説明

高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定方法および装置

【課題】損失電流の検出信号を歪みのない波形にすることのできる損失電流測定方法および装置を提供する。
【解決手段】課電トランス2の二次巻線2bに検出抵抗5を介して試料20が接続され、低電位端Lにはバイパス抵抗4を介して課電トランス3の二次巻線3bが接続され、2チャンネル信号発信器1から電圧v(−cosθ)が変位電流成分除去用信号として課電トランス3の一次巻線3aに印加され、課電トランス2の一次巻線2aにはsinθの電圧vが課電電圧として印加される。これにより、変位電流成分はバイパス抵抗4を通して流れるので、損失電流のみによる検出信号が検出抵抗5の両端に生成される。この検出信号を差動増幅器6で増幅の後、光信号に変換してモニタ10に送り、モニタ10により損失電流波形を観測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブルの水トリー(water tree)劣化診断方法に適用できる損失電流測定方法に関し、特に、架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル(以下、CVケーブルという)の絶縁体中を流れる損失電流成分を高精度に測定できる高電位(高電圧)側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な電力ケーブルである架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル(以下、CVケーブルという)の主な劣化形態は、水トリー劣化である。この水トリー劣化は、CVケーブル絶縁体中に存在する水分と電界の作用により発生する絶縁体中の変質であり、この変質が時間の経過と共に増大することにより、CVケーブルの絶縁性能を低下させて絶縁破壊に至る場合がある。この水トリー劣化を診断するための劣化診断技術が検討されている。
【0003】
例えば、高電圧を発生する変圧器と試料(測定対象)のCVケーブルの間に変流器を接続し、更に標準コンデンサを変流器の変圧器側に接続し、変圧器からCVケーブルに高電圧の交流電圧を印加して、標準コンデンサに流れる電流と、CVケーブルに接続された変流器により検出されたケーブル絶縁体中を流れる電流とを、損失電流測定ブリッジに入力して検出電流中の変位電流成分(容量性電流成分)を除去して損失電流成分のみを抽出し、更に、その損失電流中に含まれる第3高調波成分に基づいてCVケーブルの劣化を診断する劣化診断方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−354093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の損失電流測定方法によると、高電圧側に設けた変流器はリアクトルを応用しているため、CVケーブル等の試料の静電容量やその他の浮遊容量との組み合わせにより、CVケーブル、変流器を含む検出回路が共振現象を起こし、検出信号の周波数特性が変化して波形歪みを生じる。このため劣化信号の波形解析に誤差が生じる。更に、静電容量がCVケーブルの試料毎に変化、すなわち試料毎に共振周波数が変化するため、測定条件が試料毎に変わるという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、損失電流の検出信号を歪みのない波形にすることのできる高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、上記目的を達成するため、測定対象物の高電位側に検出抵抗の一端を接続して、前記検出抵抗の他端と前記測定対象物の低電位側との間に課電電圧を印加する第1の工程と、変位電流成分除去用の信号を測定対象物の高電位側にバイパス抵抗を介して印加し、前記課電電圧によって測定対象物に流れる変位電流を前記バイパス抵抗にバイパスさせる第2の工程と、前記検出抵抗の両端に生じた検出信号を損失電流として取り出す第3の工程とを備えることを特徴とする高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定方法を提供する。
【0007】
第2の発明は、上記目的を達成するため、測定対象物の高電位側に検出抵抗の一端を接続して、前記検出抵抗の他端と測定対象物の低電位側との間に課電電圧を印加する第1の電圧印加手段と、変位電流成分除去用の信号を測定対象物の高電位側にバイパス抵抗を介して印加し、前記課電電圧によって測定対象物に流れる変位電流を前記バイパス抵抗にバイパスさせる第2の電圧印加手段と、前記検出抵抗の両端に生じた検出信号を損失電流として取り出す損失電流検出手段とを備えたことを特徴とする高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定方法および装置によれば、検出抵抗には測定対象物の変位電流成分と損失電流成分の合成電流成分が流れ、バイパス抵抗には変位電流成分が流れることにより、結果として変位電流成分がキャンセルされ検出抵抗には損失電流成分のみが発生することになる。よって、測定対象物中を流れる損失電流成分について高精度な測定が行えるとともに、検出抵抗による検出によって共振現象の影響を受けることがなくなり、水トリー劣化に起因した劣化信号の波形解析および観察を簡便に行うことができる。
従って、本発明によれば、損失電流の検出信号を歪みのない波形にすることのできる高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定方法および装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
(高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定装置を示す。この損失電流測定装置100は、2種類の電圧v,vを発生する2チャンネル信号発信器1と、2チャンネル信号発信器1にそれぞれの一次巻線2a,3aが接続された第1,第2の課電トランス2,3と、高電位側の第2の課電トランス3の二次巻線3bに接続され変位電流成分を迂回させるバイパス抵抗4と、高電位側の第1の課電トランス2の二次巻線2bに接続され変位電流成分と損失電流成分の合成電流成分が流れる検出抵抗5と、検出抵抗5の両端に一対の入力端が接続された差動増幅器6と、差動増幅器6の出力端に接続されたE/O変換器7と、光ファイバ等の光伝送媒体8を介してE/O変換器7の出力端に接続されたO/E変換器9と、O/E変換器9の出力端に接続されて、その出力信号を観測するモニタ10と、差動増幅器6及びE/O変換器7に直流(DC)電源を供給するDC電源部11とを備える。
【0010】
2チャンネル信号発信器1は、信号発信源であり、変位電流除去用の電圧v(−cosθ)と、課電用の電圧v(sinθ)とを、同期をとりながら出力する2チャンネルの構成を有する。
【0011】
第1,第2の課電トランス2,3は、共に一次巻線2a,3aに印加された電圧を昇圧して出力する二次巻線2b,3bを有し、それぞれの一端は接地されている。
【0012】
バイパス抵抗4は、可変抵抗であり、その一端は第2の課電トランス3の二次巻線3b
の高電位側に接続され、他端は低電位端Lに接続されている。このバイパス抵抗4により、低電位端Lに注入する変位電流除去用信号のレベルが調整される。
【0013】
検出抵抗5は、損失電流波形検出用であり、一端が試料20に接続され、他端が高電位側Hに接続され、試料20に流れる変位電流成分と損失電流成分の合成電流によって所定の電圧降下が得られる抵抗値に設定される。
【0014】
差動増幅器6は、検出抵抗5の両端に生じた電圧を入力信号とし、この入力信号を所定のレベルに差動増幅して出力する構成を有する。差動増幅器6は、外部ノイズの侵入を防止するため、検出抵抗5とともに、できるだけ試料20に近い場所に設置するのが好ましい。
【0015】
E/O変換器7は、差動増幅器6の出力信号を電気信号から光信号に変換し、この光信号を光伝送媒体8へ出力する回路構成を有する。
【0016】
O/E変換器9は、E/O変換器7からの光信号を電気信号に変換してモニタ10へ出力する。
【0017】
モニタ10は、観測波形を画面に表示するディスプレイのほか、入力信号をFFT(高速フーリエ変換)による処理回路を備えて構成され、観察場所に設置される。
【0018】
DC電源部11は、電源のための配線が不要で、移動性に優れ、外来ノイズの影響を受けないバッテリーが適している。
【0019】
(高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定方法)
(全体の動作)
次に、図1の損失電流測定装置100の全体の動作について説明する。図1において、CVケーブルを試料20にして損失電流を測定する場合、CVケーブルの芯線を低電位端Lに接続し、遮蔽層等の外部導体を接地する。
【0020】
次に、2チャンネル信号発信器1から第1の課電トランス2の一次巻線2aにsinθの電圧vを課電用として印加するとともに、第2の課電トランス3の一次巻線3aに変位電流除去用の電圧v(−cosθ)を印加し、それぞれの二次巻線2b,3bに巻線比に応じた高電圧を発生させる。
【0021】
第1の課電トランス2の二次巻線2bに発生した高圧交流電圧は、検出抵抗5の高電位端Hと接地間に印加される。この印加電圧により、試料20の劣化状態に応じた電流が検出抵抗5に流れ、検出抵抗5に電圧降下が生じる。
【0022】
同時に、2チャンネル信号発信器1及び第2の課電トランス3により、変位電流成分除去用の電圧vがバイパス抵抗4に印加されることにより、試料20の変位電流成分がバイパス抵抗4及び第2の課電トランス3の二次巻線3bを迂回して流れる。このとき、検出抵抗5の両端の電圧が最小になるように2チャンネル信号発信器1の出力電圧及びバイパス抵抗4を調整する。この調整により検出抵抗5の両端の電圧が最小になったとき、変位電流成分が完全にキャンセルされ、損失電流波形のみが検出抵抗5の両端に現れる。
【0023】
図2は、モニタ10による損失電流の観測波形を示す。図2は、課電電圧(v)を1〜8kV/mmまで、1kVづつ上昇させて8点の測定を行い、これを観測した結果である。ここで、波形31は1kV/mm課電時、波形32は2kV/mm課電時、波形33は3kV/mm課電時、波形34は4kV/mm課電時、波形35は5kV/mm課電時、波形36は6kV/mm課電時、波形37は7kV/mm課電時、波形38は8kV/mm課電時のものである。図2を参照すると、課電電圧(v)の上昇により損失電流中の第3高調波成分が大きくなることがわかる。
【0024】
(検出部の詳細動作)
次に、バイパス抵抗4及び検出抵抗5から構成される検出部の動作の詳細について説明する。図3は、図1の損失電流測定装置100の検出部の等価回路を示す。また、図4は、図3の各部に流れる電流のベクトル図を示す。
【0025】
図3において、検出抵抗5をr、バイパス抵抗4をrとすると、低電位端Lと接地間に挿入された試料20は、コンダクタンスGと静電容量Cで表される。また、vは第1の課電トランス2により高電位端Hに印加される課電電圧、vは第2の課電トランスによりバイパス抵抗4に印加される変位電流成分除去用の電圧、vは試料20の芯線〜外部導体間の印加電圧、(v−v)は検出抵抗5の両端に加わる電圧である。
【0026】
試料20に印加されている電圧vが検出信号に重畳されるため、抵抗rに変位電流成分を通さないように、図4に示すように、正弦波による変位電流除去用の電圧vに対して、v=vcosθの電圧を高電位端Hに印加し、変位電流成分をバイパス抵抗4にバイパスさせる。例えば、θ=π/3である場合、印加電圧vを、v(t)=vsinωtとすれば、変位電流除去用の電圧vは、次のようになる。
(t)=2vsin(ωt−π/3)
【0027】
図4は、図3における電圧v,v,vと、試料20に流れる電流i、バイパス抵抗rに流れる電流i’、静電容量Cに流れる電流i、検出抵抗rに流れる電流i’、コンダクタンスGに流れる電流iの関係をベクトルで表したものである。
【0028】
低電位端Lに印加される電圧vが適正でないために不平衡であるときには、図4の(a)に示すように、検出抵抗5を流れる電流i’とコンダクタンスGを流れる電流iとは同相にならず、変位電流成分を含んだ検出信号が検出抵抗5の両端に生じて、正しい損失電流を検出することができない。
【0029】
しかし、図4の(b)に示すように、低電位端Lに印加する電圧vを最適にすると、平衡条件を満たした状態でi≒i’になり、劣化診断に不必要な変位電流の大部分を除去することができる。このとき、(v−v)/r=i’が、印加電圧とvと同相な損失電流(i)成分に対応した信号となる。従って、図4の(b)のような平衡条件を満たすバイパス抵抗4の値rを設定し、その後、v=vcosθが成り立つような高電圧を印加すれば、試料20の高電位側から損失電流を検出することができ、最終的にモニタ10により波形を観測することができる。
【0030】
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態によれば、下記の効果を奏する。
(イ)検出抵抗5により損失電流を検出するため、試料20の静電容量や浮遊容量の影響を受けないので、検出信号を歪みのない波形にすることができ、高精度に損失電流を測定することができる。
(ロ)検出抵抗5により電流を検出するため、共振現象の影響を受けることがなくなり、水トリー劣化に起因した劣化信号の波形解析および観察を簡便に行うことができる。
(ハ)検出部を検出抵抗5とバイパス抵抗4で構成できるため、損失電流測定装置100の小型化及び軽量化を図ることができ、損失電流測定装置100の運搬が簡単になる。
(ニ)試料20の高電位側から損失電流を検出できるため、試料20が、多数の接地箇所を有する稼動中のCVケーブルであっても、接地を考慮せずに済むため、従来の撤去ケーブルによる水トリー劣化診断の結果を生かして、運転中のCVケーブルの水トリー劣化診断を非破壊で簡単に行うことができる。
(ホ)差動増幅器6の出力信号を光信号に変換してモニタ10側へ伝送しているため、高電圧側で検出した信号を安全に解析することができる。
【0031】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定装置を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態において、課電トランスを1台(課電トランス2)にし、E/O変換器12及びO/E変換器13を用いて変位電流成分除去用信号を生成し、この変位電流成分除去用信号をバイパス抵抗4を介して検出抵抗5の両端に印加する構成にしたものであり、その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。なお、E/O変換器12及びO/E変換器13への電源供給は、DC電源部11から行っている。
【0032】
本実施の形態では、2チャンネル信号発信器1から正弦波の電圧vを課電トランス2に印加し、E/O変換器12には負極性の余弦波(−cosθ)による電圧vを印加している。それは、課電電圧が正弦波(sin)であれば、変位電流成分が理論的に余弦波(cosθ)であることが公知であり、よってcosθの変位電流成分をキャンセルするためには、−cosθをO/E変換器12から出力すればよい。
【0033】
図5の損失電流測定装置100において、第1の課電トランス2の二次巻線2bから試料20に流れる電流により検出抵抗5に生じた検出信号に対して、変位電流成分除去用信号である電圧vが重畳される。これにより検出信号中の変位電流成分がキャンセルされ、検出信号には変位電流成分が流れないので、検出信号には損失電流のみが流れ、これが検出信号として差動増幅器6に入力される。
【0034】
第2の実施の形態によれば、変位電流成分除去信号用の電圧vを低くできるため、課電トランスを1台にして損失電流測定装置100を構成することができる。その他の効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0035】
[第3の実施の形態]
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定装置を示す。本実施の形態は、第2の実施の形態において、差動増幅器6、E/O変換器7、光伝送媒体8、及びO/E変換器9を除去したほか、検出抵抗5の高電位端Hに高圧プローブ14を接続するとともに低電位端Lに高圧プローブ15を接続し、これら高圧プローブ14,15の出力にモニタ10を接続したものであり、その他の構成は、第2の実施の形態と同様である。
【0036】
第3の実施の形態によれば、高圧プローブ14,15により差動検出を行う構成にしたことにより、高電位下での微小電位差の測定が可能になる。この結果、他の実施の形態で必要とした差動増幅器6からO/E変換器9に至る構成、及びDC電源部11を不要にすることができ、損失電流測定装置100の構成を簡略化することができる。その他の効果は、第2の実施の形態と同様である。
【0037】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々な変形が可能である。例えば、図1の第1の実施の形態において、差動増幅器6からO/E変換器9までの構成を除去し、図6に示した第3の実施の形態の高圧プローブ14,15を検出抵抗5の両端に接続する構成が可能である。
【0038】
また、上記各実施の形態において、試料20に流れる変位電流をキャンセルした後に高周波信号成分を増幅することにより、部分放電パルス信号を検出する装置を構成することができる。また、この回路により変位電流を測定し、課電電圧位相の関係から課電正接を測定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定装置を示す接続図である。
【図2】図1のモニタによる損失電流の観測波形を示す波形図である。
【図3】損失電流測定装置の検出部の等価回路を示す回路図である。
【図4】図3の各部に流れる電流のベクトル図であり、(a)は不平衡時のベクトル図、(b)は平衡時のベクトル図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定装置を示す接続図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定装置を示す接続図である。
【符号の説明】
【0040】
1 チャンネル信号発信器
2 課電トランス
2a,3a 一次巻線
2b,3b 二次巻線
3 課電トランス
4 バイパス抵抗(r
5 検出抵抗(r
6 差動増幅器
7 E/O変換器
8 光伝送媒体
9 O/E変換器
10 モニタ
11 DC電源部
12 E/O変換器
13 O/E変換器
14,15 高圧プローブ
20 試料
100 損失電流測定装置
H 高電位端
L 低電位端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の高電位側に検出抵抗の一端を接続して、前記検出抵抗の他端と前記測定対象物の低電位側との間に課電電圧を印加する第1の工程と、
変位電流成分除去用の信号を測定対象物の高電位側にバイパス抵抗を介して印加し、前記課電電圧によって測定対象物に流れる変位電流を前記バイパス抵抗にバイパスさせる第2の工程と、
前記検出抵抗の両端に生じた検出信号を損失電流として取り出す第3の工程とを備えることを特徴とする高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定方法。
【請求項2】
前記第3の工程は、前記検出抵抗の両端に生じた検出信号を光信号にして観察場所まで伝送することを特徴とする請求項1に記載の高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定方法。
【請求項3】
前記第3の工程は、前記検出抵抗の両端に第1,第2の高圧プローブを接続して検出信号を得ることを特徴とする請求項1に記載の高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定方法。
【請求項4】
前記第1の工程は、前記課電電圧を第1の課電トランスにより前記検出抵抗に印加し、
前記第2の工程は、前記変位電流成分除去用の信号を第2の課電トランスにより前記バイパス抵抗に印加することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定方法。
【請求項5】
前記第1の工程は、前記第1の課電トランスを正弦波電圧v(sinθ)で駆動し、
前記第2の工程は、前記第2の課電トランスをvに同期した−cosθ電圧vで駆動することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定方法。
【請求項6】
前記第1の工程は、前記課電電圧を課電トランスにより前記検出抵抗に印加し、
前記第2の工程は、前記変位電流成分除去用の信号を、信号発信源から前記バイパス抵抗の直近まで光信号で伝送した後、前記光信号を電気信号に変換して前記バイパス抵抗に注入することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定方法。
【請求項7】
測定対象物の高電位側に検出抵抗の一端を接続して、前記検出抵抗の他端と前記測定対象物の低電位側との間に課電電圧を印加する第1の電圧印加手段と、
変位電流成分除去用の信号を測定対象物の高電位側にバイパス抵抗を介して印加し、前記課電電圧によって測定対象物に流れる変位電流を前記バイパス抵抗にバイパスさせる第2の電圧印加手段と、
前記検出抵抗の両端に生じた検出信号を損失電流として取り出す損失電流検出手段とを備えたことを特徴とする高電位側検出型・変位電流バイパス法による損失電流測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−256022(P2007−256022A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79624(P2006−79624)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【出願人】(501304803)株式会社ジェイ・パワーシステムズ (89)
【Fターム(参考)】