の酸化性雰囲気での耐食性の大きな電極を使用することができる。また、本発明に使用する陰極は、ステンレス鋼およびニッケル等のアルカリに侵されない金属を使用することができる。これらの陽極および陰極は、板状、棒状、網状又は多孔板状等のいずれの形状でも使用できる。
【0033】本発明において、電気分解は、高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイト水溶液を、電解槽の陽極室に供給し、陰極室に超純水を通じ、両極間に直流電圧を印加することによって行われるが、その電流密度は1〜100A/dcm2 、好ましくは3〜50A/dcm2 である。
【0034】本発明において、電気分解の温度は、10〜50℃の範囲にあることが好ましい。
【0035】本発明において、電気分解は、回分式および連続式のいずれの方法でも行うことができる。
【0036】本発明において、陽極室に供給する原料濃度は、1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%である。
【0037】本発明において、陰極室には、超純水が供給されるが、電気分解開始時は、超純水単独では電気伝導度が低く電気分解が起こりがたいので、目的物の高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを少量、例えば0.01〜5重量%程度添加した溶液を用いることが望ましい。
【0038】本発明において、電気分解は清浄な窒素又はアルゴン等の不活性ガスの雰囲気下に行うことが純度の点で望ましい。
【0039】電気分解終了後、陰極室には、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド水溶液が回収される。必ずしも、この場合に限定されないが、この水溶液中には、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの分解生成物であるアンモニアと、N,N−ジメチルエタノールアミンとが共存しているのが一般的である。この場合にも、この混合水溶液を濃縮することによって、アンモニアと、N,N−ジメチルエタノールアミンを完全に留去し、必要に応じて、更に活性炭による吸着処理を行うことにより、高純度のβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを製造することができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
【0041】(実施例1)
β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの合成1,1−ジメチルヒドラジン 52.9g(0.88mol)/H2 O 200.0g水溶液を、0℃に冷却し、エチレンオキシド 19.4g(0.44mol)を、温度:−4〜4℃、15分間で滴下した。エチレンオキシド滴下後、温度:0〜4℃で、1.5時間攪拌した。そして、室温まで昇温後、1.5時間攪拌し、反応液267.3gを得た。反応液中の余剰の1,1−ジメチルヒドラジンを、減圧濃縮(40℃)、更に、真空乾燥(40℃)し、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド水溶液 54.9gを得た。β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド含量 77.0wt%(NHCl滴定),42.3g(0.35mol),収率79%(エチレンオキシド基準)であった。イオンクロマトグラフィーによる分析の結果、副生成物生成量は、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドに対して0.30%であった。β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの構造は、NMR及び実施例2より確認した。なお、更に、減圧濃縮を行うと、白色結晶が得られるが、吸湿性が強く、空気中での取り扱いは困難であった。
NMR(D2 O〜CDCl3
3.58ppm (6H,s,C3 −)
3.75 (2H,m,−CH2 2 −)
4.33 (2H,m,−C2 CH2 −)
【0042】(実施例2)
1,1’−ビス−β−ナフトール/β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド包接錯体の合成1,1’−ビス−β−ナフトール 4.3g(0.015mol)と、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドに対して0.30%の副生成物を含有する73.2wt%β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド水溶液 5.0g(0.030mol)を、メタノール 30.0gに加え、45℃まで加熱し、1,1’−ビス−β−ナフトール結晶を溶解させた。溶解後、純水 85.0gを加え、濃縮、冷却することにより、1,1’−ビス−β−ナフトール/β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド包接錯体結晶 4.4g、収率75%で単離した。NMR及び元素分析より、1,1’−ビス−β−ナフトール/β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド包接錯体の包接比が1/1であること、及びβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの構造を確認した。なお、包接錯体結晶中の副生成物は、検出限界以下であった(イオンクロマトグラフィー)。
【0043】(包接錯体結晶データ)
mp 157−163℃(分解)
IR 3600−3000cm-1(−OH)
NMR(DMSO−d6 〜CDCl3
3.29ppm (6H,s,C3 −)
3.39−3.76 (2H,m,−CH2 2 −)
3.78−4.13 (2H,m,−C2 CH2 −)
7.33−7.73 (8H,m,Ar−H)
7.96−8.33 (4H,m,Ar‐H)
8.83 (1H,s,Ar‐OH)
ここで、Ar=1,1’−ビス−β−ナフトール 元素分析 Anal.Calcd.forC24H26N2O3 C 73.82 N 7.18 Found C 73.58 N 7.09
【0044】(実施例3)
β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの合成1,1−ジメチルヒドラジン 240.4g(3.87mol)/H2 O 500.0g水溶液を、0℃に冷却し、エチレンオキシド 88.1g(2.00mol)を、温度:−1〜6℃、1.5時間で滴下した。エチレンオキシド滴下後、温度:6〜10℃で、1時間攪拌後、一夜放置し、反応液 802.5gを得た。反応液組成(NHCl滴定)は、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド 23.3wt%、187.2g(1.53mol)、1,1−ジメチルヒドラジン 17.0wt%、136.3g(2.27mol)であった。余剰の1,1−ジメチルヒドラジンを40℃で減圧濃縮し、291.9gの濃縮液を得た。更に、濃縮液を真空乾燥(40℃)して、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド水溶液 263.2gを得た。β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド含量 68.3wt%(NHCl滴定),179.8g(1.47mol),収率 73.6%(エチレンオキシド基準)であった。イオンクロマトグラフィーによる分析の結果、副生成物生成量は、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドに対して 0.36%であった。その他の不純物分析値は、Cl 8ppm,1,1−ジメチルヒドラジン 320ppm,エチレングリコール 0.04%であった。
【0045】(実施例4)
1,1’−ビス−β−ナフトール/β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド包接錯体の合成1,1’−ビス−β−ナフトール 286.3g(1.00mol)と、実施例3で合成した68.3wt%のβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド水溶液 196.7g(1.10mol)[副生成物 0.36%,Cl 8ppm,1,1−ジメチルヒドラジン 320ppm,エチレングリコール 0.04%]を、超純水3000.0gに加え、50℃まで昇温し、50℃で、2.5時間反応させた。反応後、0℃まで冷却し、72.1wt%含水1,1’−ビス−β−ナフトール/β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの包接錯体結晶(NHCl滴定) 482.6g,[348.1g(0.89mol)]を、収率89%(1,1’−ビス−β−ナフトール基準)で分離した。分離母液2844.6g中には、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド 0.94wt%26.7g(0.22mol)残存していた。
【0046】(実施例5)
高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイト水溶液の合成72.1wt%含水包接錯体 477.1g[344.2g(0.88mol)]を、超純水2000.0gに加え、攪拌下、過剰量の二酸化炭素753.8g(17.1mol)を1.5時間、温度20℃で吹き込み、その後、2時間攪拌し、包接錯体を分解した。包接錯体を分解後、不溶結晶を遠心分離器で分離し、分離母液■ 4.8wt%のβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイト水溶液 1845.5g[β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトとして88.6g(0.53mol)]と、含水不溶結晶■ 1052.4gを得た。分離母液■中の不純物は、副生成物〜検出限界以下、Cl 2ppm、1,1−ジメチルヒドラジン<10ppm、エチレングリコール<0.01%であった。更に、含水不溶結晶■ 1052.4gを、超純水2000.0gに加え、十分に攪拌、洗浄後、再度、不溶結晶■を遠心分離器で分離し、分離母液■ 1.4wt%β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイト水溶液 2476.0g[β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトとして35.2g(0.21mol)]を得た。分離母液■中の不純物は、副生成物〜検出限界以下、Cl 1ppm、1,1−ジメチルヒドラジン<10ppm、エチレングリコール<0.01%であった。 分離母液■+分離母液■のβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトとしての合計収率は85%であった。再分離した含水不溶結晶■968.1gを、温風乾燥器で乾燥し、乾燥結晶263.1gを回収した。IRより乾燥結晶は、1,1’−ビス−β−ナフトールであることを確認した。なお、回収l,1’−ビス−β−ナフトール中には、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトとして、4.0wt%,10.4g(0.06mol)残存していた。1,1’−ビス−β−ナフトールの回収率は、88.3%であった。回収した1,1’−ビス−β−ナフトールは、包接錯体合成工程で再使用できる。1,1’−ビス−β−ナフトール/β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド包接錯体の合成、炭酸ガスによる該包接錯体の分解に至るβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイト水溶液合成に至る合計収率は、75%であった。
【0047】(実施例6)
高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイト水溶液の電気分解による高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド水溶液の合成電解槽は、電極の有効面積が1.8dm2 の一つの陽極と二つの陰極を有するフローセル型電解槽を使用した。電解槽を、フッ素樹脂系の陽イオン交換膜である<ナフィオン966>(デュポン社製)で陰極室/陽極室/陰極室に区画し、電極としては、陽極:DSE電極、陰極:Ni電極を使用した。陽極室には、実施例5で得られた、4.8wt%β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイト水溶液 1808.9g[β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトとして86.8g(0.52mol)]を、陰極室に、超純水 1029.6gをそれぞれ仕込んだ。電解温度、室温〜35℃、電流密度5.56A/dm2 、85分間定電流電解を行った。電解反応の結果、陽極室に、0.2wt%β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイト水溶液 1664.9g[β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトとして、2.5g(0.02mol)]が残存していた。陰極室に、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドと、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの分解生成物であるアンモニア及びN,N−ジメチルエタノールアミン{組成:β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド3.0wt%、34.3g(0.28mol)、アンモニア 0.3wt%、3.5g(0.203mol)、N,N−ジメチルエタノールアミン 1.6wt%、18.1g(0.20mol)}の混合水溶液 1152.1gが得られた。陰極室中の高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド収率 54%、電流効率 99%であった。陰極室の高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド混合水溶液を減圧濃縮し、19.9wt%の高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド 172.9g(0.28mol)を得た。減圧濃縮により得られた高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシド水溶液中の不純物濃度は、イオンクロマトグラフィー分析より、アンモニア、N,N−ジメチルエタノールアミン及び副生成物は検出限界以下、また、Na,Ca,Fe,Ni,Cr,Cu,Clは、いずれも10ppb以下であった。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、副生成物(β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物に更にエチレンオキシドが付加した化合物)を含むβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物と、1,1’−ビス−β−ナフトールのごときホスト分子を反応させることにより、上記副生成物を含まないβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム包接錯体を分離することができる。この包接錯体を炭酸ガスと反応させることにより、包接錯体を分解し、高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトを取得することができる。このカーボネイト及び/又はビカーボネイトの水溶液を、陽イオン交換膜を隔膜とする電気分解法に付することによりβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを、副生成物や他のアニオンの挟雑なしに、純粋な水溶液の形で得ることができる。この水溶液には、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの分解生成物であるアンモニアや、N,N−ジメチルエタノールアミンが混在する場合もあるが、この水溶液を減圧濃縮することにより、アンモニア、N,N−ジメチルエタノールアミンを留去し、高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを合成することができる。得られるβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドは、無臭、且つ高純度の強塩基性化合物であり、フォトレジスト現像液のみならず、界面活性剤、エラストマー、重合触媒、医薬、農薬、アミンイミド中間体原料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトを、陽イオン交換膜を隔膜とする電気分解に付し、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを水溶液として回収することを特徴とするβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの製造方法。
【請求項2】 β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム包接錯体と炭酸ガスを反応させることを特徴とするβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトの製造方法。
【請求項3】 不純物を含有するβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物と1,1’−ビス−β−ナフトールとを水性媒体中で反応させることを特徴とするβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム包接錯体の製造方法。
【請求項4】 不純物を含有するβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物と1,1’−ビス−β−ナフトールとを水性媒体中で反応させ、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム・1,1’−ビス−β−ナフトール包接錯体を得、該包接錯体と炭酸ガスを反応させて高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトとし、得られた高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトを、陽イオン交換膜を隔膜とする電気分解に付し、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを水溶液として回収することを特徴とする高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの製造方法。
【請求項5】 電気分解により得られるβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの水溶液が、その分解生成物であるアンモニア、N,N‐ジメチルエタノールアミンを更に含有するものであり、この混合水溶液を更に減圧濃縮することにより、アンモニア及びN,N‐ジメチルエタノールアミンを留去し、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドを水溶液として回収することを特徴とする請求項1または4に記載のβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムヒドロキシドの製造方法。
【請求項6】 高純度β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムカーボネイト及び/又はβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウムビカーボネイトが、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム包接錯体と炭酸ガスを反応させて製造することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】 β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム包接錯体が、β−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物をゲスト分子とし、且つl,1’−ビス−β−ナフトールをホスト分子とする包接体であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項8】 不純物を含有するβ−ヒドロキシエチルジメチルヒドラジニウム化合物が1,1−ジメチルヒドラジンとエチレンオキシドとを反応させることにより得られたものであることを特徴とする請求項3または4に記載の製造方法。