説明

魚介類のyessotoxinsをホスホジエステラーゼ中にそれらによって生じる活性化に基づいて検出するための定量方法

【課題】ホスホジエステラーゼ中に毒素によって生じる活性化に基づいて魚介類のyessotoxins(YTXs)を検出するための方法の提供。
【解決手段】yessotoxin(YTX)及びその類似物(YTXs)の細胞標的はホスホジエステラーゼ(PDEs)により活性化され、PDEs−YTX結合は測定可能なシグナルを生成する。PDEsを用いた親和性バイオセンサー又は蛍光によって結合を定量することができるので、当該バイオセンサーは生体分子の相互作用を検出し、そのPDEsとの相互作用のためにYTXの存在を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、in vitroでのyessotoxinsの検出と定量について、これらの毒素の細胞標的の1つであるホスホジエステラーゼ酵素を活性化するための能力に関して開示する。
【背景技術】
【0002】
海のphycotoxinsは深刻な公衆衛生問題を現す藻類によって生成される物質である。これらの毒素は、軟体動物と魚に蓄えられ、人間によって摂取されるときに食中毒をもたらす。phycotoxinの分類は、それらがもたらす中毒のタイプに関して、5つの大きなグループでなされる。麻痺毒素(PSP)、下痢毒(DSP)、神経毒(NSP)、シガテラ毒(CFP)及び健忘毒(ASP)である(Van Dolah, F.M., 2000, Seafood and freshwater toxins: pharmacology, physiology and detection, 19-44)。異なる徴候をもたらし、先のグループに含まれないphycotoxinsの他のグループがあり、それらは、pectenotoxins(PTXs)、azaspiracids及びyessotoxins(YTXs)である(Van Dolah, F.M., 2000, Seafood and freshwater toxins: pharmacology, physiology and detection, 19-44)。まず、PYXsとYTXsは、通常中毒症状で共存する親油性毒素であるため、DSPsでグループ分けされた。しかし、それらは下痢を誘発しないで、経口毒性が低く、分子が異なるため、ここ10年で、異なるグループとして考えられてきた(Draisci, R., Lucentini, L. など, 2000, Seafood and freshwater toxins: pharmacology, physiology and detection, 289-324)。これらの最後のグループ内で、yessotoxins(以下、YTXs)は、最近の偏在した存在のため、またそれらを検出するための精密で特定の方法が存在しないため、深刻な経済問題を提供する。
【0003】
YTXsは日本、ヨーロッパ、ニュージーランド及びチリで検出されており、それらは渦鞭毛藻のProtoceratium reticulatumとLingulodinium polyedrum(Gonyaulax polyedra)によってもたらされる。これらの毒素は、海洋軟体動物内に蓄積され、熱に安定であり、したがって、それらは海産物の調理の間、破壊されない。それらの消化管からの吸収は低く、したがって、それらは経口時の毒性はない。ただし、ラットのYTXsの経口投与の後、組織病理学的な修飾が肝臓とすい蔵で検出された(Terao, K.,Ito, E. など, 1990, Toxicon, 28, 1095-1104)。しかし、腹腔内投与の後、これらの毒素は重要な心臓毒性の影響を引き起こして、高い致死力を示す(Draisci, R., Lucentini, L. など, 2000, Seafood and freshwater toxins: pharmacology, physiology and detection, 289-324)。すでに述べたように、YTXsはDSP毒と共存し、また、バイオアッセイにおいて後者を検出するときにそれらは偽陽性を検出することにつながる干渉をもたらすかもしれないため、これらの腹膜内の影響は考慮されなければならない。この理由から、これらの毒素の存在をモニターするために魚介類の抽出物を準備するときに、YTXsとDSP毒を分離する有機溶剤で付随的な抽出を実行する必要がある。ただし、これらの修飾は、偽陽性を引き起こすかもしれない大量の脂肪酸の抽出を示す(Yasumoto, T., Murata, M. など, 1984, ACP Symp. Series. No 262. Seafood toxins., 207-214)。
【0004】
海産物の抽出物由来のサンプル内のphycotoxinsの検出方法は、分析評価方法と分析方法で分類される。分析評価方法では、サンプル内に存在する全ての毒素の活性を含む一つの生物学的又は生化学的な反応を測定することによって総毒素含有量の値を提供する。分析方法では、装置の反応に関してサンプル内の毒素の分離、識別及び個々の定量が実行される。最初のものには、ラット又はマウスのin vivoの分析評価、及びin vitroの分析評価が含まれ、それらの中では、酵素抑制分析評価、細胞分析評価、レセプター分析評価などを強調しなければならない。これらのケースでは、毒素の検出は各グループの代表的な毒素のうち1つで得られる容量反応曲線に関して実行される。比色分析、蛍光分析、発光、偏光蛍光方法によって、又はバイオセンサーでリアルタイムにリガンド−レセプターの相互作用を決定することによって、その他の間で反応の定量を実行する。第2のものはin vitroの分析評価であり、各毒素の既知の濃度の標準で装置の機器の事前の較正を必要とする。これらの分析評価に含まれる化学方法は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析又はキャピラリー電気泳動などである。一般的に、サンプル内に存在する毒素のそれぞれを特定及び定量することが必要なときには、装置的な化学方法が用いられる。しかし、モニタリング又は健康検査プログラムでは、より多くの関連性を潜在的な全体の毒素の知識に与え、したがって、機能的方法とも称される分析評価方法を用いる(Fernandez, M. L., Miguez, A. ほか, 2002, Floraciones algales nocivas en el cono sur americano)。
【0005】
汚染された軟体動物でYTXsを検出するために、いくつかの液体クロマトグラフィー質量分析(Draisci, R., Palleschi, L. ほか, 1999, J Chromatogr A, 847, 213-221、 Goto, H., Igarashi, T. ほか, 2001, J Chromatogr A, 907, 181-189)と蛍光HPLC(Ramstad, H., Larsen, S. ほか, 2001, Toxicon, 39, 1393-1397、 Yasumoto, T. と Takizawa, A., 1997, Biosci Biotechnol Biochem, 61, 1775-1777)分析方法がある。これらの毒素を検出するためにin vitroの機能的な分析評価の範囲内で最近2つのものがあり、E−カドヘリン検出分析評価(Pierotti, S., Malaguti, C. ほか, 2003, Anal Biochem, 312, 208-216; Rossini, G.P., 2002, International Application published under the patent cooperation treaty.)とカスパーゼ活性分析評価(Malaguti, C., Ciminello, P. ほか, 2002, Toxicol in Vitro, 16, 357-363)である。しかしながら、2002年3月15日の委員会決定2002/225/EECによれば、唯一の公式に認められた方法はマウス生物検定である。この決定によれば、軟体動物サンプルのYTXsの最大値は、軟体動物の生鮮食品のKgあたり1mgのYTXsである。生物検定は、24時間、3匹のマウスを観察することからなる。この3匹のマウスには、通常YTXsが蓄積する5グラムの軟体動物の消化線に、又は25グラムの軟体動物全体に、抽出物等価物が腹腔内に接種されている。許容されるYTXの最大量が6時間以内に腹腔内投与によって死亡を誘発することがあるため、この分析評価は観察時間を短くして、その方法で追加的な抽出を取り込むことで修正された(Yasumoto, T., Murata, M. ほか, 1984, ACS Symp. Series. No 262. Seafood toxins, 207-214)。これらの抽出物によってDSP、PTX及びazaspiracid toxinsをYTXsから切り離すが、それらは大量の脂肪酸を抽出することを意味する。3匹の予防接種されたマウスのうち2匹が死亡するならば、抽出物中にYTXがあると考えられる。この技術は動物を犠牲にすることを意味して、毒素濃度の正確な値を提供しなくて、ほとんど再生可能でなくて、偽陽性を引き起こして、他の毒素の存在を識別するために付加的な抽出プロセスを必要とする。YTXsを検出するために述べられている他の生物学的方法は、結果が24〜48時間未満で得られない遅い方法であり、それらは毒素抽出の慎重なプロセスを必要とする。さらに、他のDSPsがこれらの毒素に加えて検出されるため、それらはYTXsの特定でユニークな特徴に基づいていない。
【0006】
細胞標的と、したがってYTXsの動作のメカニズムを決定するために、いくつかの研究がなされた。YTXは、エーテル基を有する11の環からなる新油性分子を、不飽和側鎖に、そして、2つのスルホ基のエステル類に結合させる。図1は、側鎖置換で区別されるYTXのいくつかの自然類似物を示すが、最近、50以上の自然な誘導体が説明されているが、その構造はまだ特定されていない。YTXのin vitroの研究においてそれがアポトーシスをもたらす可能性があると観察されてきたが、その有効性はオカダ酸(通常、YTXに関連して起こるDSP毒素(Leira, F., Alvarez, C. ほか, 2001, Toxicology in vitro, 15, 277-283))のものより少なく、オカダ酸で起こることと対照的に、YTXは細胞ホスファターゼを抑制しない(Draisci, R., Lucentini, L. ほか, 2000, Seafood and freshwater toxins: pharmacology, physiology and detection, 289-324)。YTXは、リンパ球の細胞質のカルシウム値を修正して(De la Rosa, L.A., Alfonso, A. ほか, 2001, Biochem. Pharmacol., 61, 827-833)、これらの細胞のマイトトキシンによって誘導されるカルシウムフローを増加させることもまた説明されてきた(De la Rosa, L.A., Alfonso, A. ほか, 2001, Cell Signal, 13, 711-716)。YTXが細胞ホスホジエステラーゼ(PDEs)の活性化を通して環状アデノシン一リン酸(cAMP)の二次メッセンジャーの細胞内レベルを低下させることが最近観察されてきた。PDEsはcAMPを破壊する酵素であり、これらの酵素はYTXsの細胞標識の中の1つであると推測されている(Alfonso, A., de la Rosa, L.A. ほか, 2003, Biochem Pharmacol, 65, 193-208)。
【0007】
哺乳類細胞では、異なるイソフォームを持つ約11ファミリーのPDEがある(Houslay, M.D. と Adams, D.R., 2003, Biochem J., 370, 1-18)。これらの酵素は、cAMPと環状グアノシン一リン酸(cGMP)の値を一定に調整して維持する。後者は、多数の不可欠な機能に関連する細胞機能に必要な二次メッセンジャーである(Soderling, S.H. とBeavo, J.A., 2000, Curr. Opin. Cell. Biol., 12)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
作用についてYTXのメカニズムの最近の説明を利用して、本発明では、魚介類からの抽出物中でこれらの毒素を検出するための方法を開発する。これは、細胞PDEsへのそれらの特定の親和性に基づく。これらの機能的な分析評価では、他の毒素の存在があり、その作用のメカニズムは異なり干渉しない。すなわち、それらはPDEsについて作用しないが、毒性の症状のYTXと共存する。さらに、偽陽性と動物の犠牲を防止し、毒素の正確な濃度に関する結果を1〜2時間で得ることができるため、その生成物の汚染モニタープロセスを促進する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
前述した発明は、YTXがPDE活性剤であるという発見に基づいて2つの設備を開示し、この活性を測定可能な信号に変換することに関する。
【0010】
使用1:親和性センサーを用いてPDE−YTX生体分子結合を決定するための方法。
【0011】
バイオセンサーを用いてリアルタイムに分子間相互作用を決定することは、新しい技術であり、その使用は異なる研究分野に広がってる(Hide, M., Tsutsui, T. ほか, 2002, Anal Biochem, 302, 28-37、 Lee, T.H., Mozsolits, H. ほか, 2001, J Pept Res, 58, 464-476、 Mariotti, E., Minunni, M. ほか, 2002, Anal Chim Acta, 453, 165-172、 Tsoi, P.Y. と Yang, M.S., 2002, Biochem J, 361, 317-325)。用いられるバイオセンサーは、リガンドと称される生物学的に活性な分子と、レセプターと称されるそれが結合するもう一方の分子との間の分子反応を検出する機器である。リガンドは、一般的にキュベット又はプレートである機器の支持体表面に結合される。結合が発生する支持体表面に生成されるエバネセント場と称される電磁界は、質量の変化に非常に敏感である。バイオセンサーは、リガンド−レセプタ結合のため支持体表面に発生する質量の変化を電気信号へ変換する。本方法で用いることができる商業的なバイオセンサーモデルは、Biocore又はThermo Labsystems社によって市販されているものである。本発明では、リガンドとしてのPDEs機能と、レセプターとして機能するYTXを持ったサンプルをそこへ加える。バイオセンサーでのシグナルは、PDEsに付着する毒素の量、したがってサンプル中のYTXの存在に応じて、より大きいか又はより小さいかである。
【0012】
リガンドとして機能する細胞PDEsは支持体表面に結合する。続けて、レセプターとして作用する既知の濃度のYTXをこの表面に添加する。この技術は平坦表面又はマトリクスによって形成される表面を用いてよく機能する。PDE−YTX結合は速度式に従う。この速度式は、擬似−一次オーダーの式に当てはまり、これから得られる定数は見かけの結合率(Rap)と呼ばれ、毒素の各濃度で異なる。較正線はRapと毒素濃度のデータで引かれる。テストサンプル(魚介類の抽出物)を表面に添加する。そのRapを計算し、この値を較正線に置くことでテストサンプルでのYTX濃度を得ることができる。
【0013】
(実施の形態)
本方法は22〜37℃の温度で実行される。
【0014】
a.pH7.7で0.1〜0.24mg/mLの濃度でPDEsの溶液を活性化した二重の区画表面に添加する。これらの酵素は分離できない共有結合によって支持体表面に結合する。PDEsが結合しない活性基を異なるブロック溶液(BSA、エタノールアミン、トリス−HCl…)でブロックする。
【0015】
b.既知の濃度でYTXの溶液を一方の区画に添加する。他方の区画をブランクとして使用し、毒素溶媒をそこに添加する。PDEsとYTX間の関連性のある速度式を15分間記録する。
【0016】
c.そして、pH7.7でバッファ溶液で長方の区画を洗浄することでリガンド−レセプター分離を実行する。このように、PDEsからYTXを分離する。
【0017】
d.YTXを完全に取り除くために、区分を酸又は塩基性溶液で再生する。したがって、PDEsはYTXの新たな付加のために利用可能になる。
【0018】
e.YTXの5つの異なる濃度でステップb、c及びdを繰り返す。
【0019】
f.見かけの結合率(Rap)を毒素の各濃度で関連性のある速度式から得る。YTX濃度に対するRap値のプロットは、0.9より大きい回帰係数で線形フィットに従う。このように、得られた線とともに、サンプル中のYTXの濃度をそのRapが既知ならば得ることができる。
【0020】
g.研究対象の魚介類の肉の抽出を実行する。最大値を決定するための2002年3月15日の決定2002/225/EEC又はその他の公式方法(D.O.G.A., 1986, Decree 328/1986 of 30 October. Diario oficial de Galicia, 224)、及び異なる魚介類中に存在する特定の魚介毒素のための分析方法に従って、この抽出を実行する。抽出物(テストサンプル)のアリコートを採取し、表面に結合したPDEに添加する。得られる関連する速度式からそのRapを計算する。このテストRap値を得られた回帰直線に置くことによって、サンプルに存在するYTX濃度を決定することができる。
【0021】
図2は、この方法で取られるステップの分析結果のグラフを示し、表面活性化からテストサンプルを添加するまでである。図3に示す回帰直線は既知の濃度のYTXに対してRap値をとる。
【0022】
使用2:蛍光分子を用いてYTXによるPDE活性化を決定するための方法。
【0023】
細胞PDE活性を検出する通常の方法では、cAMPを破壊するそれらの能力を観察する。cAMPの蛍光誘導体、アントラニロイル−cAMP(励起波長:350nm、放射波長:445nm)があり、その蛍光はそれが分解されるため減少する。蛍光の減少は経時的にcAMPの破壊率として表される。PDEsの存在で、破壊率が増加し、これらの酵素が活性化すると、分解率がさらにより大きくなる。本発明では、PDEsの存在で蛍光指示薬のアントラニロイル−cAMPの分解率を決定し、YTXを持つサンプルを添加するときにその種類を研究する。マイクロ滴定プレートのために準備される蛍光計で蛍光を読み取る。いくつかの既知の濃度のYTXの存在下で破壊率を決定する。毒素濃度に対する破壊率の表現は、0.9より大きい回帰係数である直線フィットに従う。このように、得られる回帰直線では、魚介類からのサンプル(テストサンプル)で得られる破壊率の値をYTX濃度に変換することができる。
【0024】
(実施の形態)
22〜37℃の温度範囲でマイクロ滴定プレートで本方法を実行し、360ナノメーターの励起波長と460ナノメーターの放射波長で蛍光を測定する。
【0025】
4つのタイプのウェルがあり、それらのそれぞれを複製して実行する。
【0026】
ウェルA:cAMP濃度を計算するためのウェル。それらには2〜10μMの5つの濃度でアントラニロイル−cAMPを添加する。
【0027】
ウェルB:8μMの蛍光指示薬と酵素による制御ウェル。
【0028】
ウェルC:8μMの蛍光指示薬、酵素及び既知の濃度のYTXによる較正ウェル。
【0029】
ウェルD:8μMの蛍光指示薬、酵素及び任意の魚介類の抽出物からのサンプルによるテストサンプルウェル。
【0030】
a.100μLの最終的なインキュベーション量のために全てのウェルにテストバッファ(10mMのトリスHCl+1mMのCaCl、pH7.4)を添加し、対応する量はアントラニロイル−cAMPのウェルのタイプに従う。最初の読み取りを2分間実行する。
【0031】
b. 2〜5μgのPDEsをウェルB、C及びDに添加し、新しい読み取りを2分間実行する。
【0032】
c.既知の濃度のYTX又は魚介類からのサンプルをウェルC及びDに添加する。0.1〜10μMの濃度でYTXを添加する。最大値を決定するための2002年3月15日の決定2002/225/EEC又はその他の公式方法(D.O.G.A., 1986, Decree 328/1986 of 30 October. Diario oficial de Galicia, 224)、及び異なる魚介類に存在する特定の魚介毒素の分析方法に従って、抽出物からのサンプルを得る。
【0033】
d.これらの添加の後、プレートを振動させ、続けて蛍光測定を15分間実行し、毎分データを取得する。
【0034】
e.各ウェルの指示薬の濃度に対しウェルAで得られた蛍光データをプロットすることで、0.999より大きい回帰係数の直線を得る。
【0035】
f.アントラニロイル−cAMP濃度での前述の直線を用いて、ウェルの残りの蛍光データを変換する。時間ゼロで毒素添加時のcAMP濃度と、10分後の濃度から、時間の単位ごとに破壊される指示薬の量、すなわちAMPcの破壊率を得る。
【0036】
g.ウェルBで得られた破壊率を制御破壊率とする。
【0037】
h.YTX濃度に対してウェルCの破壊率データをプロットすることで、YTX濃度の標準線を得る。ウェルDで得られた破壊率をこの直線で置換することで、そのサンプルのYTXを決定する。
【0038】
図4は、アントラニロイル−cAMPの濃度に対する蛍光単位の較正線を示す。図5は、標準分析評価のYTX濃度に対するcAMPの破壊率の標準線を示す。
【0039】
(文献)
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【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は側鎖置換で区別されるYTXのいくつかの自然類似物である。
【図2】図2はこの方法で取られるステップの分析結果のグラフを示す。
【図3】図3は既知の濃度のYTXに対してRap値をとる回帰直線を示す。
【図4】図4はアントラニロイル−cAMPの濃度に対する蛍光単位の較正線を示す。
【図5】図5は標準分析評価のYTX濃度に対するcAMPの破壊率の標準線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞ホスホジエステラーゼ中に毒素によって生じる活性化に基づいて魚介類のyessotoxins(YTXs)を検出するための定量方法であって、さらに、yessotoxin(YTX)及びその化学的な類似物(YTXs)の活性化作用の、YTXs又は同様の活性の化合物を検出するための定量方法でのホスホジエステラーゼ活性についての使用を特徴とする方法。
【請求項2】
PDEsとのYTX活性化に基づいて請求項1に記載された魚介類のYTXsを検出するための方法であって、20〜37℃の温度範囲でエバネセンス効果によって定量可能な分子間相互作用を生成することができる平坦又はマトリクスの支持体表面に結合するリガンドとしてPDEsを用いる親和性バイオセンサーの使用であり、レセプターとして機能するYTXsが添加され、見かけのYTX−PDE結合率(Rap)が得られる擬似−一次速度式にこの結合を当てはめることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載された魚介類のYTXsを検出するための方法であって、既知の濃度のYTXsの見かけの結合率の決定、及び見かけの結合率が既知である魚介類抽出物のテストサンプルでYTX濃度を計算する較正線の準備であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載された魚介類のYTXsを検出するための方法であって、PDE活性蛍光による検出であり、類似のcAMP蛍光基質を用い、既知の濃度のYTXで得られる前記蛍光基質の破壊率で準備された較正線から魚介類サンプルのYTX濃度を計算することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載された魚介類のYTXsを検出するための方法であって、前記検出が基質としてアントラニロイル−cAMPを用いるPDE活性蛍光によることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4に記載された魚介類のYTXsを検出するための方法であって、YTXがPDEsに結合するときに生じる偏光蛍光、その結果偏光ユニットの強度の変化を決定することを特徴とする方法。
【請求項7】
2、3又は6に記載された魚介類のYTXsを検出するための方法の、天然又は合成化学化合物でのYTXに等価な活性(PDE活性化)を検出するための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−325580(P2006−325580A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84989(P2006−84989)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【分割の表示】特願2006−520848(P2006−520848)の分割
【原出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(506026140)ウニベルシダーデ デ サンティアゴ デ コンポステラ (6)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDADE DE SANTIAGO DE COMPOSTELA
【住所又は居所原語表記】Edificio CACTUS − CITT − Campus sur, E−15782 Santiago de Compostela (ES).
【Fターム(参考)】