高純度Siの製造方法
【課題】Siその他の各種の物質中の不純物を従来に比べて極めて低温で効率的に、しかも簡単な操作で除去することができ、高純度物質を低コストで容易に大量に製造することができる高純度物質の製造方法を提供する。
【解決手段】高純度物質の製造方法は、B、C、Si、Ge、Sn、P、As、Sb、S、Se、Te、Po、Mo、W、Tc、Re、RuおよびOsからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素と少なくとも一種の不純物とからなる原料物質を、自己解離定数pKapが14より大きい有機溶媒に強塩基を溶解した溶液中に浸漬することにより溶解する工程を有する。有機溶媒としてはメタノールやエタノールなど、強塩基としてはKOHやNaOHなどを用いる。例えば、原料物質としてPやBなどを不純物として含有するSi、有機溶媒としてメタノール、強塩基としてKOHを用いてSi(OH)4 を製造する。
【解決手段】高純度物質の製造方法は、B、C、Si、Ge、Sn、P、As、Sb、S、Se、Te、Po、Mo、W、Tc、Re、RuおよびOsからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素と少なくとも一種の不純物とからなる原料物質を、自己解離定数pKapが14より大きい有機溶媒に強塩基を溶解した溶液中に浸漬することにより溶解する工程を有する。有機溶媒としてはメタノールやエタノールなど、強塩基としてはKOHやNaOHなどを用いる。例えば、原料物質としてPやBなどを不純物として含有するSi、有機溶媒としてメタノール、強塩基としてKOHを用いてSi(OH)4 を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は高純度物質の製造方法に関し、各種の無機物質、例えば高純度シリコン(ケイ素)の製造に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は太陽光の放射エネルギーを直接電力として変換できるため、21世紀におけるクリーンエネルギー発生装置の一つとして世界的に注目されている。
従来、太陽電池としては、主として、シリコン系の材料を用いたものと化合物半導体系の材料を用いたものとが開発されている。そのうち前者のシリコン系太陽電池の生産量は太陽電池総生産量の約8割を占めている。
【0003】
しかしながら、太陽電池は現状では広く普及するには至っておらず、特に一般家庭までの太陽電池の普及率は低いのが現状である。その主な原因は、原料のシリコンの供給量が不十分であるため、シリコンを低価格で供給することができず、太陽電池の製造コストが高くなってしまうためである。より詳細には、太陽電池専用のシリコンの製造プロセスがなく、現状ではコストの高い超高純度の半導体専用のシリコンの供給体制に依存しているからである。
【0004】
一般に工業用シリコンは、ケイ砂あるいはケイ石(SiO2 )とコークスとを混合し、電気炉のアーク加熱によって高温還元することにより製造されている。この方法で製造されるシリコンの純度は、使用する原料の種類や品質などによって異なるが、一般的に92〜98%であり、主な不純物は鉄、アルミニウム、カルシウムなどである。この純度92〜98%のシリコンはメタルグレードシリコン(MG−Si)と呼ばれている。
【0005】
従来、太陽電池用シリコンの製造方法としては、大別して(1)ガス化精製法、(2)還元炉と帯精製法とを組み合わせた方法が知られている(例えば、特許文献1〜4参照。)。(1)の方法では高純度シリコンが得られるが、二段の還元プロセスを含むため、低コスト化には限界があり、現状以上の原価低減は困難と考えられている。(2)の方法は原料選択に制限が付く点が問題である。すなわち、帯精製法ではシリコンから、それぞれn型不純物およびp型不純物として働くリン(P)およびホウ素(B)を分離することができないため、あらかじめリンおよびホウ素を低減させた高純度シリカ原料の供給が前提条件となるが、これが高純度シリコンの製造コストの低減を阻む原因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−189408号公報
【特許文献2】特開2006−188367号公報
【特許文献3】特開2001−9771号公報
【特許文献4】特開2002−241122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、シリコンその他の各種の物質中の不純物を従来に比べて極めて低温で効率的に、しかも簡単な操作で除去することができ、高純度物質を低コストで容易に大量に製造することができる高純度物質の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は、
B(ホウ素)、C(炭素)、Si(シリコン(ケイ素))、Ge(ゲルマニウム)、Sn(スズ)、P(リン)、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)、S(イオウ)、Se(セレン)、Te(テルル)、Po(ポロニウム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Tc(テクネチウム)、Re(レニウム)、Ru(ルテニウム)およびOs(オスミウム)からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素と少なくとも一種の不純物とからなる原料物質を、自己解離定数pKapが14より大きい有機溶媒に強塩基を溶解した溶液中に浸漬することにより溶解する工程を有することを特徴とする高純度物質の製造方法である。
【0009】
上記の原料物質を構成するB、C、Si、Ge、Sn、P、As、Sb、S、Se、Te、Po、Mo、W、Tc、Re、RuおよびOsの25℃の電位−pH図(イオンの濃度は1ppm)を図1〜図18に示す(M.Pourbaix:Atlas of Electrochemical Equilibria,Pergamon Press(1966) 参照。)。図1〜図18に示すように、これらの元素は、電位−pH図の領域(−2V<電位<+2V vs.SHEかつ0<pH<14)の約8割を占める安定化学種が水酸化物(あるいは酸化物)とアニオン(陰イオン)であるものである。この原料物質は、最も典型的には上記のいずれかの元素からなる単体物質である。上記の元素のうちの一種または二種以上の元素からなる原料物質中に不純物として他の一種または二種以上の元素が含まれる場合もある。この原料物質の形態は特に問わず、板、線、粒などのいずれの形態であってもよいが、比表面積の大きい粉末状とすることが最も好ましい。
【0010】
強塩基を溶解する溶媒として自己解離定数pKapが14より大きい有機溶媒を用いることにより、この有機溶媒中に強塩基が溶解したとき強塩基の解離により、pH>14の環境を容易に得ることができる。この有機溶媒としては各種のものを用いることができ、この有機溶媒に溶解する強塩基に応じて適宜選ぶことができる。この有機溶媒は、比誘電率εが大きい程、強塩基が溶解しやすいため、比誘電率εが大きいものを用いるのが望ましい。具体的には、この有機溶媒の比誘電率εは20より大きいのが望ましい。有機溶媒の具体例をpKapおよびεとともに挙げると下記の通りである(藤永太一郎、佐藤昌憲訳:シャルロー溶媒内の化学反応と平衡、丸善(1975)参照。)。ただし、有機溶媒はこれらに限定されない。
【0011】
有機溶媒 pKap ε
メタノール 16.7 32.6
エタノール 19.1 24.3
エチレングリコール 〜11 37.7
n−プロパノール 19.4 20.1
イソプロパノール 20.8 18.3
ホルムアミド 16.8 109.5
アセトニトリル 28.5 36.0
液体アンモニウム 32.5 22.4
【0012】
有機溶媒に溶解する強塩基としては種々のものを用いることができ、必要に応じて選ぶことができるが、好適には、水酸化物、例えば金属の水酸化物、取り分けアルカリ金属の水酸化物のほか、メトキシド、エトキシドなどを用いることができる。強塩基の具体例を挙げると、KOH、NaOH、R4 NOH(Rはアルキル基)、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシドなどであるが、これらに限定されるものではない。
上述のように自己解離定数pKapが14より大きい有機溶媒に強塩基を溶解した溶液中に上記の原料物質を浸漬することにより、この原料物質を構成する元素をこの元素を含む酸化物イオンとして溶解することができる。この場合、強塩基の構成元素を含む沈澱が発生することもある。
【0013】
上述のように有機溶媒に強塩基を溶解した溶液中に酸化物イオンが溶解した後のプロセスは大きく分けて二つある。
一つの方法は、イオン交換樹脂や合成吸着剤などを用いてこの酸化物イオンを溶液から分離収集し、これを固化させる方法である。こうして得られる酸化物は、原料物質中の不純物をほとんど含まず、高純度化されている。この酸化物を従来公知の方法を用いて精製することにより、所要の元素からなる高純度物質を容易に製造することができる。
【0014】
もう一つの方法は、上記の酸化物イオンが溶解した溶液に水を添加して水溶液とする工程で沈殿物を除去するものである。この時の水溶液のpHは、この水溶液に含まれる有機溶媒の自己解離定数pKapが14より大きいことを反映して14より大きい場合も生ずる。こうすることで、原料物質に含まれる一種または二種以上の不純物はこの水溶液中に含まれる強塩基との反応により沈澱反応を起こし、水酸化物などの沈殿物として析出除去可能となる。沈殿反応を起こさない不純物は、そのまま水溶液中に残存する。この場合、必要に応じて、この水溶液中の不純物イオンをイオン交換樹脂などを用いて除去するようにしてもよい。この方法では水溶液のpH制御が重要である。このため、この高純度物質の製造方法は、好適には、この水溶液に強酸を添加する工程をさらに有する。こうすることで、この水溶液中に含まれる強塩基とこの強酸との反応によりこの水溶液のpHを大幅に減少させることができ、例えば7以上10以下の範囲にすることができる。この水溶液のpHの大幅な減少に伴い、この水溶液中に不純物イオンを保持したまま、上述の酸化物イオンを水酸化物あるいは酸化物として沈澱させることができる。そこで、水溶液からこの沈殿物を分離収集し、これを固化させる。こうして得られる水酸化物あるいは酸化物は、原料物質中の不純物をほとんど含まず、高純度化されている。この後、従来公知の方法を用いて精製することにより、所要の元素からなる高純度物質を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、各種の物質中の不純物を従来に比べて極めて低温で効率的に、しかも簡単な操作で除去することができ、高純度物質を低コストで容易に大量に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】Bの電位−pH図を示す略線図である。
【図2】Cの電位−pH図を示す略線図である。
【図3】Siの電位−pH図を示す略線図である。
【図4】Geの電位−pH図を示す略線図である。
【図5】Snの電位−pH図を示す略線図である。
【図6】Pの電位−pH図を示す略線図である。
【図7】Asの電位−pH図を示す略線図である。
【図8】Sbの電位−pH図を示す略線図である。
【図9】Sの電位−pH図を示す略線図である。
【図10】Seの電位−pH図を示す略線図である。
【図11】Teの電位−pH図を示す略線図である。
【図12】Poの電位−pH図を示す略線図である。
【図13】Moの電位−pH図を示す略線図である。
【図14】Wの電位−pH図を示す略線図である。
【図15】Tcの電位−pH図を示す略線図である。
【図16】Reの電位−pH図を示す略線図である。
【図17】Ruの電位−pH図を示す略線図である。
【図18】Osの電位−pH図を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」と言う)について説明する。
この一実施の形態による高純度物質の製造方法においては、B、C、Si、Ge、Sn、P、As、Sb、S、Se、Te、Po、Mo、W、Tc、Re、RuおよびOsからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素と少なくとも一種の不純物とからなる原料物質を用いる。この原料物質としては粉末状のものを用いる。
【0018】
この原料物質を、自己解離定数pKapが14より大きい有機溶媒に強塩基を溶解した溶液中に浸漬することにより溶解する。この場合、この原料物質を構成する元素はこの元素を含む酸化物イオンとして溶解する。また、この場合、強塩基の構成元素を含む沈澱が発生することもある。これらの有機溶媒および強塩基としては、既に挙げたものを用いることができる。
【0019】
次に、上記の酸化物イオンが溶解した溶液から沈殿物を除去した後、この溶液に水を添加して水溶液とする。この水溶液のpHは、この水溶液に含まれる有機溶媒の自己解離定数pKapが14より大きいことを反映して14より大きくなる場合もあるため、原料物質に含まれる一種または二種以上の不純物はこの水溶液中に含まれる強塩基との反応により沈澱反応を起こし、水酸化物などの沈殿物として析出する。沈殿反応を起こさない不純物は、そのまま水溶液中に残存する。
【0020】
次に、水溶液からこの沈殿物を除去する。この結果、この水溶液中に含まれる不純物を低減することができる。この時点では、この水溶液中に、上述の酸化物イオンに加えて、残存する不純物がイオンとして存在している。
【0021】
次に、この水溶液に強酸を添加する。強酸としては、塩酸(HCl)、過塩素酸(HClO4 )、硝酸(HNO3 )、硫酸(H2 SO4 )、四塩化ケイ素(SiCl4 )などの各種のものを用いることができ、必要に応じて選ぶことができる。必要に応じて、この水溶液にまず弱酸を添加した後、強酸を添加する。この強酸の添加により、この水溶液中に含まれる強塩基とこの強酸とが反応する。これによって、この水溶液のpHを大幅に減少させることができ、例えば7以上10以下の範囲にすることができる。このとき、この水溶液中に不純物イオンを保持したまま、上述の酸化物イオンを水酸化物あるいは酸化物として沈澱させることができる。
【0022】
次に、水溶液から沈殿物を分離収集した後、これを固化させる。こうして得られる水酸化物あるいは酸化物は、原料物質中の不純物をほとんど含まず、高純度化されている。
この後、この水酸化物あるいは酸化物を出発物質として、従来公知の方法により、所要の元素からなる高純度物質を製造する。
【0023】
この一実施の形態によれば、各種の物質中の不純物を従来に比べて極めて低温で効率的に、しかも簡単な操作で除去することができ、高純度物質を低コストで容易に大量に製造することができる。
【0024】
以下に実施例を示すが、この実施例によってこの発明が限定されることはない。
〈実施例1〉
実施例1では高純度Si(OH)4 を製造し、このSi(OH)4 を用いて高純度Siを製造する。
原料物質として、市販の純度98%のSi(MG−Si)の粉末(粒度#600)を用いた。このSi粉末中の不純物はFe:3200〜3800ppm、Al:1800〜2000ppm、Ca:1300〜1400ppm、Ti:250〜270ppm、B:92ppm、P:26ppmである。ここで、原料物質中の不純物のうちのBの測定はJIS−3105の13.2の手法を用いて行い、同じくPの測定はJIS−3225の5.3の手法を用いて測定した。有機溶媒としてはメタノール(MeOH)、強塩基としては水酸化カリウム(KOH)、強酸としては四塩化ケイ素(SiCl4 )、弱酸としては酢酸(CH3 COOH)を用いる。メタノールとしては、市販の脱水メタノール(99.5%CH3 OH、和光純薬製)を用いた。同様に、水酸化カリウム、四塩化ケイ素および酢酸としては市販のものを用いた。
【0025】
以下の手順でSi粉末を溶解し、高純度Si(OH)4 を製造した。
(1)約65℃で加熱攪拌した50mlのメタノール(MeOH)中に水酸化カリウム(KOH)を飽和溶解量(約47g)溶解した。以下、この溶液をMeOH(KOH)溶液と称する。
(2)約65℃で50mlのMeOH(KOH)溶液中にSi粉末を少量ずつ投入した。
(3)上記(2)の溶液中にはSiが溶解するが、白灰色の固体が生成するまで、上記の(2)の操作を繰り返す。
(4)白灰色の固体が生成された場合にはこの固体とMeOH(KOH)溶液とを分離する。
(5)分離した30〜40mlのMeOH(KOH)溶液中に水を総量が500mlとなるように注入して水溶液とした。
(6)上記(5)の500mlの水溶液に酢酸(CH3 COOH)を数ml滴下した。
(7)上記(6)の水溶液に四塩化ケイ素(SiCl4 )を十数ml滴下し、水溶液のpHを約7〜10にした。このとき、水溶液中に白色の懸濁物が生じた。
(8)上記(7)の水溶液を加温し、数時間放置する。
(9)上記(8)の水溶液を濾過し、あるいは遠心分離器にかけることにより、溶液と白色沈殿物とを分離する。
(10)分離した白色沈殿物にpH10にした純水を加えて加温、攪拌・洗浄する。
(11)(10)により得られる、白色沈殿物にpH10にした純水を加えたものを濾過し、あるいは遠心分離器にかけることにより、溶液と白色沈殿物とを分離する。
(12)操作(10)と(11)とを必要に応じて複数回繰り返す。
【0026】
上述の白色懸濁物を含有した水溶液を約80℃に数時間加温保持し、白色沈殿物とした。この白色沈殿物を濾過あるいは遠心分離器で分別し、得られた白色固体の化学分析を行った。その結果、Bの濃度は58ppm、Pの濃度は12ppmであった。このことから、MG−Si中の不純物のうちのBは37%、同じくPは54%も除去されたことになる。
上記の操作(10)で得られた溶液を市販のイオン交換樹脂(商品名:ダイヤイオンCRB05、三菱化学)で処理したところ、Bの濃度は18ppm、Pの濃度は1ppmと大幅に低減した。
【0027】
実施例1の方法のメカニズムについて考察を行った結果について説明する。
Si粉末を溶解する有機溶媒として用いたMeOHの自己解離定数pKapは16.7であるため、pH>14の環境を得ることができる。このMeOHに溶解した強塩基のKOHはほぼ完全にK+ とOH- とに解離している。したがって、KOHを限界まで溶解したMeOH(KOH)溶液は強塩基性を示す。
この強塩基性のMeOH(KOH)溶液中にSi粉末を投入すれば、水素の発生とともにSiは溶解する。
この時の反応は下式で表される。
【0028】
【化1】
【0029】
(1)式は酸化数が変化する電気化学反応であり、次のようにアノード反応とカソード反応とに分けることができる。
【0030】
【化2】
【0031】
MeOH(KOH)溶液中にはMeOHやOH- は潤沢に存在しているため、SiはSiO32- として溶解する。
(3)式のカソード反応および(2)式のアノード反応はともに早い系(fast system)であり、液温やOH- 濃度が高ければ高い程、反応は右方向に進むことになる。
一方、液中のK+ は(3)式で生成されるメチラートイオンMeO- と反応し、下式のようにカリウムメチラートの沈殿を生成する。
【0032】
【化3】
【0033】
Siを溶解したMeOH(KOH)溶液に注水すると高アルカリ水溶液になる。この高アルカリ水溶液中の不純物(Fe、Al、Ca、Ti、P、B)については下記のアノード反応が考えられる。
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】
不純物のうちCaおよびTiは、高pH域ではCa(OH)2 およびTi(OH)4 (あるいはTiO2 ・ヒドロ)が安定化学種であるため、(7)、(8)式のように沈殿反応を起こし、沈殿物として析出する。
したがって、MeOH(KOH)溶液中にSi粉末を溶解させた直後に灰白色の沈殿物が生成された場合の沈殿反応は(4)、(7)、(8)式によるものと考えられる。
【0037】
Ca、Tiおよびカリウムメチラートを除去した残液中には、Siを含むイオン(SiO3 2-)、Feを含むイオン(HFeO2 - )、Alを含むイオン(AlO2 - )、Pを含むイオン(PO43- )、Bを含むイオン(BO33- )が残っている。これらのイオンは高pH域で安定化学種である。
【0038】
水を注入するとこれらのイオンは水と反応し、それぞれの水酸化物と解離平衡する。
シリコンでは下式のようになる。
【0039】
【化6】
【0040】
水溶液に強酸を添加してpHを14から7に一気に変えた場合、(11)式から(13)式へ一気に反応が進み、Siの水酸化物Si(OH)4 が沈殿物として一気に生成する。この場合、(11)〜(13)式の反応が同時に起こったことになり、全反応は(11)〜(13)式を合算した下式で表される。
【0041】
【化7】
【0042】
この時のイオン濃度とpHとの関係は下式となる。
【0043】
【化8】
【0044】
pH7、pH10におけるSiO3 2-の濃度[SiO3 2-]はそれぞれ10-14 、10-8となり、水溶液中にはほとんど存在できず、白色沈殿物のシリカとして析出することが分かる。
【0045】
pH7〜10の間で考えられるFe、Al、PおよびBに関する各イオンとその間の関係式は、Feでは、
【0046】
【化9】
【0047】
Alでは、
【0048】
【化10】
【0049】
Pでは、
【0050】
【化11】
【0051】
ホウ素では、
【0052】
【化12】
【0053】
となる。
【0054】
PおよびBに関係する(20)〜(25)式は原系も生成系もすべてイオンや水に可溶な物質であり、pH7〜10では溶液中に存在する。一方、(16)〜(19)式は液のpHに依存する。
【0055】
水溶液中のSiO3 2-だけを固体のSi(OH)4 として取り出すには、この水溶液のpH制御によって不純物(この場合、AlおよびFe)を選択的に取り除く必要がある。例えば、水溶液中の不純物濃度がMG−Si中の不純物の含有量に等しいとし、またできるだけ多くのSi(OH)4 を取り出したい場合は、下記の連立方程式を満足したpH領域に保持する必要がある。ただし、この計算では、MG−Si中のFeの含有量は3800ppm、Alの含有量は2000ppmとし、水溶液中の濃度はそれぞれ約10-4.9および10-5.2とする。また、できるだけ多くのSi(OH)4 を取り出す条件としては、水溶液中のSiO3 2-濃度[SiO3 2-]を1ppm以下とする。
【0056】
【化13】
【0057】
(26)式を同時に満足するpH領域は得られない。しかしながら、pH制御を順次行うことにより高純度Si(OH)4 を取り出すことができる。すなわち、11<pH<13.4とすれば、SiはSiO3 2-として液中に残留しているが、FeはFe(OH)2 として沈澱する。この場合、ろ過や遠心分離などの固液分離処理でFe分は除去可能となる。その後、9.3<pH<11にすると、液中にはAlO2 - 、HPO4 2-(あるいはH2 PO4 - )、H2 BO3 - (あるいはHBO3 2-)が残留するが、SiはSi(OH)4 として沈澱する。この時、不純物イオンがSi(OH)4 に吸着しないように固液分離処理を行えば、沈殿物として高純度のSi水酸化物Si(OH)4 (あるいはH4 SiO4 )だけが得られることになる。
【0058】
上述のようにして沈殿物として得られた高純度Si(OH)4 を用いて従来公知の方法により高純度Siを製造することができる。すなわち、沈殿物として得られた高純度Si(OH)4 を乾燥・脱水する。こうして得られた物質に炭素還元やメタン還元などを行うことによりシリコンチャンク材を製造し、このシリコンチャンク材を用いてポリインゴットを製造する。そして、このポリインゴットを帯溶融法により高純度化する。こうして、高純度Siが製造される。
【0059】
〈実施例2〉
実施例2では実施例1と同様に高純度Si(OH)4 を製造し、このSi(OH)4 を用いて高純度Siを製造する。
実施例1と同様に、原料物質として、市販の純度98%のSi(MG−Si)の粉末(粒度#600)を用いた。有機溶媒としてはエタノール(EtOH)、強塩基としてはナトリウムメトキシド(NaOMe)、強酸としては四塩化ケイ素(SiCl4 )、弱酸としては酢酸(CH3 COOH)を用いる。エタノールとしては、市販の脱水エタノール(99.5%CH3 OH、和光純薬製)を用いた。同様に、ナトリウムメトキシド、四塩化ケイ素および酢酸としては市販のものを用いた。
【0060】
以下の手順でSi粉末を溶解し、高純度Si(OH)4 を製造した。
(1)約78℃で加熱攪拌した50mlのエタノール(EtOH)中にナトリウムメトキシド(NaOMe)を20g溶解した。以下、この溶液をEtOH(NaOMe)溶液と称する。
(2)約78℃で50mlのEtOH(NaOMe)溶液中にSi粉末を少量ずつ投入した。
(3)上記(2)の溶液中にはSiが溶解するが、白灰色の固体が生成するまで、上記の(2)の操作を繰り返す。
(4)白灰色の固体とEtOH(NaOMe)溶液とを分離する。
(5)分離した30〜40mlのEtOH(NaOMe)溶液中に水を総量が500mlとなるように注入して水溶液とした。
(6)上記(5)の500mlの水溶液に酢酸(CH3 COOH)を数ml滴下した。
(7)上記(6)の水溶液に四塩化ケイ素(SiCl4 )を十数ml滴下し、水溶液のpHを約7〜10にした。このとき、水溶液中に白色の懸濁物が生じた。
(8)上記(7)の水溶液を加温し、数時間放置する。
(9)上記(8)の水溶液を濾過し、あるいは遠心分離器にかけることにより、溶液と白色沈殿物とを分離する。
(10)分離した白色沈殿物にpH10の純水を加えて加温、攪拌・洗浄する。
(11)(10)により得られる、白色沈殿物にpH10の純水を加えたものを濾過し、あるいは遠心分離器にかけることにより、溶液と白色沈殿物とを分離する。
(12)操作(10)と(11)とを必要に応じて複数回繰り返す。
【0061】
この実施の形態によれば、次のような種々の利点を得ることができる。すなわち、比較的簡単な装置や少ないプロセス数で高純度物質(例えば、Si(OH)4 )を製造することができる。この製造方法は低温プロセスであるため、消費するエネルギーは極めて少ない。また、この製造方法では早い反応系を用いているため製造時間が短く、しかも大量に高純度物質を製造することができる。また、この製造方法で用いる薬品は特殊なものではなく、しかも環境に有毒な物質は生成されないため、安全な生産プロセスである。
【0062】
特に、原料物質としてMG−Siの粉末を用い、この製造方法によりSi(OH)4 を製造することにより、p型不純物であるBを37%、n型不純物であるPを54%除去することができる。Si(OH)4 の純度をより向上させるためには、操作(10)と(11)とを複数回繰り返せばよい。あるいは、BおよびPを選択的に除去するイオン交換樹脂や合成吸着剤などを併用すると好ましい。こうして純度を高めたSi(OH)4 を用いてSiを製造することにより、例えば、太陽電池用Siとして実用上十分な純度99.999%(5N)〜99.9999%(6N)のSiを得ることが可能である。
【0063】
以上、この発明の一実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。
【技術分野】
【0001】
この発明は高純度物質の製造方法に関し、各種の無機物質、例えば高純度シリコン(ケイ素)の製造に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は太陽光の放射エネルギーを直接電力として変換できるため、21世紀におけるクリーンエネルギー発生装置の一つとして世界的に注目されている。
従来、太陽電池としては、主として、シリコン系の材料を用いたものと化合物半導体系の材料を用いたものとが開発されている。そのうち前者のシリコン系太陽電池の生産量は太陽電池総生産量の約8割を占めている。
【0003】
しかしながら、太陽電池は現状では広く普及するには至っておらず、特に一般家庭までの太陽電池の普及率は低いのが現状である。その主な原因は、原料のシリコンの供給量が不十分であるため、シリコンを低価格で供給することができず、太陽電池の製造コストが高くなってしまうためである。より詳細には、太陽電池専用のシリコンの製造プロセスがなく、現状ではコストの高い超高純度の半導体専用のシリコンの供給体制に依存しているからである。
【0004】
一般に工業用シリコンは、ケイ砂あるいはケイ石(SiO2 )とコークスとを混合し、電気炉のアーク加熱によって高温還元することにより製造されている。この方法で製造されるシリコンの純度は、使用する原料の種類や品質などによって異なるが、一般的に92〜98%であり、主な不純物は鉄、アルミニウム、カルシウムなどである。この純度92〜98%のシリコンはメタルグレードシリコン(MG−Si)と呼ばれている。
【0005】
従来、太陽電池用シリコンの製造方法としては、大別して(1)ガス化精製法、(2)還元炉と帯精製法とを組み合わせた方法が知られている(例えば、特許文献1〜4参照。)。(1)の方法では高純度シリコンが得られるが、二段の還元プロセスを含むため、低コスト化には限界があり、現状以上の原価低減は困難と考えられている。(2)の方法は原料選択に制限が付く点が問題である。すなわち、帯精製法ではシリコンから、それぞれn型不純物およびp型不純物として働くリン(P)およびホウ素(B)を分離することができないため、あらかじめリンおよびホウ素を低減させた高純度シリカ原料の供給が前提条件となるが、これが高純度シリコンの製造コストの低減を阻む原因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−189408号公報
【特許文献2】特開2006−188367号公報
【特許文献3】特開2001−9771号公報
【特許文献4】特開2002−241122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、シリコンその他の各種の物質中の不純物を従来に比べて極めて低温で効率的に、しかも簡単な操作で除去することができ、高純度物質を低コストで容易に大量に製造することができる高純度物質の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は、
B(ホウ素)、C(炭素)、Si(シリコン(ケイ素))、Ge(ゲルマニウム)、Sn(スズ)、P(リン)、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)、S(イオウ)、Se(セレン)、Te(テルル)、Po(ポロニウム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Tc(テクネチウム)、Re(レニウム)、Ru(ルテニウム)およびOs(オスミウム)からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素と少なくとも一種の不純物とからなる原料物質を、自己解離定数pKapが14より大きい有機溶媒に強塩基を溶解した溶液中に浸漬することにより溶解する工程を有することを特徴とする高純度物質の製造方法である。
【0009】
上記の原料物質を構成するB、C、Si、Ge、Sn、P、As、Sb、S、Se、Te、Po、Mo、W、Tc、Re、RuおよびOsの25℃の電位−pH図(イオンの濃度は1ppm)を図1〜図18に示す(M.Pourbaix:Atlas of Electrochemical Equilibria,Pergamon Press(1966) 参照。)。図1〜図18に示すように、これらの元素は、電位−pH図の領域(−2V<電位<+2V vs.SHEかつ0<pH<14)の約8割を占める安定化学種が水酸化物(あるいは酸化物)とアニオン(陰イオン)であるものである。この原料物質は、最も典型的には上記のいずれかの元素からなる単体物質である。上記の元素のうちの一種または二種以上の元素からなる原料物質中に不純物として他の一種または二種以上の元素が含まれる場合もある。この原料物質の形態は特に問わず、板、線、粒などのいずれの形態であってもよいが、比表面積の大きい粉末状とすることが最も好ましい。
【0010】
強塩基を溶解する溶媒として自己解離定数pKapが14より大きい有機溶媒を用いることにより、この有機溶媒中に強塩基が溶解したとき強塩基の解離により、pH>14の環境を容易に得ることができる。この有機溶媒としては各種のものを用いることができ、この有機溶媒に溶解する強塩基に応じて適宜選ぶことができる。この有機溶媒は、比誘電率εが大きい程、強塩基が溶解しやすいため、比誘電率εが大きいものを用いるのが望ましい。具体的には、この有機溶媒の比誘電率εは20より大きいのが望ましい。有機溶媒の具体例をpKapおよびεとともに挙げると下記の通りである(藤永太一郎、佐藤昌憲訳:シャルロー溶媒内の化学反応と平衡、丸善(1975)参照。)。ただし、有機溶媒はこれらに限定されない。
【0011】
有機溶媒 pKap ε
メタノール 16.7 32.6
エタノール 19.1 24.3
エチレングリコール 〜11 37.7
n−プロパノール 19.4 20.1
イソプロパノール 20.8 18.3
ホルムアミド 16.8 109.5
アセトニトリル 28.5 36.0
液体アンモニウム 32.5 22.4
【0012】
有機溶媒に溶解する強塩基としては種々のものを用いることができ、必要に応じて選ぶことができるが、好適には、水酸化物、例えば金属の水酸化物、取り分けアルカリ金属の水酸化物のほか、メトキシド、エトキシドなどを用いることができる。強塩基の具体例を挙げると、KOH、NaOH、R4 NOH(Rはアルキル基)、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシドなどであるが、これらに限定されるものではない。
上述のように自己解離定数pKapが14より大きい有機溶媒に強塩基を溶解した溶液中に上記の原料物質を浸漬することにより、この原料物質を構成する元素をこの元素を含む酸化物イオンとして溶解することができる。この場合、強塩基の構成元素を含む沈澱が発生することもある。
【0013】
上述のように有機溶媒に強塩基を溶解した溶液中に酸化物イオンが溶解した後のプロセスは大きく分けて二つある。
一つの方法は、イオン交換樹脂や合成吸着剤などを用いてこの酸化物イオンを溶液から分離収集し、これを固化させる方法である。こうして得られる酸化物は、原料物質中の不純物をほとんど含まず、高純度化されている。この酸化物を従来公知の方法を用いて精製することにより、所要の元素からなる高純度物質を容易に製造することができる。
【0014】
もう一つの方法は、上記の酸化物イオンが溶解した溶液に水を添加して水溶液とする工程で沈殿物を除去するものである。この時の水溶液のpHは、この水溶液に含まれる有機溶媒の自己解離定数pKapが14より大きいことを反映して14より大きい場合も生ずる。こうすることで、原料物質に含まれる一種または二種以上の不純物はこの水溶液中に含まれる強塩基との反応により沈澱反応を起こし、水酸化物などの沈殿物として析出除去可能となる。沈殿反応を起こさない不純物は、そのまま水溶液中に残存する。この場合、必要に応じて、この水溶液中の不純物イオンをイオン交換樹脂などを用いて除去するようにしてもよい。この方法では水溶液のpH制御が重要である。このため、この高純度物質の製造方法は、好適には、この水溶液に強酸を添加する工程をさらに有する。こうすることで、この水溶液中に含まれる強塩基とこの強酸との反応によりこの水溶液のpHを大幅に減少させることができ、例えば7以上10以下の範囲にすることができる。この水溶液のpHの大幅な減少に伴い、この水溶液中に不純物イオンを保持したまま、上述の酸化物イオンを水酸化物あるいは酸化物として沈澱させることができる。そこで、水溶液からこの沈殿物を分離収集し、これを固化させる。こうして得られる水酸化物あるいは酸化物は、原料物質中の不純物をほとんど含まず、高純度化されている。この後、従来公知の方法を用いて精製することにより、所要の元素からなる高純度物質を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、各種の物質中の不純物を従来に比べて極めて低温で効率的に、しかも簡単な操作で除去することができ、高純度物質を低コストで容易に大量に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】Bの電位−pH図を示す略線図である。
【図2】Cの電位−pH図を示す略線図である。
【図3】Siの電位−pH図を示す略線図である。
【図4】Geの電位−pH図を示す略線図である。
【図5】Snの電位−pH図を示す略線図である。
【図6】Pの電位−pH図を示す略線図である。
【図7】Asの電位−pH図を示す略線図である。
【図8】Sbの電位−pH図を示す略線図である。
【図9】Sの電位−pH図を示す略線図である。
【図10】Seの電位−pH図を示す略線図である。
【図11】Teの電位−pH図を示す略線図である。
【図12】Poの電位−pH図を示す略線図である。
【図13】Moの電位−pH図を示す略線図である。
【図14】Wの電位−pH図を示す略線図である。
【図15】Tcの電位−pH図を示す略線図である。
【図16】Reの電位−pH図を示す略線図である。
【図17】Ruの電位−pH図を示す略線図である。
【図18】Osの電位−pH図を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」と言う)について説明する。
この一実施の形態による高純度物質の製造方法においては、B、C、Si、Ge、Sn、P、As、Sb、S、Se、Te、Po、Mo、W、Tc、Re、RuおよびOsからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素と少なくとも一種の不純物とからなる原料物質を用いる。この原料物質としては粉末状のものを用いる。
【0018】
この原料物質を、自己解離定数pKapが14より大きい有機溶媒に強塩基を溶解した溶液中に浸漬することにより溶解する。この場合、この原料物質を構成する元素はこの元素を含む酸化物イオンとして溶解する。また、この場合、強塩基の構成元素を含む沈澱が発生することもある。これらの有機溶媒および強塩基としては、既に挙げたものを用いることができる。
【0019】
次に、上記の酸化物イオンが溶解した溶液から沈殿物を除去した後、この溶液に水を添加して水溶液とする。この水溶液のpHは、この水溶液に含まれる有機溶媒の自己解離定数pKapが14より大きいことを反映して14より大きくなる場合もあるため、原料物質に含まれる一種または二種以上の不純物はこの水溶液中に含まれる強塩基との反応により沈澱反応を起こし、水酸化物などの沈殿物として析出する。沈殿反応を起こさない不純物は、そのまま水溶液中に残存する。
【0020】
次に、水溶液からこの沈殿物を除去する。この結果、この水溶液中に含まれる不純物を低減することができる。この時点では、この水溶液中に、上述の酸化物イオンに加えて、残存する不純物がイオンとして存在している。
【0021】
次に、この水溶液に強酸を添加する。強酸としては、塩酸(HCl)、過塩素酸(HClO4 )、硝酸(HNO3 )、硫酸(H2 SO4 )、四塩化ケイ素(SiCl4 )などの各種のものを用いることができ、必要に応じて選ぶことができる。必要に応じて、この水溶液にまず弱酸を添加した後、強酸を添加する。この強酸の添加により、この水溶液中に含まれる強塩基とこの強酸とが反応する。これによって、この水溶液のpHを大幅に減少させることができ、例えば7以上10以下の範囲にすることができる。このとき、この水溶液中に不純物イオンを保持したまま、上述の酸化物イオンを水酸化物あるいは酸化物として沈澱させることができる。
【0022】
次に、水溶液から沈殿物を分離収集した後、これを固化させる。こうして得られる水酸化物あるいは酸化物は、原料物質中の不純物をほとんど含まず、高純度化されている。
この後、この水酸化物あるいは酸化物を出発物質として、従来公知の方法により、所要の元素からなる高純度物質を製造する。
【0023】
この一実施の形態によれば、各種の物質中の不純物を従来に比べて極めて低温で効率的に、しかも簡単な操作で除去することができ、高純度物質を低コストで容易に大量に製造することができる。
【0024】
以下に実施例を示すが、この実施例によってこの発明が限定されることはない。
〈実施例1〉
実施例1では高純度Si(OH)4 を製造し、このSi(OH)4 を用いて高純度Siを製造する。
原料物質として、市販の純度98%のSi(MG−Si)の粉末(粒度#600)を用いた。このSi粉末中の不純物はFe:3200〜3800ppm、Al:1800〜2000ppm、Ca:1300〜1400ppm、Ti:250〜270ppm、B:92ppm、P:26ppmである。ここで、原料物質中の不純物のうちのBの測定はJIS−3105の13.2の手法を用いて行い、同じくPの測定はJIS−3225の5.3の手法を用いて測定した。有機溶媒としてはメタノール(MeOH)、強塩基としては水酸化カリウム(KOH)、強酸としては四塩化ケイ素(SiCl4 )、弱酸としては酢酸(CH3 COOH)を用いる。メタノールとしては、市販の脱水メタノール(99.5%CH3 OH、和光純薬製)を用いた。同様に、水酸化カリウム、四塩化ケイ素および酢酸としては市販のものを用いた。
【0025】
以下の手順でSi粉末を溶解し、高純度Si(OH)4 を製造した。
(1)約65℃で加熱攪拌した50mlのメタノール(MeOH)中に水酸化カリウム(KOH)を飽和溶解量(約47g)溶解した。以下、この溶液をMeOH(KOH)溶液と称する。
(2)約65℃で50mlのMeOH(KOH)溶液中にSi粉末を少量ずつ投入した。
(3)上記(2)の溶液中にはSiが溶解するが、白灰色の固体が生成するまで、上記の(2)の操作を繰り返す。
(4)白灰色の固体が生成された場合にはこの固体とMeOH(KOH)溶液とを分離する。
(5)分離した30〜40mlのMeOH(KOH)溶液中に水を総量が500mlとなるように注入して水溶液とした。
(6)上記(5)の500mlの水溶液に酢酸(CH3 COOH)を数ml滴下した。
(7)上記(6)の水溶液に四塩化ケイ素(SiCl4 )を十数ml滴下し、水溶液のpHを約7〜10にした。このとき、水溶液中に白色の懸濁物が生じた。
(8)上記(7)の水溶液を加温し、数時間放置する。
(9)上記(8)の水溶液を濾過し、あるいは遠心分離器にかけることにより、溶液と白色沈殿物とを分離する。
(10)分離した白色沈殿物にpH10にした純水を加えて加温、攪拌・洗浄する。
(11)(10)により得られる、白色沈殿物にpH10にした純水を加えたものを濾過し、あるいは遠心分離器にかけることにより、溶液と白色沈殿物とを分離する。
(12)操作(10)と(11)とを必要に応じて複数回繰り返す。
【0026】
上述の白色懸濁物を含有した水溶液を約80℃に数時間加温保持し、白色沈殿物とした。この白色沈殿物を濾過あるいは遠心分離器で分別し、得られた白色固体の化学分析を行った。その結果、Bの濃度は58ppm、Pの濃度は12ppmであった。このことから、MG−Si中の不純物のうちのBは37%、同じくPは54%も除去されたことになる。
上記の操作(10)で得られた溶液を市販のイオン交換樹脂(商品名:ダイヤイオンCRB05、三菱化学)で処理したところ、Bの濃度は18ppm、Pの濃度は1ppmと大幅に低減した。
【0027】
実施例1の方法のメカニズムについて考察を行った結果について説明する。
Si粉末を溶解する有機溶媒として用いたMeOHの自己解離定数pKapは16.7であるため、pH>14の環境を得ることができる。このMeOHに溶解した強塩基のKOHはほぼ完全にK+ とOH- とに解離している。したがって、KOHを限界まで溶解したMeOH(KOH)溶液は強塩基性を示す。
この強塩基性のMeOH(KOH)溶液中にSi粉末を投入すれば、水素の発生とともにSiは溶解する。
この時の反応は下式で表される。
【0028】
【化1】
【0029】
(1)式は酸化数が変化する電気化学反応であり、次のようにアノード反応とカソード反応とに分けることができる。
【0030】
【化2】
【0031】
MeOH(KOH)溶液中にはMeOHやOH- は潤沢に存在しているため、SiはSiO32- として溶解する。
(3)式のカソード反応および(2)式のアノード反応はともに早い系(fast system)であり、液温やOH- 濃度が高ければ高い程、反応は右方向に進むことになる。
一方、液中のK+ は(3)式で生成されるメチラートイオンMeO- と反応し、下式のようにカリウムメチラートの沈殿を生成する。
【0032】
【化3】
【0033】
Siを溶解したMeOH(KOH)溶液に注水すると高アルカリ水溶液になる。この高アルカリ水溶液中の不純物(Fe、Al、Ca、Ti、P、B)については下記のアノード反応が考えられる。
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】
不純物のうちCaおよびTiは、高pH域ではCa(OH)2 およびTi(OH)4 (あるいはTiO2 ・ヒドロ)が安定化学種であるため、(7)、(8)式のように沈殿反応を起こし、沈殿物として析出する。
したがって、MeOH(KOH)溶液中にSi粉末を溶解させた直後に灰白色の沈殿物が生成された場合の沈殿反応は(4)、(7)、(8)式によるものと考えられる。
【0037】
Ca、Tiおよびカリウムメチラートを除去した残液中には、Siを含むイオン(SiO3 2-)、Feを含むイオン(HFeO2 - )、Alを含むイオン(AlO2 - )、Pを含むイオン(PO43- )、Bを含むイオン(BO33- )が残っている。これらのイオンは高pH域で安定化学種である。
【0038】
水を注入するとこれらのイオンは水と反応し、それぞれの水酸化物と解離平衡する。
シリコンでは下式のようになる。
【0039】
【化6】
【0040】
水溶液に強酸を添加してpHを14から7に一気に変えた場合、(11)式から(13)式へ一気に反応が進み、Siの水酸化物Si(OH)4 が沈殿物として一気に生成する。この場合、(11)〜(13)式の反応が同時に起こったことになり、全反応は(11)〜(13)式を合算した下式で表される。
【0041】
【化7】
【0042】
この時のイオン濃度とpHとの関係は下式となる。
【0043】
【化8】
【0044】
pH7、pH10におけるSiO3 2-の濃度[SiO3 2-]はそれぞれ10-14 、10-8となり、水溶液中にはほとんど存在できず、白色沈殿物のシリカとして析出することが分かる。
【0045】
pH7〜10の間で考えられるFe、Al、PおよびBに関する各イオンとその間の関係式は、Feでは、
【0046】
【化9】
【0047】
Alでは、
【0048】
【化10】
【0049】
Pでは、
【0050】
【化11】
【0051】
ホウ素では、
【0052】
【化12】
【0053】
となる。
【0054】
PおよびBに関係する(20)〜(25)式は原系も生成系もすべてイオンや水に可溶な物質であり、pH7〜10では溶液中に存在する。一方、(16)〜(19)式は液のpHに依存する。
【0055】
水溶液中のSiO3 2-だけを固体のSi(OH)4 として取り出すには、この水溶液のpH制御によって不純物(この場合、AlおよびFe)を選択的に取り除く必要がある。例えば、水溶液中の不純物濃度がMG−Si中の不純物の含有量に等しいとし、またできるだけ多くのSi(OH)4 を取り出したい場合は、下記の連立方程式を満足したpH領域に保持する必要がある。ただし、この計算では、MG−Si中のFeの含有量は3800ppm、Alの含有量は2000ppmとし、水溶液中の濃度はそれぞれ約10-4.9および10-5.2とする。また、できるだけ多くのSi(OH)4 を取り出す条件としては、水溶液中のSiO3 2-濃度[SiO3 2-]を1ppm以下とする。
【0056】
【化13】
【0057】
(26)式を同時に満足するpH領域は得られない。しかしながら、pH制御を順次行うことにより高純度Si(OH)4 を取り出すことができる。すなわち、11<pH<13.4とすれば、SiはSiO3 2-として液中に残留しているが、FeはFe(OH)2 として沈澱する。この場合、ろ過や遠心分離などの固液分離処理でFe分は除去可能となる。その後、9.3<pH<11にすると、液中にはAlO2 - 、HPO4 2-(あるいはH2 PO4 - )、H2 BO3 - (あるいはHBO3 2-)が残留するが、SiはSi(OH)4 として沈澱する。この時、不純物イオンがSi(OH)4 に吸着しないように固液分離処理を行えば、沈殿物として高純度のSi水酸化物Si(OH)4 (あるいはH4 SiO4 )だけが得られることになる。
【0058】
上述のようにして沈殿物として得られた高純度Si(OH)4 を用いて従来公知の方法により高純度Siを製造することができる。すなわち、沈殿物として得られた高純度Si(OH)4 を乾燥・脱水する。こうして得られた物質に炭素還元やメタン還元などを行うことによりシリコンチャンク材を製造し、このシリコンチャンク材を用いてポリインゴットを製造する。そして、このポリインゴットを帯溶融法により高純度化する。こうして、高純度Siが製造される。
【0059】
〈実施例2〉
実施例2では実施例1と同様に高純度Si(OH)4 を製造し、このSi(OH)4 を用いて高純度Siを製造する。
実施例1と同様に、原料物質として、市販の純度98%のSi(MG−Si)の粉末(粒度#600)を用いた。有機溶媒としてはエタノール(EtOH)、強塩基としてはナトリウムメトキシド(NaOMe)、強酸としては四塩化ケイ素(SiCl4 )、弱酸としては酢酸(CH3 COOH)を用いる。エタノールとしては、市販の脱水エタノール(99.5%CH3 OH、和光純薬製)を用いた。同様に、ナトリウムメトキシド、四塩化ケイ素および酢酸としては市販のものを用いた。
【0060】
以下の手順でSi粉末を溶解し、高純度Si(OH)4 を製造した。
(1)約78℃で加熱攪拌した50mlのエタノール(EtOH)中にナトリウムメトキシド(NaOMe)を20g溶解した。以下、この溶液をEtOH(NaOMe)溶液と称する。
(2)約78℃で50mlのEtOH(NaOMe)溶液中にSi粉末を少量ずつ投入した。
(3)上記(2)の溶液中にはSiが溶解するが、白灰色の固体が生成するまで、上記の(2)の操作を繰り返す。
(4)白灰色の固体とEtOH(NaOMe)溶液とを分離する。
(5)分離した30〜40mlのEtOH(NaOMe)溶液中に水を総量が500mlとなるように注入して水溶液とした。
(6)上記(5)の500mlの水溶液に酢酸(CH3 COOH)を数ml滴下した。
(7)上記(6)の水溶液に四塩化ケイ素(SiCl4 )を十数ml滴下し、水溶液のpHを約7〜10にした。このとき、水溶液中に白色の懸濁物が生じた。
(8)上記(7)の水溶液を加温し、数時間放置する。
(9)上記(8)の水溶液を濾過し、あるいは遠心分離器にかけることにより、溶液と白色沈殿物とを分離する。
(10)分離した白色沈殿物にpH10の純水を加えて加温、攪拌・洗浄する。
(11)(10)により得られる、白色沈殿物にpH10の純水を加えたものを濾過し、あるいは遠心分離器にかけることにより、溶液と白色沈殿物とを分離する。
(12)操作(10)と(11)とを必要に応じて複数回繰り返す。
【0061】
この実施の形態によれば、次のような種々の利点を得ることができる。すなわち、比較的簡単な装置や少ないプロセス数で高純度物質(例えば、Si(OH)4 )を製造することができる。この製造方法は低温プロセスであるため、消費するエネルギーは極めて少ない。また、この製造方法では早い反応系を用いているため製造時間が短く、しかも大量に高純度物質を製造することができる。また、この製造方法で用いる薬品は特殊なものではなく、しかも環境に有毒な物質は生成されないため、安全な生産プロセスである。
【0062】
特に、原料物質としてMG−Siの粉末を用い、この製造方法によりSi(OH)4 を製造することにより、p型不純物であるBを37%、n型不純物であるPを54%除去することができる。Si(OH)4 の純度をより向上させるためには、操作(10)と(11)とを複数回繰り返せばよい。あるいは、BおよびPを選択的に除去するイオン交換樹脂や合成吸着剤などを併用すると好ましい。こうして純度を高めたSi(OH)4 を用いてSiを製造することにより、例えば、太陽電池用Siとして実用上十分な純度99.999%(5N)〜99.9999%(6N)のSiを得ることが可能である。
【0063】
以上、この発明の一実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B、C、Si、Ge、Sn、P、As、Sb、S、Se、Te、Po、Mo、W、Tc、Re、RuおよびOsからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素と少なくとも一種の不純物とからなる原料物質を、自己解離定数pKapが14より大きい有機溶媒に強塩基を溶解した溶液中に浸漬することにより溶解する工程を有することを特徴とする高純度物質の製造方法。
【請求項2】
上記原料物質を上記溶液中に浸漬することにより上記原料物質を構成する元素をこの元素を含む酸化物イオンとして溶解することを特徴とする請求項1記載の高純度物質の製造方法。
【請求項3】
上記酸化物イオンが溶解した上記溶液から沈殿物を除去した後、上記溶液に水を添加して水溶液とする工程をさらに有することを特徴とする請求項2記載の高純度物質の製造方法。
【請求項4】
上記水溶液に強酸を添加する工程をさらに有することを特徴とする請求項3記載の高純度物質の製造方法。
【請求項5】
上記水溶液に強酸を添加することによりpHを7以上10以下とすることを特徴とする請求項4記載の高純度物質の製造方法。
【請求項6】
上記強塩基が水酸化物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の高純度物質の製造方法。
【請求項7】
上記水酸化物がKOHまたはNaOHであることを特徴とする請求項6記載の高純度物質の製造方法。
【請求項8】
上記強塩基がカリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシドまたはナトリウムエトキシドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の高純度物質の製造方法。
【請求項9】
上記有機溶媒がメタノール、エタノール、n−プロパノール、ホルムアミド、アセトニトリルまたは液体アンモニアであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の高純度物質の製造方法。
【請求項10】
上記原料物質がSiと少なくともBおよびPを含む不純物とからなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載の高純度物質の製造方法。
【請求項11】
上記原料物質として粉末状のものを用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項記載の高純度物質の製造方法。
【請求項1】
B、C、Si、Ge、Sn、P、As、Sb、S、Se、Te、Po、Mo、W、Tc、Re、RuおよびOsからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素と少なくとも一種の不純物とからなる原料物質を、自己解離定数pKapが14より大きい有機溶媒に強塩基を溶解した溶液中に浸漬することにより溶解する工程を有することを特徴とする高純度物質の製造方法。
【請求項2】
上記原料物質を上記溶液中に浸漬することにより上記原料物質を構成する元素をこの元素を含む酸化物イオンとして溶解することを特徴とする請求項1記載の高純度物質の製造方法。
【請求項3】
上記酸化物イオンが溶解した上記溶液から沈殿物を除去した後、上記溶液に水を添加して水溶液とする工程をさらに有することを特徴とする請求項2記載の高純度物質の製造方法。
【請求項4】
上記水溶液に強酸を添加する工程をさらに有することを特徴とする請求項3記載の高純度物質の製造方法。
【請求項5】
上記水溶液に強酸を添加することによりpHを7以上10以下とすることを特徴とする請求項4記載の高純度物質の製造方法。
【請求項6】
上記強塩基が水酸化物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の高純度物質の製造方法。
【請求項7】
上記水酸化物がKOHまたはNaOHであることを特徴とする請求項6記載の高純度物質の製造方法。
【請求項8】
上記強塩基がカリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシドまたはナトリウムエトキシドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の高純度物質の製造方法。
【請求項9】
上記有機溶媒がメタノール、エタノール、n−プロパノール、ホルムアミド、アセトニトリルまたは液体アンモニアであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の高純度物質の製造方法。
【請求項10】
上記原料物質がSiと少なくともBおよびPを含む不純物とからなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載の高純度物質の製造方法。
【請求項11】
上記原料物質として粉末状のものを用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項記載の高純度物質の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−189209(P2010−189209A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33323(P2009−33323)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【特許番号】特許第4389015号(P4389015)
【特許公報発行日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(504193837)国立大学法人室蘭工業大学 (70)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【特許番号】特許第4389015号(P4389015)
【特許公報発行日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(504193837)国立大学法人室蘭工業大学 (70)
【Fターム(参考)】
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