説明

高繊維および高タンパク質のベークド物品の製造

【課題】高タンパク質および高繊維含量のクラッカー、スナック、およびクッキーなどのベークド物品を連続大量生産する。
【解決手段】タンパク質および繊維をタンパク質の変性温度未満の温度で水によって水和すること、ならびに水和された混合物を生地製造の間にデンプンを実質的に糊化することなく蒸気処理することによって、塊の形成、硬い質感、および異味を回避しながら、高タンパク質および高繊維含量のシート化可能な生地、ならびにシート化された生地から作製されたクラッカー、スナック、およびクッキーなどのベークド物品の連続式の大量生産において多量のタンパク質および繊維の実質的に均一な水和および分散を達成する。蒸気処理された水和塊をデンプンを含む少なくとも1種の粉を含む材料と混合して、混合の間の少なくとも1種の粉のデンプンの実質的な糊化を回避しながら、生地を得ることができる。ベークド物品は、30g単位当たり、少なくとも約4gのタンパク質含量、少なくとも約4gの繊維含量、および少なくとも約4gの全粒粉含量を有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高繊維および高タンパク質のクラッカーおよびスナックのようなベークド物品の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
高繊維および高タンパク質のクラッカーおよびスナックのようなベークド物品は、これらをより上手に選択して、潜在的な健康上および体重上の利益、例えば満腹感、体重管理、鈍い血糖反応(GR)および/または低い血糖インデックス(GI)に向けて、自身の体重を管理しようとする個人や糖尿病患者に提供される。また、最近の研究では、柑橘系果物、葉の多いサラダ、および魚油が豊富であるが「血糖インデックス」の低い食事を取る高齢者は、米国の高齢者の間では失明の主な原因である加齢黄斑変性(AMD)のリスクがより低い可能性があることが示唆されている。血糖インデックス(GI)は、食物がどれだけ迅速に血糖を上昇させるかを示す。白パンおよびポテトのような高いGI食物は、血糖の急な上昇を引き起こす傾向があるが、ソラマメ、大豆、ヨーグルトおよび多くの高繊維顆粒などの低いGI食物は、より緩やかな血糖上昇をもたらす。高いGI食事に関連する血糖の急上昇は、過剰な血糖が脂肪およびタンパク質のような他の分子と相互作用して、いわゆる糖化された分子を形成するため、最終的には黄斑を損傷する場合がある。したがって、このプロセスは、時間の経過により細胞を損傷するより多くの酸化ストレス下に体を置き、AMDを含めた種々の疾患に導く場合がある。
【0003】
しかし、クラッカーの連続製造において、タンパク質含量および繊維含量を、例えば、30g単位当たり少なくとも4gの繊維レベル(1日摂取値(DV)の20%)および30g単位当たり少なくとも4gのタンパク質レベル(DVの10%)に増大すると、生地の機械加工に問題が生じ、ベークド製品において硬い質感および不快な匂いを生じることが分かっている。生地においてタンパク質および繊維の良好な分散を得るためには、これらを水和しなければならない。しかし、タンパク質、繊維および粉を一緒に混合し、次いで水を添加すると、これらの材料は水と競合する。多量のタンパク質および繊維を使用するときは、タンパク質および繊維の塊化と共に不完全な水和が起こることが分かっている。タンパク質および繊維の不完全な水和により、ベークド製品の質感は硬くなり、不快な匂いが生じる傾向があると考えられる。生地製造の間により多くの水を添加してより激しく混合して水和を促進するには、余分な水を除去するための長いベーク時間および/またはより高いベーキング温度を必要とする。より激しい混合では、タンパク質および繊維の分散性の問題ならびに塊の形成を十分に軽減しない。また、長時間ベーキングおよびより高いベーキング温度も、過剰なベーキングまたは焼成による硬い質感ならびに不快な匂いおよび悪い色彩、さらには、ベーキングの間のタンパク質の相互作用および糖分の減少によるメイラード反応生成物の過剰生産をもたらす。
【0004】
少量の添加水または水分を用いて、蒸気処理によってタンパク質および繊維を水和してもよい。しかし、タンパク質および繊維の混合物が蒸気処理されるとき、硬い、水和された表面層の形成により過剰な塊化が起こる傾向があり、この表面層は、塊の内部への水または水分の実質的浸透を許容しないことが分かっている。硬い層は、高い蒸気温度によって引き起こされる過剰なタンパク質変性に起因し得ると考えられる。また、混合時間または混合強度を増大しても塊化の問題を十分には排除しない。生地に塊が存在すると、生地のシート化が困難になり、シート化された生地に塊が存在すると、搬送ベルト上での輸送の際や生地シートの厚さの減少および切断などの機械加工操作の際に生地の破れを引き起こす。
【0005】
また、粉成分の存在下でのタンパク質および繊維の蒸気処理は、ベーキング前にデンプンの過剰な糊化を生ずることが分かっている。ベーキング前の過剰な糊化は、生地における塊の形成およびベークド製品におけるより硬い質感を引き起こす。さらに、ベーキング前のデンプン糊化度が増大するに従って、ベークド製品の血糖インデックス(GI)が増大する傾向にある。
【0006】
Levinらの特許文献1およびLevinの特許文献2には、タンパク質および/または繊維を含む複合組成物を粉または生地に添加することによって、パンなどの穀物製品のタンパク質および/または繊維を豊富にすることができると開示されている。生地が添加剤組成物を包含して形成されているとき、添加されたタンパク質または繊維の水和は、望ましい特性を有する生地、ならびにこのような生地から製造され、添加量のグルテンおよび/または繊維を有さないパンと同等の質感およびパンくず構造を有するパン製品を与えるように制御される。タンパク質添加物は、タンパク質、親水コロイドおよび油を含み、ミネラルおよび乳化剤を場合により含有することができる。この発明による好ましい添加剤は、活性小麦グルテン、グアーガム、キサンタンガム、炭酸カルシウム、レシチンおよびキャノーラ油を含む。これらの添加剤を本発明に従って処理して、約85重量%の活性グルテン含量を有する高密度の複合組成物を形成する。繊維添加物は、タンパク質、親水コロイド、および油を含み、ミネラルおよび乳化剤を場合により含有することができる。好ましい添加物は、食物繊維、グアーガム、キサンタンガム、炭酸カルシウム、レシチンおよびキャノーラ油を含む。これらの添加剤を本発明に従って処理して、約85重量%の食物繊維含量を有する高密度の複合組成物を形成する。タンパク質および繊維添加物を製造するプロセスは、タンパク質および/または繊維、親水コロイド、ミネラル、レシチン、油、および水を、高剪断力を生じることができるミキサーにおいて混合した後、対流式オーブンで乾燥するステップを含む。添加物をベーキング粉または生地に添加することにより、タンパク質および/または繊維が豊富なパン製品を提供する。最終的なパン製品の所望のタンパク質および/または繊維組成物に応じて任意量の添加物をパン粉に添加することができる。添加物を粉重量で約0から約200%の範囲の量で典型的なパン製剤に使用する。本発明によって製造されるパン製品は、約5%から約50重量%のタンパク質および/または繊維含量を有する。本発明によるパン製品として、限定されないが、白パン、小麦パン、トルティーヤ、ロールパンおよび丸いパン、スペシャリティ/アルチザンブレッド、ライ麦パン、全粒バライエタル、ベーグル、パスタ、穀物ベースのスナック食品、シリアル、クラッカー、クッキー、ケーキ、マフィン、ペストリー、パンケーキ、ピザクラスト、ドーナッツ、穀物ベースの栄養補助食品、ならびに塩味スナック、例えばプレッツェル、トルティーヤチップス、トウモロコシチップス、およびポテトチップスが挙げられる。
【0007】
Levinらによれば、ガムによって吸収された水が、緻密なタンパク質および/または繊維「コア」にゆっくりと浸透して、生地内に分散された「遊離」タンパク質または繊維と比較して著しく減少した速度で水和を開始すると考えられている。タンパク質添加物の場合、複合組成物によって達成された制御された水和は、網目状グルテン形成の低減または遅延を結果として引き起こすと考えられている。添加物をパン生地に包含させることにより、グルテンが添加されていない生地と実質的に同様の粘弾性特性を有する生地を生ずる。
【0008】
Allenらの特許文献3には、高タンパク質高繊維のインスタントの膨化乾燥食品が開示されている。シリアルは、十分量の少なくとも1種のタンパク質材料を含有して調理した食品の約50%から75%(乾燥重量)の合計タンパク質含量をもたらし;十分量の少なくとも1種の食物繊維材料を含有して約1〜45%(乾燥重量)の合計繊維含量をもたらし;十分量のデンプン含有材料を含有して約5〜45%のデンプン含量をもたらす。製品は、種々の食品が血糖値に影響を及ぼす速度としての血糖インデックスが低い(すなわち、白パンが100であるとき100未満)。
【0009】
Allenらの膨化された高タンパク質高繊維含有食品は、水和した、熱い、加工された、膨脹可能な食品生地または可塑性の塊を押出機において形成すること、塊を押出の際に直接膨脹させること;膨脹した塊から膨化した小片を形成すること;および、このようにして形成された膨化した小片を乾燥させることによって調製されて、膨化された最終食品において高タンパク質および高繊維含量を得る。熱い膨脹可能な食品塊を形成する第1の工程を実施する際に、調理された食品生地は、種々の乾燥材料を水と一緒にブレンドすること、および調理することによって調製されて、デンプン成分を糊化して調理したフレーバーを発する。調理された材料を機械的に加工して調理されたシリアル生地を形成することもできる。
【0010】
Gautamらの特許文献4には、タンパク質を高いレベルの選択タンパク質を有するナゲットの形態で包含する栄養バーが開示されている。ナゲットの使用により、栄養バーは、高レベルのタンパク質の、なお良好な味の他の官能特性を有するように作製される。ナゲットは、乳タンパク質、米タンパク質およびエンドウ豆タンパク質からなる群から選択される、50重量%を超える非大豆タンパク質を含む。乳タンパク質は、好ましくは乳清タンパク質である。ナゲットは、押出プロセスを用いて好ましくは製造され、押出温度は、乳清タンパク質へのダメージおよび同時に生じる異味を回避するように調節される。押出は、60から140℃の温度で実施され、タンパク質は、ベルト/コンベヤ乾燥機または流動床乾燥機を用いて乾燥される。ナゲットを製造する代替方法においては、最大でも90℃のより低い押出温度が使用され、1または複数種の超臨界流体が注入されて、押出されて膨化製品を形成する。本発明の組成物に含まれ得る繊維源には、フルクトースオリゴ糖、例えばイヌリン、グアーガム、アラビアガム、アカシアガム、オート麦繊維、セルロースおよびこれらの混合物がある。組成物は、56g単位当たり少なくとも2gの繊維、同単位当たり特に少なくとも5gの繊維を好ましくは含有する。ナゲットに加えて、他の乾燥成分として、穀物、粉、マルトデキストリンおよびミルク粉末が挙げられる。
【0011】
Malleshiらの特許文献5には、特にII型糖尿病に対するスナックとして、または健康に良い食品もしくは補助食品として有用な、高い質感および官能特性の低血糖食品および/またはその製剤の調製プロセスが開示されている。当該プロセスは、a)約2〜6%(体積/重量)の水をシリアル上に噴霧するステップ、b)噴霧された穀物を5〜15分の範囲の時間分でテンパリングまたは放置するステップ、c)テンパリングまたは放置された穀物を約2〜4%の剥皮度まで磨くまたは剥皮するステップ、d)剥皮された穀物を10〜30分の範囲の時間分で約60から80℃で接触熱によってそれぞれマメ科植物、大豆ダール、スパイスおよび香辛料と場合によりあぶり、キツネ色を有するシリアルを得るステップ、e)あぶられたシリアルをマメ科植物、大豆ダール、スパイス、香辛料、およびコロハ種子からなる群から選択される1または複数種の材料と混合して低血糖ブレンドを得るステップ、f)微粉化された、乾燥されたガルシニアコンボジアの皮および低血糖ブレンドを約350ミクロン以下の粒子サイズの粗挽き穀物と組み合わせて、微粉化された混合物を得るステップ、g)微粉化された混合物をスキムミルク粉末、植物油、およびアムラー粉とブレンドしてブレンド生成物を得るステップ、h)ブレンド生成物をビタミンおよびミネラルの予備混合により補強して補強生成物を得るステップ、ならびにi)補強生成物を従来の食品材料と均一化して低血糖食品および/またはその製剤を得るステップを含む。
【0012】
Rudelの特許文献6には、粉砕されたオートグロート製品および高グルテン小麦粉からなる天然材料の組成物が開示されている。組成物は、他の天然穀物製品の1または複数種の希釈剤を含有してもよい。酵母および化学発酵ベークド物品の両方の製造における組成物の使用は、堅くならず、延長した維持特性を有さず、高タンパク質および高食物繊維含量により栄養的に優れており、カロリーが低下した製品を結果としてもたらす。
【0013】
Kuipersらの特許文献7には、それ自体では押出が困難である繊維含有物質を所望により水を添加して押出条件下で可塑化可能なタンパク質、例えば乳タンパク質と混合して8から25%の間の含水量を有する混合物を形成し、得られた混合物を少なくとも100℃の温度で押出すプロセスによって製造される繊維豊富なダイエットスナック製品が開示されている。得られたダイエット製品は、10から80%の豊富な繊維、例えばふすま、および20から90%の可塑化可能なタンパク質を含有することができる。
【0014】
Bunkeらの特許文献8には、約40%から約60%のナッツ系材料;タピオカ、米、およびこれらの混合物からなる群から選択される材料からなる、約40%から約60%のデンプン材料;約0.1%から約5.0%の水;ならびに約0%から約20%の任意選択の材料を含むスナックチップが開示されている。少なくとも約40%のデンプン材料は、予め糊化されていてよい。スナックチップは、ナッツ系材料および乾燥材料を水と組み合わせて生地を形成し、次いでこれをシート化し、個々の小片に切断し、ベークしてスナックチップを形成することによって製造され得る。あるいは、切断小片を乾燥して、半製品を形成し、調理してスナックチップを形成することができる。乾燥ブレンドは、ナッツ系材料、デンプン材料、および場合により乾燥材料を含んでもよい。好ましい乾燥材料は、約30%から約60重量%の乾燥材料であるナッツ系材料;約40%から約60重量%の乾燥材料であるデンプン材料;および材料の0%から約30重量%の任意選択の乾燥材料を含む。また、残りの乾燥ブレンドは、限定されないが、タンパク質源、繊維、ミネラル、ビタミン、着色剤、フレーバー、フルーツ小片、野菜、シード、ハーブ、スパイス、およびこれらの混合物を含めた1または複数種の他の成分を含んでもよい。
【0015】
Karwowskiらの特許文献9には、風味のいい甘いスナックならびにシリアルなどの保存安定性の全粒含有複合体食品の製造が開示されている。製品は、全粒シリアル粒子を全粒シリアル粒子のデンプン含量を糊化するのに有効な水の存在下で調理すること、糊化された全粒シリアル粒子を、生地の調製に有効なデンプン、全粒粉、場合により少量の生地材料、例えば発酵剤、ならびに野菜および果物からなる群から選択される食品成分と混合することによって連続的に製造される。蒸気注入を使用してデンプンを糊化することができる。生地から別個の生地単位を形成し、これをベークまたはフライにして、栄養のある、低脂肪の、マルチフレーバーの良好な食物繊維源である全粒含有複合体食品を製造する。また、無脂肪乾燥ミルク固形物(すなわち、ミルク粉末)または大豆タンパク質を、約10から約20重量%の最終タンパク質レベルを生じるのに十分な量で添加することができる。
【0016】
Bordersの特許文献10には、大豆タンパク質および少なくとも1種の追加のタンパク質を組み合わせて第1の混合物を製造すること、水を第1の混合物に添加して組み合わせて第2の混合物を製造すること、ならびに第2の混合物を押出すことにより、高タンパク質食品を製造することによって高タンパク質食品を製造するプロセスが開示されている。押出は、第2の混合物を加熱および加圧に付することを含んでもよい。当該プロセスはまた、高タンパク質食品を乾燥することを含んでもよい。押出は、例えば、材料の溶融および/または可塑化、デンプンの糊化ならびにタンパク質の変性を含んでよい。大豆タンパク質は、乾燥混合物の重量の約70%から約74%であってよく、追加のタンパク質は小麦グルテンであってよく、乾燥混合物の重量の約23%から約27%であってよく、乾燥混合物は、乾燥混合物の重量の約0.10%から約6%で炭酸カルシウムを含んでもよい。高タンパク質食品および押出された製品は、チップ、クリスプ、クラッカー、シリアル小片、クッキー小片、またはスナック食品であってよい。高タンパク質食品は、押出生地、タンパク質フレーク、またはタンパク質ナゲットであってよい。追加のタンパク質は、乳タンパク質、カゼイン酸塩、乳清タンパク質、バターミルク固形物、ミルク粉末、卵タンパク質、キャノーラタンパク質、エンドウ豆タンパク質、小麦タンパク質、小麦グルテン、ポテトタンパク質、トウモロコシタンパク質、ゴマタンパク質、ヒマワリタンパク質、綿実タンパク質、コプラタンパク質、パームカーネルタンパク質、ベニバナタンパク質、アマニタンパク質、ピーナッツタンパク質、ルピナスタンパク質、食用大豆、オート麦タンパク質、および他のマメ科植物、穀物タンパク質、または任意のこれらの混合物であってよい。高タンパク質押出製品は、「そのまま」を基準にして約5%未満の炭水化物含量を有していてよい。炭水化物は、限定されないが、デンプンまたは繊維を含んでいてよい。繊維は、不溶性繊維、可溶性繊維(例えば、Fibersol.RTM)、およびこのような材料の組合せであってよい。
【0017】
Onwulataの特許文献11および特許文献12には、乳清タンパク質単離物などのタンパク質含有製品および水を約50から約450rpmおよび約40℃から約120℃の温度で押出機によって押出すことを含み、タンパク質含有製品の押出機内での滞留時間が約15から約90秒であるプロセスによって製造されるダイエット組成物が開示されている。ダイエット組成物は、部分的に変性したタンパク質含有製品または全て変性したタンパク質含有製品またはこれらの混合物を含有する。食品は、少なくとも1種の材料および食物繊維組成物を含有する。
【0018】
Lundbergらの特許文献13には、ベーキング、フライ、直火焼きによって調製される非発酵もしくは発酵した表面が硬い製品、またはチップス、クラッカーなどの他の加熱調製された粉または穀物ベースの食品の調製における材料として、高度に精製されたセルロース材料が開示されている。予め調理された塊は、0.25%〜5.0重量%の高度に精製されたセルロース繊維、2〜20重量%の動物性消費性油、30〜92.75%の粉もしくは穀物、または5〜45重量%の水を含む。最終製品は、高い皮強度ならびにクラッキング耐性および剛性粉砕耐性を有する。製品は、牛乳から単離されたまたはこれに由来する乳タンパク質;哺乳類、は虫類または両生類から単離されたまたはこれに由来する筋肉組織タンパク質;卵または卵の成分から単離されるまたはこれに由来する結合組織タンパク質、卵タンパク質;ならびにそれらの混合物を含めた動物由来のタンパク質を含んでよい。有用な乳タンパク質の例として、カゼイン、例えばカゼイン酸ナトリウムおよびカゼイン酸カルシウム;ならびに乳清タンパク質、例えばβラクトグロブリンおよびαラクトアルブミンが挙げられる。これらの乳タンパク質は、全乳、スキムミルク、脱脂粉乳固形物、乳漿、乳清タンパク質濃縮物、乳清タンパク質単離物、カゼイン酸塩、およびこれらの混合物に由来していてよい。有用な結合組織タンパク質の例として、コラーゲン、ゼラチン、エラスチンおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0019】
Maningatらの特許文献14には、伝統的なパスタおよびヌードル製品の特性に匹敵するハンドリングおよび処理特性、外観、質感、フレーバーおよび調理特性を示す高繊維、高タンパク質のパスタおよびヌードル製品が開示されている。高繊維、高タンパク質のパスタおよびヌードルは、約10%から約70%の合計食物繊維含量を有する難消化性デンプン、グリアジン、グリテニン、小麦タンパク質単離物、小麦タンパク質濃縮物、失活した小麦グルテン、分画した小麦タンパク質製品、脱アミド化小麦グルテン製品、加水分解された小麦タンパク質製品、またはこれらの混合物からなる群から選択されるタンパク質源を含む。パスタはセモリナを含み、ヌードルは小麦粉を含む。スパゲッティを製造する手法は:a)クロスフローブレンダを用いて全ての材料をブレンドすること、b)水を添加して含水量を約32%にすること、c)得られた水和した材料をDeMaCoの半商用の実験室押出機において45℃の押出温度で押出すこと、およびd)スパゲッティを、高温(70℃)乾燥サイクルを用いて乾燥することを含む。ヌードルは、伝統的なレシピに用いられる小麦粉の約10%、30%、50%、または70%を置き換えるのに用いられるFibersym(登録商標)70(難消化性小麦デンプン)およびPastaPower(登録商標)(小麦タンパク質単離物)の84:16ブレンドを含む合成粉混合物を用いることによって製造され得る。乾燥材料を組み合わせ、水を小麦粉および合成粉混合物100部ごとに約28〜38部のレベルで添加する。混合、圧縮、配合、およびシート化操作を実施して、ヌードルシートを細長くして切断して白色の塩味の中華麺ヌードルにする。インスタントのフライドヌードルの場合、ヌードルシートを細長くして、うねらせて、蒸気処理して、フライにする。
【0020】
Faaらの特許文献15および特許文献16には、タンパク質、繊維およびトウモロコシマサから調製された低炭水化物スナック製品が開示されている。一実施形態において、伝統的な石灰処理プロセスから製造されたトウモロコシマサが用いられる。濃縮されたタンパク質材料は、大豆タンパク質単離物または大豆タンパク質濃縮物を含んでよい。酪農ベースのタンパク質、小麦系タンパク質、米系タンパク質、ポテトベースのタンパク質または卵ベースのタンパク質を含めた他のタンパク質を、大豆ベースのタンパク質の代わりに、またはこれと組み合わせて用いることができる。さらに、限定されないが、豆、レンティル豆、およびエンドウ豆を含めた大豆以外の他のマメ科植物ベースのタンパク質源を用いることができる。繊維は、0%から約20重量%、より好ましくは5%から15重量%の乾燥材料を含む。オート麦繊維、竹繊維、ポテト繊維、トウモロコシふすま、米糠、および小麦ふすまを含めた繊維を用いて、得られる食品中の正味の炭水化物量を減少することができ、これにより、当該繊維を食品の炭水化物含量を増加することなく材料として添加することができる。より高いレベルの繊維は、最終製品の質感およびフレーバーに負の影響を与え得る。より多くの繊維は、結果として強さを増大し得る。繊維が用いられるのは可消化炭水化物ではないからであり、繊維はまた、最終製品がより高い耐破損性となることも助ける。
【0021】
一実施形態において、乾燥材料に水を添加して低炭水化物の生地を製造することにより、得られる生地は、約15%から約59%の大豆単離物または大豆濃縮物、約0%から約20重量%の繊維、約30%から約50重量%のトウモロコシマサ、および約30%から約50重量%の添加された水を含む。生地を連続バッチ式または他のミキサーで混合する。混合は、周囲温度、一般には約60°F(15.6℃)から約85°F(29.4℃)で起こり得る。混合に続いて、生地を直径約2インチ未満のより小さい生地小片に破壊してシート化を容易にするKibbler装置に生地を送ることができる。次いで、他のいずれかのスナック食品生地を当技術分野で処理するときには、生地からプリフォームを形成してよい。例えば、生地を押出またはシート化して、次いでスナック食品プリフォームに切断することができる。
【0022】
Creightonらの特許文献17には、調理された乾燥デンプン質食品、例えば調理されたシリアル生地、インスタントシリアル、ならびに穀物ベースのスナックが開示されており、高レベルの不溶性および可溶性繊維ならびに高レベルのタンパク質を含有するこのような調理されたシリアル生地から製造される。シリアルは、約5から15%(乾燥重量)の不溶性繊維;過剰の不溶性繊維で5%から15%の可溶性繊維;15%から30%(乾燥重量)の植物タンパク質、および残りのシリアル材料、特に米および小麦粉を含有する。可溶性繊維は、少なくとも一部分が、生地に包含され得るおよび/または局所的に適用され得るイヌリン材料によって好ましくは提供される。調理されたシリアル生地は、種々のシリアル材料を水と一緒にブレンドして調理することによって調製されてよく、デンプン成分を糊化し、調理されたフレーバーを発する。調理された材料を機械的に加工して、調理されたシリアル生地を形成することもできる。調理および機械的加工は、同時に行っても順次行ってもよい。乾燥材料は、糖、塩、ミネラル塩、例えばリン酸三ナトリウムおよびデンプンを含むこともできる。イヌリンは調理を必要としないため、イヌリンは、調理の前または後のいずれに添加してもよい。したがって、一実施形態において、イヌリンなどのFOSを調理の前にシリアルおよび他の乾燥材料に添加してよい。次いでシリアル材料のイヌリン含有乾燥ブレンドを水と組み合わせ、加熱し、調理してデンプン成分を糊化し、機械的に加工して、イヌリン補強の調理されたシリアル生地を形成することができる。
【0023】
同様に、植物性タンパク質の全てまたは一部を調理後にシリアル生地に添加して、調理されたシリアル生地の調製を容易にし、または高速化することができる。植物性タンパク質の全てまたは一部の調理後の添加の利点は、タンパク質の熱への暴露の減少、したがって、フレーバーおよび質感へのいずれの結果としての熱的ダメージも減少することにある。方法は、生地から所望の形状およびサイズの個々の小片を形成するステップをさらに含むことができる。一変形例において、生地をシート化して生地シート(例えば、25から800ミクロンの厚さ)を形成することができ、個々の小片を、シートを個々の小片に切断することによって、または生地シートから形成された小片をスタンピングすることによって形成する。
【0024】
Hackettらの特許文献18には、ヒトにおける体重管理での使用のための、150から300kcalを含むスナック食品の製造における少なくとも3gのタンパク質の使用が開示されている。開示されているタンパク質含有スナック食品は、次の食事でのカロリー摂取の減少に導く満腹感を増大し、結果として体重の管理をもたらす。好ましくは食事でのカロリー摂取は、スナック食品に存在するタンパク質の量に比例して減少する。好ましくは、スナック食品中のタンパク質の量は、3から40g、より好ましくは7から30g、または10から25g、例えば20gである。タンパク質の量は、最も好ましくは約4g、最大で15gである。好ましくは、タンパク質は、乳清タンパク質、ピーナッツタンパク質または大豆タンパク質であり、最も好ましくは、タンパク質は、1または複数種の乳清タンパク質またはピーナッツタンパク質である。スナック食品は、繊維、例えばペクチン、粘性物質、セルロースおよびヘミセルロースをさらに含んでよい。好ましくは、繊維は可溶性繊維、例えばペクチンおよび粘性物質である。繊維は、好ましくはポリデキストロースである。スナック食品への繊維の添加が満腹効果をさらに増大し、後の食事でのカロリー摂取のさらなる減少を結果としてもたらすことがさらに開示されている。好ましくはスナック食品中の繊維の量は、5gから25g、より好ましくは8gから20g、最も好ましくは10gから15g、例えば、12gである。組成物は、液体、半固体または固体であってよい。例えば、スナック食品は、スナック飲料、例えばミルクシェイクタイプの組成物であってよい。半固体形式であるとき、スナック食品は、ムースまたはヨーグルトタイプのスナックの形態であってよい。固体形式であるとき、スナック食品は、スナックバー、例えばシリアルバー、またはナッツベースのバーの形態であってよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】米国特許第7,252,850号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0141126号明細書
【特許文献3】米国特許第7,235,276号明細書
【特許文献4】米国特許第7,220,442号明細書
【特許文献5】米国特許第7,153,528号明細書
【特許文献6】米国特許第4,961,937号明細書
【特許文献7】米国特許第4,315,954号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2009/0004356号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2008/0003340号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2007/0077345号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2006/0292287号明細書
【特許文献12】国際特許公開第WO2005036982号パンフレット
【特許文献13】米国特許出願公開第2006/0210687号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2006/0134295号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2006/0003071号明細書
【特許文献16】国際特許公開第WO2006014201号パンフレット
【特許文献17】米国特許出願公開第2005/0064080号明細書
【特許文献18】国際特許公開第WO2008119957A1パンフレット
【特許文献19】米国特許第6,013,299号明細書
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】Cereal Foods World:第33巻第3号第306-311頁(Atwell他、「The Terminology And Methodology Associated With Basic Starch Phenomena」)(1988年、3月発行)
【非特許文献2】J. Assoc. Anal. Chem.:第68巻第2号第399頁(1985年発行)
【非特許文献3】J. Assoc. Anal. Chem.:第15版第1105-1106頁(「Official Methods of Analysis」)(1990年発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は、高タンパク質および高繊維のシート化可能な生地、ならびに当該生地から製造されるクラッカー、スナック、および他のベークド物品の大量生産ための方法を提供する。当該方法は、タンパク質および繊維の少なくとも実質的に均一な水和、水和したタンパク質および水和した繊維の生地への少なくとも実質的に均一な分散を達成し、生地シートの形成の問題および輸送の際の生地シートの分裂を引き起こすタンパク質および繊維の塊化を回避する。本発明の方法に従って製造することができるベークド物品は、30g単位当たり少なくとも4gの繊維、好ましくは少なくとも5gの繊維(1日摂取量、DVの少なくとも16%、好ましくは少なくとも20%)、および30g単位当たり少なくとも4gのタンパク質、好ましくは少なくとも5gのタンパク質(DVの少なくとも8%、好ましくはDVの少なくとも10%)を有する。生地の機械加工の問題が無く、タンパク質変性、長時間ベーキングまたはメイラード反応生成物の過剰生成によって引き起こされるベークド製品における硬い質感および不快な匂いおよび悪い色彩を生成せずに、高タンパク質および高繊維含量を達成する。本発明の方法はまた、ベークド製品においてより低い血糖インデックス(GI)を与えながら、ベーキング前の実質的なデンプン糊化も回避し、これにより、生地における塊の形成およびベークド製品における硬い質感の回避も助ける。本発明に従って製造されたベークド製品、例えばクラッカー、甘いまたは風味のよいスナック、およびクッキーは、パリッとして、硬くない質感を有することができ、ケーキ、マフィン、スティックパンおよびソフトクッキーなどの柔らかい製品は、柔らかいゴム状でない質感を有することができる。本発明に従って製造されるベークド製品またはベークド物品は、不快な匂いの無く、良好な色彩でおいしい味を示し、これらをより上手に選択して、潜在的な健康上および体重上の利益、例えば満腹感、体重管理、鈍い血糖反応(GR)および/または低い血糖インデックス(GI)を、自身の体重を管理しようとする個人、糖尿病患者、および老人に与え、加齢黄斑変性(AMD)に対する防護およびそのリスクの減少を与えることができる。本発明の一実施形態において、当該方法を使用して、高タンパク質含量および高繊維含量、かつ減少されたまたは低いカロリー含量のベークド物品、例えばクラッカー、クッキー、およびスナックを製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0028】
タンパク質および繊維をタンパク質の変性温度未満の温度で水を用いて水和すること、ならびに水和された混合物を生地製造の間にデンプンを実質的に糊化することなく蒸気処理することによって、塊の形成、硬い質感、および異味を回避しながら、高タンパク質および高繊維含量のシート化可能な生地、ならびにシート化された生地から作製されたクラッカー、スナック、およびクッキーなどのベークド物品の連続式の、バッチ連続式の、またはバッチ式の大量生産において多量のタンパク質および繊維の実質的に均一な水和および分散を達成する。
【0029】
本発明の一実施形態において、タンパク質成分、繊維成分、および水をタンパク質成分のタンパク質変性温度未満、例えば約120°F(48.9℃)未満、好ましくは約75°F(23.9℃)から約90°F(32.2℃)で混合して、タンパク質成分および繊維成分を少なくとも実質的に均一に水和し、タンパク質成分および繊維成分の実質的に均一な水和塊を得ることによって、高タンパク質、高繊維の生地を製造することができる。水和塊をタンパク質成分の変性温度を超える温度に蒸気処理することができる。蒸気処理により、生地の重量を基準にして約5重量%の水、好ましくは約1重量%から約4重量%の水を添加する。蒸気処理された水和塊を、デンプンを含む少なくとも1種の粉を含む材料と混合して、当該少なくとも1種の粉のデンプンの実質的糊化を回避しながら生地を得ることができる。蒸気処理を実施して、タンパク質成分および繊維成分の水和塊の温度を約160°F(71.1℃)から約200°F(93.3℃)、好ましくは170°F(76.7℃)から約190°F(87.8℃)に上昇することができ、これにより、ベークド物品に、より柔らかい、硬くない質感を提供するのを助ける。蒸気処理は、繊維を軟化し、不快さを減らし、タンパク質の粗挽き度を抑えまたはこれを粉末状にし、ベークド物品の官能特性、例えば味および口当たりを改善する。
【0030】
ベーキング前の実質的なデンプン糊化を回避することにより、ベークド製品においてより低い血糖インデックス(GI)を与えながら、生地における塊の形成およびベークド製品における硬い質感を排除するのを助ける。デンプン糊化を以下により回避することができる:a)タンパク質および繊維の水和および蒸気処理ステップの後に粉材料を添加して、デンプンを糊化温度および水への容易なアクセスに付さないようにすること、ならびにb)蒸気処理された水和塊を少なくとも1種の粉を含む材料と混合すること、当該材料は、その組合せおよび混合の際に得られる生地がデンプンの糊化温度未満である生地温度を有するように十分に低い温度であること。本発明の一実施形態において、蒸気処理された水和塊、および少なくとも1種の粉を含む材料の混合により、約130°F(54.4℃)から約170°F(76.7℃)の生地温度をもたらすことができる。
【0031】
本発明の高タンパク質、高繊維の生地を、従来の生地形成装置、例えば、逆回転ロール、ラミネータ、および押出機を用いてシート化することができる。シート化可能な生地は、タンパク質成分、繊維成分、デンプンを含む少なくとも1種の粉、および水の少なくとも実質的に均一な混合物を含み、30g単位当たり少なくとも約4gのタンパク質のタンパク質含量および30g単位当たり少なくとも約4gの繊維の繊維含量を有するベークド物品にベークすることができ、ここで、デンプンは、タンパク質−繊維マトリックスでの捕捉により酵素消化から保護される。本発明の一実施形態において、生地は、生地の重量を基準にして約8重量%から約22重量%のタンパク質成分含量、および生地の重量を基準にして約8重量%から約18重量%の繊維含量を有し得る。
【0032】
本発明の別の態様において、高タンパク質、高繊維のベークド物品または製品を、タンパク質成分および繊維成分を混合して少なくとも実質的に均一な予備混合された粒子状混合物を得ること、予備混合された粒子状混合物をタンパク質成分のタンパク質変性温度未満で混合し、タンパク質成分および繊維成分を少なくとも実質的に均一に水和し、タンパク質成分および繊維成分の実質的に均一な水和塊を得ること、水和塊をタンパク質成分の変性温度を超える温度に蒸気処理すること、蒸気処理された水和塊を、デンプンを含む少なくとも1種の粉を含む材料と混合して、少なくとも1種の粉のデンプンの実質的な糊化を回避しながら生地を得ること、生地をシート化すること、生地を場合により積層すること、生地を小片に成形すること、ならびに小片をベークして、タンパク質含量が30g単位当たり少なくとも約4gのタンパク質のタンパク質含量および30g単位当たり少なくとも約4gの繊維の繊維含量を有するベークド物品を得ることによって製造することができる。
【0033】
本発明の一実施形態において、少なくとも1種の粉は、グラハム粉、小麦粉、全粒粉、およびそれらの混合物を含んでいてよい。好ましい実施形態において、少なくとも1種の粉は、全粒粉を30g単位当たり少なくとも約4gの量で含む。本発明の好ましい実施形態において、ベークド物品または製品は、30g単位当たり約5gから約10gのタンパク質含量、30g単位当たり約5gから約8gの繊維含量、30g単位当たり約5gから約10gの全粒粉含量を有していてよい。ベークド物品のカロリー含有量は、30g単位当たり好ましくは約90kcalから約140kcalである。
【0034】
本発明に従って製造することができるベークド物品として、クラッカー、クッキー、クロワッサン、マフィン、ケーキ、カップケーキ、スティックパン、甘いスナック、および風味のよいスナックが挙げられる。本発明に従って製造されるベークド製品またはベークド物品は、不快な匂いが無く、良好な色彩を伴って好ましい味を示し、潜在的な健康上および体重上の利益、例えば、満腹、体重管理、鈍い血糖反応(GR)および/または低下した血糖インデックス(GI)を与える。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、生地シートの製造および輸送などの生地形成を妨げるタンパク質および繊維の塊を形成することなく、高タンパク質、高繊維のベークド物品を、連続式、バッチ連続式、またはバッチ式で大量生産するプロセスを提供する。また、ベーキング前のタンパク質の実質的な変性、またはタンパク質変性、長時間ベーキングもしくはメイラード反応生成物の過剰生成に起因したベークド製品における硬い質感もしくは不快な匂いおよび悪い色彩の生成が無く、生地全体でのタンパク質および繊維の少なくとも実質的に均一な水和ならびにタンパク質および繊維の実質的に均一な分散が達成される。本発明のプロセスはまた、ベークド製品においてより低い血糖インデックス(GI)を与えながら、ベーキング前の実質的なデンプン糊化も回避し、生地における塊の形成およびベークド製品における硬い質感の回避も助ける。
【0036】
塊の問題ならびに硬い質感、不快な匂いおよび異臭が除去され、製造および搬送の間に破れるもしくは裂けることのない、パリっとした、硬くない質感にベークすることができる、または柔らかい、ゴム状でない質感にベークすることができるシート化可能な生地は、タンパク質成分、繊維成分、および水をタンパク質成分のタンパク質変性温度未満で混合してタンパク質成分および繊維成分を少なくとも実質的に均一に水和することによって得られる。タンパク質成分および繊維成分の実質的に均一な水和塊をタンパク質成分の変性温度を超える温度に蒸気処理する。蒸気処理された水和塊を、少なくとも1種の粉のデンプンの実質的糊化を回避しながらデンプンを含む少なくとも1種の粉を含む材料と混合して、生地を得る。
【0037】
一般に、デンプン糊化は、a)十分量、一般には、デンプンの重量を基準にして少なくとも約30重量%の水を添加してデンプンと混合するとき、ならびに、b)デンプンの温度を少なくとも約80℃(176°F)、好ましくは100℃(212°F)以上に上昇させるときに起こる。糊化温度は、デンプンとの相互作用に利用可能な水の量に依存する。利用可能な水の量が少ないほど、一般には、糊化温度が高い。糊化は、顆粒膨潤、天然の結晶子の溶融、複屈折の減少、およびデンプン可溶化などの特性の不可逆変化において現れるデンプン顆粒内の分子秩序の崩壊(破壊)として定義され得る。糊化の初期段階の温度および糊化が起こる温度範囲は、デンプン濃度、観察方法、顆粒のタイプ、および観察時の顆粒集団内の均一性によって支配される。ペースト化は、デンプンの分解における糊化に続く第2の段階の現象である。ペースト化は、顆粒膨潤の増大、顆粒からの分子成分の滲出(すなわち、アミロース、後のアミロペクチン)、最終的に顆粒の全破壊を含む。非特許文献1を参照のこと。本発明の実施形態において、ベーキング前の生地に含まれる少なくとも1種の粉のデンプンは、約30%未満、好ましくは約20%未満、最も好ましくは約10%未満の低いデンプン糊化度を有してよく、または示差走査熱量測定(DSC)によって測定されるように完全に糊化されていなくてもよい。
【0038】
本発明の方法に従って得られる高タンパク質含量、高繊維含量のシート化可能な生地からベークされるベークド物品は、30g単位当たり少なくとも約4gのタンパク質、好ましくは30g単位当たり約5gから約10gのタンパク質含量、および30g単位当たり少なくとも約4gの繊維、好ましくは30g単位当たり約5gから約10gの繊維含量を有してよく、ここで、デンプンは、タンパク質−繊維マトリックスでの捕捉により酵素消化から保護される。本発明の一実施形態において、ベークド物品は、30g単位当たり少なくとも約4g、好ましくは30g単位当たり約5gから約10gの全粒粉含量をさらに有していてよい。本発明の一実施形態において、ベークド物品は、例えば、30g単位当たり約140kcalを超える、またはそれより多くのより高いカロリー含有量を有して製造されてよいが、ベークド物品は、30g単位当たり約90kcalから約140kcal、より好ましくは30g単位当たり約100kcalから30g単位当たり約125kcalの低いカロリー含有量を好ましくは含む。本発明に従って製造されるベークド製品またはベークド物品は、潜在的な健康上および体重上の利益、例えば、満腹、体重管理、鈍い血糖反応(GR)および/または低下した血糖インデックス(GI)を与え、不快な匂いが無く、良好な色彩かつ良好な質感を伴って好ましい味を示す。
【0039】
本発明に使用できるタンパク質成分またはタンパク質材料またはタンパク質源として、動物タンパク質、植物タンパク質または植物性タンパク質、酪農タンパク質、魚タンパク質およびそれらの混合物を挙げることができる。使用できるタンパク質成分の具体例として、牛乳から単離されるまたはこれに由来する乳タンパク質を含めた動物由来のタンパク質;哺乳類、は虫類または両生類から単離されるまたはこれに由来する筋肉組織タンパク質;卵または卵の成分から単離されるまたはこれに由来する結合組織タンパク質、卵タンパク質;ならびにそれらの混合物が挙げられる。有用な乳タンパク質の例として、カゼイン、例えば、カゼイン酸ナトリウムおよびカゼイン酸カルシウム;ならびに乳清タンパク質、例えばβラクトグロブリンおよびαラクトアルブミン、乳タンパク質加水分解物、バターミルク固形物、およびミルク粉末、ならびにそれらの混合物が挙げられる。乳タンパク質は、全乳、スキムミルク、脱脂粉乳固形物、乳漿、乳清タンパク質濃縮物、乳清タンパク質単離物、カゼイン酸塩、およびそれらの混合物に由来していてよい。有用な結合組織タンパク質の例として、コラーゲン、ゼラチン、エラスチンおよびそれらの混合物が挙げられる。用いられ得る植物タンパク質または植物性タンパク質の具体例として、大豆タンパク質、例えば濃縮されたタンパク質材料、大豆タンパク質単離物または大豆タンパク質濃縮物、キャノーラタンパク質、小麦タンパク質、小麦グルテン、ポテトタンパク質、トウモロコシタンパク質、ゴマタンパク質、ヒマワリタンパク質、綿実タンパク質、コプラタンパク質、パームカーネルタンパク質、ベニバナタンパク質、米ベースのタンパク質、ポテトベースのタンパク質、アマニタンパク質、ピーナッツタンパク質、ルピナスタンパク質、食用豆タンパク質または大豆粉末、例えばインゲンマメ粉、白インゲン豆タンパク質、および黒豆タンパク質、オート麦タンパク質、レンズ豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、例えばエンドウ豆タンパク質粉、および他のマメ科植物、ナッツタンパク質、例えばピーカン、アーモンド、ヘーゼルナッツクルミ、および他のツリーナッツタンパク質、またはナンキン豆もしくは微粉砕されたナッツ、穀物タンパク質、例えばグリアジン、グリテニン、小麦タンパク質単離物、小麦タンパク質濃縮物、失活した小麦グルテン、分画した小麦タンパク質製品、脱アミド化小麦グルテン製品、加水分解された小麦タンパク質製品、活性小麦グルテン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。本発明での使用に好ましいタンパク質成分もしくはタンパク質材料またはタンパク質源は、乳タンパク質加水分解物、大豆タンパク質単離物、エンドウ豆タンパク質粉、小麦タンパク質単離物、乳清タンパク質、インゲンマメ粉、およびそれらの混合物である。
【0040】
本発明に使用できる繊維成分または繊維材料または繊維源として、可溶性繊維、不溶性繊維またはそれらの混合物を挙げることができる。使用できる繊維成分の具体例は、難消化性デンプン、フルクトースオリゴ糖、例えばイヌリン、オリゴ糖、例えばDP2およびDP3またはそれより高い重合度(DP)のオリゴ糖、ペクチン、ガム、例えばグアーガム、アルギン酸ガム、キサンタンガム、アラビアガム、およびアカシアガム、βグルカン、野菜繊維およびマメ科植物繊維、例えば大豆繊維、エンドウ豆繊維、およびオート麦繊維、ふすま、例えばトウモロコシふすま、小麦ふすま、オート麦ふすま、大麦ふすま、大豆ふすま、および米糠、セルロース物質、例えばセルロース、ヘミセルロース、およびヒドロキシメチルセルロース、可溶性または不溶性ポリデキストロース、難消化性マルトデキストリン、例えばFibersol(登録商標)−2、ならびにそれらの混合物である。Fibersol(登録商標)−2は、Matsutani America、Incorporated(ジケーター、イリノイ州)製である。Fibersol(登録商標)−2は、熱分解および続いての酵素処理によりノルマルα−1,4グルコース結合の一部をランダム1,2−、1,3−、および1,4−αまたはβ結合に意図的に変換することによってトウモロコシデンプンから製造される可溶性食物繊維(90%分.dsb)である。本発明での使用に好ましい繊維成分として、難消化性デンプン、オート麦繊維、イヌリン、トウモロコシふすま、小麦ふすま、オート麦ふすま、米糠、ポリデキストロース、ヒドロキシメチルセルロース、難消化性マルトデキストリン、およびグアーガムが挙げられる。
【0041】
繊維含量の決定に用いられる方法は、非特許文献2および非特許文献3に記載の食品中の合計食物繊維に関するProsky法であってよい。食品中の合計食物繊維に関するAOAC法は:a)0.1mlのαアミラーゼ(Sigma Chemical Co.)での処理、続いてb)5mgのプロテアーゼ(Sigma Chemical Co.)での処理、次いで0.3mlのアミログルコシダーゼ(Sigma Chemical Co.)での処理、d)エタノールによる可溶性繊維の沈澱、ならびにe)濾過および乾燥を含む。用いてもよい食物繊維含量を決定するための他のより厳密な方法は、Haynesらに対する特許文献19の実施例1Bに開示されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。Haynesらの方法が採用されており、AOACに記載の食品中の合計食物繊維に関するProsky法から改変されている。採用されたHaynesらの方法は、より厳密であり、より多量の酵素が関与し、凍結乾燥することにより、結果として、難消化性デンプンの収率に関してより低い値を得る。イヌリンについては、食物繊維含量は、AOAC997.08またはAOAC999.03を用いて決定されてよい。
【0042】
本発明に使用できるイヌリンは、食品補助物および商用の食糧として長く用いられている周知のβ−2−フルクトフラノース物質である。イヌリンは、種々の作物、特にキクイモおよびチコリに由来する炭水化物物質である。イヌリンは、前生物、すなわち、所望のバクテリア、例えばビフィズス菌および乳酸菌によって腸において代謝される食品材料である。
【0043】
一般に、イヌリンは、例えば、チコリ、タマネギおよびキクイモならびに他の一般的な植物源からの抽出により分離されるクリーンな乾燥された繊維状物質である。イヌリンは、種々の商用グレード型で入手できる。純粋なイヌリンは、例えば米国のRhone−Poulencから商品名RAFTILINE(登録商標)で市販されており、また、欧州のImperial Suicker Unie、LLCから市販されている。純粋なイヌリンは、約9から10の平均重合度(「DP」)を有する。粉末で入手できるRaftilineは、チコリ根から得られ、GFn+分子の混合物であり、ここでG=グルコース、F=フルクトース、およびn=結合したフルクトース単位の数であり、約2から50を超える範囲である。
【0044】
本発明に使用できるイヌリンの他の商業的供給源は、ベルギーのOrafti Group製のBeneo(登録商標)イヌリンである。Beneo(登録商標)イヌリンは、僅かに甘い味を有しかつ後味の無い、白色の、無臭の可溶性粉末である。Beneo(登録商標)イヌリンは、β(2−1)結合で接続されたフルクトース単位からなるオリゴ糖および多糖の混合物である。ほぼ全ての分子は、グルコース単位を末端とする。チコリイヌリンのフルクトース単位またはグルコース単位の合計数(重合度またはDP)は、主に2と60との間の範囲である。
【0045】
あまり純水でないイヌリン源物質、例えば乾燥キクイモ粉、風味のないタマネギ粉、およびそれらの混合物は、本明細書での使用にあまり好ましくない。
【0046】
本発明で使用される難消化性デンプンは、酵素難消化性デンプン(RS)I型、II型、III型、もしくはIV型、またはそれらの混合物を含む任意の市販または公知の組成物であってよい。使用できる難消化性デンプンの具体例は、特許文献19に開示されている高融点のRS III型デンプン、熱処理されたRS I、IIもしくはIII型デンプンであり、その開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明に用いられ得る例示的な市販の酵素難消化性デンプン組成物は、酵素難消化性粒状デンプン(RS III型材料)であるHi−Maize240、以前はNovelose240、酵素難消化性老化デンプン(RS III型材料、非粒状の老化デンプン)であるNovelose330、および粒状難消化性デンプンであるHi−maize260、以前はNovelose260(それぞれ、National Starch and Chemical Co.(Bridgewater、NJ)製、ならびにOpta food Ingredients、Inc(ケンブリッジ、マサチューセッツ州)製の老化デンプンであるCrystaleanである。Novelose330は、約7重量%の含水量、特許文献1の実施例1Bの方法によって約25%の難消化性デンプン含量、およびあまり厳密でないAOAC法によって約33%の食物繊維含量を有し得る。Hi−maize260は、AOAC法991.43によって測定されるように60%の合計食物繊維(TDF)を含有する粒状難消化性デンプンである。Hi−maize240は、繊維分析のためのAOAC法を用いて分析したとき40%の合計食物繊維を与える粒状難消化性デンプンである。
【0047】
本発明の好ましい実施形態において、特許文献19に開示されているように、非常に高い融点の酵素難消化性デンプンIII型が使用される。Haynesらによって開示されているように、使用できる高融点の難消化性デンプンは、変調示差走査熱量測定(MDSC)によって測定されるように、少なくとも140℃、好ましくは少なくとも145℃、最も好ましくは少なくとも約150℃の吸熱融解ピークを有し得る。非常に高い融点の酵素難消化性デンプン成分は、ベーキングによって実質的に改変されない、すなわち、それは、依然として実質的に酵素難消化性であり、ベーキング後の繊維分析によって測定されるように、約0.5kcal/g未満の低下したカロリー値を示す(100重量%、RS III型、少なくとも140℃の融点または吸熱ピーク温度を有する)。単離された、高融点の酵素難消化性デンプンについてのエンタルピー値は、130℃から約160℃の温度で約5ジュール/g超、好ましくは約8ジュール/gから約15ジュール/gの範囲であってよい。特許文献19に開示されている、非常に高い融点のRSIII型デンプンを含有する充填剤または粉代替物はまた、本発明のベークド物品に使用してもよい。本発明に使用できるHaynesらによる市販の非常に高い融点の難消化性デンプンIII型は、Tate & Lyle製のPromitor(商標)難消化性デンプンである。PROMITOR(商標)難消化性デンプンはトウモロコシデンプンであり、AOAC法991.43について約60%の合計食物繊維(乾燥固体基準)の典型的な分析値を有する。血糖応答は、易消化性炭水化物、例えばデキストロースまたはマルトデキストリンの血糖応答の約10%である。易消化性炭水化物は、1.7kcal/g(乾燥固体基準)のカロリー含有量を有し、保水容量が低く、また、繊維が熱的に安定であるためベーキングなどの厳しいプロセスに耐えることができる。PROMITOR(商標)難消化性デンプンは、比較すると他の難消化性デンプンまたは繊維がより多くの水を保持する可能性があるベーキングの間でもその低い保水特性を維持する。
【0048】
本発明の一実施形態において、生地は、生地の重量を基準にして約8重量%から約22重量%のタンパク質成分含量、および生地の重量を基準にして約8重量%から約18重量%の繊維含量を有し得る。生地の重量を基準にしてタンパク質成分含量を約22重量%超に増加させ、繊維成分含量を約18重量%超に増加させることは、機械加工をより困難にし、ベークド物品の質感をより硬くする傾向がある。
【0049】
本発明の高タンパク質、高繊維の生地およびベークド物品またはベークド製品の製造においてタンパク質成分および繊維成分と組み合わせることができる粉成分もしくはデンプン質物質、またはデンプンを含む少なくとも1種の粉は、任意の粉砕された穀物粒もしくは食用種子または野菜食物、それらの誘導物およびそれらの混合物であってよい。用いられ得る粉成分またはデンプン質物質の具体例は、小麦粉、トウモロコシ粉、トウモロコシマサ粉、オート麦粉、大麦粉、ライ麦粉、米粉、ポテト粉、粒ソルガム粉、タピオカ粉、グラハム粉、全粒粉、例えば全小麦粉、全粒トウモロコシ粉、全大麦粉、全オート麦粉、およびマルチホールグレイン粉、またはデンプン、例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ポテトデンプン、タピオカデンプン、物理的および/もしくは化学的に修飾された粉またはデンプン、例えば、前糊化されたデンプン、ならびにそれらの混合物である。粉は、漂白されていてもされていなくてもよい。小麦粉または小麦粉と他の粒粉、例えばグラハム粉および全粒粉、例えば全小麦粉またはマルチホールグレイン粉との混合物が好ましい。
【0050】
本発明の組成物に用いられる粉成分、例えば小麦粉の合計量は、生地の重量を基準にして、例えば、約15重量%から約75重量%、好ましくは約25重量%から約50重量%の範囲であってよい。別途示さない限り、全ての重量%は、粉チップ、ナッツ、レーズンなどの含有物を除いた、本発明の生地または生成物を形成する全ての材料の合計重量を基準とする。
【0051】
粉成分は、機械加工性、質感、風味および色彩に悪影響を及ぼさない量で、従来の粉代替物または充填剤、例えばポリデキストロース、ホロセルロース、ヘミセルロース、微結晶性セルロース、および難消化性デンプン、トウモロコシふすま、小麦ふすま、オート麦ふすま、および米糠、ならびにそれらの混合物などによって、部分的に置き換えられてよい。
【0052】
本発明において製造される製品の質感を修飾するために用いられ得るプロセス相溶性材料として、糖、例えばスクロース、フルクトース、ラクトース、デキストロース、ガラクトース、マルトデキストリン、トウモロコシシロップ固体、水添デンプン加水分解物、タンパク質加水分解物、グルコースシロップ、それらの混合物などが挙げられる。還元糖、例えばフルクトース、マルトース、ラクトース、およびデキストロース、または還元糖の混合物を用いて、褐色化を促進してもよい。フルクトースは、その入手し易さ、ならびにその一般により高められた褐色化効果および風味生成効果から、好ましい還元糖である。例示的なフルクトース源として、転化シロップ、高フルクトーストウモロコシシロップ、糖蜜、ブラウンシュガー、メープルシロップ、それらの混合物などが挙げられる。
【0053】
組織形成材料、例えば糖を、他の材料と、固体もしくは結晶性形態、例えば結晶性スクロースもしくは粒状スクロース、粒状ブラウンシュガー、もしくは結晶性フルクトース、または液体形態、例えばスクロースシロップもしくは高フルクトーストウモロコシシロップのいずれかで混合することができる。本発明の一実施形態において、保湿剤糖、例えば高フルクトーストウモロコシシロップ、マルトース、ソルボース、ガラクトース、トウモロコシシロップ、グルコースシロップ、転化シロップ、蜂蜜、糖蜜、フルクトース、ラクトース、デキストロース、およびそれらの混合物を用いて、ベークド製品の柔らかさまたはかみ応えを促進することができる。
【0054】
保湿剤糖に加えて、糖ではないまたはスクロースと比較して低い甘味度を有する他の保湿剤またはその水溶液を、生地または衣用生地に用いることもできる。例えば、グリセロール、糖アルコール、例えばマンニトール、マルチトール、キシリトールおよびソルビトールならびに他のポリオールを保湿剤として用いてよい。保湿剤ポリオール(すなわち、多価アルコール)の追加の例として、グリコール、例えばプロピレングリコール、および水添グルコースシロップが挙げられる。他の保湿剤として、糖エステル、デキストリン、水添デンプン加水分解物、および他のデンプン加水分解生成物が挙げられる。
【0055】
本発明の実施形態において、本発明の生地の合計の糖固形物含量または組織形成材含量は、生地の重量を基準にして0から約50重量%、好ましくは約3重量%から約25重量%の範囲であってよい。
【0056】
糖固形物は、機械加工性、質感、風味および色彩に悪影響を及ぼさない量で、従来の糖代替物または従来の充填剤、例えばポリデキストロース、ホロセルロース、微結晶性セルロース、難消化性デンプン、それらの混合物などによって全体または一部が置き換えられていてよい。例えば、本発明の一実施形態において、難消化性デンプンまたはポリデキストロースは、本発明のベークド物品のカロリーを低下させるための好ましい糖代替物または充填剤として使用できる。例示的な置換量は、元の糖固形物含量の少なくとも約10重量%、例えば約15重量%から約25重量%であってよい。
【0057】
本発明の生地の含水量は、生地の適切な形成、機械加工、および切断または成形を可能にするための所望の稠度を与えるのに十分であるべきである。本発明の生地の合計含水量は、別々に添加された材料として含まれている任意の水、さらには粉によって与えられる水分(約12%から約14重量%の水分を通常は含有する)、繊維成分材料およびタンパク質成分材料の含水量、ならびに生成物に含まれている他の生地添加物、例えば高フルクトーストウモロコシシロップ、転化シロップ、または他の液体保湿剤の含水量を含み得る。
【0058】
別々に添加された水を含めた生地または衣用生地中の全ての水分源を考慮すると、本発明のクッキー生地または衣用生地の合計含水量は、パリッとしたまたはカリカリしたスナックおよびクラッカー生地に関しては、生地の重量を基準にして一般に約60重量%未満、好ましくは約50重量%未満、例えば約32重量%から約45重量%であり、クッキーに関しては、生地の重量を基準にして約10重量%から約25重量%である。
【0059】
本発明の生地およびベークド物品を得るために用いられ得る油脂性組成物は、ベーキング用途に有用な任意の公知のショートニングまたは脂肪ブレンドまたは組成物を含んでいてよく、従来の食品グレードの乳化剤を含んでいてよい。分別され、部分的に水添され、および/またはエステル交換された植物油、ラード、海産物油、およびそれらの混合物は、本発明に用いられ得るショートニングまたは脂肪の具体例である。プロセス相溶性である、食用の低下したカロリーまたは低カロリーの、部分的に消化可能なまたは消化不可能な脂肪、脂肪代替物、または合成脂肪、例えばスクロースポリエステルまたはトリアシルグリセリドを用いてもよい。硬い脂肪および柔らかい脂肪またはショートニングおよび油の混合物を用いて、油脂性組成物において所望の稠度または融点プロフィールを達成することができる。本発明での使用のための油脂性組成物を得るために用いられ得る食用トリグリセリドの具体例として、大豆油、パームカーネル油、パーム油、菜種油、ベニバナ油、ゴマ油、ヒマワリ種子油、およびそれらの混合物などの植物源に由来する天然トリグリセリドが挙げられる。海産物油および動物油、例えばイワシ油、ニシン油、ババス油、ラード、および獣脂を用いてもよい。脂肪酸の合成トリグリセリドならびに天然トリグリセリドを用いて、油脂性組成物を得てもよい。脂肪酸は、8から24の炭素原子鎖長を有していてよい。例えば約75°F(23.9℃)から約110°F(43.3℃)の室温で固体または半固体のショートニングまたは脂肪を用いることができる。
【0060】
ベークド物品のショートニング含量または脂肪含量は、ベークド物品の重量を基準にして約15重量%未満であってよい。本発明に従って製造され得るベークド物品として、低脂肪製品、減脂肪製品または無脂肪製品でもある低カロリーのベークド物品が挙げられる。本明細書で用いるとき、減脂肪食品とは、その脂肪含量が標準または従来製品から少なくとも25重量%減少した製品である。低脂肪製品は、参照量またはラベルの単位当たり3g以下の脂肪含量を有する。しかし、少ない参照量(すなわち、30g以下またはテーブルスプーン2杯以下の参照量)については、低脂肪製品は、製品50g当たり3g以下の脂肪含量を有する。無脂肪製品またはゼロ脂肪製品は、参照量当たりおよびラベルの単位当たり0.5g以下の脂肪含量を有する。付け合わせ用クラッカー、例えば塩味クラッカーについては、参照量は15gである。スナックとして用いられるクラッカーおよびクッキーについては、参照量は30gである。このように、低脂肪クラッカーまたは低脂肪クッキーの脂肪含量は、したがって、最終製品の合計重量を基準にして、50g当たり3g以下、または約6%以下の脂肪であり得る。無脂肪付け合わせ用クラッカーは、最終製品の重量を基準にして15グラム当たり0.5グラム未満、または約3.33%未満の脂肪含量を有することになろう。
【0061】
前述のものに加えて、本発明の生地は、クラッカー、スナックおよびクッキーに従来使用される他の添加物を含むことができる。このような添加物は、例えば、乳副生成物、卵もしくは卵の副生成物、ココア、バニラもしくは他の風味剤、小麦ふすま、燕麦ふすま、ならびにナッツ、レーズン、ココナッツなどの含有物、チョコレートチップ、バタースコッチチップ、およびキャラメルチップなどの風味付けチップなどを従来の量で含むことができる。
【0062】
本発明の生地組成物は、生地の重量を基準にして約5重量%までの発酵系を含有することができる。使用できる化学的発酵剤またはpH調節剤の具体例には、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、酸性リン酸カルシウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、リン酸1カルシウム、リン酸2アンモニウム、酒石酸、それらの混合物などのアルカリ性物質および酸性物質が挙げられる。単独でまたは化学的発酵剤と共に、酵母を使用することができる。
【0063】
本発明の生地は、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸などの抗真菌剤または保存剤を含むことができる。微生物上の保存安定性を確保するために、例示的な量は、生地の約1重量%までの範囲であってよい。
【0064】
本発明の生地には、効果的な乳化量で乳化剤を入れることができる。使用できる例示的な乳化剤として、モノ−およびジ−グリセリド、モノ−およびジ−グリセリドのジアセチル酒石酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、ステアロイル乳酸塩、およびそれらの混合物が挙げられる。使用できるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの具体例は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(ポリソルベート80)、およびそれらの混合物などの水溶性ポリソルベートである。使用できる天然レシチンの具体例として、大豆、菜種、ヒマワリ、またはトウモロコシなどの植物由来のもの、卵黄などの動物源由来のものが挙げられる。大豆油由来のレシチンが好ましい。ステアロイル乳酸塩の具体例は、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、およびそれらの混合物などのアルカリおよびアルカリ土類ステアロイル乳酸塩である。使用できる乳化剤の例示的な量は、生地の約3重量%までの範囲である。
【0065】
本発明の実施形態において、酵素処理を用いて、ペントサンおよび/またはβグルカンなどの保水性の、非セルロース性の細胞壁多糖を生地環境において改変することができる。例えば、ペントサンは、生地の小部分しか占めないとしても、多くの水を保持する。ペントサン、または他のヘミセルロースを加水分解することにより、ベーキングの際にデンプン糊化温度に達する前に生地からの水の放出を可能にし、デンプン糊化の程度を低下するのを助ける。本発明の実施形態において、ペントサナーゼ酵素、またはエンドセルラーゼ、βグルカナーゼ、ペントサナーゼ、およびβグルコシダーゼを含有する酵素調製物を、それらの製造者によって通常推奨される量ならびに温度条件およびpH条件で、またはペントサナーゼもしくは他のヘミセルラーゼ活性に最適である条件で用いることができる。クラッカー製造に伝統的に用いられる他の酵素、例えばアミラーゼおよびプロテアーゼを、本発明の実施形態において従来量で用いることができる。
【0066】
従来のスナックの香味料、調味料、および着色料、着臭剤、香辛料、糖剤、およびそれらの混合物を従来量でベーキング前に生地組成物にブレンドするかもしくは生地上に振りかけ、またはベーキング後に製品に適用することができる。用いることができるそのような剤の具体例として、香味、例えばバーベキュー、サワークリーム、チャイブ、オニオン、ガーリック、バター、ビネガー、ハニーマスタード、ランチ、ベーコン、チキン、ビーフ、チーズ、ハム、およびピーナッツバターの香味、ナッツおよびシード、バニラ、およびチョコレート製品、乾燥野菜フレークおよび乾燥ハーブフレーク、例えば、ペッパー、バジル、タイム、ペパーミント、ドライトマトおよびパセリのフレーク、香辛料フレーク、果物フレーク、スパイス、チーズ粉末、例えばチェダーチーズおよびナチョチーズの調味粉末、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0067】
本発明の生地の製造を、従来の混合装置、例えば蒸気注入に適合し雰囲気に解放された生地ミキサー、例えば蒸気注入ミキサーであるPearlessまたはShafferミキサー、ならびに従来の生地形成機械加工装置を使用して実施することができる。塊の形成を回避してタンパク質成分および繊維成分の少なくとも実質的に均一な水和および分散を得るために、これらの成分を、実質的なタンパク質変性またはデンプン糊化のいずれをも回避するように蒸気処理および粉の添加の前に水と混合し得る。本発明の一実施形態において、タンパク質成分および繊維成分を水と混合するための実質的に均一な粒子状混合物を得ることができ、またはこれら3つの材料をタンパク質成分および繊維成分を予備混合せずに混合して、タンパク質成分および繊維成分を少なくとも実質的に均一に水和することができる。本発明の一実施形態において、他の材料、例えば塩および香味料を、塊形成を引き起こさない水和工程に含めることができる。
【0068】
水和工程において、タンパク質成分および繊維成分を少なくとも実質的に均一に水和して、タンパク質成分のタンパク質変性温度未満の温度でタンパク質成分、繊維成分、および水を混合することによりタンパク質成分および繊維成分の実質的に均一な水和塊を得る。一般に、タンパク質変性は、約120°F(48.9℃)を超える温度で起こるため、約120°F(48.9℃)未満、例えば約34°F(1.1℃)から約110°F(43.3℃)、好ましくは約75°F(23.9℃)から約90°F(32.2℃)の温度で水和を通常実施する。タンパク質成分および繊維成分の実質的水和を達成するための混合時間は、一般に約2.5分から約5分の範囲であってよい。
【0069】
タンパク質成分および繊維成分の少なくとも実質的に均一な水和塊を、タンパク質成分の変性温度を超える温度に蒸気処理することができる。本発明の一実施形態において、蒸気処理を実施して、タンパク質成分および繊維成分の水和塊の温度を約160°F(71.1℃)から約200°F(93.3℃)、好ましくは170°F(76.7℃)から約190°F(87.8℃)に上昇させることができる。蒸気処理によってタンパク質変性温度を超える温度に上昇しても、ベークド物品のタンパク質含量および製品の質は悪影響を受けない。よく分散されたタンパク質および繊維の水和塊の蒸気処理は、より柔らかく、硬い質感のないベークド物品を予想外にも提供することが分かった。蒸気処理は、繊維を軟化し、不快さを減らし、タンパク質の粗挽き度を抑えまたはこれを粉末状にし、ベークド物品の官能特性、例えば味および口当たりを改善する。蒸気処理は、材料の温度を上昇させてベーキングの間の水分除去を容易にし、これによりベーキング温度および/またはベーキング時間を低減するのを助けるため、ベーキングにおいて過剰ベーキングまたは不快な匂いおよび悪い色彩の発生を回避して、保存安定可能な含水量にするとも考えられる。
【0070】
212°F(100.0℃)および大気圧(約14.7psia)で蒸気を用いて蒸気処理を実施することができる。蒸気処理時間は、蒸気処理された塊についての目標温度に達するまで約8分から約18分の範囲であってよい。蒸気処理の間に水和塊の温度をモニターすることができ、または所望の塊温度に達するまで周期的に温度をモニターすることができる。蒸気処理および混合の両方を行うことができる蒸気処理および混合容器、例えば蒸気注入を備えたSchaffer生地ミキサーにおいて蒸気処理を実施することができる。蒸気処理は、蒸気濃縮により、いくらかの水を、生地の重量を基準にして、約5重量%未満の水、好ましくは約1重量%から約4重量%の水の量で一般には添加する。得られる蒸気処理された水和塊は、生地様の稠度を有することができる。
【0071】
少なくとも1種の粉の実質的糊化を回避しながら、タンパク質成分および繊維成分を含有する蒸気処理された水和塊を残りの材料、例えば糖、ショートニングもしくは脂肪、または油、発酵剤、酵素、香味剤、追加の水、およびデンプンを含む少なくとも1種の粉と混合して、生地を得ることができる。これらの材料を1または複数の段階で添加することができる。例えば、本発明の一実施形態において、糖、発酵剤および香味剤を、蒸気処理された水和塊と一段階で混合し、続いて少なくとも1種の粉および酵素ならびに追加の水を次の段階で添加することができ、ショートニングまたは脂肪を最後の混合段階で添加して最終の生地を得る。
【0072】
ベーキング前の実質的デンプン糊化を回避することにより、ベークド製品においてより低い血糖インデックス(GI)を与えながら、生地における塊の形成およびベークド製品における硬い質感を排除するのを助ける。デンプンが糊化温度および水への容易なアクセスに付されないように、タンパク質および繊維の水和および蒸気処理ステップの後に粉材料を添加することによってデンプン糊化を回避する。また、蒸気処理された水和塊と少なくとも1種の粉を含む残りの材料とを、当該材料の組合せおよび混合の際に得られる生地がデンプンの糊化温度未満の生地温度を有するのに十分に低い温度で混合することによって、実質的なデンプン糊化を回避する。例えば、残りの材料は、蒸気処理された水和塊に添加されて混合の際にそれを冷却するように、一般にはデンプンの糊化温度未満、好ましくは約170°F(76.7℃)未満の温度、最も好ましくは室温である。しかし、過剰冷却は望ましくない。なぜなら、熱い生地の使用は、ベーキング時間および/またはベーキング温度を低減するのを助けるからである。本発明の一実施形態において、生地温度の制御を助けるために、残りの材料を異なる温度で添加することができる。蒸気処理された水和塊に添加されるとき、例えば、追加の水は約160°F(71.1℃)の温度であってよく、残りの材料、例えば粉は、室温であってよい。本発明の一実施形態において、蒸気処理された水和塊と少なくとも1種の粉を含む材料との混合は、約130°F(54.4℃)から約170°F(76.7℃)の生地温度をもたらすことができ、または、生地温度を、冷却装置を用いてもしくは用いないで約130°F(54.4℃)未満の温度、例えば室温に冷却してもよい。生地を従来の方法で放置またはねかして冷却することができ、または、殆どもしくは全くねかせ時間無しに、または殆どもしくは全く冷却せずに機械加工することができる。
【0073】
本発明の一実施形態において、高繊維含量、または高タンパク質含量を有するベークド物品を、高繊維含量および高タンパク質含量の両方を有するベークド物品の製造プロセスに従って製造することができる。そのような実施形態において、ベークド物品は、30g単位当たり少なくとも約4g、例えば、30g単位当たり約5gから約20g、好ましくは30g単位当たり約5gから約10gのタンパク質含量または繊維含量を有することができる。蒸気処理の前およびデンプンを含む少なくとも1種の粉の添加の前にタンパク質または繊維を水和することにより、塊の形成およびデンプン糊化を回避する。少なくとも1種の粉の添加前の水和した繊維の蒸気処理は、繊維を軟化し、不快さを減らし、高繊維のベークド物品の官能特性、例えば味および口当たりを改善する。少なくとも1種の粉の添加前の水和されたタンパク質の蒸気処理は、タンパク質の粗挽き度を抑えまたはこれを粉末状にし、高タンパク質のベークド物品の官能特性、例えば味および口当たりを改善する。
【0074】
クラッカー、スナック、およびクッキーの製造に用いる種々の機械加工プロセスおよび装置を使用して本発明の生地から小片を形成することができる。従来の装置を用いて、例えば、生地をシート化、ワイヤ切断、押出、同時押出、切断、または回転成形することができる。機械加工は、標準のクラッカー技術で使用されるプロセスを含むことができる。例えば、本発明のクラッカー生地をシート化して、場合により積層して、次いで切断してベークすることができる。代替の機械加工プロセスは、生地様組成物を積層することなく巻いて小片を形成するトルティーヤ機の使用を含む。好ましい機械加工プロセスにおいて、ゲージまたは減速ローラによって生地からシートを形成し、場合によっては生地積層機、例えばカットシートラミネータまたは旋回式ラミネータに投入する。それぞれ約1/4インチ(0.64cm)厚の薄層を重ねて一枚のシートを他のシートの上に置くことによって積層操作を実施することができる。典型的には、この操作の間に3から6の薄層を一緒に積層する。シート化された生地をそれ自体の上に折り畳むことによって積層体を形成することができる。個々の生地シートを用いて積層体を形成することもできる。次いで、場合により積層された生地シートの厚さを減少することができる。生地シート厚の減少を段階ごとに実施してよい。例えば、3つの薄層からシートを形成した後、次いで当該シートを約1/16インチ(0.16mm)に圧縮してもよい。4つの薄層について、生地シートを初めに約1/2インチ(1.27cm)厚、次いで約1/4インチ(0.64cm)厚に減少することができる。厚さの減少は、1または複数組の逆回転減速ロールを用いることによって実施することもできる。いずれの場合にも、最終的な厚さ減少は、ゲージローラによってなされる。この操作の間に生地の最終的な厚さを約1/32インチ(0.08mm)まで減少することができる。この点において、シートは、少なくとも約350の幅対厚さ比を一般に有することができる。
【0075】
次いで生地シートを生地小片に切断することができる。切断を、レシプロカッター、回転カッター、または他の生地切断機構によって実施することができる。切断された生地小片は、円形、三角形、矩形もしくは正方形の形状、不規則形状、または任意の他の望ましい構造であってよい。
【0076】
切断されていないシートまたは小片をドッカーで穴をあける、または穿孔することは、クラッカーおよびパリッとしたスナックの製造のための機械加工操作に場合により含まれていてよい。柔化を回避することに加え、ドッカーで穴をあけることは、最終製品において破損を引き起こす望ましくない応力線の「確認」または形成が起こることを抑制する。
【0077】
次いで、切断された小片を従来のオーブン、例えばベーキング用のマルチゾーンバンドオーブンまたは対流式オーブンに搬送または輸送することができる。本発明の一実施形態において、生地のシート化、切断、およびドッカーで穴をあける操作は、ミキサーで製造される生地と実質的に同じ生地温度および含水量で行ってよい。したがって、本発明の一実施形態において、生地小片は、ベーキングオーブンに投入する際、約130°F(54.4℃)から約170°F(76.7℃)の温度、ならびにパリッとしたまたはカリカリしたスナックに関しては生地の重量を基準にして好ましくは約32重量%から約45重量%の生地含水量、およびクッキー生地に関しては生地の重量を基準にして約10重量%から約25重量%の生地含水量を有することができる。
【0078】
ベーキング時間および温度は、種々の生地または衣用生地の形成、オーブンの種類などに関して異なり得るが、一般に、市販のクラッカー、クッキー、ブラウニーおよびケーキのベーキング時間は、約2.5分から約15分の範囲であってよく、ベーキング温度は、約200°F(93.3℃)(93℃)から約700°F(371℃)の範囲であってよい。
【0079】
本発明のベークド製品は、防腐剤不含での微生物の保存安定性のために、約0.7未満、好ましくは約0.6未満の相対蒸気圧(「水活性」)を有していてよい。クラッカー製品の含水量は、含有物を除いたベークド製品の重量を基準にして、一般には約6重量%未満、例えば、約0.25重量%から約4重量%、好ましくは約2重量%から約3重量%である。クッキー、ブラウニー、ケーキ、スティックパン、マフィン、およびクロワッサン製品は、含有物を除いたベークド製品の重量を基準にして、クッキーについては一般に約20重量%未満、例えば、約2重量%から約9重量%の含水量を有する。
【0080】
本発明の一実施形態において、ベーキングおよび乾燥後またはフライ後に、小片を従来の調味料およびトッピングオイルによって従来の量で従来の調味料適用装置、例えば回転ドラムを用いてトッピングすることができる。場合によりトッピング塩を切断またはスタンピング後およびベーキング前に従来の量で一般には適用することができる。
【0081】
本発明の他の実施形態において、生地小片は、空気中での加熱、例えばガス燃焼オーブンによってその含水量を約10%未満、好ましくは約5%未満、最も好ましくは約3.5重量%未満に減少させた後、最終製品の脂肪含量または油含量の低さを保ちながらフライにして、風味を向上させてもよい。
【0082】
本発明に従って製造できるベーカリー製品またはベークド物品として、風味のいい甘いクラッカーおよびスナック、モーニングスナックまたは朝食用スナック、パリッとしたカリカリしたスナックおよび柔らかいスナック、例えばクラッカー、グラハムクラッカー、クッキー、クロワッサン、マフィン、ケーキ、カップケーキ、柔らかいまたはパリッとしたスティックパン、チップス、ブラウニー、ピザクラスト、パイクラスト、パン、プレッツェル、ペストリー、スイートロール、ドーナツ、ならびにトルティーヤが挙げられる。スナック製品として、スナックチップス、および押出による、膨らんだスナックを挙げることができる。食品は、クラッカー、クッキー、およびスナックチップスから特に選択されてよい。クッキーは、バータイプの製品、押出、共押出、シート化および切断、回転式成形、ワイヤカット、またはサンドイッチクッキーであってよい。製造できるクッキーの具体例として、シュガーウエハース、フルーツ充填クッキー、チョコレートチップクッキー、オートミールクッキー、シュガークッキーなどが挙げられる。クラッカーは、発酵型または非発酵型のクラッカー、およびグラハムクラッカーであってよい。本発明に従って製造されるベークド物品は、脂肪含量の高いクラッカーもしくはクッキーであってもよく、または減脂肪、低脂肪または無脂肪の製品であってもよい。
【0083】
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、別途記述しない限り、全ての部、比、および百分率は重量によるものであり、全ての温度は、°Fである。
【実施例1】
【0084】
本発明に従って、単離大豆タンパク質を用いて、高タンパク質、高繊維のクラッカー生地、およびパリッとした質感を有するクラッカーを製造するために用いられ得る材料およびその相対量は以下の通りである:
【0085】
【表1】

【0086】
単離大豆タンパク質Supro(登録商標)320およびSupro(登録商標)313は、ミズーリ州セントルイスのSolae LLC、North Americaによって製造されている。Supro(登録商標)313は、製品100g当たり87.5gのタンパク質および381kcalを有する。Supro(登録商標)320は、製品100g当たり87.0gのタンパク質および384kcalを有する。
【0087】
まず、段階1の水ならびに香味料および着色料以外の段階1材料を、蒸気注入を備えたShafferミキサーに添加し、当該材料を室温にて約40rpmのミキサー速度で約30秒間混合することによって、生地を製造することができる。次に、約80°F(26.7℃)である段階1の水を、約1ポンド(453.6g)の水に溶解させた香味料および着色料と共にミキサーに添加することができ、混合を約40rpmのミキサー速度で3分間続けることができる。次いで、水和した材料を約20rpmで混合しながら、蒸気処理された水和混合物が目標温度の約180°F(82.2℃)に達するまで、蒸気を約212°F(100.0℃)および大気圧で約13分間、ミキサーに注入することができる。
【0088】
次いで、段階1の材料に段階2の材料を約36rpmで約2分間混合しながら室温にて添加することができる。次いで、160°F(71.1℃)である段階3の水以外は全て室温である段階3の材料を、20rpmで3分間混合し続けながら添加することができる。次いで、室温である段階4の材料をさらに20rpmで3分間混合しながら添加して、約140°F(60.0℃)の温度を有する実質的に均一な生地を得ることができる。
【0089】
次いで、生地を、全くねかせることなく従来のクラッカー生地シート化装置に供給して、塊および破れの無い生地シートを連続して製造することができる。生地シートを従来の方法で小片に切断してよい。小片を、約200°F(93.3℃)から約700°Fの温度で6の温度領域を有する32インチ幅の直接ガス燃焼型のマルチゾーンバンドオーブンにおいてベーキングすることができる。小片を約5分のベーキング時間でベーキングし、クラッカーの重量を基準にして約2.5重量%の含水量を有するパリッとした質感のクラッカーを得ることができる。クラッカーを、生地の重量を基準にして約1重量%の塩、および約7.7重量%の油でトッピングすることができる。
【実施例2】
【0090】
本発明に従って、エンドウ豆タンパク質および小麦タンパク質の単離物を用いて、高タンパク質、高繊維のクラッカー生地、およびパリッとした質感を有するクラッカーを製造するために用いられ得る材料およびその相対量は以下の通りである:
【0091】
【表2】

【0092】
エンドウ豆タンパク質単離物FarMax(商標)785は、ニュージャージー州モントベールのFarbest−Tallman Foods Corporationの一部門、Farbest Brandsによって製造されている。エンドウ豆タンパク質単離物FarMax(商標)785は、製品100g当たり、最小で83.0gのタンパク質、合計脂肪分5g、灰分5.0g、水分6.0g、および381kcalを有する。Prolite(商標)200は、イリノイ州ジケーターのADMによって製造されており、小麦タンパク質単離物であって、製品100g当たりタンパク質(乾燥基準)81.0g、不溶性繊維1.9g、可溶性繊維0.5g、合計炭水化物5g、水分3.5g、および390kcalを有する。
【0093】
まず、段階1の水ならびに香味料および着色料以外の段階1材料を、蒸気注入を備えたShafferミキサーに添加し、当該材料を室温にて約40rpmのミキサー速度で約30秒間混合することによって、生地を製造することができる。次に、約80°F(26.7℃)である段階1の水を、約1ポンド(453.6g)の水に溶解させた香味料および着色料と共にミキサーに添加することができ、混合を約40rpmのミキサー速度で3分間続けることができる。次いで、水和した材料を約20rpmで混合しながら、蒸気処理された水和した混合物が目標温度の約180°F(82.2℃)に達するまで、蒸気を約212°F(100.0℃)および大気圧で約13分間、ミキサーに注入することができる。
【0094】
次いで、段階1の材料に段階2の材料を約36rpmで約2分間混合しながら室温にて添加することができる。次いで、160°F(71.1℃)である段階3の水以外は全て室温である段階3の材料を、20rpmで3分間混合し続けながら添加することができる。次いで、室温である段階4の材料をさらに20rpmで3分間混合しながら添加して、約140°F(60.0℃)の温度を有する実質的に均一な生地を得ることができる。
【0095】
次いで、生地を、全くねかせることなく従来のクラッカー生地シート化装置に供給して、塊および破れの無い生地シートを連続して製造することができる。生地シートを従来の方法で小片に切断してよい。小片を、約200°F(93.3℃)から約700°F(371℃)の温度で6の温度領域を有する32インチ幅の直接ガス燃焼型のマルチゾーンバンドオーブンにおいてベーキングすることができる。小片を約5分のベーキング時間でベーキングし、クラッカーの重量を基準にして約2.5重量%の含水量を有するパリッとした質感のクラッカーを得ることができる。クラッカーを、生地の重量を基準にして約1重量%の塩、および約7.7重量%の油でトッピングすることができる。
【実施例3】
【0096】
本発明に従って、乳タンパク質を用いて、高タンパク質、高繊維のクラッカー生地、およびパリッとした質感を有するクラッカーを製造するために用いられ得る材料およびその相対量は以下の通りである:
【0097】
【表3】

【0098】
BarPro(商標)291は、ウィスコンシン州モンローのGlanbia Nutritionals製の部分的に加水分解された乳タンパク質単離物である。乳タンパク質単離物BarPro(商標)291は、製品100g当たりタンパク質88.31g、合計脂肪分0.69g、糖0.48g、合計炭水化物1.8g、水分6.0g、365kcal、およびpH5.5を有する。
【0099】
まず、段階1の水ならびに香味料および着色料以外の段階1材料を、蒸気注入を備えたShafferミキサーに添加し、当該材料を室温にて約40rpmのミキサー速度で約30秒間混合することによって、生地を製造することができる。次に、約80°F(26.7℃)である段階1の水を、約1ポンド(453.6g)の水に溶解させた香味料および着色料と共にミキサーに添加することができ、混合を約40rpmのミキサー速度で3分間続けることができる。次いで、水和した材料を約20rpmで混合しながら、蒸気処理された水和した混合物が目標温度の約180°F(82.2℃)に達するまで、蒸気を約212°F(100.0℃)および大気圧で約13分間、ミキサーに注入することができる。
【0100】
次いで、段階1の材料に段階2の材料を約36rpmで約2分間混合しながら室温にて添加することができる。次いで、160°F(71.1℃)である段階3の水以外は全て室温である段階3の材料を、20rpmで3分間混合し続けながら添加することができる。次いで、室温である段階4の材料をさらに20rpmで3分間混合しながら添加して、約140°F(60.0℃)の温度を有する実質的に均一な生地を得ることができる。
【0101】
次いで、生地を、全くねかせることなく従来のクラッカー生地シート化装置に供給して、塊および破れの無い生地シートを連続して製造することができる。生地シートを従来の方法で小片に切断してよい。小片を、約200°F(93.3℃)から約700°F(371℃)の温度で6の温度領域を有する32インチ幅の直接ガス燃焼型のマルチゾーンバンドオーブンにおいてベーキングすることができる。小片を約5分のベーキング時間でベーキングし、クラッカーの重量を基準にして約2.5重量%の含水量を有するパリッとした質感のクラッカーを得ることができる。クラッカーを、生地の重量を基準にして約1重量%の塩、および約7.7重量%の油でトッピングすることができる。
【実施例4】
【0102】
安定全粒粉をグラハム粉の代替として用い得ること以外は実施例1、2、および3と同様にして高タンパク質、高繊維のクラッカー生地、およびパリッとした質感を有するクラッカーを製造することができる。
【0103】
比較例1
単離大豆タンパク質を用いて、高タンパク質、高繊維のクラッカー生地を製造するために用いられ得る材料およびその相対量は以下の通りである:
【0104】
【表4】

【0105】
単離大豆タンパク質Supro(登録商標)320およびSupro(登録商標)313は、ミズーリ州セントルイスのSolae LLC、North Americaによって製造されている。Supro(登録商標)313は、製品100g当たり87.5gのタンパク質および381kcalを有する。Supro(登録商標)320は、製品100g当たり87.0gのタンパク質および384kcalを有する。
【0106】
まず、段階1の水ならびに香味料および着色料以外の段階1材料を、蒸気注入を備えたShafferミキサーに添加し、当該材料を室温にて約40rpmのミキサー速度で約30秒間混合することによって、生地を製造することができる。次に、約160°F(71.1℃)である段階1の水を、約1ポンド(453.6g)の水に溶解させた香味料および着色料と共にミキサーに添加することができ、混合を約40rpmのミキサー速度で3分間続けることができる。次いで、水和した材料を約20rpmで混合しながら、蒸気処理された水和した混合物が目標温度の約190°F(87.8℃)に達するまで、蒸気を約212°F(100.0℃)および大気圧で約10分間、ミキサーに注入することができる。
【0107】
次いで、段階1の材料に段階2の材料を約36rpmで約2分間混合しながら室温にて添加することができる。次いで、全て室温である段階3の材料を、20rpmで3分間混合を続けながら添加することができる。次いで、室温である段階4の材料をさらに20rpmで3分間混合しながら添加して、約131°F(55℃)の温度を有する生地を得ることができる。生地は、劣ったタンパク質分散性およびタンパク質塊を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高タンパク質、高繊維のベークド物品の製造方法であって、
a)タンパク質成分および繊維成分を混合して少なくとも実質的に均一な予備混合された粒子状混合物を得るステップ、
b)前記予備混合された粒子状混合物を、前記タンパク質成分のタンパク質変性温度未満の温度で水と混合して、前記タンパク質成分および前記繊維成分を少なくとも実質的に均一に水和し、前記タンパク質成分および前記繊維成分の実質的に均一な水和塊を得るステップ、
c)前記水和塊を前記タンパク質成分の変性温度を超える温度で蒸気処理するステップ、
d)前記蒸気処理された水和塊を少なくとも1種の粉を含む材料と混合して、前記少なくとも1種の粉のデンプンの実質的な糊化を回避しながら生地を得るステップ、
e)前記生地をシート状にするステップ、
f)前記生地から小片に形成するステップ、ならびに
g)前記小片をベークして、30g単位当たり少なくとも約4gのタンパク質のタンパク質含量および30g単位当たり少なくとも約4gの繊維の繊維含量を有するベークド物品を得るステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記タンパク質成分、前記繊維成分、および前記水を、約120°F(48.9℃)未満の温度で混合して、前記タンパク質成分および前記繊維成分の前記水和塊を得ることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンパク質成分、前記繊維成分、および前記水を、約75°F(23.9℃)から約90°F(32.2℃)の温度で混合して、前記タンパク質成分および前記繊維成分の前記水和塊を得ることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
蒸気処理を実施して、前記タンパク質成分および前記繊維成分の前記水和塊の温度を約160°F(71.1℃)から約200°F(93.3℃)に上昇させることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記蒸気処理を実施して、前記タンパク質成分および前記繊維成分の前記水和塊の温度を約170°F(76.7℃)から約190°F(87.8℃)に上昇させることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記蒸気処理された水和塊と少なくとも1種の粉を含む前記材料との前記混合により、デンプンの糊化温度未満の生地温度をもたらすことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記蒸気処理された水和塊と少なくとも1種の粉を含む前記材料との前記混合により、約130°F(54.4℃)から約170°F(76.7℃)の生地温度をもたらすことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記生地を積層することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記タンパク質成分が、乳タンパク質、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、小麦タンパク質、乳漿タンパク質、および豆タンパク質からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記繊維成分が、難消化性デンプン、オリゴ糖、ふすま、セルロース物質、ガム、βグルカン、植物繊維、マメ科植物繊維、オート麦繊維、ポリデキストロース、および難消化性マルトデキストリンからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ベークド物品が、30g単位当たり約5gから約10gのタンパク質含量を有するクラッカーであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種の粉が、グラハム粉および小麦粉を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1種の粉が、少なくとも1種の全粒粉を30g単位当たり少なくとも約4gの量で含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ベークド物品が、30g単位当たり約5gから約10gのタンパク質含量、30g単位当たり約5gから約8gの繊維含量、および30g単位当たり約5gから約10gの全粒粉含量を有する甘いもしくは風味のよいスナック、またはソフトスナックであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記蒸気処理が、前記生地の重量を基準にして約5重量%未満の水を添加することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ベークド物品のカロリー含有量が、30g単位当たり約90kcalから約140kcalであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
高タンパク質、高繊維の生地を製造する方法であって、
タンパク質成分、繊維成分、および水を、前記タンパク質成分のタンパク質変性温度未満の温度で混合して前記タンパク質成分および前記繊維成分を少なくとも実質的に均一に水和し、前記タンパク質成分および前記繊維成分の実質的に均一な水和塊を得るステップ、
前記水和塊を前記タンパク質成分の変性温度を超える温度で蒸気処理するステップ、ならびに
前記蒸気処理された水和塊とデンプンを含む少なくとも1種の粉を含む材料とを混合して、前記少なくとも1種の粉のデンプンの実質的な糊化を回避しながら生地を得るステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記タンパク質成分、前記繊維成分、および前記水を、約120°F(48.9℃)未満の温度で混合して、前記タンパク質成分および前記繊維成分の前記水和塊を得、
前記生地が、生地の重量を基準にして約8重量%から約22重量%のタンパク質成分含量、および生地の重量を基準にして約8重量%から約18重量%の繊維含量を有する、ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記蒸気処理を実施して、前記タンパク質成分および前記繊維成分の水和塊の温度を約160°F(71.1℃)から約200°F(93.3℃)に上昇させることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記蒸気処理された水和塊と少なくとも1種の粉を含む前記材料との前記混合により、デンプンの糊化温度未満の生地温度をもたらすことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記蒸気処理された水和塊と少なくとも1種の粉を含む前記材料との前記混合により、約130°F(54.4℃)から約170°F(76.7℃)の生地温度をもたらし、ここで、前記タンパク質成分が、乳タンパク質、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、小麦タンパク質、乳漿タンパク質、および豆タンパク質からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含み、前記繊維成分が、難消化性デンプン、オリゴ糖、ふすま、セルロース物質、ガム、βグルカン、植物繊維、マメ科植物繊維、オート麦繊維、ポリデキストロース、および難消化性マルトデキストリンからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含むことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
高タンパク質、高繊維のシート化可能な生地であって、
a)タンパク質成分、
b)繊維成分、
c)デンプンを含む少なくとも1種の粉、および
d)水
の少なくとも実質的に均一な混合物を含み、前記シート化可能な生地が、30g単位当たり少なくとも約4gのタンパク質のタンパク質含量および30g単位当たり少なくとも約4gの繊維の繊維含量を有するベークド物品にベークすることができ、ここで、デンプンは、タンパク質−繊維マトリックスでの捕捉により酵素消化から保護されることを特徴とするシート化可能な生地。
【請求項23】
請求項22のシート化可能な生地からベークされたベークド物品。
【請求項24】
クラッカー、クッキー、クロワッサン、マフィン、ケーキ、カップケーキ、スティックパン、甘味スナック、および風味のよいスナックからなる群から選択され、30g単位当たり約5gから約10gのタンパク質含量、30g単位当たり約5gから約8gの繊維含量、30g単位当たり約5gから約10gの全粒粉含量、および30g単位当たり約90kcalから30g単位当たり約140kcalのカロリー含有量を有することを特徴とする、請求項23に記載のベークド物品。
【請求項25】
高タンパク質および/または高繊維のベークド物品の製造方法であって、
タンパク質成分および繊維成分からなる群から選択される少なくとも1種の成分を約120°F(48.9℃)未満の温度で水と混合して、前記少なくとも1種の成分を少なくとも実質的に均一に水和し、実質的に均一な水和塊を得るステップ、
前記水和塊を約160°F(71.1℃)から約200°F(93.3℃)の温度に蒸気処理するステップ、
前記蒸気処理された水和塊をデンプンを含む少なくとも1種の粉を含む材料と混合して、前記少なくとも1種の粉のデンプンの実質的な糊化を回避しながら生地を得るステップ、
前記生地をシート化するステップ、
前記生地を小片に成形するステップ、ならびに、
小片をベークして、30g単位当たり少なくとも約4gのタンパク質のタンパク質含量および/または30g単位当たり少なくとも約4gの繊維の繊維含量を有するベークド物品を得るステップを含むことを特徴とする方法。

【公開番号】特開2010−279352(P2010−279352A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−120441(P2010−120441)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(508247877)クラフト・フーヅ・グローバル・ブランヅ リミテッド ライアビリティ カンパニー (53)