説明

鶏卵整列供給装置

【課題】鶏卵が受ける圧力を極力抑制し、鶏卵の破壊を防ぎ、過不足無く高速で自動鶏卵処理システムに供給する。
【解決手段】原卵コンベヤから受け取った鶏卵を自動鶏卵処理システムへ移し替える鶏卵整列供給装置において、鶏卵を複数列に区分けする手段を有し、鶏卵を搬送する無端コンベヤと無端コンベヤの表面に近接させて一定の間隔で取り付けた、狭い薄平板の送卵促進板が無端のコンベヤの表面を移動できる様に構成し、送卵促進板は無端コンベヤと異なる速度で移動でき、鶏卵整列供給装置の鶏卵受け取り量過多による鶏卵の積み重なり状態に即して移動速度を増減、停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量の鶏卵の洗浄、検査、選別、包装の処理を自動的に行う自動鶏卵処理システムに対して、無秩序に受け渡される鶏卵を複数列に区分けし、自動鶏卵処理システムに過不足が生じないように供給する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動鶏卵処理システムでは、鶏卵を6列で搬送し毎時約3万個を処理する構成が主流となっている。更に大量の鶏卵処理が必要な場合には、搬送列の構成を2倍にするのが通例である。図5は6列で搬送する例を示し、Eは鶏卵が移動する方向、Fは原卵コンベヤ、Gは鶏卵整列供給装置、Hは自動鶏卵処理システムで、Jは自動鶏卵処理システムの卵座群である。自動鶏卵処理システムの搬送列がいずれの構成でも、鶏卵の供給方法は送卵密度が一様でなく、無秩序に受け渡される鶏卵を自動鶏卵処理システムの卵座に鶏卵ガイドで区分けし、自動鶏卵処理システムへ過不足無く供給するために自動鶏卵処理システムよりも速い速度で鶏卵を搬送し、鶏卵整列供給装置の鶏卵ガイド部に整列させ、加圧された状態で蓄積し供給する方法が多用されている。
【0003】
自動鶏卵処理システムの処理量よりも原卵コンベヤから受け渡される鶏卵が多い場合には鶏卵の積み重なった状態を検出する光センサーの出力に基づいて原卵コンベヤを一時停止させるか、鶏卵の進行方向と直交する横方向の広がりをリミットスイッチで検出し、原卵コンベヤを一時停止させるなどの受け渡し量抑制方法が普及している。
【0004】
原卵コンベヤから受け取った鶏卵の破壊を防ぎながら、過不足無く自動鶏卵処理システムに供給する手段として、例えば特許第2572290号のように鶏卵の搬送手段である搬送バーを強制的に回転させ、鶏卵ガイド入り口部で鶏卵の積み重なった状態を緩和させる技術がある。しかし、この技術は積み重なった状態を緩和させるには有効であるが、高速で供給する効果はない。また特許第2985035号のように、一端の区画板から他端の区画板へ順次揺動する区画板を有し、区画板の間隔を広くしたり、元に戻したりして円滑に次工程のコンベヤに移動させる技術が知られているが、高速供給には不向きである。また特許第0930313号のように水平に固定された板と、板に近接し、板に沿って推進する搬送具で板の一端に鶏卵を連続的に搬送し蓄積させる方法がある。しかし該技術は無端コンベヤで連続的に搬送して蓄積させる状態下で高速且つ大量に蓄積しつつ鶏卵処理システムに供給する用途には馴染まない。
【特許文献1】特開平03−297716
【特許文献2】特開平06−263239
【特許文献3】特開昭50−141078
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
原卵コンベヤから無秩序に受け渡される鶏卵を自動鶏卵処理システムに過不足無く供給する技法として、鶏卵を自動鶏卵処理システムよりも高速で搬送し、鶏卵整列供給装置の鶏卵ガイド部に蓄積した上、自動鶏卵処理システムへ供給する方法が普及しているが、この方法では鶏卵相互に圧力が加わりやすい。自動鶏卵処理システムでは高速運転による処理能力の増大が望まれているが、従来の鶏卵整列供給装置は鶏卵の搬送速度を高めると蓄積時に鶏卵が受ける圧力が高くなり過ぎる結果、鶏卵が破壊される。そこで、鶏卵整列供給装置の鶏卵受け取り量に過不足があっても自動鶏卵処理システムへの鶏卵供給量の変動を極力抑えることによって高速で送卵しても鶏卵に加わる圧力が過大にならない鶏卵整列供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
鶏卵を搬送する無端コンベヤと速度が制御できる狭い薄平板を一定の間隔で取り付け、無端コンベヤの表面を連続的に移動させる駆動方法によって、鶏卵が受ける蓄積圧力を調整可能にした。
【発明の効果】
【0007】
送卵促進板を無端コンベヤよりも高速で無端コンベヤの表面上を移動させると、不足した鶏卵を鶏卵の一群から一部だけを速く搬送し、不足を補い自動鶏卵処理システムに鶏卵を過不足なく供給出来る。送卵促進板を無端コンベヤよりも低速で移動させると、過剰に受け渡された鶏卵群の一部だけが遅く搬送され、蓄積した鶏卵間の圧力上昇が抑制される。また送卵促進板の谷の移動軌跡が異なることで、鶏卵ガイド部で鶏卵が蓄積される時に鶏卵が交互に組み合わさる現象を緩和させ、搬送を円滑にする効果がある。さらに蓄積した鶏卵の下を送卵促進板が移動しても、鶏卵は点接触し、接触面積が極端に少ないので、無端コンベヤだけの場合より圧力が上昇し難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
比較的薄くて、狭い平板を、鶏卵を搬送するベルト状無端コンベヤの表面近傍で該コンベヤと同じ方向に移動する速度を増減すると、鶏卵の積み重なりが容易に緩和される。
【実施例1】
【0009】
図1は、本装置の概略平面図で、1は無端コンベヤである。送卵促進板2aと2bは厚さ1mmから2mmで、幅10mmから20mmの狭い薄平板状で、送卵促進板チエン3に、連続した前後の送卵促進板の谷の位置が一致しないように2aと2bを一定の間隔で交互に取りつけてある。8は自動鶏卵処理システムの卵座間隔に適合した鶏卵ガイドである。
【0010】
送卵促進板2aと2bは無端コンベヤ1の平面上を移動し、無端コンベヤとは独立に運転または停止できるように無端コンベヤの駆動シャフト9の両側を回転自在なスプロケットにする。送卵促進板の駆動は張力用スプロケット7を前後に取り付けたスプロケット6で駆動する。
【0011】
送卵促進板2aと2bは鶏卵1個分以上の間隔で送卵促進板チエンに取り付け、例えば自動鶏卵処理システムより高速で無端コンベヤ1上を移動する。送卵促進板2aと2bの平面形状は図3のように進行方向に2cと2eの山と2dと2fの谷があり、送卵促進板2aと2bは共に山の間隔は鶏卵ガイド8の間隔と同じで、山の移動軌跡は鶏卵ガイド8の位置に重なるが、送卵促進板2aと2bの谷2dと2fの移動軌跡は重ならない。
【0012】
無端コンベヤ1は、コンベヤガイドレールベース15と取付けステー16で支えられたコンベヤガイドレール14の上を無端コンベヤ駆動シャフト9で無端コンベヤ駆動スプロケット4を介して駆動され、移動する。
【0013】
鶏卵ガイド8の入り口部の鶏卵1個分より高い位置に取り付けた光センサー11は、自動鶏卵処理システムの処理能力より多い鶏卵が鶏卵整列供給装置に受け渡されたとき、鶏卵ガイド8の入り口部分で積み重なった状態を検知する。送卵促進板2aと2bの速度は光センサー11の出力に基づいて調整できる。
【0014】
自動鶏卵処理システムの処理能力より多い鶏卵が鶏卵整列供給装置に受け渡されたとき、鶏卵が無端コンベヤの横幅一杯に拡がり、光センサー11より上流側に取り付けられた鶏卵感知板13が押された状態をリミットスイッチ12で感知すると、原卵コンベヤを一時的に停止させて受け渡しを抑制する。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の鶏卵整列供給装置を用いると、原卵コンベヤから鶏卵を受け取って、高速、安全且つ過不足無く自動鶏卵処理システムに供給出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本願装置の平面図
【図2】無端コンベヤと送卵促進板コンベヤの側面図
【図3】送卵促進板の平面図
【図4】無端コンベヤと送卵促進板コンベヤの正面断面図
【図5】本願装置設置例の平面図
【符号の説明】
【0017】
E 鶏卵が移動する方向
F 原卵コンベヤ
G 鶏卵整列供給装置
H 自動鶏卵処理システム
J 卵座列
1 無端コンベヤ
2a 送卵促進板
2b 送卵促進板
2c 送卵促進板2aの山
2d 送卵促進板2aの谷
2e 送卵促進板2bの山
2f 送卵促進板2bの谷
3 送卵促進板チエン
4 無端コンベヤ駆動スプロケット
5 送卵促進板チエン従動スプロケット
6 送卵促進板チエン駆動スプロケット
7 送卵促進板チエン張力スプロケット
8 鶏卵ガイド
9 無端コンベヤ駆動シャフト
10 鶏卵
11 光センサー
12 リミットスイッチ
13 鶏卵感知板
14 コンベヤガイドレール
15 コンベヤガイドレールベース
16 取付けステー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原卵コンベヤから鶏卵を受け取って自動鶏卵処理システムへ供給する鶏卵整列供給装置において、鶏卵を搬送する無端コンベヤの表面に近接して、該無端コンベヤと同じ方向に移動する送卵促進板を備えていることを特徴とする鶏卵整列供給装置。
【請求項2】
請求項1の鶏卵整列供給装置において、送卵促進板の平面形状が山の部分と谷の部分から成ること、送卵促進板の山の移動軌跡と鶏卵整列供給装置の鶏卵ガイドの位置が重なると共に送卵促進板の山の間隔が鶏卵整列供給装置の鶏卵ガイドの間隔に一致すること、移動方向に隣接している送卵促進板の谷の移動軌跡が異なること、ならびに鶏卵ガイドの入り口部における鶏卵の積み重なり状態に即して送卵促進板の移動速度を増減できることを特徴とする鶏卵整列供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−1492(P2008−1492A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173954(P2006−173954)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000162238)共和機械株式会社 (9)
【Fターム(参考)】