説明

黄蓮抽出物を有効性分として含有する呼吸器疾患の予防用及び治療用組成物

本発明は黄蓮抽出物またはアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物を有効性分として含有する鎮咳または去痰用組成物、または呼吸器疾患の予防用及び/または治療用組成物、及びこれを利用する鎮咳または去痰または呼吸器疾患の予防及び/または治療方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
黄蓮(Coptidis rhizoma)抽出物またはアイビー(ivy)の葉と黄蓮の混合抽出物の去痰活性、鎮咳活性、及び抗ヒスタミン活性における有用性が提供される。より具体的に、黄蓮抽出物、または黄蓮抽出物とアイビーの葉抽出物の混合物を有効性分として含有する鎮咳、去痰剤及び/または呼吸器疾患の予防及び治療に有用な組成物及びその製造方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
咳と痰は冷たい空気、病原性微生物を含む外部異物、大気汚染物質、アレルギー誘発物質などのような物理・化学的要因などによって発生すると知られており、これを発生要因別に分ければ次の通りである。
【0003】
第一に、物理・化学的要因によって喉頭、気管、気管支、咽頭、副鼻腔、横隔膜などの咳受容体を刺激すれば脳の延髄部位の咳中枢に刺激が伝達され、咳反射が起こる。
【0004】
第二に、物理・化学的要因によって副交感神経系が活性化されれば気管支平滑筋が収縮し、そのために気管支痙攣や気管支収縮などの症状が発生することがある。
【0005】
第三に、物理・化学的要因によって肥満細胞から炎症媒介物質などが放出される。
【0006】
したがって、前記の要因を除去すれば咳と痰を抑制することができるが、従来にこれと関連して開発された薬品はほとんど合成化学物質であるために多様な副作用を起こす短所があり、このような短所を補完して開発された天然薬品からは優れた痰及び咳抑制効果が得られていない。
【0007】
一方、代表的な呼吸器疾患である喘息(asthma)は、呼吸困難、咳、ゼイゼイする荒い息の音(喘鳴)などの症状が反復的かつ発作的に現れる病症であって、心臓喘息と気管支喘息がある。喘息の発病率は国、人種、年令などによって差があるが、2007年英国の報告によれば成人の約7.9%、小児年齢層の13.7%、老人層の9.4%が喘息に罹患していると報告されており、我が国でも生活環境の変化、公害、ストレスなどの増加に伴って次第に増加する傾向にある。このような喘息はその原因によって違うが、公害などの環境汚染が深刻になる現代においては発病の年齢層が低くなりその症状も長期化するなど、喘息の深刻性が極大化されている実情にある。
【0008】
喘息の特徴的な気道閉鎖は3段階過程によって起こる。つまり、気管支平滑筋の収縮、肺粘膜の肥厚化、そして気管支と細気管支にねばっこい粘液が溜まることによって気道が詰まる。この中で気管支平滑筋の収縮のみは容易に回復される。
【0009】
外因性(アレルギー性)喘息発作機序ではIgEが特に重要であり、一部にIgGが関連している。IgEが、肥満細胞を活性化して過敏反応を起こすメディエーター(例えばヒスタミン、SRS−A、ECF−A、NCF、PAF、Kinin、PGs)を放出する。内因性(Non−allergy)喘息発作の機序は不明ではあるが、自律神経によって媒介されるようである。内因性患者におけるコリン性刺激は直接的に末端気管を通して肥満細胞からヒスタミンなどのメディエーターを遊離するだけでなく、杯細胞(goblet cell)分泌が増加し、肺の血管が拡張され、気管、気管支、及び巨大細気管支が収縮して、気管支痙攣及び粘液分泌が増加する。
【0010】
現在、喘息の根本的な治療法はなく、発作を予防し、合併症を防止するための多様な方法と薬品が開発されているが、単に症状のみを緩和させるだけであって根本的な治療ができなかったり、激しい副作用を起こすなどの問題がある。
【0011】
このような現薬品治療剤の限界点を克服して、原因を根本的に治療し症状を効果的に改善することができる新たな治療剤の開発が必要である。しかしながら、呼吸器疾患は、各種白血球細胞とこれから遊離される多様なサイトカイン及び炎症メディエーターが関与するため、単一成分の化合物では効果的な治療が難しく、多様な成分と機序を有する天然抽出物が効果的な治療剤となれる。したがって、天然抽出物に基づいた治療剤の開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは鎮咳または去痰用組成物を開発するために研究した結果、黄蓮抽出物またはアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物が鎮咳、去痰、及び抗ヒスタミン活性効果に優れていることを確認し、本発明を完成した。
【0013】
本発明の一実施形態は、黄蓮(Coptidis rhizoma)抽出物、またはアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物の、去痰、鎮咳、及び/または呼吸器疾患予防及び/または治療のための新規な用途を提供する。
【0014】
本発明のまた他の実施形態は、黄蓮抽出物またはアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物を有効性分として含有する鎮咳剤、去痰剤及び/または呼吸器疾患の予防用及び/または治療用組成物、及びその製造方法を提供する。
【0015】
本発明のまた他の実施形態は、黄蓮抽出物またはアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物を鎮咳、去痰、及び/または呼吸器疾患の予防及び/または治療を必要とする患者に投与する段階を含む鎮咳、去痰剤及び/または呼吸器疾患の予防及び/または治療方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態は、黄蓮抽出物または黄蓮とアイビーの葉の混合抽出物の、去痰、鎮咳、及び/または呼吸器疾患予防及び/または治療のための新規な用途に関する。
【0017】
本発明のまた他の実施形態は、黄蓮抽出物または黄蓮とアイビーの葉の混合抽出物を有効性分として含有する鎮咳剤、去痰剤、及び/または呼吸器疾患の予防用及び/または治療用組成物に関する。
【0018】
黄蓮(Coptidis Rhizoma)はキンポウゲ科(Ranunculaceae)に属する多年生草本であって、根茎部位が主に使用される。主要薬理成分として、アルカロイド(alkaloid)であるベルベリン(berberine)、パルマチン(palmatine)、コプチシン(coptisine)、ベルベラスチン(berberastine)、マグノフロリン(magnoflorine)などを含有していることが知られている。
【0019】
しかし、このような黄蓮抽出物及び含有成分などが鎮咳、去痰、及び抗ヒスタミン活性に及ぼす影響に関してはまだ研究されたことがない。
【0020】
本発明者らは、黄蓮抽出物が鎮咳、去痰、及び抗ヒスタミン活性があり、呼吸器疾患の予防及び/または治療に効果があることを見出して本発明を完成した。
【0021】
アイビーはウコギ科(Araliaceae)に属し、キズタ属(genus Hedera)の植物(Hedera spp.)を意味するものであって、例えば、アルジェニシス種(Hedera algeriensis)、アゾリカ種(Hedera azorica)、カナリエンシス種(Hedera canariensis)、コルシカ種(Hedera colchica)、ヘリックス種(Hedera helix)、イベリカ種(Hedera hibernica)、マデレンシス種(Hedera maderensis)、ネパレンシス種(Hedera nepalensis)、パスツチョヴィ種(Hedera pastuchowii)、ロンビア種(Hedera rhombea)などであるが、これに制限されるわけではない。乾燥アイビーの葉抽出物の鎮咳及び去痰効果は明らかにされているが、これを他の生薬抽出物と混合投与して、副作用なく著しい上昇効果を上げた例はまだ報告されていない。
【0022】
本発明者らは、黄蓮抽出物を単独で使用する場合だけでなく、これをアイビーの葉抽出物と混合して使用する場合、各々の抽出物が単独で存在する場合より著しく上昇した鎮咳効果、去痰効果、抗ヒスタミン効果、気管支収縮抑制効果、気道過敏性抑制効果、肺組織の気管支閉塞抑制、及び炎症細胞浸潤抑制効果を有することを確認した。また、本発明では、このような黄蓮抽出物とアイビーの葉抽出物との混合による薬理学的活性シナジー効果が最も大きく現れる最適の組み合わせ比率を提示する。
【0023】
アイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の混合による鎮咳去痰、抗ヒスタミン、気管支収縮抑制、気道過敏性抑制、肺組織の気管支閉塞抑制、及び炎症細胞浸潤抑制作用の上昇效果を最大化するための、アイビーの葉と黄蓮の混合抽出物内のアイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の含量比は、固形分重量基準で0.1:1乃至10:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量、以下で同一である)、好ましくは0.2:1乃至5:1、より好ましくは1:1乃至4:1、さらに好ましくは1.5:1乃至3.5:1、最も好ましくは2.5:1乃至3.5:1である。前記「固形分」とは抽出物製造に使用された溶媒を除去した状態を意味し、以下で同一である。
【0024】
用語「抽出物」とは、黄蓮及び/またはアイビーの葉の粗抽出物または前記粗抽出物の特定溶媒可溶抽出物または分画物を意味するものであって、溶液、濃縮物または粉末状態であって良い。また、「アイビーの葉と黄蓮の混合抽出物」という用語は、アイビーの葉と黄蓮を各々抽出して得られたアイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物との混合物、及びアイビーの葉と黄蓮の混合物を抽出して得られた抽出物の、両方を意味する。
【0025】
黄蓮抽出物は、黄蓮(Coptidis rhizoma)、好ましくは黄蓮根茎部位を、水、炭素数1乃至4の直鎖または分枝型アルコールまたはこれらの混合溶媒から選択された1種以上で抽出して得られた粗抽出物、または前記粗抽出物に炭素数1乃至6個の直鎖または分枝型アルコール水溶液、好ましくはプロピルアルコール水溶液及びイソプロピルアルコール水溶液、及び水飽和ブチルアルコールからなる群より選択された1種以上を加えて得られた溶媒可溶抽出物であって良い。
【0026】
また、アイビーの葉抽出物は、乾燥アイビーの葉を水、及び炭素数1乃至4個の直鎖または分枝型アルコールからなる群より選択された1種以上で抽出して得られた粗抽出物、または前記粗抽出物に炭素数1乃至6個の直鎖または分枝型アルコール水溶液、好ましくはプロピルアルコール水溶液及びイソプロピルアルコール水溶液、並びに水飽和ブチルアルコールからなる群より選択された1種以上を加えて得られた溶媒可溶抽出物であって良い。アイビーの葉抽出物の製造に使用されるアイビーはヘデラ(Hedera spp.)、例えば、アルジェニシス種(Hedera algeriensis)、アゾリカ種(Hedera azorica)、カナリエンシス種(Hedera canariensis)、コルシカ種(Hedera colchica)、ヘリックス種(Hedera helix)、イベリカ種(Hedera hibernica)、マデレンシス種(Hedera maderensis)、ネパレンシス種(Hedera nepalensis)、パスツチョヴィ種(Hedera pastuchowii)、ロンビア種(Hedera rhombea)などからなる群より選択された1種以上であって良いが、これに制限されるわけではない。
【0027】
好ましい実施形態において、アイビーの葉または黄蓮の粗抽出物の製造に使用される溶媒は、水、または10乃至70%(v/v)、好ましくは20乃至60%(v/v)、より好ましくは約25乃至55%(v/v)の炭素数1乃至4個の直鎖または分枝型アルコール水溶液、好ましくはメタノール水溶液及びエタノール水溶液、及び水飽和ブチルアルコールからなる群より選択された1種以上であって良い。
【0028】
また、前記アイビーの葉または黄蓮の溶媒可溶抽出物の製造に使用される溶媒は、10乃至70%(v/v)、好ましくは20乃至60%(v/v)、より好ましくは約25乃至55%(v/v)の炭素数1乃至6個の直鎖または分枝型アルコール水溶液、好ましくはプロピルアルコール水溶液、イソプロピルアルコール水溶液、及び水飽和ブチルアルコールからなる群より選択された1種以上であって良い。
【0029】
黄蓮とアイビーの葉の混合抽出物は、このような黄蓮抽出物とアイビーの葉抽出物の混合物であってもよく、また他の具体例では、黄蓮とアイビーの葉の混合物の抽出物であっても良い。例えば、前記混合抽出物は、アイビーの葉と黄蓮を混合した後、前記混合物を水、及び炭素数1乃至4個の直鎖または分枝型アルコールからなる群より選択された1種以上で抽出して得られた粗抽出物、または前記粗抽出物に炭素数1乃至6個の低級アルコール水溶液、好ましくはプロピルアルコール水溶液及びイソプロピルアルコール水溶液、並びに水飽和ブチルアルコールからなる群より選択された1種以上を加えて得られた溶媒可溶抽出物であって良い。
【0030】
好ましくは、アイビーの葉及び黄蓮混合物の粗抽出物の製造に使用される溶媒は、水、または10乃至70%(v/v)、好ましくは20乃至60%(v/v)、より好ましくは約25乃至55%(v/v)のメタノール水溶液若しくはエタノール水溶液、または水飽和ブチルアルコールであって良い。また、前記溶媒可溶抽出物の製造に使用される溶媒は、10乃至70%(v/v)、好ましくは20乃至60%(v/v)、より好ましくは約25乃至55%(v/v)の炭素数1乃至6個の低級アルコール水溶液、好ましくはプロピルアルコール水溶液及びイソプロピルアルコール水溶液、並びに水飽和ブチルアルコールからなる群より選択された1種以上であって良い。
【0031】
「分画物」は前記溶媒可溶抽出物を塩化メチレンとメタノール(30:1乃至7:1(v/v))の混合溶媒でシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って収得されたものであって良い。
【0032】
黄蓮抽出物、溶媒可溶抽出物または分画物は、ベルベリン、パルマチン、コプチシン、コルンバミン、及びジャトロリジンを含み、好ましくは、ベルベリン(0.5乃至47.0重量部):パルマチン(0.2乃至21.4重量部):コプチシン(0.1乃至18.0重量部):コルンバミン(0.1乃至3.2重量部):ジャトロリジン(0.1乃至2.6重量部)である。
【0033】
本発明の他の態様は、鎮咳、去痰、抗ヒスタミン、気管支収縮抑制、気道過敏性抑制、肺組織の気管支閉塞、炎症細胞浸潤抑制活性などを有するアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物を製造する方法に関するものである。
【0034】
前記黄蓮抽出物の製造方法は、
黄蓮、好ましくは黄蓮根茎部位を水、及び炭素数1乃至4個の直鎖または分枝型アルコールからなる群より選択された1種以上、例えば、水、または10乃至70%(v/v)、好ましくは20乃至60%(v/v)、より好ましくは約25乃至55%(v/v)のメタノール水溶液若しくはエタノール水溶液、または水飽和ブチルアルコールで抽出する段階を含むことができる。
【0035】
前記アイビーの葉と黄蓮の混合抽出物の製造方法は、
乾燥アイビーの葉を水及び炭素数1乃至4個の直鎖または分枝型アルコールからなる群より選択された1種以上、例えば、水、または10乃至70%(v/v)、好ましくは20乃至60%(v/v)、より好ましくは約25乃至55%(v/v)のメタノール水溶液若しくはエタノール水溶液、または水飽和ブチルアルコールで抽出してアイビーの葉抽出物を得る段階;
黄蓮、好ましくは黄蓮根茎部位を水、及び炭素数1乃至4個の直鎖または分枝型アルコールからなる群より選択された1種以上、例えば、水、または10乃至70%(v/v)、好ましくは20乃至60%(v/v)、より好ましくは約25乃至55%(v/v)のメタノール水溶液、エタノール水溶液または水飽和ブチルアルコールで抽出する段階;及び
前記得られたアイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物を、固形分重量基準に0.1:1乃至10:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)、好ましくは0.2:1乃至5:1、より好ましくは1:1乃至4:1、さらに好ましくは1.5:1乃至3.5:1、最も好ましくは2.5:1乃至3.5:1に混合する段階を含むことができる。
【0036】
この時、前記各々のアイビーの葉抽出物製造段階及び黄蓮抽出物製造段階は、各々の得られた抽出物に炭素数1乃至6個の直鎖または分枝型アルコール水溶液、好ましくは水飽和ブチルアルコール、プロピルアルコール、及びイソプロピルアルコールからなる群より選択された1種以上を加えて得られた溶媒可溶抽出物を収得する段階をさらに含むことができる。
【0037】
前記アイビーの葉抽出物の製造過程をより詳細に説明すれば次の通りである:アイビーの葉を切断し、水で洗浄して不純物を除去し乾燥させた後、前記乾燥アイビーの葉の重量に対して約5乃至20体積倍、好ましくは7乃至15体積倍の水、及び炭素数1乃至4個の直鎖または分枝型アルコールからなる群より選択された1種以上、例えば、水、または10乃至70%(v/v)、好ましくは20乃至60%(v/v)、より好ましくは約25乃至55%のメタノール水溶液若しくはエタノール水溶液、または水飽和ブチルアルコールで還流抽出する。抽出温度は40乃至110℃、好ましくは55乃至90℃であることが好ましい。
【0038】
抽出後、濾過して濾過液を集め、残渣に再び約5乃至15体積倍、好ましくは8乃至12体積倍の水、及び炭素数1乃至4個の直鎖または分枝型アルコールからなる群より選択された1種以上、例えば、水、または10乃至70%(v/v)、好ましくは20乃至60%(v/v)、より好ましくは約25乃至55%(v/v)のメタノール水溶液若しくはエタノール水溶液、または水飽和ブチルアルコールで還流抽出する。抽出温度は特別な制限はないが、40乃至110℃、好ましくは55乃至90℃であることが好ましい。抽出後に濾過し、以前に得られた濾過液と合わせて減圧濃縮してアイビーの葉抽出物を製造する。このように2回の抽出及び各々の抽出後に得られた濾過液を混合することによって抽出効率を高めることができるが、前記抽出回数に限定されるわけではない。
【0039】
前記黄蓮抽出物の製造過程をより詳しく説明すれば次の通りである:黄蓮(Coptidisrhizoma)の根茎部位を細切した後、前記原料重量に対して3乃至20体積倍、好ましくは5乃至15体積倍の水、及び炭素数1乃至6個、好ましくは炭素数1乃至4個の直鎖または分枝型アルコールからなる群より選択された1種以上、例えば、水、または10乃至70%(v/v)、好ましくは20乃至60%(v/v)、より好ましくは約25乃至55%(v/v)のメタノール水溶液若しくはエタノール水溶液、または水飽和ブチルアルコールを加えて0.5乃至20時間、好ましくは1乃至10時間、より好ましくは2乃至5時間抽出して、抽出物を得ることができる。前記抽出温度は特別な制限はないが、40乃至110℃、好ましくは55乃至90℃であることが好ましい。好ましい例において、前記得られた抽出物を濾過して濾過液を集め、再び残渣に原料重量の1乃至10体積倍、好ましくは4乃至7体積倍の水、及び炭素数1乃至4個の直鎖または分枝型アルコールからなる群より選択された1種以上、例えば、水、または10乃至70%(v/v)、好ましくは20乃至60%(v/v)、より好ましくは約25乃至55%(v/v)のメタノール水溶液、エタノール水溶液または水飽和ブチルアルコールを加えて加温して1乃至10時間、好ましくは2乃至5時間の間再抽出した後、濾過し減圧濃縮して黄蓮抽出物を得ることができる。この時、前記得られた抽出物を以前の濾過液と混合することによって抽出効率を高めることができる。
【0040】
このように2回の抽出及び各々の抽出後に得られた濾過液を混合することによって抽出効率を高めることができるが、このような抽出回数に限定されるわけではない。
【0041】
前記黄蓮抽出物及び/またはアイビーの葉抽出物の製造時に使用される溶媒の量が過度に少ないと攪拌が難しく、抽出物の溶解度が低くなって抽出効率が低下するようになり、過度に多い場合は次の精製段階で使用される低級アルコールの使用量が多くなって経済的でなくて取り扱い上問題が発生することがあるので、溶媒の使用量は前記範囲とすることが良い。
【0042】
本発明の一つの好ましい実施形態においては、1次抽出後に再び再抽出する方法を採択することができるが、これは、生薬抽出物を大量生産する場合に効果的に濾過するとしても生薬自体の抽出液含量が高いために損失が発生し、1次抽出のみでは抽出効率が低下するので、これを防止するためである。また、各段階別抽出効率を検証した結果、2次抽出によって全体抽出量の80乃至90%程度が抽出されると確認され、3次以上の多段階抽出は経済性がないと判断される。
【0043】
溶媒可溶抽出物は、前記得られた粗抽出物を約2乃至10倍、好ましくは約3乃至7倍体積の水で懸濁させた後、炭素数1乃至6個の直鎖または分枝型アルコール水溶液、好ましくはプロピルアルコール水溶液及びイソプロピルアルコール水溶液、及び水飽和ブチルアルコールからなる群より選択された1種以上の溶媒を懸濁液の0.5乃至3倍、好ましくは同量乃至2倍加えて1回乃至5回、好ましくは2回乃至3回溶媒可溶層を抽出した後に減圧濃縮して製造することができる。
【0044】
前記のような低級アルコールを利用した溶媒可溶抽出過程は、不要な蛋白質、多糖類、及び脂肪酸などの不純物を精製する段階であり、低級アルコールの使用量が濾過液に比べて少ない場合には、脂肪酸などの不要な成分による微粒子が形成されるため、層分離が円滑でないだけでなく、有効活性成分の抽出含量が低くなって効率的でないので、低級アルコールの使用量は前記範囲にすることが好ましい。
【0045】
層分離後に得られた低級アルコール分画(fraction)を50乃至60℃で減圧濃縮して、試料中に残存する溶媒を除去する。
【0046】
このように得られた濃縮物に残存する低級アルコールの含量を医薬品原料用途に適合するように調節するために、この濃縮物を濃縮物総量の約10乃至30倍、好ましくは15乃至25倍、より好ましくは約20重量倍の水で1乃至5回、好ましくは2乃至3回共沸濃縮し、再び同量の水を加えて均質に懸濁させた後、凍結乾燥させることによって、粉末状態の黄蓮抽出物及び/またはアイビーの葉抽出物を製造することができる。
【0047】
好ましくは、前記混合抽出物内各々の抽出物が均質に混合されるようにするために、混合抽出物に約2乃至3重量倍の水を添加した後、50乃至60℃の温度下で減圧濃縮し、前記濃縮物に同量の水を再び加えて均質に懸濁させた後、凍結乾燥させることによって、粉末状態の組成物を製造することができる。
【0048】
また、他の実施形態において、アイビーの葉と黄蓮の混合抽出物の製造方法は、
乾燥アイビーの葉と黄蓮、好ましくは黄蓮根茎部位を重量基準に1:4乃至7:1(アイビーの葉重量:黄蓮重量)、好ましくは1:1乃至6:1、より好ましくは2:1乃至5:1に混合してアイビーの葉と黄蓮混合物を製造する段階;及び
前記混合物に水、及び炭素数1乃至4個の直鎖または分枝型アルコールからなる群より選択された1種以上、例えば、水、または10乃至70%(v/v)、好ましくは20乃至60%(v/v)、より好ましくは約25乃至55%(v/v)のメタノール水溶液若しくはエタノール水溶液、または水飽和ブチルアルコールを添加して抽出する段階を含むことができる。
【0049】
前記方法は、アイビーの葉と黄蓮混合物の抽出物を得る段階以降に、炭素数1乃至6個の直鎖または分枝型低級アルコール水溶液、好ましくはプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、及び水飽和ブチルアルコールからなる群より選択された1種以上を加えて得られた溶媒可溶抽出物を収得する段階をさらに含むことができる。
【0050】
前記粗抽出物及び溶媒可溶抽出物製造段階の詳細は前記各々の生薬抽出物を製造する場合と同一である。
【0051】
本発明において適用される抽出方法は通常使用される全ての方法であって良く、例えば、冷浸抽出、熱水抽出、超音波抽出、還流抽出または冷却抽出であって良いが、これに限定されるわけではない。
【0052】
本発明の他の態様は、黄蓮抽出物またはアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物を有効性分として含有する鎮咳剤組成物を提供する。本発明の他の態様は、黄蓮抽出物またはアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物を有効性分として含有する去痰剤組成物を提供する。本発明の他の態様は、黄蓮抽出物またはアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物を有効性分として含有する呼吸器疾患の予防用及び/または治療用組成物を提供する。
【0053】
本発明の他の態様は、患者に黄蓮抽出物またはアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物を治療的有効量で投与する段階を含む咳抑制方法を提供する。本発明の他の態様は、患者に黄蓮抽出物またはアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物を治療的有効量で投与する段階を含む痰除去方法を提供する。本発明の他の態様は、患者に黄蓮抽出物またはアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物を治療的有効量で投与する段階を含む呼吸器疾患の予防及び/または治療方法を提供する。前記患者は、咳抑制、痰除去または呼吸器疾患の予防及び/または治療を必要とする全ての哺乳類、好ましくは人間であることがある。
【0054】
前記治療的有効量は所望の治療効果を得るために定められた投与量であって、患者の年齢、体重、性別、投与形態、健康状態、及び疾患程度により変わることができ、医師または薬剤師の判断により変わることができ、例えば、1日投与量は、有効成分含量を基準に0.5乃至500mg/kg、好ましくは1乃至300mg/kgであって良いが、これに制限されるわけではない。前記投与量は1日1回投与または1日数回分割投与も可能である。前記投与量は平均的な場合を例示したものであって、個人差によってその投与量が高かったり低かったりすることがある。本発明の混合抽出物含有組成物の1日投与量が前記投与量未満であれば有意性ある効果を得ることができず、それ以上を超える場合は非経済的であるだけでなく、常用量の範囲を超えるため好ましくない副作用が現れる恐れが発生するすることがあるので、前記範囲にすることが好ましい。
【0055】
黄蓮抽出物及びアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物は、鎮咳作用、去痰作用、抗ヒスタミン作用、気管支収縮抑制作用、気道過敏性抑制作用、肺組織の気管支閉塞抑制、及び炎症細胞浸潤抑制作用を示すので、これに関わる呼吸器疾患の予防、治療または症状緩和により有用に使用できる。また、アイビーの葉と黄蓮の混合抽出物の場合、各々の単独抽出物より上昇した効果を得ることができるのでより好ましい。
【0056】
前記呼吸器疾患は咳と痰を伴う全ての疾患であることができ、例えば、一般的な咳または痰;咳または痰を伴う肺気腫;慢性気管支炎、急性気管支炎、カタール性気管支炎、閉鎖性または炎症性気管支の病気などの気管支炎;気管支喘息、アトピー性喘息、アトピー性気管支IgE媒介喘息、非アトピー性喘息、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息などの喘息;慢性または急性気管支収縮;喘鳴性乳児症候群(stridulus infant syndrome);慢性閉塞性肺疾患;気管支腺腫;孤立性肺結節;肺結核;膿胸;肺膿瘍;風邪;インフルエンザ;及び肺の組織球増殖症(pulmonary histiocytosis)などからなる群より選択された1種以上の疾患であることができる。
【0057】
本発明による組成物は、人間を含むほ乳動物に多様な経路で投与できる。投与方式は通常使用される全ての方式が可能であり、例えば、経口、直腸または静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜または脳室内(intracerebroventricular)注射によって投与できる。本発明の組成物は各々通常の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口型剤形、経皮剤、座剤、及び滅菌注射溶液形態の非経口剤形などに剤形化して使用できる。
【0058】
本発明の組成物は、前記抽出物以外に薬剤学的に適し、生理学的に許容される担体、賦形剤、及び希釈剤などの補助剤をさらに含有するものであっても良い。
【0059】
本発明の組成物を人間に適用する具体例において、本発明の組成物は単独で投与できるが、一般に投与方式と標準薬剤学的慣行(standard phamaceutical practice)を考慮して選択された薬剤学的担体と混合されて投与できる。例えば、本発明の混合抽出物含有組成物は澱粉またはラクトースを含有する錠剤形態に、または単独または賦形剤を含有するカプセル形態に、または味を出したり色を帯びるようにする化学薬品を含有するエリキシルまたは懸濁剤形態に、経口、口腔内または舌下投与が可能である。このような液体製剤は、懸濁剤(例えば、メチルセルロース、ウィテプゾール(witepsol)などの半合成グリセリド、または杏仁油(apricot kernel oil)とPEG−6エステルの混合物またはPEG−8とカプリル酸/カプリン酸グリセリドの混合物などのグリセリド混合物)などの薬剤的に許容可能な添加剤と一緒に剤型化することができる。
【0060】
本発明の他の態様は、黄蓮抽出物またはアイビーの葉及び黄蓮の混合抽出物を含有する鎮咳、去痰、喘息など呼吸器疾患予防または改善用健康機能性食品を提供する。前記健康機能性食品は各種食品、飲料、食品添加剤などであることができる。
【0061】
前記健康機能性食品に含まれている有効性分としての抽出物の含量は食品の形態、所望の用途などにより適切に調節することができ特別な制限がなく、例えば、全体食品重量の0.01乃至15重量%で加えることができ、健康飲料組成物は、100mLを基準に0.02乃至10g、好ましくは0.3乃至1gの比率で加えることができる。
【0062】
特に、本発明の生薬組成物を人体に投与する場合、天然抽出物の一般的特性に照らしてみれば、他の合成医薬品に比べて副作用の心配がないと思料され、実際に規格化された生薬組成物に対する毒性試験の結果、生体に何の影響もないことが判明された。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】マウスモデルを利用したフェノールレッド排出法(phenol red secretion method)によって黄蓮抽出物と活性分画物及び代表的成分の喀痰排出効果を示したものである。
【図2】実施例2で製造された抽出物の去痰活性を示したものであって、マウスを利用したフェノールレッド法によって測定された結果を示したものである。
【図3】実施例2で製造された抽出物の鎮咳活性を示したものであって、モルモットを利用した咳抑制試験の結果を示したものである。
【図4】実施例2で製造された抽出物の気管支収縮抑制活性を示したものであって、モルモットから摘出した気管支を利用した収縮誘導剤に対する弛緩率(%)を示したものである。
【図5】OVAで感作されて試験されたマウスの肺組織における気管支閉塞及び気管支炎症細胞浸潤抑制活性に対する実施例2−7の抽出物の効果を示したものである((a)正常群、(b)誘発群、(c)陽性対照群、(d)実施例2−7)。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を実施例及び実験例によって詳しく説明する。
【0065】
但し、下記の実施例及び実験例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例及び実験例に限定されるわけではない。
【0066】
実施例1.黄蓮抽出物の製造
1−1.水を利用した黄蓮抽出物の製造
1−1−1.黄蓮粗抽出物(CR−GA)の製造
京東市場(Kyungdong market)で購入した黄蓮を水で洗浄して不純物を除去した後、乾燥された黄蓮250gを1.5Lの水で、80℃で3時間ずつ2回熱水抽出した後、抽出液を濾過した後に減圧濃縮して粗抽出物62.5g(元生薬対比25%収率)を得て、これを以下「CR−GA」と命名し、下記の実施例1−2で使用した。
【0067】
1−1−2.黄蓮溶媒可溶抽出物(CR−GA−1)の製造
前記実施例1−1−1で得られたCR−GA62.5gに0.5Lの水を加えて懸濁させ、ここに水飽和ブチルアルコール1Lを加え、2回層分離した後、水飽和ブチルアルコール分画のみを集めて乾燥されるまで減圧濃縮した。大部分のブチルアルコールと水が蒸発したら、0.4Lの水を加えて共沸濃縮することを2回繰り返し、最終的に0.1Lの蒸溜水を加えて懸濁させた後、凍結乾燥して、粉末状態の黄蓮抽出物19.8g(元生薬対比7.92%収率)を得て、これを以下「CR−GA−1」と命名し、下記実験例の試料として使用した。
【0068】
1−2.50%(v/v)エタノールを利用した黄蓮抽出物の製造
1−2−1.黄蓮粗抽出物(CR−GB)の製造
京東市場(Kyungdong market)で購入した黄蓮を水で洗浄して不純物を除去した後、乾燥された黄蓮250gを2.0Lの50%(v/v)エタノール水溶液で、80℃で3時間ずつ2回還流抽出した後、抽出液を濾過した後に減圧濃縮して粗抽出物57.5g(元生薬対比23%収率)を得て、これを以下「CR−GB」と命名し、下記の実施例2−2で使用した。
【0069】
1−2−2.黄蓮溶媒可溶抽出物(CR−GB−1)の製造
前記実施例1−2−1で得られたCR−GB57.5gに0.3Lの水を加えて懸濁させ、ここに水飽和ブチルアルコール0.6Lを加えて2回層分離した後、ブチルアルコール分画のみを集めて乾燥されるまで減圧濃縮した。大部分のブチルアルコールと水が蒸発したら、0.2Lの水を加えて共沸濃縮することを2回繰り返し、最終的に0.2Lの蒸溜水を加えて懸濁させた後、凍結乾燥して、粉末状態の黄蓮抽出物31.8g(元生薬対比12.7%収率)を得て、これを以下「CR−GB−1」と命名し、下記実験例の試料として使用した。
【0070】
1−3.水飽和ブチルアルコールを利用した黄蓮抽出物の製造
1−3−1.黄蓮抽出物(CR−GC)の製造
京東市場(Kyungdong market)で購入した黄蓮を水で洗浄して不純物を除去した後、乾燥された黄蓮250gを2.5Lの水飽和n−ブチルアルコールで、85℃で3時間ずつ2回還流抽出した後、抽出液を濾過した後に減圧濃縮し、大部分のブチルアルコールが蒸発したら、0.2Lの水を加えて共沸濃縮することを2回繰り返し、最終的に0.2Lの蒸溜水を加えて懸濁させた後、凍結乾燥して、粉末状態の抽出物32.8g(元生薬対比13.1%)を得て、これを以下「CR−GC」と命名し、下記実験例で使用した。
【0071】
1−4.黄蓮抽出物の分離
前記実施例1−2−2のCR−GB−1の20gを、塩化メチレンとメタノール(30:1〜7:1(v/v))の混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、5個の分画(fractions)に分けた。Fr.1は0.8g(以下、「Fr.1」という)、Fr.2は2.6g(以下、「Fr.2」という)、Fr.3は5.5g(以下、「Fr.3」という)、Fr.4は2.8g(以下、「Fr.4」という)、Fr.5は6.5g(以下、「Fr.5」という)であり、これらを下記実験例の試料として使用した。
【0072】
実施例2.アイビーの葉と黄蓮の混合抽出物の製造
アイビーの葉抽出物の製造
アイビー(ヘリックス種)の葉を水で洗浄して不純物を除去し、完全に乾燥させた。このように準備されたアイビーの葉250gに30%(v/v)エタノール水溶液3Lを加え、6時間還流抽出し、そして抽出物を濾過して濾過液を集めた。残渣に対しては、30%(v/v)エタノール水溶液2.5Lを加え、3時間の間80℃で還流抽出し、得られた濾過液を以前に集めた濾過液と混合して減圧濃縮した。大部分の溶媒が蒸発したら、0.2Lの水を加えて共沸濃縮することを2回繰り返し、そして同量の水を加えて均質に懸濁させた後に、この懸濁液を凍結乾燥させ、粉末状態のアイビーの葉抽出物42.4gを得た。このように得られたアイビーの葉抽出物を下記の実施例2−1乃至2−11の混合抽出物製造に使用した。
【0073】
黄蓮抽出物の製造
黄蓮(Coptidis rhizoma)を水で洗浄して不純物を除去し、完全に乾燥させた。このように準備された黄蓮250gに、2.0Lの50%(v/v)エタノール水溶液を加えて、80℃で3時間還流抽出した。その後、抽出液を濾過した後に減圧濃縮して粗抽出物57.5gを得た。これに0.3Lの水を加えて懸濁させ、更にこれに水飽和ブチルアルコール0.6Lを加えて2回層分離した。その後、ブチルアルコール分画のみを集めて乾燥されるまで減圧濃縮した。大部分のブチルアルコールと水が蒸発したら、水0.2Lを加えて共沸濃縮することを2回繰り返した。最終的にこれに同量の蒸溜水を加えて懸濁させた後、懸濁液を凍結乾燥して、粉末状態の黄蓮抽出物31.8gを得た。このように得られた黄蓮抽出物を下記の実施例2−1乃至2−11の混合抽出物製造に使用した。
【0074】
2−1.混合抽出物(0.2:1)の製造
前記で製造されたアイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物を重量基準で0.2:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)の比率で混合した。均質に混合させるために、混合抽出物に2乃至3重量倍ほどの水を添加した後、50乃至60℃の温度下で減圧濃縮した。得られた濃縮物に再び同量の水を加えて均質に懸濁させ、懸濁液を凍結乾燥させることによって、粉末状態の混合抽出物を製造した。
【0075】
2−2.混合抽出物(0.4:1)の製造
アイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の混合比率を重量基準で0.4:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)にすることを除いては、前記製造例1と同一の方法で混合抽出物を製造した。
【0076】
2−3.混合抽出物(1:1)の製造
アイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の混合比率を重量基準で1:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)にすることを除いては、前記製造例1と同一の方法で混合抽出物を製造した。
【0077】
2−4.混合抽出物(1.5:1)の製造
アイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の混合比率を重量基準で1.5:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)にすることを除いては、前記製造例1と同一の方法で混合抽出物を製造した。
【0078】
2−5.混合抽出物(2:1)の製造
アイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の混合比率を重量基準で2:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)にすることを除いては、前記製造例1と同一の方法で混合抽出物を製造した。
【0079】
2−6.混合抽出物(2.5:1)の製造
アイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の混合比率を重量基準で2.5:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)にすることを除いては、前記製造例1と同一の方法で混合抽出物を製造した。
【0080】
2−7.混合抽出物(3:1)の製造
アイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の混合比率を重量基準で3:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)にすることを除いては、前記製造例1と同一の方法で混合抽出物を製造した。
【0081】
2−8.混合抽出物(3.5:1)の製造
アイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の混合比率を重量基準で3.5:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)にすることを除いては、前記製造例1と同一の方法で混合抽出物を製造した。
【0082】
2−9.混合抽出物(4:1)の製造
アイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の混合比率を重量基準で4:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)にすることを除いては、前記製造例1と同一の方法で混合抽出物を製造した。
【0083】
2−10.混合抽出物(4.5:1)の製造
アイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の混合比率を重量基準で4.5:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)にすることを除いては、前記製造例1と同一の方法で混合抽出物を製造した。
【0084】
2−11.混合抽出物(5:1)の製造
アイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の混合比率を重量基準で5:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)にすることを除いては、前記製造例1と同一の方法で混合抽出物を製造した。
【0085】
実施例3.黄蓮抽出物の活性試験
3−1.黄蓮抽出物の去痰活性測定
[実験方法]
前記実施例1−1乃至実施例1−3の黄蓮抽出物の去痰活性を測定するために、Englerらによる方法(Engler H、Szelenyi I、J.Pharmacol.Moth.11、151〜157、1984、;Bao−quin Lin et.、Pulmonary Pharmacology & Therapeutics 21、259〜263、2008.)を利用して、下記の工程で実験を行った。
【0086】
陽性対照薬物(アンブロキソール、Sigma)及び試験薬物(実施例1−1乃至実施例1−3の黄蓮抽出物)を雄マウス(8週齢、Sam taco BioKorea)に経口投与し、30分後に500mg/kgのフェノールレッドを腹腔注射した(フェノールレッドは生理食塩水に溶解させた)。30分後、マウスをジエチルエーテル(diethyl ether)を利用して麻酔させ、腹部大動脈を切断して放血させた後、気管(trachea)全体を切除した。分離された気管を1mLの生理食塩水に入れて30分間洗浄し、10,000rpmで5分間常温で遠心分離して、上澄み液に1N苛性ソーダ(NaOH)を添加(上澄み液1mL当り1N NaOH0.1mLを添加)した後、546nmで吸光度を測定して、フェノールレッドの濃度として去痰活性を測定した。
【0087】
[実験結果]
このように得られた結果を下記表1に示した。
【0088】
【表1】

【0089】
実験の結果、上記表1に示されているように、全般的に活性が優れていることが分かり、特に、実施例2のCR−GB−1の喀痰排出能が最も優れた活性を示したことが確認された。
【0090】
また、実施例1−2のCR−GB−1の投与量別(50、100、150、200、500mg/kg)に活性を測定し、結果を下記表2に示した。
【0091】
【表2】

【0092】
実験の結果、上記表2に示されているように、実施例1−2のCR−GB−1の投与量が500mg/kgである時、喀痰排出能が最も優れた活性を示したことが確認された。
【0093】
3−2.黄蓮抽出物の鎮咳活性測定
[実験方法]
前記実施例1−1乃至実施例1−3の黄蓮抽出物の鎮咳活性を測定するために、Tanakaらによる方法(Motomu Tanaka and Kei Maruyama.、J.Pharmacol.Sci.93、465〜470、2003.、Daoui、Cognon、Naline et.、Am.J.Respir.Crit.Care.Med.158、42〜48、1998.)を利用し、下記の工程によって実験を行った。
【0094】
雄モルモット(6週齢、Sam taco BioKorea)に試験薬物を経口投与し、1時間後モルモットをプレチスモグラフチャンバー(Buxco、U.S.A.)に入れた後、咳誘発剤であるクエン酸(Sigma)を噴霧して咳を誘発させた。陽性対照群としては鎮咳剤として使用されているテオブロミン(Sigma)を使用した。0.2Mのクエン酸にモルモットを10分間露出させ、この時に発生する咳数を15分間測定した。
【0095】
[実験結果]
前記で得られた結果を下記表3に示した。
【0096】
【表3】

【0097】
実験の結果、上記表3に示されているように、全般的に活性が優れていることが分かり、特に、実施例1−2のCR−GB−1の咳抑制能が最も優れた活性を示したことが確認された。
【0098】
また、実施例1−2のCR−GB−1の投与量別(50、100、150、200mg/kg)に活性を測定し、結果を下記表4に示した。
【0099】
【表4】

【0100】
実験の結果、上記表4に示されているように、実施例1−2のCR−GB−1の投与量が200mg/kgである時、咳抑制効果が最も優れた活性を示したことが確認された。
【0101】
3−3.黄蓮抽出物の抗ヒスタミン活性測定
[実験方法]
前記実施例1−1乃至実施例1−3の黄蓮抽出物の抗ヒスタミン活性を測定するために、Honuchiらによる方法(Masako Honuchi and Yoshiyuki Seyama、J.Health Sci.、52(6)、711〜717、2006.、Naoki Inagaki et.Biol.Pharm.Bull.24(7)、829〜834、2001.)を利用し、下記の工程によって実験を行った。
【0102】
卵白アルブミンで感作させた雄ラット(7週齢、Sam taco BioKorea)の腹膜脂肪細胞を利用して、抗ヒスタミン効果を測定した。陽性対照群としてはケトチフェン(Sigma)を使用した。卵白アルブミンで感作させたラットにケトチフェンを5mg/kg、試験薬物を各々200mg/kg濃度で4日間経口投与した後、腹腔肥満細胞を分離した。分離された腹腔肥満細胞(2×10cells/mL)を、0.01mg/mL、0.1mg/mL、1.0mg/mLの濃度のケトチフェン、及び0.1mg/mL、1.0mg/mL、10mg/mLの濃度の試験薬物で処理した。最後に肥満細胞を、ヒスタミンを非免疫学的に遊離させる物質であるコンパウンド48/80(compound48/80、Sigma)で10μg/mLの濃度で処理した。この時、肥満細胞から遊離したヒスタミンの量を定量して、試験物質が肥満細胞からヒスタミンの遊離を抑制させるか否かを調べた。ラットの肥満細胞から遊離したヒスタミンの、何の薬物も投与しなかった場合に対する相対的な量を測定し、結果を下記表5に示した。
【0103】
【表5】

【0104】
実験の結果、上記表5に示されているように、全般的に活性が優れていることが分かり、特に、実施例1−2のCR−GB−1の抗ヒスタミン効果が最も優れた活性を示したことが確認された。
【0105】
また、実施例1−2のCR−GB−1の投与量別(100、200、400mg/kg)に活性を測定し、結果を下記表6に示した。
【0106】
【表6】

【0107】
実験の結果、上記表6に示されているように、実施例1−2のCR−GB−1の投与量が400mg/kgである時、抗ヒスタミン効果が最も優れた活性を示したことが確認された。
【0108】
3−4.活性小分画(active sub−fractions)の鎮咳活性測定
前記実施例1−4で製造された5個の小分画(sub−fractions)に対する鎮咳活性を測定するために、前記実験例3−2と同一の方法で鎮咳活性に対する実験を行い、実験結果を下記表7に示した。
【0109】
【表7】

【0110】
実験の結果、上記表7に示されているように、全般的に活性が優れていることが分かり、特に、Fr.3の鎮咳活性が優れていることが確認された。
【0111】
3−5.活性小分画の抗ヒスタミン活性測定
前記実施例1−4で製造された5個の小分画に対する鎮咳活性を測定するために前記実験例3−3と同一の実験を行い、実験結果を下記表8に示した。
【0112】
【表8】

【0113】
実験の結果、上記表8に示されているように全般的に活性が優れていることが分かり、特に、Fr.3の抗ヒスタミン活性が優れていることが確認された。
【0114】
3−6.黄蓮抽出物の成分分析
前記実施例の黄蓮抽出物及び分画物に対する成分を分析するために、HPLC、LC/MS、UV−スペクトロメータ、及びFT−NMRなどの物理化学的分析を利用して、実験を行った。
【0115】
実験の結果、黄蓮抽出物にはベルベリン、パルマチン、コプチシン、コルンバミン、及びジャトロリジンが含まれていたことが確認された。前記実施例1−1乃至実施例1−4の黄蓮抽出物の成分含量を下記のように分析し、結果を表9に示した。
【0116】
高速液体クロマトグラフィーは、Waters alliance 2695モデル、Waters PDA 2996を利用して測定した。カラムとしてYMC Hydrosphere C18(S−5μm、120nm、4.6×250mmI.D)を使用し、試料温度は25℃±1、カラム温度は30℃±1を維持した。試料濃度は1mg/mL、注入量は10μL、流速は1.0mL/minとした。また、ベルベリン、パルマチン、及びコプチシンの測定のための標準物質は商品化されているものをシグマ社から購入して使用し、コルンバミンとジャトロリジンの測定のための標準物質は黄蓮から分離、精製して使用した。移動相の、0.2%燐酸溶液(溶媒A)とメタノール(溶媒B)のグラジエント条件は、0分〜60分(A:B=9:1〜6:4)、60分〜70分(A:B=6:4〜5:5)、70分〜90分(A:B=5:5〜0:10)とした。抽出物中の活性成分含量は、各々の標準物質に対する面積比を重量百分率で示した。
【0117】
【表9】

【0118】
実験の結果、上記表9に示されているように、主要成分の含量を抽出物及び分画物の製造方法別に比較した結果、ベルベリン0.5乃至47.0重量部、パルマチン0.2乃至21.4重量部、コプチシン0.1乃至18.0重量部、コルンバミン0.1乃至3.2重量部、ジャトロリジン0.1乃至2.6重量部を含有していることが確認された。
【0119】
3−7.ベルベリンの去痰活性測定
前記実施例1−2及び実施例1−3の黄蓮抽出物、実施例1−4で製造された5個の小分画に対する去痰活性を測定するために、前記実験例1と同一の方法で去痰活性に対する実験を行い、実験結果を下記表10に示し、この活性に対する棒グラフを図1に示した。
【0120】
【表10】

【0121】
実施例4:アイビーの葉と黄蓮の混合抽出物の活性試験
4−1.去痰活性評価試験
前記実施例2(2−1乃至2−11)で製造された混合抽出物と単独抽出物の去痰活性を評価するために、Englerらによる方法(Engler H、Szelenyi I、J.Pharmacol.Moth.11、151〜157、1984.、Bao−quin Lin et.、Pulmonary Pharmacology & Therapeutics21、259〜263、2008.)を利用して、前記実験例3−1の[実験方法]と同一の方法で実験を行い、その結果を図2に示した。図2において、陽性対照群(アンブロキソール)は250mg/kg、残りの試験薬物は500mg/kgを経口投与した。また、そのうちの最も活性が優れた実施例2−7の抽出物に対して投与量別に去痰活性を評価し、その結果を次の表11に示した。
【0122】
【表11】

【0123】
図2から分かるように、実施例2−1乃至2−11の全ての混合抽出物はアイビーの葉の単独抽出物より改善された去痰効果を示し、前記結果から、黄蓮抽出物とアイビーの葉抽出物の混合による薬理学的活性への相乗作用を確認することができる。
【0124】
特に、実施例2−3乃至2−9の場合には陽性対照群として使用された従来の去痰剤であるアンブロキソールより優れた去痰効果を示し、アイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物が重量基準に1:1乃至4:1の混合比で混合された場合、より上昇した去痰効果を示すことが分かる。
【0125】
上記表11は最も活性の高い実施例2−7を投与量別に評価したものであって、実施例2−7の物質は陽性対照薬物より優れた喀痰排出能を有することが示された。特に、実施例2−7の物質は投与量100mg/kg以上で陽性対照群と同様の効果を示し、特に、150mg/kg以上では陽性対照群より優れた効果を示すことが分かる。
【0126】
4−2.鎮咳活性評価試験
実施例2で製造されたアイビーの葉抽出物、及びアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物(実施例2−1乃至2−11)の鎮咳活性を測定するために、Tanakaらによる方法(Motomu Tanaka and Kei Maruyama.、J.Pharmacol.Sci.93、465〜470、2003.、Daoui、Cognon、Naline et.、Am.J.Respir.Crit.Care.Med.158、42〜48、1998.)を利用して、前記実験例3−2の[実験方法]と同一の方法で実験を行い、その結果を図3に示した。
【0127】
図3において、陽性対照群(テオブロミン、Sigma)は50mg/kg、残りの試験薬物は200mg/kgを経口投与した。そのうちの最も活性が優れた実施例2−7に対して投与量別に鎮咳活性を評価し、その結果を次の表12に示した。
【0128】
【表12】

【0129】
図3から分かるように、実施例2−1乃至2−11の全ての混合抽出はアイビーの葉の単独抽出物より改善された鎮咳効果を示し、前記結果から黄蓮抽出物とアイビーの葉抽出物の混合による薬理学的活性への相乗作用を確認することができる。特に、実施例2−3乃至2−9の場合には、陽性対照群に使用された従来の鎮咳剤テオブロミンより優れた鎮咳効果を示して、アイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物が重量基準に1:1乃至4:1の混合比で混合された場合、より優れた鎮咳効果を示すことが分かる。
【0130】
また、前記の表12は、最も活性の高い実施例2−7を投与量別に評価したものであって、投与量100mg/kg以上で陽性対照群と同様の効果を示し、特に、150mg/kg以上では陽性対照群より優れた効果を示すことが分かる。
【0131】
4−3.抗ヒスタミン効果試験
実施例2で製造されたアイビーの葉抽出物、及びアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物(実施例2−1乃至2−11)の肥満細胞における抗ヒスタミン効能を測定するために、Honuchiらによる方法(Masako Honuchi and Yoshiyuki Seyama、J.Health Sci.、52(6)、711〜717、2006.、Naoki Inagaki et.Biol.Pharm.Bull.24(7)、829〜834、2001.)を利用して、前記実験例3−3の[実験方法]と同一の方法で実験を行い、その結果を次の表13に示した。また、そのうちの活性が優れた実施例2−7に対して投与量別に抗ヒスタミン効能を評価し、その結果を次の表14に示した。
【0132】
【表13】

【0133】
【表14】

【0134】
前記表13に示されているように、アイビーの葉抽出物、及び本発明による実施例2−1乃至2−11の混合抽出物は抗ヒスタミン効果があることが確認される。特に、各々抗ヒスタミン活性を示すアイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物を混合する場合、相乗作用が生じることが分かる。また、前記表14は、最も活性が優れた実施例2−7を投与量別に評価したものであって、これにより実施例2−7の物質が優れた抗ヒスタミン活性を示すことが分かる。
【0135】
4−4.気管支収縮抑制試験(in vitro)
実施例2で製造されたアイビーの葉抽出物、及びアイビーの葉と黄蓮の混合抽出物(実施例2−1乃至2−11)の気道収縮抑制効能を測定するために、Casoni GLらによる方法(Clin Exp Allergy.、33、999−1004、2003、Anesth Analg.、89、191−196、1999、Br J Pharmacol.、128、577−584、1999)を利用して、下記の工程によって実験を行った。
【0136】
Hartely系雄モルモット(350〜400g、大韓バイオリンク)にペントバルビタールナトリウム(pentobarbital sodium、75mg/kg)を腹腔投与して麻酔させた後、気管支を摘出した。クレープス−ヘンゼライト(Krebs−Henseleit)溶液内で摘出気管支を約3〜5mm程度に切断して分節に分けた後、オルガンバス(organ bath)内で固定させ、10−4M ヒスタミンを潅流させて摘出気管支を収縮させた。その後、これに試験物質(0.50mg/mL)を加えて、摘出気管支の緊張度変化を測定した。陽性対照薬物として、ニトロプルシドナトリウム二水和物(sodium nitroprusside dihydrate)を2.6×10−5mg/mL濃度で使用した。10−4M ヒスタミンで誘発した収縮を100%と仮定して、賦形剤対照群弛緩率(%)を同じ条件で得られた試験物質投与群及び陽性対照薬物投与群の弛緩率(relaxation rate)(%)から差し引くことで、試験物質投与群及び陽性対照薬物投与群の弛緩率(relaxation rate)(%)を算出した。このように得られた気管支弛緩率(気管支収縮抑制能)を図4に示し、活性が最も優れた実施例2−7に対して投与量別に気管支弛緩率を評価して、表15に示した。
【0137】
【表15】

【0138】
図4に示されているように、アイビーの葉抽出物、及び実施例2−1乃至2−11の混合抽出物は全て気管支収縮抑制効果があることを確認した。さらに、実施例2−1乃至2−11の全ての混合抽出物がアイビーの葉の単独抽出物より増進された気管支収縮抑制効果を示した。前記表15は最も活性が優れた実施例2−7を投与量別に評価したものであって、優れた気管支収縮抑制活性を示すことが分かる。
【0139】
4−5.マウス喘息モデルを利用した抗喘息効果試験
前記実験例4−1乃至4−4の結果において効果が最も優れていた実施例2−7の混合抽出物のマウス喘息モデルを利用した抗喘息効果を確認するために、Tang M.L.K.らによる方法(Pulmonary Pharmacology & Therapeutics、14、203−210、2001、Immunology and Cell Biology 79、141−144、2001、Journal of Experimental Medicine 189(10)、1621−1629、1999)を利用して試験した。そして評価のために、メタコリンに対する気道過敏性(Airway hyper−responsiveness;AHR)調査、血漿内のIgE数値調査、気管支肺胞洗浄液(Bronchoalveolar lavage fluid;BALF)における細胞数及び白血球細胞分布調査、肺組織観察、及びRT−PCR(IL−1β、IL−4、IL−13r2a)をおこなった。
【0140】
[実験方法]
Balb/cマウス(18〜21g、Orientbio Inc.)に、腹腔注射用に調製したオボアルブミン(OVA、Sigma)溶液を一匹当り500μL(OVAとして20μg)、Day0とDay7に腹腔投与し、OVA吸入投与(inhalation)用に調製した溶液でnubulizer(NE−U17、OMRON Co.Ltd、Japan)を利用して感作後、調製した5%OVA溶液をDay14からDay20まで毎日30分ずつ吸入投与した。陽性対照薬物としてはモンテルカストナトリウム(montelukast sodium)を30mg/kg、全ての試験物質は200mg/kgを使用した。陽性対照薬物及び試験物質は感作後にDay14からDay20までの7日間、OVA吸入投与する1時間前に毎日経口投与し、そして次の評価項目による試験を行った。
【0141】
1)メタコリン(Methacholine)に対する気道過敏性(Airway hyper−responsiveness;AHR)調査
最後にOVA吸入投与してから24時間後に(Day21)、マウスを全身プレスチモグラフ(whole body plethysmograph)(BUXCO、USA)に入れ、メタコリン0、10、及び20mg/mL濃度の溶液を0.4mL取って、エアゾールに入れてマウスに各々3分間吸入投与し、投与時点から4分間Penhを測定して、平均値を当該メタコリン投与量におけるPenh(enhanced pause)とした。
【0142】
2)血漿内のIgE数値調査(Day21)
1)の測定が終わった動物について、眼窩採血によって約0.05mLの血液を得た後、遠心分離して得られた血漿を二つに分けた後、1:10に希釈してIgE エライザ診断(enzyme linked immunosorbent assay、ELISA;マウスIgE ELISA kit、ME−151、SHIBAYAGI Co.、Ltd.、JAPAN)により血漿内の免疫グロブリンE(IgE)の数値を調査した。
【0143】
3)気管支肺胞洗浄液(Bronchoalveolar lavage fluid;BALF)における細胞数及び白血球細胞分布の調査(Day22)
2)の採血が終わった動物にペントタールナトリウム(50mg/kg)を腹腔注射して麻酔した後、左肺をニッパーで固定した状態でPBS溶液0.4mLを気管支と肺に注入した後、抜き出して洗浄液を取り、これを3回繰り返した。この溶液1,500gを遠心分離して上澄み液を捨て、沈殿物にPBS0.2mLを加えて再び懸濁した。これを自動血球分析装置(Advia 120 coulter counter、BAYER、Germany)を使用して、全白血球細胞、好中球、好酸球、及びリンパ球細胞の数を測定した。
【0144】
4)肺組織の観察
ニッパーで固定した左肺を取って10%ホルマリン溶液に一日間固定した後、ティッシュプロセッサー(tissue processor)でパラフィンを浸透させた組織をミクロトームを利用して3−4μmの厚さに切断することで、組織切片を作製した。用意されたスライドをエオシン(Eosin)染色し、バルサム(balsam)でカバースライドを覆い、顕微鏡で観察して、細気管支の閉塞(occlusion)と炎症細胞の浸潤(infiltration)の程度を調査した。
【0145】
5)RT−PCR
右肺組織を迅速に取って試験実施前に−80℃で保管した。RNA−Bee(Tel−Test Inc.USA)を利用して組織よりRNAを分離し、分離されたRNAを分光光度計を利用して260nmで定量した後、4μgのRNAとOligo dT 2μL(Promega)、及びDEPC waterを加えることで10μLにし、65℃で5分間反応させた。その後、5x 反応バッファー(reaction buffer) 5μL+RTase 2μL+dNTP 5μL+RNase抑制剤1μL+DEPC water 2μLを入れ、総量25μLの混合物を42℃で1時間、100℃で5分間反応させてcDNAを調製した。前記使用された試薬は全てPromegaから購入して使用した。PCRは準備しておいたプライマー(IL−1β、IL−4、IL−13r2a)を使用して行った。使用されたプライマーは次の通りである。
【0146】
IL−1β forward:5’−TCATGGGATGATGATGATAACCTGCT−3’(配列番号1)、
IL−1β reverse:5’−CCCATACTTTAGGAAGACACGGATT−3’(配列番号2);
IL−4 forward:5’−TCATCGGCATTTTGAACGAG−3’(配列番号3)、
IL−4 reverse:5’−GAATCCAGGCATCGAAAAGC−3’(配列番号4);
IL−13r2a forward:5’−GGTTATGCCAAATGCACTTGAG−3’(配列番号5)、
IL−13r2a reverse:5’−ATGGCTTTTTGTGCATATCAGAT−3’(配列番号6)。
【0147】
PCR条件は94℃30秒、56℃30秒、72℃1分の32サイクル(cycle)であり、PCR反応物を2%アガロースゲルに電気泳動させ、EtBr染色し、その後、UVを照射し、密度を比較し、アクチンの密度値で分けてその値を分析した。
【0148】
[実験結果]
1)メタコリンに対する気道過敏性(Airway hyper−responsiveness;AHR)調査
陽性対照薬物として使用されたモンテルカスト(DR.REDDY’S)とアイビーの葉抽出物、及び実施例2−7の混合抽出物の濃度によるメタコリンに対する気道過敏性は下記の表16に示した。
【0149】
【表16】

【0150】
上記表16に示されたように、実施例2−7の混合抽出物は、陽性対照薬物及びアイビーの葉抽出物を単独で使用した場合より優れた気道過敏性抑制活性を有することが明らかになった。
【0151】
2)血漿内のIgEの数値調査
陽性対照薬物として使用されたモンテルカスト、アイビーの葉抽出物、及び実施例2−7で得られた混合抽出物の濃度による血漿内IgEの数値は下記の表17に示した。
【0152】
【表17】

【0153】
上記表17に示されたように、本発明による実施例2−7の物質を投与した群は、アイビーの葉抽出物を単独投与した群及び陽性対照薬物を投与した群より、炎症を媒介するIgEの数値が少ないことが確認される。
【0154】
3)気管支肺胞洗浄液(Bronchoalveolar lavage fluid;BALF)における細胞数
陽性対照薬物として使用されたモンテルカスト、アイビーの葉抽出物、及び実施例2−7で得られた混合抽出物の濃度による気管支肺胞洗浄液における好中球及び好酸球細胞数を下記の表18に示した。
【0155】
【表18】

【0156】
上記表18に示されたように、実施例2−7の物質を投与した群は、アイビーの葉抽出物を単独で投与した群及び陽性対照薬物を投与した群より炎症に関わる白血球(好中球、好酸球)の数値が低いことが分かる。
【0157】
4)肺組織の観察
陽性対照薬物として使用されたモンテルカスト、アイビーの葉抽出物、及び実施例2−7で得られた混合抽出物の濃度による細気管支の閉塞(occlusion)と炎症細胞の浸潤(infiltration)の程度は下記の表19に示し、H&E染色を利用した染色された肺組織の写真は図5に示した((a)正常群、(b)誘発群、(c)陽性対照群、(d)実施例2−7)。下記の表19においては、閉塞及び炎症細胞の浸潤の程度によって、1=無し(No)、2=軽微(slight)、3=薄い(thin)、4=中程度(moderate)、5=濃い(thick)を示す。
【0158】
【表19】

【0159】
上記表19に示されたように、実施例2−7の混合抽出物は、アイビーの葉抽出物及び陽性対照薬物より優れた肺組織の気管支閉塞抑制及び炎症細胞浸潤抑制活性を有することが確認された。
【0160】
5)RT−PCR
陽性対照薬物として使用されたモンテルカスト及び実施例2−7で得られた試験物質の、濃度による炎症を媒介するサイトカイン(IL−1β、IL−4、IL−13r2a)の発現率を下記の表20に示した。下記の表20の数値は、各サイトカインのUV照射による密度をアクチンの密度値で割ることで得られた値である。
【0161】
【表20】

【0162】
上記表20に示されたように、実施例2−7の物質を投与した群は、アイビーの葉抽出物を単独投与した群及び陽性対照薬物を投与した群に比べて炎症を媒介するサイトカイン(IL−1β、IL−4、IL−13r2a)の発現が抑制されることが確認される。
【0163】
実施例5.黄蓮抽出物の製剤化
5−1.散剤の製造
黄蓮抽出物(実施例1−1) 20mg
乳糖 100mg
タルク 10mg
前記の成分を混合して気密袋に充填することによって散剤を製造した。
【0164】
5−2.錠剤の製造
黄蓮抽出物(実施例1−2) 10mg
とうもろこし澱粉 100mg
乳糖 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
前記の成分を混合した後、通常の錠剤の製造方法によって打錠して錠剤を製造した。
【0165】
5−3.カプセル剤の製造
黄蓮抽出物(実施例1−3) 10mg
結晶性セルロース 3mg
ラクトース 14.8mg
マグネシウムステアレート 0.2mg
通常のカプセル剤製造方法によって前記の成分を混合し、ゼラチンカプセルに充填することによってカプセル剤を製造した。
【0166】
5−4.注射剤の製造
黄蓮抽出物(実施例1−4) 10mg
マンニトール 180mg
注射用滅菌蒸溜水 2974mg
NaHPO、12HO 26mg
通常の注射剤の製造方法によって、1アンプル(2mL)当り前記の成分含量で製造した。
【0167】
5−5.液剤の製造
黄蓮抽出物(実施例1−1) 20mg
異性化糖 10g
マンニトール 5g
精製水 適量
通常の液剤の製造方法によって精製水に各々の成分を加えて溶解させ、レモンを適量加えて前記の成分を混合した後、精製水を加えて、総量を100mLに調節した後、茶色瓶に充填して滅菌させることによって液剤を製造した。
【0168】
5−6.健康食品の製造
黄蓮抽出物(実施例1−2) 1000mg
ビタミンAアセテート 70μg
ビタミンE 1.0mg
ビタミンB 10.13mg
ビタミンB 20.15mg
ビタミンB6 0.5mg
ビタミンB12 0.2μg
ビタミンC 10mg
ビオチン 10μg
ニコチン酸アミド 1.7mg
葉酸 50μg
パントテン酸カルシウム 0.5mg
無機質混合物 適量
硫酸第1鉄 1.75mg
酸化亜鉛 0.82mg
炭酸マグネシウム 25.3mg
第1燐酸カリウム 15mg
第2燐酸カルシウム 55mg
クエン酸カリウム 90mg
炭酸カルシウム 100mg
塩化マグネシウム 24.8mg
前記のビタミン及びミネラル混合物の組成比は、比較的に健康食品に適した好ましい混合組成の実施例を示すが、その配合比を任意に変更しても差し支えず、通常の健康食品の製造方法によって前記の成分を混合して顆粒を製造し、通常の方法によって健康食品組成物製造に使用することができる。
【0169】
5−7.健康飲料の製造
黄蓮抽出物(実施例1−3) 1000mg
クエン酸 1000mg
オリゴ糖 100g
梅濃縮液 2g
タウリン 1g
精製水を加えて 全体900mL
通常の健康飲料の製造方法によって前記の成分を混合した後、約1時間の間85℃で攪拌加熱した後、作られた溶液を濾過して滅菌された2L容器に取得して密封滅菌した後、冷蔵保管した。
【0170】
前記組成比は比較的に嗜好飲料に適した好ましい混合組成の実施例を示すが、需要階層、需要国家、使用用途などの地域的、民族的嗜好度によってその配合比を任意に変更しても差し支えない。
【0171】
実施例6.アイビーの葉と黄蓮の混合抽出物の製剤化
6−1.錠剤の製造
前記実施例2−7の混合抽出物200mg、軽質無水硅酸10mg、ステアリン酸マグネシウム2mg、微細結晶セルロース50mg、デンプングリコール酸ナトリウム(starch sodium glycolic acid)25mg、コーンスターチ113mg、及び無水エタノール適量を混合して、通常の方法によって錠剤に打錠した。
【0172】
6−2.健康食品の製造
混合抽出物(実施例2−7) 1000mg
ビタミンAアセテート 70μg
ビタミンE 1.0mg
ビタミンB1 0.13mg
ビタミンB2 0.15mg
ビタミンB6 0.5mg
ビタミンB12 0.2μg
ビタミンC 10mg
ビオチン 10μg
ニコチン酸アミド 1.7mg
葉酸 50μg
パントテン酸カルシウム 0.5mg
無機質混合物 適量
硫酸第1鉄 1.75mg
酸化亜鉛 0.82mg
炭酸マグネシウム 25.3mg
第1燐酸カリウム 15mg
第2燐酸カルシウム 55mg
クエン酸カリウム 90mg
炭酸カルシウム 100mg
塩化マグネシウム 24.8mg
前記のビタミン及びミネラル混合物の組成比は、比較的に健康食品に適した好ましい混合組成の実施例を示すが、その配合比を任意に変更しても差し支えず、通常の健康食品製造方法によって前記の成分を混合して顆粒を製造し、通常の方法によって健康食品組成物製造に使用することができる。
【0173】
6−3.健康飲料の製造
混合抽出物(実施例2−7) 1000mg
クエン酸 1000mg
オリゴ糖 100g
梅濃縮液 2g
タウリン 1g
精製水を加えて 全体900mL
通常の健康飲料の製造方法によって前記の成分を混合した後、約1時間の間85℃で攪拌加熱した後、作られた溶液を濾過して滅菌された2L容器に取得して密封滅菌した後、冷蔵保管した。
【0174】
前記組成比は比較的に嗜好飲料に適した混合組成の好ましい実施例を示すが、需要階層、需要国家、使用用途などの地域的、民族的嗜好度によってその配合比を任意に変更しても差し支えない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黄蓮(Coptidis rhizoma)抽出物を有効性分として含有する鎮咳または去痰用組成物。
【請求項2】
前記有効成分は、アイビー(ivy)の葉抽出物をさらに含むことによって黄蓮とアイビーの葉の混合抽出物の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記混合抽出物内のアイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の含量比が、重量基準で0.1:1乃至10:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記混合抽出物内のアイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の含量比が、重量基準で0.2:1乃至5:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
有効成分として黄蓮(Coptidis rhizoma)抽出物とアイビーの葉抽出物との組み合わせを含み、黄蓮とアイビーの葉の混合抽出物の形態である、呼吸器疾患予防または治療用組成物。
【請求項6】
前記混合抽出物内のアイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の含量比が、重量基準で0.1:1乃至10:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記混合抽出物内のアイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の含量比が、重量基準で0.2:1乃至5:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記呼吸器疾患は、肺気腫、気管支炎、喘息、慢性または急性気管支収縮、喘鳴性乳児症候群(stridulus infant syndrome)、慢性閉塞性肺疾患、気管支腺腫、孤立性肺結節、肺結核、膿胸、肺膿瘍、風邪、インフルエンザ、及び肺の組織球増殖症(pulmonary histiocytosis)からなる群より選択された1種以上の疾患である、請求項5乃至7のうちのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記抽出物は、水及び炭素数1乃至4個の直鎖または分枝型アルコールからなる群より選択された1種以上の溶媒を抽出溶媒として用いることで得られた粗抽出物、または前記粗抽出物に炭素数1乃至6個の直鎖または分枝型アルコール水溶液を加えて得られた溶媒可溶抽出物である、請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾル、経皮剤、座剤または滅菌注射溶液(sterile injection solution)に剤型化されたものである、請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項の組成物を含む呼吸器疾患の予防または改善用健康機能食品。
【請求項12】
有効成分として黄蓮(Coptidisrhizoma)抽出物を含む組成物を咳抑制または痰除去を必要とする患者に投与する段階を含む咳抑制または痰除去方法。
【請求項13】
前記有効成分はアイビーの葉抽出物をさらに含み、前記組成物を黄蓮とアイビーの葉の混合抽出物の形態で投与する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記混合抽出物内のアイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の含量比が、重量基準で0.1:1乃至10:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記混合抽出物内のアイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の含量比が、重量基準で0.2:1乃至5:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物の1日投与量を有効成分含量基準で0.5乃至500mg/kgとする、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
有効性分として黄蓮(Coptidisrhizoma)抽出物とアイビーの葉抽出物との組み合わせを含む組成物を投与する段階を含み、前記組成物は黄蓮とアイビーの葉の混合抽出物の形態であることを特徴とする呼吸器疾患予防または治療方法。
【請求項18】
前記混合抽出物内のアイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の含量比が、重量基準で0.1:1乃至10:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記混合抽出物内のアイビーの葉抽出物と黄蓮抽出物の含量比が、重量基準で0.2:1乃至5:1(アイビーの葉抽出物重量:黄蓮抽出物重量)である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記呼吸器疾患は、肺気腫、気管支炎、喘息、慢性または急性気管支収縮、喘鳴性乳児症候群(stridulus infant syndrome)、慢性閉塞性肺疾患、気管支腺腫、孤立性肺結節、肺結核、膿胸、肺膿瘍、風邪、インフルエンザ、及び肺の組織球増殖症(pulmonary histiocytosis)からなる群より選択された1種以上の疾患である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物の1日投与量を有効成分含量基準で0.5乃至500mg/kgとする、請求項17に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2011−522883(P2011−522883A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513432(P2011−513432)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003170
【国際公開番号】WO2009/151300
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(311007224)アングク ファーマシューティカル カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】