説明

鳥のもつ煮込みの調理方法

【課題】大量に調理でき、冷めても再加熱が容易で、鳥もつの照煮とは味わいが異なる鳥のもつ煮込みを提供する。
【解決手段】鳥のもつ煮込みの調理方法は、鶏のレバーと、醤油とを含む第1材料を、第1容器内で加熱し、材料Aを得る第1加熱工程と、鶏の皮と、鶏の砂肝と、醤油とを含む第2材料を、第2容器内で第1加熱工程の加熱時間より長時間加熱し、材料Bを得る第2加熱工程と、材料Aと材料Bとを混ぜ合わせた後、一緒に加熱して材料Cを得る第3加熱工程と、材料Cに調味料を加えて、24時間以上加熱する第4加熱工程とを有する。第1材料は、鶏のキンカンおよび鶏のハツの少なくとも一方をさらに含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煮汁の味わいが充分に染み込んだ鳥のもつ煮込みの調理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
もつ煮込みは、牛や豚などの内臓を醤油と味噌からなる調味料で煮込んだ料理として知られている。また、鳥の内臓を用いた料理としては、鳥の内臓を醤油と砂糖からなるタレで煮詰めた鳥もつの照煮が知られている。しかしながら、鳥もつの照煮は、少量のタレを使って強火で短時間のうちに鳥の内臓を照り煮するため、大量に調理するのが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、大量に調理でき、冷めても再加熱が容易で、さらに鳥もつの照煮と味わいが異なる鳥もつ料理を提供することを目的とする。
【0004】
本発明の鳥のもつ煮込みの調理方法は、鶏のレバーと、醤油とを含む第1材料を、第1容器内で加熱し、材料Aを得る第1加熱工程と、鶏の皮と、鶏の砂肝と、醤油とを含む第2材料を、第1容器とは異なる第2容器内で第1加熱工程の加熱時間より長時間加熱し、材料Bを得る第2加熱工程と、材料Aと材料Bとを混ぜ合わせた後、一緒に加熱して材料Cを得る第3加熱工程と、材料Cに調味料を加えて、24時間以上加熱する第4加熱工程とを有する。
【0005】
本発明の鳥のもつ煮込みの調理方法において、第1材料は、鶏のキンカンおよび鶏のハツの少なくとも一方をさらに含んでもよい。また、材料Cにシラタキをさらに加えて、第4加熱工程を行ってもよい。シラタキは、茹でこぼされてアク抜きされていることが好ましい。さらに、第4加熱工程の後、室温下で放冷する放冷工程を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、大量に調理でき、冷めても再加熱が容易で、鳥もつの照煮とは味わいが異なる鳥のもつ煮込みが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の鳥のもつ煮込みの調理方法について、実施形態に基づいて説明する。本実施形態の鳥のもつ煮込みの調理方法は、第1加熱工程と、第2加熱工程と、第3加熱工程と、第4加熱工程とを有する。
【0008】
(第1加熱工程)
第1加熱工程では、鶏のレバーと、醤油とを含む第1材料を、鍋等の第1容器内で加熱し、材料Aを得る。つまり、材料Aは、第1材料を第1容器内で加熱して得られるものである。鶏のレバーは、予め食べやすい大きさに切り分けられている。鍋に鶏のレバーを入れ、鶏のレバーが隠れる程度に醤油を加え、その後鍋を加熱する。加熱は、ガスコンロやIHコンロ等を用いて行う。第1材料の重量、第1容器の容量、および加熱手段の熱量によって多少異なるものの、第1加熱工程における加熱時間は20分から30分くらいが適当である。
【0009】
鶏のレバーが第1材料に含まれることによって、鳥のもつ煮込みに柔らかみがある食感を与えることができる。また、第1材料には、鶏のキンカンおよび鶏のハツの少なくとも一方をさらに含んでいてもよい。鶏のキンカンは、鶏卵として産まれる前の卵黄であるが、本実施形態では、その卵黄に卵管等の管が付着していてもよい。鶏のキンカンが第1材料に含まれることによって、鳥のもつ煮込みに弾力がある食感を与えることができる。鶏のハツが第1材料に含まれることによって、鳥のもつ煮込みにコシを与えることができる。
【0010】
(第2加熱工程)
第2加熱工程では、鶏の皮と、鶏の砂肝と、醤油とを含む第2材料を、第1容器とは異なる別の鍋等の第2容器内で第1加熱工程の加熱時間より長時間加熱し、材料Bを得る。つまり、材料Bは、第2材料を第2容器内で第1加熱工程の加熱時間より長時間加熱して得られるものである。鶏の皮と鶏の砂肝は、予め食べやすい大きさに切り分けられている。
【0011】
鶏の皮と鶏の砂肝を第1容器とは別の鍋に入れ、鶏の皮と鶏の砂肝が隠れる程度に醤油を加え、その後鍋を加熱する。加熱は、ガスコンロやIHコンロ等を用いて行う。第2材料の重量、第2容器の容量、および加熱手段の熱量によって多少異なるものの、第2加熱工程における加熱時間は40分から50分くらいが適当である。鶏の皮が第2材料に含まれることによって、鳥のもつ煮込みにコクのある味わいを与えることができる。鶏の砂肝が第2材料に含まれることによって、鳥のもつ煮込みに適度な歯ごたえを与えることができる。
【0012】
鶏のレバー等を加熱する第1容器とは別の第2容器内で、鶏の皮と鶏の砂肝を加熱することによって、鶏のレバーの煮崩れを防ぐことができる。また、第2材料の加熱時間を第1材料の加熱時間より長くすることによって、鶏の皮から抽出されるコクのある味わいを増加させると共に、鶏の砂肝を適度な柔らかさにすることができる。
【0013】
(第3加熱工程)
第3加熱工程では、材料Aと材料Bとを混ぜ合わせた後、一緒に加熱して材料Cを得る。つまり、材料Cは、材料Aと材料Bとを混ぜ合わせ一緒に加熱して得られるものである。第3加熱工程は、通常、第1容器および第2容器より大きな鍋等の第3容器内で行う。もちろん、第3加熱工程を第1容器内または第2容器内で行ってもよい。
【0014】
第3加熱工程によって、鶏のレバー、鶏の皮、および鶏の砂肝、ならびに好みに応じて加えられた鶏のキンカンおよび鶏のハツが、より均一に混ざり合う。このため、鳥のもつ煮込みを食べたときに、様々な食感とコクのある味わいを楽しめる。材料Aと材料Bの重量、第3加熱工程に用いる容器の容量、および加熱手段の熱量によって多少異なるものの、第3加熱工程における加熱時間は150分から200分くらいが適当である。
【0015】
(第4加熱工程)
第4加熱工程では、材料Cに調味料を加えて24時間以上加熱する。第4加熱工程は、通常、第3加熱工程で使用した第3容器内で行うが、他の容器内で行ってもよい。調味料は好みに応じたものが使用できるが、本実施形態では、調味料は砂糖とみりんである。材料Cに調味料を加えて24時間以上加熱することにより、鶏のレバー、鶏の皮、および鶏の砂肝、ならびに好みに応じて加えられた鶏のキンカンおよび鶏のハツに調味料が充分に浸透すると共に、これらの具材をさらに柔らかくすることができる。
【0016】
なお、第4加熱工程を経ても、これらの具材の食感の特徴、すなわち、鶏のレバーの柔らかみ、鶏のキンカンの弾力、鶏のハツのコシ、鶏の砂肝の歯ごたえは多少残る。第4加熱工程では、材料Cにシラタキを加えてから行ってもよい。材料Cにシラタキを加えることによって、鶏の皮から抽出された油っこさを緩和することができる。この場合、シラタキは、5cmから6cmくらいの長さに切ってから加える。
【0017】
材料Cに加えるシラタキは、予め茹でこぼされてアク抜きされているのが好ましい。アク抜きされたシラタキを加えることによって、アクによる苦みや渋みが鳥のもつ煮込みに含まれるのを抑えることができる。シラタキを茹でこぼす作業は、一般的な方法、例えば、5cmから6cmくらいの長さに切ったシラタキを、1分から3分くらい熱湯で茹でた後、その茹で汁を流し捨てることによって行われる。
【0018】
以上の調理方法によって、コクがあって、様々な食感が楽しめる鳥のもつ煮込みが得られる。この鳥のもつ煮込みは「ほさかの鳥もつ煮」であり、鳥もつの照煮である「甲府鳥もつ煮」とは異なる。なお、本発明の鳥のもつ煮込みの調理方法は、第4加熱工程の後、室温下で放冷する放冷工程をさらに有してもよい。室温下で放冷することにより、煮汁の中に含まれる旨みが徐々に具材に浸透する。こうして、旨みを具材に閉じ込めた状態で、鳥のもつ煮込みを室温下で、または冷蔵庫内で保管することができる。
【0019】
保管した鳥のもつ煮込みは、ガスコンロ、IHコンロ、または電子レンジ等によって再加熱してから食べる。再加熱した鳥のもつ煮込みに、一味唐辛子、七味唐辛子、コショウ、柚子コショウ、刻みネギ、または刻みショウガ等を好みに応じて添えてもよい。
【0020】
(実施例)
以下に鳥のもつ煮込みの調理例を示す。本発明の鳥のもつ煮込みの調理方法は、本実施例に限定されない。
・第1材料
鶏のレバー:1kg、 鶏のキンカン:500g、 鶏のハツ:500g、
醤油:500g
・第1加熱工程の加熱時間:30分
・第2材料
鶏の皮:2kg、 鶏の砂肝:2kg、 醤油:500g
・第2加熱工程の加熱時間:45分
・材料Cに加える具材と調味料
シラタキ:1kg、 砂糖:500g、 ミリン:100g
・第3加熱工程の加熱時間:3時間
・第4加熱工程の加熱時間:24時間
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の鳥のもつ煮込みの調理方法は、例えば、惣菜の製造業で利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏のレバーと、醤油とを含む第1材料を、第1容器内で加熱し、材料Aを得る第1加熱工程と、
鶏の皮と、鶏の砂肝と、醤油とを含む第2材料を、前記第1容器とは異なる第2容器内で前記第1加熱工程の加熱時間より長時間加熱し、材料Bを得る第2加熱工程と、
前記材料Aと前記材料Bとを混ぜ合わせた後、一緒に加熱して材料Cを得る第3加熱工程と、
前記材料Cに調味料を加えて、24時間以上加熱する第4加熱工程と、
を有する鳥のもつ煮込みの調理方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1材料は、鶏のキンカンおよび鶏のハツの少なくとも一方をさらに含む鳥のもつ煮込みの調理方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記材料Cにシラタキをさらに加えて、前記第4加熱工程を行う鳥のもつ煮込みの調理方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記シラタキは、茹でこぼされてアク抜きされている鳥のもつ煮込みの調理方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、
前記第4加熱工程の後、室温下で放冷する放冷工程をさらに有する鳥のもつ煮込みの調理方法。

【公開番号】特開2012−105562(P2012−105562A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255279(P2010−255279)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【特許番号】特許第4763849号(P4763849)
【特許公報発行日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(508312625)
【Fターム(参考)】