説明

高速信号伝送用ケーブル

【課題】高周波における伝送損失増加を抑制する高速信号伝送用ケーブルを提供する。
【解決手段】第1の接地用導体2と、第1の接地用導体2の周囲を覆う第1の絶縁体3と、第1の絶縁体3の周囲を覆う信号用導体4と、信号用導体4の周囲を覆う第2の絶縁体5と、第2の絶縁体5の周囲を覆う第2の接地用導体6と、第2の接地用導体6の周囲を覆うジャケット7とを備え、第1の絶縁体3の外径dが第1の接地用導体2の外径d*の2倍以上、かつ、第2の絶縁体5の外径Dが第1の絶縁体の外径dの1.3〜2.3倍である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波における伝送損失増加を抑制する高速信号伝送用ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ、ルータ、ストレージなどの電子機器では、伝送速度が数Gbps以上の高速デジタル信号を扱う。この種の電子機器において、装置間、装置内のシャーシ間、装置内の基板間などの信号伝送には、信号波形劣化が少なく、高速伝送特性が優れたインタフェースが要求される。そのインタフェースのひとつに、高速信号伝送用ケーブルがある。
【0003】
従来、高速信号伝送用ケーブルには同軸ケーブルが用いられる。図9に示されるように、同軸ケーブル101は、芯線(内部導体、中心導体とも言う)102と、芯線102の外周を覆う絶縁体103と、絶縁体103の外周を覆う外導体(外部導体ともいう)104と、外導体104の外周を覆うジャケット105とからなる。
【0004】
芯線102には電子機器の信号ラインを接続し、外導体104には電子機器のグランドを接続して、芯線102により伝送信号を伝送する。しかし、同軸ケーブル101では、伝送する信号の周波数が高い(=伝送速度が大きい)と、芯線102に生じる表皮効果の影響で伝送損失が大きくなる。この傾向はケーブル長が長いほど顕著に現れる。その結果、高速信号を長距離伝送すると、もともと矩形であったデジタル信号波形がなまってしまい、伝送信号が劣化して正常な信号伝送ができなくなる。伝送信号の劣化は、伝送信号を観測機で観測したとき、アイパターンの開口が小さくなることで分かる。
【0005】
そこで、従来より、同軸ケーブル101には、表皮効果による伝送損失の増加を抑えるための工夫がなされている。
【0006】
同軸ケーブル101のケーブル構造パラメータ(各部寸法のこと)に関しては、伝送損失を小さくするように、同軸ケーブル101の特性インピーダンスが50Ωにされている。図9の同軸ケーブル101の単位長あたりの伝送損失αは、表皮効果のみによる伝送損失のみ考慮すると、
【0007】
【数1】

【0008】
で表される。
【0009】
ここで、Dpは外導体104の内径、dpは芯線102の外径、σは導体(芯線102及び外導体104)の導電率、δは表皮効果における表皮厚さ、εは絶縁体103の誘電率、μは絶縁体103の透磁率である。なお、
1[Np]=20/ln10[dB]
≒8.686[dB]
と換算できる。
【0010】
式(1)より、表皮効果による伝送損失が最も小さい同軸ケーブル101は、外導体104の内径/芯線102の外径(=Dp/dp)=3.59となる同軸ケーブル101である。絶縁体103の誘電率を2〜3としたとき、同軸ケーブル101の特性インピーダンスが約50Ωになる。
【0011】
また、同軸ケーブル101では、表皮効果により、伝送信号の周波数が高いほど伝送損失が大きいという周波数特性を持つため、この周波数特性を平坦化するよう、芯線102を中空にするか、あるいは芯線102の中心部を導電率の小さい材料で構成する。これにより、表皮効果による伝送損失が抑えられ、長距離のデジタル信号伝送が可能になっている。
【0012】
さらに同軸ケーブル101の周辺回路に関しては、同軸ケーブル101の両端末に電気的に接続される送信デバイスと受信デバイスとして、高周波での減衰を補償する機能を備えたICや信号波形を整形する機能を備えたICを実装することで、高周波での減衰を補償したり信号波形を整形したりする。これにより、長距離のデジタル信号伝送が可能になっている。例えば、プレエンファシスICは、送信する伝送信号の矩形波の立ち上がり側をあらかじめ増幅しておくICである。
【0013】
【特許文献1】特開2004−265769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
既に述べたように高速信号伝送用ケーブルとして用いる同軸ケーブル101では、特性インピーダンスが50Ωとなるように構造パラメータが決められた。差動線路では、同軸ケーブル101を2本用いて特性インピーダンスが100Ωとなるように構造パラメータが決められた。
【0015】
これに対し、高速信号伝送用ケーブルの両端末には、IC等により構成される送信デバイス、受信デバイスが電気的に接続されるが、送信デバイスの出力インピーダンス又は受信デバイスの入力インピーダンスが50Ωや100Ωより小さい場合、高速信号伝送用ケーブルの特性インピーダンスもこれに合わせて小さくするのが望ましい。
【0016】
しかし、同軸ケーブル101においては、外導体104の内径/芯線102の外径(=D/d)を小さくすることで特性インピーダンスを小さくすることはできるが、芯線102に生じる表皮効果によって、伝送損失が急激に増加する。
【0017】
一方、絶縁体103の誘電率εを大きくすれば、同軸ケーブル101の特性インピーダンスを小さくすることができる。しかし、誘電率εが小さく、かつ、ポリエチレン等のようにケーブル製造に適した材料が従来は見当たらない。
【0018】
以上の理由で、従来の同軸ケーブル101において、特性インピーダンスを小さくすると、伝送損失が大きい。その結果、従来の同軸ケーブル101を高速信号伝送用ケーブルに用いると、信号波形の劣化が大きく、長距離のデジタル信号伝送ができない。
【0019】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、高周波における伝送損失増加を抑制する高速信号伝送用ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明は、第1の接地用導体と、該第1の接地用導体の周囲を覆う第1の絶縁体と、該第1の絶縁体の周囲を覆う信号用導体と、該信号用導体の周囲を覆う第2の絶縁体と、該第2の絶縁体の周囲を覆う第2の接地用導体とを備え、前記第1の絶縁体の外径は、前記第1の接地用導体の外径の2倍以上であり、かつ、前記第2の絶縁体の外径は、前記第1の絶縁体の外径の1.3〜2.3倍であるものである。
【0021】
前記信号用導体は、テープ状導体が巻かれて形成されてもよい。
【0022】
前記信号用導体は、複数の素線が撚り合わされて形成されてもよい。
【0023】
前記第1の接地用導体と該第1の接地用導体の周囲を覆う第1の絶縁体と該第1の絶縁体の周囲を覆う信号用導体と該信号用導体の周囲を覆う第2の絶縁体とからなる複数本の同軸線が、1つの前記第2の接地用導体によって一括被覆されていてもよい。
【0024】
前記第1の接地用導体と前記第2の接地用導体とが端末で電気的に接続されてもよい。
【0025】
特性インピーダンスが20Ω以下であってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0027】
(1)高周波における伝送損失増加を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0029】
図1に示されるように、本発明の第一実施形態に係る高速信号伝送用ケーブル1は、第1の接地用導体2と、第1の接地用導体2の周囲を覆う第1の絶縁体3と、第1の絶縁体3の周囲を覆う信号用導体4と、信号用導体4の周囲を覆う第2の絶縁体5と、第2の絶縁体5の周囲を覆う第2の接地用導体6と、第2の接地用導体6の周囲を覆うジャケット7とを備える。
【0030】
図示のように、第1の絶縁体3の外径dは、第1の接地用導体2の外径d*の2倍以上である。第2の絶縁体5の外径Dは、第1の絶縁体の外径dの1.3〜2.3倍である。
【0031】
第1の接地用導体2は、外径d*が0.12mmの銅線にて作製する。第1の接地用導体2の周囲を覆う第1の絶縁体3は、ポリエチレンで作製する。第1の絶縁体3の厚さは、第1の絶縁体3の外径dが0.35mmとなるようにする。よって、第1の絶縁体3の外径dが第1の接地用導体2の外径d*の2倍以上となる。
【0032】
第1の絶縁体3の周囲を覆う信号用導体4は、銅・銀等の導電率の大きい材料を用い、数μmの導体皮膜として形成する。信号用導体4の周囲を覆う第2の絶縁体5は、ポリエチレンで作製する。第2の絶縁体5の厚さは、第2の絶縁体5の外径Dが0.7mmとなるようにする。よって、第2の絶縁体5の外径Dが第1の絶縁体の外径dの2倍となる。
【0033】
第2の絶縁体5の周囲を覆う第2の接地用導体6は、銅を用い、導体皮膜として形成する。第2の接地用導体6の周囲を覆うジャケット7は、適当な絶縁体材料を用いて作製する。
【0034】
図2と図3により、本発明の第一実施形態に係る高速信号伝送用ケーブル1における構造パラメータと伝送損失と特性インピーダンスとの関係を説明する。図2は、特性インピーダンスを横軸に取り、伝送損失を縦軸に取り、第1の絶縁体3の外径dと第1の接地用導体2の外径d*との比d/d*をパラメータとして描いた特性インピーダンス対伝送損失特性図である。比較のため、図2には、従来の同軸ケーブルにおける伝送損失と特性インピーダンスとの関係も示してある。図3は、第2の絶縁体5の外径Dと第1の絶縁体3の外径dとの比D/dを横軸に取り、伝送損失を縦軸に取り、第1の絶縁体3の外径dと第1の接地用導体2の外径d*との比d/d*をパラメータとして描いた特性図である。第1の絶縁体3と第2の絶縁体5の比誘電率は、いずれもポリエチレンの比誘電率2.25とした。
【0035】
従来の同軸ケーブルでは、外導体104の内径Dpを固定し、外導体104の内径Dpと芯線102の外径dpの比Dp/dpを変えていくと、伝送損失と特性インピーダンスが変化する。Dp/dp=3.59のところで、伝送損失が最低になる。図2に示されるように、伝送損失が最低のとき特性インピーダンスは約50Ωとなる。特性インピーダンスが50Ωより大きいところでは、伝送損失の増加は小さいが、特性インピーダンスが50Ωより小さいところでは、特性インピーダンスが小さくなると伝送損失が急激に増加する。
【0036】
本発明による高速信号伝送用ケーブル1は、導体が3層構造となっているので、高速信号伝送用ケーブル1の伝送損失αは、
【0037】
【数2】

【0038】
で表される。
【0039】
また、高速信号伝送用ケーブル1のインピーダンスZは、
【0040】
【数3】

【0041】
で表される。
【0042】
式(2)、式(3)を実際に計算した結果が図2、図3に示される。本発明による高速信号伝送用ケーブル1は、図示のように特性インピーダンスが20Ω以下のところで、伝送損失が最小となる。また、本発明による高速信号伝送用ケーブル1は、特性インピーダンスが20Ω以下のところでは、従来の同軸ケーブルよりも伝送損失が下回る領域がある。
【0043】
以上より、本発明による高速信号伝送用ケーブル1は、特性インピーダンスが20Ω以下であれば、従来の同軸ケーブルよりも伝送損失が小さいものを作製することができる。これにより、本発明の高速信号伝送用ケーブル1は、従来の同軸ケーブルよりも長距離伝送に好適となる。
【0044】
また、図3によれば、第1の絶縁体3の外径dと第1の接地用導体2の外径d*との比d/d*が2以上、より好ましくは3以上のとき、伝送損失が特に小さくできる。そして、第1の絶縁体3の外径dと第1の接地用導体2の外径d*との比d/d*が2以上であれば、第2の絶縁体5の外径Dと第1の絶縁体3の外径dとの比D/dが1.3〜2.3、より好ましくは2のとき、伝送損失が最も小さくできる。従って、伝送損失を小さくする効果は、d/d*が3以上でD/dが2のとき最も優れている。
【0045】
以上説明したように、本発明によれば、信号用導体4の内側と外側の両方に接地用導体2,6を有するので、表皮効果による大幅な伝送損失がなく、特性インピーダンスが小さい。そして、第1の絶縁体3の外径dが第1の接地用導体2の外径d*の2倍以上であり、かつ、第2の絶縁体5の外径Dが第1の絶縁体の外径dの1.3〜2.3倍であることにより、特性インピーダンスが20Ω以下のところで、伝送損失が顕著に小さくなる。
【0046】
図4に示されるように、本発明の高速信号伝送用ケーブル1は、電子機器のプリント基板に電気的に接続される際に、第1の接地用導体2の端末と第2の接地用導体6の端末とが電気的に接続される。すなわち、高速信号伝送用ケーブル1は、中心より順に、第1の接地用導体2、第1の絶縁体3、信号用導体4、第2の絶縁体5、第2の接地用導体6、ジャケット7を有し、これら各層が端末において段剥き加工される。プリント基板上には第1の接地用ランド41と信号用ランド42と第2の接地用ランド43とが設けられている。第1の接地用導体2を第1の接地用ランド41にはんだ付けして電気的に接続し、信号用導体4を信号用ランド42にはんだ付けして電気的に接続し、第2の接地用導体6を第2の接地用ランド43にはんだ付けして電気的に接続する。このとき、第1の接地用ランド41と第2の接地用ランド43は、プリント基板上の距離がなるべく短くなるようパターンが繋がっているため、第1の接地用導体2の端末と第2の接地用導体6の端末とが、短い距離の導体を介して電気的に接続される。これにより、高速信号伝送用ケーブル1の特性インピーダンスが安定し、不要な反射が起きず、安定した通信が可能となる。
【0047】
次に、本発明の第二の実施形態を説明する。
【0048】
図5に示されるように、本発明の第二実施形態に係る高速信号伝送用ケーブル51は、既に説明した高速信号伝送用ケーブル1と同様に、第1の接地用導体2、第1の絶縁体3、信号用導体4、第2の絶縁体5、第2の接地用導体6、ジャケット7を有する。また、第1の絶縁体3の外径dは第1の接地用導体2の外径d*の2倍以上であり、第2の絶縁体5の外径Dは第1の絶縁体の外径dの1.3〜2.3倍である。
【0049】
高速信号伝送用ケーブル51では、第1の接地用導体2は銅線にて作製し、第1の接地用導体2の周囲を覆う第1の絶縁体3はポリエチレンで作製する。信号用導体4は、厚さ数μmのテープ状銅箔フィルム52を第1の絶縁体3の外周に巻き付けて皮膜する。第2の絶縁体5は、ポリエチレンで作製する。第2の接地用導体6は、テープ状銅箔フィルム53を第2の絶縁体5の外周に巻き付けて形成する。ジャケット7は、適当な絶縁体材料を用いて皮膜を形成する。
【0050】
高速信号伝送用ケーブル51は、信号用導体4と第2の接地用導体6がテープ状銅箔フィルム52,53を巻き付けて形成されるので、製造が容易である。また、テープ状銅箔フィルム52を用いることにより、信号用導体4を薄く作製することができる。信号用導体4が薄いため、低周波領域における伝送損失が大きい。これにより、低周波領域から高周波領域にわたる広域での伝送損失を平坦化することができ、デジタル信号伝送における信号波形の劣化を小さくすることができる。
【0051】
次に、本発明の第三の実施形態を説明する。
【0052】
図6に示されるように、本発明の第三実施形態に係る高速信号伝送用ケーブル61は、既に説明した高速信号伝送用ケーブル1と同様に、第1の接地用導体2、第1の絶縁体3、信号用導体4、第2の絶縁体5、第2の接地用導体6、ジャケット7を有する。また、第1の絶縁体3の外径dは第1の接地用導体2の外径d*の2倍以上であり、第2の絶縁体5の外径Dは第1の絶縁体の外径dの1.3〜2.3倍である。
【0053】
高速信号伝送用ケーブル61では、第1の接地用導体2は複数本の銅の素線62を撚り合わせて作製し、第1の接地用導体2の周囲を覆う第1の絶縁体3はポリエチレンで作製する。信号用導体4は複数本の銅の素線63を撚り合わせて作製し、第2の絶縁体5はポリエチレンで作製する。第2の接地用導体6は銅の素線64を撚り合わせて作製し、ジャケット7は適当な絶縁体材料を用いて皮膜を形成する。
【0054】
高速信号伝送用ケーブル61は、信号用導体2が複数の素線63を撚り合わせて形成され、さらに、第1の接地用導体2、第2の接地用導体6がそれぞれ複数の素線62,64を撚り合わさせて形成されるため、よりいっそう可撓性の向上が期待できる。また、高速信号伝送用ケーブル61は、従来の同軸ケーブル製造工程とほぼ同じ製造工程を用いて作製することができるため、製造が容易である。
【0055】
次に、本発明の第四の実施形態を説明する。
【0056】
図7に示されるように、本発明の第四実施形態に係る高速信号伝送用ケーブル71は、第1の接地用導体2、第1の絶縁体3、信号用導体4、第2の絶縁体5からなる複数本の同軸線が、1つの第2の接地用導体6によって一括被覆されたものである。すなわち、高速信号伝送用ケーブル71では、第1の接地用導体2は複数本の銅の素線72を撚り合わせて作製し、第1の接地用導体2の周囲を覆う第1の絶縁体3はポリエチレンで作製する。信号用導体4は複数本の銅の素線73を撚り合わせて作製し、第2の絶縁体5はポリエチレンで作製する。このようにして、第1の接地用導体2、第1の絶縁体3、信号用導体4、第2の絶縁体5からなる同軸線74が形成される。
【0057】
この同軸線74を2本平行に並べて配置する。2本の同軸線74の外周に複数本の銅の素線75を撚り合わせた第2の接地用導体6により導体皮膜を形成する。ジャケット7は適当な絶縁体材料を用いて皮膜を形成する。
【0058】
高速信号伝送用ケーブル71は、信号用導体4が2本並列に整列した構成であるため、差動伝送線路としても使用することができる。高周波において、伝送損失が増加することを抑制できるので、図9に示す単線の同軸ケーブルと同じく、低インピーダンスの伝送線路回路として用いることができる。また、高速信号伝送用ケーブル71は、従来の同軸ケーブル製造工程とほぼ同じ製造工程を用いて作製することができるため、製造が容易である。
【0059】
図8に示されるように、本発明の高速信号伝送用ケーブル71は、電子機器のプリント基板に電気的に接続される際に、第1の接地用導体2の端末と第2の接地用導体6の端末とが電気的に接続される。すなわち、高速信号伝送用ケーブル71は、同軸線74が中心より順に、第1の接地用導体2、第1の絶縁体3、信号用導体4、第2の絶縁体5を有し、さらに2本の同軸線74の外周に、第2の接地用導体6、ジャケット7を有する。各同軸線74の各層が端末において段剥き加工され、さらに第2の接地用導体6、ジャケット7が段剥き加工される。プリント基板上には第1の接地用ランド81,82と信号用ランド83,84と第2の接地用ランド85とが設けられている。各同軸線74の第1の接地用導体2,2を第1の接地用ランド81,82にはんだ付けして電気的に接続し、各同軸線74の信号用導体4,4を信号用ランド83,84にはんだ付けして電気的に接続し、第2の接地用導体6を第2の接地用ランド85にはんだ付けして電気的に接続する。このとき、第1の接地用ランド81,82と第2の接地用ランド85は、プリント基板上の距離がなるべく短くなるようパターンが繋がっているため、第1の接地用導体2,2の端末と第2の接地用導体6の端末とが、短い距離の導体を介して電気的に接続される。これにより、高速信号伝送用ケーブル1の特性インピーダンスが安定し、不要な反射が起きず、安定した通信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第一実施形態を示す高速信号伝送用ケーブルの断面図である。
【図2】本発明の高速信号伝送用ケーブル及び従来の同軸ケーブルの特性インピーダンス対伝送損失特性図である。
【図3】本発明の高速信号伝送用ケーブルにおけるD/d対伝送損失特性図である。
【図4】本発明の高速信号伝送用ケーブルとプリント基板の接続を説明する図である。
【図5】本発明の第二実施形態を示す高速信号伝送用ケーブルの断面図である。
【図6】本発明の第三実施形態を示す高速信号伝送用ケーブルの断面図である。
【図7】本発明の第四実施形態を示す高速信号伝送用ケーブルの断面図である。
【図8】本発明の高速信号伝送用ケーブルとプリント基板の接続を説明する図である。
【図9】従来の同軸ケーブルの断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1,51,61,71 高速信号伝送用ケーブル
2 第1の接地用導体
3 第1の絶縁体
4 信号用導体
5 第2の絶縁体
6 第2の接地用導体
7 ジャケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接地用導体と、該第1の接地用導体の周囲を覆う第1の絶縁体と、該第1の絶縁体の周囲を覆う信号用導体と、該信号用導体の周囲を覆う第2の絶縁体と、該第2の絶縁体の周囲を覆う第2の接地用導体とを備え、
前記第1の絶縁体の外径は、前記第1の接地用導体の外径の2倍以上であり、かつ、前記第2の絶縁体の外径は、前記第1の絶縁体の外径の1.3〜2.3倍であることを特徴とする高速信号伝送用ケーブル。
【請求項2】
前記信号用導体は、テープ状導体が巻かれて形成されたことを特徴とする請求項1記載の高速信号伝送用ケーブル。
【請求項3】
前記信号用導体は、複数の素線が撚り合わされて形成されたことを特徴とする請求項1記載の高速信号伝送用ケーブル。
【請求項4】
前記第1の接地用導体と該第1の接地用導体の周囲を覆う第1の絶縁体と該第1の絶縁体の周囲を覆う信号用導体と該信号用導体の周囲を覆う第2の絶縁体とからなる複数本の同軸線が、1つの前記第2の接地用導体によって一括被覆されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の高速信号伝送用ケーブル。
【請求項5】
前記第1の接地用導体と前記第2の接地用導体とが端末で電気的に接続されたことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の高速信号伝送用ケーブル。
【請求項6】
特性インピーダンスが20Ω以下であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の高速信号伝送用ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−129294(P2010−129294A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301205(P2008−301205)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】