説明

高速錫めっき方法

錫被覆金属の電解製造方法を開示する。有機多塩基酸、例えば、メタンジスルホン酸[CH2(SO3H)2]、1,3−アセトンジスルホン酸[CO(CH2SO3H)2]、無水物及びそれらの水溶性塩並びにそれらの混合物を当該めっき方法における電解質として又はリフロープロセスにおける融剤として使用できる。アセトン、γ−ブチロラクトン又はそれらの混合物を、リフローの前か後のいずれかに、錫めっき表面に適用することができる。本発明の方法によれば、青色の曇のないめっき材料が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2005年12月29日に出願された米国仮出願第60/755,584号に基づく優先権を主張する。当該仮出願の開示は、引用によってここに含める。
【0002】
発明の分野
本発明は、錫被覆金属の製造法に関する。特に、本発明は、錫被覆金属の電解製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
錫は耐食性があるので、鋼のような耐食性の低い金属に対する保護被膜として使用されている。錫被膜を適用する一方法は、鋼板を溶融した錫に浸漬させることである。しかしながら、この方法は無駄が多い。というのは、この方法は、必要以上に厚い錫の層を生じさせるからである。その結果として、より薄くかつより均質な錫層を生じさせる電解方法が開発された。鋼帯上に錫を電解めっきすることは、例えば、Kitayamaの米国特許第4,181,580号に開示されている。その開示は、引用によってここに含めるものとする。
【0004】
鋼帯の高速錫めっきでは、その鋼帯を、まず一連のアルカリ洗浄剤で洗浄して油及びグリースを除去する。次いで、この鋼を数回洗浄水に通し、続いて希酸(「酸洗」)溶液に通してから電解めっき浴に通し、鋼表面上に錫層を生じさせる。被覆されたときの錫層は、典型的には、滑らかでつやのない表面を有している。
【0005】
一般に、鋼帯錫めっき浴には2種の錫めっき溶液が使用される。FERROSTAN(商標)系はフェノールスルホン酸(HOC64SO3H,PSA)及び硫酸第一錫を含有し、一方、RONASTAN(商標)系はメタンスルホン酸(CH3SO3H,MSA)及びメタンスルホン酸第一錫を含有する。電解浴中においてMSAを使用することは、例えば、Thompsonの米国特許第5,312,539号及びCoppingの米国特許第6,251,255号に開示されている。これらの開示は、引用によってここに含めるものとする。PSA酸電解浴を使用することは、例えば、Ooniwaの米国特許第4,936,965号及びDulcettiの米国特許第6,921,472号に開示されている。これらの開示は、引用によってここに含めるものとする。
【0006】
めっき後に、このめっき帯を水で2回洗浄するのが典型的である。すすぎ後に、このめっき帯は、続いてフラクシング溶液(例えば、「酸フラックス」溶液)に入り、その後空気乾燥される。用語「フラックス」とは、リフロー操作を促進する物質をいう。次いで、このめっき帯をリフロー炉内で錫の融点(約232℃)よりもわずかに高い温度にまで加熱し、典型的にはリフロー炉内で約240℃に加熱する。この錫層を溶融させ、鋼基材上に錫の表面層及び錫と錫−鉄合金とを含有する表面下拡散層を形成させる。加熱(「リフロー」)後、そのめっき帯を水中に浸漬させることによって素早く冷却又は急冷し、光輝仕上げを有する錫表面層を生じさせる。
【0007】
めっき後にすすぎ工程を行う目的は、錫表面からめっき電解溶液の成分を可能な限り除去することである。めっき電解質のいくらかは、めっき浴から取り出されたときに「すくい出し」として錫表面上に保持されるであろう。このすくい出しの組成は、水、めっき用の酸(すなわち、PSA又はMSA)、第一錫塩及び溶解電解めっき添加剤を含み得る。めっき浴成分のすくい出しは経済的損失を意味し、しかも電解めっき操作中にガスが放出されることに伴う蒸発又は飛沫同伴のためにめっき浴から水がいくらか失われるので、これらのすすぎ溶液は、典型的には、すすぎ水及びめっき帯と共にすすぎ溶液に持ち出されるめっき浴成分をめっき溶液に戻すように逆流を有する。
【0008】
O’Driscollの米国特許第6,409,850号及びAllenの米国特許第2,719,820号(これらの開示は、引用によってここに含めるものとする。)には、融剤の目的は、錫表面から酸化物を除去し、リフロー中に溶融錫の表面張力を低減させ、それによってリフロー中に錫の不均一な流れを防止することである。このような不均一な流れは、急冷後に不均一な表面(例えば、「木目調」)を生じさせ得る。融剤の例としては、塩化水素、塩化第一錫、塩化亜鉛、塩化アンモニウム、パーム油、グルコン酸、グルタミン酸、クエン酸、酒石酸、シトラジン酸、ケリダム酸、ケリドン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド、各種ナフトールジスルホン酸及び各種ヒドロキシベンゼンスルホン酸(PSAを含む)が挙げられる。PSAは良好な融剤として機能するが、MSAは、以下で議論するように、青色の染みを形成するため、融剤として好適ではない。
【0009】
PSAを含有するFERROSTAN(商標)めっき溶液を使用する場合には、酸フラックス溶液中のPSA濃度は、めっき浴及び先のすすぎからの持ち込みのため、典型的には約0.1〜1.0%のPSAである。0.1〜1.0%のPSAを含有する酸フラックス溶液により、リフロー後に光沢のある被着表面層が生じる。しかしながら、PSAを含有するめっき溶液中には遊離フェノールが存在するし、PSAは固有電気伝導率が低いので、PSA以外の電解質が求められている。
【0010】
MSAを含有するめっき溶液は、作業者にとって都合がよい。というのは、このものはフェノールを含有しないし、またPSAを含有するめっき溶液よりもさらに伝導性があるからである。さらに、MSAは、非酸化性の酸であり、かつ、第一錫イオン(Sn+2)から第二錫イオン(Sn+4)への酸化を最小にする。第二錫イオンは第二錫のスラッジ、つまり溶液から沈殿する不溶性酸化物スラッジを形成し、これによって電解めっき系から錫が失われる。MSAをめっき溶液に使用する場合には、酸フラックス溶液は、めっき浴からの持ち込みのため、MSAを含有する。酸フラックス溶液中にMSAが存在すると、リフロー後に、当該表面層は、錫表面の外観に有害となりかつ表面層の耐食性にも影響を及ぼす可能性がある望ましくない青色の曇りを有する場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、PSAを使用する方法の不利益を有しないだけでなく、さらにリフロー後に望ましくない青色の曇りの形成に至らない錫めっき方法に対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
一態様において、本発明は、電解めっき方法であって、次の工程:
(a)電解質と、第一錫イオンと、陰イオンとを含む酸性電解めっき浴中で鋼帯上に錫を電解めっきし、錫の表面層を有するめっき錫表面を備えるめっき帯を形成させ;
(b)1回以上のすすぎを行い;
(c)随意に、該めっき錫表面を(i)1個以上のスルホン酸基及び随意に1個以上の弱酸官能基を有する多塩基有機酸、その塩若しくはその無水物又は該多塩基有機酸、その無水物及びその塩の2種以上の混合物を約0.01重量%〜10重量%含む水溶液か、(ii)有機化合物を約0.01容量%〜10容量%含んでなる水溶液のいずれかにさらし、ここで、該有機化合物は、アセトン、γ−ブチロラクトン及びそれらの混合物よりなる群から選択されるものとし;
(d)該めっき帯を少なくとも錫の融点(ただし、該鋼帯の融点未満)にまで加熱し;そして
(e)(i)該めっき帯を水中で急冷し又は(ii)有機化合物を約0.01容量%〜10容量%含んでなる水溶液中で該めっき鋼帯を急冷すること
を含み、ここで、該電解質が1個以上のスルホン酸基及び随意に1個以上の弱酸官能基を有する多塩基有機酸、その塩若しくはその無水物又は該多塩基酸、その無水物及びその塩の2種以上の混合物ではない場合には、該方法は、工程(c)又は工程(e)(ii)のいずれかを含む、前記方法である。
【0013】
別の態様では、本発明は、めっき浴、すすぎ及び/又は錫の電解めっき操作に使用される溶液の成分に関するものである。本発明の水性浴、すすぎ及び/又は溶液の成分は、1個以上のスルホン酸基及び随意に1個以上の弱酸官能基を有する多塩基有機酸、それらの酸若しくは無水物及びそれらの混合物、及び/又は有機化合物の水中での混合物、例えば、アセトン、γ−ブチロラクトン及びそれらの混合物を含む。例えば、本発明は、ポリスルホン酸を含むめっき水溶液、例えば、第一錫イオンと、(1)アルキルポリスルホン酸、例えばメタンジスルホン酸、1,3−アセトンジスルホン酸若しくはその混合物、(2)その無水物、(3)その塩又は(4)その混合物の約0.01重量%〜10重量%とを含むめっき水溶液に関するものである。
【0014】
別の態様では、本発明は、上記の方法を使用することにより製造された錫めっき鋼に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明の詳細な説明
文脈において特に示さない限り、本明細書及び特許請求の範囲において、ポリスルホン酸、ジスルホン酸、アルキルポリスルホン酸、アルキルジスルホン酸、無水物、塩、有機化合物という用語及び同様の用語には、このような物質の混合物も含まれる。明示しない限り、パーセンテージは、全て重量パーセントであり、温度は、全て摂氏温度(セルシウス度)で表す。
【0016】
従来の錫めっき設備は、次の工程を次の順序で使用する:
めっき→第1水洗→第2水洗→酸フラックス(めっきで使用した同一の酸又は添加された融剤による)→空気乾燥→リフロー→水中での急冷→乾燥。
【0017】
用語 「フラックス」及び「融剤」とは、一般に、錫層の融解及び/又は流れに役立つ材料をいう。酸フラックス中にMSAが存在する錫めっき方法は、リフロー後に、青色の曇を有する表面層を生じさせ得る。この青色の曇の存在は、当該表面層の耐食性に悪影響を及ぼし得る。本発明者は、リフロー後の当該表面層上の青色の曇りが以下で説明する方法によって解消できることを見出した。
【0018】
アルキルジスルホン酸又はポリスルホン酸の使用
リフロー後の青色の曇は、アルキルポリスルホン酸又はその塩、例えばジスルホン酸、好ましくはアルキルジスルホン酸、その無水物及び/又はその塩を使用することで解消できる。アルキルポリスルホン酸及び/又はアルキルポリスルホン酸塩の水溶液をリフローの直前にすすぎ液又はフラックスとして使用できる。この溶液は、典型的には、約0.01重量%〜約10重量%の酸及び/又は酸の塩を含む。好ましくは、少なくともすすぎ溶液が酸性(pH<6.95)となる程度に十分な酸が存在する。酸性溶液を生じさせるために無機酸、例えば硫酸が存在してもよい。
【0019】
アルキルポリスルホン酸は、他のスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、フェノールスルホン酸及びイセチオン酸(2−ヒドロキシエタンスルホン酸)、及び/又は無機酸、例えば硫酸、及び/又はそれらの塩、例えばそれらのアンモニウム、ナトリウム及び/又はカリウム塩と混合できる。これらポリスルホン酸及び/又はポリスルホン酸塩の混合物(添加酸及び/又は添加酸塩を有する或いは有しない)のうち任意のものを錫めっき溶液における酸/電流キャリアとして使用することもできる。
【0020】
好適な有機ポリスルホン酸としては、直鎖、分岐鎖、アルキル及び芳香族の多塩基酸が挙げられるが、ただし、ヒドロキシアリール官能基を含有するものを除くものとする。好適な有機ポリスルホン酸としては、例えば、メタンジスルホン酸[CH2(SO3H)2]及び1,3−アセトンジスルホン酸[CO(CH2SO3H)2]、C2〜C20アルカンジスルホン酸又はポリスルホン酸、例えば、次式:HO3SO(CH2nSO3H(式中、nは2〜20である。)の酸、例えばHO3SO(CH22SO3H、HO3SO(CH23SO3H及びHO3SO(CH24SO3H、これらの酸の無水物及びこれらの酸の塩が挙げられる。
【0021】
また、1個以上のカルボン酸又はホスホン酸基の他に1個以上のスルホン酸基を有する二塩基酸及び多塩基酸、例えば、スルホ安息香酸[o−、m−及びp−HO3SC64CO2H]、スルホ酢酸[HO3SOCH2CO2H]、スルホ琥珀酸[HO2CCH(SO3H)CH2CO2H]、2−スルホプロパン酸[CH3CH(SO3H)CO2H]; 及び3−スルホプロパン酸[HO3SO(CH22CO2H]並びにそれらの無水物及びそれらの塩も有用である。典型的な塩は、水溶性の塩、例えばアルカリ金属塩、特にナトリウム及びカリウム塩並びにアンモニウム及び置換アンモニウム塩である。
【0022】
めっき浴中にMSA及び他の酸を含まない硫酸を使用して製造された錫被覆物上には、リフロー後に目に見える染みは全く観察されないものの、これらの付着物はリフローが困難であるため、商業的には許容できない。硫酸溶液の測定伝導率は、MSAのようなスルホン酸の溶液よりも、同一の規定度及び温度で小さい。例えば、0.4Nの硫酸溶液の40℃での伝導率は107.3 mS/cmであるのに対し、0.4NのMSA溶液の同一の規定度及び温度での伝導率は166.5mS/cmである。しかしながら、アルキルジスルホン酸(MDSA)の伝導率は、MSAの同一の規定度及び温度での伝導率と同等である。例えば、0.4NのMDSA溶液の40℃での伝導率は170.4mS/cmである。そのため、めっき浴に関して硫酸をMSAの代わりとすることはできないが、MDSAのようなアルキルジスルホン酸を含めたアルキルポリスルホン酸をめっき浴中においてMSAの代わりに使用することができる。
【0023】
また、MSAとアルキルポリスルホン酸との混合物も使用することができるが、アルキルポリスルホン酸の規定度が少なくともMSAの規定度にほぼ等しいことを条件とする。例えば、3/1のMSA:MDSAである0.4Nの酸をめっき浴に使用した場合には、明確な青色の染みが観察された。しかしながら、1/1又は1/3のMSA:MDSAである0.4Nの酸をめっき浴に使用した場合には、明確な青色の染みは全く観察されなかった。
【0024】
さらに、アルキルポリスルホン酸と硫酸との混合物を使用することもできるが、ただし、アルキルポリスルホン酸の規定度の比率は、硫酸の規定度の少なくとも約3分の1であることを条件とする。例えば、硫酸対MDSAの比が3/1である0.4Nの全酸溶液をめっき浴に使用した場合には、明確な青色の染みは全く観察されず、また、その錫被覆物はリフローするのが困難ではなかった。
【0025】
水/有機化合物混合物の使用
いかなる説明理論にも制約されるものではないが、MSAを電解質として使用する場合に形成する青色の曇は、少なくとも一部は事実上有機物であり得ると考えられる。RONASTAN(商標)系においてMSA電解質と共に使用される添加剤であるTP−SR添加剤をめっき浴から除外すると、従来の洗浄及びリフローでは青色の曇は全く形成されない。MSA電解質を用いためっき中にTP−SR添加剤をFERROSTAN(商標)方法で使用される添加剤であるENSA添加剤(α−ナフトールスルホン酸のエトキシレート)で置き換えると、青色の曇は形成されなかったが、ただし、リフロー後に、該めっき錫表面は、TP−SR添加剤を使用して形成された当該表面ほど光沢があるわけではなかった。
【0026】
青色の曇りの形成は、水と有機化合物との混合物を使用することによって解消される。水/有機化合物混合物はフラックス溶液の代わりに及び/又は急冷において使用できる。当該溶液は、典型的には、当該有機化合物を約0.01%〜10%含有する。青色の曇の形成を防止するのに必要な最小量を用いるのが典型的である。別法として、水/有機化合物混合物又は有機化合物をリフローの前か後のいずれかに錫めっき表面上に噴射したり拭ったりすることができる。また、めっき基材をリフローの前か後のいずれかに該有機化合物中に浸漬することもできる。
【0027】
水と混和性のある有機化合物又は少なくとも約1%(容量:容量)の水溶液を形成するのに十分な水への溶解度を有する有機化合物を使用することができる。水/有機化合物混合物は、単一相である必要がある。好ましい有機化合物としては、アセトン、γ−ブチロラクトン及びそれらの混合物が挙げられる。他の有用な材料は、β−ジカルボニル基を有する化合物、例えば、アセチルアセトン及びアセト酢酸エステル、並びに、同一の炭素原子上に2個のニトリル基を有する化合物、例えば、マロノニトリルである。次の有機化合物は、青色の曇を防止するには効果的ではないことが分かった:ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、スルホラン、メタノール、エタノール、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン及びヘキサン。
【0028】
産業上の利用可能性
本発明の方法は、「錫めっき」として知られている錫被覆金属、特に錫被覆鋼の製造のために使用できる。それぞれの表面上の錫層は、典型的には、約0.38ミクロン〜約1.6ミクロンの厚さである。当該錫被覆鋼帯は、典型的には約0.15mm〜約0.60mmの厚さである。錫めっき鋼から作られた缶(「ブリキ缶」)は、包装容器、例えば、食品及び飲料の包装容器並びに他の材料、例えばペイント及び潤滑油の包装容器に幅広く使用されている。
【0029】
本発明の有利な特性は、次の実施例を参照することにより認識できるが、この実施例は例示であって本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0030】

用語解説
MSA メタンスルホン酸(CH3SO3H)
ENSA添加剤 α−ナフトールスルホン酸のエトキシレート;
電解めっき添加剤(ローム・アンド・ハース社,
米国ペンシルバニア州フィラデルフィア)
PSA フェノールスルホン酸(HOC64SO3H)
Sn(CH3SO32 メタンスルホン酸錫(II)
TP−SR添加剤 RONASTAN(商標)TP−SR錫めっき添加剤
(ローム・アンド・ハース社,米国ペンシルバニア州
フィラデルフィア)。
【0031】
比較例1
この例は、PSA及び硫酸第一錫を含有するFERROSTAN(商標)系を使用すると、青色の曇が形成されないことを示す。
清浄にしたばかりの鋼帯上に錫を次のめっき溶液を使用してめっきした:
硫酸第一錫 36g/L(Snとして20g/LのSn)
PSA 60g/L(65%市販材料を92g/L)
ENSA 3g/L。
鋼パネル(約2cm×10cm)を洗浄し、そして当該めっき浴中で1.25アンペアの電流を使用して25秒間めっきした。このめっき浴の温度は43℃であった。得られた錫被覆物の厚さは、約1ミクロンであった。
得られためっきパネルを、(1)錫めっき電解質を65%含有する溶液;(2)錫めっき電解質を35%含有する溶液;及び錫めっき電解質を15%含有する溶液中ですすぎ、空気乾燥させた。このめっきパネルを、該錫を溶融(リフロー)させるのに十分な時間にわたりホットエアガンを使用して約250℃で加熱し、次いで直ちに水中で急冷し、そして乾燥させた。錫層上には青色の曇は観察されなかった。
【0032】
比較例2
この例は、メタンスルホン酸(CH3SO3H,MSA)及びメタンスルホン酸第一錫を含有するRONASTAN(商標)系を使用すると、青色の曇が形成されることを示す。
比較例1の手順を繰り返したが、ただし、次のめっき溶液を使用した。
Sn(CH3SO32 300g/L錫濃縮物(Snとして20g/L)
を66.7mL/L
MSA 40g/L
TP−SR添加剤 50mL/L
ヒドロキノン 1g/L。
このめっき浴の温度は40℃であった。得られためっき鋼パネルを比較例1と同じ系列のすすぎ液ですすいだ。このめっきパネルを、その錫を溶融(リフロー)させるのに十分な時間にわたりホットエアガンを使用して約250℃で加熱し、次いで直ちに水中で急冷し、そして乾燥させた。錫層の表面上には青色の曇が観察された。
【0033】
例1
比較例2の手順を繰り返したが、ただし3回目のすすぎは、5%メタンジスルホン酸[CH2(SO3H)2]中でのすすぎであった。リフロー後に、錫層上には青色の曇が観察された。リフロー後の水による急冷によって、青色の曇が取り除かれた。
【0034】
例2
比較例2の手順を繰り返したが、ただし、5%の1,3−アセトンジスルホン酸二カリウム塩[CO(CH2SO3K)2]中での4回目のすすぎをこの手順に加えた。リフロー後に、錫層上には青色の曇が観察された。水による急冷後に、錫層上にはほんのわずかな青色の曇が観察されたに過ぎなかった。
【0035】
例2b
例2aの手順を繰り返したが、ただし、4回目のすすぎ液は、5%の1,3−アセトンジスルホン酸二カリウム塩[CO(CH2SO3K)2]及び1モル当量の硫酸を含有した。リフロー後に、錫層上に青色の曇が観察されたが、水による急冷によってこの青色の曇は取り除かれた。
【0036】
例3
比較例2の手順を繰り返したが、ただし、ヒドロキノンとTP−SR添加剤とをめっき浴から除外した。水による急冷後に、錫層上には青色の曇は観察されなかった。
【0037】
例4a
比較例2の手順を繰り返したが、ただし、めっき浴からTP−SR添加剤のみを除外した。水による急冷後に、錫層上には青色の曇は観察されなかった。
【0038】
例4b
比較例2の手順を繰り返したが、ただし、めっき浴からヒドロキノンのみを除外した。水による急冷後に、錫層上には青色の曇が観察された。
【0039】
例5
比較例2の手順を繰り返したが、ただし、めっき浴中のTP−SR添加剤を、FERROSTAN(商標)/PSA系において使用される添加剤であるENSA添加剤で置き換えた。水による急冷後に、錫層上には青色の曇は観察されなかった。しかしながら、当該錫表面は、TP−SR添加剤をめっき浴中に使用した場合と同様に、それほど光沢がなかった。例3、4a、4b及び5の結果は、青色の曇の形成が、めっき浴中にTP−SR添加剤が存在することに関連していることを示唆する。
【0040】
例6a
比較例1の手順を繰り返したが、ただし次のめっき溶液を使用した。
Sn(CH3SO32 300g/L錫濃縮物を66.7mL/L
(Snとして20g/L)
メタンジスルホン酸 5g/L
TP−SR添加剤 50mL/L
ヒドロキノン 1g/L
このめっき浴の温度は40℃であった。
得られためっきパネルを、(1)錫めっき電解質を65%含有する溶液;(2)錫めっき電解質を35%含有する溶液;及び(3)錫めっき電解質を15%含有する溶液ですすぎ、そして空気乾燥させた。このめっきパネルを、その錫を溶融(リフロー)させるのに十分な時間にわたりホットエアガンを使用して約250℃で加熱し、次いで直ちに水中で急冷し、そして乾燥させた。リフロー後に、錫層上に青色の曇が観察されたが、リフロー後の水による急冷によって、青色の曇が取り除かれた。
【0041】
例6b
比較例1の手順を繰り返したが、ただし次のめっき溶液を使用した。
Sn(CH3SO32 300g/L錫濃縮物を66.7mL/L
(Snとして20g/L)
1,3−アセトンジスルホン酸カリウム塩 40g/L
硫酸 5g/L
TP−SR添加剤 50mL/L
ヒドロキノン 1g/L。
このめっき浴の温度は40℃であった。
得られためっきパネルを、(1)錫めっき電解質を65%含有する溶液;(2)錫めっき電解質を35%含有する溶液; 及び(3)錫めっき電解質を15%含有する溶液ですすぎ、そして空気乾燥させた。このめっきパネルを、その錫を溶融(リフロー)させるのに十分な時間にわたりホットエアガンを使用して約250℃で加熱し、次いで直ちに水中で急冷し、そして乾燥させた。リフロー後に、錫層上に青色の曇が観察されたが、リフロー後の水による急冷によって、青色の曇が取り除かれた。
【0042】
例7a及び7b
両方とも例6a及び6bの手順を繰り返したが、ただし、このめっきパネルを、元のめっき溶液を25%含有するすすぎ液を使用して、1回だけすすいだ。両者それぞれの場合において、リフロー後に、錫層上に青色の曇が観察されたが、リフロー後の水による急冷によって、青色の曇が取り除かれた。
【0043】
例8
比較例2の手順に従ったが、ただし、その手順に5%の水性アセトン中での4回目のすすぎを加えた。水による急冷後に、錫層上には青色の曇は観察されなかった。
γ−ブチロラクトンをアセトンの代わりに使用した場合にも同様の結果が観察された。次の有機化合物をアセトンの代替として評価したが、この手順において青色の曇を防止するには効果的ではないことが分かった:ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、スルホラン、メタノール、エタノール、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン及びヘキサン。5%溶液を形成するのに十分な水への溶解度を有しないこれらの化合物は、水への分散体として使用した。
【0044】
例9
比較例2の手順に従ったが、ただしこのめっきパネルを、リフロー後に5%水性アセトン中で急冷した。急冷後に、錫層上には青色の曇は観察されなかった。当該急冷溶液には濁った懸濁が観察された。また、リフロー後に水を存在させずにアセトンで処理したところ、青色の曇が取り除かれた。
【0045】
例10
この例は、錫めっき溶液に使用した酸の伝導率を例示するものである。二塩基酸である硫酸とMDSAを一塩基酸であるMSAと共に評価した。錫めっき溶液の目標の伝導率は約160mS/cmである。伝導率が低すぎると、非常に大きなめっき力が必要となる。伝導率が高すぎると、錫圧延機内の伝導体ローラー上に無関係に錫めっきが生じる。
MSAの0.4N溶液を、27.5gの70%MSA溶液を脱イオン水で500mLに希釈することによって調製した。結果を表1に与える。
【0046】
【表1】

【0047】
約160mS/cmの目標伝導率が0.4NのMSA及び35℃〜40℃の間で観察された。
【0048】
MDSAの0.4N溶液を、36gの50%MDSA溶液を脱イオン水で500mLにまで希釈することによって調製した。結果を表2に与える。
【0049】
【表2】

【0050】
約160mS/cmの目標伝導率が0.4NのMDSA及び35℃〜40℃の間で観察された。
硫酸の0.4N溶液を、5.5mLの濃硫酸を脱イオン水で500mLにまで希釈することによって調製した。結果を表3に与える。
【0051】
【表3】

【0052】
0.4N硫酸及び50℃であっても約160mS/cmの目標伝導率は観察されなかった。
【0053】
これら3種の酸の同一温度及び濃度での比を、調査した各温度及び濃度で算出して各酸の脱プロトン化の範囲を決定した。
MSA/MDSAについての伝導率比を表4に示す。
【0054】
【表4】

【0055】
測定された比の平均は、1.00である。MSAとMDSAとは同一の規定度及び温度でおよそ同じ伝導率を有するので、MDSAの両方のプロトンは遊離している。すなわち、MDSAの第2プロトンは、これらの濃度及び温度では本質的に完全にイオン化している。
【0056】
MSA/H2SO4についての伝導率比を表5に示す。
【0057】
【表5】

【0058】
測定された比の平均は、1.52である。これは、硫酸の第2プロトンがこれらの濃度及び温度では50%しか脱プロトン化されないことを示す。従って、MSAは、調査した濃度及び温度では硫酸よりもかなり伝導性である。
【0059】
MDSA/H2SO4についての伝導率比を表6に示す。
【0060】
【表6】

【0061】
測定された比の平均は、1.52である。これは、硫酸の第2プロトンがこれらの濃度及び温度では50%しか脱プロトン化されないことを示す。従って、MDSAは、調査した濃度及び温度では硫酸よりもかなり伝導性である。
【0062】
例11
この例は、MSA及び/又はMDSAを含有する錫溶液の一定の規定度での伝導率を比較するものである。
Sn(CH3SO32[遊離Sn+2として20g/L]、表7に示すように0.4Nの酸、50mL/LのTP−SR添加剤及び1g/Lのヒドロキノンを含有する溶液。これらの溶液を加熱し、そして伝導率を測定した。結果を表7に示す。
【0063】
【表7】

【0064】
同じ温度では、全ての錫溶液の伝導率は、使用した酸又は酸の混合物にかかわらず、およそ同じである。
【0065】
例12
この例は、MSA及び/又はMDSAを含有する錫溶液を一定の規定度で使用した錫のめっきを比較するものである。
伝導率を例11で測定した5種の溶液を錫めっきについて評価した。低炭素鋼片を洗浄し、アルカリ媒体中で脱脂し、水ですすぎ、5%塩酸に5秒間浸漬し、水で2回目のすすぎを行った。例11からの溶液のそれぞれを40℃に加熱し、この洗浄した低炭素鋼片を10A/dm2で25秒間めっきした。
これら錫めっき鋼試料のそれぞれを、65%めっき溶液/35%脱イオン洗浄水ですすぎ、35%めっき溶液/65%脱イオン洗浄水ですすぎ、そして15%めっき溶液/85%脱イオン洗浄水ですすいだ。次いで、これらの錫めっき鋼試料をペーパータオルで乾燥させた。これらの試料を乾燥させた後に、この錫めっき鋼表面に錫を融解させるのに十分な時間(〜5秒)にわたって熱風を通すことにより錫をリフローさせた。錫を溶解させた後に、それぞれの錫めっき鋼を流水中で直ちに急冷し、次いで乾燥させた。
これらの試料について、青色の曇又は染みを肉眼で検査した。結果を以下に示す。
酸 観察
0.4NのMSA 明確な青色の染み
0.3NのMSA/0.1NのMDSA 明確な青色の染み
0.2NのMSA/0.2NのMDSA 明確な青色の染みなし
0.1NのMSA/0.3NのMDSA 明確な青色の染みなし
0.4NのMDSA 明確な青色の染みなし。
【0066】
MDSAの規定度が40℃及び0.4Nの総酸規定度でのMSAの規定度に少なくとも等しければ、青色の染みは存在しない。
【0067】
例13
この例は、MDSA及び/又は硫酸を含有する錫溶液(MSAなし)の一定の規定度での伝導率を比較するものである。
表8に記載した通りの溶液を硫酸第一錫SnSO4[遊離Sn+2として12g/L]、0.4Nの硫酸及び/又は0.4NのMDSA、50mL/LのTP−SR細粒化添加剤(ローム・アンド・ハース社から得られる)並びに1g/Lのヒドロキノンを使用して調製した。これらの溶液を加熱し、そして伝導率を測定した。
【0068】
【表8】

【0069】
伝導率は、0.4NのMDSAよりも0.4Nの硫酸電解質での方が非常に低い。0.4Nの総酸規定度でMDSAの相対量を増加させると、その溶液の伝導率が増大する。
【0070】
例14
この例は、MDSA及び/又は硫酸を一定の規定度で含有する錫溶液を使用した錫のめっきを比較する。
伝導率を例13で測定した5種の溶液について錫めっきを評価した。低炭素鋼片を洗浄し、アルカリ媒体中で脱脂し、水ですすぎ、5%塩酸に5秒間浸漬し、水で2回目のすすぎを行った。例13からの溶液のそれぞれを40℃に加熱し、この洗浄した低炭素鋼片を10A/dm2で25秒間めっきした。
これら錫めっき鋼試料のそれぞれを、65%めっき溶液/35%脱イオン水すすぎ液ですすぎ、35%めっき溶液/65%脱イオン水すすぎ液ですすぎ、15%めっき溶液/85%脱イオン水すすぎ液ですすいだ。次いで、これらの錫めっき鋼試料をペーパータオルで乾燥させた。これらの試料を乾燥させた後に、この錫めっき鋼表面に錫を融解させるのに十分な時間(〜5秒)にわたって熱風を通すことにより錫をリフローさせた。錫を溶解させた後に、それぞれの錫めっき鋼試料を流水中で直ちに急冷し、次いで乾燥させた。
これらの試料について、青色の曇又は染みを肉眼で検査した。結果を以下に示す。
酸 観察
0.4NのH2SO4 リフローが困難;明確な青色の染みなし
0.3NのH2SO4/0.1NのMDSA 明確な青色の染みなし
0.2NのH2SO4/0.2NのMDSA 明確な青色の染みなし
0.1NのH2SO4/0.3NのMDSA 明確な青色の染みなし
0.4NのMDSA 明確な青色の染みなし。
【0071】
0.4Nの硫酸のめっき溶液からの錫被覆物は青色の染みを示さなかったが、リフローするのが困難であった。他の試料のいずれでも青色の染みは観察されなかった。
【0072】
これは、正確な電解質の伝導率及び適切な錫付着物の特性を達成するためにジプロトン酸を使用して錫溶液を処方することは容易ではないことを示す。めっき液において硫酸のみを使用すると、所望の伝導率は得られず、また、その被覆物は商業的に許容できない。MDSA単独又はこれと硫酸との組合せをめっき溶液に使用すると、適切な溶液伝導率及び良好な錫付着物が観察される。そのため、酸性錫めっき溶液を処方するためにMDSAと共に他の錫塩を使用することが可能になる。
【0073】
本発明を説明してきたが、本出願人は、別紙の請求項に係る発明及びそれらの均等物について特許を請求する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程:
(a)電解質と、第一錫イオンと、陰イオンとを含む酸性電解めっき浴中で鋼帯上に錫を電解めっきし、錫の表面層を有するめっき錫表面を備えるめっき帯を形成させ;
(b)1回以上のすすぎを行い;
(c)随意に、該めっき錫表面を(i)1個以上のスルホン酸基及び随意に1個以上の弱酸官能基を有する多塩基有機酸、その塩若しくはその無水物又は該多塩基有機酸、その無水物及びその塩の2種以上の混合物を約0.01重量%〜10重量%含む水溶液か、或いは(ii)有機化合物を約0.01容量%〜10容量%含んでなる水溶液のいずれかにさらし、ここで、該有機化合物は、アセトン、γ−ブチロラクトン及びそれらの混合物よりなる群から選択されるものとし;
(d)該めっき帯を少なくとも錫の融点(ただし、該鋼帯の融点未満)にまで加熱し;そして
(e)(i)該めっき帯を水中で急冷し又は(ii)有機化合物を約0.01容量%〜10容量%含んでなる水溶液中で該めっき鋼帯を急冷すること
を含み、ここで、該電解質が1個以上のスルホン酸基及び随意に1個以上の弱酸官能基を有する多塩基有機酸、その塩若しくはその無水物又は該多塩基酸、その無水物及びその塩の2種以上の混合物ではない場合には、該方法は、工程(c)又は工程(e)(ii)のいずれかを含むことを特徴とする、錫めっき方法。
【請求項2】
前記方法が工程(c)(i)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1個以上のスルホン酸基を有する多塩基有機酸がアルキルポリスルホン酸である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルキルポリスルホン酸がアルキルジスルホン酸である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記アルキルジスルホン酸がメタンジスルホン酸、1,3−アセトンジスルホン酸、それらの無水物、それらの塩及びそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記酸性電解めっき溶液がアルキルポリスルホン酸及び硫酸を含み、この場合、硫酸対アルキルポリスルホン酸のこれら酸の規定度に基づく比が、約3/1以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アルキルポリスルホン酸がアルキルジスルホン酸である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アルキルジスルホン酸がメタンジスルホン酸である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酸性電解めっき溶液がアルキルポリスルホン酸及びメタンスルホン酸を含み、この場合、メタンスルホン酸対アルキルポリスルホン酸のこれら酸の規定度に基づく比が、約1/1以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記アルキルポリスルホン酸がアルキルジスルホン酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アルキルジスルホン酸がメタンジスルホン酸である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記陰イオンがメタンスルホン酸陰イオンである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、工程(c)(ii)と工程(e)(ii)の両方ではなく、工程(c)(ii)又は工程(e)(ii)のいずれかを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が工程(c)(ii)を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記有機化合物がアセトン、γ−ブチロラクトン及びそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が工程(e)(ii)を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記有機化合物がアセトン、γ−ブチロラクトン及びそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記陰イオンがメタンスルホン酸陰イオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記陰イオンがアルキルポリスルホン酸陰イオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
1個以上のスルホン酸基を有する多塩基有機酸がアルキルポリスルホン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記アルキルポリスルホン酸がアルキルジスルホン酸である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記アルキルジスルホン酸がメタンジスルホン酸、1,3−アセトンジスルホン酸、それらの無水物、それらの塩及びそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
次の成分:
水;
約10g/L〜40g/Lの第一錫イオン;及び
0.01重量%〜10重量%の
(a)アルキルポリスルホン酸、その塩又はアルキルポリスルホン酸と1種以上のそれらの塩との混合物;
(b)アルキルポリスルホン酸と硫酸との混合物であって、硫酸対アルキルポリスルホン酸のこれら酸の規定度に基づく比が約3/1以下であるもの;或いは
(c)アルキルポリスルホン酸とメタンスルホン酸との混合物であって、メタンスルホン酸対アルキルポリスルホン酸のこれら酸の規定度に基づく比が約1/1以下であるもの
を含む、めっき溶液。
【請求項24】
前記アルキルポリスルホン酸がメタンジスルホン酸、1,3−アセトンジスルホン酸、それらの無水物、それらの塩及びそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項23に記載のめっき溶液。
【請求項25】
前記めっき溶液が(a)を含む、請求項24に記載のめっき溶液。
【請求項26】
前記アルキルポリスルホン酸がメタンジスルホン酸である、請求項25に記載のめっき溶液。
【請求項27】
前記めっき溶液が(b)を含む、請求項24に記載のめっき溶液。
【請求項28】
前記アルキルポリスルホン酸がメタンジスルホン酸である、請求項27に記載のめっき溶液。
【請求項29】
前記めっき溶液が(c)を含む、請求項24に記載のめっき溶液。
【請求項30】
前記アルキルポリスルホン酸がメタンジスルホン酸である、請求項28に記載のめっき溶液。

【公表番号】特表2009−522449(P2009−522449A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548546(P2008−548546)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/047166
【国際公開番号】WO2007/078655
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(500307340)アーケマ・インコーポレイテッド (119)
【Fターム(参考)】