説明

鱗状織編布帛

【課題】瓦葺き屋根のように整然と並んだ鱗片状舌片によって表面が覆われた鱗状織編布帛を効率的に得る。
【解決手段】軸糸10の片側縁または両側縁から舌片50が突出している舌片糸条40をベース織編地34に織編込み、その舌片50をベース織編地34の表側と裏側の何れか一方または双方に突き出して鱗状織編布帛を構成する。繰り返し織編込まれてベース織編地の長さ方向に前後する2本の軸糸10a・10bの中の一方10aの舌片51を、他方の軸糸10bの舌片52の上に触れ合う位置まで突き出す。舌片糸条40は、軸糸10に舌片51・52を縫合して構成することが出来、又、平板な基材39から軸糸10と舌片50を一体的に切り取って構成することも出来る。舌片50の裏面には接着材49を積層しておくとよい。鱗状織編布帛の表面28を樹脂皮膜29によって被覆しておくとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が鱗片状に装飾され、ショールやドレス、洋服、和服等の衣料生地、ハンドバック、財布、名刺入れ等の袋物、和装帯、ベルト等の身の回り品、靴、スリッパ、書籍等の表装生地、カーテンや家具、その他の屋内装置品の内装材等に適し、濾布やフィルターにも使用し得る鱗状織編布帛に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表面が鱗片状に装飾された生地としては、スパンコールに覆われたスパンコール布帛があり、その作製に相当の熟練と手間暇を要することからコスト的に高価で付加価値の高い美術工芸品として扱われている。スパンコール布帛を安価に作製する方法として、スパンコールを両面接着テープに並べて仮接着し、その両面接着テープと共に屋根瓦を葺くように基布に仮接着し、ミシン糸目によってスパンコールを基布に縫合する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭57−101087号公報(特公昭63−29039)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開昭57−101087号公報(特許文献1)に記載の方法では、ミシン糸目を係止し得る緻密な基布を必要とし、その基布が緻密なことから通気性と可撓性に富むスパンコール布帛は得られず、特に、基布がミシン糸目によって補強されるのでスパンコール布帛が硬く仕上がり、それにもまして、屋根瓦を葺くように両面接着テープと共にスパンコールを基布に並べるためには相当の手間・暇を要し、その工程を自動化することは困難であり、時としてスパンコールの配列斑を生じ、品質の安定したスパンコール布帛は得られない。
【0005】
そこで本発明は、瓦葺き屋根のように整然と並んだ鱗片状舌片によって表面が覆われた鱗状織編布帛を効率的に得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る鱗状織編布帛は、軸糸10の片側縁または両側縁から舌片50が突出している舌片糸条40が織編込まれており、その舌片50がベース織編地34の表側と裏側の何れか一方または双方に突き出ていることを第1の特徴とする。
【0007】
本発明に係る鱗状織編布帛の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、ベース織編地34が、地経糸20〜23・30〜33と地緯糸11〜18との何れか少なくとも一方の糸条と舌片糸条40が交絡して構成されている点にある。
【0008】
本発明に係る鱗状織編布帛の第3の特徴は、上記第1の特徴に加えて、地経糸20〜23・30〜33と地緯糸11〜18との何れか少なくとも一方の糸条によって構成されるベース織編地34に舌片糸条40が織編込まれている点にある。
【0009】
本発明に係る鱗状織編布帛の第4の特徴は、上記第1、第2および第3の何れかの特徴に加えて、ベース織編地34が織物であり、順次織り込まれる複数本の緯糸10〜18の中の一部の緯糸(10)を構成する軸糸10が地経糸21〜23・31〜33の上を越えて織物表面に浮き出る当該軸糸10の浮出部分41・42から、扁平断面の舌片50(51・52)が、製織方向の前後一方向または前後二方向に突き出ている点にある。
【0010】
本発明に係る鱗状織編布帛の第5の特徴は、上記第1、第2、第3および第4の何れかの特徴に加えて、繰り返し織編込まれてベース織編地の長さ方向に前後する2本の軸糸10a・10bの中の一方10aの舌片51が、他方の軸糸10bの舌片52の上に触れ合う位置まで突き出ている点にある。
【0011】
本発明に係る鱗状織編布帛の第6の特徴は、上記第1、第2、第3、第4および第5の何れかの特徴に加えて、軸糸10が扁平断面を成し、その軸糸10に舌片51・52が縫合されている点にある。
【0012】
本発明に係る鱗状織編布帛の第7の特徴は、上記第1、第2、第3、第4および第5の何れかの特徴に加えて、軸糸10と舌片50が平板な基材39から切り取って一体的に構成され、軸糸10が扁平断面を成している点にある。
【0013】
本発明に係る鱗状織編布帛の第8の特徴は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6および第7の何れかの特徴に加えて、複数の舌片50a・50b・50c………が軸糸10の長さ方向において隣り合って軸糸10から突き出ており、舌片50と軸糸10との境界19において隣り合う舌片50bと舌片50cの間の隙間gが、隣り合う舌片50bと舌片50cの間隔Lの10分の1以下である点にある。
【0014】
本発明に係る鱗状織編布帛の第9の特徴は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7および第8の何れかの特徴に加えて、ベース織編地の長さ方向において前後する一方の軸糸10bの浮出部分42の左右の上を越える地経糸20が、その前後する他方の軸糸10aの浮出部分41の下に潜っている点にある。
【0015】
本発明に係る鱗状織編布帛の第10の特徴は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8および第9の何れかの特徴に加えて、舌片50の裏面に接着材49が積層されている点にある。
【0016】
本発明に係る鱗状織編布帛の第11の特徴は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9および第10の何れかの特徴に加えて、舌片50が現れる鱗状織編布帛の表面28が樹脂皮膜29に被覆されている点にある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、舌片50は、地経糸20〜23や地緯糸11〜18の交差する織編布帛の組織点においてベース織編地表面に軸糸10の一部として浮き出るので、その配列が乱れたり、その配置間隔に斑を生じることがなく、舌片50が整然と並び、表面28が舌片50に装飾され、特に、ベース織編地の長さ方向(製織方向・ウェール方向)に前後する2本の軸糸10a・10bの中の一方10aの舌片51が、他方の軸糸10bの舌片52の上に触れ合う位置まで突き出ているときは、地経糸20〜23や地緯糸11〜18が表面28に露出せず、舌片50が前後左右のみならず左右斜め方向に並んだ幾何学模様を呈するので、ショールやドレス、洋服、和服等の衣料生地、ハンドバック、財布、名刺入れ等の袋物、和装帯、ベルト等の身の回り品、靴、スリッパ、書籍等の表装生地、カーテンや家具、その他の屋内装置品の内装材等に適した美しい鱗状織編布帛が得られる。
【0018】
本発明によると、ベース織編地の長さ方向(製織方向・ウェール方向)に前後する舌片51と舌片52が屋根瓦のように重なり合って並ぶので、地経糸20〜23や地緯糸11〜18が舌片51・52に被覆され、全面が舌片51・52に覆われて美しく、表面28が擦られても地経糸20〜23や地緯糸11〜18が摩耗・損傷することがなく、耐久性に富む鱗状織編布帛が得られる。
【0019】
舌片50の先端部分25は、地経糸20〜23と地緯糸11〜18の構成するベース織編地34に阻まれることなく自由に、表面28から浮上・突出可能になっている。一方、舌片50の先端部分25は、表面28に表裏する裏側には、ベース織編地34に阻まれて移動することは出来ない。そして、ベース織編地34には、地経糸や地緯糸に囲まれた布目隙間35が形成されている。このため、流体は布目隙間35を、鱗状織編布帛の裏面側から表面側へと舌片50に妨げられることなく通過し得る。
それとは逆に、鱗状織編布帛の表面側から裏面側に向けては、舌片50に阻止されて通過し難くなる。
このように流体逆流抑止機能を有するので、空気清浄器機、液体清浄器機、廃水濾過装置等の濾過フィルター(濾布)としても有用な鱗状織編布帛が得られる。
【0020】
舌片51・52がミシン糸目27によって縫合されていても(図8)、そのミシン糸目27は、唯一本の糸条(軸糸10)を補強しているだけであって、その糸条(軸糸10)に成る織編地(鱗状織編布帛)の地経糸(21〜23・31〜33)や地緯糸(軸糸10)を縫合している訳ではないので、そのミシン糸目27によって織編地(鱗状織編布帛)が補強されることはなく、織編込まれた軸糸10は、地経糸(21〜23・31〜33)と交差する組織点において前後する地緯糸や左右の地経糸に挟まれて曲折した形状となる。
このため、扁平断面を成す糸条(軸糸10)に舌片51・52が縫合されていても、そのミシン糸目27に阻害されることなく、可撓性に富む鱗状織編布帛が得られる。
【0021】
軸糸10と舌片50とを平板な基材39から切り取って一体的に構成する場合、舌片50を軸糸10に接合する手間が省け、その切り取る舌片50を複雑な形状にすることが出来、又、その平板な基材39に多彩な地模様のプリントを施したり、複雑繊細な凹凸模様のエンボスを施すことが出来、絢爛豪華な鱗状織編布帛を得ることが出来る。
【0022】
軸糸10の長さ方向において隣り合う舌片50a・50b・50c………の軸糸10との境界19における隙間gを、隣り合う舌片50の間隔Lの10分の1以下にすると、舌片間の隙間gがベース織編地の長さ方向(製織方向・ウェール方向)に一直線状に並んでいても、その隙間gから地経糸や緯糸が表面28に露出して鱗状織編布帛の美観が損なわれるような不都合は回避される。尚、舌片50の間隔Lの10分の1以下となる舌片間50・50の隙間gには、軸糸10に舌片50を縫合して成る舌片糸条40の隣り合う舌片50aの右側縁と舌片50bの左側縁が重なり合った隙間、或いは、基材39を裁断して成る舌片糸条40の隣り合う舌片50aと舌片50bの切れ目や裂け目のように、隣り合う舌片50と舌片50が密着してゼロ(g=0)となる隙間も包含される。
【0023】
ベース織編地の長さ方向において前後する一方の軸糸10bの浮出部分42の左右の上を越える地経糸20が、その前後する他方の軸糸10aの浮出部分41の下に潜る織編組織になるベース織編地では、軸糸10の長さ方向において隣り合う舌片50a・50b・50c………の間隔(ピッチ)Lが、ベース織編地の長さ方向(製織方向・ウェール方向)に前後する舌片51と舌片52の間でベース織編地の幅方向において互いに半ピッチ(0.5L)づつずれることになる(図1,図4)。
このため、舌片間51・51の隙間gは、ベース織編地の長さ方向(製織方向・ウェール方向)において舌片51に前後する舌片52の先端部分25に覆われて目立たず、舌片50が前後左右および左右斜め方向に幾何学模様状に並んで蛇皮やワニ皮の観を呈し、ハンドバック、財布、名刺入れ、ベルト、婦人靴、スリッパ等の高級身の回り品の表装生地に最適の鱗状織編布帛が得られる。
【0024】
舌片50の裏面に接着材49を積層しておくと、ベース織編地の長さ方向(製織方向・ウェール方向)に前後する舌片51と舌片52の重合代38を接着することが出来、又、それらの舌片51・52の重なり合わない部分37を地経糸21〜23・31〜33や緯糸10〜18に接着することが出来、舌片50が剥離することのない耐久性に富む鱗状織編布帛が得られる(図5)。
【0025】
舌片50の現れる鱗状織編布帛の表面28を樹脂皮膜29によって被覆すると(図5)、舌片間50・50の隙間から水が滲み込まず、舌片50が剥離することもなく、耐水性を有し、耐摩耗性に優れ、ハンドバック、財布、名刺入れ、ベルト、婦人靴、スリッパ等の高級身の回り品の表装生地に好適な鱗状織編布帛が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、ベース織編地34が織成された鱗状織編布帛を図示する。
ベース織編地34の織組織は、地経糸(20〜23・30〜33)と地緯糸(11〜18)とによる平織組織となっている。
軸糸10a・10bは、地緯糸(11〜18)を8回繰り返して織り込む毎に1回の割合で織り込まれている。
その織り込み箇所では、軸糸10が、順次織り込まれる3本単位の地緯糸(16〜18)と平織組織を構成する8本単位の地経糸(20〜23・30〜33)の中の1本の地経糸20(30)の下に潜り、その残りの7本の地経糸(20〜23・30〜33)の上を越える緯二重織組織となっている。
【0027】
製織方向において前後隣り合う2本の軸糸10a・10bの中の何れか1本の軸糸10aの上を越える地経糸30は、その前後隣り合う他の軸糸10bの下を潜り、その軸糸10bの上を越える地経糸20は、先の軸糸10aの下を潜っている。
即ち、製織方向において前後する一方の軸糸10bの浮出部分42の左右の上を越える地経糸20は、その前後する他方の軸糸10aの浮出部分41の下を潜り、他方の軸糸10aの浮出部分42の左右の上を越える地経糸30は、先の一方の軸糸10bの浮出部分41の下を潜る。
【0028】
8本単位の地経糸(20〜23・30〜33)の中の残りの6本の地経糸(21〜23・31〜33)は、その上下する2本の地経糸20・30の間に3本づつ配置され、常に軸糸10の下を潜っている。
その製織方向において前後する2本の軸糸10a・10bの中の一方10aの舌片51は、他方の軸糸10bの舌片52の上に触れ合う位置まで突き出ている。
このため、鱗状織編布帛の表面は、舌片50が前後左右および左右斜め方向に幾何学模様状に並んで蛇皮やワニ皮の観を呈することになる。
【0029】
図2は、地緯糸11と軸糸10の両側縁から舌片50a・50bが突出している舌片糸条40を交互に織り込み、2本単位の地経糸21と地経糸22と搦織組織を構成して織成された鱗状織編布帛を図示する。
軸糸10の片側縁から突出している舌片50aは、製織方向において前後する2本の地緯糸11aの上を越えて表側に突き出ており、他の片側縁から突出している舌片50bは、前後する他の地緯糸11bの下に沈んで裏側に突き出ており、鱗状織編布帛の両面が舌片50に覆われている。
【0030】
図3は、緯糸挿入式ラッシェル経編機によって編成された鱗状織編布帛を図示する。
地経糸30は、各コース毎に鎖編目を形成してウェール方向に一直線状に続く鎖編紐45を形成している。
その鎖編目のニードルループ43とシンカーループ44の間に地緯糸11と舌片糸条40を1コースおきに交互に挿入され、地緯糸11と舌片糸条40によってコース方向において隣り合う鎖編紐45と鎖編紐45の間が連結されて鱗状織編布帛が構成され、ウェール方向において前後する舌片糸条の舌片51・52は、隣り合う鎖編紐45と鎖編紐45の間においてウェール方向に連続して表側に突き出ている。
【0031】
図4は、緯糸挿入式横編機によって編成された鱗状織編布帛を図示する。
舌片糸条40は、地緯糸11の編成するベース織編地34の2コースおきに挿入され、その挿入されたコースにおいて隣り合うニードルループ43aとニードルループ43bを軸糸10が交互に潜り、そして越えてベース織編地34に係止され、舌片50は2ウェールにつき1個の割合で表側に突き出ている。
【0032】
舌片、特に、舌片と軸糸を一体的に構成することになる基材39には、織物、編物、不織布等の布帛、和紙、洋紙、天然皮革、人工皮革、金属箔、プラスチックフイルム等を原材料として使用することが出来、それらの基材39には、多彩な地模様をプリントし、複雑繊細な凹凸模様をエンボスし、金属蒸着加工する等して、装飾が適宜施される。
基材39は、布帛(織物、編物、不織布)を基布とし、その上に装飾性の高い高級織物や天然皮革、多彩な地模様や複雑繊細な凹凸模様、金属蒸着等の施された化粧シートを貼り合わせて複層積層構造とすることも出来る。
【0033】
軸糸10に舌片50を縫合する場合、舌片50にはスパンコールや螺鈿、金属箔を使用することが出来る(図8)。
【0034】
基材39から切り取って舌片50と軸糸10を一体的に構成する場合、舌片50は軸糸10から鋸刃のようにジグザグに突き出た形状にすることも出来(図6)、又、軸糸10をジグザグに折れ曲がった波形状にし、その突き出た部分をもって舌片50とすることも出来る(図7)。そのように一定の周期をもって舌片50a・50b・50cが突き出た軸糸10では(図6〜図8)、その舌片間の窪んだ部分26の上を地経糸20・30が越えるようにベース織編地を設計する。
【0035】
舌片50と軸糸10を一体的に基材39から切り取るためには、その切取線36に沿ってレーザービームを照射し、或いは、超音波を当て、或いは、カッター(刃物)を当て、或いは、切取線36に沿って基材39に抜触剤を印捺して溶触・破断する方法が採られる(図9)。
【0036】
織物を基材39とし、カッターによって裁断し、或いは、抜触剤によって溶触・破断する場合、軸糸10の長さ方向を、その基材である織物(39)のバイアス方向、つまり、地経糸と緯糸との双方に同時に交差する織物(39)の斜め方向に設定するとよい。
そのようにすると、その裁断口から経糸や緯糸が解れ出し難く、又、舌片50や軸糸10の周縁から経糸や緯糸の先端が解れ出ても、その解れ出た先端部分が毛房状(パイル)を成すことにもなるので、舌片50や軸糸10の周縁での肌触りがよくなり、却って触感風合いのよい鱗状織編布帛が得られることにもなる。尚、本発明に言う”舌片糸条”には、軸糸から太さの10倍以上の長さの多数の繊維や糸条が無方向に突き出ていて催し物会場や宴会場等の室内装飾に使用されるモール糸は含まれない。
【0037】
舌片50の裏面の接着材49には一般市販のものを使用することが出来、接着材49は、接着性樹脂組成物に成る接着性塗料(接着剤)の舌片の裏面に塗布した塗膜であってもよいし、接着性樹脂組成物に成る接着性フイルムであってもよい。その接着性樹脂は、熱融着性樹脂であってもよい。軸糸10と舌片50を平板な基材39から切り取って一体的に構成する場合、接着性塗料(接着剤)を基材39の裏面に塗布積層し、又、接着性フイルムを接着剤を介して基材39の裏面に接着積層、或いは、接着性フイルムを基材39の裏面に直接融着積層してもよい。
熱融着性樹脂に成る接着材49では、それをTダイ押出成形機から溶融フイルムとして押し出して基材39の裏面に直接融着積層することも出来る。
【0038】
鱗状織編布帛の表面28を被覆する樹脂皮膜29も、接着材49と同様に、一般市販の接着性塗料や接着性樹脂組成物、接着性フイルム等であってもよく、その中でもポリウレタン樹脂を主材とするものが好適に使用される。
【0039】
本発明の鱗状織編布帛は、ショールやドレス、洋服、和服等の衣料生地、ハンドバック、財布、名刺入れ等の袋物、和装帯、ベルト等の身の回り品、靴、スリッパ、書籍等の表装生地、カーテンや家具、その他の屋内装置品の内装材等に適し、濾布やフィルター等の流体逆流制禦部材、その他、模形屋根瓦等に使用することも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る鱗状織編布帛の一部切截平面図である。
【図2】本発明に係る鱗状織編布帛の一部切截斜視図である。
【図3】本発明に係る鱗状織編布帛の一部切截平面図である。
【図4】本発明に係る鱗状織編布帛の一部切截平面図である。
【図5】本発明に係る鱗状織編布帛の断面図である。
【図6】本発明に係る舌片糸条の斜視図である。
【図7】本発明に係る舌片糸条の斜視図である。
【図8】本発明に係る舌片糸条の斜視図である。
【図9】本発明に係る舌片糸条を構成する基材の斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
10:軸糸(緯糸)
11〜18:緯糸
19:境界
20〜23:地経糸
25:舌片の先端部分
26:窪んだ部分
27:ミシン糸目
28:表面
29:樹脂皮膜
30〜33:地経糸
34:ベース織編地
35:布目隙間
36:切取線
37:重なり合わない部分
38:重合代
39:基材
40:舌片糸条
41〜42:浮出部分
43:ニードルループ
44:シンカーループ
45:鎖編紐
49:接着材
50〜52:舌片
g :隙間
L :間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸糸(10)の片側縁または両側縁から舌片(50)が突出している舌片糸条(40)が織編込まれており、その舌片(50)がベース織編地(34)の表側と裏側の何れか一方または双方に突き出ていることを特徴とする鱗状織編布帛。
【請求項2】
ベース織編地(34)が、地経糸(20〜23・30〜33)と地緯糸(11〜18)との何れか少なくとも一方の糸条と舌片糸条(40)が交絡して構成されている前掲請求項1に記載の鱗状織編布帛。
【請求項3】
地経糸(20〜23・30〜33)と地緯糸(11〜18)との何れか少なくとも一方の糸条によって構成されるベース織編地(34)に舌片糸条(40)が織編込まれている前掲請求項1に記載の鱗状織編布帛。
【請求項4】
ベース織編地(34)が織物であり、順次織り込まれる複数本の緯糸(10〜18)の中の一部の緯糸(10)を構成する軸糸(10)が地経糸(21〜23・31〜33)の上を越えて織物表面に浮き出る当該軸糸(10)の浮出部分(41・42)から、扁平断面の舌片(50・51・52)が、製織方向の前後一方向または前後二方向に突き出ている前掲請求項1と2と3の何れかに記載の鱗状織編布帛。
【請求項5】
繰り返し織編込まれてベース織編地の長さ方向に前後する2本の軸糸(10a・10b)の中の一方(10a)の舌片(51)が、他方の軸糸(10b)の舌片(52)の上に触れ合う位置まで突き出ている前掲請求項1と2と3と4と5の何れかに記載の鱗状織編布帛。
【請求項6】
軸糸(10)が扁平断面を成し、その軸糸(10)に舌片(51・52)が縫合されている前掲請求項1と2と3と4と5の何れかに記載の鱗状織編布帛。
【請求項7】
軸糸(10)と舌片(50)が平板な基材(39)から切り取って一体的に構成され、軸糸(10)が扁平断面を成している前掲請求項1と2と3と4と5の何れかに記載の鱗状織編布帛。
【請求項8】
複数の舌片(50a・50b・50c………)が軸糸(10)の長さ方向において隣り合って軸糸(10)から突き出ており、舌片(50)と軸糸(10)との境界(19)において隣り合う舌片(50b)と舌片(50c)の間の隙間(g)が、隣り合う舌片(50b)と舌片(50c)の間隔(L)の10分の1以下である前掲請求項1と2と3と4と5と6と7の何れかに記載の鱗状織編布帛。
【請求項9】
ベース織編地の長さ方向において前後する一方の軸糸(10b)の浮出部分(42)の左右の上を越える地経糸(20)が、その前後する他方の軸糸(10a)の浮出部分(41)の下に潜っている前掲請求項1と2と3と4と5と6と7と8の何れかに記載の鱗状織編布帛。
【請求項10】
舌片(50)の裏面に接着材(49)が積層されている前掲請求項1と2と3と4と5と6と7と8と9の何れかに記載の鱗状織編布帛。
【請求項11】
舌片(50)が現れる鱗状織編布帛の表面(28)が樹脂皮膜(29)に被覆されている前掲請求項1と2と3と4と5と6と7と8と9と10の何れかに記載の鱗状織編布帛。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−69499(P2008−69499A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251959(P2006−251959)
【出願日】平成18年9月16日(2006.9.16)
【出願人】(000148151)株式会社川島織物セルコン (104)
【Fターム(参考)】