説明

麺塊均し装置

【課題】即席麺の製造工程において、油揚げ工程に先立ち、型枠内に投入された麺塊の上面をほぐすと共に均すための、麺塊均し装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
即席麺製造ラインにおけるカット投入機とフライヤーとの間の型枠コンベア1上に配置され、油揚げに先立って型枠3内の麺塊の上面をほぐすと共に均すための装置であって、型枠コンベア1の進行方向と平行に所定区間往復動し且つその往復動作端において昇降動作をする移動フレーム4と、移動フレーム4を前記所定区間往復駆動する手段11と、移動フレーム4を前記往復動作端において昇降駆動する手段15と、型枠コンベア1の型枠3の位置に対応させて移動フレーム4に自転可能に配設される回転ノズル5と、移動フレーム4に設置されていて回転ノズル5を自転駆動するための手段35〜37、40と、各回転ノズル5に噴射用エアを供給する手段とを備えて成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺塊均し装置、より詳細には、即席麺の製造工程において、一食分づつ計量切断されて型枠コンベアの型枠内に投入された麺塊の上面を、フライヤーで油揚げする前に、ほぐしつつ均して平坦化し、型枠内における麺塊の形状を整えるための麺塊均し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カップ麺、袋麺等の即席麺は、概略、製麺、切り出し、ボイル、味付け、計量切断、型詰め、油揚げ、冷却、カップ充填、具・スープ充填、包装といった工程を経て製造される。
【0003】
上記工程中型詰めは、ボイル、味付け工程を経た後、余分な水分を放出させた麺線を、多少ほぐしながら一食分づつカットして、その下を移動する型枠コンベアの型枠内に投入するものである。この投入は、単に上方から落とし込むことによって行われるため、落し込まれた麺塊は、必ずしも型枠内に密に収まり良く収まる訳ではなく、むしろ傾いたり、上面に麺端が突出したり、粗状態となることの方が多い。その状態で油揚げすると、麺塊はその見た目の悪い形状に固化してしまうため、油揚げする前に麺塊を少しほぐしたりして、上面を均す作業が必要となる。
【0004】
然るに、従来その作業を十分有効に且つ効率良く行う装置は提案されていない。
【0005】
【特許文献1】特公平6−51490号公報
【特許文献2】特開平4−311409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、即席麺の製造工程において、油揚げ工程に先立ち、型枠内に投入された麺塊の上面をほぐすと共に均す必要性があるところ、従来その作業を十分有効に且つ効率良く行う装置は提案されていなかったので、本発明はその要求を十分に満たし得る、麺塊均し装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、即席麺製造ラインにおけるカット投入機とフライヤーとの間の型枠コンベア上に配置され、油揚げに先立って型枠内の麺塊の上面をほぐすと共に均すための装置であって、前記型枠コンベアの進行方向と平行に所定区間往復動し且つその往復動作端において昇降動作をする移動フレームと、前記移動フレームを前記所定区間往復駆動する手段と、前記移動フレームを前記往復動作端において昇降駆動する手段と、前記型枠コンベアの型枠の位置に対応させて前記移動フレームに自転可能に配設される回転ノズルと、前記移動フレームに設置されていて前記回転ノズルを自転駆動するための手段と、前記各回転ノズルに噴射用エアを供給する手段とを備えて成る麺塊均し装置である。
【0008】
前記回転ノズルとしては、容体の底面に複数の噴射口を、その中心から周縁部に向けて一列配置したものを用いることが好ましい。また、前記回転ノズルを自転させるための手段としては、2つのマグネットリングを90度非接触に交差させ、一方のマグネットリングから他方のマグネットリングに回転駆動力を伝達させるものを用いることが好ましい。
【0009】
前記回転ノズルは交換可能にすることが好ましい。回転ノズルの交換は、回転ノズルを90度転回させて行うようにすることができる。
【0010】
更に、前記回転ノズルの列間の間隔を、型枠のサイズに合わせて変更可能に構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上記のとおりであって、即席麺製造ラインにおけるカット投入機とフライヤーとの間の型枠コンベア上に配置されて、油揚げに先立ち、型枠コンベアによって搬送されてくる型枠内の麺塊の上面にエアを吹き付けて麺塊を揺動させるので、型枠内における麺塊の収まりが良くなって、麺形が自動的に程良く整えられる効果がある。
【0012】
特に請求項2に係る発明においては、麺塊を型枠内において回転しながら揺動させることができるために、一層型枠になじんで麺形が良好に整えられる効果がある。
【0013】
請求項3に係る発明においては、簡易な構成にて回転ノズルの自転駆動を行い得る効果がある。
【0014】
請求項4乃至6に係る発明においては、本装置を種類の異なる型枠に対応して使用することが可能となる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態につき、添付図面に依拠して説明する。図1は本発明に係る麺塊均し装置の平面図、図2はその正面図、図3は図1におけるA−A線断面図、図4は同B−B線断面図、図5は同C−C線拡大断面図、図6は同D−D線拡大断面図である。
【0016】
本装置は、即席麺製造ラインの、カット投入機とフライヤーとの間の型枠コンベア1上に配置されるもので、そのフレーム本体2が型枠コンベア1を跨ぐように設置され、フレーム本体2の内側を型枠コンベア1が、図1において矢印dで示す方向に通り抜ける。フレーム本体2は、型枠コンベア1の両側に配置される脚部と、脚部上端の端部同士を接合するジョイントバー2aとで構成される。
【0017】
型枠コンベア1は従来のものと何ら変わりはなく、計量されてカットされた麺線が投入される多数の型枠3を規則正しく配設したものであり(図示した例においては型枠は幅方向1列に8個形成されている。)、各型枠3に麺線が投入された状態で本装置の下を通過する。
【0018】
フレーム本体2上には、型枠コンベア1の各型枠3に対応して回転ノズル5を配設した移動フレーム4が設置される。図示した移動フレーム4では、回転ノズル5は2列配設されているが、1列の場合、あるいは、3列以上配設される場合もある。各回転ノズル5は、移動フレーム4において、水平方向に自転可能に軸支される。各回転ノズル5を自転させるための手段については、後に詳述する。回転ノズル5は、例えば円筒型、箱型等の容体で構成され、その容体底面に複数の噴射口50が、その回転軸から周縁部に向かうように一列配置されたものである(図8参照)。なお、図示したような円筒型容体の場合は回転軸はその中心となるが、箱型容体の場合は、その一端部を回転軸として回転するようにする。
【0019】
移動フレーム4は、上面が開口された箱状体であって、長尺方向両側の側面板6と両端の端面板7と底板8とから成り、型枠コンベア1の進行方向dと平行に所定区間往復駆動される。移動フレーム4を往復駆動するための機構は以下に述べるとおりのものであり、移動フレーム4の両側に概ね対称的に配置される。
【0020】
上記駆動機構は、フレーム本体2の上部側面に設けたベースフレーム10上に配備されるサーボモータ11と、サーボモータ11に直結された出力ネジ軸12と、底面に出力ネジ軸12に対する螺合部13aを有するスライドブラケット13とから成る。スライドブラケット13は、出力ネジ軸12の正反回転に伴い、その螺合部13aを介して出力ネジ軸12に沿って往復動する。
【0021】
スライドブラケット13にはシリンダープレート14が垂直方向に固定され、それに昇降シリンダー15が取り付けられる。昇降シリンダー15のロッドはシリンダープレート14に平行に配設された軸支プレート16に接続され(特に図7参照)、軸支プレート16は、移動フレーム4の端面板7に固定される。また、昇降シリンダー15の両側のシリンダープレート14と軸支プレート16との間に、支持シャフト18と支持シャフト18が摺動自在に挿通されるリニアブッシュ19とが配備される。この支持シャフト18とリニアブッシュ19は、移動フレーム4の昇降動作を支持するためのもので、図示した例では、シリンダープレート14の方に支持シャフト18が取り付けられ、軸支プレート16の方にリニアブッシュ19が取り付けられているが、その逆に取り付けることとしてもよい。
【0022】
かくして移動フレーム4は、昇降シリンダー5の作用で、軸支プレート16を介して昇降駆動可能となり、その昇降動作は支持シャフト18とリニアブッシュ19によって支持されることになる。その昇降高さは、調節ネジ54を操作することによって調整することができる(図7参照)。
【0023】
また、スライドブラケット13上にケーブルベア用レール21が設置され、その上に、側面視U字形を呈する可動ケーブルベア22の下段部が配設される。ケーブルベア22内には、モータ等の駆動手段に接続される可撓性の電源ケーブル23と、後述するエアチューブ25がそれぞれ多数本挿通される。ケーブルベア22は、その上段部の端部がベースプレート10上に立設されるケーブルベアブラケット26によって支持され、その下段部がスライドブラケット13の動きに伴って移動する。
【0024】
次いで、回転ノズル5の自転駆動機構について説明する。回転ノズル5はその上面にプラグ28を有していて、該プラグ28を、移動フレーム4の底板8に設置された軸受29に軸支された回転軸30の先端のソケット31にネジ付けることによって、移動フレーム4の底板8に一列又は複数列(図示した例では2列)取り付けられる(図7参照)。その取付位置は、型枠コンベア1の型枠の位置に対応させる。各回転ノズル5には、底板8に吊設されたカバー設置板43に設置されたノズルカバー44が被せられる。転軸30の上端は、ロータリージョイント32を介してエアチューブ25に接続される。
【0025】
移動フレーム4の側板6の内側面に軸支されて、長さ方向に延びる駆動軸35が配置され、この駆動軸35と各回転軸30との間に、特殊マグネットを90度交差させて非接触にて回転駆動力の伝達を行う機構であるマグトラン(登録商標)が配設される。即ち、回転軸30の中程に被動マグネットリング36が嵌め付けられ、一方駆動軸35の各被動マグネットリング36対応位置に駆動マグネットリング37が嵌め付けられる。そして、駆動軸35の中程にカサ歯車38が取り付けられ、このカサ歯車38に噛合するように、回転ノズル駆動用モータ40の出力軸に取り付けられたカサ歯車39が配備される(図3参照)。回転ノズル駆動用モータ40は、底板8に設置されたモータブラケット41上に据え付けられる。
【0026】
このような構成の自転駆動機構において回転ノズル駆動用モータ40が作動すると、カサ歯車38、39を介して駆動軸35が回転駆動され、その各駆動マグネットリング37がそれぞれ被動マグネットリング36に作用し、回転軸30並びにこれに取り付けられた回転ノズル5を回転させる。
【0027】
移動フレーム4の進行端前方のフレーム本体2上にエアタンク24が配置され、そこから回転ノズル5に対応する数のフレキシブルエアチューブ25が、左右二手に分けられ、ケーブルベア22を通して延ばされる。それらのエアチューブ25はまとめられて、移動フレーム4の端面板7間に渡されたセンターパイプ45内に、両端から挿入される。センターパイプ45の上面には、各回転ノズル5に対応して引出口46が形成され、そこからエアチューブ25を引き出すことができるようになっている。引き出されたエアチューブ25は、それぞれ対応する回転ノズル5に接続される。
【0028】
好ましい実施形態においては、型枠3のサイズに合わせて回転ノズル5を交換することが可能に構成される。図示した構成例は、移動フレーム4を90度転回させて、下向きの回転ノズル5を横向きにして行うものである。そのために、センターパイプ45の一端を端面板7に固定し、その他端を他側の端面板7から突出させる(図7参照)。そして、その突出させた部分を軸支プレート16にて軸支させる。
【0029】
センターパイプ45の一端部にはウォームホイール53が取り付けられ、これに噛合するウォーム52を備えたギア軸55が、軸支プレート16に設置されたギア軸ブラケット56にて軸支される。ギア軸55には、ユニバーサルジョイント57を介してハンドル51が取り付けられ、このハンドル51を操作することにより、ウォームホイール53、ウォーム52を介し、センターパイプ45並びにその一端が固定されている移動フレーム4を90度転回させることが可能となる。回転ノズル5の交換は、カバー設置板43から外して行う。
【0030】
なお、型枠3のサイズに対応して、回転ノズル5の列間の間隔を拡げることができるようにすることが好ましい。そのためには、移動フレーム4を短幅方向に二分割し、その一方を他方から離れるように移動可能に構成すればよい。その構成例として図示したものは、端面板7の外側面にスライドガイド59を設置し、相対する軸支プレート16に、スライドガイド59にガイドされて摺動するガイドバー60を設置する(図5参照)。なお、符号61はストッパーで、上記移動フレーム4の離隔動作に際して、可動側フレームを解放又はロック状態に固定する役割を果たすものである。
【0031】
次に、上記構成の本発明に係る麺塊均し装置の動作について説明する。型枠コンベア1は、従来と同様にして麺線を投入した多数の型枠3を保持しつつ、本装置の下を通過する。移動フレーム4は、その最も後退した位置(図1において下方端)において昇降シリンダー15の作用で下降し、各ノズルカバー44を、それぞれ対応する型枠3に被せると共に、回転ノズル5を型枠3内に臨ませる。
【0032】
移動フレーム4が下降端に達し、各回転ノズル5が各型枠3内に臨むと同時にサーボモータ11が動作し、スライドブラケット13を介して移動フレーム4を型枠コンベア1と同一方向(矢印d方向)に同速度にて、定位置まで移動させる。そして、その定位置に達したところでサーボモータ11が停止すると共に、昇降シリンダー15が動作して移動フレーム4を上昇させ、回転ノズル5を型枠3内から浮上させる。その後直ちにサーボモータ11が反転動作し、移動フレーム4を当初の最後退位置に戻す。この後退動作は一気に行われる。移動フレーム4は、上記動作を反復する。
【0033】
回転ノズル5は、上記工程中、少なくとも型枠3内に位置するときに、回転ノズル駆動用モータ40、マグネットリング36、37の作用で自転し、また、エアタンク24からエアチューブ25を介してエアが供給され続ける。供給されたエアは、噴射口50から麺塊の上面に吹き付けられる。
【0034】
回転ノズル5の噴射口50は、複数中心(回転軸)から周縁部に向けて一列配置されているので、その回転に伴って麺塊の上面に、時計の針の如き動きで押圧力が付与される。その結果、麺塊は型枠3内において揺り動かされ、また回動させられるために、次第に粗の状態から密の状態に収まっていき、良好な麺形となって、後続の油揚げのためにフライヤーに送り込まれる。
【0035】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る麺塊均し装置の平面図である。
【図2】本発明に係る麺塊均し装置の正面図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図である。
【図4】図1におけるB−B線断面図である。
【図5】図1におけるC−C線拡大断面図である。
【図6】図1におけるD−D線拡大断面図である。
【図7】本発明に係る麺塊均し装置の一部詳細図である。
【図8】本発明に係る麺塊均し装置における回転ノズルを示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 型枠コンベア
2 フレーム本体
3 型枠
4 移動フレーム
5 回転ノズル
11 サーボモータ
12 出力ネジ
13 スライドブラケット
15 昇降シリンダー
22 ケーブルベア
24 エアタンク
25 エアチューブ
35 駆動軸
36 被動マグネットリング
37 駆動マグネットリング
40 回転ノズル駆動用モータ
44 ノズルカバー
45 センターパイプ
50 噴射口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
即席麺製造ラインにおけるカット投入機とフライヤーとの間の型枠コンベア上に配置され、油揚げに先立って型枠内の麺塊の上面をほぐすと共に均すための装置であって、
前記型枠コンベアの進行方向と平行に所定区間往復動し且つその往復動作端において昇降動作をする移動フレームと、前記移動フレームを前記所定区間往復駆動する手段と、前記移動フレームを前記往復動作端において昇降駆動する手段と、前記型枠コンベアの型枠の位置に対応させて前記移動フレームに自転可能に配設される回転ノズルと、前記移動フレームに設置されていて前記回転ノズルを自転駆動するための手段と、前記各回転ノズルに噴射用エアを供給する手段とを備えて成る麺塊均し装置。
【請求項2】
前記回転ノズルは、容体の底面に複数の噴射口を、その中心から周縁部に向けて一列配置したものである請求項1に記載の麺塊均し装置。
【請求項3】
前記回転ノズルを自転させるための手段は、2つのマグネットリングを90度非接触に交差させ、一方のマグネットリングから他方のマグネットリングに回転駆動力を伝達させるものである、請求項1に記載の麺塊均し装置。
【請求項4】
前記回転ノズルを交換可能にした、請求項1に記載の麺塊均し装置。
【請求項5】
前記回転ノズルの交換は、前記回転ノズルを90度転回させて行うようにした、請求項4に記載の麺塊均し装置。
【請求項6】
前記回転ノズルの列間の間隔を、型枠のサイズに合わせて変更可能にした請求項1に記載の麺塊均し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−112284(P2009−112284A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291952(P2007−291952)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(399131677)トーキョーメンキ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】