説明

高速炉プラント冷却系およびその二重伝熱管の破損検出方法

【課題】 精度よく二重伝熱管の外管の破損を検出することができる高速炉プラント冷却系の提供することを目的とする。
【解決手段】 高速炉プラント冷却系1は、液体ナトリウムを収容する蒸気発生器胴体2と、蒸気発生器胴体2に液体ナトリウムを供給するナトリウム入口配管3と、蒸気発生器胴体2から液体ナトリウムを導出するナトリウム出口配管4と、蒸気発生器胴体2内部に配置され、内管5と、この内管5の側周面にギャップ40をもって配置される外管6とを有し、内管5に水を導入し、この水に外管6に前記液体ナトリウムと熱交換を行わせる二重伝熱管7と、二重伝熱管7のギャップ40内において保有される不活性ガスおよび強磁性体粒子42と、液体ナトリウム主流路において設けられ、所定の磁場変化を測定することにより外管6から漏えいした強磁性体粒子42を検出する磁場測定装置12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重伝熱管を有する高速炉プラント冷却系およびその二重伝熱管の破損検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体金属冷却型高速炉プラントでは一般に、蒸気発生器胴体内部の液体ナトリウムと伝熱管内部を流れる水との熱交換を行っている。ここで万が一、蒸気発生器内で伝熱管が破損し、水が液体ナトリウム中へ漏えいする事故が発生した場合、水と液体ナトリウムは激しい化学反応を起こし、水素をはじめとする様々な反応生成物や反応生成熱が発生し、配管及び機器の健全性に影響を与える可能性がある。したがって、液体ナトリウムと水との熱交換器である蒸気発生器には、高い信頼性が要求される。
【0003】
そこで、高速炉プラントの蒸気発生器の伝熱管は、内管とこの内管にギャップをもって配置した外管とから構成される二重伝熱管構造とし、さらにギャップ内に不活性ガスを保有して、内管内部に水を流通させ、ギャップ内の不活性ガスを介して外管に接する液体ナトリウムと内管内部の水との熱交換を行っている。
【0004】
そして、上述した構成の二重伝熱管を備える蒸気発生器において、二重伝熱管の内管または外管において万一破損が生じた場合にこれを検出し、内管および外管の双方に破損が生じ、液体ナトリウムと水とが接触し反応することを未然に防止する技術が開発されている。
【0005】
まず、二重伝熱管の内管に発生した破損を検出する技術について説明する。ここで、蒸気発生器内のナトリウム圧力(PNa)、ギャップ圧力(Pgap)、水および蒸気側の圧力(Psteam)の関係は、PNa<Pgap<Psteamと設定されているものとする。内管に破損が発生すると、破損箇所から二重伝熱管の内管内部を流通する水または蒸気がギャップへ流出し、ギャップ内を伝って二重伝熱管の上方または下方の端部へ流通する。二重伝熱管の上方または下方の端部には、水分を検出する湿分検出器が設けられ、湿分検出器によってギャップ内を伝った水または蒸気を検出することによって内管の破損を検出する。
【0006】
次に、二重伝熱管の外管に発生した破損を検出する技術について説明する。外管が破損した場合には、ギャップに保有される不活性ガスが外管の破損箇所から液体ナトリウムへ流出し、この流出によってギャップ内の不活性ガスの圧力が低下する。二重伝熱管の上方または下方の端部において圧力検出器を設け、不活性ガスの流出によるギャップ内の圧力の低下を圧力検出器によって測定することにより外管の破損を検出する(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
さらに、外管の破損箇所から液体ナトリウムへ流出した不活性ガスは、蒸気発生器胴体内部の液体ナトリウムの液面より上方に拡散する。そこで、蒸気発生器胴体内部であって液体ナトリウムの液面より上方にガス検出器を設け、流出した不活性ガスをガス検出器によって検出することによって外管の破損を検知する技術が開発されている。(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−323777号公報
【特許文献2】特許第2950652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、高速炉プラントの安全性および信頼性の向上のために、高速炉プラントの二重伝熱管の外管の破損検出の精度をさらに向上させる要求がある。そこで本発明は、精度よく二重伝熱管の外管の破損を検出することができる高速炉プラント冷却系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の高速炉プラント冷却系は、内部に液体ナトリウムを収容することができる蒸気発生器胴体と、この蒸気発生器胴体に接続され、この蒸気発生器胴体に液体ナトリウムを供給するナトリウム入口配管と、蒸気発生器胴体に接続され、この蒸気発生器胴体から液体ナトリウムを導出するナトリウム出口配管と、蒸気発生器胴体内部に配置され、内管と、この内管の側周面にギャップをもって配置される外管とを有し、蒸気発生器胴体外部から内管内部に水を導入し、この水に外管に接する液体ナトリウムとギャップを介して熱交換を行わせる二重伝熱管と、この二重伝熱管のギャップ内において保有される不活性ガスおよび強磁性体粒子と、蒸気発生器胴体およびナトリウム入口配管ならびにナトリウム出口配管からなり液体ナトリウムが循環するナトリウム主流路のいずれかの位置において設けられ、所定の磁場変化を測定することにより外管から漏えいした液体ナトリウムに含まれる強磁性体粒子を検出する磁場測定装置とを備えることを特徴とする。
【0011】
さらに上記目的を達成するために、本発明の高速炉プラント蒸気発生器の破損検出方法は、ナトリウム入口配管によって蒸気発生器胴体に液体ナトリウムを供給する工程と、ナトリウム出口配管によって蒸気発生器胴体から液体ナトリウムを導出する工程と、蒸気発生器胴体およびナトリウム入口配管ならびにナトリウム出口配管からなり、ナトリウムが循環するナトリウム主流路またはこのナトリウム主流路から液体ナトリウムの一部を内部に導入するナトリウムバイパス配管において設けられた磁場測定装置によって所定の磁場変化を測定することにより、二重伝熱管のギャップ内に保有され、二重伝熱管の外管の破損箇所から液体ナトリウム中に放出された強磁性体粒子を検出し、外管の破損を検出する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高速炉プラント冷却系において精度よく二重伝熱管の外管の破損を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の二重伝熱管の長手方向に垂直な断面図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る高速炉プラント冷却系のナトリウムバイパス配管をナトリウム出口配管に接続した場合を示す概略縦断面図。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る高速炉プラント冷却系のナトリウムバイパス配管をナトリウム出口配管および蒸気発生器胴体に接続した場合を示す概略縦断面図。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る高速炉プラント冷却系のナトリウムバイパス配管を蒸気発生器胴体に接続した設けた場合を示す概略縦断面図。
【図9】本発明の第6の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の透磁率測定装置および電磁石を示す概略断面図。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図。
【図12】本発明の第8の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図。
【図13】本発明の第9の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図。
【図14】本発明の第10の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第1の実施形態に係る高速炉プラント冷却系について図1および図2を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図である。高速炉プラント冷却系1は、蒸気発生器胴体2と、ナトリウム入口配管3と、ナトリウム出口配管4と、二重伝熱管7と、凝縮水配管8と、蒸気配管9と、カバーガス循環装置10と、ナトリウムポンプ11と、電磁流量計12とから構成される。
【0016】
また、カバーガス循環装置10は、カバーガス部バイパス配管13と、カバーガス循環ポンプ14と、カバーガス冷却器15と、カバーガス加熱器16と、ヘリウムガス検出器17とから構成される。
【0017】
ここで、二重伝熱管7の構成について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の二重伝熱管の長手方向に垂直な断面図である。二重伝熱管7は、円筒の管形状の内管5の外周面にギャップ40をもって、内管6より径の大きい円筒の管形状の外管6を配置することによって構成される。また、図1に示すように二重伝熱管7は、中腹部を湾曲させてヘリカル形状とした構成とする。
【0018】
さらに、二重伝熱管7のギャップ40において、強磁性体粒子42を含有したヘリウムガス41を保有する構成とする。強磁性体粒子42の作成方法ならびに強磁性体粒子42およびヘリウムガス41をギャップ40に保有させる方法については後述する。
【0019】
次に、高速プラント冷却系1の各構成の接続関係について説明する。以下、高速プラント冷却系1は、高速炉プラントの2次系冷却ループを構成する場合を例にとって説明する。蒸気発生器胴体2は円筒を立直させた形状であり、内部に液体ナトリウムを収容することができる金属容器である。ナトリウム入口配管3は、配管の一端が蒸気発生器胴体2の上頂部を貫通して蒸気発生器胴体2に接続され、配管の他端が中間熱交換器(図示せず)の液体ナトリウム取出口に接続される。また、ナトリウム出口配管4は、配管の一端が蒸気発生器胴体2の下底部を貫通して蒸気発生器胴体2に接続され、配管の他端が中間熱交換器(図示せず)の液体ナトリウム導入口に接続される。
【0020】
二重伝熱管7は、中腹部のヘリカル形状が蒸気発生器胴体2の内部に配置され、配管の両端が蒸気発生器胴体2の側面の上下2箇所を貫通し、蒸気発生器胴体2外部に露出させて配置される。また、凝縮水配管8は、二重伝熱管7の両端のうち下方に位置する端部における内管5と一端が接続される。さらに凝縮水配管8は、蒸気機関(図示せず)から凝縮水を導入することができるように、凝縮水配管8の他端が蒸気機関に接続される。ここで、蒸気機関は、蒸気タービンおよび復水器ならびに脱気器、蒸気加熱器などから構成される一般的な発電プラントにおける蒸気サイクルが適用されるものとする。
【0021】
また、蒸気配管9は、二重伝熱管7の両端のうち上方に位置する端部における内管5と一端が接続される。さらに蒸気配管9は、蒸気機関へ蒸気を導出することができるように、蒸気配管9の他端が蒸気機関に接続される。
【0022】
蒸気発生器胴体2内部にナトリウム入口配管3によって液体ナトリウムが供給され、ナトリウム出口配管4によって液体ナトリウムが導出される。このとき、液体ナトリウムの液面30より上方の部分をカバーガス部31とする。カバーガス部31には、Arや窒素といった液体ナトリウムと不活性なガスがカバーガスとして充填される。以下、カバーガスとしてArを代表して説明する。
【0023】
カバーガス循環装置10のカバーガス部バイパス配管13は、配管の両端が蒸気発生器胴体2におけるカバーガス部31の側周面の上下2箇所に貫通して接続される。また、カバーガス循環ポンプ14と、カバーガス冷却器15と、カバーガス加熱器16と、ヘリウムガス検出器17は、それぞれカバーガス部バイパス配管13において設けられる。
【0024】
ナトリウムポンプ11は、ナトリウム出口配管4において設けられる。ここで、ナトリウムポンプ11には、機械式ポンプや電磁式ポンプを適用することができる。機械式ポンプは、ケーシング内部に液体ナトリウムを導入し、軸シールされたインペラによって液体ナトリウムを流動させるものである。電磁式ポンプは、液体ナトリウムを通電させるとともに、液体ナトリウムを貫いて磁界をかけることによって、液体ナトリウム自身に駆動力を発生させるものである。また、電磁流量計12は、ナトリウム出口配管4において設けられる。
【0025】
次に、強磁性体粒子42の構成および作成方法について説明する。強磁性体粒子42は、強磁性体材料を粒子化したものに絶縁体を被膜することによって構成される。ここで、強磁性体材料は、強磁性体から常磁性体への遷移温度であるキュリー温度が蒸気発生器胴体2内部の液体ナトリウムよりも十分に高いCoやFe、NiOFeを適用することが好ましい。
【0026】
さらに、ギャップ40内の温度が500℃から700℃程度であるとき、キュリー温度がこの温度範囲内であるNi、MnSn、MnOFe、YFe12を適用すれば、ギャップ40内では強磁性体粒子42を常磁性体として存在させることができる。この場合、外管6から液体ナトリウム中へ漏えいした強磁性体粒子42を強磁性体として検出することができるように、後述するナトリウム冷却器22によって強磁性体粒子42を冷却してキュリー温度より下回らせた状態で強磁性体粒子42を検出することが望ましい。
【0027】
まず、上述した強磁性体材料を粒子に加工する。粒子の直径が小さすぎると超常磁性の発現により粒子から発する磁束密度が低下し、さらに直径が大きすぎると内管5内部においてヘリウムガス41と混濁させて存在させることができない。したがって、粒子の直径は、数ナノメートルから数十ナノメートル程度であることが望ましい。強磁性体材料にすりつぶし加工を行う方法や無酸素条件下で高温加熱を行う方法を用いることによって上述した直径の強磁性体材料の粒子を得る。
【0028】
さらに、加工した強磁性体材料の粒子の各々が凝集することを防ぐために絶縁体の被膜を施す。絶縁体の材料としては、ガラス、シリカ、アルミナなどを適用することができる。ガラスとしては、SiO、B、Pなどを主成分としたガラスを挙げることができる。
【0029】
以下、絶縁体にシリカ(SiO)を適用した場合における強磁性体材料の粒子の絶縁体の被膜方法について説明する。強磁性体材料の粒子の絶縁体の被膜方法には、水ガラス法(ゾルーゲル法)を用いる。
【0030】
水ガラスは、組成がNaO・XSiO・nHOである。これを水に溶かした溶液はアルカリ性を示す。この溶液に磁性体材料の粒子を希釈して溶液中に分散させた後、酸を溶液中に加えると、水ガラスは加水分解を起こして磁性体材料の粒子の表面にゲル状の珪酸(HSiO)が析出する。この後、ゲル状の珪酸に覆われた磁性体材料の粒子の乾燥処理を行うことによって、シリカによって被膜された磁性体材料の粒子である強磁性体粒子42を得ることができる。さらに、得られた強磁性体粒子42の透磁率を高めるために、強磁性体粒子42に高圧、無酸素条件下での熱処理を施してもよい。
【0031】
ここで、得られた強磁性体粒子42の粒子径の測定方法には、微分型移動度分析器(DMA)または光子相関法(PCS)を適用することができる。微分型移動度分析器(DMA)は、分級部が二重円筒により構成され、内部にはキャリアガスが流通している。外周部より帯電させた粒子を流下させ、内外筒間に電圧を印加すると、帯電させた粒子はクーロン力により内筒に引き寄せられながら流下する。このとき、粒子が流れを横切る速度は、粒子が流体から受ける抵抗力とクーロン力とのつりあいにより決定されるため、強い抵抗をうける大きな粒子は遅く、小さな粒子は速く流れを横切る。その結果、粒子が内筒に到達する位置は、粒子のサイズによって異なる。微分型移動度分析器(DMA)は、粒子が内筒に到達する位置を計測することによって粒子径を測定する。
【0032】
光子相関法(PCS)は、強磁性体粒子42にレーザ光を照射して散乱光を検出し、粒子のブラウン運動に依存した散乱強度の揺らぎを観測する。大きい粒子は動きが相対的に遅いため、検出器における強度の揺らぎも緩やかなものとなる。小さい粒子は動きが速いので、強度の揺らぎも急激に変化する。光子相関法(PCS)は、散乱光の時間的な揺らぎを観測し、粒子のブラウン運動の速度(拡散係数)を計測することによって粒子の大きさを測定する。
【0033】
次に、二重伝熱管7のギャップ40においてヘリウムガス41と混濁させて強磁性体粒子42を存在させる方法について説明する。二重伝熱管7を蒸気発生器胴体2内部に保有させたのち、蒸気発生器胴体2外部に露出する二重伝熱管7の両端の何れかのギャップ40においてヘリウムガス41に強磁性体粒子42を混合させたものを送風機等によって送り込むことによって、ギャップ40においてヘリウムガス41と混濁させて強磁性体粒子42を保有させる。または、二重伝熱管7の作成段階においてあらかじめヘリウムガス41と強磁性体粒子42をギャップ40内に保有させて封止し、二重伝熱管7を蒸気発生器胴体2内部に配設してもよい。
【0034】
(作用)
以下、本発明の第1の実施形態の作用について説明する。まず、高速炉プラント冷却系1の二重伝熱管7の外管6に破損が発生していない状態の作用について説明する。高速炉プラント冷却系1を有する高速炉プラントは、原子炉(図示せず)の炉心において高速中性子による核分裂連鎖反応を起こし、核分裂連鎖反応によって発生した熱を冷却材である一次系冷却ループの液体ナトリウムに熱を与える。さらに、一次系冷却ループにおける中間熱交換器は、一次系冷却ループの液体ナトリウムの熱を高速炉プラント冷却系1が属する二次系冷却ループの液体ナトリウムに与える。
【0035】
中間熱交換器において熱を受け取った液体ナトリウムは、ナトリウム入口配管3によって蒸気発生器胴体2内部に所定の液面30の高さまで供給される。蒸気発生器胴体2内部において二重伝熱管7の外管6の外周面は液体ナトリウムに接触し、液体ナトリウムの熱は外管6およびギャップ40におけるヘリウムガス41を介して内管5へ伝達される。
【0036】
凝縮水配管8は、蒸気機関において冷却された凝縮水を二重伝熱管7の内管5内部に供給する。凝縮水は、内管5内周面から液体ナトリウムの熱を受け取り、蒸気となって内管5内部を立ち上り蒸気配管9へ導入する。蒸気配管9は、内管5から導入された蒸気を蒸気機関へ導く。
【0037】
また、カバーガス循環装置10は、カバーガスであるArをカバーガス循環ポンプ14によってカバーガス部バイパス配管13内に導入し、カバーガス冷却器15は後述するヘリウムガス41の検出に適切な温度にArを冷却する。カバーガス加熱器16は、Arをカバーガス部における温度と同等の温度に戻した後、再びカバーガス部31へArを導入する。
【0038】
次に、二重伝熱管7の外管6の破損が発生したときに外管6の破損を検出する作用について説明する。ここで、外管6における破損とは、外管6の破断ならびに外管6に発生した亀裂または微小な孔であるホール等の総称をいう。以下、外管6にホール43が発生した場合を代表して説明する。
【0039】
ギャップ40内のヘリウムガス41の圧力は、あらかじめ蒸気発生器胴体2内の液体ナトリウムの圧力よりも高く設定されているものとする。したがって、図2に示す位置においてホール43が発生したとき、ホール43から強磁性体粒子42およびヘリウムガス41が外管6外部の液体ナトリウム中へ漏えいする。
【0040】
強磁性体粒子42およびヘリウムガス41のうち、強磁性体粒子42は液体ナトリウムより比重が重いまたは同程度であるため、液体ナトリウム中を下方へ落下し、ナトリウムポンプ11によって液体ナトリウムとともにナトリウム出口配管4へ導出される。また、ヘリウムガス41は液体ナトリウムより比重が軽いため液体ナトリウム中を立ち上り、液面30を抜けてカバーガス部31へ拡散する。
【0041】
外管6の破損の検出方法は、ホール43から漏えいした強磁性体粒子42を検出する方法と、ホール43から漏えいしたヘリウムガス41を検出する方法に分別される。まず、ホール43から漏えいした強磁性体粒子42を電磁流量計12によって検出する方法について説明する。
【0042】
電磁流量計12は、液体金属の流れ方向に直行した磁界をかけるとともに、液体金属の流れ方向に平行に一対の電極を設けて液体金属に電流を流し、液体金属に生じる起電圧を測定することによって液体金属の流量を測定するものである。
【0043】
外管6にホール43の発生がない場合、電磁流量計12が測定する起電圧は液体ナトリウムのみによって発生する。さらに、ナトリウム出口配管4において液体ナトリウムのみが流れているときに測定される起電圧の測定値は、発電プラントの出力やナトリウムポンプ11の運転度合いを含む高速炉プラントの運転状況と相関を示す。したがって、各々の運転状態において液体ナトリウムのみが流れているときの起電圧を基準値としてあらかじめ記憶しておき、実際の高速炉プラントの運転状況における起電圧の測定値と比較し、基準値と測定値が一致するときはナトリウム出口配管4において液体ナトリウム以外の異物が混入していないことを判定することができる。
【0044】
外管6にホール43が発生し、電磁流量計12の測定部に液体ナトリウムおよび強磁性体粒子42が流れ込んだとき、電磁流量計12は液体ナトリウムおよび強磁性体粒子42によって発生する起電圧を測定する。このとき、測定値と基準値を比較すると不一致が生じるため、液体ナトリウム中に強磁性体粒子42が混入したことを判定し、外管6に破損が生じたことを判定することができる。
【0045】
ここで、電磁流量計12が測定した測定値と基準値との比較は、電磁流量計12ならびに電磁流量計12から測定値を送信できるように接続した演算装置等によって行わせてもよいし、電磁流量計12が示す測定値と基準値とを運転員が直接比較してもよい。
【0046】
次に、ホール43から漏えいしたヘリウムガス41を検出する方法について説明する。ホール43より液体ナトリウム中に放出されて立ち上り、液面30を抜けてカバーガス部31へ拡散したヘリウムガス41は、カバーガス循環ポンプ14によってカバーガス部バイパス配管13内へ導入される。ヘリウムガス検出器17は、ガスクロマト法またはレーザ分光法によって、カバーガスのArに含まれるヘリウムガス41を検出し、外管6に破損が発生してヘリウムガス41が漏えいしたことを判定する。
【0047】
(効果)
本発明の第1の実施形態によれば、外管6に生じた破損箇所から強磁性体粒子42およびヘリウムガス41を漏えいさせ、電磁流量計12が測定した起電圧の測定値と基準値を比較することによって強磁性体粒子42を検出し、さらにヘリウムガス検出器17によってヘリウムガス41を検出することによって、精度よく二重伝熱管7の外管6の破損を検出することができる。
【0048】
なお、高速炉プラントが二次系ナトリウムループを省き、高速炉プラント冷却系1が一次系ナトリウムループを構成する場合、ナトリウム入口配管3は、原子炉から直接液体ナトリウムを蒸気発生器胴体2内部に供給し、ナトリウム出口配管4は、蒸気発生器胴体2内部から液体ナトリウムを直接原子炉へ導出するものとする。
【0049】
また、電磁流量計12はナトリウム出口配管4だけでなく、ナトリウム入口配管3およびナトリウム出口配管4ならびに蒸気発生器胴体2からなる液体ナトリウムの主流路のいずれかに設けても同様の作用を発揮することができる。さらに、ナトリウムポンプ11は、ナトリウム入口配管3において設ける構成としてもよいし、自然循環型の高速炉プラントの場合、ナトリウムポンプ11の構成を省く構成とすることができる。
【0050】
(第2の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第2の実施形態に係る高速炉プラント冷却系について図3を参照して説明する。第1の実施形態に係る高速炉プラント冷却系1の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0051】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図である。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、透磁率測定装置18を新たに設けた点である。透磁率測定装置18は、測定対象に磁場をかけて透磁率を測定する装置である。透磁率測定装置18は、ナトリウム出口配管4において、測定部をナトリウム出口配管4内部に向けて設けられる。
【0052】
(作用)
以下、本発明の第2の実施形態の作用について説明する。外管6にホール43が発生していないとき、液体ナトリウムは非磁性体であるので、透磁率測定装置18が示す透磁率は所定の一定値を示す。外管6にホール43が発生し、強磁性体粒子42が透磁率測定装置18の測定部に流れ込んだとき、強磁性体粒子42によって透磁率が変化する。この透磁率の変化を測定することによって液体ナトリウム中に強磁性体粒子42が混入したことを判定し、外管6に破損が生じたことを判定する。
【0053】
ここで、透磁率測定装置18ならびに透磁率測定装置18に接続した演算装置に透磁率の変化を検出する機能を持たせてもよいし、透磁率測定装置18が示す透磁率を運転員が監視し、液体ナトリウム中に強磁性体粒子42が混入したことを判定してもよい。
【0054】
(効果)
本発明の第2の実施形態によれば、液体ナトリウムの流量の変化が大きいために電磁流量計12によって強磁性体粒子42の検出の判定をすることが難しいときなどにおいて、透磁率測定装置18によって強磁性体粒子42のみを効果的に検出することができる。
【0055】
なお、透磁率測定装置18はナトリウム出口配管4だけでなく、ナトリウム入口配管3およびナトリウム出口配管4ならびに蒸気発生器胴体2からなる液体ナトリウムの主流路のいずれかに設けても同様の作用を発揮することができる。
【0056】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る高速炉プラント冷却系について図4を参照して説明する。第1の実施形態に係る高速炉プラント冷却系1の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0057】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図である。第3の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、コイル19および検流計20を新たに設けた点である。コイル19は、ナトリウム出口配管4の外周面を包囲して設けられる。検流計20は、コイル19に生じる誘導電流を検出することができるようにコイル19に接続される。
【0058】
(作用)
以下、本発明の第3の実施形態の作用について説明する。外管6にホール43が発生していないとき、液体ナトリウムは非磁性体であるので、コイル19に誘導電流は生じず、検流計20は電流を検出しない。外管6にホール43が発生し、強磁性体粒子42がコイル19の内側に流れ込んだとき、強磁性体粒子42によってコイル19に誘導電流が生じ、検流計20がこの誘導電流を検出する。検流計20が誘導電流を検出することによって、液体ナトリウム中に強磁性体粒子42が混入したことを判定し、外管6に破損が生じたことを判定する。
【0059】
(効果)
本発明の第3の実施形態によれば、例えば、液体ナトリウムの流量の変化が大きいために電磁流量計12において強磁性体42の検出の判定をすることが難しいときなど、コイル19および検流計20によって強磁性体42のみを効果的に検出させることができる。
【0060】
なお、コイル19はナトリウム出口配管4だけでなく、ナトリウム入口配管3およびナトリウム出口配管4ならびに蒸気発生器胴体2からなる液体ナトリウムの主流路のいずれかに設けても同様の作用を発揮することができる。
【0061】
(第4の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第4の実施形態に係る高速炉プラント冷却系について図5を参照して説明する。第1の実施形態に係る高速炉プラント冷却系1の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。図5は、本発明の第4の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図である。第4の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、透磁率測定装置18をナトリウム出口配管4において液体ナトリウムの流れ方向に複数設けた点である。
【0062】
(作用)
以下、本発明の第4の実施形態の作用について説明する。外管6にホール43が発生したとき、強磁性体粒子42を含有する液体ナトリウムが複数の透磁率測定装置18の測定部へ液体ナトリウムの流れ方向に沿って順に流れ込む。このとき、複数の透磁率測定装置18は、液体ナトリウムの流れ方向に沿って順に強磁性体粒子42によって透磁率の変化を示す。
【0063】
複数の透磁率測定装置18が液体ナトリウムの流れ方向に沿って順に透磁率の変化を示したときに強磁性体粒子42が液体ナトリウムに混入したものと判定し、外管6にホール43が発生したものと判定する。
【0064】
(効果)
本発明の第4の実施形態によれば、複数の透磁率測定装置18が、ナトリウム入口配管3の液体ナトリウムの流れ方向に沿って順に強磁性体42を検知するため、より確実に強磁性体42を検知することができる。また、透磁率測定装置18の検出精度を考慮し、複数の透磁率測定装置18のうち所定の数以上のものが透磁率の変化を示したときに、外管6の破損が発生したものと判定してもよい。
【0065】
さらに、複数の透磁率測定装置18はナトリウム出口配管4だけでなく、ナトリウム入口配管3およびナトリウム出口配管4ならびに蒸気発生器胴体2からなる液体ナトリウムの主流路のいずれかに設けても同様の作用を発揮することができる。また、電磁流量計12を液体ナトリウムの流路の長手方向に複数設けてもよいし、コイル19および検流計20を液体ナトリウムの流路の長手方向に複数設けても同様の作用を発揮することができる。
【0066】
(第5の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第5の実施形態に係る高速炉プラント冷却系について図6乃至図8を参照して説明する。第1の実施形態に係る高速炉プラント冷却系1の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0067】
図6は、本発明の第5の実施形態に係る高速炉プラント冷却系のナトリウムバイパス配管をナトリウム出口配管に接続した場合を示す概略縦断面図である。第5の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、新たにナトリウムバイパス配管21を設け、さらにナトリウムバイパス配管21において透磁率測定装置18および液体ナトリウム冷却器22ならびに液体ナトリウム加熱器23を設けた点である。
【0068】
ナトリウムバイパス配管21は、ナトリウム出口配管4を流れる液体ナトリウムの一部を分岐させて内部に導入することができるように一端がナトリウム出口配管4に接続され、さらに内部に導入した液体ナトリウムをナトリウム出口配管4へ戻すことができるように他端がナトリウム出口配管4に接続される。
【0069】
さらに、ナトリウムバイパス配管21内の液体ナトリウムの流れ方向に沿って、液体ナトリウム冷却器22、透磁率測定装置18、液体ナトリウム加熱器23が順にナトリウムバイパス配管21において設けられる。
【0070】
(作用)
以下、本発明の第5の実施形態の作用について説明する。外管6にホール43が発生したとき、強磁性体粒子42を含有する液体ナトリウムがナトリウム出口配管4を流れる。ナトリウムバイパス配管21は、一端からナトリウム出口配管4を流れる強磁性体粒子42を含有する液体ナトリウムの一部を分岐させて内部に導入する。内部に導入された強磁性体粒子42を含有する液体ナトリウムは、液体ナトリウム冷却器22によって所定温度まで冷却される。一般に、強磁性体材料は温度が下がるほど磁性率が強くなる。したがって、液体ナトリウム冷却器22は、液体ナトリウムに含まれる強磁性体粒子42を冷却し、磁化率を強める働きがある。
【0071】
液体ナトリウム冷却器22によって冷却された強磁性体粒子42は、透磁率測定装置18の測定部に流れ込み、透磁率測定装置18によって強磁性体粒子42による透磁率の変化を測定することによって、液体ナトリウム中に混入した強磁性体粒子42を検出する。
【0072】
透磁率測定装置18を通り過ぎた強磁性体粒子42を含有する液体ナトリウムは液体ナトリウム加熱器23によって、ナトリウム出口配管4を流れる液体ナトリウムと同等の温度まで加熱され、ナトリウムバイパス配管21の他端から再びナトリウム出口配管4へ戻される。
【0073】
さらに、本実施形態は以下の変形が可能である。図7は、本発明の第5の実施形態に係る高速炉プラント冷却系のナトリウムバイパス配管をナトリウム出口配管および蒸気発生器胴体に接続した場合を示す概略縦断面図である。この場合、ナトリウムバイパス配管21は、ナトリウム出口配管4を流れる液体ナトリウムの一部を分岐させて内部に導入することができるように一端がナトリウム出口配管4に接続され、さらに内部に導入した液体ナトリウムを蒸気発生器胴体2へ戻すことができるように他端が蒸気発生器胴体2に接続される。
【0074】
図8は、本発明の第5の実施形態に係る高速炉プラント冷却系のナトリウムバイパス配管を蒸気発生器胴体に接続した設けた場合を示す概略縦断面図である。この場合、ナトリウムバイパス配管21は、蒸気発生器胴体2を流れる液体ナトリウムの一部を分岐させて内部に導入することができるように一端が蒸気発生器胴体2に接続され、さらに内部に導入した液体ナトリウムを蒸気発生器胴体2へ戻すことができるように他端が蒸気発生器胴体2に接続される。
【0075】
さらに、ナトリウム入口配管3およびナトリウム出口配管4ならびに蒸気発生器胴体2からなる液体ナトリウムの主流路のいずれかにおいて、一端から液体ナトリウムの一部を内部に導入し、他端から液体ナトリウムを戻すようにナトリウムバイパス配管21を設けても同様の作用を発揮することができる。
【0076】
(効果)
本発明の第5の実施形態によれば、ナトリウム出口配管4においてナトリウムバイパス配管21を設け、液体ナトリウムの一部を導入して透磁率測定装置18によって強磁性体42の混入を判定することによって、ナトリウム出口配管4の配管径が大きく、十分に透磁率を測定できないときなどにおいて、ナトリウムバイパス配管21において精度よく透磁率を測定することができる。
【0077】
さらに、ナトリウムバイパス配管21において透磁率測定装置18に代えて電磁流量計12またはコイル19および検流計20を設けても同様の作用を発揮することができる。
【0078】
(第6の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第6の実施形態に係る高速炉プラント冷却系について図9および図10を参照して説明する。第1の実施形態に係る高速炉プラント冷却系1の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0079】
図9は、本発明の第6の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図である。第6の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、新たにナトリウムバイパス配管21を設け、さらにナトリウムバイパス配管21において透磁率測定装置18と、2つのナトリウム止弁24と電磁石25を設けた点である。
【0080】
ナトリウムバイパス配管21は、ナトリウム出口配管4を流れる液体ナトリウムの一部を分岐させて内部に導入することができるように一端がナトリウム出口配管4に接続され、さらに内部に導入した液体ナトリウムをナトリウム出口配管4へ戻すことができるように他端がナトリウム出口配管4に接続される。
【0081】
また、ナトリウムバイパス配管21において液体ナトリウムの流れ方向に沿って、片方のナトリウム止弁24と、透磁率測定装置18および電磁石25と、他方のナトリウム止弁24が順に設けられる。図10は、本発明の第6の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の透磁率測定装置および電磁石を示す概略断面図である。図10のように、ナトリウムバイパス配管21の外周面において透磁率測定装置18の磁場測定方向に直行するように1組の電磁石25を設けることが望ましい。
【0082】
(作用)
以下、本発明の第6の実施形態の作用について説明する。外管6にホール43が発生したとき、ナトリウムバイパス配管21は、一端からナトリウム出口配管4を流れる強磁性体粒子42を含有する液体ナトリウムの一部を分岐させて内部に導入する。
【0083】
このとき、2つのナトリウム止弁24を閉動作させることによって、2つのナトリウム止弁24の間の液体ナトリウムの流れを静止させる。さらに、電磁石25を動作させることによって透磁率測定装置18の測定部へ強磁性体粒子42を移動させる。この状態において透磁率測定装置18は、透磁率を測定する。液体ナトリウムの静止状態においても強磁性体粒子42が含まれるときには、含まれないときに比べて透磁率が変化するので、透磁率測定装置18が示す透磁率の変化によって強磁性体粒子42を検出することができる。
【0084】
ここで、ナトリウム止弁24を設けずに液体ナトリウムが流れる中の強磁性体粒子42の透磁率を測定すると、液体ナトリウムの流れに伴い強磁性体粒子42の磁束の向きが変化するため透磁率の測定に影響を与える可能性がある。しかしながら、本実施形態では、ナトリウム止弁24によって液体ナトリウムの流れを静止させ、さらに電磁石25によって強磁性体粒子42を透磁率測定装置18の測定部へ移動させた状態で透磁率を測定するので、強磁性体粒子42の磁束の向きを揃えた状態で透磁率を測定することができる。
【0085】
(効果)
本発明の第6の実施形態によれば、ナトリウム止弁24によって液体ナトリウムの流れを静止させ、さらに電磁石25によって強磁性体粒子42を透磁率測定装置18の測定部へ移動させた状態で透磁率を測定することによって、より精度よく強磁性体粒子42を検出することができる。
【0086】
(第7の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第7の実施形態に係る高速炉プラント冷却系について図11を参照して説明する。第1の実施形態に係る高速炉プラント冷却系1の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0087】
図11は、本発明の第7の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図である。第7の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、新たにナトリウムバイパス配管21と、透磁率測定装置18およびコールドトラップ26を設けた点である。
【0088】
ナトリウムバイパス配管21は、ナトリウム出口配管4を流れる液体ナトリウムの一部を分岐させて内部に導入することができるように一端がナトリウム出口配管4に接続され、さらに内部に導入した液体ナトリウムをナトリウム出口配管4へ戻すことができるように他端がナトリウム出口配管4に接続される。
【0089】
コールドトラップ26は、液体ナトリウム冷却器22と、液体ナトリウム加熱器23と、メッシュ27とから構成される。ナトリウムバイパス配管21内の液体ナトリウムの流れ方向に沿って、液体ナトリウム冷却器22、メッシュ27、液体ナトリウム加熱器23が順にナトリウムバイパス配管21において設けられる。さらに、液体ナトリウム冷却器22とメッシュ27との間において透磁率測定装置18がナトリウムバイパス配管21に設けられる。
【0090】
(作用)
以下、本発明の第7の実施形態の作用について説明する。ナトリウムバイパス配管21において、液体ナトリウム冷却器22は液体ナトリウムの冷却を行う。液体ナトリウム中に含まれる強磁性体粒子42は、冷却によって磁化率が高められ、透磁率測定装置18によって透磁率の変化として検出される。さらに、冷却された液体ナトリウムに含まれる不純物は冷却によって固化し、メッシュ27によって捕獲される。液体ナトリウム加熱器23は、冷却された液体ナトリウムを高速炉プラントの熱サイクルに適切な温度まで加熱してナトリウム出口配管4へ戻す。
【0091】
(効果)
本発明の第7の実施形態によれば、液体ナトリウム冷却器22が、液体ナトリウム中に含まれる強磁性体粒子42を冷却することによって磁化率を高める作用と、液体ナトリウムに含まれる不純物を冷却によって固化させる作用を兼用することができる。
【0092】
なお、本実施形態は、透磁率測定装置18に代えて電磁流量計12やコイル及び検流計19を設ける構成としても同様の作用を発揮する。さらに、ナトリウムバイパス配管21もナトリウム出口配管4において設けるだけでなく、ナトリウム入口配管3およびナトリウム出口配管4ならびに蒸気発生器胴体2からなる液体ナトリウムの主流路のいずれかにおいて設けることができる。
【0093】
(第8の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第8の実施形態に係る高速炉プラント冷却系について図12を参照して説明する。第1の実施形態に係る高速炉プラント冷却系1の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0094】
図12は、本発明の第8の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図である。第8の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、新たに強磁性体粒子容器28を設けた点である。
【0095】
強磁性体粒子容器28は、強磁性体粒子42を内部に収容することができる容器である。強磁性体粒子容器28は、強磁性体粒子42を外部に放出することができる粒子放出口を備え、この粒子放出口を蒸気発生器胴体2の外部に露出する二重伝熱管7のいずれかの端部におけるギャップ40に連通するように設けられる。さらに二重伝熱管7にホール43が発生していない状態においては、強磁性体粒子42は、強磁性体粒子容器28内において保有されるものとする。
【0096】
(作用)
以下、本発明の第8の実施形態の作用について説明する。二重伝熱管7にホール43が発生したとき、ギャップ40内のヘリウムガス41がホール43から漏えいすることによって、ギャップ40内の圧力が低下する。この圧力の低下に伴い、強磁性体粒子42は、強磁性体粒子容器28内からギャップ40へ移動する。さらに、ギャップ40へ移動した強磁性体粒子42は、ヘリウムガス41とともにホール43から外管6の外部へ漏えいし、電磁流量計12が測定する測定値によって強磁性体粒子42を検出する。
【0097】
(効果)
本発明の第8の実施形態によれば、外管6におけるホール43の発生時のみギャップ40に強磁性体粒子42を存在させることができ、ギャップ40内の強磁性体粒子42による熱交換効率の低下を防ぐことができる。
【0098】
(第9の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第9の実施形態に係る高速炉プラント冷却系について図13を参照して説明する。第1の実施形態に係る高速炉プラント冷却系1の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0099】
図13は、本発明の第9の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図である。第9の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、新たにサイクロンセパレータ29を設けた点である。サイクロンセパレータ29は、内部に導入した複数の物質を遠心分離によって分離し回収することができる機器である。サイクロンセパレータ29は、ナトリウム出口配管4における電磁流量計12よりも液体ナトリウムの流れの下流において設けられる。
【0100】
(作用)
以下、本発明の第9の実施形態の作用について説明する。外管6にホール43が発生し、強磁性体粒子42が液体ナトリウム中へ漏えいしたとき、サイクロンセパレータ29の上流において設けられる電磁流量計12が測定する測定値によって強磁性体粒子42を検出する。
【0101】
サイクロンセパレータ29は、強磁性体粒子42を含む液体ナトリウムを内部に導入して、遠心分離によって液体ナトリウムと強磁性体粒子42とに分離し、強磁性体粒子42を回収する。強磁性体粒子42と分離された液体ナトリウムは再びナトリウム出口配管4に戻される。
【0102】
(効果)
本発明の第9の実施形態によれば、二重伝熱管7のギャップ40から漏えいした強磁性体粒子42をサイクロンセパレータ29によって液体ナトリウムと分離することで回収することができる。なお、サイクロンセパレータ29は、ナトリウム出口配管4だけでなく、ナトリウム入口配管3およびナトリウム出口配管4ならびに蒸気発生器胴体2からなる液体ナトリウムの主流路のいずれかに設けてもよいし、液体ナトリウムの主流路に設けられたナトリウムバイパス配管21において設けても同様の作用を発揮することができる。
【0103】
(第10の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第10の実施形態に係る高速炉プラント冷却系について図14を参照して説明する。第1の実施形態に係る高速炉プラント冷却系1の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0104】
図14は、本発明の第10の実施形態に係る高速炉プラント冷却系の概略縦断面図である。第10の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、蒸気発生器胴体2およびナトリウム入口配管3ならびにナトリウム出口配管4に代えて、原子炉容器51と、トップドーム52と、炉心53と、内シュラウド54と、反射体55と、炉停止棒56とを設けた点である。
【0105】
原子炉容器51は、円筒形状を縦置きにした形状であり、内部に液体ナトリウムを収容することができる容器である。また、原子炉容器51の中心には、炉心53が配置され、さらに炉心53の側面に離間した位置に反射体55が配置される。炉停止棒56は、炉心53の上方に配置される。
【0106】
また、炉心53と、反射体55と、炉停止棒56とを包囲するように内シュラウド54が原子炉容器51内部に配置される。二重伝熱管7は、原子炉容器51内部において内シュラウド54を包囲する螺旋形状を形成し、原子炉容器51を貫通して両端を外部に露出させる。二重伝熱管7の両端にはそれぞれ凝縮水配管8と蒸気配管9が接続される。
【0107】
さらに、原子炉容器51内部であって内シュラウド54の外側においてナトリウムポンプ11および電磁流量計12が設けられる。原子炉容器51の上部はトップドーム52によって包囲される。
【0108】
(作用)
以下、本発明の第10の実施形態の作用について説明する。炉心53における核分裂反応による熱は周囲の液体ナトリウムに与えられる。炉心53から熱を受け取った液体ナトリウムは、原子炉容器51内を循環し、内シュラウド54の外側へ対流する。内シュラウド54の外側において、二重伝熱管7の外管6に炉心53から熱を受け取った液体ナトリウムが接触し、ギャップ40を介して内管5内部を流れる水に熱を与える。
【0109】
二重伝熱管7の外管6にホール43が発生したとき、液体ナトリウムの原子炉容器51内の循環とともに強磁性体粒子42は原子炉容器51内を循環し、電磁流量計12の測定部へ流れ込む。このとき、測定される流量値と運転状態における基準値を比較することによって強磁性体粒子42を検出する。
【0110】
(効果)
本発明の第10の実施形態によれば、原子炉容器51に二重伝熱管7を配置した構成の高速炉プラントにおいても、強磁性体42検出することによって外管6に生じた破損を検出することができる。さらに、上述した実施形態のように、原子炉容器51内の液体ナトリウムの一部を導入し導出するようにナトリウムバイパス配管21を原子炉容器51に接続し、ナトリウムバイパス配管21において電磁流量計12または透磁率測定装置18またはコイル19および検流計20を設けることによって強磁性体粒子42を検出することができる。
【0111】
なお、本発明の実施形態は上述した実施形態に限られないことは言うまでもない。例えば、蒸気発生器胴体2や二重伝熱管7の形状および大きさは、高速炉プラントの出力、中間熱交換器の有無、ならびに熱交換の効率などによって適宜変更されうるものである。また、ギャップ40に循環させるヘリウムガス41は、アルゴンやキセノンといった不活性ガスに代えることができる。
【0112】
さらに、カバーガス部31に充填されるカバーガスもArに代えて、ヘリウムやキセノン等の液体ナトリウムと不活性なガスのうち、上述したギャップ40内において循環するガス以外のものを適用することができる。また、強磁性体粒子42の検出のみによって外管6の破損を十分に検出できるときなどは、カバーガス循環装置10を省くことができる。
【0113】
また、強磁性体粒子42の検出手段は、上述した電磁流量計12、透磁率測定装置18、コイル19および検流計20に限れられず、強磁性体粒子42によって生じる液体ナトリウムにおける所定の磁場変化を測定することにより液体ナトリウムに含まれる強磁性体粒子42を検出することができる磁場測定装置であれば、他の構成を適用することも可能である。
【0114】
さらに、二重伝熱管7は、1本の内管5と外管6からなる配管の両端を蒸気発生器胴体2の外部に露出させた構成だけでなく、複数の内管5と外管6からなる配管を蒸気発生器胴体2内部に配置し、複数の内管5と外管6からなる配管の両端を合流させ、この合流した両端を蒸気発生器胴体2の外部に露出させる構成としてもよい。
【0115】
または、蒸気発生器胴体2の内部において、複数の直線状の二重伝熱管7を蒸気発生器胴体2の軸方向に平行に設け、さらに蒸気発生器胴体2の側周面を貫通して、凝縮水配管8および蒸気配管9を蒸気発生器胴体2に接続した構成とし、蒸気発生器胴体2内部において凝縮水配管8から凝縮水を二重伝熱管7の内管5に導入し、二重伝熱管7の内管5から蒸気を蒸気配管9に導出してもよい。
【符号の説明】
【0116】
1・・・高速炉プラント冷却系
2・・・蒸気発生器胴体
3・・・ナトリウム入口配管
4・・・ナトリウム出口配管
5・・・内管
6・・・外管
7・・・二重伝熱管
8・・・蒸気配管
9・・・凝縮水配管
10・・・カバーガス循環装置
11・・・ナトリウムポンプ
12・・・電磁流量計
13・・・カバーガス部バイパス配管
14・・・カバーガス循環ポンプ
15・・・カバーガス冷却器
16・・・カバーガス加熱器
17・・・ヘリウムガス検出器
18・・・透磁率測定装置
19・・・コイル
20・・・検流計
21・・・ナトリウムバイパス配管
22・・・ナトリウム冷却器
23・・・ナトリウム加熱器
24・・・ナトリウム止弁
25・・・電磁石
26・・・コールドトラップ
27・・・メッシュ
28・・・強磁性体粒子容器
29・・・サイクロンセパレータ
30・・・液面
31・・・カバーガス部
40・・・ギャップ
41・・・ヘリウムガス
42・・・強磁性体粒子
43・・・ホール
51・・・原子炉容器
52・・・トップドーム
53・・・炉心
54・・・内シュラウド
55・・・反射体
56・・・炉停止棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体ナトリウムを収容することができる蒸気発生器胴体と、
この蒸気発生器胴体に接続され、この蒸気発生器胴体に前記液体ナトリウムを供給するナトリウム入口配管と、
前記蒸気発生器胴体に接続され、この蒸気発生器胴体から前記液体ナトリウムを導出するナトリウム出口配管と、
前記蒸気発生器胴体内部に配置され、内管と、この内管の側周面にギャップをもって配置される外管とを有し、前記蒸気発生器胴体外部から前記内管内部に水を導入し、この水に前記外管に接する前記液体ナトリウムとギャップを介して熱交換を行わせる二重伝熱管と、
この二重伝熱管の前記ギャップ内において保有される不活性ガスおよび強磁性体粒子と、
前記蒸気発生器胴体および前記ナトリウム入口配管ならびに前記ナトリウム出口配管からなり前記液体ナトリウムが循環するナトリウム主流路のいずれかの位置において設けられ、所定の磁場変化を測定することにより前記外管から漏えいした前記液体ナトリウムに含まれる前記強磁性体粒子を検出する磁場測定装置とを備えることを特徴とする高速炉プラント冷却系。
【請求項2】
内部に核燃料を配置し、液体ナトリウムを収容することができる原子炉容器と、
この原子炉容器内部において前記核燃料を包囲して設けられる内シュラウドと、
前記原子炉容器内部であって前記内シュラウドの外側に配置され、内管と、この内管の側周面にギャップをもって配置される前記外管とを有し、前記原子炉容器外部から前記内管内部に水を導入し、この水に前記外管に接する前記液体ナトリウムとギャップを介して熱交換を行わせる前記二重伝熱管と、
前記二重伝熱管の前記ギャップ内において保有される不活性ガスおよび強磁性体粒子と、
前記原子炉容器内において前記ナトリウムが循環するナトリウム主流路のいずれかの位置において設けられ、所定の磁場変化を測定することにより前記外管から漏えいした前記液体ナトリウムに含まれる前記強磁性体粒子を検出する磁場測定装置とを備えることを特徴とする高速炉プラント冷却系。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の前記ナトリウム主流路から前記液体ナトリウムの一部を内部に導入することができるナトリウムバイパス配管をさらに備え、
前記磁場測定装置は、前記液体ナトリウム主流路に代えて、前記ナトリウムバイパス配管において設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項4】
前記ナトリウム出口配管から前記液体ナトリウムを導入し、前記ナトリウム出口配管へ再び前記液体ナトリウムを導出するように前記ナトリウムバイパス配管をさらに備え、
前記磁場測定装置は、前記液体ナトリウム主流路に代えて、前記ナトリウムバイパス配管において設けられることを特徴とする請求項1に記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項5】
前記蒸気発生器胴体から前記液体ナトリウムを導入し、前記蒸気発生器胴体へ再び前記液体ナトリウムを導出するように前記ナトリウムバイパス配管をさらに備え、
前記磁場測定装置は、前記液体ナトリウム主流路に代えて、前記ナトリウムバイパス配管において設けられることを特徴とする請求項1に記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項6】
前記ナトリウム出口配管から前記液体ナトリウムを導入し、前記蒸気発生器胴体へ前記液体ナトリウムを導出するように前記ナトリウムバイパス配管をさらに備え、
前記磁場測定装置は、前記液体ナトリウム主流路に代えて、前記ナトリウムバイパス配管において設けられることを特徴とする請求項1に記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項7】
前記ナトリウムバイパス配管において、前記磁場測定装置が設けられる位置よりも前記液体ナトリウムの流れの上流において前記液体ナトリウムを冷却する冷却器をさらに備え、
この冷却器によって冷却された前記強磁性体粒子によって所定の前記磁場変化を測定することを特徴とする請求項3乃至請求項6の何れか一項記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項8】
前記ナトリウムバイパス配管において、前記磁場測定装置が設けられる位置よりも前記液体ナトリウムの流れの下流において前記液体ナトリウムを加熱する加熱器をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項9】
前記ナトリウムバイパス配管において、前記冷却器と、この冷却器によって冷却された前記液体ナトリウム中の不純物を捕獲する捕獲装置と、前記冷却器によって冷却された前記液体ナトリウムを加熱する前記加熱器を有するコールドトラップをさらに備え、前記磁場測定装置は、前記冷却器が設けられる位置よりも前記液体ナトリウムの流れの下流において設けられることを特徴とする請求項3乃至請求項6の何れか一項記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項10】
前記強磁性体粒子は、前記ギャップ内において常磁性体として存在し、
前記冷却器によって冷却されたときに強磁性体に変化することを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れか一項記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項11】
前記磁場測定装置は、前記液体ナトリウムの流れ方向に複数設けられ、
複数の前記磁場測定装置は、前記液体ナトリウムの流れ方向に沿って連続的に所定の前記磁場変化を測定することを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項12】
前記ナトリウムバイパス配管において、前記磁場測定装置が設けられる位置よりも前記液体ナトリウムの流れの上流および下流に設けられるナトリウム止弁と、
前記磁場測定装置の近傍に設けられる電磁石をさらに備え、
前記ナトリウム止弁を閉動作させることによって前記液体ナトリウムの流れを静止させ、さらに前記電磁石を動作させた状態において、前記磁場測定装置は、静的な前記強磁性体粒子による所定の前記磁場変化を測定することを特徴とする請求項3乃至請求項9の何れか一項記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項13】
前記磁場測定装置は、前記液体ナトリウムの流量を測定する電磁流量計であって、
この電磁流量計によって所定の流量変化を測定することにより、所定の前記磁場変化を測定することを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか一項記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項14】
前記磁場測定装置は、コイルおよびこのコイルに接続される検流計であって、
前記コイルに生じる誘導電流を前記検流計によって測定することにより、所定の前記磁場変化を測定することを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか一項記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項15】
前記磁場測定装置は、測定対象に磁場をかけて透磁率を測定することにより、所定の前記磁場変化を測定する透磁率測定装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか一項記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項16】
前記強磁性体粒子を放出する粒子放出口が前記ギャップに連通するように前記二重伝熱管の前記外管と接続した前記強磁性体粒子容器をさらに備え、
前記強磁性体粒子は前記ギャップに代えて前記強磁性体粒子容器内に保有され、
前記強磁性体粒子は、前記ギャップ内の圧力低下に伴って前記強磁性体粒子容器内から前記粒子放出口を介して前記ギャップへ移動することを特徴とする請求項1乃至請求項15の何れか一項記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項17】
前記磁場測定装置が設けられる位置よりも前記液体ナトリウムの流れの下流において設けられ、
前記液体ナトリウム中に含まれる前記強磁性体粒子を回収する強磁性体粒子回収装置をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項16の何れか一項記載の高速炉プラント冷却系。
【請求項18】
ナトリウム入口配管によって蒸気発生器胴体に液体ナトリウムを供給する工程と、
ナトリウム出口配管によって前記蒸気発生器胴体から前記液体ナトリウムを導出する工程と、
前記蒸気発生器胴体および前記ナトリウム入口配管ならびに前記ナトリウム出口配管からなり、前記ナトリウムが循環する前記ナトリウム主流路またはこのナトリウム主流路から前記液体ナトリウムの一部を内部に導入する前記ナトリウムバイパス配管において設けられた前記磁場測定装置によって所定の前記磁場変化を測定することにより、二重伝熱管のギャップ内に保有され、前記二重伝熱管の外管の破損箇所から前記液体ナトリウム中に放出された強磁性体粒子を検出し、前記外管の破損を検出する工程とを備えることを特徴とする高速炉プラント蒸気発生器の破損検出方法。
【請求項19】
原子炉容器内部において液体ナトリウムを循環させる工程と、
前記原子炉容器内において前記ナトリウムが循環する前記ナトリウム主流路またはこのナトリウム主流路から前記液体ナトリウムの一部を内部に導入する前記ナトリウムバイパス配管において設けられた前記磁場測定装置によって所定の前記磁場変化を測定することにより、二重伝熱管のギャップ内に保有され、前記二重伝熱管の外管の破損箇所から前記液体ナトリウム中に放出された強磁性体粒子を検出し、前記外管の前記破損を検出する工程とを備えることを特徴とする高速炉プラント蒸気発生器の破損検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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