説明

黒色のポリ(アリーレンエーテル)/ポリスチレン組成物、物品および方法

【課題】黒色のポリ(アリーレンエーテル)/ポリスチレン組成物、物品および方法を提供する。
【解決手段】黒色のプラスチック組成物は、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスチレン、および、少なくとも2種の有機染料を含む。本組成物は、意外なことに、それに匹敵するカーボンブラック顔料を用いた黒色のプラスチックよりもかなり光に対して安定な高い光沢および深い黒色を有する。本組成物は、自動車の室内装飾および電子機器、例えば消費者の電子機器、および、具体的にはテレビのベゼルなどの製造において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒色のポリ(アリーレンエーテル)/ポリスチレン組成物、物品および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[0001]
ポリ(アリーレンエーテル)樹脂は、その優れた耐水性、寸法安定性、および、固有の難燃性で知られる一種のプラスチックである。強度、剛性、耐薬品性および耐熱性のような特性は、例えば衛生器具、配電盤、自動車部品、および、消費者の電子機器のための部品のような多種多様の製品の必要条件を満たすように、様々なその他のプラスチックとブレンドすることによって調整が可能である。
【0003】
[0002]
多くの消費者製品の製造元は、それらの製品のプラスチック成分に新しい色を用いることによって、それらの製品の美学および示差性を改善しようと努めている。例えばテレビのディスプレイ分野において、近年、高い光沢、および、深い青みがかった黒い(「漆黒の」)色を有するプラスチック配合物が求められている。ポリ(アリーレンエーテル)/ポリスチレンブレンドの物理的、熱的および電気特性のために、このようなブレンドはこれらの用途に関して優れた候補となる可能性があり、カーボンブラックのような顔料を用いた配合によって、黒色のポリ(アリーレンエーテル)/ポリスチレンブレンドの配合物が得られている。しかしながら、これらのブレンドは、望ましい深い青みがかった黒色の初期色を示さなかっただけでなく、さらに十分な光安定性も示さなかった。それゆえに、ポリ(アリーレンエーテル)/ポリスチレンブレンドの望ましい物理的、熱的および電気特性を示し、さらに優れた光安定性と共に深い青みがかった黒い色を示す熱可塑性物質の配合物が必要である。
【発明の概要】
【0004】
発明の概略
[0003]
上述のおよびその他の欠点は、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスチレン、および、少なくとも2種の有機染料を含み;ここで該少なくとも2種の有機染料の合計濃度は、熱可塑性組成物の総重量に基づき、少なくとも0.4重量パーセントであり;ここで該組成物は、ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも90パーセントの60°の光沢度、および、ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、4以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも30パーセント低い)を示す黒色の熱可塑性組成物によって軽減される。
【0005】
[0004]
その他の実施態様は、黒色の熱可塑性組成物であって、約30〜約65重量パーセントの、25℃でクロロホルム中で測定した場合、0.35〜0.5デシリットル/グラムの固有粘度を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル);約15〜約70重量パーセントのゴム改質ポリスチレン;および、合計で少なくとも0.4重量パーセントの少なくとも4種の有機染料を含み:ここで該少なくとも4種の有機染料は、赤色の染料、緑色の染料、黄色の染料、および、スミレ色の染料を含み;ここで全ての重量パーセントは熱可塑性組成物の総重量に基づくものであり;および、ここで該組成物は、ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも94パーセントの60°の光沢度、ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、2以下のCIE明度値L(ここで
該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも50パーセント低い)、SAE
J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、2以下のCIELABカラーシフトΔE、ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、少なくとも80℃の熱変形温度、ASTM D256に従って23℃で測定した場合、少なくとも20ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、および、ASTM D638に従って23℃で測定した場合、約2400〜約3700メガパスカルの弾性率を示す、黒色の熱可塑性組成物である。
【0006】
[0005]
その他の実施態様は、黒色の熱可塑性組成物であって、約40〜約70重量パーセントの、25℃でクロロホルム中で測定した場合、0.28〜0.38デシリットル/グラムの固有粘度を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル);約15〜約45重量パーセントのゴム改質ポリスチレン;および、少なくとも0.4重量パーセントの少なくとも4種の有機染料を含み:ここで該少なくとも4種の有機染料は、赤色の染料、緑色の染料、黄色の染料、および、スミレ色の染料を含み;ここで全ての重量パーセントは熱可塑性組成物の総重量に基づくものであり;および、ここで該組成物は、ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも94パーセントの60°の光沢度、ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、2以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも50パーセント低い)、SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、3以下のCIELABカラーシフトΔE、ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、少なくとも80℃の熱変形温度、ASTM D256に従って23℃で測定した場合、少なくとも20ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、および、ASTM D638に従って23℃で測定した場合、約2400〜約3700メガパスカルの弾性率を示す、黒色の熱可塑性組成物である。
【0007】
[0006]
その他の実施態様は、黒色の熱可塑性組成物の製造方法であり、本方法は、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスチレン、および、少なくとも2種の有機染料を含む組成物を溶融混練して、黒色の熱可塑性組成物を形成することを含み;ここで該少なくとも2種の有機染料の合計濃度は、黒色の熱可塑性組成物の総重量に基づき、少なくとも0.4重量パーセントであり;および、ここで該黒色の熱可塑性組成物は、ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも90パーセントの60°の光沢度、および、ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、4以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも30パーセント低い)を示す。
【0008】
[0007]
その他の実施態様は、黒色の熱可塑性組成物の製造方法であり、本方法は、約30〜約50重量パーセントの、25℃でクロロホルム中で測定した場合、0.35〜0.5デシリットル/グラムの固有粘度を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、約15〜約70重量パーセントのゴム改質ポリスチレン、および、合計で少なくとも0.4重量パーセントの少なくとも4種の有機染料(ここで該少なくとも4種の有機染料は、赤色の染料、緑色の染料、黄色の染料、および、スミレ色の染料を含む)を含む
組成物を溶融混練して、黒色の熱可塑性組成物を形成することを含み;ここで全ての重量パーセントは、黒色の熱可塑性組成物の総重量に基づくものであり;および、ここで該黒色の熱可塑性組成物は、ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも94パーセントの60°の光沢度、ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、2以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも50パーセント低い)、SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、3以下のCIELABカラーシフトΔE、ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、少なくとも80℃の熱変形温度、ASTM D256に従って23℃で測定した場合、少なくとも20ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、および、ASTM D638に従って23℃で測定した場合、約2400〜約3700メガパスカルの弾性率を示す。
【0009】
[0008]
その他の実施態様は、黒色の熱可塑性組成物の製造方法であり、本方法は:約40〜約60重量パーセントの、25℃でクロロホルム中で測定した場合、0.28〜0.38デシリットル/グラムの固有粘度を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、約15〜約45重量パーセントのゴム改質ポリスチレン、および、少なくとも0.4重量パーセントの少なくとも4種の有機染料(ここで該少なくとも4種の有機染料は、赤色の染料、緑色の染料、黄色の染料、および、スミレ色の染料を含む)を含む組成物を溶融混練して、黒色の熱可塑性組成物を形成することを含み;ここで全ての重量パーセントは、黒色の熱可塑性組成物の総重量に基づくものであり;および、ここで該黒色の熱可塑性組成物は、ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも94パーセントの60°の光沢度、ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、2以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも50パーセント低い)、SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、3以下のCIELABカラーシフトΔE、ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、少なくとも80℃の熱変形温度、ASTM D256に従って23℃で測定した場合、少なくとも20ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、および、ASTM D638に従って23℃で測定した場合、約2400〜約3700メガパスカルの弾性率を示す。
【0010】
[0009]
以下で、本組成物を含む物品などのその他の実施態様を詳細に説明する。
図面の簡単な説明
[0010]
図1は、色相環の反対側にある色に対応する染料の選択を説明することを目的とした色相環である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、色相環の反対側にある色に対応する染料の選択を説明することを目的とした色相環である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
[0011]
本発明者等は、ブレンドの優れた物理的、熱的および電気特性を保持し、さらに優れた光安定性と共に深い青みがかった黒い色を示すポリ(アリーレンエーテル)/ポリスチレンブレンドを見出すために研究を行った。初期の実験から、このような特性の組み合わせは、カーボンブラックのような顔料を用いると得られないことが確認された。例えば、カーボンブラックを含むブレンドの初期色は、十分に暗くなく、さらに光安定性も昼光に晒
されるような場所での用途に使用するには不十分であった。また一般的には、染料ベースの黒色配合物は、光安定性が顔料ベースの黒色配合物よりも低くなる可能性があるということも言われている。例えば、Damnjanovic等の米国特許第6,833,184号(B2)は、カーボンブラックで着色された窓用フィルムの「優れた光安定性」について言及しており、さらに、「有機染料は日光が照射された後に劣化する傾向がある」ために、染料ベースのフィルムは「比較的短い寿命」しか示さないことも述べている。従って、本発明者等は、有機染料で着色されたポリ(アリーレンエーテル)/ポリスチレン組成物が、望ましい高度な光沢を提供するだけでなく、それに相当するカーボンブラックで着色された組成物と比較して実質的に濃い黒色と著しく改善された光安定性を示すことを発見したことに、非常に驚いた。
【0013】
[0012]
従って、一実施態様は、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスチレン、および、少なくとも2種の有機染料を含む黒色の熱可塑性組成物であって;ここで該少なくとも2種の有機染料の合計濃度は、熱可塑性組成物の総重量に基づき、少なくとも0.4重量パーセントであり;ここで該組成物は、ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも90パーセントの60°の光沢度、および、ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、4以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも30パーセント低い)を示す。
【0014】
[0013]
本黒色の熱可塑性組成物は、ポリ(アリーレンエーテル)を含む。適切なポリ(アリーレンエーテル)としては、以下の式:
【0015】
【化1】

【0016】
で示される反復構造単位を含むものが挙げられ、ここで式中、各構造単位に関して、各Zはそれぞれ独立して、ハロゲン、非置換または置換されたC〜C12ヒドロカルビル(ただし該ヒドロカルビル基は第3級ヒドロカルビルではない)、C〜C12ヒドロカルビルチオ(すなわち、(C〜C12ヒドロカルビル)S−)、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、または、C〜C12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで少なくとも2個の炭素原子によって、ハロゲン原子と酸素原子とが分離される)であり;および、各Zはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、非置換または置換されたC〜C12ヒドロカルビル(ただし該ヒドロカルビル基は第3級ヒドロカルビルではない)、C〜C12ヒドロカルビルチオ、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、または、C〜C12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで少なくとも2個の炭素原子によって、ハロゲン原子と酸素原子とが分離される)である。本明細書で用いられる用語「ヒドロカルビル」は、そのものとして用いられる場合も、または、その他の用語の接頭辞、接尾辞もしくは断片として用いら
れ場合も、炭素および水素だけを含む残基を意味する。このような残基は、脂肪族または芳香族、直鎖状、環状、二環式、分岐状、飽和または不飽和の形態であり得る。また、脂肪族、芳香族、直鎖状、環状、二環式、分岐状、飽和および不飽和炭化水素成分の組み合わせを含んでいてもよい。
【0017】
[0014]
いくつかの実施態様において、上記ポリ(アリーレンエーテル)は、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル単位、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル単位、または、それらの組み合わせを含む。上記ポリ(アリーレンエーテル)は、一般的にはヒドロキシ基のオルト位に位置する、アミノアルキルを含む末端基を有する分子を含む。また、一般的には副産物のテトラメチルジフェノキノンが含まれる2,6−ジメチルフェノールを含む反応混合物から生じたテトラメチルジフェノキノン(TMDQ)末端基が存在することも多い。上記ポリ(アリーレンエーテル)は、ホモポリマー、コポリマー、グラフトコポリマー、イオノマーもしくはブロックコポリマーの形態であってもよいし、加えて、前述のもののうち少なくとも1種を含む組み合わせの形態であってもよい。
【0018】
[0015]
上記ポリ(アリーレンエーテル)は、単分散ポリスチレン標準、スチレンジビニルベンゼンゲル(40℃で)、および、クロロホルム1ミリリットルあたり1ミリグラムの濃度を有するサンプルを用いたゲル透過クロマトグラフィーによって決定した場合、約3,000〜約40,000原子質量単位(AMU)の数平均分子量、および、約5,000〜約80,000AMUの重量平均分子量を有するものでもよい。上記ポリ(アリーレンエーテル)は、25℃でクロロホルム中で測定した場合、約0.05〜約1.0デシリットル/グラム(dL/g)の固有粘度を有するものでもよいし、具体的には約0.1〜約0.8dL/g、より具体的には約0.2〜約0.6dL/gの固有粘度を有するものでもよい。いくつかの実施態様において、上記ポリ(アリーレンエーテル)は、約0.28〜0.38dL/gの固有粘度を有する。いくつかの実施態様において、上記ポリ(アリーレンエーテル)は、約0.35〜約0.45dL/gの固有粘度を有する。当業者であれば、ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は、溶融混練の際に30%まで増加させることができると理解するであろう。上記の固有粘度の範囲である0.05〜約1.0デシリットル/グラムは、溶融混練して組成物を形成した前と後の両方における固有粘度を包含することとする。異なる固有粘度を有するポリ(アリーレンエーテル)樹脂のブレンドを用いてもよい。
【0019】
[0016]
本黒色の熱可塑性組成物における上記ポリ(アリーレンエーテル)の含量は、本組成物の望ましい特性に応じて広範に様々であってよい。いくつかの実施態様において、上記ポリ(アリーレンエーテル)の含量は、組成物の総重量に基づき、約10〜約90重量パーセントであり、具体的には約20〜約80重量パーセント、より具体的には約25〜約75重量パーセント、さらにより具体的には約30〜約70重量パーセント、さらにより具体的には約35〜約65重量パーセント、その上さらに具体的には約40〜約60重量パーセントである。
【0020】
[0017]
上記ポリ(アリーレンエーテル)に加えて、本黒色の熱可塑性組成物は、ポリスチレンを含む。適切なポリスチレンとしては、ホモポリスチレン類(例えば、アタクチック、シンジオタクチック、および、アイソタクチックポリスチレンなど)、および、ゴム改質ポリスチレン類(また、「耐衝撃性ポリスチレン」または「HIPS」としても知られている)が挙げられる。いくつかの実施態様において、上記ポリスチレンは、約30,000
〜約100,000原子質量単位の数平均分子量を有するホモポリスチレン、具体的には約40,000〜約60,000原子質量単位を有するホモポリスチレンを含む。適切なホモポリスチレン類は、例えば、シェブロン(Chevron)からEB3300として市販されている。いくつかの実施態様において、上記ポリスチレンは、約88〜約94重量パーセントのポリスチレン、および、約6〜約12重量パーセントのポリブタジエンを含むゴム改質ポリスチレン(ここで、有効なゲル含量は約10%〜約35%である)を含む。適切なゴム改質ポリスチレン類は、例えば、GEプラスチックス(GE Plastics)からGEH 1897として、および、シェブロンからD7022.27として市販されている。いくつかの実施態様において、上記ポリスチレンは、ホモポリスチレン、および、ゴム改質ポリスチレンを含む。
【0021】
[0018]
本黒色の熱可塑性組成物における上記ポリスチレンの含量は、組成物の望ましい特性に応じて広範に様々であってよい。いくつかの実施態様において、上記ポリスチレンの含量は、組成物の総重量に基づき、約10〜約90重量パーセントであり、具体的には約15〜約80重量パーセント、より具体的には約20〜約70重量パーセント、さらにより具体的には約25〜約60重量パーセント、さらにより具体的には約30〜約50重量パーセント、その上さらに具体的には約35〜約45重量パーセントである。
【0022】
[0019]
いくつかの実施態様において、本黒色の熱可塑性組成物は、約20〜約80重量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)、および、約20〜約80重量パーセントのポリスチレン、具体的には約30〜約70重量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)、および、約30〜約70重量パーセントのポリスチレン、より具体的には約35〜約65重量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)、および、約35〜約65重量パーセントのポリスチレンを含む。
【0023】
[0020]
上記ポリ(アリーレンエーテル)およびポリスチレンに加えて、本黒色の熱可塑性組成物は、少なくとも2種の有機染料を含む。少なくとも2種の有機染料は、望ましい黒い色が提供されるように選択される。少なくとも2種の有機染料を選択することができる適切な染料の種類としては、アントラキノン類、アントラピリドン類、ペリレン類、アントラセン類、ペリノン類、インダンスロン類、キナクリドン類、キサンテン類、チオキサンテン類、オキサジン類、オキサゾリン類、インジゴイド類、チオインジゴイド類、キノフタロン類、ナフタルイミド類、シアニン類、メチン類、ピラゾロン類、ラクトン類、クマリン類、ビス−ベンズオキサゾリルチオフェン類、ナフタレンテトラカルボン酸類、フタロシアニン類、トリアリールメタン類、アミノケトン類、ビス(スチリル)ビフェニル類、アジン類、ローダミン類、前述のものの誘導体、および、それらの混合物が挙げられる。
【0024】
[0021]
少なくとも2種の有機染料のなかで特に使用に適した具体的な有機染料としては、ディスパーズイエロー(Disperse Yellow)201、ソルベントグリーン(Solvent Green)3、ソルベントレッド(Solvent Red)52、ソルベントレッド135、ソルベントバイオレット(Solvent Violet)13、ディスパーズオレンジ(Disperse Orange)47、ソルベントオレンジ(Solvent Orange)60、および、ソルベントブルー(Solvent Blue)104が挙げられる。
【0025】
[0022]
具体的には、2種の染料が図1で説明されている色相環のそれぞれ反対側にある染料で
ある場合、わずか2種の染料を用いただけでも黒い色を生産することが可能である。例えば、少なくとも2種の有機染料は、赤色の染料と緑色の染料、または、スミレ色の染料と黄色の染料、または、オレンジ(橙)色の染料と青色の染料を含んでいてもよい。しかしながら、いくつかの実施態様において、少なくとも3種の有機染料を使用することが望ましい。例えば、少なくとも3種の染料の使用は、黒色の組成物の製造工程中に必要に応じて、色を調節するためのより多くの機会を提供する。いくつかの実施態様において、このような2種または3種の染料の組み合わせが使用できる。従って、本組成物は、赤色の染料と緑色の染料、スミレ色の染料と黄色の染料、および、オレンジ(橙)色の染料と青色の染料から選択される少なくとも2種の染料の組み合わせを含んでいてもよい。
【0026】
[0023]
いくつかの実施態様において、少なくとも2種の有機染料は、ソルベントレッド染料とソルベントグリーン染料、ソルベントバイオレット染料と、ソルベントイエロー染料またはディスパーズイエロー染料、および、ソルベントオレンジ染料とソルベントブルー染料からなる群より選択される少なくとも1種の染料の組み合わせを含む。少なくとも2種の有機染料は、少なくとも2種の染料の組み合わせを含んでいてもよいし、または、このような少なくとも3種との染料の組み合わせを含んでいてもよい。
【0027】
[0024]
少なくとも2種の有機染料の合計濃度は、熱可塑性組成物の総重量に基づき、少なくとも0.4重量パーセントである。当業者であれば、特定の染料の相対量を選択することができる。例えば、少なくとも2種の有機染料が色相環の反対側にある2種の染料を含む場合、これら2種の染料の重量比は、約0.5〜2、具体的には約0.7〜約1.5であり得る。
【0028】
[0025]
本組成物は、ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも90パーセントの60°の光沢度を示す。60°光沢度は、少なくとも94パーセント、具体的には少なくとも97パーセント、より具体的には少なくとも100パーセントであり得る。いくつかの実施態様において、60°光沢度は、90〜約105パーセントである。
【0029】
[0026]
本組成物は、ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、4以下のCIE明度値Lを示す。具体的には、L値は、3以下でもよいし、より具体的には1.5以下、さらにより具体的には1以下でもよい。いくつかの実施態様において、L値は、約0.5〜4である。本明細書においてCIEパラメーターについて言及する場合はいずれも、CIE1976L(CIELAB)色空間の方程式に基づく。
【0030】
[0027]
本組成物のCIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも30パーセント低い。いくつかの実施態様において、CIE明度値の減少は、少なくとも40パーセント、より具体的には少なくとも50パーセント、さらにより具体的には少なくとも60パーセント、さらにより具体的には少なくとも70パーセント、その上さらに具体的には少なくとも80パーセントである。いくつかの実施態様において、CIE明度値の減少は、30〜約95パーセントである。比較組成物に使用するのに適したカーボンブラックは、ASTM D2414に従って測定した場合、60および80ミリリットル/100グラムのフタル酸ジブチル吸収、ASTM D3037に従って測定した場合、約190〜約220平方メートル/グラムの窒素表面積、および、ASTM D3265に従って測定した場
合、約136〜約160の色強度(tint strength)を有するものであり得る。これらの基準を満たす2種の市販のカーボンブラックは、キャボット(Cabot)製のキャボット・モナーク(Monarch)800、および、コロンビアン(Columbian)製のレーベン(Raven)2000である。
【0031】
[0028]
有機染料の使用は、カーボンブラックの使用と比べて利点を提供するが、少量のカーボンブラックが本組成物に含まれることが排除されるとは必ずしも限らない。いくつかの実施態様において、本組成物は、0.1重量パーセント以下のカーボンブラックを含み、具体的には0.05重量パーセント以下のカーボンブラック、より具体的には0.01重量パーセント以下のカーボンブラックを含む。いくつかの実施態様において、本組成物は、カーボンブラックを含まない。
【0032】
[0029]
上記ポリ(アリーレンエーテル)、上記ポリスチレンに加えて、本黒色の熱可塑性組成物は、任意に、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロックコポリマーをさらに含んでいてもよい。本明細書においてこの成分は、略して「ブロックコポリマー」と称される。ブロックコポリマーは、水素化されていなくてもよいし、または、水素化されていてもよい。ブロックコポリマーは、約15〜約80重量パーセントのポリ(アルケニル芳香族)含量、および、約20〜約85重量パーセントの非水素化または水素化ポリ(共役ジエン)含量を含んでもよい。いくつかの実施態様において、ポリ(アルケニル芳香族)の含量は、約20〜40重量パーセントである。その他の実施態様において、ポリ(アルケニル芳香族)の含量は、40重量パーセントより多く、約90重量パーセント以下であり、具体的には約55〜約80重量パーセントである。
【0033】
[0030]
いくつかの実施態様において、ブロックコポリマーは、約40,000〜約400,000原子質量単位の重量平均分子量を有する。数平均分子量および重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィーによって、さらに、ポリスチレン標準との比較に基づいて決定することができる。いくつかの実施態様において、ブロックコポリマーは、200,000〜約400,000原子質量単位の重量平均分子量、具体的には約220,000〜約350,000原子質量単位の重量平均分子量を有する。その他の実施態様において、ブロックコポリマーは、約40,000から200,000未満の原子質量単位、具体的には約40,000〜約180,000原子質量単位、より具体的には約40,000〜約150,000原子質量単位の重量平均分子量を有する。
【0034】
[0031]
ブロックコポリマーを製造するのに用いられるアルケニル芳香族単量体は、以下の構造:
【0035】
【化2】

【0036】
を有するものでもよく、式中RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、C〜Cアルキル基、または、C〜Cアルケニル基を示す;RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、または、C〜Cアルキル基を示す;および、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、C〜Cアルキル基、または、C〜Cアルケニル基を示すか、または、RおよびRは、中央の芳香環と一緒になってナフチル基を形成するか、または、RおよびRは、中央の芳香環と一緒になってナフチル基を形成する。具体的なアルケニル芳香族単量体としては、例えば、スチレン、および、メチルスチレン類、例えばアルファ−メチルスチレン、および、p−メチルスチレンが挙げられる。いくつかの実施態様において、アルケニル芳香族単量体は、スチレンである。
【0037】
[0032]
ブロックコポリマーを製造するのに用いられる共役ジエンは、C〜C20共役ジエンであってもよい。適切な共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなど、および、それらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施態様において、共役ジエンは、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、または、それらの組み合わせである。いくつかの実施態様において、共役ジエンは、1,3−ブタジエンからなる。
【0038】
[0033]
ブロックコポリマーは、(A)アルケニル芳香族化合物から誘導された少なくとも1個のブロック、および、(B)共役ジエンから誘導された少なくとも1個のブロックを含むコポリマーである。ブロックコポリマーが水素化されたブロックコポリマーである場合、ブロック(B)中の脂肪族不飽和基の含量は、少なくとも部分的に、水素添加によって減少する。いくつかの実施態様において、(B)ブロック中の脂肪族不飽和は、少なくとも50パーセント減少し、具体的には少なくとも70パーセント減少する。ブロック(A)および(B)の配置には、直鎖状の構造、グラフト化された構造、および、分岐鎖を含むかまたはそれらを含まない放射状のテレブロック(teleblock)構造が含まれる。直鎖状のブロックコポリマーには、テーパ型(先細り)の直鎖状の構造、および、先細りではない直鎖状の構造が含まれる。いくつかの実施態様において、ブロックコポリマーは、テーパ型の直鎖状の構造を有する。いくつかの実施態様において、ブロックコポリマーは、先細りではない直鎖状の構造を有する。いくつかの実施態様において、ブロックコポリマーには、アルケニル芳香族の単量体のランダムな取り込みを含むBブロックが含まれる。直鎖状のブロックコポリマー構造には、ジブロック(A−Bブロック)、トリブロック(A−B−Aブロック、または、B−A−Bブロック)、テトラブロック(A−B−A−Bブロック)、および、ペンタブロック(A−B−A−B−Aブロック、または、B−A−B−A−Bブロック)構造が含まれ、加えて、AおよびBの合計で6個またはそれより多くのブロックを含む直鎖状の構造も含まれ、ここで各Aブロックの分子量は、他の
Aブロックの分子量と同じでもよいし、または異なっていてもよく、各Bブロックの分子量は、他のBブロックの分子量と同じでもよいし、または異なっていてもよい。いくつかの実施態様において、ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、または、それらの組み合わせである。いくつかの実施態様において、ブロックコポリマーは、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)-ポリスチレントリブロックコ
ポリマー(すなわち、水素化されたポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロックコポリマー)である。
【0039】
[0034]
いくつかの実施態様において、ブロックコポリマーは、アルケニル芳香族化合物、および、共役ジエン以外の単量体の残基を含まない。これらの実施態様において、ブロックコポリマーは、アルケニル芳香族化合物および共役ジエンから誘導されたブロックからなっており、これらの、またはその他のあらゆる単量体から形成されたグラフトを含まない;このようなブロックコポリマーはまた、炭素原子および水素原子からなっており、従ってヘテロ原子を含まない。
【0040】
[0035]
いくつかの実施態様において、ブロックコポリマーは、無水マレイン酸のような1種またはそれ以上の酸官能基化剤の残基を含む。
【0041】
[0036]
ブロックコポリマーの製造方法は当業界で既知であり、多くの水素化されたブロックコポリマーが市販されている。市販の非水素化ブロックコポリマーの実例としては、クラトンポリマー(Kraton Polymer)から、クラトン(Kraton)D1101K、D1102K、D1118K、D1133K、D1134K、D1153ES、D1155ES、および、D1192ESとして入手可能なポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロックコポリマー類;クラトンポリマーから、D1116Kとして入手可能な放射状トリブロックコポリマー;クラトンポリマーから、D1184Kとして入手可能な分岐状トリブロックコポリマー;および、トータル・ペトロケミカルズ(Total Petrochemicals)から、FINACLEAR(商標)520、および、540として入手可能なテーパ型のブロックコポリマー類が挙げられる。市販の水素化されたブロックコポリマーの実例としては、クラトンポリマーから、クラトンG1701、および、G1702として入手可能なポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ジブロックコポリマー;クラトンポリマーから、クラトンG1641、G1650、G1651、G1654、G1657、G1726、G4609、G4610、GRP−6598、RP−6924、MD−6932M、MD−6933、および、MD−6939として入手可能なポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;クラトンポリマーから、クラトンRP−6935、および、RP−6936として入手可能なポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレン(S−EB/S−S)トリブロックコポリマー類、クラトンポリマーから、クラトンG1730として入手可能なポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;クラトンポリマーから、クラトンG1901、G1924、および、MD−6684として入手可能な無水マレイン酸でグラフト化されたポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;クラトンポリマーから、クラトンMD−6670として入手可能な無水マレイン酸でグラフト化されたポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;旭化成エラストマー(Asahi Kasei Elastomer)から、TUFTEC H1043として入手可能な、67重量パーセントのポリスチレンを含むポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;旭化成エラストマーから、TUFTEC H1051として入手可能な、42重量パーセントの
ポリスチレンを含むポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;旭化成エラストマーから、TUFTEC P1000およびP2000として入手可能なポリスチレン−ポリ(ブタジエン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;旭化成エラストマーから、S.O.E.−SSL601として入手可能なポリスチレン−ポリブタジエン−ポリ(スチレンブタジエン)−ポリブタジエンブロックコポリマー;シェブロン・フィリップス・ケミカル社(Chevron Phillips chemical Company)から、K−レジン(Resin)KK38、KR01、KR03、および、KR05として入手可能な水素化された放射状(ラジアル)ブロックコポリマー;クラレ(Kuraray)から、セプトン(SEPTON)S8104として入手可能な、約60重量%のポリスチレンを含むポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;クラレから、セプトンS4044、S4055、S4077、および、S4099として入手可能なポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;および、クラレから、セプトンS2104として入手可能な、約65重量パーセントのポリスチレンを含むポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーが挙げられる。2種またはそれより多くのブロックコポリマーの混合物を用いてもよく、このような混合物としては、例えば、少なくとも2種の水素化されたブロックコポリマーの混合物、および、少なくとも1種の非水素化ブロックコポリマーと、少なくとも1種の水素化されたブロックコポリマーとの混合物が挙げられる。
【0042】
[0037]
ブロックコポリマーが存在する場合、ブロックコポリマーは、組成物の総重量に基づき、約0.5〜約20重量パーセント、具体的には約1〜約10重量パーセント、より具体的には約1〜約5重量パーセントの量で用いてもよい。
【0043】
[0038]
本組成物は、任意に難燃剤をさらに含んでいてもよい。適切な難燃剤としては、例えば、リン酸エステル(例えば、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、レソルシノールビス(リン酸ジフェニル)、および、ビスフェノールAビス(リン酸ジフェニル))、ホスフィン酸化物(例えば、トリフェニルホスフィン酸化物)、アルキルホスホン酸エステル、(例えば、エタンホスホン酸ジエチルエステル)、金属ジアルキルホスフィン酸塩(例えば、アルミニウムトリス(ジエチルホスフィン酸))、メラミンタイプの難燃剤(例えば、メラミン、シアヌル酸メラミン、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、および、ポリリン酸メラミン)、ホウ酸亜鉛、リン酸ホウ素、赤リンなどが挙げられる。さらなる難燃剤は、例えば、Xu等の米国特許出願公報番号US2006/0131059A1;および、P.F.Rankin in H.Zweifel,ed.,“プラスチック添加剤ハンドブック第5版”,Cincinnati:Hanser(2001),681〜698頁で説明されている。
【0044】
[0039]
本組成物は、任意に、熱可塑性物質分野において知られている1種またはそれ以上のその他の添加剤をさらに含んでいてもよい。有用な添加剤としては、例えば、安定剤、離型剤、加工助剤、ドリップ防止剤、核剤、染料、顔料、抗酸化剤、静電気防止剤、発泡剤、金属不活性化剤、アンチブロッキング剤、ナノクレイ、芳香剤(例えば、芳香剤がカプセル封入されたポリマー)など、および、それらの組み合わせが挙げられる。添加剤は、組成物の望ましい性能および物理特性を容認し難い程に損なわない量で添加することができる。このような量は、余計な実験を行うことなく当業者によって決定することができる。
【0045】
[0040]
いくつかの実施態様において、本組成物は、無機充填剤、および、補強剤を含まない。
[0041]
その他の実施態様において、本組成物は、1種またはそれ以上の無機充填剤を含む。適切な充填剤および補強剤としては、例えば、ケイ酸塩およびシリカ粉末、例えばケイ酸アルミニウム(ムライト)、合成ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、石英ガラス、結晶シリカグラファイト、天然ケイ砂、または同種のもの;ホウ素の粉末、例えば窒化ホウ素の粉末、ケイ酸ホウ素の粉末、または同種のもの;酸化物、例えばTiO、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、または同種のもの;硫酸カルシウム(例えばその無水物、二水和物または三水和物);炭酸カルシウム、例えばチョーク、石灰石、大理石、合成沈降炭酸カルシウム、または同種のもの;タルク、例えば繊維状、モジュラー型、針状、層状のタルク、または同種のもの;ケイ灰石;表面処理済みのケイ灰石;ガラス球体、例えば中空で固形のガラス球体、ケイ酸塩の球体、セノスフェア、アルミノケイ酸塩(アルモスフェア(armosphere))、または同種のもの;カオリン、例えば硬質カオリン、軟質カオリン、焼成カオリン、ポリマーマトリックス樹脂との適合性を促進するための当業界既知の様々なコーティングを含むカオリン、または同種のもの;単結晶繊維または「ウィスカー」、例えば炭化ケイ素、アルミナ、炭化ホウ素、鉄、ニッケル、銅、または同種のもの;繊維(例えば、長繊維および短繊維)、例えば炭素繊維、ガラス繊維、例えばE、A、C、ECR、R、S、DまたはNEガラス、または同種のもの;硫化物、例えば硫化モリブデン、硫化亜鉛、または同種のもの;バリウム化合物、例えばチタン酸バリウム、バリウムフェライト、硫酸バリウム、重晶石、または同種のもの;金属および金属酸化物、例えば微粒子、または、繊維状アルミニウム、青銅、亜鉛、銅、および、ニッケル、または同種のもの;フレーク状の充填剤、例えばガラスフレーク、フレーク状の炭化ケイ素、二ホウ化アルミニウム、アルミニウムフレーク、鋼フレーク、または同種のもの;繊維状フィラー、例えば短い無機繊維、例えば、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、および、硫酸カルシウム半水化物のうち少なくとも1種を含むブレンドから誘導されたもの、または同種のもの;および、それらの混合物が挙げられる。
【0046】
[0042]
いくつかの実施態様において、本組成物は、上記ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスチレン、および、任意のブロックコポリマー以外のどのようなポリマーも含まない。例えば、いくつかの実施態様において、本組成物は、ポリカーボネートを含まない。
【0047】
[0043]
いくつかの実施態様において、本組成物は、ASTM D542に従って23℃で測定した場合、1.54未満の屈折率、または、1.62より大きい屈折率を有するあらゆるポリマーを含まず、具体的には1.56未満の屈折率、または、1.60より大きい屈折率を有するあらゆるポリマーを含まない。
【0048】
[0044]
いくつかの実施態様において、本組成物は、SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、3以下のCIELABカラーシフトΔEを示す。具体的には、ΔE値は、2以下でもよく、より具体的には1以下であり、さらにより具体的には0.5以下である。いくつかの実施態様において、ΔE値は、約0.3〜3である。
【0049】
[0045]
非常に望ましい初期色および色安定性に加えて、本黒色の熱可塑性組成物は、優れた熱的および物理特性を提示することができる。例えば、本組成物は、ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、少なくとも80℃の熱変形温度を示すことができる。具体的には、本組成物は、少なくとも90℃の熱変形温度、より具体
的には少なくとも100℃、さらにより具体的には少なくとも110℃の熱変形温度を示すことができる。いくつかの実施態様において、熱変形温度は、80〜約125℃である。本組成物は、ASTM D256に従って23℃で測定した場合、少なくとも20ジュール/メートル(J/m)のノッチ付きアイゾッド衝撃強度を示すことができる。具体的には、ノッチ付きアイゾッド衝撃強度は、少なくとも50J/mであってもよく、より具体的には少なくとも100J/m、さらにより具体的には少なくとも150J/m、その上さらに具体的には少なくとも200J/mであってもよい。いくつかの実施態様において、ノッチ付きアイゾッド衝撃強度は、20〜約220J/mである。本組成物は、ASTM D638に従って23℃で測定した場合、約2400〜約3700メガパスカルの弾性率を示すことができる。
【0050】
[0046]
いくつかの実施態様において、本組成物は、UL94垂直燃焼試験に従って試験サンプル厚さ1.5ミリメートルで測定した場合、V−0の燃焼性評価、UL746Aに従って試験サンプル厚さ1.0ミリメートルで測定した場合、約700〜約750℃のグローワイヤ着火温度(GWIT)、UL746Aに従って試験サンプル厚さ3.0ミリメートルで測定した場合、約725〜約775℃のグローワイヤ着火温度(GWIT)、および、UL746Aに従って試験サンプル厚さ1.0ミリメートルで測定した場合、約930〜約990℃のグローワイヤ燃焼指数(GWFI)、のうち少なくとも1つを示す。UL994のV−0評価に関する必要条件には、10秒より長い個々の燃焼時間が含まれないため、各バーの第一および第二の燃焼時間の合計は10秒以下であり、燃焼する粒子またはドリップによって綿のインジケーターが発火することもない。グローワイヤ着火温度(GWIT)は、それに続く3回の試験中に所定厚さの試験片の発火を引き起こさないグローワイヤの先端(チップ)の最大温度よりも25K高い温度として示される。グローワイヤ燃焼指数(GWFI)は、それに続く3回の所定厚さの試験片に関する試験中の最高の試験温度として示され、この最高の試験温度は、以下の条件:(a)試験片の火炎または赤熱が、グローワイヤを除去して後30秒以内に消え、さらに試験片の下に置いた包装用のティッシューが発火していないこと;(b)試験片が発火していないこと、のうち少なくとも1つを満たすものである。
【0051】
[0047]
一実施態様は、約30〜約65重量パーセントの、25℃でクロロホルム中で測定した場合、0.35〜0.5デシリットル/グラムの固有粘度を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル);約15〜約70重量パーセントのゴム改質ポリスチレン;および、合計で少なくとも0.4重量パーセントの少なくとも4種の有機染料(ここで該少なくとも4種の有機染料は、赤色の染料、緑色の染料、黄色の染料、および、スミレ色の染料を含む)を含む黒色の熱可塑性組成物であって;ここで全ての重量パーセントは熱可塑性組成物の総重量に基づくものであり;および、ここで該組成物は、ASTM
D523に従って測定した場合、少なくとも94パーセントの60°の光沢度、ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、2以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも50パーセント低い)、SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、2以下のCIELABカラーシフトΔE、ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、少なくとも80℃の熱変形温度、ASTM D256に従って23℃で測定した場合、少なくとも20ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、および、ASTM D638に従って23℃で測定した場合、約2400〜約3700メガパスカルの弾性率、を示す。いくつかの実施態様において、本黒色の熱可塑性組成物は、約25〜約45重量パーセントのホモポリスチレンをさら
に含む。いくつかの実施態様において、少なくとも4種の有機染料は、青色の染料、および、オレンジ色の染料をさらに含む。いくつかの実施態様において、本組成物は、難燃剤をさらに含む。いくつかの実施態様において、本組成物は、約−2.2〜約0のCIE b値を示す。
【0052】
[0048]
いくつかの実施態様において、本組成物は、JIS K56−5−4に従って、23℃で、750グラムの負荷をかけて測定した場合、以下のような約HB〜約2Hの鉛筆硬度を示す。幅5.1センチメートル(2インチ)および長さ7.6センチメートル(3インチ)の成形されたカラープラークは、23℃、および、50%相対湿度で少なくとも16時間コンディショニング(調整)される。試験部品の中心(ゲートおよびエッジ領域を避ける)において、特定の硬度レベルを有する鉛筆の平坦な先端を、均一で滑らかな表面に、0.5〜1ミリメートル/秒の速度で少なくとも7ミリメートルの距離を通過させる。この動作を、それぞれ回に特定の鉛筆硬度レベルごとに新しい滑らかな位置で、各動作の後にエッジが鋭くなるように再度調整した鉛筆の先端のエッジを用いて3回行う。スクラッチは、周辺光の条件下で人間の目で検出可能な長さが少なくとも3ミリメートルの変形と定義される。この試験で用いられる鉛筆の硬度は、特定の硬度レベルでの3回の動作のうち2回でスクラッチが生じるまで1工程ごとに一度に高くする。表に記載のそれに続く鉛筆硬度データは、各組成物ごとの、3回の動作で1個より多くのスクラッチが生じない硬度試験レベルにおける2種の別個の試験パートの試験結果を示しており、ここでスクラッチが生じなかった動作は、その特定の試験レベルの硬度値が示され、スクラッチが生じた動作は、その前の試験に用いられたより柔らかい鉛筆の硬度値が示される。
【0053】
[0049]
いくつかの実施態様において、本組成物は、94〜105パーセント60°の光沢度、0.5〜2のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも50〜95パーセント低い)、0.3〜3のCIELABカラーシフトΔE、80〜120℃の熱変形温度、および、20〜220ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、を示す。
【0054】
[0050]
一実施態様は、約40〜約70重量パーセントの、25℃でクロロホルム中で測定した場合、0.28〜0.38デシリットル/グラムの固有粘度を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル);約15〜約45重量パーセントのゴム改質ポリスチレン;および、少なくとも0.4重量パーセントの少なくとも4種の有機染料(ここで該少なくとも4種の有機染料は、赤色の染料、緑色の染料、黄色の染料、および、スミレ色の染料を含む)を含む黒色の熱可塑性組成物であって;ここで全ての重量パーセントは熱可塑性組成物の総重量に基づくものであり;および、ここで該組成物は、ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも94パーセントの60°の光沢度、ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、2以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも50パーセント低い)、SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、3以下のCIELABカラーシフトΔE、ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、少なくとも80℃の熱変形温度、ASTM D256に従って23℃で測定した場合、少なくとも20ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、および、ASTM D638に従って23℃で測定した場合、約2400〜約3700メガパスカルの弾性率、を示す。いくつかの実施態様において、少
なくとも4種の有機染料は、青色の染料、および、オレンジ色の染料をさらに含む。いくつかの実施態様において、本組成物は、約10〜約30重量パーセントのホモポリスチレンをさらに含む。いくつかの実施態様において、本組成物は、難燃剤をさらに含む。いくつかの実施態様において、ここで該組成物は、約−2.2〜約0のCIE b値を示す。いくつかの実施態様において、本組成物は、JIS K56−5−4に従って23℃で測定した場合、約HB〜約2Hの鉛筆硬度を示す。いくつかの実施態様において、本組成物は、94〜105パーセント60°の光沢度、0.5〜2のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも50〜95パーセント低い)、0.3〜3のCIELABカラーシフトΔE、80〜100℃の熱変形温度、および、20〜100ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度を示す。
【0055】
[0051]
一実施態様は、黒色の熱可塑性組成物の製造方法であり、本方法は、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスチレン、および、少なくとも2種の有機染料を含む組成物を溶融混練して、黒色の熱可塑性組成物を形成することを含み;ここで該少なくとも2種の有機染料の合計濃度は、黒色の熱可塑性組成物の総重量に基づき、少なくとも0.4重量パーセントであり;および、ここで該黒色の熱可塑性組成物は、ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも90パーセントの60°光沢度、および、ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、4以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも30パーセント低い)、を示す。少なくとも2種の有機染料の導入方法には特に限定されない。いくつかの実施態様において、少なくとも2種の有機染料は、溶融混練の前にその他の成分と乾式混合(乾式ブレンド)される。その他の実施態様において、少なくとも2種の有機染料は、ポリ(アリーレンエーテル)、および/または、ポリスチレン、および/または、ブロックコポリマー、および/または、その他のポリマーをさらに含むマスターバッチに組み込まれる。
【0056】
[0052]
一実施態様は、黒色の熱可塑性組成物の製造方法であり、本方法は、約30〜約50重量パーセントの、25℃でクロロホルム中で測定した場合、0.35〜0.5デシリットル/グラムの固有粘度を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、約15〜約70重量パーセントのゴム改質ポリスチレン、および、合計で少なくとも0.4重量パーセントの少なくとも4種の有機染料(ここで該少なくとも4種の有機染料は、赤色の染料、緑色の染料、黄色の染料、および、スミレ色の染料を含む)を含む組成物を溶融混練して、黒色の熱可塑性組成物を形成することを含み;ここで全ての重量パーセントは、黒色の熱可塑性組成物の総重量に基づくものであり;および、ここで該黒色の熱可塑性組成物は、ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも94パーセントの60°光沢度、ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、2以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも50パーセント低い)、SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、3以下のCIELABカラーシフトΔE、ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、少なくとも80℃の熱変形温度、ASTM D256に従って23℃で測定した場合、少なくとも20ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、および、ASTM D638に従って23℃で測定した場合、約2400〜約3700メガパスカルの弾性率を示す。
【0057】
[0053]
一実施態様は、黒色の熱可塑性組成物の製造方法であり、本方法は、約40〜約60重量パーセントの、25℃でクロロホルム中で測定した場合、0.28〜0.38デシリットル/グラムの固有粘度を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、約15〜約45重量パーセントのゴム改質ポリスチレン、および、少なくとも0.4重量パーセントの少なくとも4種の有機染料(ここで該少なくとも4種の有機染料は、赤色の染料、緑色の染料、黄色の染料、および、スミレ色の染料を含む)を含む組成物を溶融混練して、黒色の熱可塑性組成物を形成することを含み;ここで全ての重量パーセントは、黒色の熱可塑性組成物の総重量に基づくものであり;および、ここで該黒色の熱可塑性組成物は、ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも94パーセントの60°の光沢度、ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、2以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも50パーセント低い)、SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、3以下のCIELABカラーシフトΔE、ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、少なくとも80℃の熱変形温度、ASTM D256に従って23℃で測定した場合、少なくとも20ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、および、ASTM D638に従って23℃で測定した場合、約2400〜約3700メガパスカルの弾性率、を示す。
【0058】
[0054]
その他の実施態様は、上述の黒色の熱可塑性組成物のいずれかを含む物品を含む。本組成物が特に適切な物品としては、自動車の室内装飾および電子機器、例えば消費者の電子機器、および、具体的にはテレビのベゼルなどが挙げられる。
【0059】
[0055]
以下の非限定的な実施例で、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0060】
実施例1〜5、比較例1〜10
[0056]
これらの実施例で、着色剤のタイプ(染料対カーボンブラック)、および、離型性のタイプ(テトラステアリン酸ペンタエリトリトール対直鎖状低密度ポリエチレン対ポリジメチルシロキサン)の、物理特性および光学特性に対する効果を例証する。これらの組成物はいずれも、難燃剤を含まない。
【0061】
[0057]
表1に組成物を要約したが、ここで成分の量は重量部で示した。比較例1および2は複製であり、比較例4および5、ならびに比較例9および10も同様である。本明細書で用いられる用語「複製」は、組成物を別々に乾式混合して、押出し、成形することを意味する。25℃でクロロホルム中で測定した場合、0.40デシリットル/グラムの固有粘度を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を、GEプラスチックスからPPO640(表1における「PPE, 0.4dL/g」)として得た。抗酸化剤の亜リン酸トリデシルを、ドーバー・ケミカル社(Dover Chemical Company)からドーバーフォス(Doverphos)6(表1における「TDP」)として得た。ここで離型剤として用いられるテトラステアリン酸ペンタエリトリトールを、ロンザ(Lonza)からグリコルーブ(GlycoLube)(表1における「PETS」)として得た。ここで離型剤として用いられる直鎖状低密度ポリエチレンを、エクソン・モービル(Exxon Mobil)からLL5100.09(表1における「LLDPE」)として得た。ここで離型剤として用いられる約10,000原子質量単位の数平均分子量を有するポリジメチルシロキサンを、モメンティブ・パフォーマンス・マ
テリアルズ(Momentive Performance Materials)からビスカシル(Viscasil)10M(表1における「PDMSO」)として得た。91.8重量パーセントのポリスチレン含量、および、8.2重量パーセントのポリブタジエン含量を有する高光沢のゴム改質ポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン)を、シェブロンからD7022.27(「HIPS」)として得た。約52,000原子質量単位の数平均分子量を有するホモポリスチレンを、シェブロンからEB3300(表1における「ホモポリスチレン」)として得た。2種の機能的に同等なカーボンブラックを、コロンビアンから、200平方メートル/グラムの表面積を有するレーベン2000として、および、キャボットから、210平方メートル/グラムの表面積を有するモナーク800として得た(表1における「カーボンブラック」)。黄色の染料ディスパーズイエロー201を、ランクセス(Lanxess)からマクロレックス・イエロー6G(MACROLEX Yellow 6G)(表1における「ディスパーズイエロー201」)として得た。緑色の染料ソルベントグリーン3を、ランクセスからマクロレックス・グリーン5B(表1における「ソルベントグリーン3」)として得た。赤色の染料ソルベントレッド135を、ランクセスからマクロレックス・レッドEG(表1における「ソルベントレッド135」)として得た。スミレ色の染料ソルベントバイオレット13を、ランクセスからマクロレックス・バイオレットB(表1における「ソルベントバイオレット13」)として得た。
【0062】
[0058]
以下の一般的な方法に従って、全ての組成物を乾式混合し、混合し、成形し、試験した。全ての固形成分をマスターブレンドと合わせて、目視検査で色および内容物が均一になるまで高強度のブレンド装置を用いて混合する。マスターブレンドを、長さと直径との比率が32:1の30ミリメートルのツインスクリュー押出機の供給口に供給する。任意に、ペレット形態のポリスチレンベースの成分を、別個のフィーダーを介して供給口に供給してもよい。ここで説明されている難燃剤を含まない組成物に関して、スクリューの回転速度は300回転/分(rpm)であり、押出機の供給口からダイへのゾーンの温度プロファイルは、310〜325℃範囲の溶融温度が生じるように220−270−290−300−300−300℃に設定される。ペレット化した押出し物を60〜70℃で2時間予備乾燥させる。成形装置のバレルおよび金型温度は、それぞれ300℃および90℃に設定される。成形されたカラーチップは、5.08センチメートル×7.62センチメートル×0.254センチメートル(2インチ×3インチ×0.100インチ)の寸法を有していた。
【0063】
[0059]
表1に、特性の結果を要約する。鉛筆硬度を、JIS K56−5−4(ISO/DIS 15184)に従って上述した試験の詳細を用いて23℃で測定した(表1における「鉛筆硬度」)。60°の光沢を、ASTM D523−89(1999)に従って、グレタグマクベス(GretagMacbeth)のカラー−アイ(COLOR−EYE)740ゴニオス(gonios)分光光度計を用いて測定した。45°におけるCIE明度を、ASTM D2244−02の「装置によって測定された色座標から色の許容差および色差を計算する標準的な技法(Standard Practice for Calculation of Color Tolerances and Color Differences from Instrumentally Measured
Color Coordinates)」に従って、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した(表1における「45°におけるL」)。いくつかの本発明の実施例に関して、カーボンブラックを含む比較例に対するLの改善(減少)は、以下の方程式に従ってパーセンテージとして計算される;

改善(パーセント)=100×(LCB−L染料)/LCB

式中、LCBは、カーボンブラックを含む組成物に関して測定された45°におけるCIE明度であり、L染料は、染料を含む組成物に関して測定された45°におけるCIE明度である(表1において「45°におけるL,%改善」)。熱変形温度を、ASTM D648−06の方法Bに従って、0.455メガパスカルの負荷、および、幅3.20ミリメートル、および、深さ12.80ミリメートルを有する射出成形された試料を用いて測定した(表1における「HDT(℃)」)。ノッチ付きアイゾッド衝撃強度を、ASTM D256−06の方法Aに従って、23℃で、0.907キログラム(2.00ポンド)のハンマー、および、ノッチ下に元の1.27センチメートル(0.5インチ)の深さのうち少なくとも1.02センチメートル(0.4インチ)が残るようなノッチを有する試料を用いて測定した(表1において「衝撃強度(J/m)」)。弾性率を、ASTM D638−08に従って、23℃で、I型の引張り試験片、および、50ミリメートル/分の試験速度を用いて測定した(表1における「弾性率(MPa)」)。
【0064】
[0060]
表1の第一の部分は、ポリスチレンがホモポリスチレンである組成物の使用を特徴とする。実施例1ならびに比較例1および2(これらは複製である)に関する結果の比較によれば、実施例1の染料を含む組成物は、比較例1および2のカーボンブラックを含む組成物と比較して劇的に低い45°におけるL値を示すことが示される。具体的に言えば、染料を含む組成物の45°におけるL値は、カーボンブラックを含む組成物に比べて約77%減少している。さらに実施例1は、改善された60°光沢および弾性率も示す。比較例3はシリコーンオイル離型剤を使用しているが、別の観点で比較例1および2に類似している。ここで留意すべきは、比較例3のL、光沢および弾性率の値は、実施例1のそれらに比べていずれも劣っていることである。実施例2ならびに比較例4および5(これらは複製である)はいずれもテトラステアリン酸ペンタエリトリトール離型剤を使用しているが、実施例2は染料を使用しており、一方で比較例4および5はカーボンブラックを使用している。実施例2は、比較例4および5に比べて劇的に減少した(64%減少した)L値を示す。さらに実施例2は、改善された60°光沢および弾性率も示す。
【0065】
[0061]
表1の続きの部分は、ポリスチレンがゴム改質ポリスチレンであるか、または、ホモポリスチレンおよびゴム改質ポリスチレンの混合物である組成物の使用を特徴とする。実施例3ならびに比較例6および7(これらは複製である)は、テトラステアリン酸ペンタエリトリトール離型剤を用いた組成物における着色剤のタイプの作用を説明する。染料を含む組成物である実施例3は、比較例6および7のカーボンブラックを含む組成物と比較して、大きいLの減少(48%)、光沢の改善、弾性率の改善、および、衝撃強度の改善を示す。ここで留意すべきは、HIPSを含む組成物のL値は、一般的に、ホモポリスチレンを含む組成物のL値よりも高いことである(例えば、実施例3対実施例1)。しかしながら、カーボンブラックではなく染料ベースの着色剤を用いる利点は保持される。HIPSに対するホモポリスチレンのLの利点は、また、実施例4(HIPSおよびホモポリスチレンのブレンドを含み、実施例3よりも低いL値を示す)によって説明される。
【0066】
[0062]
比較例8は、離型剤が、テトラステアリン酸ペンタエリトリトールではなくポリジメチルシロキサンであることを除いて比較例6および7と同一である。ここで留意すべきは、比較例8のL値は、染料を含む実施例3のL値よりも劣っていることである。
【0067】
[0063]
実施例5、ならびに比較例9および10(これらは複製である)は、直鎖状低密度ポリ
エチレン離型剤を含む組成物における着色剤のタイプの作用を説明する。実施例5の染料を含む組成物は、より低いL値を示す(約49%低い)。
【0068】
[0064]
比較例11および12は、離型剤としてホモポリスチレン/HIPSブレンド、および、テトラステアリン酸ペンタエリトリトールを含む組成物における2種より多くのカーボンブラックレベルを説明する。比較例12における0.49重量部もの低いカーボンブラックレベルでも、L値はそれでもなお対応する染料を含む実施例4の組成物の値よりも実質的に劣っている(高い)。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
実施例6〜10、比較例13〜20
[0065]
これらの実施例は、難燃剤を含む組成物における着色剤のタイプ、ポリスチレンのタイプおよび離型剤のタイプの効果を例証する。
【0072】
[0066]
実施例1〜5に関して列挙した成分に加えて、これらの組成物は、スチレン−アクリロニトリルコポリマー中にカプセル封入されたポリテトラフルオロエチレン(表2における「TSAN」)、および、スプレスタ(Supresta)からフィロルフレックRDP(Fyrolflex RDP)として得た難燃剤のレソルシノールビス(ジフェニルリン酸)(表2における「RDP」)を含む。
【0073】
[0067]
以下のことを除いて、実施例1〜5の調合手順を用いた:調合工程において、ブレンドに液状の難燃剤を上流のサイドフィーダーを介して導入し;供給口からダイへのゾーンの押出機の温度プロファイルは、200−250−270−280−280−280℃であり;スクリューの回転速度は300rpmであり、生産速度は23キログラム/時間(50ポンド/時間)、および、ベントポートの真空度は20〜25センチメートル(8〜10インチ)水銀であり;および、難燃性の材料を、260℃に設定されたバレル温度、5.08センチメートル/秒(2インチ/秒)の速度、100rpmの回転速度、および、5.5〜6.9メガパスカル(800〜1000ポンド/平方インチ)の範囲の保持圧力で射出成形した。
【0074】
[0068]
表2に、組成物および特性を要約する。ホモポリスチレン、および、テトラステアリン酸ペンタエリトリトールを含む組成物における着色剤のタイプの作用は、染料を含む実施例6を、カーボンブラックを含む比較例13および14(これらは複製である)と比較すれば明らかである。実施例6に関して、L値は、比較例13および14のL値よりも(約78%)低く、60°光沢度は、比較例13および14の光沢度よりも高い。
【0075】
[0069]
テトラステアリン酸ペンタエリトリトール離型剤の代わりにポリジメチルシロキサン離型剤を用いたことを除いて、比較例15は比較例13および14と同一であった。実施例6と比較したところ、比較例15は、劣った(高い)L値、および、劣った(低い)60°光沢度を示す。
【0076】
[0070]
ホモポリスチレン、および、直鎖状低密度ポリエチレン離型剤を含む組成物における着色剤のタイプの効果は、染料を含む実施例7を、カーボンブラックを含む比較例16および17(これらは複製である)と比較すれば明らかである。実施例7に関して、L値は、比較例16および17のL値よりも低く(約76%)、60°光沢度は、それらの光沢度よりも高い。また実施例7は、改善された衝撃強度も示す。
【0077】
[0071]
HEPS、および、直鎖状低密度ポリエチレン離型剤を含む組成物における着色剤のタイプの効果は、染料を含む実施例8を、カーボンブラックを含む比較例18と比較すれば明らかである。実施例8に関して、L値は、比較例18のL値よりも低く(約47%)、60°光沢度は、比較例18の光沢度よりも高い。
【0078】
[0072]
直鎖状低密度ポリエチレン離型剤の代わりにポリジメチルシロキサン離型剤を用いたことを除いて、比較例19は比較例18と同一であった。実施例8と比較したところ、比較例19は、劣った(高い)L値、および、劣った(低い)60°光沢度を示す。
【0079】
[0073]
HIPS、および、テトラステアリン酸ペンタエリトリトール離型剤を含む組成物における着色剤のタイプの効果は、染料を含む実施例9を、カーボンブラックを含む比較例20と比較すれば明らかである。実施例9に関して、L値は、比較例20のL値よりも低く(約41%)、60°光沢度は、比較例20の光沢度よりも高い。
【0080】
[0074]
HIPSに対するホモポリスチレンのLの利点は、実施例6(全てホモポリスチレン)、実施例10(ホモポリスチレン/HIPSブレンド)、および、実施例9(全てHIPS)を比較すれば明らかである。
【0081】
【表3】

【0082】
【表4】

【0083】
実施例11〜23、比較例21〜24
[0075]
これらの実施例は、初期色および色安定性に対する着色剤のタイプの効果を例証する。全ての組成物は、ホモポリスチレンおよびHIPSのブレンド、加えて離型剤としてテトラステアリン酸ペンタエリトリトールを含む。オレンジ色の染料、ディスパーズオレンジ47を、ランクセスからマクロレックス・オレンジR(表3における「ディスパーズオレンジ47」)として得た。青色の染料、ソルベントブルー104を、クラリアント(Clariant)からサンドプラスト・ブルー(Sandoplast Blue)2Bとして得た(表3における「ソルベントブルー104」)。
【0084】
[0076]
24ミリメートルのスクリュー直径を有するプリズム(Prism)共回転式ツインスクリュー押出機を用いて調合を行った。成形のためのバレル設定値は299℃(570°F)であり、金型温度は88℃(190°F)であった。表3に、組成を詳細に述べる。
【0085】
[0077]
色安定性を試験するために、成形されたカラーチップを、SAE J1885(2005年3月改訂)の「放射度が制御された水冷却されたキセノン−アーク装置を用いた自動車の室内品部品の促進暴露(Accelerated Exposure of Automotive Interior Trim Components Using a
Controlled Irradiance Water Cooled Xenon−Arc Apparatus)」の条件に晒した。この試験は、日光への暴露を模擬する方法として、キセノンアークバルブからの光を使用している。色安定性の試験は、放射度が制御された装置であるアトラスATLAS CI 5000シリウス(ATLAS
CI5000 Sirius)上で行われた。340ナノメートルの中心波長で測定した場合に、0.55ワット/平方メートルの放射線照射に相当するキセノンアーク放射線に、サンプルを合計600時間晒した。以下の明(光)サイクル設定を用いた:黒色パネルの温度=89℃、チャンバー温度=62℃、相対湿度=50%。以下の暗サイクル設定を用いた:チャンバー温度=38℃、相対湿度=95%。キセノンランプの内部フィルターは石英であり、外部フィルターは「S」型のホウケイ酸ガラスであった。CIELAB色差パラメーターΔEを計算することによって、600時間の放射線照射後の各組成物の色安定性を決定した。以下に示すCIELABの色差に関する式に従って色差(ΔE)値を計算した:
【0086】
【数1】

【0087】
さらに式中L、aおよびbはそれぞれ、試験に晒す前の明度、赤色−緑色の座標、および、黄色−青色の座標であり、L、a、および、bはそれぞれ、試験に晒した後の明度、赤色−緑色の座標、および、黄色−青色の座標である。
【0088】
[0078]
表3において、「45°におけるL」および「45°におけるb」は、初期の(光の照射前の)値を意味する。
【0089】
[0079]
表3の第一の部分において、染料およびカーボンブラックの両方を含む比較例21と、染料のみを含む実施例11とを比較したところ、染料のみの組成物は、極めて優れた初期の暗さ(初期の45°におけるかなり低いL)、および、光安定性(かなり低い600時間におけるΔE)を示すことが示された。このような優れた光安定性は、特に、Damnjanovic等の米国特許第6,833,184号(B2)の第3欄、第59〜61行における「顔料は染料よりも光に対して安定であるため、顔料で着色された窓用フィルムは、実質的に、染色された窓用フィルムよりも光に対して安定である」という従来技術の教示を考慮すると全く予想外であった。また、染料およびカーボンブラックの別の混合物を含む比較例22、およびカーボンブラックのみを含む比較例23に比較して、染料のみを含む実施例11の組成物の初期の色および色安定性は極めて優れていた。
【0090】
[0080]
実施例11と同様に、実施例12〜21および23はいずれも、着色剤として染料しか含まず、さらに、600時間の光の照射後に、低い初期L値、および、低いカラーシフトを示す。表3において本発明の実施例および比較例は、集合的に、カーボンブラックの存在は、容認し難い程に高いカラーシフトに関連するが、一方で、染料の使用は、容認できる程度の低いカラーシフトに関連することを示す。実施例23ば、優れた初期色および色安定性は、低い染料のレベルで達成できることを示す。
【0091】
[0081]
実施例22は、着色剤として染料のみを含むが、比較的大量のスミレ色の染料を含み、
黄色の染料は含まないものであるが、これは、低い初期L値を示すが、比較的高いbおよびΔE値を示す。これは、色相環において対立する側にある染料同士は比較的等量であるほうが好ましいことを説明している。
【0092】
[0082]
比較例24は、着色剤として染料のみを含むが、合計の染料量は0.3重量パーセントである(またこれは、実施例23から黄色の染料を除去したものに相当する)。これは比較的高いb値を示し、このサンプルは実際には紺青色に見える。これは、合計で少なくとも0.4重量パーセントの染料を有する重要性を説明しており、さらに、色相環において対立する側にある染料同士は比較的等量であるほうが好ましいことをを説明している。
【0093】
【表5】

【0094】
【表6】

【0095】
実施例24〜29、比較例25〜30
[0083]
これらの実施例は、着色剤のタイプおよび量、ポリスチレンのタイプおよび量、および、水素化されたアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーの存在または非存在を様々に変化させた種々の難燃性組成物を例証する。
【0096】
[0084]
これらの組成物全てに関して、ポリ(アリーレンエーテル)は、25℃でクロロホルム中で測定した場合、0.33デシリットル/グラムの固有粘度を有するポリ(2,6−ジ
メチル−1,4−フェニレンエーテル)であり、GEプラスチックスからPPO630として得た。衝撃改質剤は、33重量パーセントのポリスチレン含量を有するポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーであり、クラトンポリマーからクラトンG1651として得た。
【0097】
[0085]
染料を含む各実施例は、それに引き続く対応するカーボンブラックを含む比較例よりもかなり低いL、および、より有意に高い光沢度を示す。
【0098】
[0086]
ブロックコポリマーを含む、および、含まない実施例は、ブロックコポリマーのタイプおよび量、ポリスチレンのタイプおよび量、および、ポリ(アリーレンエーテル)の分子量および量の選択によって外観、耐熱性および耐衝撃性のバランスをとることが可能であることを実証する。
【0099】
[0087]
前述の実施例のいずれも、L値が、カーボンブラックを含む比較と比較して少なくとも40%減少しており、少なくとも90の60°光沢度、少なくとも80℃の熱変形温度、および、少なくとも20ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度を示す染料を含む組成物を調合することが可能であることを実証する。
【0100】
【表7】

【0101】
[0088]
最良の形態を含む本発明を開示して、さらにあらゆる当業者が本発明を作製し使用することができるように、本明細書に記載された説明では実施例を使用した。本発明の特許性を有する範囲は請求項によって定義され、当業者が想定したその他の実施例も含み得る。このようなその他の実施例は、それらが、請求項に記載の文字通りの言葉と異ならない構成的な要素を含む場合、または、それらが、請求項に記載の文字通りの言葉とわずかな違いがあるが等価な構成的な要素を含む場合に、請求項の範囲内であるとする。
【0102】
[0089]
引用された全ての特許、特許出願およびその他の参考文献は、この参照によりそれらの全体が開示に含まれる。しかしながら、本願に記載された用語が包含される参考文献に記載の用語と矛盾したり、または、対立したりする場合、その本願に記載された用語が、対立する包含される参考文献に記載の用語よりも優位である。
【0103】
[0090]
本明細書において開示された全ての範囲は両端の値を含んでおり、その両端の値は、独立して互いに組み合わせることができる。
【0104】
[0091]
本発明の説明の文脈における(特に以下の請求項の文脈における)用語「a」および「an」および「the」および類似の指示対象の使用は、そこで特に他の指定がない限り、または、明らかに文脈と矛盾していない限り、単数形と複数形の両方を包含するように解釈されることとする。さらに当然ながら、本明細書における用語「第一の」、「第二の」などはいかなる順番、量または重要性を意味することはなく、一方の構成要素を他方の構成要素と区別するために用いられる。量に関して用いられる修飾句の「約」は、表示された値を含み、かつ状況に応じて決定される意味を有する(例えば、特定の量の測定に伴うある程度の誤差を含む)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色の熱可塑性組成物であって:
ポリ(アリーレンエーテル);
ポリスチレン;および、
少なくとも2種の有機染料;
を含み、ここで該少なくとも2種の有機染料の合計濃度は、熱可塑性組成物の総重量に基づき、少なくとも0.4重量パーセントであり;
ここで該組成物は、
ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも90パーセントの60°の光沢度、および、
ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、4以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも30パーセント低い)、
を示す、上記組成物。
【請求項2】
前記組成物が、SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、3以下のCIELABカラーシフトΔEを示す、請求項1に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項3】
ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、少なくとも80℃の熱変形温度、
ASTM D256に従って23℃で測定した場合、少なくとも20ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、および、
ASTM D638に従って23℃で測定した場合、2400〜3700メガパスカルの弾性率、
のうち少なくとも1つを示す、請求項1または2に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項4】
前記ポリスチレンが、ホモポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、および、それらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項5】
20〜80重量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)、および、20〜80重量パーセントのポリスチレンを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項6】
前記少なくとも2種の有機染料が、アントラキノン類、アントラピリドン類、ペリレン類、アントラセン類、ペリノン類、インダンスロン類、キナクリドン類、キサンテン類、チオキサンテン類、オキサジン類、オキサゾリン類、インジゴイド類、チオインジゴイド類、キノフタロン類、ナフタルイミド類、シアニン類、メチン類、ピラゾロン類、ラクトン類、クマリン類、ビス−ベンズオキサゾリルチオフェン類、ナフタレンテトラカルボン酸類、フタロシアニン類、トリアリールメタン類、アミノケトン類、ビス(スチリル)ビフェニル類、アジン類、ローダミン類、前述のものの誘導体、および、それらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項7】
少なくとも3種の有機染料を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項8】
前記少なくとも2種の有機染料が、赤色の染料と緑色の染料、スミレ色の染料と黄色の
染料;および、オレンジ色の染料と青色の染料からなる群より選択される染料の少なくとも1種の組み合わせを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項9】
前記少なくとも2種の有機染料が、染料の少なくとも2種の組み合わせを含む、請求項8に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項10】
前記少なくとも2種の有機染料が、ソルベントレッド染料、および、ソルベントグリーン染料、ソルベントバイオレット染料、および、ソルベントイエロー染料、または、ディスパーズイエロー染料、および、ソルベントオレンジ染料、および、ソルベントブルー染料からなる群より選択される少なくとも1種の染料の組み合わせを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項11】
前記少なくとも2種の有機染料が、染料の少なくとも2種の組み合わせを含む、請求項10に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項12】
前記組成物が、0.1重量パーセント未満のカーボンブラックを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項13】
前記組成物が、カーボンブラックを含まない、請求項1〜12のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項14】
アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロックコポリマーをさらに含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項15】
難燃剤をさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項16】
前記組成物が、無機充填剤を含まない、請求項1〜15のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項17】
前記組成物が、ポリカーボネートを含まない、請求項1〜16のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項18】
前記組成物が、ASTM D542に従って23℃で測定した場合、1.54未満の屈
折率、または、1.62より大きい屈折率を有するあらゆるポリマーを含まない、請求項
1〜17のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項19】
前記組成物が、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスチレン、および、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロックコポリマー以外のあらゆるポリマーを含まない、請求項1〜18のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項20】
前記黒色の熱可塑性組成物が、30〜65重量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)を含み;
ここで該ポリ(アリーレンエーテル)が、25℃でクロロホルム中で測定した場合、0.35〜0.5デシリットル/グラムの固有粘度を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を含み;
ここで該黒色の熱可塑性組成物が、15〜70重量パーセントのポリスチレンを含み;
ここで該ポリスチレンが、ゴム改質ポリスチレンを含み;
ここで該黒色の熱可塑性組成物が、合計で少なくとも0.4重量パーセントの少なくとも2種の有機染料を含み;
ここで該少なくとも2種の有機染料が、少なくとも4種の有機染料であり;
ここで該少なくとも4種の有機染料が、赤色の染料、緑色の染料、黄色の染料、および、スミレ色の染料を含み;
ここで全ての重量パーセントは熱可塑性組成物の総重量に基づき;および、
ここで該組成物は、
ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも94パーセントの60°の光沢度、
ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、2以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも50パーセント低い)、
SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、2以下のCIELABカラーシフトΔE、
ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、少なくとも80℃の熱変形温度、
ASTM D256に従って23℃で測定した場合、少なくとも20ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、および、
ASTM D638に従って23℃で測定した場合、2400〜3700メガパスカルの弾性率、
を示す、請求項1に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項21】
前記ポリスチレンが、25〜45重量パーセントのホモポリスチレンをさらに含む、請求項20に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項22】
前記少なくとも4種の有機染料が、青色の染料、および、オレンジ色の染料をさらに含む、請求項20または21に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項23】
難燃剤をさらに含む、請求項20〜22のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項24】
前記組成物が、−2.2〜0のCIEb値を示す、請求項20〜23のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項25】
前記組成物が、JIS K56−5−4に従って23℃で測定した場合、HB〜2Hの鉛筆硬度を示す、請求項20〜24のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項26】
前記組成物が、
ASTM D523に従って測定した場合、94〜105パーセント60°の光沢度、
ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、0.5〜2のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも50〜95パーセント低い)、
SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、0.3〜3のCIELABカラーシフトΔE、
ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、80〜120℃の熱変形温度、および、
ASTM D256に従って23℃で測定した場合、20〜220ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、
を示す、請求項20〜25のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項27】
前記組成物が、
UL94垂直燃焼試験に従って試験サンプル厚さ1.5ミリメートルで測定した場合、V−0の燃焼性評価、
UL746Aに従って試験サンプル厚さ1.0ミリメートルで測定した場合、700〜750℃のグローワイヤ着火温度(GWIT)、
UL746Aに従って試験サンプル厚さ3.0ミリメートルで測定した場合、725〜775℃のグローワイヤ着火温度(GWIT)、および、
UL746Aに従って試験サンプル厚さ1.0ミリメートルで測定した場合、930〜990℃のグローワイヤ燃焼指数(GWFI)、
のうち少なくとも1つを示す、請求項20〜26のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項28】
前記黒色の熱可塑性組成物が、40〜70重量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)を含み;
前記ポリ(アリーレンエーテル)が、25℃でクロロホルム中で測定した場合、0.28〜0.38デシリットル/グラムの固有粘度を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を含み;
前記黒色の熱可塑性組成物が、15〜45重量パーセントのポリスチレンを含み;
前記ポリスチレンが、ゴム改質ポリスチレンを含み;および、
前記黒色の熱可塑性組成物が、少なくとも0.4重量パーセントの少なくとも4種の有機染料を含み、前記少なくとも4種の有機染料は、赤色の染料、緑色の染料、黄色の染料、および、スミレ色の染料を含み;
ここで全ての重量パーセントは熱可塑性組成物の総重量に基づき;および、
前記組成物が、
ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも94パーセントの60°の光沢度、
ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、2以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも50パーセント低い)、
SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、3以下のCIELABカラーシフトΔE、
ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、少なくとも80℃の熱変形温度、
ASTM D256に従って23℃で測定した場合、少なくとも20ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、および、
ASTM D638に従って23℃で測定した場合、2400〜3700メガパスカルの弾性率、
を示す、請求項1に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項29】
前記少なくとも4種の有機染料が、青色の染料、および、オレンジ色の染料をさらに含む、請求項28に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項30】
前記ポリスチレンが、10〜30重量パーセントのホモポリスチレンをさらに含む、請求項28または29に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項31】
難燃剤をさらに含む、請求項28〜30のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項32】
前記組成物が、−2.2〜0のCIEb値を示す、請求項28〜31のいずれか一項
に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項33】
前記組成物が、JIS K56−5−4に従って23℃で測定した場合、HB〜2Hの鉛筆硬度を示す、請求項28〜32のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項34】
前記組成物が、
ASTM D523に従って測定した場合、94〜105パーセント60°の光沢度、
ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、0.5〜2のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも50〜95パーセント低い)、
SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、0.3〜3のCIELABカラーシフトΔE、
ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、80〜100℃の熱変形温度、および、
ASTM D256に従って23℃で測定した場合、20〜100ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、
を示す、請求項28〜33のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項35】
前記組成物が、
UL94垂直燃焼試験に従って試験サンプル厚さ1.5ミリメートルで測定した場合、V−0の燃焼性評価、
UL746Aに従って試験サンプル厚さ1.0ミリメートルで測定した場合、700〜750℃のグローワイヤ着火温度(GWIT)、
UL746Aに従って試験サンプル厚さ3.0ミリメートルで測定した場合、725〜775℃のグローワイヤ着火温度(GWIT)、および、
UL746Aに従って試験サンプル厚さ1.0ミリメートルで測定した場合、930〜990℃のグローワイヤ燃焼指数(GWFI)、
のうち少なくとも1つを示す、請求項28〜34のいずれか一項に記載の黒色の熱可塑性組成物。
【請求項36】
黒色の熱可塑性組成物の製造方法であって:
ポリ(アリーレンエーテル)、
ポリスチレン、および、
少なくとも2種の有機染料、
を含む組成物を溶融混練して、黒色の熱可塑性組成物を形成することを含み;
ここで該少なくとも2種の有機染料の合計濃度は、黒色の熱可塑性組成物の総重量に基づき、少なくとも0.4重量パーセントであり;および、
ここで該黒色の熱可塑性組成物は、
ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも90パーセントの60°の光沢度、および、
ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、4以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも30パーセント低い)、
を示す、上記方法。
【請求項37】
前記組成物が、30〜50重量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)を含み;
前記ポリ(アリーレンエーテル)が、25℃でクロロホルム中で測定した場合、0.35〜0.5デシリットル/グラムの固有粘度を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−
フェニレンエーテル)を含み;
前記組成物が、15〜70重量パーセントのポリスチレンを含み;
前記ポリスチレンが、ゴム改質ポリスチレンを含み;
前記組成物が、合計で少なくとも0.4重量パーセントの少なくとも2種の有機染料を含み;
前記少なくとも2種の有機染料が、少なくとも4種の有機染料であり;
前記少なくとも4種の有機染料が、赤色の染料、緑色の染料、黄色の染料、および、スミレ色の染料を含み;
ここで全ての重量パーセントは、黒色の熱可塑性組成物の総重量に基づき;および、
前記黒色の熱可塑性組成物が、
ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも94パーセントの60°の光沢度、
ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、2以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、等しい重量のカーボンブラックが上記少なくとも2種の有機染料で置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも50パーセント低い)、
SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、3以下のCIELABカラーシフトΔE、
ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、少なくとも80℃の熱変形温度、
ASTM D256に従って23℃で測定した場合、少なくとも20ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、および、
ASTM D638に従って23℃で測定した場合、2400〜3700メガパスカルの弾性率、
を示す、請求項36に記載の黒色の熱可塑性組成物の製造方法。
【請求項38】
前記組成物が、40〜60重量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)を含み;
前記ポリ(アリーレンエーテル)が、25℃でクロロホルム中で測定した場合、0.28〜0.38デシリットル/グラムの固有粘度を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を含み;
前記組成物が、15〜45重量パーセントのポリスチレンを含み;
前記ポリスチレンが、ゴム改質ポリスチレンを含み;
前記組成物が、少なくとも0.4重量パーセントの少なくとも2種の有機染料を含み;
前記少なくとも2種の有機染料が、少なくとも4種の有機染料であり;
前記少なくとも4種の有機染料が、赤色の染料、緑色の染料、黄色の染料、および、スミレ色の染料を含み;
ここで全ての重量パーセントは、黒色の熱可塑性組成物の総重量に基づき;および、
前記黒色の熱可塑性組成物が、
ASTM D523に従って測定した場合、少なくとも94パーセントの60°の光沢度、
ASTM D2244に従って、45°の角度で、光の鏡面反射成分を排除して、さらにCIEの昼光標準光源D65を用いて測定した場合、2以下のCIE明度値L(ここで該CIE明度値は、上記少なくとも2種の有機染料が等しい重量のカーボンブラックで置換された対応する組成物のCIE明度値よりも少なくとも50パーセント低い)、
SAE J1885に従ってキセノンアークを600時間照射した後に、ASTM D2244に従って測定した場合、3以下のCIELABカラーシフトΔE、
ASTM D648に従って0.455メガパスカルの負荷で測定した場合、少なくとも80℃の熱変形温度、
ASTM D256に従って23℃で測定した場合、少なくとも20ジュール/メートルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度、および、
ASTM D638に従って23℃で測定した場合、2400〜3700メガパスカルの弾性率、
を示す、請求項36に記載の黒色の熱可塑性組成物の製造方法。
【請求項39】
請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物を含む物品。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−1491(P2010−1491A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−213983(P2009−213983)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【分割の表示】特願2009−523089(P2009−523089)の分割
【原出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(508171804)サビック・イノベーティブ・プラスチックス・アイピー・ベスローテン・フェンノートシャップ (86)
【Fターム(参考)】