説明

高迎角プロセスパラメータセンサのための方法及びアセンブリ

【課題】プロセスパラメータを検知するための方法及びアセンブリを提供する。
【解決手段】検知アセンブリは100、基部102及びセンサアセンブリ104を含む。センサアセンブリは、検知素子106と、第1流路108と、第2流路110を含む。第1流路は、合流区間と、直線区間と、旋回区間を含み、旋回区間は、この旋回区間に流入する流れから粒子を分離させるように構成された旋回半径を有しており、第2流路は、検知素子の下流に低圧領域を生成するように構成される。検知アセンブリは更に、基部とセンサアセンブリとの間に延在する延伸部材112も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は主に、プロセスパラメータ検知装置に関し、より具体的には、プロセスパラメータを検知するアセンブリ及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも幾つかの周知の全大気温度(TAT)センサでは、高迎角で正確な測定能力を維持する能力が限られている。気流をセンサの検知素子に誘導する翼では、迎角が増大して例えば±15度等の特定の角度超えると、翼上で流れ剥離が生じる可能性がある。この剥離によって、極端な復帰誤差と対流膜変動が生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5484122号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態において、検知アセンブリは、基部とセンサアセンブリを含む。センサアセンブリは、検知素子と、第1流路と第2流路を含む。第1流路は、合流区間と、直線区間と、旋回区間を含み、旋回区間は、この旋回区間に流入する流れから粒子を分離するように構成された旋回半径を有しており、第2流路は、検知素子の下流に低圧領域を生成するように構成される。検知アセンブリは、基部とセンサアセンブリとの間に延在する延伸部材も含む。
【0005】
別の実施形態において、プロセスパラメータを検知する方法は、第1翼体と中心翼体との間に画定された第1流路によって流体流を誘導するステップと、第2翼体と中心翼体との間に画定された第2流路によって流体流を誘導するステップと、第1流路中の流体流を旋回させて、第1流路中の流体流を分離し、第1の流れが第2の流れよりも比較的少ない粒子を有するようにするステップと、第1の流れをセンサ素子に向かわせるステップと、を含む。
【0006】
また別の実施形態において、プロセス検知システムは、基部から平行に延在する、流路によって隔てられた第1延伸部材及び第2延伸部材と、この第1及び第2延伸部材の間に延在するセンサアセンブリとを含む。センサアセンブリは、中心翼体と、この中心翼体の下流に位置するセンサ素子と、第1流路によって中心翼体から離間された第1翼体であって、中心翼体に対向する凹面を含む第1翼体と、第2流路によって中心翼体から離間された第2翼体であって、中心翼体に対向する凸面を含む第2翼体と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施例による、検知アセンブリの斜視図である。
【図2】図1にも示す線2−2に沿った、図1に示す延伸部材の平面図である。
【図3】図1にも示す線3−3に沿った、図1に示すセンサアセンブリの側面図である。
【図4】プロセスパラメータを検知する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1から4は、本明細書に記載の方法及びアセンブリの実施例を示す。
【0009】
下記の詳細な説明では、限定目的ではなく例示目的において、本発明の実施形態を説明する。産業用途、商業用途、及び居住用途のプロセスパラメータ検知の分析的及び系統的な実施形態に、本発明が幅広い用途を有することを意図している。
【0010】
本明細書で用いる際、単数形で不定冠詞を伴って列挙される要素又はステップは、別途明記しない限り、複数の要素又はステップを排除しないものと理解されたい。また、本発明の「一実施形態」とは、列挙した特徴を組み込んだ更なる実施形態の存在を排除するものと解釈することを意図したものではない。
【0011】
本発明の実施形態では、±30°の迎角範囲を超えても正確に動作可能な、ガスタービンエンジンファン入口温度センサについて記載する。本明細書に記載のファン入口温度センサでは、ファン入口の壁から延在する延伸部材用に対称翼を使用しているが、本発明の実施形態が対称翼のみに限定されることはない。迎角の大きい延伸部材翼上の流れ剥離によって、極端な復帰誤差、時間応答、及び対流膜変動が生じることがある。流れ剥離の制御は、特に高マッハ数での安定したセンサ性能において重要である。本発明の実施形態では、丸みを帯びた先端形状を有する「V字」路を用いて、検知素子に到達する気流を直線にする。
【0012】
この「V字」路によって、空気が検知素子に直接衝突することになるが、翼が対称的なので、気流は迎角が約±50°に到達するまで「V字」路の壁に吸い付いたままになる。流路には、高圧領域と低圧領域が生じる。この圧力差によって、気流の方向が変わる。この方向変更によって、大きな水粒子及び塵粒子による直接的な影響を検知素子が受けないようにできる。水及び塵の質量は大きいので、これらの粒子の運動量に因って、気流が形成可能なような急峻な旋回を形成することができなくなる。気流が旋回して、水及び塵が気流から分離した後、気流は検知素子上方の外鞘部へと導かれる。この外鞘部は、検知素子の周りの気流速度を減少させ、この気流速度の減少によって、気温をほぼ真の全温度まで上昇させる。その後、空気の検知温度と真の全温度との差を用いて、センサの復帰誤差を計算する。外鞘部は、検知素子の外側の対流膜を大きく均一にする一助となる。このように対流膜が大きく均一であると、検知素子の過渡応答が減少すると同時に、励起誤差及び伝導誤差も減少する。気流を検知素子に向かって推進する圧力差が、3つの比較的小さい翼を用いて生成される。
【0013】
ファン入口温度検知素子は、エンジン入口全大気温度を測定する測温抵抗体(RTD)である。これは、気温変化に比例して抵抗が変化する、密封された、2素子型の電気装置である。両方の素子からの信号は、フルオーソリティデジタルエンジン制御(FADEC)に送られる。単一の電気コネクタで電気インターフェースを提供する。センサアセンブリは、使用時にセンサアセンブリハウジング上に氷が形成されないように、電気防氷システムによって給電される電気ヒータを使用する。様々な実施形態において、センサアセンブリは、硬化インコネル718から成り、砂及び塵粒子の衝突に曝されたときに損傷を受けない、十分に硬質なものである。砂及び塵の衝突の影響を最も受け易い領域である検知素子は、センサアセンブリの中心翼体によって保護されている。水及び砂粒子は全て、翼の設計により分離される。
【0014】
図1は、本発明の一実施例による、検知アセンブリ100の斜視図である。本実施例において、検知アセンブリ100は、基部102及びセンサアセンブリ104を含む。センサアセンブリ104は、検知素子106(図1では図示せず)、第1流路108、及び第2流路110を含む。センサアセンブリ104は、基部102とセンサアセンブリ104との間に延在する延伸部材112も含む。基部102は、フランジ114及びボス116を含む。フランジ114は、検知アセンブリ100を、例えばガスタービンエンジンの入口ダクト等、プロセス導管の壁に結合させるように構成されている。ボス116は、検知アセンブリ100内の電気部品を電源及び/又は制御装置(図示せず)に結合できるようにするための配線を収容するように構成されている。コネクタハウジング118は、ボス116と嵌合するように構成されている。コネクタハウジング118はコネクタ120を含み、このコネクタ120を介して、ワイヤーがコネクタハウジング118からケーブル(図示せず)まで延びている。
【0015】
図2は、線2−2(図1に示す)に沿った、延伸部材112(これもまた図1に示す)の平面図である。本実施例において、延伸部材112は、第1脚部202と、この第1脚部202との間に流路206を画定する第2脚部204を含む。流路206は、直線区間210に対して上流に、V字路合流区間208を含む。流体流212は、V字路合流区間208に進入して、直線区間210に向かって加速する。
【0016】
図3は、線3−3(図1に示す)に沿った、センサアセンブリ104(これもまた図1に示す)の側面図である。本実施例において、センサアセンブリ104は、第1翼体302、第2翼体304、及び中心翼体306を含む。また、本実施例において、第1翼体302、第2翼体304、及び中心翼体306は、延伸部材112に対して直角に延在する。一実施形態では、延伸部材112が、使用のために適切に設置されると垂直に向き、第1翼体302、第2翼体304、及び中心翼体306は、使用のために適切に設置されると、実質的に水平に向く。但し、動作時、用途によっては、検知アセンブリ100を、垂直及び水平の向きに対して延伸部材112、第1翼体302、第2翼体304、及び中心翼体306の向きを変化させる、ピッチ角で動作させてもよい。加えて、動作条件によっては、最大約50°の上昇及び下降(ピッチ)及び/又はセンサアセンブリ104の周りの回転(ヨー)を含む、様々な角度でセンサアセンブリ104に気流を進入させる。
【0017】
センサアセンブリ104は、検知素子106と、この検知素子106を少なくとも部分的に包囲する鞘部308を、更に含む。本実施例において、検知素子106は実質的に円筒形の本体を有し、鞘部308も実質的に円筒形である。検知素子106の外面310と鞘部308の内面312の間には、間隙314が画定される。鞘部308の第1上流開口部316によって、間隙314への流体の流入が可能になり、鞘部308の第2下流開口部318によって、間隙314からの流体の排出が可能になる。
【0018】
第1翼体302は、「J」の字の長い方の脚部320が流体流の方向に向けて位置合わせされ、短い方の脚部322が第2翼体304に向かって配向された、実質的にJ字型の断面を含む。第1翼体302は、中心翼体306に対向する凹面を含む。第2翼体304は、三角形の頂点324が検知素子106及び鞘部308に近接した、三角形の断面を含む。第2翼体304は、中心翼体306に対向する凸面を含む。中心翼体306は、中心翼体306の頂点326が流体流の方向に位置合わせされた、実質的に二等辺三角形を含む。
【0019】
第1翼体302及び中心翼体306は、第1流路108が合流区間328、直線区間330、及び旋回区間332を含むように、第1流路108を画定する。旋回区間332は、旋回区間332に流入する流れ336から粒子を分離させるように構成された、旋回半径334を含む。流れ336が旋回区間332に流入して旋回し始めると、その推力に因って、粒子、水滴、及び氷が、流体自体ほどの速さでは旋回できなくなる。このようにして、流れ336は、粒子担持ストリーム338と粒子低減ストリーム340とに分離される。粒子担持ストリーム338は、鞘部308と第1翼体302との間を通過するので、間隙314中に流入したり検知素子106に衝突したりすることはない。粒子低減ストリーム340を十分に旋回させて上流開口部316へと導くことで、検知素子106でこれを測定することができる。流路108の形状に因って旋回区間332内に発生した比較的高圧の領域342により、流れ336を開口部316内に導入し易くなる。領域342は、旋回区間332中の検知素子106よりも上流で発生する。
【0020】
第2翼体304と中心翼体306との間には、第2流路110が画定される。第2流路110は、検知素子106の下流に低圧領域344を生じるように構成される。
【0021】
図4は、プロセスパラメータを検知する方法400のフロー図である。本実施例において、方法400は、第1翼体と中心翼体との間に画定された第1流路によって流体流を誘導するステップ402と、第2翼体と中心翼体との間に画定された第2流路によって流体流を誘導するステップ404と、第1流路内の流体流を旋回させて、第1流路中の流体流を分離し、第1の流れが第2の流れよりも比較的少ない粒子を有するようにするステップ406と、第1の流れをセンサ素子へと導くステップ408とを含む。方法400は任意で、第1流路内に比較的高圧の領域を生成するステップ及び/又は第2流路内に比較的低圧の領域を生成するステップを含む。様々な実施形態において、方法400は、センサ素子付近で第1流路を出る流体流の速度を低減するステップを含む。更に別の実施形態では、第1流路を出る流体流の速度を、センサ素子を包囲する鞘部を用いて、センサ素子付近で低減する。方法400は、第1流路を出る流体流を、センサ素子を包囲する鞘部の開口部へと導くステップも含んでもよい。
【0022】
本明細書で使用する際、プロセッサという用語は、中央演算処理装置、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、及び本明細書に記載される機能を実行可能なその他いずれかの回路又はプロセッサを指す。
【0023】
本明細書で使用する際、「ソフトウェア」及び「ファームウェア」という用語は同義であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含む、メモリに格納されてプロセッサにより実行されるいずれのコンピュータプログラムも含む。上記のメモリの種類はあくまでも例示なので、コンピュータプログラムの格納に使用可能なメモリの種類について限定するものではない。
【0024】
上記の詳説から明らかなように、本開示の上述の実施形態は、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそのいずれかの組み合わせ又は小集合を含む、コンピュータプログラミング又はエンジニアリング技術を用いて実装可能であり、その技術的効果は、測定される気流中の粒子の分離を維持しながら、高迎角の条件下でプロセスパラメータを検知することである。コンピュータ可読コード手段を有する、このようないずれの結果的に得られるプログラムも、1つ以上のコンピュータ可読媒体において実装又は提供可能であり、これによって、本開示で論じた実施形態によるコンピュータプログラム製品、即ち製造物を製造できる。コンピュータ可読媒体は、例えば、固定(ハード)ドライブ、ディスケット、光ディスク、磁気テープ、読取専用メモリ(ROM)等の半導体メモリ、及び/又はインターネット又はその他の通信ネットワーク又はリンク等のいずれかの送受信媒体であってもよいが、これらに限定されない。コンピュータコードを含む製品は、1つの媒体から直接コードを実行することによって、1つの媒体から別の媒体にコードを複製することによって、又はネットワークを通じてコードを送信することによって、作製及び/又は使用可能である。
【0025】
プロセスパラメータを検知するための方法及びアセンブリの上述の実施形態は、水及び/又は氷がセンサに直接衝突すること、迎角、及び時間応答の影響を低減する、コスト効果及び信頼性の高い手段を提供する。より具体的には、本明細書に記載の方法及びアセンブリは、流体流から水及び/又は氷を分離し易くする。加えて、上述の方法及びアセンブリでは、プロセスセンサアセンブリ内の部品を動かすことなく、流体流の低速部分のサンプリングを容易に行える。その結果、本明細書に記載の方法及びアセンブリにより、高いコスト効果及び信頼性で、プロセスのパラメータを測定できる。
【0026】
本明細書では、最適な態様を含め、例を用いて本発明を開示しており、これによって当業者は、任意の装置又はシステムの作製及び使用、並びに任意の付随の方法の実行を含め、本発明を実施できる。本発明の特許請求の範囲は、請求項に定義されており、当業者に想到されるその他の例も含んでいる。こうしたその他の例は、請求項の文言と相違ない構成要素を有する場合、又は請求項の文言と実質的に相違ない等価の構成要素を有する場合、特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0027】
100 検知アセンブリ
102 基部
104 センサアセンブリ
106 検知素子
108 流路
110 流路
112 延伸部材
114 フランジ
116 ボス
118 コネクタハウジング
120 コネクタ
202 第1脚部
204 第2脚部
206 流路
208 V字路区間
210 直線区間
212 流体流
302 翼体
304 翼体
306 中心翼体
308 鞘部
310 外面
312 内面
314 間隙
316 上流開口部
318 下流開口部
320 長い方の脚部
322 短い方の脚部
324 頂点
326 頂点
328 合流区間
330 直線区間
332 旋回区間
334 半径
336 流れ
338 粒子担持ストリーム
340 粒子低減ストリーム
342 領域
344 低圧領域
400 方法
402 誘導ステップ
404 誘導ステップ
406 旋回ステップ
408 配向ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部(102)と、
センサアセンブリ(104)と、
を含む、検知アセンブリ(100)であって、
前記センサアセンブリが、
センサ(106)と、
第1流路(108)であって、合流区間(328)、直線区間(330)、及び旋回区間(332)を含み、前記旋回区間は、前記旋回区間に流入する流れ(336)から粒子を分離させるように構成された旋回半径(334)を有する、第1流路(108)と、
前記センサの下流に低圧領域(344)を生成するように構成される第2流路(110)と、
前記基部と前記センサアセンブリとの間に延在する延伸部材(112)と、を含む、
検知アセンブリ。
【請求項2】
前記延伸部材が、第1脚部(202)と、前記第1脚部との間に第三流路(206)を画定する平行な第2脚部(204)とを含み、前記第三流路は、合流区間(328)と直線区間(210)を有する、請求項1に記載の検知アセンブリ。
【請求項3】
各脚部の断面が、前記第三流路の中心線について互いに対して対称的である、請求項2に記載の検知アセンブリ。
【請求項4】
前記センサアセンブリの前記センサが、検知素子と、前記検知素子を少なくとも部分的に包囲する鞘部とを更に含む、請求項1に記載の検知アセンブリ。
【請求項5】
前記センサアセンブリの前記センサが、前記検知素子と、前記鞘部の周りで円周方向に離間した流入口(316)及び流出口(318)を含む鞘部(308)とを更に含む、請求項1に記載の検知アセンブリ。
【請求項6】
前記第1流路(108)が、第1翼体(302)と中心翼体(306)とによって画定される、請求項1に記載の検知アセンブリ。
【請求項7】
前記第1翼体及び中心翼体が各々、前記延伸部材に対して直角に延在している、請求項6に記載の検知アセンブリ。
【請求項8】
前記第1翼体がJ字型断面を含む、請求項6に記載の検知アセンブリ。
【請求項9】
前記第2流路(110)が第2翼体(304)と中心翼体とによって画定され、各翼体が前記延伸部材に対して直角に延在している、請求項1に記載の検知アセンブリ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−237754(P2012−237754A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−107155(P2012−107155)
【出願日】平成24年5月9日(2012.5.9)
【出願人】(309012096)ユニゾン・インダストリーズ,エルエルシー (7)
【Fターム(参考)】