説明

鳩除け装置

【課題】従来品は磁石で有効範囲が狭いもの、風の時だけ音を出すもの、構造が大掛かりなもの、美観を損なうものであった。
【解決手段】複数の板材1をとめたバネ剛性を有する線材2の一端を加振装置3の振動部分4に接続し、1箇所の加振装置3から複数の板材1に振動を伝え、振動の種類を変えながら、広い範囲で鳩の忌避する振動を伝える鳩除け装置。
【発明の効果】広い範囲におよび、装置が簡便で、また美観を損なわずに、鳩の慣れに対応して永続的に有効であるという効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の板材と、バネ剛性を有する線材と、これに繋いだ振動装置を有し、広範囲に、強制的かつ持続的に、変更可能な音を発する鳩除け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(イ)従来、テグスなどの糸を張って、これに光を反射する短冊状のシート材を多数吊り下げて鳩の侵入を防止しようとするものがあった。
(ロ)また、ベランダの手摺や駅や倉庫の庇の梁に針を並べて鳩がとまれないようにしたものがあった。
(ハ)また、家庭にあってポリエチレンの袋を膨らませてベランダにくくりつけて鳩の侵入を防止しようとするものがあった。
(ニ)また、鳩が忌避する磁石をベランダの手摺に付けて鳩を寄せ付けないようにするものがあった。
(ホ)また、風船に目玉を描いたり、蛇の形を作って鳩を驚かせるのだとするものがあった。
(ヘ)また、ベランダの手摺にブラケットを設けて糸を張り鳩が手摺につかまれないようにして侵入を防ぎ、重りで糸を張って風によるうなりの効果を期待するものがあった。(下記特許文献1参照)
(ト)また、各種センサーを用いて自動で開閉するカーテンを設け、進入したものの種類に応じて駆除する装置を設けたものがあった。(下記特許文献2参照)
(チ)また、アンテナで超音波または複合電波を放射するものがあった。(下記特許文献3参照)
(リ)また、ベランダの手摺に溝を設けてここに平行した金属電導材を絶縁材によって固定し、これに通ずる振動発信機を設けたものがあった。(下記特許文献4参照)
また、人が出入りする出入り口の上部庇に空気を噴出すノズルを設け圧縮空気を噴き出して鳩を撃退するものがあった。(下記特許文献5参照)
【0003】
【特許文献1】特開2005−296336
【特許文献2】特開2004−008189
【特許文献3】特開2002−078442
【特許文献4】特開平11−289959
【特許文献5】特開平07−274799
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に述べた従来のものには次のような欠点があった。
(a)テグスなどの糸を張ってこれに光を反射する短冊状のシート材を多数吊り下げて鳩の侵入を防止しようとするものにあっては、鳩が地上を歩いて進入するには防止効果が無いという欠点があった。
(b)ベランダの手摺や駅や倉庫の庇の梁に針を並べて鳩がとまれないようにしたものにあっては見栄えが悪く多くの材料や手間を要するものであるという欠点があった。
(c)家庭にあってポリエチレンの袋を膨らませてベランダにくくりつけて鳩の侵入を防止しようとするものにあっては見栄えが悪く、効果が薄いという欠点があった。
(d)鳩が忌避する磁石をベランダの手摺に付けて鳩を寄せ付けないようにするものにあっては、鳩が手摺に止まらずに滑空して降りる習性を学習するので効果が薄いという欠点があった。
(e)風船に目玉を描いたり、蛇の形を作って鳩を驚かせるのだとするものにあっては、人の感覚と鳩の感覚が同じではなく効果が認められないという欠点があった。
(f)特許文献1のものにあっては、見栄えが悪く邪魔になるという欠点があった。
(g)特許文献2のものにあっては装置が高価過ぎるという欠点があった。
(h)特許文献3のものにあっては出力レベルが低いと効果が少なく出力レベルが高いと超音波が耳に聞こえなくても人の心理状態にマイナスの影響を及ぼす恐れがあるという欠点があった。
(i)特許文献4のものにあっては建物の設備を大掛かりに変更しなければならないという欠点があった。
(j)特許文献5のものにあっては空気の及ぶ範囲が短いために大きな出力を必要とするという欠点があった。
【0005】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題や欠点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、複数の板材1を留めたばね剛性を有する線材2を設け、ばね剛性を有する線材2の一端を、加振装置3の振動部分4に接続したことを特徴とする鳩除け装置とした。
また、請求項2の発明では、前記振動部分4の振動の種類を変更可能な構成としたことを特徴とし、変更の手段は、各種振動元を差し替え可能にしたものでも良く、あらかじめ装置に設けてある鳩が忌避する振動のシリーズの中から切り替え用のボタン6で選択して変更できるものでも良く、各種の変更可能な手段を用いて、振動の種類を変更できることを特徴とする請求項1記載の鳩除け装置とした。
また、請求項3の発明では、前記板材1を指で折り曲げ可能な厚みとし、かつ、ばね剛性を有する線材2を貫通させる2個の穴を設けたことを特徴とする請求項1記載の鳩除け装置とした。
また、請求項4の発明では、前記バネ剛性を有する線材2を設置対象物、たとえばベランダの庇9の両側に下がった物干し用の金具棒10に、竿とほぼ並行して保持するスプリング5等の保持材を有し、または、ベランダの前縁、手摺13の下側床面12に置かれた保持材である錘にスプリング5を用いて前記板材1を保持し、前記板材1が床面で振動してその振動を床面12や手摺13に伝え、鳩が床面からの音に敏感な特性に対応したことを特徴とする請求項1記載の鳩除け装置とした。
【発明の効果】
【0007】
糸を張って反射する材料を吊るしたもののように上方だけでなく、広い範囲におよび、地面を移動する鳩にも有効であるという効果がある。
【0008】
また、針を並べた鳩除けのように材料や手間がかるものではなく、装置が簡便で、購入して持ち帰り家庭で設置できる程度の手間で済むという効果がある。
【0009】
また、ポリエチレンの袋をくくりつけたような、美観を損なうものでないという効果がある。
【0010】
また、鳩が忌避する磁石を使ったもののように、有効な範囲が狭いものではなく、広範囲を鳩の侵入から守るという効果がある。
【0011】
また、人の視覚や感じで造ったもののように、鳩の受け取り方に疑問を残すものではなく、即効性が目視でき、実感できるものであるという効果がある。
【0012】
また、風によるうなりや、鳴子で驚かせるもののように、無風の時は休むようなものではなく強制的かつ、持続的に音を発するという効果がある。
【0013】
アンテナから音波や複合電波を発するもののように、音も耳障りではなく、強さによっては弊害を生じる恐れがあるものではないという効果がある。
【0014】
ベランダの手すりを改造するというような大掛かりな工事を必要としないうえに、邪魔にならず、また美観を損なわないという効果がある。
【0015】
鳩の慣れに対応して音を変化させ、永続的に有効であるという効果がある。
【0016】
空気で鳩を撃退するもののように大きな出力を必要とするものではないという効果がある。
【0017】
ばね剛性を有する線材を使っているために、それ自体の剛性で振動を伝え、設置対象物に保持するスプリング等の保持材も、たとえば糸電話の糸を引き張るように強く引く必要はなく、前記線材は曲がったり、半円形を描いても良いために発振機を雨にぬれない壁面に設置するなど、設置位置の自由度が高くなり、応用箇所が広く選べるという効果がある。
【0018】
発振機の振動を入れかえ変化させることで、鳩だけでなく、カラス、猫、鼠など小動物が人の居住範囲やゴミ捨て場などに侵入するのを防ぐという応用上の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明の実施の形態を図1〜図8に基づいて説明する。
【0020】
図1においては、複数の板材1を留めたばね剛性を有する線材2を設け、ばね剛性を有する線材2の一端を、加振装置3の振動部分4に接続し、1箇所の加振装置から複数の板材に振動を伝え、広い範囲に多数の板材から、強制的かつ、持続的に音を発する構造を示す。
【0021】
図2においては、前記振動部分4の振動の種類を、変更可能な構成とし、振動の種類を変えながら鳩の忌避する音を、鳩の慣れに対応して永続的に有効に働く構造を示す。なお図2では、振動の種類を変えるのに、あらかじめ装置に記憶させてある鳩が忌避する音のシリーズの中から、ボタン6の操作で選択して変更できるものを示しているが、振動の種類を変える手段はこれにこだわらない。
【0022】
図3においては、前記板材1を指で折り曲げ可能な厚みとし、かつ、ばね剛性を有する線材2を貫通させる2個の穴を設け、鳩が忌避する音が耳障りでなく、広い範囲におよび、扱いが簡便で、工具を必要とせず板材を摘まんで必要なところへ移動させ、放して固定させる前記板材の使用前の平面構造を示す。
【0023】
図4においては、前記板材の使用時の平面構造を示す。図4では板材は円形であるが形状はどのような形でも良い。また図4では平板であるが、曲げても復元する程度に浅くエンボスを設けて剛性をあげたものでも良い。材質はステンレスの弾性を有して指で容易に曲がって戻る程度の薄板でも良く、曲げ剛性が高い硬質の樹脂薄板でも良く材質は問わない。なお、この板材に光りを反射する印刷を施すとか、マスコット風の絵を印刷するとかの特徴を加えることもできる。
【0024】
図5においては、板材の使用時すなわち前記バネ剛性を有する線材が貫通したA−A線断面を示す。
【0025】
図6においては、前記バネ剛性を有する線材2を設置対象物、たとえばベランダの庇9の両側に下がった物干し用の金具棒10に、竿とほぼ並行して保持するためのスプリング5等の保持材を有し、美観を損なわない構造を示している。なお加振装置3はアンテナ用の穴など電源7の取れる側の壁面11などに設置して稼動させても良く。電源7は家庭電源でなく、充電式でも、電池でも、太陽光発電装置でも良い。
【0026】
図7においては、バネ剛性を有する線材2を曲げて使用し、雨から加振装置3を守る状態を示している。
【0027】
図8においては、駅では人を鳩の糞から守り、トラックの荷扱いのプラットホームでは商品を、鳩の糞から守るために、庇の梁15に設置した例を示していて、一つの発振機3で長い庇の梁15の1本を、そっくりカバーできるという、多数の板材1と長いバネ剛性を有する線材2の組み合わせの構造例を示している。この場合板材1にバネ剛性を有する線材2を貫通させる2個の穴8以外に、梁の内面に接して板材をスプリング5で保持するための吊るし穴14を追加することができる。
【0028】
以下、上記構成の動作を説明する。
図1を例にとれば、複数の板材1を留めたバネ剛性を有する線材2の一端を加振装置3の振動部分4に接続し、1箇所の加振装置3から複数の板材1に振動を伝え、振動の種類を変えながら、広い範囲で鳩の忌避する音を発生させる。
図2を例にとれば、前記振動部分4の振動の種類を変更可能な構成としたことから、鳩が馴れた様子ならば前記の方法で、次の音に切り替えて観察しながら一番効果のある音を選択する。
【0029】
図3、図4および図5を例にとれば前記板材1を止め螺子等の無い、軽く簡便で扱いやすく、振動が空気や鳩が降りる床面12などに伝わりやすい構造としたことから、ばね剛性を有する線材2から前記板材1に振動が伝わりやすく、板材1が軽いために振動が減衰しにくく、空気中に音として有効に振動を伝え、また、鳩が降りる床面12等に接した場合については、前記板材が周縁部で軽く接しながら鳩の足元に音振動を伝える形で、広い範囲をカバーする。
【0030】
図6および図7を例にとれば、簡単な構造であるから、ベランダなどに、誰にでも設置できて、ばね剛性を有する線材であるために発振装置3を付ける位置が制約を受けずに取り付けられ、発振装置3を雨が直接当たりにくく、かつ取り付けやすい壁面11に固定して、そこまでばね剛性を有する線材2を曲げて繋ぐことを可能にする。床面12の前縁に保持部材の錘16にスプリング5を介して保持し、設置した様子を示すために、図7では手摺13は点線で表している。
【0031】
図8を例にとれば駅やトラックの荷扱いの場での鳩の糞の悩みも板材1をスプリング5を介して保持部材のクリップ17で吊るすだけであるから休日程度の簡便な工事で解決し梁15の鋼材に音が伝わりやすく有効である。またこれを平面に広げれば、畑に豆などをまいた後の芽を鳩に食われる予防をする。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば廉価簡便高性能の鳩除け装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】 本発明の実施形態を示す鳩除け装置の構成図
【図2】 同発振装置の側面図
【図3】 同板材の単体平面図
【図4】 同板材の使用時の平面図
【図5】 同板材のA−A線断面図
【図6】 同鳩除け装置のベランダへの設置状況側面図
【図7】 同バネ剛性を有する線材の施行状況の斜視図
【図8】 同庇の梁への施行状況の側面図
【符号の説明】
【0034】
1 板材
2 ばね剛性を有する線材
3 加振装置
4 振動部分
5 スプリング
6 ボタン
7 電源
8 穴
9 庇
10 金具棒
11 壁面
12 床面
13 手摺
14 吊るし穴
15 梁
16 保持部材の錘
17 保持部材のクリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板材1を留めたばね剛性を有する線材2を設け、ばね剛性を有する線材2の一端を、加振装置3の振動部分4に接続したことを特徴とする鳩除け装置。
【請求項2】
前記振動部分4の振動の種類を変更可能な構成としたことを特徴とする請求項1記載の鳩除け装置。
【請求項3】
前記板材1を指で折り曲げ可能な厚みとし、かつ、ばね剛性を有する線材2を貫通させる2個の穴を設けたことを特徴とする請求項1記載の鳩除け装置。
【請求項4】
前記バネ剛性を有する線材2を設置対象物に保持するスプリング5等の保持材を有したことを特徴とする請求項1記載の鳩除け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−289134(P2007−289134A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142060(P2006−142060)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(398001920)有限会社メイアイ (5)
【Fターム(参考)】