説明

鳥忌避部材

【課題】 鳥を傷めることなく鳥害を抑止し、しかも効果の持続性に優れる低コストの鳥忌避部材を提供する。
【解決手段】 平板状・長尺の板材状・シート状又はテープ状の部材表面に鳥が見て嫌がる忌避模様3を形成した鳥忌避部材であって、表面色を黄色系統色にし、縦長の所定幅の領域内にその所定幅とほぼ同じ振幅の仮想波線を位相が異なるように複数設け、各仮想波線上に黒色又は明度の低い色の暗点をその点径が連続的に変化するように且つ隣接する同径の暗点が縦方向の同じ列線上に配置されないようにずらして形成し、その複数の仮想波線に沿って形成した模様を幅方向へ繰り返すように複列に形成する。これを例えば駅の屋根や住宅のベランダに取り付けたり、田畑に張架する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥害を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅や駅等においてハト・カラス・スズメ等による鳥害が問題となっており、対応に苦慮している。鳥害としては糞による建物の汚損、羽毛の飛散、悪臭等があげられる。対応策としては、電気ショックで驚かせる方法(特許文献1参照)、目玉を模した器具で威嚇する方法(特許文献2参照)、臭気を発生させる揮発性薬品で忌避させる方法(特許文献3参照)、鋭利な突起を回転させて撃退する方法(特許文献4参照)、高圧水を噴水して驚かせる方法(特許文献5参照)などがある。
【0003】
しかしながら、電気ショックの方法・鋭利な突起を回転させる方法・高圧水を噴水する方法は電源等の装置を必要としてコストがかかり、鳥を傷めることもある。目玉を模した器具で威嚇する方法は、時間の経過とともに鳥が慣れて効果に持続性がない。臭気を発生させる揮発性薬品で忌避させる方法は、効果を持続させるために定期的に交換する必要があってコストがかかり、人間にも悪影響を及ぼすことがある。
【特許文献1】特開2004−357520号公報
【特許文献2】特開2001−37403号公報
【特許文献3】特開平11−12105号公報
【特許文献4】特開平8−38020号公報
【特許文献5】実用新案登録第3016125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、鳥を傷めることなく鳥害を抑止し、しかも効果の持続性に優れる低コストの鳥忌避部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 平板状・長尺の板材状・シート状又はテープ状の部材表面に鳥が見て嫌がる忌避模様を形成した鳥忌避部材であって、鳥忌避部材の表面色を黄色系統色にし、縦長の所定幅の領域内にその所定幅とほぼ同じ振幅の仮想波線を位相が異なるように複数設け、各仮想波線上に黒色又は明度の低い色の暗点をその点径が連続的に変化するように配置したことを特徴とする、鳥忌避部材
2) 複数の仮想波線に沿って形成した模様を幅方向へ繰り返すように複列に形成した、前記1)記載の鳥忌避部材
3) 隣接する同径の暗点が縦方向の同じ列線上に配置されないようにずらして形成した、前記1)又は2)記載の鳥忌避部材
4) 部材が湾曲可能な弾性を有するシートである、前記1)〜3)いずれか記載の鳥忌避部材
5) 部材が円筒状に巻きぐせを付けたシートである、前記1)〜3)いずれか記載の鳥忌避部材
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、鳥の接近を抑止しようとする箇所に設置するだけで、鳥が接近して部材表面の忌避模様を見ると嫌がって近づかなくなり、糞害等の被害を低減できる。また、部材はそれを駆動させる電源等が一切不要であり、部材に直接触れても鳥を傷つけることがなく、人間にも影響はなく、忌避効果の持続性に優れるとともに低コストで実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では、様々な模様を検討して忌避効果を確認する実験を行った結果、本発明の忌避模様が鳥の抑止効果に最も優れていることを見出したものである。この忌避模様が鳥にとってどのように見えたり影響を与えているかは定かではないが、焦点が合い難い模様又は模様と色が天敵の動物の体の模様に近似する等の理由によるものと思われる。この鳥忌避部材は風などで揺動しなくても、定位置に固定するだけで効果が発揮される。
【0008】
その他、鳥の接近を検知できるセンサーと動物の泣き声等を再生できる再生装置を併設して忌避効果をより高めてもよく、模様の一部分に夜光塗料や蛍光塗料で表示したり発光装置で発光させるようにしてもよい。本発明でいう黄色系統色は金色も包含するものとする。以下、本発明の各実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1〜5に示す実施例1は、部材として湾曲可能な薄物の板材を用い、鉄道の駅の屋根のH鋼に取り付けた鳥忌避部材の例である。図1は実施例1の忌避模様の説明図、図2は実施例の忌避模様の拡大図、図3は実施例の仮想波線と暗点の説明図、図4は実施例1の鳥忌避部材の斜視図、図5は実施例1の鳥忌避部材の使用状態を示す説明図である。図中、1は鳥忌避部材、2は部材、2aは取付片、3は忌避模様、3aは下地、3bは仮想波線、3cは暗点、4はH鋼である。
【0010】
実施例1の鳥忌避部材1は、図4に示すように湾曲可能な弾性を示す薄物の長尺の板材からなる部材2の上面全面に忌避模様3を形成し、部材2の長手両側を上方へ折曲して取付片2aを形成している。忌避模様3は、図1〜3に示すように下地3aは黄色に形成し、黒色の暗点3cの縦の寸法は一定で、横の寸法は各仮想波線3bが交わる部分に向かって連続的に小さくなるように形成し、その複数の仮想波線3bに沿って形成した模様を横方向へ繰り返すように複列に形成している。この忌避模様3は、人間の目には暗点3cの横寸法が大きい部分(暗点3cが真円の部分)は膨らんで見え、横寸法が小さい部分(暗点3cが楕円の部分)は凹んで見えるように錯覚を起こす。
【0011】
図5に示すように、この鳥忌避部材1を駅の屋根を構成するH鋼4の平坦な部分に幅を合わせるように断面かまぼこ状に湾曲させ、その両側の取付片2aを図示しないネジやクリップ等で固定するか又は接着して取り付ける。飛来したハトがH鋼4に止まろうと接近して鳥忌避部材1を見ると、その忌避模様3を嫌がって近づかなくなり、駅の糞害等が低減される。
【実施例2】
【0012】
図6に示す実施例2は、部材として木製の平板を用いて建物の壁面に斜めに取り付けた鳥忌避部材の例である。図6は実施例2の鳥忌避部材の使用状態を示す説明図である。図中、5は建物、6は支持部材である。
【0013】
実施例2の鳥忌避部材1は、木製の平板からなる部材2の表面に実施例1と同じ忌避模様3を形成している。図6に示すように、住宅等の建物5の壁面に支持部材6を水平に取り付け、この支持部材6に鳥忌避部材1を斜めに取り付けている。飛来したハトが建物5に接近して鳥忌避部材1を見ると、その忌避模様3を嫌がって近づかなくなり、建物5の近辺の糞害等が低減される。その他、符号、構成、作用効果は実施例1と同じである。
【実施例3】
【0014】
図7に示す実施例3は、部材としてテープを用いて住宅のベランダに取り付けた鳥忌避部材の例である。図7は実施例3の鳥忌避部材の使用状態を示す説明図である。図中、7はベランダである。
【0015】
実施例3の鳥忌避部材1は、テープの表面に実施例1と同じ忌避模様3を形成している。図7に示すように、ベランダ7の手摺に鳥忌避部材1をやや弛ませるように取り付けている。手摺の上端に沿って取り付けてもよい。飛来したハトがベランダ7に止まろうと接近して鳥忌避部材1を見ると、その忌避模様3を嫌がって近づかなくなり、ベランダ7の糞害等が低減される。その他、符号、構成、作用効果は実施例1と同じである。
【実施例4】
【0016】
図8に示す実施例4は、部材としてテープを用いて田畑に立てた支柱に張架した鳥忌避部材の例である。図8は実施例4の鳥忌避部材の使用状態を示す説明図である。図中、8は支柱、9は作物である。
【0017】
実施例4の鳥忌避部材1は、テープの表面に実施例1と同じ忌避模様3を形成している。図8に示すように、田畑に立てた2本の竹製の支柱8に鳥忌避部材1を張架している。飛来したハトが田畑の作物9を狙って接近して鳥忌避部材1を見ると、その忌避模様3を嫌がって近づかなくなり、作物9の荒らしの被害が低減される。その他、符号、構成、作用効果は実施例1と同じである。
【実施例5】
【0018】
図9に示す実施例5は、部材としてテープを用いて住宅のベランダから吊下した鳥忌避部材の例である。図9は実施例5の鳥忌避部材の使用状態を示す説明図である。
【0019】
実施例5の鳥忌避部材1は、テープの表面に実施例1と同じ忌避模様3を形成している。図9に示すように、2階のベランダ7から3本の鳥忌避部材1を地面に達する長さに吊下している。飛来したハトがベランダ7や屋根、庭に止まろうと接近して鳥忌避部材1を見ると、その忌避模様3を嫌がって近づかなくなり、糞害や花壇の荒らし等の被害が低減される。その他、符号、構成、作用効果は実施例1と同じである。
【実施例6】
【0020】
図10に示す実施例6は、忌避模様が形成されたシートを円筒状に巻いて吹流しを形成した鳥忌避部材の例である。図10は実施例6の鳥忌避部材の説明図である。この鳥忌避部材1を例えば高速道路・空港・気象台などに取り付けると、忌避効果を発揮して糞害等を低減することができる。その他、符号、構成、作用効果は実施例1と同じである。
【実施例7】
【0021】
図11に示す実施例7は、忌避模様を形成したテープをパネルに吊下した鳥忌避部材の例である。図11は実施例7の鳥忌避部材の説明図である。図中、10はパネル、11はフックである。この鳥忌避部材1を住宅のベランダに引っ掛けて吊下すると、忌避効果を発揮して糞害等を低減することができる。その他、符号、構成、作用効果は実施例1と同じである。
【実施例8】
【0022】
図12に示す実施例8は、忌避模様が形成されたプラスチックシートを円筒状に巻きぐせを付けた鳥忌避部材の例である。図12は実施例8の鳥忌避部材の使用状態を示す説明図である。図中、12は配管である。この鳥忌避部材1を配管12に巻回して取り付けると、忌避効果を発揮して糞害等を低減することができる。その他、符号、構成、作用効果は実施例1と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の鳥忌避部材は、駅・住宅・バス停・公園等に設置して利用される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の忌避模様の説明図である。
【図2】実施例の忌避模様の拡大図である。
【図3】実施例の仮想波線と暗点の説明図である。
【図4】実施例1の鳥忌避部材の斜視図である。
【図5】実施例1の鳥忌避部材の使用状態を示す説明図である。
【図6】実施例2の鳥忌避部材の使用状態を示す説明図である。
【図7】実施例3の鳥忌避部材の使用状態を示す説明図である。
【図8】実施例4の鳥忌避部材の使用状態を示す説明図である。
【図9】実施例5の鳥忌避部材の使用状態を示す説明図である。
【図10】実施例6の鳥忌避部材の説明図である。
【図11】実施例7の鳥忌避部材の説明図である。
【図12】実施例8の鳥忌避部材の使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 鳥忌避部材
2 部材
2a 取付片
3 忌避模様
3a 下地
3b 仮想波線
3c 暗点
4 H鋼
5 建物
6 支持部材
7 ベランダ
8 支柱
9 作物
10 パネル
11 フック
12 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状・長尺の板材状・シート状又はテープ状の部材表面に鳥が見て嫌がる忌避模様を形成した鳥忌避部材であって、鳥忌避部材の表面色を黄色系統色にし、縦長の所定幅の領域内にその所定幅とほぼ同じ振幅の仮想波線を位相が異なるように複数設け、各仮想波線上に黒色又は明度の低い色の暗点をその点径が連続的に変化するように配置したことを特徴とする、鳥忌避部材。
【請求項2】
複数の仮想波線に沿って形成した模様を幅方向へ繰り返すように複列に形成した、請求項1記載の鳥忌避部材。
【請求項3】
隣接する同径の暗点が縦方向の同じ列線上に配置されないようにずらして形成した、請求項1又は2記載の鳥忌避部材。
【請求項4】
部材が湾曲可能な弾性を有するシートである、請求項1〜3いずれか記載の鳥忌避部材。
【請求項5】
部材が円筒状に巻きぐせを付けたシートである、請求項1〜3いずれか記載の鳥忌避部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−89645(P2009−89645A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262785(P2007−262785)
【出願日】平成19年10月6日(2007.10.6)
【出願人】(303044365)有限会社ウィングヤマグチ (2)
【出願人】(304042799)
【Fターム(参考)】