説明

高逆反射率面のための高反射率ガラスビーズ

ガラス処方物、およびこのようなガラス処方物を、少なくとも1.59の屈折率および高レベルの逆反射率を有するガラスビーズに転換する方法が提供される。これらの方法および処方物は、環境に曝すことによる侵食に対して高レベルの耐性もまた有するビーズを提供する。さらに、本発明は、高い逆反射率、ならびに化学的侵食および物理的侵食に対し良好な耐性をもつガラスビーズを提供し得るプロセスおよびガラス組成物もまた提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ガラスビーズに関する。より詳細には、本発明は、ガラス処方物、ならびに、高レベルの逆反射率を有するガラスビーズを生成するためのプロセスおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ガラスビーズには多くの産業的使用および商業的使用がある。例えば、このようなビーズは、ハイウェイサイン上、舗装マーキング(pavement marking)のためのペイント、映画スクリーン上、および広告サイン上のような面の反射率を改善するために主に用いられている。ガラスビーズはまた、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のための充填剤として用いられている。その他の使用は、グリットブラスト(grit blasting)のため、および特定の金属のピーニング(peening)のための媒体としてのガラスビーズの使用を含む。ガラスビーズはまた、反射的衣類で用いられ得るか、またはそれらは、金属で被覆され得、そして伝導媒体として用いられる。
【0003】
多くの適用には、満足な性能には性質の組み合わせが要求される。代表的には、最適性能を提供するために、これらビーズは、可能な限りほぼ球形であることが所望される。これが重要である適用は、これらビーズの屈折率から重大である適用を含み、例えば、舗装マーキングでは、供給源、代表的には乗物上のヘッドライトの方向に戻って反射する光の量を記載するために用語「逆反射率」が用いられる。
【0004】
舗装マーキング適用では特に、同様に多くのその他の性能パラメーターが重要であり、道路表面の厳しい機械的および物理的環境による侵食(degradation)への耐性を含む。高屈折率は、高逆反射率のための必要とされるが、これは、しばしば、化学的および機械的耐久性、ならびに高い程度の真球度の要求の1つまたは両方の要求と反目する。これらの性質は、これらビーズが作製される方法により、それらの調製に用いられる特定のガラス処方物により、そしてこれら変数の相互作用によって大きく影響される。
【0005】
高度に球形のガラスビーズを形成するための1つの方法は、Jacksonらの特許文献1に開示され、そして回転するスイライクホイール、または炎からのガスのジェットのいずれかを採用し、ガラスの溶融ストリームをフィラメントに砕く(分ける)。これらのフィラメントが特定プロセスの加熱された領域を通過するとき、それらは球を形成する。しかし、これらフィラメントが、十分長い時間の間および/または十分高い温度でこの加熱領域内に存在しない場合、これらフィラメントの高い%は、丸いビーズを形成するだけの時間がない。その一方、これらフィラメントが、長すぎる時間の間、および/または高すぎる温度で加熱ゾーン中に存在する場合、これらビーズは、互いに粘着する傾向があり、そして非常に望ましくないダブレットまたはトリプレットのようなサテライト構造を形成する。Jackson特許によれば、フィラメント形成後、冷却およびビーズの回収前に、これらフィラメントが維持される時間および温度条件は、それらの間に、上記フィラメントの最大%が再形成、またはそれら自身を「球にし」球形ビーズを生成する最適緩和時間を規定する等式に従って設定される。この緩和時間の間に、これらビーズは、加熱された緩和ゾーンを通って自由飛行している。この緩和時間は、粒子直径、緩和プロセスの間のガラスの粘度、およびそのプロセスの間のガラスの表面張力に依存する。
【特許文献1】欧州特許第EP1,135,343B1明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それにもかかわらず、舗装マーキングのためのビーズについて、舗装マーキングビーズにとって十分高い屈折率を有し、そしてなお、泡封入および/またはビーズの少なくとも部分的不透明化(devitrification)を受けることなく、舗装マーキングにおいて耐久力のある、十分な硬度、破砕耐性、および化学的攻撃に対する安定性を提供するガラス処方物を識別する必要性がなお存在している。従って、高い屈折率を有し、そして環境に曝されることによる侵食に対する高い耐性を提供し得るガラス処方物から、低レベルの不透明化および低レベルの気泡封入を有する高度に球形のガラスビーズの形成に適切な条件を見出すことは常に可能なわけではない。要するに、高い逆反射率および化学的侵食および物理的侵食に対し良好な耐性をもつガラスビーズを提供し得るプロセスおよびガラス組成物に対する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
1つの局面では、本発明は、少なくとも1.59の屈折率を有し、そして重量%で表されるとき以下の組成を有するガラスビーズを提供する:
SiO=55〜65
O=10〜20
RO=5〜15
RO=10〜25
=0〜5
他成分=0〜2
ここで、ROは、アルカリ金属酸化物であり;ROは、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され;ROは、TiO、ZrO、またはそれらの組み合わせであり;そしてRは、B、Al、またはそれらの組み合わせである。
【0008】
別の局面では、本発明は、本発明のバインダーおよびガラスビーズを含む舗装マーキング組成物を提供し;このビーズは、少なくとも700mcd/m/luxの逆反射率を有し;ここで、このバインダーは、エポキシバインダー、ラテックスバインダー、熱可塑性バインダー、メチルメタクリレートバインダー、ポリウレアバインダー、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0009】
さらなる局面では、本発明は、ガラスビーズを作製するための方法を提供する。この方法は:
(a)重量%で表されるとき以下の組成を有するガラスの溶融粒子を提供する工程:
SiO=55〜65
O=10〜20
RO=5〜15
RO=10〜25
=0〜5
他成分=0〜2
ここで、ROは、アルカリ金属酸化物であり;ROは、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され;ROは、TiO、ZrO、またはそれらの組み合わせであり;そしてRは、B、Al、またはそれらの組み合わせである;
(b)上記粒子を球形にしてビーズを形成する工程;および
(c)上記粒子を冷却してこれらを凝固する工程、を包含する。
【0010】
この凝固されたビーズは、少なくとも1.59の屈折率を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
(ガラスビーズ)
本発明によるガラスビーズは、任意の目的に使用され得、そして特に、高い逆反射率を有する水平舗装マーキングを調製するために有用である。この高い逆反射率は、高い屈折率および高い光学的均一性であるビーズから少なくとも部分的に生じると考えられ、これらの両方は、内部の吸収によって、および光源に向かってそれを再方向付けて戻すよりむしろ、側方への光の損失を生じる、制御されない散乱によって、後方に反射される光の損失を阻止する。
【0012】
本発明によるビーズは、高い屈折率を有し、これは、この高い逆反射率に寄与する。本発明の1つの実施形態では、これらビーズは、ベッケ線油浸法(Becke line oil immersion method)によって測定されるとき、少なくとも1.59の、好ましくは1.59と1.63との間の屈折率を有し、これは、少なくとも一部、ガラス中の実質量のTiO、ZnO、および/またはZrOを含むことから生じる。
【0013】
高い逆反射率に寄与するのはまた、ビーズの高い光学的均一性であり、これは、寄与因子として、高レベルの真球度および低レベルの不透明化および気泡封入を含む。なぜなら、不透明化およびガス封入の両方は、散乱中心を生成し、これは、逆反射率を低減するからである。代表的には、ある程度の結晶化の存在をいう不透明化は、顕微鏡検査によって測定されたとき、本発明によって作製されるビーズにおいて、平均0.1%より少なく(すなわち、1000個中1個より少ない)存在する。これらビーズはまた、気泡が相対的になく、代表的には、顕微鏡検査によって測定されるとき、光学的に見える泡を含むものは、平均1%より少ない(すなわち、1000個中10個より少ない)。本発明の多くのビーズは、光学的均一性を測る手段として当該技術分野で周知であるクリスチャンセンフィルター試験法によって測定されるとき、1×10−5より小さいシグマ−平方値を有する。その方法の詳細は、T.TenzlerおよびG.H.Frischat、「Application of Christiansen−Shelyubskii Method to determine Homogeneity and refractive Index of Industrial Glasses」Glastech.Ber.Glass Sci.Technol.68(12)1995、またはそれに代わって、G.SchillingおよびW.Weiss、「Experiments to Determine the Homogeneity of Glasses by Shelyubskii Method」、Glass Technology 7(2)1966中に見出され得る。
【0014】
本発明によるビーズはまた、反射光中には、ほとんど色を提供しない。このことは、視覚的に不快であるのみならず、後方反射光の損失を示す、任意の特定の可視波長の優先的散乱または吸収がほとんどないことを示す。一般に、舗装マーキングビーズが何らかの色を示すとき、それは黄色がかっており、そしてそれ故、黄色の指標が本出願のビーズを特徴付けることで有用である。本発明による代表的なビーズは、2゜の観察角度を用いるD65照明の下でASTM E313−00、「Standard Practice for Calculating Yellowness and Whiteness Indices from Instrumentally Measured Color Coordinates」を用い、30より小さい、そしてより代表的には20より小さい黄色指標スケール(YI)値を有する。
【0015】
代表的には、本発明によるビーズは、少なくとも700mcd/m/lux、そしてより代表的には、少なくとも900mcd/m/luxの逆反射率を提供し、そしてこれらのビーズ、および舗装マーキングについて当該技術分野で公知の任意のバインダーから選択されるバインダーを含む舗装マーキングを処方することにおいて用いられ得る。このようなバインダーの非制限的な例は、エポキシ、ラテックス、熱可塑性物質、メチルメタクリレート、およびポリウレアバインダーを含む。本明細書で用いられるとき、本発明のビーズに適用される用語「逆反射率」は、ビーズがバインダーに付与され、そして実施例1に記載のように評価される試験サンプルから得た逆反射率を意味する。逆反射率(逆反射係数Rとも称される)は、Lyngby、DenmarkのDelta Light and Opticsから入手可能なRetrometer LTL2000のような携帯式の機器を用い、30メートル測定ジオメトリで測定され得る。本発明によるビーズは任意のサイズであり得るが、舗装マーキングには、それらは、代表的には、約0.05mmと2.5mmとの間の、そしてより代表的には1.0mmと1.2mmとの間の平均直径を有する。
【0016】
本発明のビーズはまた、舗装マーキング適用において見出されるような困難な環境条件下で良好な耐久性を示す。このような適用に用いられるビーズは、多くの環境への曝露による侵食を受け、そしてそれ故、化学的にも物理的にも頑健である必要がある。
【0017】
舗装マーキングビーズは、乗物、除雪機などの通過から生じる強力な物理的力に曝される。従って、この適用における使用のためのビーズは、破砕および摩耗に耐性でなければならない。本発明によるビーズは、代表的には、単軸圧縮試験によって決定されるとき、少なくとも350MPa、そしてより代表的には少なくとも400MPaの平均破砕耐性を有し、そして代表的には摩耗に対して非常に耐性である。これらの利点は、これらビーズを調製するために用いられるガラス組成物の代表的には高い硬度に少なくとも一部起因し得、これらガラスは、徐冷(焼き鈍し)されるとき、500GPaと600GPaとの間の平均ビッカース(Vickers)硬度値を有する。
【0018】
舗装マーキングビーズはまた、通過する乗物から生じる比較的高濃度の大気汚染物質に曝され、この曝露は、これらビーズを曇らせる傾向があり、それらの逆反射率を低減する。このような汚染物質の面における耐久性の1つの尺度は、これらビーズを、50重量%の硫化ナトリウム、48重量%の蒸留水および2重量%のポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル(Triton(登録商標)X−405、非イオン性湿潤剤として市販される)の溶液中、25℃で1時間の処理に曝すことにより近似されるような還元型スモッグ条件(reducing smog condition)に対する耐性である。ビーズの曇りは、ハンター(Hunter)のL値における増加によって示され、そして本発明によるビーズは、代表的には、このような処理の後、ハンターのL値における10単位を超えない増加を、そしてしばしば5単位を超えない増加を示す。
【0019】
貯蔵の間、上記ビーズは、倉庫で遭遇され得るような、熱いかつ多湿条件に曝され得る。このような条件は、例えば、大気中の二酸化炭素およびビーズ中のナトリウムイオンからの炭酸ナトリウムの形成により、大部分のガラスの曇りを生じる傾向がある。このような曇りへの耐性は、これらビーズを、37.8℃で90%相対湿度に所定時間曝すことにより示され得る。本発明によるビーズは、熱および湿度に起因する曇りに極めて耐性であり、そして代表的には、そのような処理の後、ハンターのL値で10単位を超えない、そしてこのような試験条件への曝露の3週間後、しばしば5単位を超えない増加を示す。
【0020】
(ガラス組成物)
本発明によるビーズを作製するために適切なガラス組成物は、少なくとも1.59、そして代表的には1.59と1.63との間の高い屈折率を生じる実質量のSiOおよびTiOを含む。一般に、これらガラスは、重量%で表されるとき、以下の組成範囲に入る:
SiO=55〜65
O=10〜20
RO=5〜15
RO=10〜25
=0〜5
他成分=0〜2。
【0021】
本明細書で用いられるとき、ROは、1つ以上のアルカリ金属酸化物を意味し、ROは、1つ以上のアルカリ土類金属酸化物および/または亜鉛酸化物、ROは、TiOまたはZrOまたはそれらの組み合わせを意味し、そしてRは、B、Al、またはそれらの組み合わせを意味する。0〜2%の「他成分」は、非制限的な例として、GeO、P、As、TeO、SeO、MoO、WO、Bi、Ga、およびV、および/または当該技術分野で公知のその他の成分を含み得る。本発明の好ましい実施形態では、この0〜2%は、約1.5%の、より代表的には約0.5%のSbを含む。Sbの存在は、ガラス中の黄色を減少することで役にたち得る。また黄色を減少するために、ガラスが、0.03重量%より少ない、より好ましくは0.01重量%より少ない鉄(Fe)を含むことが好ましい。
【0022】
代表的には、本発明のガラス組成物は、重量%で表されるとき以下の組成を有する:
SiO=55〜62
O=10〜14
RO=5〜10
TiO=15〜20
=0〜1
他成分=0〜2。
【0023】
代表的には、ROは、ガラスの少なくとも10wt%に等しい量のNaOを含むか、または本質的になる。代表的には、ROは、アルカリ土類金属酸化物を含むか、または本質的になる。ROは、ガラスの少なくとも5wt%に等しい量のCaOを含み得るか、必要に応じてその他のアルカリ土類金属および/または亜鉛酸化物がまた存在し、ROの総量を5wt%を超えるようにする。代表的には、ROはTiOである。本発明によるビーズを作製するための1つの例示のガラス処方物は、約1.616〜1.624の屈折率を有し、そして重量%で表されるとき以下の組成を有する:
SiO=60
O=12.5
RO=6
TiO=20
=0.5
他成分=1。
【0024】
本発明に従う使用に適切なガラス処方物は、このガラスの結晶化温度より高い温度における溶融形態では、代表的には50〜500ポアズの粘度を、そしてより代表的には100〜200ポアズの粘度を有する。これら性質の組み合わせは、(有効な球形化を可能にする比較的低い粘度に起因して)高度に球形であるビーズを提供することで特に有用であり得、それによって、逆反射率を増加し、しかも、不透明化(これは、散乱を増加することにより逆反射率を損なう)がほとんどないか、またはない。本発明の1つの実施形態では、ガラスが50〜500ポアズ、または100〜200ポアズの粘度を有する温度は、ガラスの結晶化温度より少なくとも25℃高い。これは、実際の製造プロセスで便利な操作余裕を提供し、ここでは、粒子サイズにおける不均一性、球状化プロセス間の粒子温度、および/またはその他の変数が、ビーズの不透明化を防ぐために所望されるより大きな操作余裕をなし得る。代表的には、本発明に従う使用のために適切なガラスは、ASTM法C829によって決定されるとき、1050℃と1150℃との間の結晶化温度を有する。
【0025】
(ビーズを作製する方法)
本発明は、ガラスビーズを作製する方法を提供し:
(a)上記で規定されるような組成を有するガラスの溶融粒子を提供する工程:
(b)上記粒子を球形にしてビーズを形成する工程;および
(c)このビーズを冷却してこれらを凝固する工程、を包含する。
【0026】
種々の方法が、本発明による組成を有するビーズを形成するために採用され得る。例えば、上記ガラスは、本発明による組成を有するガラスを破砕することによるような、既に成形された固形粒子で提供され得、これら粒子は、加熱されたゾーン(これは、例えば、炎、または炉であり得る)中に運ばれ、そこで、それらは、溶融し、そして球にされ、本発明のビーズを形成する。この種類の適切な方法は、当該技術分野で公知であり、例えば、R.H.Pottersによる米国特許第2,334、578号に開示され、これは、ドラフトチューブまたはスタック内の炎中にガラス粒子を導入することを記載する。別のビーズ形成技法は、回転するホイールを用い、溶融ガラスのストリームを、このストリームが粒子に分かれることを引き起こすために十分な力で打ち、これら粒子は、加熱された領域を通り、そして最終的に冷却領域および回収ゾーンまで射出される。このようなシステムは、米国特許第3,495,961号に示され、そして開示されている。なお別の方法が米国特許第3,499,745号に開示され、これは、上記’961特許に開示されるプロセスに類似のプロセスを開示しているが、打撃ホイールの代わりにローターを利用する。ガラスビーズを作製するその他の公知の方法は、ガスのストリームを溶融ガラスのストリームに衝突させることを含み、米国特許第3,279,905号に開示されるように、このガラスを分離した(discreet)粒子に分散する。
【0027】
1つの例示の実施形態では、上記粒子はフィラメントであり、そして工程(a)は、連続して、溶融ガラスの浴を提供する工程、この浴から溶融ガラスのストリームを形成する工程、およびこのストリームを破砕し、例えば、打撃ホイールまたは炎ジェットの使用により上記フィラメントを形成する工程を包含する。このような方法は、欧州特許第EP1,135,343B1に記載されている。本明細書で用いられるとき、用語「フィラメント」は、任意の形状であるが、代表的には、初期の破砕後、ファイバーまたはストランドまたは球状体の形状である多量の単一の細長い溶融ガラスを意味する。本発明のこの実施形態の実施のために適切なプロセスおよび装置の説明がここで提示される。
【0028】
本発明によるビーズを形成する方法は、次に、図1を参照して示され、これは、制限するよりはむしろ例示であることが意図され、本発明の説明を容易にするために本明細書に含められる。図1はスケール通りではなく、そして工業図面として供されることは意図されない。
【0029】
ここで、図面を参照して、図1は、ガラスビーズを産生するための装置の概略図である。図1に示されるように、炉10は、ガラス原材料を含み、そして従来様式で溶融ガラスの浴を形成するため、第1の程度の熱で加熱するために用いられる。代表的には、この炉に供給される第1の程度の熱は、この炉内の温度を約1300〜1600℃まで上昇するために十分である。この炉はオリフィス19を有し、溶融ガラスの浴から下方に流れる溶融ガラスのストリーム11を提供する。このストリームは、層状の連続ストリームであり、そしてモーター13によって駆動される打撃ホイール12に向けられる。この打撃ホイール12は、複数フィン付きの回転可能なディスクである。オリフィス19は、溶融ガラスのストリーム11が変動可能なストリーム直径を有し得るように、調節可能である。さらに、溶融ガラスのストリーム11は、オリフィス19から打撃ホイール12までの排出距離d1を辿る。本発明の代替の実施形態では、この炉10はいくつかのオリフィスを含み、これらオリフィスの各々は、1つの打撃ホイールまで流れるか、または各ストリームにともなう打撃ホイールを個々に有する。3つの別個のストリームが打撃ホイール12から射出するとして図1に示されるが、任意の数のストリームが用いられ得る。
【0030】
時計方向に回転するとして示される打撃ホイール12の周縁上に衝突する溶融ガラスは、この打撃ホイールの力によって再方向付けされる。打撃ホイール12によって溶融ガラスのストリーム11上に与えられる力は、距離d3を辿った後、このストリームをフィラメント14aに砕くようにし、そしてヒーターハウジング15aによって規定される加熱領域15を通過するには十分である。周知のように、このストリームが砕かれる単一の点はなく、そして即座に、最終的に形成されるビーズの数に対応するフィラメントの数を形成する;それに代わって、このストリームは、第1のフィラメントへの第1の破砕を受け、これは、次いで、第2のフィラメントに砕かれ、これは、それら自身で第3のフィラメントにさらに砕かれる。このプロセスは、システムの特定の条件、ならびに溶融ガラスの組成、粘度、および表面張力に依存して変動する程度まで継続する。ある点で(代表的には、加熱領域を通るフィラメントの辿る時間の約20%以内)、これらフィラメントの実質的にすべてが分離され、その結果、フィラメトンの数は、最終的に形成されるビーズの数に実質的に対応する。本明細書で用いられるとき、この点は、「分離終了点」と称される。この分離終了点から前方で、各フィラメントの容量はほぼ同じままであり、そして各フィラメントの形状は、表面張力の影響に起因して球の形状に向かって進化する。
【0031】
本発明の目的には、上記ストリームが砕かれ(分かれる)時間を決定することが有用であり得、これは、このストリームが最初にフィラメントに分かれはじめる時間と、分離終了点との間の中間点を意味する。高速度写真撮影を用いて、この中間点を正確に決定し得るが、打撃ホイールから加熱領域の端までの辿る時間の約10%の近似が、多くのシステムおよびガラス組成物について受容され得る。
【0032】
図1によれば、ストリームおよびフィラメントは、打撃ホイール12よって打たれた後ではあるが、加熱領域15に入る前に、冷却距離d2を辿る。図1には示されていないが、より大きなヒーターが、打撃ホイール12およびその関連する装置を実質的に包含し得、しかし、単に開口部を有することでも、ストリーム11およびフィラメント14aの流れを可能にする。
【0033】
ビーズサイズに関し、これは、多くの因子の関数であるが、主要な因子は、ガラスの組成、上記溶融ガラスが出現するオリフィスの直径、および上記打撃ホイール上の歯の数である。従って、フィラメントが形成されるやいなや、形成された丸いビーズの直径が、上記で述べた3つの因子を基に本質的に固定される。より小さな直径のビーズが所望される場合、上記炉のオリフィスの直径は、減少されるか、または歯の数が増加される。歯の数の下限は、所望の生産性に依存するが、上限は、ストリームの流れ経路が、第1の歯に隣接する別の歯から出現するとき、このストリームの流れ経路を妨害する第1の歯の背部を有することを避ける必要性によって決定される。
【0034】
上記打撃ホイールの実施形態のパラメーターについての適切な例示の範囲を記載する。上記溶融ガラスのストリームの直径は、代表的には約0.5mm〜約3mmの範囲であり、そしていくつかの実施形態では、それは1mmと2mmとの間である。1つの実施形態では、本発明と組み合わせて用いられ得る打撃ホイールは、135mmの外径および8mmピッチの53の歯を有する。この打撃ホイールの速度は、ほぼ3,000〜8,000rpmである。この速度の好ましい範囲は、130mmの直径打撃ホイールについて、約6,000rpm〜7,000rpmである。
【0035】
溶融ガラス粒子を形成する任意の特定の手段にかかわらず、その他のパラメーターの適切な範囲は、以下のようである。溶融ガラスの好ましい温度は、先に記載した理由のため、粘度が約50ポアズと500ポアズとの間、より好ましくは約100ポアズと200ポアズとの間である温度である。この温度は、ガラスの結晶化温度より高く、これもまた先に記載されたように、好ましくは少なくとも25℃高いことがまた好ましく、しかも、上記粒子は、この温度またはより高い温度で球状化プロセスを開始するように提供される。本発明の1つの実施形態では、ガラスは、約1200℃と1350℃との間の温度でこれらの粘度規準に合致する。
【0036】
これら粒子の粘度を球状化プロセスの間に所望の制限内に維持し、それによって、よりほぼ完全な球を形成するために、球状化が起こる雰囲気の温度は、好ましくは、少なくとも上記粒子が提供される温度と同じ高さである。球状化雰囲気のために選択される正確な温度は、多くの変数に依存し、この変数としては、ガラス処方物および所望の粒子サイズの選択が挙げられる。提供されるようなガラス粒子の温度(そして恐らくはその他の変数も同様に)の調節と組み合わせて、所定の程度のこの温度の慣用的な最適化が、任意の所定の処方物および所望のガラスビーズサイズについて必要であり得ることは、当業者によって認識される。一般規則として、しかし、球状化が起こる、この雰囲気のために受容可能な温度は、ほぼ1200℃〜1600℃、より代表的には1300℃〜1600℃の範囲である。上記溶融ガラス粒子が球になるために十分な時間、代表的には、少なくとも0.05秒が提供されるべきである。1mmと1.2mmとの間の平均直径を有するビーズが産生されるべき場合、この雰囲気の温度は、代表的には、約1450℃と1550℃との間であり得る。
【0037】
(ビーズの適用)
本発明によるビーズは、当該技術分野で公知の任意の方法で、反射デバイスまたは被覆に取り込まれ得る。舗装マーキングの場合には、これらビーズは、例えば、舗装に適用されたバインダー材料に分散され得、その結果、これらビーズはバインダーの表面に粘着し、そして高度に逆反射性の面を提供する。例示のバインダーは、当該技術分野で周知であり、そしてポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、エポキシ、ラテックス、および溶媒ベースの被覆を含む。あるいは、これらビーズは、テープの表面内に取り込まれ得、その結果、このテープは、表面(例えば、舗装)に付与され得、そしてそれによって高度に逆反射性の表面を提供する。本発明のビーズを有用な物品または材料に取り込むその他の方法は、当業者に明らかである。
【実施例】
【0038】
(実施例1)
以下の材料を混合し、そして天然ガス−酸素バーナーを用いて加熱された従来のガラス溶融炉中に、約167kg/時間の供給速度で供給した。値はキログラムで与えられる。
砂:414
ソーダ灰:188
石灰岩:131.5
二酸化チタン:149。
【0039】
溶融タンク中のガラスは1350℃の温度で維持され、そして約1200℃の表面温度まで調整され、そこで、それは、各々が8mmの直径を有する5つのオリフィスから引き出された。ガラスストリームを、5,000〜6,000rpmで回転し、かつ135mmの外径を有し、そして8mmピッチの53の歯を備えた打撃ホイール上に落とし、そして水平から約20゜〜30゜で加速される。加速されたストリームは、2つのガス−空気バーナーを用いて加熱された3メーターチューブを通過され、そして空気冷却されたビーズがそれらの軌跡の端で回収された。この3メーターチューブ中の雰囲気の温度は、約1450℃〜1550℃であった。得られるガラスビーズは、1.620〜1.624の屈折率および0.85mmと1.12mmとの間のサイズ分布を有し、96重量%のビーズが、光学顕微鏡を用い、1.2以下のアスペクト比をもつすべての粒子を「球」として計数する粒子カウントによって決定されたとき、球であると測定された。これらビーズの化学的組成は、以下のようであり、ここで、値は重量%である:
SiO=54.5
NaO=14.95
O=0.25
CaO=9.94
MgO=0.13
Al=0.51
Fe=0.037
TiO=18.43。
【0040】
ビーズは、白色エポキシバインダー層(Epoplex LS50、Maple Shade、NJのStonhard Inc.)で被覆されたガラスプレート上に均一に滴下され、25ミルのドクターブレードの使用により塗布された。これらビーズは、バインダー上に、600g/mの装填率で均一に塗布され、道路ストライプをシミュレートし、各ビーズが、その直径の60%を超えないで、かつ40%よりは少なくなく、このバインダー中に浸漬されることを確実にした。エポキシバインダーの硬化の後、このビーズ/バインダーシステムの逆反射率は、Retrometer LTL−2000機器を30メートルジオメトリーで用いる8回の測定から、平均929mcd/m/luxと測定された。
【0041】
(実施例2(比較例))
1.54の屈折率を有するガラスビーズが、重量%で示された以下の化学組成のガラスを用いて調製された:
SiO=62
NaO=15
O=1
CaO=16.5
MgO=2.6
Al=2.0。
【0042】
ビーズは、実施例1に記載のプロセスに従って作られ、そしてその実施例におけるように逆反射率が評価された。硬化ビーズ/バインダーシステムの逆反射率は、8回の測定から、ほんの603mcd/m/luxと測定された。
【0043】
本発明は、詳細な実施形態を参照して本明細書中で示され、説明されるけれども、本発明は、示された詳細に制限される意図はない。むしろ、種々の改変が、本発明を逸脱することなく請求項の等価物の範囲および広がり内で細部になされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明によるガラスビーズを作製するため装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1.59の屈折率を有し、そして重量%で表されるとき以下の組成を有するガラスビーズであって:
SiO=55〜65
O=10〜20
RO=5〜15
RO=10〜25
=0〜5
他成分=0〜2
ここで、ROは、アルカリ金属酸化物であり;ROは、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され;ROは、TiO、ZrO、またはそれらの組み合わせであり;そしてRは、B、Al、またはそれらの組み合わせである、ガラスビーズ。
【請求項2】
ROが、アルカリ土類金属酸化物およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、そしてROが本質的にTiOからなる、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項3】
前記組成が:
SiO=55〜62
O=10〜14
RO=5〜10
TiO=15〜20
=0〜1
他成分=0〜2
であり、ここで、ROは、アルカリ土類金属酸化物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、そしてROはTiOである、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項4】
Oが、前記ガラスの少なくとも10wt%に等しい量でNaOを含む、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項5】
ROが、前記ガラスの少なくとも5wt%に等しい量でCaOを含む、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項6】
前記ガラスが、1050℃と1150℃との間の結晶化温度を有する、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項7】
溶融形態にある前記ガラスが、該ガラスの結晶化温度より高い温度で50〜500ポアズの粘度を有する、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項8】
溶融形態にある前記ガラスが、該ガラスの結晶化温度より高い温度で100〜200ポアズの粘度を有する、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項9】
溶融形態にある前記ガラスの粘度が100〜200ポアズである温度が、該ガラスの結晶化温度より少なくとも25℃より高い、請求項8に記載のガラスビーズ。
【請求項10】
前記ビーズが、1.59と1.63との間の屈折率を有する、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項11】
顕微鏡検査によって決定されるとき、不透明化が、平均0.1%より少ないビーズで存在する、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項12】
顕微鏡検査によって決定されるとき、平均して1%より少ない前記ビーズが、光学的に見える泡を含む、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項13】
クリスチャンセンフィルター試験法によって1×10−5より小さいシグマ−平方値を有する、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項14】
30より小さい黄色度指数スケール(YI)を有する、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項15】
前記ビーズが、50重量%硫化ナトリウム、48重量%蒸留水および2重量%ポリオキシエレチン(40)イソオクチルフェニルエーテルの溶液中、25℃で1時間の処理の後、ハンターのL値で5単位を超えない増加を示す、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項16】
前記ビーズが、37.8℃で、90%の相対湿度で3週間の貯蔵の後、ハンターのL値で5単位を超えない増加を示す、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項17】
約0.05mmと2.5mmとの間の平均直径を有する、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項18】
前記ガラスが、500GPaと600GPaとの間の平均ビッカース硬さ値を有する、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項19】
前記ビーズが、単軸圧縮試験によって決定されるとき、少なくとも350MPの平均圧砕耐性を有する、請求項1に記載のガラスビーズ。
【請求項20】
バインダーおよびガラスビーズを含む舗装マーキング組成物であって、該ビーズが少なくとも1.59の屈折率を有し、そして重量%で表されるとき以下の組成を有し:
SiO=55〜65
O=10〜20
RO=5〜15
RO=10〜25
=0〜5
他成分=0〜2
ここで、ROは、アルカリ金属酸化物であり;ROは、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され;ROは、TiO、ZrO、またはそれらの組み合わせであり;そしてRは、B、Al、またはそれらの組み合わせであり;該ビーズが、少なくとも700mcd/m/luxの逆反射率を有し、ここで該バインダーは、エポキシバインダー、ラテックスバインダー、熱可塑性バインダー、メチルメタクリレートバインダー、ポリウレアバインダー、およびこれらのうちのいずれかの組み合わせからなる群より選択される、組成物。
【請求項21】
前記逆反射率が、少なくとも900mcd/m/luxである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
ガラスビーズを作製する方法であって:
(a)重量%で表されるとき以下の組成を有するガラスの溶融粒子を提供する工程:
SiO=55〜65
O=10〜20
RO=5〜15
RO=10〜25
=0〜5
他成分=0〜2
ここで、ROは、アルカリ金属酸化物であり;ROは、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され;ROは、TiO、ZrO、またはそれらの組み合わせであり;そしてRは、B、Al、またはそれらの組み合わせである;
(b)該粒子を球形にしてビーズを形成する工程;および
(c)該粒子を冷却してこれらを凝固する工程;を包含し、
ここで、該凝固されたビーズが、少なくとも1.59の屈折率を有する、方法。
【請求項23】
前記粒子がフィラメントであり、そして前記粒子を提供する工程が、順に、
(a1)溶融ガラスの浴を提供すること;
(a2)該浴から、溶融ガラスのストリームを形成すること;および
(a3)該ストリームを該フィラメントに崩すこと、を包含する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記粒子を球形にする工程が、該粒子を、1200℃と1600℃との間の温度を有する雰囲気中に少なくとも0.05秒間維持することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記ビーズが1mmと1.2mmとの間の平均直径を有し、そして前記雰囲気が1450℃と1550℃との間の温度を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記工程(a)で提供される粒子中のガラスが、前記工程(b)の開始のときに、50ポアズと500ポアズとの間の粘度を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記工程(a)で提供される粒子中のガラスが、前記工程(b)の開始のときに、100ポアズと200ポアズとの間の粘度を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記溶融粒子を提供する工程が、前記ガラスの結晶化温度より高い温度で該粒子を提供することを包含する、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記温度が、前記ガラスの結晶化温度より少なくとも25℃高い、請求項28に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−535463(P2007−535463A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510887(P2007−510887)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/014278
【国際公開番号】WO2005/105684
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(500422115)ピーキュー ホールディング, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】