説明

鶏卵包装体と鶏卵包装方法

【課題】 宣伝事項その他の各種必要事項を印刷した印刷体を、容器から剥離する操作を全く必要とすることなく、これらの印刷体や紙片の付着しない使用済み容器を資源として再利用することができ、市場における展示状態において、容器内に収容された鶏卵のサイズを誤りなく確実に選定できる利点を備えた鶏卵包装体と、その包装方法の提供。
【解決手段】 鶏卵全体をすっぽりと収容するに足る深さと、鶏卵を個々に収容する個別凹部11を備えた容器本体1を主体容器とする樹脂シート製の鶏卵包装用容器Cであって、該容器本体1における前記個別凹部11に鶏卵が収容された状態で、その開口部12が開口状態のままか、適宜の蓋体6で閉塞された閉蓋状態で、収容鶏卵Eのサイズを表示するサイズ識別表示色に彩色された内部透視可能な可撓性のある薄いフィルム4でその外周面を、簀巻き状、または全周面包装状に覆って包装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏卵包装用容器の容器本体に形成してある鶏卵収容凹部に、鶏卵を4個なり6個なり10個なり、或いは15個なり20個なり、その他所要個数を収容させて包装してある鶏卵包装体と、このような鶏卵包装体を形成する鶏卵包装方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、これらの鶏卵包装用の容器は、主としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のシート素材を使用して、周知の圧空成形手段や真空成形手段等の加熱膨出成形手段により成形された鶏卵包装用容器を用いて、その容器内に鶏卵を収容させ適宜の手段で封緘した後販売に供されていることは広く一般に知られている。
【0003】
また、この種の鶏卵包装用容器にあっては、容器本体とその上面を覆う蓋体とが折り曲げ部を介して一体的に形成されていて、容器本体に対し蓋体を折り曲げ部から折り曲げて容器本体上に重ね合わせて鶏卵の上方を覆わせる方式のものが多く使われており、他に、容器本体と蓋体とが別々に形成されていて、容器本体上に蓋体を重ね合わせて鶏卵の上方を覆わせる方式のものや、容器本体の深さを鶏卵全体をすっぽりと収容するに足る深さとし、その上部開口端をフィルムで熱シールしたり、蓋体で閉塞する方式としたもの等がある。これらのものについても一般に周知されている。本発明が対象とする容器は、後者の容器本体の深さを鶏卵全体をすっぽりと収容するに足る深さとした容器である。
【0004】
而して、これらの鶏卵包装用容器の封緘手段としては、前者の容器本体と蓋体とが一体的に形成されている容器の場合は、遊端側に突出形成させてある重ね合わせ接合縁をスポット加熱溶着するとか、同重ね合わせ接合縁の外周面に、片面に接着剤を塗布した粘着テープを側面視横U字形に折り曲げて接着させるとか、この重ね合わせ接合縁をステープラー止めとかスポット加熱溶着とかによって封緘するという手段が採られており、また、後者の容器本体と蓋体とを別々に形成させてある容器にあっては、四周に突出形成させた重ね合わせ接合縁をスポット加熱溶着とか、ステープラー止めとかの手段で封緘されている。
【0005】
また、前記容器本体と蓋体とが一体的に形成されている容器にあって、遊端側の重ね合わせ接合縁をスポット加熱溶着とか、ステープラー止めとかの手段によって封緘する手段が採られている容器の開封手段としては、折り曲げ部に2列のミシン目を形成しておいてそのミシン目間を引きちぎることによって開封するとか、この折り曲げ部に予め設けてある切断用糸または切断用紐を引っ張ることによって切断開封するという開封手段が採られている。
【0006】
他方、この種の鶏卵包装用容器にあっては、参考までに示した図10のように、多くの場合、蓋体2の天板2Aの外表面に形成した広い面積のラベル貼付面を利用して、鶏卵の商品名や商品の写真図形、生産者、生産日または賞味期限その他の宣伝事項や必要事項を印刷したラベル紙05(文字や図形は省略)を、予め背面側に塗布させてある接着剤によって接着させている。これらのことについても一般に周知されている。このラベル紙05の剥離を容易にするための一つの手段についても本出願人は既に提案済みであって、公知になっている。(特許文献1)
【0007】
これらの鶏卵包装用容器に鶏卵を内装し封緘して市場に出荷される。この市場への流通期間内に、或いは購買者が購入した後の開封時期までに、容器の重ね合わせ接合縁間の小さな空間を通じて蠅や小さな虫が容器内に入り込むことがあり、購買者による容器の開封時に生きた虫やその死骸が出てきて多大な不快感と不衛生感を与えることがあった。そこで、このような事態の発生を根本的に解決する手段として、容器の凹部の外周縁部分と周縁接合縁の基部との境界部分に、全周にわたって互いに嵌合する凸リブとリブ受け凹部を形成して防虫することと、同時に、容器内を密閉状態とすることによって外部との空気移動を阻止することによって、生卵の鮮度保持をさせるという画期的な鶏卵容器をも開発した。このことも公知になっている。(特許文献2)
【0008】
本発明にいうところの鶏卵は、自然物であるのでそのサイズや重さには種々のものがある。そのため、市場における展示姿勢において購買者が識別し易いように、内装鶏卵のサイズ毎に色分けした表示をすることが提案されている。例えば、容器本体と蓋体との折り曲げ連結部の長手方向に沿って形成した切断開封用の2条のミシン目間にサイズ識別用の色彩を印刷したものが提案されているが、その色彩を確認するには、色彩が印刷された折り曲げ連結部を見なければならず、反対側からは確認できないという課題がある。そのため、どの角度から見ても鶏卵のサイズ確認が容易にできるサイズ識別用色彩表示を容器に施してある鶏卵包装体についても、本出願人は先に提案済みであり、既に公知になっている。(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−75182号公報
【特許文献2】特開2002−179171号公報
【特許文献3】特開2004−291981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
然るところ、上記のような各種の封緘手段やラベル紙の接着手段を用いた現行形態の鶏卵内装包装体にあっては、それぞれの容器の封緘手段を解いて容器を開封し、内部の収容鶏卵を取り出して使用した後、不要となった容器の廃棄に当たって、蓋体の外表面に接着されている前記のラベル紙を丁寧に剥離して、燃えるゴミとしてのラベル紙とリサイクル再生素材としての樹脂容器とを分離分別して廃棄するのが原則となっている。しかしながら、接着剤によって接着されたラベル紙は完全に剥離することが極めて面倒で手間がかかることから、ラベル紙が剥がされることなく、または充分には剥がされることなく、ラベル紙の全部または一部が付着したままの状態で廃棄されることが多い。このことは、廃棄された容器を資源の有効利用の観点から回収して再利用資源として有効利用するのには適さないのが現状である。
【0011】
ここにいう回収されたラベル付着状態の廃棄容器が、再利用資源として適さないことの主要な理由の一つが、例えばPET樹脂素材とは全く異質の紙素材で形成されたラベル紙が容器に付着したままであるため、純度の高いPET樹脂の再生素材を得ることが困難であるという点にある。また、廃棄容器の回収後に、回収容器からラベル紙をほぼ完全に取り除くには、多大な人手と手間を要することとなり、経済性の観点からもその解決が望まれている。
【0012】
他方、容器本体内に収容されている鶏卵のサイズが外部から容易に確認できることは、購買者にとって必要なことであり、そのとき識別箇所が特定された部分的箇所ではなく、どの角度から見ても瞬時に識別確認できることが望ましい。
【0013】
そこで、本発明は、このような観点から、最も難点である容器の廃棄時に樹脂容器からラベル紙を確実に剥離して廃棄するという動作の必要性そのものを根本的に解消し、かつ不用なものとし、容器の廃棄時には容器それ自体を、ラベル紙剥離操作のような作業やそれに類する一切の作業を必要とすることなく、再資源素材としてそのまま廃棄すればよいようにしてあることと、同時に、市場における展示姿勢で内装鶏卵のサイズ確認がどの角度、どの方向からでも容易に識別確認できるようにした鶏卵包装体とその包装方法とをここに提供するものである。
【0014】
換言すると、鶏卵の販売に必要な宣伝事項その他の各種必要事項を印刷した印刷体を、容器とは非接着状態のものとしてあり、容器との分離が自然にできる形態のものとしておくことによって、容器からの鶏卵取り出し当初に、印刷体の包装が自然に解除され容器と分離して廃棄することができるようにし、容器からの鶏卵の全てを取り出し使用後に、または取り出し別置き後に、何等の手間もかけることなく、不用物の付着していない状態で容器のみを分別廃棄することができ、資源としての再利用を確実に図ることができるようにしたものでありながら、展示時には内装鶏卵のサイズを誤りなく確実に識別できるようにしてある鶏卵包装体と、その包装方法とを開発することができたのでここに提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
該目的を達成するために講じた本発明にかかる鶏卵包装体の請求項1に記載の構成を実施例説明に用いた符号を用いて説明すると、鶏卵全体をすっぽりと収容するに足る深さと、鶏卵を個々に収容する個別凹部11を備えた容器本体1を主体容器とする樹脂シート製の鶏卵包装用容器Cであって、該容器本体1における前記個別凹部11に鶏卵が収容された状態で、その開口部12が開口状態のままか、適宜の蓋体6で閉塞された閉蓋状態で、収容鶏卵Eのサイズを表示するサイズ識別表示色に、鶏卵サイズがLLの場合は赤色に、Lの場合は橙色に、Mの場合は緑色に、MSの場合は青色に、Sの場合は紫色に、SSの場合は茶色に彩色された内部透視可能な可撓性のある薄いフィルム4で、その外周面が、簀巻き状、または全周面包装状に覆われて包装されている構成としたものである。
【0016】
請求項2に記載の構成は、請求項1に記載の内部透視可能な可撓性のある薄いフィルム4を、鶏卵サイズがLLの場合は赤色に、Lの場合は橙色に、Mの場合は緑色に、MSの場合は青色に、Sの場合は紫色に、SSの場合は茶色に彩色されたラップフィルムであることとしたものである。ここにいうところの内部透視可能な可撓性のある薄いフィルム4とは、通常一般に知られているラップフィルム素材が好ましい。この薄いフィルム4には、予め必要な図柄や商標や生産者表示やその他各種の鶏卵情報等を印刷してあるものとして使用するのが好ましい。バーコードのような、変形することが好ましくない印刷部分は、鶏卵容器の上面に位置するように配置印刷しておくことが好ましい。また、印刷面はフィルム4の背面側に正背逆形に印刷しておき表面から正常に視認できるようにしておくことによって、印刷面に手や他物が直接触れないようにしておくと、印刷図形等の損傷を防止できる点で好ましい。しかしながら、フィルム4の表面側に印刷面を形成してあるものとしても当然使用可能である。
【0017】
また、請求項3に記載の鶏卵包装方法の構成は、鶏卵全体をすっぽりと収容するに足る深さと、鶏卵を個々に収容する個別凹部11を備えた容器本体1を主体容器とする樹脂シート製の鶏卵包装用容器Cであって、該容器本体1に形成された鶏卵収容用個別凹部11のそれぞれに鶏卵を収容した後、その上面を開口状態のままとするか、適宜の蓋体6で閉塞してある状態として、その外周面を、収容鶏卵Eのサイズを表示するサイズ識別表示色に、鶏卵サイズがLLの場合は赤色に、Lの場合は橙色に、Mの場合は緑色に、MSの場合は青色に、Sの場合は紫色に、SSの場合は茶色に彩色した内部透視可能な可撓性のある薄いフィルム4によって、簀巻き状に包装するか、全周面包装状に包装するかの何れかの手段で包装する方法としたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明にいうところの鶏卵包装体は、上記の各構成としたものであって、容器本体の個々の鶏卵収容凹部に鶏卵を収容し、その上面を蓋体で覆って閉蓋状態とし、場合によっては閉蓋状態とすることなく開口状態のままとした鶏卵内装容器を、収容鶏卵のサイズを表示するサイズ識別表示色に、鶏卵サイズがLLの場合は赤色に、Lの場合は橙色に、Mの場合は緑色に、MSの場合は青色に、Sの場合は紫色に、SSの場合は茶色に彩色された内部透視可能な可撓性のある薄いフィルムで、その外周面を簀巻き状とするか全周面包装状に覆って包み込んで封緘したものとしたので、長年にわたって行われてきた鶏卵包装用容器そのものに粘着材塗布ラベルを貼着し、粘着テープやスポット溶着その他各種の接合手段によって接合縁を封緘する現行の包装手段とは全く異なり、容器内の鶏卵を取り出す前に、薄いフィルムの包装を開いてまたは破って、フィルムは燃えるゴミとしてそのまま廃棄し、容器内の鶏卵を個々に取り出して使用するか、冷蔵庫内等の所要箇所に取り出して別置き収納するかして、鶏卵全部を使用した後か取り出した後には、ラベル紙剥離のような手数を全くかけることなく、異物の付着していない容器をそのまま直ちに再生使用可能素材として廃棄することができる。このようにして廃棄された容器は、異物が付着していないので再生用素材としてそのまま使用することができるという顕著な効果を有するに至ったのである。
【0019】
他方において、本発明にいうところの鶏卵包装体は、鶏卵内装容器を、収容鶏卵のサイズを表示するサイズ識別表示色に彩色した内部透視可能な可撓性のある薄いフィルムによって包み込んであるので、市場における展示状態において、内装鶏卵のサイズ確認がどの角度、どの方向からでも、多少離れた箇所からでも、容易確実に誤りなく識別できる効果をも同時に備えており、また、その包装形態として、容器の外周面を簀巻き状とするか全周面包装状に覆って包み込んだ包装状態としてあることによって、包装フィルムが薄いフィルムであっても容器の補強体としての作用を果たさせることができ、鶏卵容器そのものの素材を薄い素材で形成することも可能となるという利点も期待することができるに至ったのである。
【0020】
請求項3に記載の鶏卵包装体の製造方法にあっては、鶏卵を収容させた鶏卵内装容器を対象として、旧来からの各種の封緘手段に代えて、その外周面を、収容鶏卵のサイズを表示するサイズ識別表示色に彩色した内部透視可能な可撓性のある薄いフィルムによって、簀巻き状に包装するか、全周面包装状に包装するかの何れかの手段で包装することによって、前記のような多数の利点を有する鶏卵包装体を効率よく生産することができるという効果を有するのである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施例の容器を示す平面図。
【図2】同容器の包装前の状態を示す側面図。
【図3】同容器の包装完了状態を示す側面図。
【図4】同容器の包装完了状態を示す正面図。
【図5】第2実施例の容器の包装手段を説明する側面図。
【図6】第3実施例の容器を示す開蓋状態の斜視図。
【図7】同容器用の蓋体を示す斜視図。
【図8】同容器の閉蓋状態を示す斜視図。
【図9】同容器の包装完了状態を示す正面図。
【図10】従来容器を説明する閉蓋状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以上説明したように、多数の利点を有する鶏卵包装体とその製造方法について、その実施例を別紙の図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例】
【0023】
図1乃至図4は本発明の第1実施例を説明する鶏卵包装用容器とその包装体について示したもので、図1は閉蓋状態とした鶏卵内装容器に対する包装体との関係を示した平面図、図2は同容器の平面形状と包装体との関係を示した側面図、図3は同容器の包装完了状態を示した側面図、図4は同容器の包装完了状態を示した正面図である。
【0024】
該第1実施例に示した鶏卵包装用容器Cそれ自体は、図1の包装用フィルム4の下側に示した容器本体1に概要が認められるように、鶏卵収容用の個別凹部11,11…を、前後2列、横方向3個宛、合計6個の鶏卵を個別に収容させるようにした容器である。言うまでもなく、この鶏卵収容用の個別凹部11の数は、図示のものに限定されるものではない。而して、該第1実施例に示した鶏卵包装用容器Cは、容器本体1の深さを図2乃至図4のそれぞれに鎖線で示したように、鶏卵Eの上下方向全体がすっぽりと入る深さに形成したものである。
【0025】
この容器本体1に形成された各個別凹部11、11…に、図2他にみられるように、鶏卵をそれぞれの個別凹部11に収容した後、容器本体1の上面開口部14を開口状態としたまま、この開口部14の上面全体と容器本体1の外周面全面とを、容器内に収容した鶏卵のサイズを表示するサイズ識別表示色に彩色した内部透視可能な彩色フィルム4を用いて包装する。この包装手段の場合、通常市販の8μm程度のフィルムよりも厚手の、例えば12μmとか16μm程度のフィルムを用いるのが好ましい。
【0026】
この鶏卵内装容器を包み込む彩色フィルム4の大きさは、図1,図2に示したように鶏卵内装容器の平面形状よりも広幅で長さも長いものを使用する。より詳しくは、容器の幅方向(図1における上下方向)の長さは、容器外周面長さの1.2〜1.4倍程度の長さとし、容器の長さ方向(図1における左右方向)の長さは、容器の長さ+深さの2倍程度の長さのものとする。
【0027】
このような面積をもった彩色フィルム4を、図1,2のように容器の上方に配置し、先ず容器の長さ方向の一辺4aと他辺4bとをそれぞれ下方に降下させて容器の下方に巻き込んで、図3のように容器底の外面で重ね合わせて接着させる。続いて残された長辺側の両端部4c,4dを、図4のように容器の上下方向のほぼ中間位置で一旦ほぼ平坦状態に重ね合わせて互いに接着させ、同時にその平坦状態とした重ね合わせ部分4e,4fを下方に向けて折り曲げ容器の側面に当て付けて接当した面のフィルムと接着させる。このようにして彩色フィルム4で鶏卵内装容器の全面を覆って密閉包装した鶏卵包装体を得る。
【0028】
このようにして、鶏卵を収容させて閉蓋した鶏卵内装容器を包み込む包装体としては、一般家庭でも使用されているポリエチレン製ラップフィルムのような8μm程度の薄膜状のフィルム素材を使用する。ただし、本発明で使用する包装用フィルム4は、容器内に収容した鶏卵のサイズを表示するサイズ識別表示色に、鶏卵サイズがLLの場合は赤色に、Lの場合は橙色に、Mの場合は緑色に、MSの場合は青色に、Sの場合は紫色に、SSの場合は茶色に彩色した内部透視可能なフィルムを使用する。
【0029】
ここにいうところのサイズ識別表示色とは、農林規格として決められている次の規格表に基づいた色である。
【0030】
【表1】

【0031】
このサイズ識別表示色は、内装鶏卵の個々には大小があっても、鶏卵10個換算したときの重量によって、同表の10ケパック平均重量にみられる重量に相当する鶏卵が内装されていることを示す色である。
【0032】
図5は第2実施例を示した図である。該実施例に示した鶏卵包装用容器Cを構成する容器本体1にあっても、前記第1実施例の容器本体1と同様に、鶏卵Eの上下方向全体をすっぽりと入り込ませる深さに形成したものであり、容器本体1に形成されている各個別凹部11、11…に、鶏卵をそれぞれ収容した後、容器本体1の上面開口部14に嵌り込む大きさに形成した厚紙製の板状蓋6を嵌め込み嵌合させるなり、極く浅い皿形に成形した樹脂シート蓋6を外嵌嵌合させるなりして、この蓋6の上面全体と容器本体1の外周面全面とを包み込むのに足る面積をもった、前記第1実施例と同様の、容器内に収容した鶏卵のサイズを表示するサイズ識別表示色に彩色した内部透視可能な彩色フィルム4を用いて密封包装するようにしたものである。
【0033】
図6乃至図9は第3実施例を示した図である。該実施例に示した鶏卵包装用容器Cを構成する容器本体1にあっても、前記第1実施例や第2実施例の容器本体1と同様に、鶏卵Eの上下方向全体をすっぽりと入り込ませる深さに形成したものであり、容器本体1に中央部に1個、周囲に5個、合計6個の個別凹部11を形成した容器であって、これらの各個別凹部11、11…に、鶏卵をそれぞれ収容した後、図7のように、容器本体1の上面開口部14に嵌り込む大きさの円形に形成した厚紙製の板状蓋6を図8のように、嵌め込み嵌合させる。この板状蓋6には、指先差込み用の小孔6aが形成されていて、容器本体1への嵌合や取り外しが容易にできるようにしてある。また、この小孔6aは、内部の鶏卵を上部から確認するのにも利用できる孔である。しかる後、前記各実施例の場合と同様に、この蓋6の上面全体と容器本体1の外周面全面とを包み込むのに足る面積をもった、容器内への収容鶏卵のサイズを表示するサイズ識別表示色に彩色した内部透視可能な彩色フィルム4を用いて密封包装するようにしたものである。
【0034】
他の実施例としては、図示は省略するが、以上において説明した彩色フィルム4に宣伝事項や生産者やその他の所要事項を直接印刷したものの場合を除き、これらの所要事項を印刷した印刷ラベル等を容器の上部に入れ込んだ後に、彩色フィルム4で包装することによって、彩色フィルム4を透して印刷ラベル等を外部から見ることができる包装形態とすることである。本発明の実施は、このようにしたものをも含むものである。
【0035】
以上において本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明にいうところの包装形態並びに彩色フィルム4の素材と厚さについては、適宜に選択選定して使用することができるものであって、特定の素材のみや特定の厚さのもののみに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明にいう鶏卵包装体は、容器の廃棄に当たっては、ラベル除去のような手数を全く必要とすることなく、使用開始時に、容器から包装フィルムの包装を解いて分離するものであるから、使用済み容器は紙片の全く付着していない状態で再生素材として廃棄でき、地球に優しく資源保護につながる利点があり、同時に、市場における展示状態において、内装鶏卵のサイズ確認が誤りなく確実に選定できるので、直ちに市場に受け入れられて普及するものと期待される。
【符号の説明】
【0037】
1 容器本体
11 個別凹部
12 開口部
4 フィルム
6 蓋体
C 鶏卵包装用容器
E 鶏卵


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏卵全体をすっぽりと収容するに足る深さと、鶏卵を個々に収容する個別凹部(11)を備えた容器本体(1)を主体容器とする樹脂シート製の鶏卵包装用容器(C)であって、該容器本体(1)における前記個別凹部(11)に鶏卵が収容された状態で、その開口部(12)が開口状態のままか、適宜の蓋体(6)で閉塞された閉蓋状態で、収容鶏卵(E)のサイズを表示するサイズ識別表示色に、鶏卵サイズがLLの場合は赤色に、Lの場合は橙色に、Mの場合は緑色に、MSの場合は青色に、Sの場合は紫色に、SSの場合は茶色に彩色された内部透視可能な可撓性のある薄いフィルム(4)で、その外周面が、簀巻き状、または全周面包装状に覆われて包装されている鶏卵包装体。
【請求項2】
内部透視可能な可撓性のある薄いフィルム(4)が、鶏卵サイズがLLの場合は赤色に、Lの場合は橙色に、Mの場合は緑色に、MSの場合は青色に、Sの場合は紫色に、SSの場合は茶色に彩色されたラップフィルムである請求項1に記載の鶏卵包装体。
【請求項3】
鶏卵全体をすっぽりと収容するに足る深さと、鶏卵を個々に収容する個別凹部(11)を備えた容器本体(1)を主体容器とする樹脂シート製の鶏卵包装用容器(C)であって、該容器本体(1)に形成された鶏卵収容用個別凹部(11)のそれぞれに鶏卵を収容した後、その上面を開口状態のままとするか、適宜の蓋体(6)で閉塞してある状態として、その外周面を、収容鶏卵(E)のサイズを表示するサイズ識別表示色に、鶏卵サイズがLLの場合は赤色に、Lの場合は橙色に、Mの場合は緑色に、MSの場合は青色に、Sの場合は紫色に、SSの場合は茶色に彩色した内部透視可能な可撓性のある薄いフィルム(4)によって、簀巻き状に包装するか、全周面包装状に包装するかの何れかの手段で包装する鶏卵包装方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−68415(P2011−68415A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2798(P2011−2798)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【分割の表示】特願2006−206379(P2006−206379)の分割
【原出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(303055235)ダイヤフーズ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】