説明

魚類監視水槽

【課題】入水量と排水量の不均衡のために原水が容器から漏れたり、飼育水槽の原水が少なくなって魚類が死亡したり、原水が、飼育水槽内の還流が適切でなく魚類が弱ったり死んだりした。また飼育水槽内に魚類の糞や塵が滞留し、腐敗して魚類の死亡の原因になっていた、また糞や塵や死んだ魚類を誤認識や誤判断をした。魚類の飼育環境を考慮しなかったために魚類が頻繁に死亡し、毒物含有が原因なのかの判断に迷いが生じていた。飼育水槽の保守や清掃などを簡便にする必要があった。
【解決手段】水槽は受水槽とポンプ水槽と飼育水槽とに分割し、配管は入水配管と排水配管とで構成した、受水槽には入水配管と排水配管を接続し、飼育水槽には排水配管が接続され、入水量と排水量をコントロールする。排水配管にはオーバーフロー管があり、飼育水槽の入水配管には入水調整弁と入水量確認弁を具備し、排水配管には排水弁を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水に含まれる含有毒物を魚類の行動で監視する魚類監視水槽において、原水の入水量と排水量を一定に保ち、飼育水槽の魚類を長期的に飼育し、観察することで原水に含まれる含有毒物を正確に見分けることができるようにした魚類監視水槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、河川や湖から飲料用水として取水する原水には有毒物質、例えばPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有機塩素系化合物、水銀、カドミウム、鉛、亜鉛などの有害重金属、ダイオキシン、シアン化カリウムや農薬などの混入する事態が発生しないとも限らない、このため原水の水質管理は大変重要であり24時間連続した監視が必要である。
そこで、取水した原水を連続的に魚類飼育水槽に通水させ、その水槽内で飼育している魚類を監視カメラで常時撮影し、監視中の魚類の行動が正常か異状かを画像処理装置によって解析し、異状と装置が判断した場合は自動的にアラームを出す魚類による水質自動監視装置に組み込まれる監視水槽が知られている。
【特許文献1】特開2003−001809号公報
【特許文献2】実開2003−000064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の魚類監視水槽は以下の問題があった。
(1) 入水量と排水量の不均衡のために原水が容器から漏れ、また逆に飼育水槽の原水が少なくなって魚類が死亡した。
(2) 原水が、飼育水槽内を還流することが魚類の飼育環境の活性化に有効に作用するが、還流が適切でなく魚類が弱ったり死んだりした。
(3) 飼育水槽内に魚類の糞や塵が滞留し、腐敗して魚類の死亡の原因になっていた、また糞や塵を魚類と誤認識することもあった。
(4) 死んだ魚類が飼育水槽内に浮揚し、活きて泳いでいると誤判断をした。
(5) 従来は、魚類の飼育環境を考慮しなかったために魚類が頻繁に死亡し、毒物含有が原因なのかの判断に迷いが生じていた。
(6) 飼育水槽の保守や清掃などを簡便にする必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、水槽は受水槽とポンプ水槽と飼育水槽とに分割され、配管は入水配管と排水配管とで構成される、受水槽には入水配管のC管と排水配管のE管が接続され、飼育水槽には排水配管のF管とG管とM管が接続され、入水量と排水量をコントロールすることを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、飼育水槽に接続された排水配管のF管とL管の水位レベルを合わせることで飼育水槽の水位を保持することを特徴とする。また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、飼育水槽のG管は電磁弁が具備され、排水配管のE管とF管はオーバーフロー管とすることを特徴とする。また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、飼育水槽の入水配管には入水調整弁と入水量確認弁を具備し、排水配管には排水弁2個を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の魚類監視水槽は、入水量と排水量の均衡が図られ、原水の水漏れを無くし、魚類の誤判断や誤認識を解消し、長期に魚類の飼育ができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
原水の含有毒物を魚類行動で24時間連続自動監視を監視カメラや画像処理装置で行うため、本発明の魚類監視水槽は、原水の水位の保持や還流や入排水量の調整等によって、飼育水槽の魚類の棲息環境を整えることで実現した。
【実施例】
【0007】
以下、この発明に係わる魚類監視水槽の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明をする。図1は、この発明に係わる魚類監視水槽の実施の形態を示す斜視図である。
また、図2は、入水配管の実施の形態を示す斜視図である。また、図3は、排水配管の実施の形態を示す斜視図である。また、図4は、監視水槽の実施の形態を示す平面図である。また、図5は、本発明の魚類監視水槽を使用する水質自動監視装置の全体図である。
【0008】
魚類監視水槽1は受水槽2、ポンプ水槽3、飼育水槽4で分割され、配管は入水配管5と排水配管6とで構成されている、矢印は原水の流れる方向を指し示す。
【0009】
まず原水イはA管から入水し、入水量調整弁Bを開いてC管から原水ロが受水槽2に受水される、入水量調整弁Bによって入水量を調節する、入水量の確認は入水量確認弁Dを開いて行う、運転時は閉じた状態にある。
【0010】
受水槽2C管の対面壁面に数個の孔が斜段に空けられている、水位の位置に応じて下段から上段へと順次斜段孔から原水ハがポンプ槽3に入水する。
【0011】
ポンプ槽3に入水した原水ニは循環ポンプ7よって飼育水槽4内に噴出される。
【0012】
飼育水槽4は上部を開放した四角形の箱状で製作され、深さは20センチメートル以内と浅い、そのため水槽の清掃などメンテナンスを容易にしている、材質は製作加工を容易にするため乳白アクリル板で製作されている、透明や黒色のアクリル板は鏡の作用で魚類の姿が写り魚類にストレスを与えるので好ましくない、監視カメラ15は飼育水槽4の天井部に設置され俯瞰される、飼育水槽4には小型の魚類14、例えばメダカなど20匹前後が常時、原水中の毒物含有の試験魚として長期間飼育される。
【0013】
四角形の飼育水槽4の三ヶ所の角には三日月形状板8、9、10を貼着することで、水槽内部を円形状にし、循環ポンプ7よって噴出された原水ニは四角形の水槽の角に滞留することなく飼育水槽4内を円状に還流する。
【0014】
例えば毒物が原水中に含有すると飼育水槽4の魚類14は当然毒物に侵されて泳ぐ力が弱まり、飼育水槽4内の原水が円状に還流している流れに流される、通常魚類は水の流れに向かって泳ぐ習性をもつが、毒物に侵されると流れに向かって泳ぐことができなくなる。
【0015】
飼育水槽4の底部の中心部に排水口11が開孔している、この開孔部にポールを立て、ポールに網目のネットを繋着し、片方を飼育水槽4の内壁に掛着することで毒物に侵されて円状の流れに流された魚類は網目の捕獲ネット13に掛着し泳ぎができなくなる。
【0016】
俯瞰で撮影する監視カメラ15は、映像信号を画像処理装置16に送り、画像処理装置では泳いでいる魚類の数を1秒間に数回解析して数が減少すれば段階的にアラームを出す仕組みになっている。
【0017】
詳しく書けば、常時泳いでいる飼育水槽4内の魚類14の総数を予め決めておき、毒物に侵されて流れに向かって泳ぐことができなくなった魚類は、網目の捕獲ネット13に掛着し総数から除外され、泳いでいる魚類だけが解析される。
【0018】
画像処理装置16は泳いでいる魚類14を解析して、その結果として減少があれば、減少数に応じて段階的なアラームを出す、全数が泳がなくなったときは重大警報となり、電磁弁Iを自動的に開いて飼育水槽4内の原水を検査水として採水する。
【0019】
飼育水槽4の三ヶ所の三日月形状板8、9、10のうち、一ヶ所の三日月形状板10には多数の孔10aが空けられている。
【0020】
三日月形状板10に空けられた多数孔10aから飼育水槽4内の原水が常に流れ込み、飼育水槽4の水位と同じレベルを保持している、多数孔10aは魚類より小さな孔で魚類がこの孔を通過することはない、この位置の飼育水槽4の外周面に排水配管6のF管が上部にG管が下部に接続されている。
【0021】
飼育水槽4とポンプ水槽3との隔壁12にも多数孔12bが空けられている、原水チは隔壁12の多数孔12bを通過して常に飼育水槽4とポンプ水槽3の水位と同じレベルを保持している。
【0022】
これによって循環ポンプ7の空運転を防止し、循環ポンプの噴出しの水圧を減衰し、還流を緩やかにすることで、魚類の習性に応じた最適な泳ぎが出来る環境を与えることで活性力を高め、長期の飼育が可能になる。
【0023】
飼育水槽4内の原水水位が平常より上昇したとき原水ヘはF管からオーバーフローする、これによって飼育水槽4から原水が溢れることがなく漏水を防止できる、オーバーフローした原水ヘはN管から最終的に排出される。
【0024】
飼育水槽4内に飼育している魚類の全数が泳いでいないと解析したときは、自動的に電磁弁Iを開き原水を検査水として採水する、採水容器はH管の先に接続される。
【0025】
既に上記で説明したが、原水ニは循環ポンプ7よって飼育水槽4内に噴出され、飼育水槽4の三ヶ所の角の三日月形状板8、9、10を貼着することで原水は飼育水槽4内を円状に還流できる、円状に還流することで遠心分離作用が働き魚の糞や塵は中心部に集まる。
【0026】
飼育水槽4の底部の中心部には排水口11が設けられ、魚類の糞や塵はここかから排出される、魚類が排水口11から糞や塵と一緒に逃げ出さないように魚類より小さな網の目の蓋をかぶせている。
【0027】
排水口11には排水配管6のM管が接続され、原水ホが糞や塵と一緒に排水される、強制的に排水する場合は手動バルブの排水弁Kや排水弁Jを開くことで原水ヌが排水される。
【0028】
また、排水弁Kと排水弁Jは入水量に合わせて排水量を調整する排水調整弁でもある。
【0029】
排水弁Kと排水弁Jによって飼育水槽4内の糞や塵が腐敗してアンモニア等の発生による魚類の死亡原因を除去できる。
【0030】
飼育水槽4の水位を一定に保持するために排水配管6のL管をF管の位置レベルを合わせることで常に水位を維持できる、排水弁Kと排水弁Jは飼育水槽4の水位を一定に保持するためにも使用される。
【0031】
O管では排水配管6内に溜まった空気を抜くエアー抜きである、これによってL管の位置レベルなどの排水配管6内の原水移動がスムーズに行われる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
水道施設や飲料水製造工場の原水連続処理中の有毒物質含有を24時間連続自動監視で行う、バイオアッセイ法の水質自動監視装置の不可欠な魚類水槽の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】魚類監視水槽の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】入水配管の実施の形態を示す斜視図である。
【図3】排水配管の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】監視水槽の平面図である。
【図5】本発明の魚類監視水槽を使用する水質自動監視装置の全体図である。
【符号の説明】
【0034】
1 魚類監視水槽
2 受水槽
3 ポンプ水槽
4 飼育水槽
5 入水配管
6 排水配管
7 循環ポンプ
8、9、10、 三日月形状板
10a 三日月形状板多孔
11 排水口
12 入水パイプ
13 捕獲ネット
14 魚類
15 監視カメラ
16 画像処理装置
A、C、E、F、G、H、J、N、M、O、 管
B 入水調整弁
D 入水量確認弁
I 電磁弁
J、K、 排水弁
イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ、リ、ヌ、 原水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽は受水槽とポンプ水槽と飼育水槽とに分割され、配管は入水配管と排水配管とで構成される、受水槽には入水配管のC管と排水配管のE管が接続され、飼育水槽には排水配管のF管とG管とM管が接続され、入水量と排水量をコントロールすることを特徴とする魚類監視水槽。
【請求項2】
請求項1記載の飼育水槽に接続された排水配管のF管とL管の水位レベルを合わせることで飼育水槽の水位を保持することを特徴とする魚類監視水槽。
【請求項3】
請求項1記載の飼育水槽のG管は電磁弁が具備され、排水配管のE管とF管はオーバーフロー管とすることを特徴とする魚類監視水槽。
【請求項4】
請求項1記載の飼育水槽の入水配管には入水調整弁と入水量確認弁を具備し、排水配管には排水弁2個を具備することを特徴とする魚類監視水槽。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2008−102901(P2008−102901A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159609(P2007−159609)
【出願日】平成19年6月17日(2007.6.17)
【出願変更の表示】意願2006−8542(D2006−8542)の変更
【原出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(500548943)
【Fターム(参考)】