説明

黒色腫の再発を予防するまたは遅らせるのに使用するためのビス(チオヒドラジドアミド)

本明細書に開示されるのは、構造式(I)〜(IX)より選択される式で表されるビス(チオ−ヒドラジドアミド)またはその薬学的に許容される塩を用いて、対象において黒色腫の再発を予防するまたは遅らせる方法、これらのビス(チオ−ヒドラジドアミド)を含む薬学的組成物、およびこれらのビス(チオヒドラジド)アミドと1種または複数種の抗癌剤とを含む組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年8月21日に出願された米国特許仮出願第60/838,986号の優先権の恩典を主張するものであり、その教示内容全体を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
米国では将来、男女59人に1人がその生涯で皮膚黒色腫と診断されることになる。黒色腫症例の80%は癌がまだ原発部位に限局しているうちに(限局期)診断される。12%は癌が所属リンパ節に転移または原発部位外に直接転移した後で診断される。
【0003】
黒色腫に対する最初の治療は、この癌を外科的に取り除くことである。多くの場合、特にIIおよびIII期の黒色腫では、癌がすでに転移しており、後に体の他の部分で二次腫瘍として再発するため、外科手術は不適切である。転移性黒色腫を有する患者では予後が悪く、生存期間の中央値は通常6〜9か月である。
【0004】
IIおよびIII期の黒色腫の患者には一般に、化学療法をおこなって疾患の再発を予防する。しかしながら、現行の治療では、化学療法をおこなっているにもかかわらず多くの患者で二次腫瘍が発達するため、こうした治療は不適切である。
【0005】
このため、黒色腫の再発を予防する新たな方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
黒色腫における疾患の無増悪期間を長くする上で、現時点で利用可能な処置剤に比して特定のビス(チオヒドラジド)アミドが効果的であることが見いだされた。本明細書に開示の方法は、パクリタキセルのみの場合と比較して、パクリタキセルと化合物(1)とを併用して治療した黒色腫患者における疾患の無増悪期間の統計的に有意な延長を示すものである。これらの結果から、I、II、またはIII期の黒色腫の治療を受けている患者において黒色腫の再発を予防するまたは遅らせる上で、ビス(チオヒドラジドアミド)が効果的であることが分かる。
【0007】
ビス(チオ−ヒドラジドアミド)を用いて、I、II、またはIII期の黒色腫の治療を受けている対象において、黒色腫の再発を予防する、黒色腫の再発の尤度を低減するまたは黒色腫の再発を遅らせる方法が開示される。この方法は、構造式Iで表されるビス(チオ−ヒドラジドアミド)の有効量を対象に投与する段階を含む。

【0008】
Yは、共有結合または置換されていてもよい直鎖状ヒドロカルビル基であるか、Yは、それが結合する両方の>C=Z基と一緒になって、置換されていてもよい芳香族基である。
【0009】
〜Rは独立して、−H、置換されていてもよい脂肪族基、置換されていてもよいアリール基であるか、またはRおよびRが、それらが結合する炭素原子および窒素原子と一緒になって、かつ/もしくはRおよびRが、それらが結合する炭素原子および窒素原子と一緒になって、芳香環に縮合されていてもよい非芳香環を形成する。
【0010】
〜Rは独立して、−H、置換されていてもよい脂肪族基、または置換されていてもよいアリール基である。
【0011】
Zは、OまたはSである。
【0012】
また、ビス(チオ−ヒドラジドアミド)を用いて、I、II、またはIII期の黒色腫を有する対象を治療する方法も開示される。この方法は、構造式Iで表されるビス(チオ−ヒドラジドアミド)の有効量を対象に投与する段階を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】パクリタキセル+化合物(1)対パクリタキセルのみについての研究における無増悪期間(癌増殖の再開)のカプラン・マイヤーグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、黒色腫を外科的に取り除くなど、I、II、またはIII期の黒色腫の治療を以前に受けている対象において、黒色腫の再発を予防する、黒色腫の再発の尤度を低減するまたは黒色腫の再発を遅らせることに関する。I、II、またはIII期の黒色腫の治療を以前に受けている対象において、黒色腫を予防する、黒色腫の尤度を低減するまたは黒色腫の再発を遅らせることを、本明細書では単に「対象において黒色腫の再発を遅らせるまたは予防する」という。本発明はまた、対象においてI、II、またはIII期の黒色腫を治療することにも関する。ここに開示の方法では、構造式(I)〜(IX)より選択される式で表されるビス(チオ−ヒドラジドアミド)(もしくはこれらの構造式に包含される化合物)またはその薬学的に許容される塩、これらのビス(チオ−ヒドラジドアミド)を含む薬学的組成物、ならびにこれらのビス(チオヒドラジド)アミドと別の抗癌剤とを含む組成物を利用する。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、I、II、もしくはIII期の黒色腫の治療を受けている対象において黒色腫の再発を予防するもしくは遅らせるための薬物、またはI、II、もしくはIII期の黒色腫を有する対象を治療するための薬物の製造に、本明細書に開示するビス(チオヒドラジドアミド)を使用することである。
【0016】
皮膚癌は皮膚上層の細胞で初発する。皮膚癌には、扁平上皮癌、基底細胞癌、および黒色腫の3つの異なるタイプがある。
【0017】
この3タイプの癌はいずれも、表皮すなわち皮膚上層の細胞で初発する。
【0018】
黒色腫は極めてまれなタイプの皮膚癌であるが、最も重篤である。この癌はメラノサイトで初発する。あらゆる皮膚癌関連死の主因となるのが黒色腫である。
【0019】
黒色腫は主に5つの病型に分けられる。
(i)先天性母斑:先天的であって悪性ではない。
(ii)悪性黒子(ハッチンソン黒色斑):高齢者世代に多い黒色腫の形態である。これらの病変は、これよりも悪性度の高い垂直増殖期に発展する前にインサイチューの腫瘍として何年もかけて発達することがある。このタイプの黒色腫は、顔面、耳、腕、および上幹の損傷皮膚に最も多く見られる。
(iii)表在拡大型悪性黒色腫:通常、診断された黒色腫の約65%を占める最も一般的な形態である。この癌はおそらく、真皮結合部分の皮膚の一増殖巣で初発する。この癌は最初のうち、真皮結合部分に沿ってその上下で水平に増殖する。これは黒色腫の「水平」増殖期と呼ばれ、臨床的には黄斑状またはわずかに盛り上がっている程度である。この黒色腫は、さらに深部まで侵入する前にかなり長期間にわたって皮膚の最表層に沿って移動する。黒色腫は全身のほぼどこにでも見られるが、たいていは男性では胴、女性では脚、また男女とも上背に生じる。このタイプの黒色腫は主に、若い世代に多い。
(iv)末端黒子型悪性黒色腫:表在拡大型悪性黒色腫、末端黒子型悪性黒色腫と同様に、さらに深部まで侵入する前に表面を転移する。ただ、この黒色腫は爪の裏側または足底または手掌での黒や茶色の変色として表れるのが普通であるため、他の黒色腫とは大きく異なる。このタイプの黒色腫はアフリカ系アメリカ人とアジア人では最も一般的な黒色腫であり、コーカサス人種では極めてまれである。
(v)結節性悪性黒色腫:それほど一般的ではない形態の黒色腫である。他のタイプとは違って、結節性黒色腫は通常、診断された時点で浸潤性である。しこりになると悪性度が分かる。この腫瘍では、おそらく水平増殖期がない。病変深度が患者の予後と相関しているようであり、結節性黒色腫は、表層部で転移する腫瘍よりも確定的治療になじみにくい。
【0020】
本発明の方法は、上記にて定義した黒色腫のすべての病型の再発を治療する、予防する、または遅らせることを包含する。
【0021】
黒色腫はさらに、疾患の進行度に応じて4つの異なる病期に分けられる。
【0022】
I期
皮膚外層(表皮)および/または皮膚内層の上層部(真皮)に癌を認めるが、周辺リンパ節への転移を認めない。腫瘍の厚さが1.5ミリメートル(1/16インチ)未満である。
【0023】
II期
腫瘍の厚さが1.5ミリメートルから4ミリメートル(1/6インチ未満)である。皮膚内層の下層部(真皮)への転移があるが、皮下組織や周辺リンパ節への転移を認めない。
【0024】
III期
以下のいずれかに該当する場合、その腫瘍はIII期である。
腫瘍が厚さ4ミリメートル(約1/6インチ)を超える。
体の皮下組織への腫瘍転移を認める。
初発腫瘍の1インチ以内に別の腫瘍増殖(サテライト腫瘍)がある。
周辺リンパ節への腫瘍転移または初発腫瘍とその領域のリンパ節との間に別の腫瘍増殖(サテライト腫瘍)を認める。
【0025】
IV期
初発腫瘍を越えて他の臓器またはリンパ節に腫瘍転移を認める。
【0026】
一態様において、本発明は、本明細書に記載のビス(チオヒドラジドアミド)の有効量を対象に投与する段階を含む、I、II、もしくはIII期の黒色腫を有する対象を治療する、または対象において黒色腫の再発を予防するもしくは遅らせる方法である。
【0027】
ここに開示の発明で用いるビス(チオ−ヒドラジドアミド)は、構造式Iで表され、構造式Iで表される化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物である。
【0028】
一態様において、構造式IのYは、共有結合、−C(R)−、−(CHCH)−、トランス−(CH=CH)−、シス−(CH=CH)−、または−(C≡C)−基であり、好ましくは−C(R)−である。R〜Rは、構造式Iについて上述したとおりである。RおよびRは、各々独立して、−H、脂肪族基、もしくは置換脂肪族基であるか、またはRが−HでありかつRが置換されていてもよいアリール基であるか、あるいは、RおよびRが一緒になって、置換されていてもよいC2〜C6アルキレン基である。一態様において、構造式Iの化合物は、薬学的に許容される塩の形である。一態様において、構造式Iの化合物は、1つまたは複数の薬学的に許容されるカチオンと組み合わせて薬学的に許容される塩の形である。薬学的に許容されるカチオンは、詳細について後述するようなものである。
【0029】
特定の態様では、Yは、それが結合する両>C=Z基と一緒になって、置換されていてもよい芳香族基である。この例では、特定のビス(チオ−ヒドラジドアミド)が、構造式IIで表される:

式中、
環Aは置換または非置換であり、Vは、−CH−または−N−である。構造式IIの他の変数については、構造式IまたはIIIaについて本明細書で説明するとおりである。
【0030】
特定の態様では、ビス(チオ−ヒドラジドアミド)は、構造式IIIaで表される:

式中、
〜Rは、構造式Iについて上述したとおりである。
【0031】
構造式I〜IIIaにおいて、RおよびRが同一または異なっているおよび/またはRおよびRが同一または異なっており、好ましくは、RとRとが同一でありかつRとRとが同一である。構造式IおよびIIIaでは、Zは好ましくはOである。一般に構造式IおよびIIIaでは、ZはOであり、RとRとが同一であり、RとRとが同一である。一層好ましくは、ZがOであり、RとRとが同一であり、RとRとが同一であり、RとRとが同一である。
【0032】
他の態様では、ビス(チオ−ヒドラジドアミド)は、構造式IIIaで表され、この場合のRおよびRは各々、置換されていてもよいアリール基であり、好ましくは置換されていてもよいフェニル基である。RおよびRは各々、置換されていてもよい脂肪族基であり、好ましくは、−OH、ハロゲン、フェニル、ベンジル、ピリジル、またはC1〜C8アルコキシで置換されていてもよいアルキル基であり、Rは、−Hまたはメチルであり、一層好ましくは、−OH、ハロゲン、フェニル、ベンジル、ピリジル、またはC1〜C8アルコキシで置換されていてもよいメチル基またはエチル基であり、Rは−Hであるか、−OH、ハロゲン、またはC1〜C4アルコキシで置換されていてもよいメチルである。RおよびRは上述のとおりであるが、Rは好ましくは−Hであり、Rは、好ましくは−H、脂肪族基、または置換脂肪族基である。
【0033】
あるいは、RおよびRは各々、置換されていてもよいアリール基である。RおよびRは各々、置換されていてもよい脂肪族基である。Rは−Hである。Rは、−H、脂肪族基、または置換脂肪族基である。好ましくは、RおよびRは各々、置換されていてもよいアリール基である。RおよびRは各々、−OH、ハロゲン、フェニル、ベンジル、ピリジル、またはC1〜C8アルコキシで置換されていてもよいアルキル基であり、Rは、−Hまたはメチルである。Rは−Hであり、Rは、−Hまたはメチルである。なお一層好ましくは、RおよびRは各々、置換されていてもよいフェニル基であり、好ましくは、−OH、ハロゲン、C1〜4アルキル、またはC1〜C4アルコキシで置換されていてもよいフェニル基である。RおよびRは各々、−OH、ハロゲン、またはC1〜C4アルコキシで置換されていてもよいメチルまたはエチルである。Rは−Hであり、Rは、−Hまたはメチルである。RおよびRで表されるアリール基、ならびにR、R、およびRで表される脂肪族基に適した置換基は、アリールおよび脂肪族基について後述するとおりである。
【0034】
別の態様では、ビス(チオ−ヒドラジドアミド)は構造式IIIaで表され、この場合のRおよびRは各々、置換されていてもよい脂肪族基であり、好ましくは、少なくとも1つのアルキル基で置換されていてもよいC3〜C8シクロアルキル基であり、一層好ましくは、シクロプロピルまたは1−メチルシクロプロピルである。RおよびRは、構造式Iについて上述したとおりであり、好ましくはいずれも、置換されていてもよいアルキル基である。RおよびRは上述のとおりであるが、Rは好ましくは−Hであり、Rは、好ましくは−H、脂肪族基、または置換脂肪族基であり、一層好ましくは−Hまたはメチルである。
【0035】
あるいは、ビス(チオ−ヒドラジドアミド)は構造式IIIaで表され、この場合のRおよびRは各々、置換されていてもよい脂肪族基である。RおよびRは、構造式Iについて上述したとおりであり、好ましくはいずれも置換されていてもよいアルキル基である。Rは−Hであり、Rは−Hまたは置換されていてもよい脂肪族基である。好ましくは、RおよびRはいずれも、少なくとも1つのアルキル基で置換されていてもよいC3〜C8シクロアルキル基である。RおよびRはいずれも、構造式Iについて上述したとおりであり、好ましくはアルキル基である。Rは−Hであり、Rは−Hまたは脂肪族または置換脂肪族基である。一層好ましくは、RおよびRはいずれも、少なくとも1つのアルキル基で置換されていてもよいC3〜C8シクロアルキル基である。RおよびRはいずれも、−OH、ハロゲン、フェニル、ベンジル、ピリジル、またはC1〜C8アルコキシで置換されていてもよいアルキル基であり、Rは、−Hまたはメチルである。Rは−Hであり、Rは、−Hまたはメチルである。なお一層好ましくは、RおよびRはいずれも、シクロプロピルまたは1−メチルシクロプロピルである。RおよびRはいずれも、アルキル基であり、好ましくは、−OH、ハロゲン、またはC1〜C4アルコキシで置換されていてもよいメチルまたはエチルである。Rは−Hであり、Rは−Hまたはメチルである。
【0036】
特定の態様では、ビス(チオ−ヒドラジドアミド)は、構造式IIIbで表される:

式中、
、R、R、R、R、R、およびZは、構造式IIIaについて上記にて定義したとおりである。
【0037】
特定の態様では、ビス(チオ−ヒドラジドアミド)は、構造式IVaで表される:

式中、
およびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもエチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも4−シアノフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか;RおよびRはいずれも4−メトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか;RおよびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもエチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか;RおよびRはいずれも4−シアノフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも2,5−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも2,5−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか;RおよびRはいずれも3−シアノフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも3−フルオロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも4−クロロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか;RおよびRはいずれも2−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも3−メトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも2,3−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも2,3−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか;RおよびRはいずれも2,5−ジフルオロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも2,5−ジフルオロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか;RおよびRはいずれも2,5−ジクロロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも2,5−ジメチルフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも2,5−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも2,5−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか;RおよびRはいずれもシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれもシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもエチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれもシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか;RおよびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか;RおよびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはエチルであり、かつRは−Hであるか;RおよびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはn−プロピルであり、かつRは−Hであるか;RおよびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもエチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、Rはメチルであり、Rはエチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも2−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも2−フェニルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれも1−フェニルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれもシクロブチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれもシクロペンチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれもシクロヘキシルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれもシクロヘキシルであり、RおよびRはいずれもフェニルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれもメチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれもメチルであり、RおよびRはいずれもt−ブチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれもメチルであり、RおよびRはいずれもフェニルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはいずれもt−ブチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;RおよびRはエチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか;または、RおよびRはいずれもn−プロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hである。
【0038】
特定の態様では、ビス(チオ−ヒドラジドアミド)は、構造式IVbで表される:

式中、
、R、R、およびRは、構造式IVaについて上記にて定義したとおりである。
【0039】
特定の態様では、ビス(チオ−ヒドラジドアミド)は構造式Vで表される:

式中、
およびRはいずれもフェニルであり、かつRおよびRはいずれもo−CH−フェニルであるか;RおよびRはいずれもo−CHC(O)O−フェニルであり、かつRおよびRはフェニルであるか;RおよびRはいずれもフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれもフェニルであり、かつRおよびRはいずれもエチルであるか;RおよびRはいずれもフェニルであり、かつRおよびRはいずれもn−プロピルであるか;RおよびRはいずれもp−シアノフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれもp−ニトロフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも2,5−ジメトキシフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれもフェニルであり、かつRおよびRはいずれもn−ブチルであるか;RおよびRはいずれもp−クロロフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも3−ニトロフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも3−シアノフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも3−フルオロフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも2−フラニルであり、かつRおよびRはいずれもフェニルであるか;RおよびRはいずれも2−メトキシフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも3−メトキシフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも2,3−ジメトキシフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも2−メトキシ−5−クロロフェニルであり、かつRおよびRはいずれもエチルであるか;RおよびRはいずれも2,5−ジフルオロフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも2,5−ジクロロフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも2,5−ジメチルフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも2−メトキシ−5−クロロフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも3,6−ジメトキシフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれもフェニルであり、かつRおよびRはいずれも2−エチルフェニルであるか;RおよびRはいずれも2−メチル−5−ピリジルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;または、Rはフェニルであり、Rは2,5−ジメトキシフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれもp−CF−フェニルであるか;RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれもo−CH−フェニルであるか;RおよびRはいずれも−(CHCOOHであり、かつRおよびRはいずれもフェニルであるか;RおよびRはいずれも構造式

で表され、かつRおよびRはいずれもフェニルであるか;RおよびRはいずれもn−ブチルであり、かつRおよびRはいずれもフェニルであるか;RおよびRはいずれもn−ペンチルであり、かつRおよびRはいずれもフェニルであるか;RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも2−ピリジルであるか;RおよびRはいずれもシクロヘキシルであり、かつRおよびRはいずれもフェニルであるか;RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも2−エチルフェニルであるか;RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも2,6−ジクロロフェニルであるか;R〜Rはすべてメチルであるか;RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれもt−ブチルであるか;RおよびRはいずれもエチルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれもt−ブチルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれもシクロプロピルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれもシクロプロピルであり、かつRおよびRはいずれもエチルであるか;RおよびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも2−メチルシクロプロピルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも1−フェニルシクロプロピルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれも2−フェニルシクロプロピルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれもシクロブチルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;RおよびRはいずれもシクロペンチルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか;Rはシクロプロピルであり、Rはフェニルであり、かつRおよびRはいずれもメチルである。
【0040】
ビス(チオ−ヒドラジドアミド)の好ましい例としては、以下の化合物(1)〜(18)ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物があげられる。





【0041】
本明細書で使用する場合、「ビス(チオ−ヒドラジドアミド)」という用語および本発明の構造式への参照は、これらの化合物ならびに構造式の薬学的に許容される塩および溶媒和物も含む。許容される塩および溶媒和物の例は、米国特許出願公開第20060135595号明細書、および2006年5月11日に発明の名称「ビス(チオ−ヒドラジドアミド)塩の合成(Synthesis Of Bis(Thio−Hydrazide Amide) Salts)」で出願された米国特許出願第11/432,307号明細書(それぞれの開示内容全体を本明細書に援用する)に記載されている。
【0042】
これらの化合物は、好適な有機塩基または無機塩基と反応して、塩基付加塩を形成可能な1つまたは複数の十分に酸性のプロトンを含むことがある。塩基付加塩としては、水酸化アンモニウム、またはアルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などの無機塩基に由来する塩基付加塩、アルコキシド、アルキルアミド、アルキル、およびアリールアミンなどの有機塩基に由来する塩基付加塩があげられる。このため、本発明の塩を調製するのに有用なそのような塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウムなどが含まれる。
【0043】
たとえば、本明細書で用いるビス(チオ−ヒドラジド)アミドの薬学的に許容される塩(構造式I−VIで表されるもの、化合物1〜18など)は、この化合物を1当量の好適な塩基と反応させて一価の塩(すなわち、化合物が、一価のカチオンなどの薬学的に許容される対カチオンと釣り合う1個の負電荷を有する)を形成するか、2当量の好適な塩基と反応させて二価の塩(化合物が、2個の薬学的に許容される対カチオン、たとえば薬学的に許容される一価のカチオン2個または薬学的に許容される二価のカチオン1個と釣り合う電子2個の負電荷を有するなど)を形成して得られる塩である。ビス(チオ−ヒドラジドアミド)の二価の塩が好ましい。「薬学的に許容される」とは、そのカチオンが対象に投与するのに適していることを意味する。一例として、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、およびNRがあげられるが、各Rは独立して、水素、置換されていてもよい脂肪族基(ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、またはアンモニウムアルキル基など)、または置換されていてもよいアリール基であるか、2個のR基が一緒になって、芳香環に縮合されていてもよい、置換されていてもよい非芳香族複素環を形成する。通常、薬学的に許容されるカチオンは、Li、Na、K、NH(COH)、またはN(CH(COH)であり、より一般的には、塩は二ナトリウム塩または二カリウム塩、好ましくは二ナトリウム塩である。
【0044】
アミンなど十分に塩基性の基を有する、本明細書において用いられるビス(チオ−ヒドラジド)アミドは、有機酸または無機酸と反応して、酸付加塩を形成することができる。塩基性の基を有する化合物から酸付加塩を形成するために一般的に用いられる酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニル−スルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などの有機酸である。このような塩の例としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩などがあげられる。
【0045】
開示されるビス(チオヒドラジドアミド)の塩は、互変異性体の形態を取るものであってもよい。一例として、二塩の互変異性体の形態の1つとして、以下の構造式があげられる。

【0046】
Yは、共有結合または置換または非置換の直鎖状ヒドロカルビル基である。R〜Rは独立して、−H、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、または置換アリール基であるか、またはRおよびRが、それらが結合する炭素原子および窒素原子と一緒になって、かつ/もしくはRおよびRが、それらが結合する炭素原子および窒素原子と一緒になって、芳香環に縮合されていてもよい非芳香族複素環を形成する。Zは、−Oまたは−Sである。Mは、薬学的に許容される一価のカチオンであり、M2+は、薬学的に許容される二価のカチオンである。
【0047】
一態様では、構造式(VI)の変数を以下のとおり定義する。
【0048】
は、薬学的に許容される一価のカチオンである。M2+は、薬学的に許容される二価のカチオンである。「薬学的に許容される」とは、そのカチオンが対象への投与に適していることを意味する。MまたはM2+の一例として、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Zn2+、およびNRがあげられるが、各Rは独立して、水素、置換または非置換の脂肪族基(ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、またはアンモニウムアルキル基など)、または置換もしくは非置換のアリール基であるか、2個のR基が一緒になって、芳香環に縮合されていてもよい置換または非置換の非芳香族複素環を形成する。好ましくは、薬学的に許容されるカチオンは、Li、Na、K、NH(COH)、N(CH(COH)、アルギニン、またはリシンである。一層好ましくは、薬学的に許容されるカチオンは、NaまたはKである。Naがなお一層好ましい。
【0049】
Yが−CH−である構造式(VI)で表される二塩化合物の一例としての互変異性体の形態を以下にあげておく。


【0050】
化合物(1)の二塩の代表的な互変異性体構造を以下に示す。

【0051】
本発明のビス(チオ−ヒドラジドアミド)二塩の好ましい例は以下のとおりである。


【0052】
2MおよびM2+は、構造式(VI)について上述したとおりである。好ましくは、薬学的に許容されるカチオンは2Mであり、この場合のMは、Li、Na、K、NH(COH)、またはN(CH(COH)である。一層好ましくは、MはNaまたはKである。なお一層好ましくは、MはNaである。
【0053】
本明細書に開示の化合物の互変異性体の一形態が構造的に示されている場合、他の互変異性体の形態も包含されることが理解できよう。
【0054】
本発明の特定の化合物は、異なる立体異性体(ジアステレオマーおよびエナンチオマーなど)として得られることがある。本発明は、本明細書に開示の化合物のすべての異性体形態およびラセミ混合物、ならびにその純粋な異性体および混合物(ラセミ混合物を含む)の両方で対象を治療する方法を含む。立体異性体は、クロマトグラフィーなどの好適な方法を用いて分離および単離可能なものである。
【0055】
「アルキル基」は、直鎖または分枝鎖の鎖式または環式飽和炭化水素基である。一般に、直鎖アルキル基または分枝アルキル基は、1から約20個、好ましくは1から約10個の炭素原子を有し、環状アルキル基は、3から約10個、好ましくは3から約8個の炭素原子を有する。アルキル基は、好ましくは直鎖アルキル基または分枝アルキル基であり、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチル、またはオクチルなどであるか、3から約8個の炭素原子を有するシクロアルキル基である。C1〜C8の直鎖アルキル基または分枝アルキル基またはC3〜C8の環状アルキル基は、「低級アルキル」基とも呼ばれる。アルキル基に適した置換基は、本明細書に開示の化合物の抗癌活性に実質的に干渉しないものである。好適な置換基は、脂肪族基について後述するとおりである。アルキル基での好ましい置換基としては、−OH、−NH2、−NO、−CN、−COOH、ハロゲン、アリール、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8ハロアルコキシ、および−CO(C1〜C8アルキル)があげられる。アルキル基での一層好ましい置換基としては、−OH、ハロゲン、フェニル、ベンジル、ピリジル、およびC1〜C8アルコキシがあげられる。アルキル基での一層好ましい置換基としては、−OH、ハロゲン、およびC1〜C4アルコキシがあげられる。
【0056】
「直鎖状ヒドロカルビル基」は、結合基で置換されていてもよいアルキレン基すなわち、1つまたは複数の(好ましくは1つの)内部メチレン基を有する−(CH−である。yは、正の整数(1から10など)であり、好ましくは1から6、一層好ましくは1または2である。「結合基」とは、直鎖状ヒドロカルビルのメチレンを置換する官能基を示す。好適な結合基の例としては、ケトン(−C(O)−)、アルケン、アルキン、フェニレン、エーテル(−O−)、チオエーテル(−S−)、またはアミン(−N(R)−)があげられ、Rについては下記に定義する。好ましい結合基は−C(R)−であり、RおよびRは上記にて定義したとおりである。アルキレン基およびヒドロカルビル基に好適な置換基は、本明細書に開示の化合物の抗癌活性に実質的に干渉しないものである。RおよびRは、Yで表されるアルキレンまたはヒドロカルビル基に好ましい置換基である。
【0057】
脂肪族基は、完全に飽和しているか、未飽和の1つまたは複数の単位を含む直鎖、分枝鎖または環状の非芳香族炭化水素である。一般に、直鎖脂肪族基または分枝脂肪族基は、1から約20個、好ましくは1から約10個の炭素原子を有し、環状脂肪族基は、3から約10個、好ましくは3から約8個の炭素原子を有する。脂肪族基は、好ましくは直鎖アルキル基または分枝アルキル基であり、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチル、またはオクチル、3から約8個の炭素原子を有するシクロアルキル基などである。C1〜C8直鎖アルキル基または分枝アルキル基またはC3〜C8環状アルキル基も「低級アルキル」基と呼ばれる。
【0058】
「芳香族基」という用語は、「アリール」、「アリール環」、「芳香環」、「アリール基」、および「芳香族基」と同義に用いられる。芳香族基には、フェニル、ナフチル、およびアントラシルなどの炭素環芳香族基、イミダゾリル、チエニル、フラニル、ピリジル、ピリミジ(pyrimidy)、ピラニル、ピラゾリル、ピロイル(pyrroyl)、ピラジニル、チアゾール、オキサゾリル、テトラゾールなどのヘテロアリール基が含まれる。「ヘテロアリール基」という用語は、「ヘテロアリール」、「ヘテロアリール環」、「複素芳香環」、「複素芳香族基」と同義に用いられる。ヘテロアリール基は、環構造中に、硫黄、酸素、および窒素などの1個または複数個のヘテロ原子を含む芳香族基である。好ましくは、ヘテロアリール基は、1から4個のヘテロ原子を含む。
【0059】
また、芳香族基は、炭素環式芳香環またはヘテロアリール環が1つまたは複数の他のヘテロアリール環に縮合している縮合多環式芳香環系が含まれる。一例として、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、キノリニル、イソキノリニル、イソインドリルがあげられる。
【0060】
非芳香族複素環は、窒素、酸素、または硫黄などのヘテロ原子を環中に1個または複数個含む非芳香環である。環は、5、6、7、または8員環であり得る。好ましくは、複素環基は、1から約4個のヘテロ原子を含む。一例としては、テトラヒドロフラニル、テトラヒロチオフェニル(tetrahyrothiophenyl)、モルホリノ、チオモルホリノ、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、およびチアゾリジニルがあげられる。
【0061】
脂肪族基(アルキレン基を含む)、非芳香族複素環基、ベンジル基、またはアリール基(炭素環およびヘテロアリール)での好適な置換基としては、本明細書に開示の化合物の抗癌活性に実質的に干渉しないものがあげられる。置換基を有する化合物において、置換基を有さない化合物に比して抗癌活性が約50%よりも減少するのであれば、その置換基は実質的に抗癌活性に対して干渉する。好適な置換基の例としては、−R、−OH、−Br、−Cl、−I、−F、−OR、−O−COR、−COR、−CN、−NO、−COOH、−SOH、−NH、−NHR、−N(R)、−COOR、−CHO、−CONH、−CONHR、−CON(R)、−NHCOR、−NRCOR、−NHCONH、−NHCONRH、−NHCON(R)、−NRCONH、−NRCONRH、−NRCON(R)、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NHR、−C(=NH)−N(R)、−C(=NR)−NH、−C(=NR)−NHR、−C(=NR)−N(R)、−NH−C(=NH)−NH、−NH−C(=NH)−NHR、−NH−C(=NH)−N(R)、−NH−C(=NR)−NH、−NH−C(=NR)−NHR、−NH−C(=NR)−N(R)、−NRH−C(=NH)−NH、−NR−C(=NH)−NHR、−NR−C(=NH)−N(R)、−NR−C(=NR)−NH、−NR−C(=NR)−NHR、−NR−C(=NR)−N(R)、−NHNH、−NHNHR、−NHR、−SONH、−SONHR、−SONR、−CH=CHR、−CH=CR、−CR=CR、−CR=CHR、−CR=CR、−CCR、−SH、−SR、−S(O)R、−S(O)があげられる。
【0062】
〜Rは各々独立して、アルキル基、芳香族基、非芳香族複素環基であるか、または一緒になった−N(R)は、非芳香族複素環基を形成する。R〜Rで表されるアルキル基、芳香族基、および非芳香族複素環基、ならびに−N(R)で表される非芳香族複素環基は各々独立して、Rで表される1つまたは複数の基で置換されていてもよい。好ましくはR〜Rは非置換である。
【0063】
は、R、−OR、−O(ハロアルキル)、−SR、−NO、−CN、−NCS、−N(R、−NHCO、−NHC(O)R、−NHNHC(O)R、−NHC(O)N(R、−NHNHC(O)N(R、−NHNHCO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)N(R、−OC(O)R、−OC(O)N(R、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NHSON(R、−NHSO、−C(=S)N(R、または−C(=NH)−N(Rである。
【0064】
は、−H、C1〜C4アルキル基、単環式ヘテロアリール基、非芳香族複素環基、またはアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロ、−CN、−NO、アミン、アルキルアミン、もしくはジアルキルアミンで置換されていてもよいフェニル基である。好ましくは、Rは非置換である。任意で、基−N(Rが非芳香族複素環基であるが、ただし、第二級環式アミンを含むRおよび−N(Rで表される非芳香族複素環基が、アシル化またはアルキル化されていてもよい。R〜Rで表されるフェニル基を含むフェニル基の好ましい置換基としては、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4ハロアルキル、C1〜C4ハロアルコキシ、フェニル、ベンジル、ピリジル、−OH、−NH、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、または−CNがあげられる。R〜Rで表されるフェニル基を含むフェニル基に一層好ましいものとして、RおよびRがあげられ、−OH、−CN、ハロゲン、C1〜4アルキル、またはC1〜C4アルコキシで置換されていてもよい。
【0065】
およびRで表されるシクロアルキル基を含むシクロアルキル基に好ましい置換基は、メチル基またはエチル基などのアルキル基である。
【0066】
本発明の一態様では、本明細書に記載のビス(チオヒドラジドアミド)を、薬学的組成物の形で対象に投与することができる。
【0067】
本明細書で使用する場合、「薬学的組成物」は、対象に投与するのに適した形態で本明細書に開示の化合物を含有する製剤であればよい。薬学的組成物は、原末であっても単位剤形であってもよい。単位剤形は、たとえば、カプセル、IV袋、錠剤、エアロゾル吸入器の単段ポンプ、またはバイアルをはじめとする多種多様な形態のいずれであってもよい。組成物の単位用量における活性成分(すなわち、本明細書に開示の化合物またはその塩の製剤)の量は、有効量であればよく、治療ごとに変更可能である。患者の年齢および症状に応じて薬用量を日常的に変更しなければならない可能性があるのは言うまでもない。この薬用量は、投与経路に左右されることもある。好適な薬用量の例については、発明の名称「ビス[チオヒドラジド]アミド化合物を用いた癌の併用療法(Combination Cancer Therapy With Bis[Thiohydrazide]Amide Compounds)」で2006年4月13日に出願されたPCT/US2006/014531号明細書に記載されている量があり、その内容を本明細書に援用する。局所投与、経口投与、肺投与、直腸投与、膣投与、非経口投与(経皮投与を含む)、皮下投与、静脈投与、筋肉内投与、腹腔内投与、および鼻腔内投与をはじめとして、多種多様な経路が企図される。
【0068】
本明細書に記載の化合物およびその薬学的に許容される塩は、医薬中にて薬学的に許容される担体または希釈剤と併用可能である。薬学的に許容される好適な担体としては、不活性固体充填剤または希釈剤および滅菌水溶液または有機溶液があげられる。これらの化合物は、本明細書の記載の範囲で所望の薬用量を得るのに十分な量で当該薬学的組成物中に含み得るものである。本明細書に開示の本発明による化合物の処方および投与方法については、レミントン(Remington):the Science and Practice of Pharmacy、第19版、マック・パブリッシング・カンパニー(Mack Publishing Co.)、ペンシルバニア州イーストン(Easton)(1995)に記載されている。本明細書に開示のビス(チオ−ヒドラジドアミド)は、2005年8月16日に発明の名称「ビス(チオ−ヒドラジドアミド)製剤(Bis(Thio−Hydrazide Amide)Formulation)」で出願された米国特許仮出願第60/708,977号明細書に記載の方法で調製可能であり、その教示内容全体を本明細書に援用する。
【0069】
一態様では、タキソールをクレモフォール(登録商標)に入れた溶液に、本明細書に記載のビス(チオヒドラジドアミド)を加える。一態様において、クレモフォール(登録商標)溶液中に、タキソールが6mg/mL、ビス(チオヒドラジドアミド)(化合物(1))が16mg/Lなどである。任意で、この溶液を食塩溶液で希釈してもよい。具体的には、静脈投与の場合:輸液前にタキソールを希釈する。たとえば、最終濃度が0.3から1.2mg/mLになるように、0.9%塩化ナトリウム注射液、USP;5%デキストロース注射液、USP;5%デキストロースおよび0.9%塩化ナトリウム注射液、USPまたはリンゲル注射液中5%デキストロースでタキソールを希釈する。
【0070】
経口投与の場合、本明細書に開示の化合物またはその塩を、好適な固体担体または液体担体または希釈剤と組み合わせて、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、シロップ、溶液、懸濁液などを形成することができる。
【0071】
錠剤、丸剤、カプセルなどは、約1から約99重量パーセントの活性成分と、トラガントガム、アカシア、コーンスターチ、もしくはゼラチンなどの結合剤、リン酸二カルシウムなどの補形剤、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、もしくはアルギン酸などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および/またはスクロース、乳糖、もしくはサッカリンなどの甘味料を含み得る。単位剤形(dosage unit form)がカプセルの場合、上記のタイプの材料に加えて、脂肪油などの液体担体を含んでもよい。
【0072】
コーティングとして、または薬用単位(dosage unit)の物理形状を変更する目的で、さまざまな他の材料を含有させることができる。たとえば、セラック、糖、またはその両方で錠剤を被覆してもよい。シロップまたはエリキシル剤に、活性成分だけでなく、甘味料としてのスクロース、保存料としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、着色料およびサクランボまたはオレンジの風味などの香味料といったものを含むようにしてもよい。
【0073】
非経口投与の場合、ビス(チオ−ヒドラジド)アミドを滅菌水溶液または有機媒体と併用して、注射溶液または懸濁液を形成することが可能である。たとえば、ゴマ油または落花生油、水性プロピレングリコールなどの溶液、ならびに上記化合物の薬学的に許容される水溶性塩の水溶液を用いることができる。グリセリン、液体ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物の油中分散液を調製することも可能である。通常の保管条件および使用条件下であれば、これらの調製物には微生物の成長を防止するための保存料が含まれる。
【0074】
上述した製剤に加えて、これらの化合物をデポー製剤として処方してもよい。このタイプの好適な製剤としては、架橋させたまたは非水溶性の多糖製剤、重合可能なポリエチレンオキシド製剤、含浸膜などを用いる生体適合性かつ生分解性のポリマー系ヒドロゲル製剤があげられる。このような長時間作用型製剤は、移植または経皮送達(たとえば皮下投与または筋肉内投与)、筋肉注射または経皮パッチで投与できるものである。一般に、これらの製剤は羅患臓器または組織の微小環境に移植可能または適用可能であり、たとえば、本明細書に開示の化合物を含浸させた膜を開放創または火傷による外傷に適用することができる。よって、たとえば、これらの化合物を、好適なポリマー材料もしくは疎水性材料と一緒に、たとえば、許容可能な油中もしくはイオン交換樹脂でのエマルションとして、または難溶性誘導体、たとえば、難溶性塩として処方すればよい。
【0075】
局所投与の場合、好適な製剤は、生体適合性オイル、ワックス、ゲル、粉末、ポリマー、または他の液体もしくは固体担体を含んでもよい。このような製剤は羅患組織に直接塗布して投与できるものであり、たとえば、結膜組織感染を治療するための液体製剤を対象の目に滴下投与可能であり、クリーム製剤を創傷部位に塗ることが可能であり、または包帯に製剤を含浸させるなどしてもよい。
【0076】
直腸投与の場合、好適な薬学的組成物は、たとえば、局所製剤、坐薬、または浣腸液である。
【0077】
膣投与の場合、好適な薬学的組成物は、たとえば、局所製剤、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレーである。
【0078】
また、たとえば、手作業でのポンプ式スプレー、ネブライザ、または加圧定量噴霧式吸入器を使用して活性剤を含有するエアロゾル製剤を投与するなど、肺投与で活性剤を送達するように化合物を処方してもよい。このタイプに適した製剤に、本明細書に開示の化合物を効果的なエアロゾルとして維持するための帯電防止剤などの他の作用剤を含有させてもよい。
【0079】
「肺」という用語は、本明細書で使用する場合、主な機能が患者の体内と外部環境とのガス交換すなわち、O/CO交換である部分、組織、または臓器を示す。「肺」とは一般に呼吸器の組織を示す。よって、「肺投与」という表現は、主な機能が外部環境とのガス交換である部分、組織、または臓器(口、鼻、咽頭、中咽頭、咽頭喉頭部、喉頭、気管、気管分岐部、気管支、細気管支、肺胞など)に本明細書に記載の製剤を投与することを示す。本発明の目的で、「肺」とは、呼吸器、特に、洞に付随する組織または腔も含むものとする。
【0080】
エアロゾル送達用の薬剤送達装置には、上述したような医療用エアロゾル製剤の入った計量弁と、キャニスタを保持して薬剤送達を行うことができるアクチュエータハウジングとを有する好適なエアロゾルキャニスタを含み得る。薬剤送達装置のキャニスタには、キャニスタの総容積の約15%よりも大きいヘッドスペースがある。多くの場合、肺投与を意図したポリマーは、溶剤、界面活性剤、および噴霧剤の混合物中に、溶解、懸濁、またはこの中で乳化される。この混合物を、計量弁で封止したキャニスタ内で加圧下に維持する。
【0081】
経鼻投与の場合、固体または液体のいずれかの担体を用いることができる。固体担体は、粒度がたとえば約20から約500ミクロンの範囲の粗粉末を含み、このような製剤は鼻腔経由での急速吸引(rapid inhalation)で投与される。液体担体を用いるのであれば、点鼻薬または液滴として製剤を投与すればよく、活性成分の油または水溶液を含んでもよい。
【0082】
上述した製剤に加えて、この製剤に1種もしくは複数種の別の薬剤を含むか、またはこの製剤を1種もしくは複数種の別の薬剤と同時投与するようにしてもよい。また、この製剤は、保存剤、可溶化剤、化学緩衝剤、界面活性剤、乳化剤、着色剤、着臭剤、および甘味剤を含んでもよい。
【0083】
「対象」とは、哺乳動物、好ましくはヒトであるが、ペット(イヌ、ネコなど)、家畜(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)、実験動物(ラット、マウス、モルモットなど)などの、獣医師による処置を必要とする動物であってもよい。
【0084】
実施例1の結果から、I、II、またはIII期の黒色腫の治療を受けている患者での黒色腫の再発率を低減する上で、本明細書に記載のビス(チオヒドラジドアミド)が効果的であることが分かる。しかしながら、予防的な治療がすべての患者で常に効果的であるとはかぎらないことは癌治療の技術分野において周知である。このため、「黒色腫の再発を予防する」という表現を本明細書で使用する場合、再発の部分的な予防または抑制など、ビス(チオヒドラジドアミド)で治療した場合にビス(チオヒドラジドアミド)での治療をしない場合と比べて黒色腫が再発しにくい(少なくとも10%、20%、30% 40%、または50%再発しにくいなど)ことを意味する。それ自体、本明細書に開示の治療は、黒色腫の治療を受けている対象において黒色腫の再発尤度を低減し、黒色腫の治療を受けている患者の個体群で概して再発率を低減する。
【0085】
上述したように、本発明の一態様は、I、II、またはIII期の黒色腫を有する対象を治療することに関する。「I、II、またはIII期の黒色腫を有する対象を治療すること」とは、部分的または実質的に、以下の結果のうちの1つまたは複数を達成することを含む。癌転移を含む癌の再発を部分的または完全に抑制する、遅らせる、または予防すること。癌の再発尤度を低減するまたは癌の発症または発達を部分的または完全に予防すること(化学予防)。癌の増殖または転移の抑止、癌の度合いの軽減(腫瘍サイズの縮小または羅患部位数の低減など)。癌増殖率の抑制および癌に関連する臨床症状または指標の寛解または改善。「I、II、またはIII期の黒色腫を有する対象を治療する」とは、本明細書に記載のビス(チオヒドラジドアミド)を単剤で用いることだけでなく、ビス(チオヒドラジドアミド)と、外科手術、放射線、および他の薬剤での化学療法をはじめとして黒色腫で一般に用いられている他の治療法とを組み合わせることも含む点を理解されたい。
【0086】
一般に、I、II、またはIII期の黒色腫を有する対象については、まずは癌を外科的に除去した上で、再発を予防するための化学療法剤を投与して治療する。それ自体、ここに開示のビス(チオヒドラジドアミド)は、たとえば外科手術または他の手段によって初発腫瘍を除去した後に、対象における再発予防または再発尤度の低減に最も一般的に用いられる。「I、II、またはIII期の黒色腫の治療を受けている対象」は、I、II、またはIII期の黒色腫の腫瘍が、たとえば外科的にまたは他の手段で除去された対象である。
【0087】
「有効量」という表現は、癌を有する対象に化合物を投与したときに有益な臨床転帰が達成される化合物の量である。「有益な臨床転帰」とは、何ら治療をしない場合との比較で、癌の再発の予防、抑制、またはこれを遅らせること、腫瘤の低減、転移の低減、癌関連の症状の重篤度の低減、および/または対象の寿命延長を含む。対象に投与される化合物(または他の抗癌剤)の厳密な量は、疾患または症状のタイプおよび重篤、ならびに全身健康状態、年齢、性別、体重、および薬物耐性などの対象の特徴によって左右されることになる。また、癌の程度、重篤度、およびタイプによっても変わる。当業者であれば、これらの要因および他の要因に応じて適切な薬用量を判断することができよう。本明細書に開示の化合物の有効量は一般に、1日あたり約1mg/mmから1日あたり約10グラム/mmの範囲であり、好ましくは1日あたり10mg/mmから約5グラム/mmの範囲である。他の抗癌剤と同時投与するのであれば、第2の抗癌剤の「有効量」は、使用する薬剤のタイプに左右される。認可された抗癌剤については好適な薬用量が周知であり、当業者であれば、対象の症状、治療対象となる癌のタイプ、使用するビス(チオ−ヒドラジドアミド)二塩の量に応じて調節可能である。
【0088】
タキサンと併用する場合の本明細書に開示の化合物の具体的な投与計画例については後述する。免疫治療剤と併用する場合には、有効量の免疫治療剤も用いることが理解できよう。
【0089】
ある1つの投与計画では、約243μmol/m2〜315μmol/m2の量のタキサン(たとえば、パクリタキセル約210〜270mg/m2に相当)と、約1473μmol/m2〜約1722μmol/m2の量のビス(チオヒドラジドアミド)(構造式Iで表されるものなど)(化合物(1)約590〜690mg/m2など)を3〜5週間にわたって対象に同時投与するステップを含む。
【0090】
別の他の投与計画では、タキサンおよびビス(チオ−ヒドラジド)アミドを各々、4週間の期間のうちの3週間、同じ1週間用量で3回投与することが可能である。好ましい態様では、癌が寛解するまで4週間の投与期間を繰り返すことが可能である。タキサンは、本明細書で定義するどのタキサンであってもよい。特定の態様では、タキサンは、1週間用量約94μmol/m2(80mg/m2)で静脈内投与されるパクリタキセルである。一般に、ビス(チオヒドラジドアミド)は、1週間用量約500μmol/m2〜約562μmol/m2、またはより一般的には1週間用量約532μmol/m2(化合物(1)約590〜690mg/m2など)で静脈内投与可能なものである。
【0091】
他の投与計画としては、4週間の期間で、約94μmol/m2の量のパクリタキセルと、約532μmol/m2の量の化合物(1)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とを同じ1週間用量で3回、対象に静脈内投与することがあげられる。
【0092】
別の投与計画では、ビス(チオヒドラジドアミド)約220μmol/m2〜約1310μmol/m2(化合物(1)約88〜525mg/m2など)を3週間に一度、通常は約220μmol/m2〜約1093μmol/m2(化合物(1)約88〜438mg/m2など)を3週間に一度、一般には約624μmol/m2〜約1124μmol/m2(化合物(1)約250〜450mg/m2など)、より一般的には約811μmol/m2〜約936μmol/m2(化合物(1)約325〜375mg/m2など)または特定の態様では、約874μmol/m2(化合物(1)約350mg/m2など)、対象に静脈内投与することが可能である。特定の態様では、ビス(チオヒドラジドアミド)約582μmol/m2〜約664μmol/m2(化合物(1)約233〜266mg/m2など)を3週間に一度、対象に静脈内投与することが可能である。特定の態様では、ビス(チオヒドラジドアミド)は約664μmol/m2(化合物(1)約266mg/m2など)の量である。
【0093】
別の投与計画では、約200μmol/m2〜約263μmol/m2のタキサンをパクリタキセルとして3週間に一度(パクリタキセル約175〜225mg/m2など)、対象に静脈内投与することが可能である。いくつかの態様では、約200μmol/m2〜約234μmol/m2のタキサンをパクリタキセルとして3週間に一度(パクリタキセル約175〜200mg/m2など)、対象に静脈内投与することが可能である。特定の態様では、約234μmol/m2(200mg/m2)の量でパクリタキセルを投与する。特定の態様では、約205μmol/m2(175mg/m2)の量でパクリタキセルを投与する。
【0094】
一態様では、パクリタキセルなどのタキサンと、化合物(1)などのビス(チオヒドラジドアミド)を、単一の薬学的組成物で一緒に投与することが可能である。
【0095】
一態様では、本発明の方法は、独立して、または、約205μmol/m2(パクリタキセル約175mg/m2など)の量のタキサンと、約220μmol/m2〜約1310μmol/m2(化合物(1)約88〜525mg/m2など)の量の構造式Iで表されるビス(チオヒドラジドアミド)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物との併用で、3週間に一度、対象を治療する段階を含む。一般に、タキサンは、約205μmol/m2の量で静脈内投与されるパクリタキセルである。ビス(チオヒドラジドアミド)については、一般に約220μmol/m2〜約1093μmol/m2(化合物(1)約88〜438mg/m2など)、より一般的には約749μmol/m2〜約999μmol/m2(化合物(1)約300〜400mg/m2など)、いくつかの態様では約811μmol/m2〜約936μmol/m2(化合物(1)約325〜375mg/m2など)で静脈内投与可能である。特定の態様では、ビス(チオヒドラジドアミド)は、約874μmol/m2(約350mg/m2)の間で静脈内投与される化合物(1)であればよい。
【0096】
特定の態様では、本発明の方法は、一用量すなわち約205μmol/m2(175mg/m2)の量のパクリタキセルと、約874μmol/m2(350mg/m2)の量の化合物(1)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、3週間の期間ごとに対象に静脈内投与するものである。
【0097】
個々の製剤、薬用量および投与形式については、各々の内容全体を本明細書に援用する)米国特許出願公開第20060135595号明細書、および発明の名称「ビス[チオヒドラジド]アミド化合物を用いた癌の併用療法(Combination Cancer Therapy With Bis[Thiohydrazide]Amide Compounds)」で2006年4月13日に出願されたPCT/US2006/014531号明細書に記載のとおりである。
【0098】
ビス(チオヒドラジドアミド)は、抗癌剤/薬、生物処置剤(免疫治療剤の薬剤など)、放射線処置剤、抗血管形成処置剤、遺伝子処置剤、またはホルモン処置剤より選択される有効量の抗癌処置剤との併用で投与可能である。
【0099】
一態様において、本発明は、ビス(チオ−ヒドラジドアミド)と一緒に1種または複数種の別の抗癌薬の有効量を投与する段階を含む、対象の黒色腫の再発を治療する、予防する、または遅らせる方法である。抗癌薬の例については後述する。好ましくは、同時投与対象となる抗癌薬は、タキソール(登録商標)またはタキソール(登録商標)類似体などの微小管を安定させる作用剤である。
【0100】
一態様では、抗癌剤/薬剤は、たとえば、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール塩酸塩;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;ビサントレン塩酸塩;ジメシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクォン;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロマート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモホシン;インターロイキンII(組換えインターロイキンIIまたはrIL2を含む)、インターフェロンα2a;インターフェロンα2b;インターフェロンαn1;インターフェロンαn3;インターフェロンβIa;インターフェロンγIb;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸リュープロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;マイトカルシン;マイトクロミン;マイトギリン;マイトマルシン;マイトマイシン;マイトスパー;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;プロマイシン;塩酸プロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシンである。
【0101】
他の抗癌剤/薬剤としては、20−エピ−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管形成阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背方化形態形成タンパク質−1;抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;グリシン酸アフィジコリン;アポトーシス遺伝子モジュレータ;アポトーシスレギュレータ;アプリン酸;ara−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;β−アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトセシン誘導体;カナリアポックスIL−2;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン(chlorln);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シスポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベスシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;キュラシンA;シクロペンタアントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジコン;ジデムニンB;ダイドクス(didox);ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;9−ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;ホルフェニメクス;ホルメスタン;ホストリエシン;ホテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫賦活ペプチド;インスリン様成長因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール,4−;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン−Nトリアセタート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトールスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;直鎖状ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リッソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミスマッチの二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞成長因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;多腫瘍サプレッサ(multiple tumor suppressor)1をベースにした処置剤;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N−置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素調節物質;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン;O6−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン(parabactin);パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ポリ硫酸ペントサンナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金複合体;白金化合物;白金−トリアミン複合体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビスアクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAベースの免疫調節物質;タンパク質キナーゼC阻害剤;タンパク質キナーゼC阻害剤;微小藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロナート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチンアミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメクス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1模倣薬;セムスチン;老化由来阻害因子1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達調節物質;単鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ボロカプタートナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド;ストロメライシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作用性腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣薬;チマルファシン;サイモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来増殖阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子処置剤;ベラレソール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;ジノスタチンスチマラマーがあげられるが、これに限定されるものではない。好ましい別の抗癌薬は5−フルオロウラシルおよびロイコボリンである。
【0102】
使用可能な治療用抗体の例としては、転移性乳癌患者の治療用ヒト化抗HER2モノクローナル抗体であるハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)(ジェネンテック(Genentech)、カリフォルニア州);血餅形成予防のための血小板上の抗糖タンパク質IIb/IIIa受容体であるレオプロ(登録商標)(アブシキシマブ)(セントコア(Centocor));腎臓の同種移植片に対する急性拒絶予防のための免疫抑制ヒト化抗CD25モノクローナル抗体であるゼナパックス(登録商標)(ダクリズマブ)(ロシュ・ファーマスーティカルズ(Roche Pharmaceuticals)、スイス);マウス抗17−IA細胞表面抗原IgG2a抗体であるPANOREX(商標)(グラクソ・ウェルカム(Glaxo Wellcome)/セントコア(Centocor));マウス抗イディオタイプ(GD3エピトープ)IgG抗体であるBEC2(インクローン・システム(ImClone System));キメラ抗EGFRIgG抗体であるIMC−C225(インクローン・システム(ImClone System));ヒト化抗αVβ3インテグリン抗体であるビタキシン(商標)(アプライド・モレキュラー・エボリューション(Applied Molecular Evolution)/MedImmune);ヒト化抗CD52 IgG1抗体であるカンパス1H/LDP−03(ロイコサイト(Leukosite));ヒト化抗CD33 IgG抗体であるスマートM195(プロテイン・デザイン・ラボ(Protein Design Lab)/カネボウ);キメラ抗CD20 IgG1抗体であるリツキサン(商標)(アイデック・ファーム(IDEC Pharm)/ジェネンテック(Genentech)、ロシュ(Roche)/Zettyaku);ヒト化抗CD22 IgG抗体であるリンフォサイド(商標)(イムノメディックス(Immunomedics));リンフォサイド(商標)Y−90(イムノメディックス(Immunomedics));リンフォスキャン(Lymphoscan)(Tc−99m−標識;放射性イメージング;イムノメディックス(Immunomedics));ヌヴィオン(対CD3;プロテイン・デザイン・ラブス(Protein Design Labs));CM3はヒト化抗ICAM3抗体である(アイコス・ファーム(ICOS Pharm));IDEC−114は霊長類化抗CD80抗体である(アイデック・ファーム(IDEC Pharm)/三菱);ゼバリン(商標)は放射性標識マウス抗CD20抗体である(IDEC/シェーリング社(Schering AG));IDEC−131はヒト化抗CD40L抗体である(IDEC/エーザイ);IDEC−151は霊長類化抗CD4抗体である(IDEC);IDEC−152は霊長類化抗CD23抗体である(IDEC/生化学);スマート抗CD3はヒト化抗CD3 IgGである(プロテイン・デザイン・ラボ(Protein Design Lab));5G1.1はヒト化抗補体因子5(C5)抗体である(アレクシオン・ファーム(Alexion Pharm));D2E7はヒト化抗TNF−α抗体である(CAT/BASF);CDP870はヒト化抗TNF−α Fabフラグメントである(セルテック(Celltech));IDEC−151は霊長類化抗CD4 IgG1抗体である(アイデック・ファーム(IDEC Pharm)/スミスクライン・ビーチャム(SmithKline Beecham));MDX−CD4はヒト抗CD4 IgG抗体である(メダレックス(Medarex)/エーザイ/ジェンマブ(Genmab));CD20−ストレプトアビジン(sreptdavidin)(+ビオチン−イットリウム90;NeoRx);CDP571はヒト化抗TNF−α IgG4抗体である(セルテック(Celltech));LDP−02はヒト化抗α4β7抗体である(ロイコサイト(Leukosite)/ジェネンテック(Genentech));オルソクローンOKT4Aはヒト化抗CD4 IgG抗体である(オルトバイオテク(Ortho Biotech));ANTOVA(商標)はヒト化抗CD40L IgG抗体である(バイオジェン(Biogen));アンテグレン(商標)はヒト化抗VLA−4 IgG抗体である(エラン(Elan));CAT−152はヒト抗TGF−β抗体である(ケンブリッジ・エービー・テック(Cambridge Ab Tech))があげられるが、これに限定されるものではない。
【0103】
本明細書に開示するビス(チオヒドラジドアミド)と組み合わせて本発明の方法で使用可能な作用剤としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然物、またはホルモンがあげられるが、これに限定されるものではない。本発明の方法において有用なアルキル化剤の例としては、ナイトロジェンマスタード(メクロロエタミン(mechloroethamine)、シクロホスファミド、クロランブシル、メルファランなど)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(ヘキサメチルメラミン、チオテパなど)、スルホン酸アルキル(ブスルファンなど)、ニトロソ尿素(カルムスチン、ロムスチン(lomusitne)、セムスチン、ストレプトゾシンなど)、またはトリアゼン(デカルバジン(decarbazine)など)があげられるが、これに限定されるものではない。本発明の方法において有用な代謝拮抗剤の例としては、葉酸類似体(メトトレキサートなど)、ピリミジン類似体(フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビンなど)、プリン類似体(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンなど)があげられるが、これに限定されるものではない。本発明の方法において有用な天然物の例としては、ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチンなど)、エピポドフィロトキシン(エトポシド、テニポシドなど)、抗生物質(アクチノマイシンD、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシンなど)、酵素(L−アスパラギナーゼなど)、または生物学的応答調節物質(インターフェロンαなど)があげられるが、これに限定されるものではない。本発明の方法および組成物における癌の治療または予防に有用なホルモンおよびアンタゴニストとしては、副腎皮質ステロイド(プレドニゾンなど)、プロゲスチン(カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロンなど)、エストロゲン(ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール)、抗エストロゲン(タモキシフェンなど)、アンドロゲン(プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロンなど)、抗アンドロゲン(フルタミドなど)、性腺刺激ホルモン放出ホルモン類似体(ロイプロリドなど)があげられるが、これに限定されるものではない。癌の治療または予防の目的で本発明の方法において使用でき、本発明の組成物と併用できる他の作用剤としては、白金配位錯体(シスプラチン、カルボプラチンなど)、アントラセンジオン(ミトキサントロンなど)、置換尿素(ヒドロキシ尿素など)、メチルヒドラジン誘導体(プロカルバジンなど)、副腎皮質抑制物質(ミトタン、アミノグルテチミドなど)があげられる。
【0104】
一態様では、本明細書に開示するビス(チオヒドラジドアミド)との併用で本発明の方法に微小管安定剤を使用することができる。本明細書で使用する場合、「微小管安定剤」とは、微小管の安定化によってG2−M期の細胞を抑止して作用する抗癌剤/薬剤を意味する。微小管安定剤の例としては、ACLITAXEL(登録商標)およびタキソール(登録商標)類似体があげられる。微小管安定剤の別の例としては、以下の市販薬および開発中の薬剤があげられるが、これに限定されるものではない。ジスコデルモリド(NVP−XX−A−296としても周知);エポチロン(エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC(デスオキシエポチロンAまたはdEpoAとしても周知);エポチロンD(KOS−862、dEpoBおよびデスオキシエポチロンBとも呼ばれる);エポチロンE;エポチロンF;エポチロンB N−オキシド;エポチロンA N−オキシド;16−アザ−エポチロンB;21−アミノエポチロンB(BMS−310705としても周知);21−ヒドロキシエポチロンD(デスオキシエポチロンFおよびdEpoFとしても周知)、26−フルオロエポチロンなど);FR−182877(藤沢薬品工業、WS−9885Bとしても周知)、BSF−223651(BASF、ILX−651およびLU−223651としても周知);AC−7739(味の素、AVE−8063AおよびCS−39.HClとしても周知);AC−7700(味の素、AVE−8062、AVE−8062A、CS−39−L−Ser.HClおよびRPR−258062Aとしても周知);フィジアノリド(Fijianolide)B;ラウリマリド;カリバエオシド(Caribaeoside);カリバエオリン(Caribaeolin);タッカロノリド(Taccalonolide);エリュテロビン;サルコジクチン(Sarcodictyin);ラウリマリド;ジクチオスタチン(Dictyostatin)−1;ジャトロファン(Jatrophane)エステル;ならびにその類似体および誘導体。
【0105】
本明細書で使用する場合、「微小管インヒビター」とは、チューブリン重合または微小管アセンブリを抑制することで作用する抗癌剤を意味する。微小管インヒビターの例としては、以下の市販薬および開発中の薬剤があげられるが、これに限定されるものではない。エルブロゾール(R−55104としても周知);ドラスタチン10(DLS−10およびNSC−376128としても周知);イセチオン酸ミボブリン(CI−980としても周知);ビンクリスチン;NSC−639829;ABT−751(アボット(Abbot)、E−7010としても周知);アルトリルチン(Altorhyrtin)(アルトリルチンAおよびアルトリルチンCなど);スポンギスタチン(スポンギスタチン1、スポンギスタチン2、スポンギスタチン3、スポンギスタチン4、スポンギスタチン5、スポンギスタチン6、スポンギスタチン7、スポンギスタチン8、スポンギスタチン9など);セマドチン塩酸塩(LU−103793およびNSC−D−669356としても周知);アウリスタチンPE(NSC−654663としても周知);ソブリドチン(TZT−1027としても周知)、LS−4559−P(ファルマシア(Pharmacia)、LS−4577としても周知);LS−4578(ファルマシア(Pharmacia)、LS−477−Pとしても周知);LS−4477(ファルマシア(Pharmacia))、LS−4559(ファルマシア(Pharmacia));RPR−112378(アヴェンティス(Aventis));硫酸ビンクリスチン;DZ−3358(第一);GS−164(武田薬品工業);GS−198(武田薬品工業);KAR−2(ハンガリー科学アカデミー(Hungarian Academy of Sciences));SAH−49960(リリー(Lilly)/ノバルティス(Novartis));SDZ−268970(リリー(Lilly)/ノバルティス(Novartis));AM−97(アーマッド(Armad)/協和発酵);AM−132(アーマッド(Armad));AM−138(アーマッド(Armad)/協和発酵);IDN−5005(インデナ(Indena));クリプトフィシン52(LY−355703としても周知);ビチレブアミド(Vitilevuamide);ツブリシンA;カナデンソリド;センタウレイジン(NSC−106969としても周知);T−138067(ツラリク(Tularik)、T−67、TL−138067およびTI−138067としても周知);COBRA−1(パーカー・ヒューズ・インスティテュート(Parker Hughes Institute)、DDE−261およびWHI−261としても周知);H10(カンザス州立大学(Kansas State University));H16(カンザス州立大学(Kansas State University));オンコシジンA1(BTO−956およびDIMEとしても周知);DDE−313(パーカー・ヒューズ・インスティテュート(Parker Hughes Institute));SPA−2(パーカー・ヒューズ・インスティテュート(Parker Hughes Institute));SPA−1(パーカー・ヒューズ・インスティテュート(Parker Hughes Institute)、SPIKET−Pとしても周知);3−IAABU(サイトスケルトン(Cytoskeleton)/マウントサイナイ医科大学(Mt.Sinai School of Medicine)、MF−569としても周知);ナルコシン(NSC−5366としても周知);ナスカピン(Nascapine)、D−24851(アスタ・メディカ(Asta Medica))、A−105972(アボット(Abbott));ヘミアステルリン;3−BAABU(サイトスケルトン(Cytoskeleton)/マウントサイナイ医科大学(Mt.Sinai School of Medicine)、MF−191としても周知);TMPN(アリゾナ州立大学(Arizona State University));バナドセンアセチルアセトナート;T−138026(ツラリク(Tularik));モナストロール;インダノシン(NSC−698666としても周知);3−IAABE(サイトスケルトン(Cytoskeleton)/マウントサイナイ医科大学(Mt.Sinai School of Medicine));A−204197(アボット(Abbott));T−607(ツラリク(Tularik)、T−900607としても周知);RPR−115781(アヴェンティス(Aventis));エロイテロビン(デスメチルエロイテロビン、デスアセチルエロイテロビン、イソエロイテロビンA、およびZ−エロイテロビンなど);ハリコンドリンB;D−64131(アスタ・メディカ(Asta Medica));D−68144(アスタ・メディカ(Asta Medica));ジアゾナミドA;A−293620(アボット(Abbott));NPI−2350(ネレウス(Nereus));TUB−245(アヴェンティス(Aventis));A−259754(アボット(Abbott));ジオゾスタチン(Diozostatin);(−)−フェニルアヒスチン(NSCL−96F037としても周知);D−68838(アスタ・メディカ(Asta Medica));D−68836(アスタ・メディカ(Asta Medica));ミオセベリンB;D−43411(ゼンタリス(Zentaris)、D−81862としても周知);A−289099(アボット(Abbott));A−318315(アボット(Abbott));HTI−286(SPA−110、トリフルオロアセタート塩としても周知)(ワイス(Wyeth));D−82317(ゼンタリス(Zentaris);D−82318(ゼンタリス(Zentaris);SC−12983(NCI);レスベラスタチン(Resverastatin)ホスファートナトリウム;BPR−0Y−007(國家衛生研究院(National Health Research Institutes));SSR−250411(サノフィ(Sanofi));コンブレタスタチンA4;ならびにその類似体および誘導体。
【0106】
「パクリタキセル」とも呼ばれるタキソール(登録商標)は、微小管形成を促進および安定化することで作用する周知の抗癌薬である。タキソテールをはじめとして、タキソール(登録商標)の多くの類似体も知られている。タキソテールは、「ドセタキセル」とも呼ばれる。他のタキソール(登録商標)類似体の構造を以下(および、内容全体を本明細書に援用する米国特許出願公開第2006/0135595号明細書)に示す。








【0107】
これらの化合物は、構造面での共通の特徴としてタキサン型の基本骨格を有し、微小管の安定化によるG2−M期の細胞を抑止する機能があることが示されている。よって、多岐にわたる置換基で、生物活性に悪影響をおよぼすことなくタキサン型の骨格を修飾することができる。また、タキソール(登録商標)類似体の0個、1個、または両方のシクロヘキサン環が、示された位置で二重結合を含み得ることも明らかである。分かりやすくする目的で、タキサン型の基本骨格を以下の構造式(X)に示す。

【0108】
構造式(X)で表されるタキサン型の骨格では、シクロヘキサン環から二重結合を省いてある。タキサン型の基本骨格は、以下の構造式(XI)および(XII)に示されるように、1つまたは両方のシクロヘキサン環に、0個または1個の二重結合を含み得る。タキソール(登録商標)類似体間で構造的変化が一般に起こる部位を示すために、構造式(X)では原子もいくつか省いてある。たとえば、酸素原子だけでのタキサン型の骨格上での置換は、ヒドロキシル、アシル、アルコキシ、または別の酸素を有する置換基が当該部位に一般に見られることを示す。タキサン型の骨格上のこれらの置換および他の置換は、微小管形成を促進および安定化させる機能を失うことなくなされる。したがって、「タキソール類似体」という表現は、本明細書では、タキソール型の基本骨格を有し、微小管形成を増進する化合物を意味するよう定義される。タキソール(登録商標)類似体は、ナノ粒子コロイド組成物として製剤化できるものであり、輸液時間を改善し、患者によっては過敏反応の原因となるクレモフォールと当該薬剤とを一緒に送達する必要がなくなる。ナノ粒子コロイド組成物として製剤化されたタキソール(登録商標)類似体の一例に、生理食塩水で再構成されるタンパク質安定化パクリタキセルのナノ粒子コロイド組成物であるABI−007がある。
【0109】
一般に、本明細書で使用するタキソール(登録商標)類似体は構造式(XI)または(XII)で表される。

【0110】
10は、低級アルキル基、置換低級アルキル基、フェニル基、置換フェニル基、−SR19、−NHR19、または−OR19である。
【0111】
11は、低級アルキル基、置換低級アルキル基、アリール基、または置換アリール基である。
【0112】
12は、−H、−OH、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルコキシ、置換低級アルコキシ、−O−C(O)−(低級アルキル)、−O−C(O)−(置換低級アルキル)、−O−CH−O−(低級アルキル)−S−CH−O−(低級アルキル)である。
【0113】
13は、−H、−CHであるか、またはR14と一緒になって−CH−である。
【0114】
14は、−H、−OH、低級アルコキシ、−O−C(O)−(低級アルキル)、置換低級アルコキシ、−O−C(O)−(置換低級アルキル)、−O−CH−O−P(O)(OH)、−O−CH−O−(低級アルキル)、−O−CH−S−(低級アルキル)であるか、またはR20と一緒になって二重結合である。
【0115】
15は、−H、低級アシル、低級アルキル、置換低級アルキル、アルコキシメチル、アルキルチオメチル(alkthiomethyl)、−OC(O)−O(低級アルキル)、−OC(O)−O(置換低級アルキル)、−OC(O)−NH(低級アルキル)、または−OC(O)−NH(置換低級アルキル)である。
【0116】
16は、フェニルまたは置換フェニルである。
【0117】
17は、−H、低級アシル、置換低級アシル、低級アルキル、置換低級アルキル、(低級アルコキシ)メチル、または(低級アルキル)チオメチルである。
【0118】
18は、−H、−CHであるか、またはR17ならびにR17およびR18が結合する炭素原子と一緒になって、5または6員の非芳香族複素環である。
【0119】
19は、低級アルキル基、置換低級アルキル基、フェニル基、置換フェニル基である。
【0120】
20は、−Hまたはハロゲンである。
【0121】
21は、−H、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アシル、または置換低級アシルである。
【0122】
好ましくは、構造式(XI)および(XII)の変数は、以下に定義するとおりである。R10は、フェニル、tert−ブトキシ、−S−CH−CH−(CH、−S−CH(CH、−S−(CHCH、−O−CH(CH、−NH−CH(CH、−CH=C(CH、またはパラ−クロロフェニルである。R11は、フェニル、(CHCHCH−、−2−フラニル、シクロプロピル、またはパラ−トルイルである。R12は、−H、−OH、CHCO−、または−(CH−N−モルホリノである。R13はメチルであるか、またはR13およびR14が一緒になって−CH−である。
【0123】
14は、−H、−CHSCH、または−CH−O−P(O)(OH)である。R15はCHCO−である。
【0124】
16はフェニルである。R17は−Hであるか、またはR17およびR18が一緒になって−O−CO−O−である。
【0125】
18は−Hである。R20は−Hまたは−Fである。R21は、−H、−C(O)−CHBr−(CH13−CH、または−C(O)−(CH14−CH;−C(O)−CH−CH(OH)−COOH、−C(O)−CH−O−C(O)−CHCH(NH)−CONH、−C(O)−CH−O−−CHCHOCH、または−C(O)−O−C(O)−CHCHである。
【0126】
タキソール(登録商標)類似体をポリアクリルアミドなどの薬学的に許容されるポリマーに結合し、このポリマーからぶら下げる(pendent)ことが可能である。このタイプのポリマーの一例が米国特許出願第/11/157,2213号明細書に記載されている。「タキソール類似体」という表現は、本明細書で使用する場合、このようなポリマーを含む。
【0127】
いくつかの態様では、タキソール(登録商標)類似体は、構造式IXで表されるタキサン型の骨格を有し、この場合のZは、O、S、またはNRである。構造式IXで示すタキサン型の骨格を有するタキソール(登録商標)類似体は、タキサン型の骨格に結合したさまざまな置換基を含み得るものであり、たとえば図3〜23に示すように、0個、1個、または両方のシクロヘキサン環に二重結合を含んでもよい。

【0128】
ヘンネンフェント(Hennenfent)ら(2006)Annals of Oncology 17:735〜749;グラジシャ(Gradishar)(2006)Expert Opin.Pharmacother.7(8):1041〜53;アッタード(Attard)ら(2006)Pathol Biol 54(2):72〜84;シュトラウビンガー(Straubinger)ら(2005)Methods Enzymol.391:97〜117;テン・ティジェ(Ten Tije)ら(2003)Clin Pharmacokinet.42(7):665〜85;およびニュイジェン(Nuijen)ら(2001)Invest New Drugs.19(2):143〜53(それぞれの教示内容を本明細書に援用する)に、さまざまなタキソール(登録商標)類似体およびタキソール(登録商標)製剤について記載されている。
【0129】
本発明の特定の態様では、対象に、有効量の微小管安定剤(タキソールまたはタキソテールなど)および本明細書に記載の有効量の別の抗癌剤と一緒に、本明細書に開示するビス(チオヒドラジドアミド)を投与する。
【0130】
特定の態様では、有効量のタキソール(登録商標)またはタキソテールと、ダカルバジン(商品名DTIC)、テモゾロミド(商品名テモダール)、シスプラチン、カルムスチン(BCNUとしても周知)、ホテムスチン、ビンデシン、ビンクリスチンソラフェニブ、およびブレオマイシンからなる群より選択される有効量の抗癌剤と一緒に、ビス(チオヒドラジドアミド)を投与する。別の特定の態様では、有効量のタキソールまたはタキソテールと、カルボプラチン、タモキシフェン、およびノルバデックスからなる群より選択される有効量の抗癌剤と一緒に、ビス(チオヒドラジドアミド)を投与する。別の特定の態様では、有効量のタキソールまたはタキソテールと、ビンブラスチン(vinablastine)、G−CSF、およびナベルビンからなる群より選択される有効量の抗癌剤と一緒に、ビス(チオヒドラジドアミド)を投与する。別の特定の態様では、有効量のタキソールまたはタキソテールと、ダカルバジンとG−CSFまたはカルボプラチンとソラフェニブより選択される薬剤の組み合わせより選択される有効量の抗癌剤と一緒に、ビス(チオヒドラジドアミド)を投与する。別の特定の態様では、有効量のタキソールまたはタキソテールと、ダカルバジンと顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、カルボプラチンとソラフェニブ、ダカルバジン、カルムスチン シスプラチンおよびタモキシフェンまたはシスプラチン、ビンブラスチンおよびダカルバジンより選択される薬剤の組み合わせより選択される有効量の抗癌剤と一緒に、ビス(チオヒドラジドアミド)を投与する。
【0131】
本発明の特定の態様では、対象に、ダカルバジン(商品名DTIC)、テモゾロミド(商品名テモダール)、シスプラチン、カルムスチン(BCNUとしても周知)、ホテムスチン、ビンデシン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、およびこれらの組み合わせより選択される有効量の抗癌剤と一緒に、本明細書に開示するビス(チオヒドラジドアミド)を投与する。別の特定の態様では、抗癌剤は、ソラフェニブ、カルボプラチン、タモキシフェン、ノルバデックスビンブラスチン(vinablastine)、G−CSF、およびナベルビンからなる群より選択される。
【0132】
本発明の方法の別の態様では、たとえば、ダカルバジン、カルムスチン シスプラチンおよびタモキシフェン、シスプラチン、ビンブラスチンおよびダカルバジンまたはナベルビンおよびノルバデックス、および任意で微小管安定剤の有効量の組み合わせと一緒に、ビス(チオヒドラジドアミド)を投与する。
【0133】
特定の態様では、インターフェロン、インターロイキン、生化学的処置剤、ワクチン処置剤、および抗体ベースの処置剤、ならびに任意で微小管安定剤より選択される生物処置剤と一緒に、本明細書に記載のビス(チオヒドラジドアミド)を投与する。
【0134】
特定の態様では、サリドマイド、エンドスタチン、およびインターフェロン、またはインターフェロンとサリドマイドおよびエンドスタチンなどの他の血管形成インヒビター、ならびに任意で微小管安定剤との組み合わせからなる群より選択される抗血管形成処置剤と一緒に、本明細書に記載のビス(チオヒドラジドアミド)を投与する。
【0135】
好ましい態様では、免疫治療剤と組み合わせて、本明細書に記載のビス(チオヒドラジドアミド)を投与する。免疫治療剤(生物学的応答調節処置剤、生物学的(biologic)処置剤、生処置剤(biotherapy)、免疫処置剤、または生物(biological)処置剤とも呼ばれる)は、免疫系の一部を利用して疾患に対処する治療剤である。免疫治療剤は、免疫系が癌細胞を認識するのを助け、または癌細胞に対する応答を亢進する。免疫治療剤には、能動免疫治療剤と受動免疫治療剤がある。能動免疫治療剤が体自体の免疫系を刺激するのに対し、受動免疫治療剤は通常、体外で作られた免疫系の成分を利用する。
【0136】
能動免疫治療剤の例としては、癌ワクチン、腫瘍細胞ワクチン(自家もしくは同種)、ウイルスワクチン、樹状細胞ワクチン、抗原ワクチン、抗イディオタイプワクチン、DNAワクチン、またはインターロイキン−2(IL−2)もしくはリンホカイン活性化キラー(LAK)細胞処置剤を含む腫瘍浸潤リンパ球(TIL)ワクチンをはじめとするワクチンがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0137】
受動免疫治療剤の例としては、モノクローナル抗体および毒素含有標的処置剤があげられるが、これに限定されるものではない。モノクローナル抗体としては、裸抗体およびコンジュゲート抗体(タグ抗体、標識抗体、またはロード(loaded)抗体とも呼ばれる)があげられる。裸のモノクローナル抗体には薬剤または放射性物質が結合されていないのに対し、コンジュゲートしたモノクローナル抗体は、たとえば、化学療法薬剤(化学標識)、放射性粒子(放射性標識)、または毒素(免疫毒素)と結合されている。
【0138】
本発明の特定の態様では、裸のモノクローナル抗体薬剤などの受動免疫治療剤を本明細書に記載のビス(チオヒドラジドアミド)と併用して癌を治療することができる。これらの裸のモノクローナル抗体薬剤の例としては、B細胞非ホジキンリンパ腫などの治療に用いられるCD20抗原に対する抗体であるリツキシマブ(リツキサン)、進行乳癌などの治療に用いられるHER2タンパク質に対する抗体であるトラスツズマブ(ハーセプチン)、B細胞慢性リンパ球性白血病(B−CLL)などの治療に用いられるCD52抗原に対する抗体であるアレムツズマブ(カンパス)、イリノテカンとの併用で進行結腸直腸癌および頭頸部癌などの治療に用いられるEGFRタンパク質に対する抗体であるセツキシマブ(エルビタックス)、VEGFタンパク質に対して作用し、たとえば化学処置剤との併用で、転移性結腸直腸癌などの治療に用いられる抗血管形成処置剤であるベバシズマブ(アバスチン)があげられるが、これに限定されるものではない。
【0139】
使用可能な治療用抗体のさらに別の例としては、転移性乳癌患者の治療用ヒト化抗HER2モノクローナル抗体であるハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)(ジェネンテック(Genentech)、カリフォルニア州);血餅形成予防のための血小板上の抗糖タンパク質IIb/IIIa受容体であるレオプロ(登録商標)(アブシキシマブ)(セントコア(Centocor));腎臓の同種移植片に対する急性拒絶予防のための免疫抑制ヒト化抗CD25モノクローナル抗体であるゼナパックス(登録商標)(ダクリズマブ)(ロシュ・ファーマスーティカルズ(Roche Pharmaceuticals)、スイス);マウス抗17−IA細胞表面抗原IgG2a抗体であるPANOREX(商標)(グラクソ・ウェルカム(Glaxo Wellcome)/セントコア(Centocor));マウス抗イディオタイプ(GD3エピトープ)IgG抗体であるBEC2(インクローン・システム(ImClone System));キメラ抗EGFRIgG抗体であるIMC−C225(インクローン・システム(ImClone System));ヒト化抗αVβ3インテグリン抗体であるビタキシン(商標)(アプライド・モレキュラー・エボリューション(Applied Molecular Evolution)/MedImmune);ヒト化抗CD52 IgG1抗体であるカンパス1H/LDP−03(ロイコサイト(Leukosite));ヒト化抗CD33 IgG抗体であるスマートM195(プロテイン・デザイン・ラボ(Protein Design Lab)/カネボウ);キメラ抗CD20 IgG1抗体であるリツキサン(商標)(アイデック・ファーム(IDEC Pharm)/ジェネンテック(Genentech)、ロシュ(Roche)/Zettyaku);ヒト化抗CD22 IgG抗体であるリンフォサイド(商標)(イムノメディックス(Immunomedics));リンフォサイド(商標)Y−90(イムノメディックス(Immunomedics));リンフォスキャン(Lymphoscan)(Tc−99m−標識;放射性イメージング;イムノメディックス(Immunomedics));ヌヴィオン(対CD3;プロテイン・デザイン・ラブス(Protein Design Labs));CM3はヒト化抗ICAM3抗体である(アイコス・ファーム(ICOS Pharm));IDEC−114は霊長類化抗CD80抗体である(アイデック・ファーム(IDEC Pharm)/三菱);ゼバリン(商標)は放射性標識マウス抗CD20抗体である(IDEC/シェーリング社(Schering AG));IDEC−131はヒト化抗CD40L抗体である(IDEC/エーザイ);IDEC−151は霊長類化抗CD4抗体である(IDEC);IDEC−152は霊長類化抗CD23抗体である(IDEC/生化学);スマート抗CD3はヒト化抗CD3 IgGである(プロテイン・デザイン・ラボ(Protein Design Lab));5G1.1はヒト化抗補体因子5(C5)抗体である(アレクシオン・ファーム(Alexion Pharm));D2E7はヒト化抗TNF−α抗体である(CAT/BASF);CDP870はヒト化抗TNF−α Fabフラグメントである(セルテック(Celltech));IDEC−151は霊長類化抗CD4 IgG1抗体である(アイデック・ファーム(IDEC Pharm)/スミスクライン・ビーチャム(SmithKline Beecham));MDX−CD4はヒト抗CD4 IgG抗体である(メダレックス(Medarex)/エーザイ/ジェンマブ(Genmab));CD20−sreptdavidin(+ビオチン−イットリウム90;NeoRx);CDP571はヒト化抗TNF−α IgG4抗体である(セルテック(Celltech));LDP−02はヒト化抗α4β7抗体である(ロイコサイト(Leukosite)/ジェネンテック(Genentech));オルソクローンOKT4Aはヒト化抗CD4 IgG抗体である(オルトバイオテク(Ortho Biotech));ANTOVA(商標)はヒト化抗CD40L IgG抗体である(バイオジェン(Biogen));アンテグレン(商標)はヒト化抗VLA−4 IgG抗体である(エラン(Elan));CAT−152はヒト抗TGF−β抗体である(ケンブリッジ・エービー・テック(Cambridge Ab Tech))があげられるが、これに限定されるものではない。
【0140】
本発明の特定の態様では、コンジュゲートモノクローナル抗体などの受動免疫治療剤を、本明細書に記載のビス(チオヒドラジドアミド)と併用して癌を治療することができる。これらのコンジュゲートモノクローナル抗体の例としては、放射能を直接に癌性Bリンパ球に送達し、B細胞非ホジキンリンパ腫などの治療に用いられる放射性標識抗体イブリツモマブチウキセタン(ゼバリン)、特定のタイプの非ホジキンリンパ腫などの治療に用いられる放射性標識抗体トシツモマブ(ベキサール);カリチアマイシンを含有し、急性骨髄性白血病(AML)などの治療に用いられる免疫毒素ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ)があげられるが、これに限定されるものではない。BL22は、有毛細胞白血病などを治療するためのコンジュゲートモノクローナル抗体、白血病、リンパ腫、および脳腫瘍などを治療するための免疫毒素、結腸直腸および卵巣癌などのためのOncoScintといった放射性標識抗体、前立腺癌などのためのProstaScintである。
【0141】
本発明の特定の態様では、毒素含有標的処置剤を、本明細書に記載のビス(チオヒドラジドアミド)と併用して、癌を治療することができる。毒素含有標的処置剤は、成長因子と結合した毒素であり、本明細書に記載のビス(チオヒドラジドアミド)との併用で皮膚リンパ腫(皮膚のT細胞リンパ腫)などの治療に使用可能なデニロイキンディフチトクス(オンタック)などの抗体を含まない。
【0142】
本発明はまた、本明細書に記載のビス(チオヒドラジドアミド)と組み合わせて、アジュバント免疫治療剤を使用することも含み、このようなアジュバント免疫治療剤としては、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)−1−α、インターロイキン(IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−7、IL−12、IL−15、IL−18、IL−21、およびIL−27を含む)、腫瘍壊死因子(TNF−αを含む)、およびインターフェロン(IFN−α、IFN−βおよびIFN−γを含む)などのサイトカイン;水酸化アルミニウム(ミョウバン);ウシ型弱毒結核菌ワクチン(BCG);キーホールリンペットヘモシアニン(KLH);不完全フロイントアジュバント(IFA);QS−21;DETOX;レバミソール;ジニトロフェニル(DNP)、ならびにたとえばインターロイキン(IL−2など)と他のサイトカイン(IFN−αなど)との組み合わせなど、これらの組み合わせがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0143】
本発明の特定の態様では、インターロイキン2(IL2;プロロイキン)、インターフェロン(IFN α−2b、IFN)、IFN(インターフェロン)併剤(in combination)、MDX 010、MDX−1379、ダカルバジド(Dacarbazide)、ゲナセンス、シスプラチン、ビンブラスチン、カルムスチン、ダカルバジン、もしくはノルバデックスより選択される処置剤、または
生物学的応答調節物質:
インターロイキン2(IL2;プロロイキン)
インターフェロン(IFN α−2b、IFN)
生化学的処置剤:
IFN(インターフェロン)併剤
MDX 010+IL−2
MDX010+MDX−1379
ダカルバジド(Dacarbazide)+ゲナセンス
ダカルバジド(Dacarbazide)+シスプラチン+IFN
ダカルバジド(Dacarbazide)+シスプラチン+IFN+IL−2
シスプラチン+ビンブラスチン+ダカルバジン+IL−2+IFN
カルムスチン+ダカルバジン+シスプラチン+ノルバデックス+IL−2+IFN
より選択される処置剤と一緒に、ビス(チオヒドラジドアミド)を投与する。
【0144】
本発明の特定の態様では、タキソールまたはタキソテールと、インターロイキン2(IL2;プロロイキン)、インターフェロン(IFN α−2b、IFN)、IFN(インターフェロン)併剤、MDX 010、MDX−1379、ダカルバジド(Dacarbazide)、ゲナセンス、シスプラチン、ビンブラスチン、カルムスチン、ダカルバジン、もしくはノルバデックスより選択される処置剤、または以下の群すなわち、
生物学的応答調節物質:
インターロイキン2(IL2;プロロイキン)
インターフェロン(IFN α−2b、IFN)
生化学的処置剤:
IFN(インターフェロン)併剤
MDX 010+IL−2
MDX010+MDX−1379
ダカルバジド(Dacarbazide)+ゲナセンス
ダカルバジド(Dacarbazide)+シスプラチン+IFN
ダカルバジド(Dacarbazide)+シスプラチン+IFN+IL−2
シスプラチン+ビンブラスチン+ダカルバジン+IL−2+IFN
カルムスチン+ダカルバジン+シスプラチン+ノルバデックス+IL−2+IFN
シスプラチン+ビンブラスチン+ダカルバジン+IL−2+IFN
カルムスチン+ダカルバジン+シスプラチン+ノルバデックス+IL−2+IFN
より選択される処置剤と一緒に、ビス(チオヒドラジドアミド)を投与する。
【0145】
別の好ましい態様では、免疫治療剤およびタキソールまたはタキソテールと組み合わせて、本明細書に記載のビス(チオヒドラジドアミド)を投与する。
【0146】
本明細書に開示のビス(チオ−ヒドラジドアミド)は、米国特許出願公開第20060135595号明細書、同第2003/0045518号明細書および同第2003/0119914号明細書、2006年5月11日に発明の名称「ビス(チオ−ヒドラジドアミド)塩の合成(Synthesis Of Bis(Thio−Hydrazide Amide)Salts)」で出願された米国特許出願第11/432,307号明細書、2005年8月16日に発明の名称「ビス(チオ−ヒドラジドアミド)製剤(Bis(Thio−Hydrazide Amide)Formulation)」で出願された米国特許仮出願第60/708,977号明細書に記載の方法で調製可能であり、また、発明の名称「癌の治療法(TREATMENT FOR CANCERS)」での米国特許出願公開第2004/0225016 A1号明細書に記載された方法でも調製可能である。これらの出願の教示内容全体を本明細書に援用する。
【0147】
以下、実施例を参照して本発明について説明するが、これらの実施例は本発明を限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0148】
実施例1、無増悪期間に基づいてパクリタキセルのみの場合と比較した、IV期の転移性黒色腫患者における、化合物(1)およびパクリタキセルの組み合わせの1週間ごとの治療計画
IV期の黒色腫に羅患した患者合計81名を、化合物(1)+パクリタキセル(53名):パクリタキセルのみ(28名)の2:1の比で無作為化試験にて試験した。投与した薬用量は化合物(1)が213mg/m、パクリタキセルが80mg/mであり、投与計画は4週間のサイクルごとに1週間用量を3回とした。疾患が進行するまで患者を治療した。パクリタキセルのみで進行した患者には、化合物(1)+パクリタキセルとのクロスオーバーの選択肢を与え、進行するまで治療した。基線、サイクル2、その後の他のサイクルすべてにおいて腫瘍を評価した。
【0149】
患者の転移性疾患の基線グレードを以下に示す。

【0150】
パクリタキセルのみでの処置群では大多数の患者がM1cであったが、Mグレードの影響についての分析では、患者の病状がさらに短期間で進行する尤度に統計的に有意な作用は認められなかった(p値=0.5368)。患者が受けた実際の治療には、患者の病状がさらに短期間で進行する尤度に統計的に有意な作用があった(p値=0.0281)。
【0151】
潜在的な予後の範囲(continuum)の確率値を最良から最悪までの4つのシナリオに分けた。
(i)逆転または同じ結果;
(ii)4783 より良い p>0.2;
(iii)良好0.05<p<0.2〜;かつ
(iv)良好p<0.05。
【0152】
表1は、疾患の無増悪期間のカプラン・マイヤー(Kaplier Meyer)推定値を示す(有効性サンプル)。
【表1】

p値についてはログランク検定で得る。
【0153】
上記の4つのシナリオに照らすと、研究結果は考えられる4つのシナリオのうち最適なものと一致する。
【0154】
表2に、固形癌の治療効果判定のためのガイドライン(RECIST)による最良総合効果を示す(有効性サンプル)。
【表2】

【0155】
表2から明らかなように、本発明の化合物をパクリタキセルと併用すると、パクリタキセルのみの場合に比して有意な改善が認められる。特に、本発明の化合物をパクリタキセルと併用すると、1名の患者で完全奏功、50%を超える患者で疾患が安定したのに対し、パクリタキセルのみの場合では疾患が安定したのは37%の患者にすぎなかった。
【0156】
表3および表4に、化合物(1)をパクリタキセルと併用した場合とパクリタキセルのみの場合、さらには現時点で黒色腫の治療に用いられている他の治療薬について、相対的な治療結果を示す。表3および表4から明らかなように、化合物(1)をパクリタキセルと併用すると、パクリタキセルのみの場合に比して疾患が進行するまでの日数が大幅に長くなる。また、無増悪期間の恩恵については、どの処置剤単剤の場合よりもずっと良好であり、現在用いられている併用剤1つを除いてずっと良好である。
【0157】
シスプラチン ビンブラスチン ダカルバジン IL−2およびIFNを併用すると、化合物(1)をパクリタキセルと組み合わせる場合よりも無増悪期間が長いが、しかしながら、副作用が強いため、この組み合わせで投与するのであれば患者は入院する必要がある。逆に、化合物(1)をパクリタキセルと併用しても副作用はパクリタキセルのみの場合と比べて若干強くなる程度であった。いずれの副作用も、試験時に化合物(1)とパクリタキセルとを併用した治療を中止しなければならないほど重篤なものではなかった。
【0158】
【表3】

【0159】
【表4】

【0160】
以上、本発明の好ましい態様を参照して、本発明について個々に示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱することなく形態および詳細に対してさまざまな変更をほどこし得ることは、当業者であれば理解できよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
I、II、またはIII期の黒色腫の治療を受けている対象において黒色腫の再発を予防するまたは遅らせる方法であって、以下の構造式で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を対象に投与する段階を含む、方法:

式中、
Yは、共有結合もしくは置換されていてもよい直鎖状ヒドロカルビル基であるか、またはYは、それが結合する両>C=Z基と一緒になって、置換されていてもよい芳香族基であり;
〜Rは独立して、−H、置換されていてもよい脂肪族基、置換されていてもよいアリール基であるか、またはRおよびRが、それらが結合する炭素原子および窒素原子と一緒になって、かつ/もしくはRおよびRが、それらが結合する炭素原子および窒素原子と一緒になって、芳香環に縮合されていてもよい非芳香族複素環を形成し;
〜Rは独立して、−H、置換されていてもよい脂肪族基、または置換されていてもよいアリール基であり;かつ
Zは、OまたはSである。
【請求項2】
ZがOであり、RとRとが同一であり、かつRとRとが同一である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
Yが、共有結合、−C(R)−、−(CHCH)−、トランス−(CH=CH)−、シス−(CH=CH)−、または−(C≡C)−であり;かつ
およびRが各々独立して、−H、脂肪族基、もしくは置換脂肪族基であるか、またはRが−HでありかつRが置換されていてもよいアリール基であるか、またはRおよびRが一緒になって、置換されていてもよいC2〜C6アルキレン基である、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
Yが−C(R)−であり;
およびRが各々、置換されていてもよいアリール基であり;かつ
およびRが各々、置換されていてもよい脂肪族基である、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
が−Hであり、かつRが、−H、脂肪族基、または置換脂肪族基である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
およびRが各々、−OH、ハロゲン、フェニル、ベンジル、ピリジル、またはC1〜C8アルコキシで置換されていてもよいアルキル基であり、かつRが−Hまたはメチルである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
およびRが各々、置換されていてもよいフェニル基である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
で表されるフェニル基およびRで表されるフェニル基が、−R、−OH、−Br、−Cl、−I、−F、−OR、−O−COR、−COR、−CN、−NCS、−NO、−COOH、−SOH、−NH、−NHR、−N(R)、−COOR、−CHO、−CONH、−CONHR、−CON(R)、−NHCOR、−NRCOR、−NHCONH、−NHCONRH、−NHCON(R)、−NRCONH、−NRCONRH、−NRCON(R)、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NHR、−C(=NH)−N(R)、−C(=NR)−NH、−C(=NR)−NHR、−C(=NR)−N(R)、−NH−C(=NH)−NH、−NH−C(=NH)−NHR、−NH−C(=NH)−N(R)、−NH−C(=NR)−NH、−NH−C(=NR)−NHR、−NH−C(=NR)−N(R)、−NR−C(=NH)−NH、−NR−C(=NH)−NHR、−NR−C(=NH)−N(R)、−NR−C(=NR)−NH、−NR−C(=NR)−NHR、−NR−C(=NR)−N(R)、−NHNH、−NHNHR、−NHNR、−SONH、−SONHR、−SONR、−CH=CHR、−CH=CR、−CR=CR、−CR=CHR、−CR=CR、−CCR、−SH、−SR、−S(O)R、−S(O)より選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよく、ここでR〜Rは各々独立して、アルキル基、芳香族基、非芳香族複素環基であるか、または一緒になった−N(R)は、置換されていてもよい非芳香族複素環基を形成し、ここでR〜Rで表されるアルキル基、芳香族基、および非芳香族複素環基、ならびに−N(R)で表される非芳香族複素環基が各々独立して、Rで表される1つまたは複数の基で置換されていてもよく、ここでRは、R、−OR、−O(ハロアルキル)、−SR、−NO、−CN、−NCS、−N(R、−NHCO、−NHC(O)R、−NHNHC(O)R、−NHC(O)N(R、−NHNHC(O)N(R、−NHNHCO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−CO、−C(O)R、C(O)N(R、−OC(O)R、−OC(O)N(R、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NHSON(R、−NHSO、−C(=S)N(R、または−C(=NH)−N(Rであり、ここでRは、−H、C1〜C4アルキル基、単環式ヘテロアリール基、非芳香族複素環基、またはアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロ、−CN、−NO、アミン、アルキルアミン、もしくはジアルキルアミンで置換されていてもよいフェニル基であるか、または−N(Rが非芳香族複素環基であり、ただし、第二級環式アミンを含むRおよび−N(Rで表される非芳香族複素環基が、アシル化またはアルキル化されていてもよい、請求項7記載の方法。
【請求項9】
およびRで表されるフェニル基が、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4ハロアルキル、C1〜C4ハロアルコキシ、フェニル、ベンジル、ピリジル、−OH、−NH、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、または−CNで置換されていてもよい、請求項8記載の方法。
【請求項10】
およびRで表されるフェニル基が、−OH、−CN、ハロゲン、C1〜4アルキル、またはC1〜C4アルコキシで置換されていてもよく、かつRおよびRが各々、−OH、ハロゲン、またはC1〜C4アルコキシで置換されていてもよいメチルまたはエチルである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
Yが−CR−であり;
およびRがいずれも、置換されていてもよい脂肪族基であり;
が−Hであり;かつ
が−Hまたは置換されていてもよい脂肪族基である、
請求項3記載の方法。
【請求項12】
およびRがいずれも、少なくとも1つのアルキル基で置換されていてもよいC3〜C8シクロアルキル基である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
およびRがいずれも、−OH、ハロゲン、フェニル、ベンジル、ピリジル、またはC1〜C8アルコキシで置換されていてもよいアルキル基であり、かつRが−Hまたはメチルである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
およびRがいずれも、シクロプロピルまたは1−メチルシクロプロピルである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
化合物が、以下の構造式で表されるかまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項1記載の方法:

式中、
〜Rはいずれも−Hであり;かつ
およびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもエチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも4−シアノフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも4−メトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもエチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも4−シアノフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも3−シアノフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも3−フルオロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも4−クロロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも2−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも3−メトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,3−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,3−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジフルオロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジフルオロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジクロロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジメチルフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれもシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもエチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはエチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはn−プロピルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか、
およびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもエチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、Rはメチルであり、Rはエチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2−フェニルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも1−フェニルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもシクロブチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもシクロペンチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもシクロヘキシルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもシクロヘキシルであり、RおよびRはいずれもフェニルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもメチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもメチルであり、RおよびRはいずれもt−ブチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもメチルであり、RおよびRはいずれもフェニルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもt−ブチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはエチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、または
およびRはいずれもn−プロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hである。
【請求項16】
化合物が、以下の構造式で表されるかまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1記載の方法:


【請求項17】
化合物が、以下の構造式のうちの1つで表されるかまたはその薬学的に許容される塩である、請求項16記載の方法:


【請求項18】
化合物が、以下の構造式で表されるかまたはその薬学的に許容される塩である、請求項17記載の方法:


【請求項19】
対象がヒトである、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
化合物を単剤療法として投与する、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
化合物が二ナトリウム塩または二カリウム塩である、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
対象が、悪性黒子、表在拡大型悪性黒色腫、末端黒子型悪性黒色腫、および結節性悪性黒色腫からなる群より選択されるI、II、またはIII期の黒色腫に羅患している、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
化合物を、タキソール、タキソール類似体、ジスコデルモリド(NVP−XX−A−296としても周知);エポチロン(エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC(デスオキシエポチロンAまたはdEpoAとしても周知);エポチロンD(KOS−862、dEpoB、およびデスオキシエポチロンBとも呼ばれる);エポチロンE;エポチロンF;エポチロンB N−オキシド;エポチロンA N−オキシド;16−アザ−エポチロンB;21−アミノエポチロンB(BMS−310705としても周知);21−ヒドロキシエポチロンD(デスオキシエポチロンFおよびdEpoFとしても周知)、26−フルオロエポチロン);FR−182877(藤沢薬品工業、WS−9885Bとしても周知)、BSF−223651(BASF、ILX−651およびLU−223651としても周知);AC−7739(味の素、AVE−8063AおよびCS−39.HClとしても周知);AC−7700(味の素、AVE−8062、AVE−8062A、CS−39−L−Ser.HCl、およびRPR−258062Aとしても周知);フィジアノリドB;ラウリマリド;カリバエオシド(Caribaeoside);カリバエオリン(Caribaeolin);タッカロノリド(Taccalonolide);エリュテロビン;サルコジクチン;ラウリマリド;ジクチオスタチン(Dictyostatin)−1;ジャトロファンエステル;ならびにその類似体および誘導体からなる群より選択される有効量の微小管安定剤と組み合わせて投与する、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
化合物を、有効量のタキソールまたはタキソール類似体と組み合わせて投与する、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
タキソール類似体が、以下より選択される構造式で表される、請求項24記載の方法:

式中、
10は、低級アルキル基、置換低級アルキル基、フェニル基、置換フェニル基、−SR19、−NHR19、または−OR19であり;
11は、低級アルキル基、置換低級アルキル基、アリール基、または置換アリール基であり;
12は、−H、−OH、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルコキシ、置換低級アルコキシ、−O−C(O)−(低級アルキル)、−O−C(O)−(置換低級アルキル)、−O−CH−O−(低級アルキル)、−S−CH−O−(低級アルキル)であり;
13は、−H、−CHであるか、またはR14と一緒になって−CH−であり;
14は、−H、−OH、低級アルコキシ、−O−C(O)−(低級アルキル)、置換低級アルコキシ、−O−C(O)−(置換低級アルキル)、−O−CH−O−P(O)(OH)、−O−CH−O−(低級アルキル)、−O−CH−S−(低級アルキル)であるか、またはR20と一緒になって二重結合であり;
15は、−H、低級アシル、低級アルキル、置換低級アルキル、アルコキシメチル、アルキルチオメチル(alkthiomethyl)、−OC(O)−O(低級アルキル)、−OC(O)−O(置換低級アルキル)、−OC(O)−NH(低級アルキル)、または−OC(O)−NH(置換低級アルキル)であり;
16は、フェニルまたは置換フェニルであり;
17は、−H、低級アシル、置換低級アシル、低級アルキル、置換低級アルキル、(低級アルコキシ)メチル、または(低級アルキル)チオメチルであり;
18は、−H、−CHであるか、またはR17ならびにR17およびR18が結合する炭素原子と一緒になって、5または6員の非芳香族複素環であり;
19は、低級アルキル基、置換低級アルキル基、フェニル基、置換フェニル基であり;
20は、−Hまたはハロゲンであり;かつ
21は、−H、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アシル、または置換低級アシルである。
【請求項26】
10が、フェニル、tert−ブトキシ、−S−CH−CH−(CH、−S−CH(CH、−S−(CHCH、−O−CH(CH、−NH−CH(CH、−CH=C(CH、またはパラ−クロロフェニルであり;
11が、フェニル、(CHCHCH−、−2−フラニル、シクロプロピル、またはパラ−トルイルであり;
12が、−H、−OH、CHCO−、または−(CH−N−モルホリノであり;
13がメチルであるか、またはR13およびR14が一緒になって−CH−であり;
14が、−H、−CHSCH、または−CH−O−P(O)(OH)であり;
15がCHCO−であり;
16がフェニルであり;
17が−Hであるか、またはR17およびR18が一緒になって−O−CO−O−であり;
18が−Hであり;
20が−Hまたは−Fであり;かつ
21が、−H、−C(O)−CHBr−(CH13−CH、または−C(O)−(CH14−CH;−C(O)−CH−CH(OH)−COOH、−C(O)−CH−O−C(O)−CHCH(NH)−CONH、−C(O)−CH−O−−CHCHOCH、または−C(O)−O−C(O)−CHCHである、
請求項25記載の方法。
【請求項27】
タキソール類似体が、







より選択される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
タキソール類似体が、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、メタクリロイルグリシン−2−ヒドロキシプロピルアミド、および[2aR[2α,4β,4β,6β,9α(2R,3S),11β,12α,12α,12α]]−6,12b−ジアセトキシ−9−[3−ベンズアミド−2−(メタクリロイル−グリシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシル.グリシルオキシ)−3−フェニルプロピオニルオキシ]−12−ベンゾイルオキシ−4,11−ジヒドロキシ−4a,8,13,13−テトラメチル−2a,3,4,4a,5,6,9,10,11,12,12a,12b−ドデカヒドロ−1H−7,11−メタノシクロデカ[3,4]ベンズ[1,2−b]オキセト−5−オンのコポリマーである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
化合物を、有効量のタキソールまたはタキソテールと同時投与する、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
化合物をさらに、ダカルバジン、テモゾロミド、シスプラチン、カルムスチン、ホテムスチン、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン(vinablastine)、G−CSF、ナベルビン、タモキシフェン、カルボプラチン、ノルバデックス、ソラフェニブ、ブレオマイシン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される有効量の抗癌剤と同時投与する、請求項29記載の方法。
【請求項31】
抗癌剤が、
(a)ダカルバジンおよびG−CSF;
(b)カルボプラチンおよびソラフェニブ;
(c)ダカルバジン、カルムスチン シスプラチン、およびタモキシフェン;
(d)ナベルビンおよびノルバデックス;または
(e)シスプラチン、ビンブラスチン、およびダカルバジン
からなる群より選択される、請求項30記載の方法。
【請求項32】
化合物を、ダカルバジン、テモゾロミド、シスプラチン、カルムスチン、ホテムスチン、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、G−CSF、ナベルビン、タモキシフェン、カルボプラチン、ノルバデックス、ソラフェニブ、またはブレオマイシンからなる群より選択される有効量の抗癌剤と同時投与する、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
抗癌剤が、
(a)ダカルバジンおよびG−CSF;
(b)カルボプラチンおよびソラフェニブ;
(c)ダカルバジン、カルムスチン シスプラチン、およびタモキシフェン;
(d)ナベルビンおよびノルバデックス;または
(e)シスプラチン、ビンブラスチン、およびダカルバジン
からなる群より選択される、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
I、II、またはIII期の黒色腫の治療を受けている対象において黒色腫の再発を予防するまたは遅らせる方法であって、

より選択される構造式で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を対象に投与する段階を含む、方法。
【請求項35】
化合物が、以下の構造式で表されるかまたはその薬学的に許容される塩である、請求項34記載の方法:


【請求項36】
対象がヒトである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
化合物を単剤療法として投与する、請求項35記載の方法。
【請求項38】
化合物が二ナトリウム塩または二カリウム塩である、請求項35記載の方法。
【請求項39】
対象が、悪性黒子、表在拡大型悪性黒色腫、末端黒子型悪性黒色腫、および結節性悪性黒色腫からなる群より選択されるI、II、またはIII期の黒色腫に羅患している、請求項35記載の方法。
【請求項40】
化合物を、有効量のタキソールまたはタキソール類似体と組み合わせて投与する、請求項34〜39のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
化合物を、ダカルバジン、テモゾロミド、シスプラチン、カルムスチン、ホテムスチン、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、G−CSF、ナベルビン、タモキシフェン、カルボプラチン、ノルバデックス、ソラフェニブ、またはブレオマイシンからなる群より選択される有効量の抗癌剤と同時投与する、請求項34〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
抗癌剤が、
(a)ダカルバジンおよびG−CSF;
(b)カルボプラチンおよびソラフェニブ;
(c)ダカルバジン、カルムスチン シスプラチン、およびタモキシフェン;
(d)ナベルビンおよびノルバデックス;または
(e)シスプラチン、ビンブラスチン、およびダカルバジン
からなる群より選択される、請求項34〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
I、II、またはIII期の黒色腫の治療を受けている対象において黒色腫の再発を予防するまたは遅らせる方法であって、有効量のタキソールまたはタキソテールと組み合わせて、以下の構造式で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を対象に投与する段階を含む、方法:


【請求項44】
化合物をさらに、ダカルバジン、テモゾロミド、シスプラチン、カルムスチン、ホテムスチン、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、G−CSF、ナベルビン、タモキシフェン、カルボプラチン、ノルバデックス、ソラフェニブ、ブレオマイシン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される有効量の抗癌剤と同時投与する、請求項43記載の方法。
【請求項45】
抗癌剤が、
(a)ダカルバジンおよびG−CSF;
(b)カルボプラチンおよびソラフェニブ;
(c)ダカルバジン、カルムスチン シスプラチン、およびタモキシフェン;
(d)ナベルビンおよびノルバデックス;または
(e)シスプラチン、ビンブラスチン、およびダカルバジン
からなる群より選択される、請求項44記載の方法。
【請求項46】
免疫治療剤を投与する段階をさらに含む、請求項1〜45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
免疫治療剤が、ワクチン、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞処置剤、モノクローナル抗体、毒素含有標的処置剤、サイトカイン、水酸化アルミニウム(ミョウバン)、ウシ型弱毒結核菌ワクチン(BCG)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、不完全フロイントアジュバント(IFA)、QS−21、DETOX、レバミソール、ジニトロフェニル(DNP)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
免疫治療剤が、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)−1−α、インターロイキン、腫瘍壊死因子、インターフェロン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるサイトカインである、請求項47記載の方法。
【請求項49】
サイトカインが、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−7、IL−12、IL−15、IL−18、IL−21、およびIL−27からなる群より選択されるインターロイキンである、請求項48記載の方法。
【請求項50】
サイトカインが、IFN−α、IFN−β、およびIFN−γからなる群より選択されるインターフェロンである、請求項48記載の方法。
【請求項51】
免疫治療剤が、
(i)IFN−αおよびIL−2;
(ii)BCG、ワクチン、および任意で別の免疫治療剤;
(iii)IL−12およびTNF−α;ならびに
(iv)DNAワクチンおよびリンパ球
からなる群より選択される組み合わせである、請求項46記載の方法。
【請求項52】
免疫治療剤がIL−2とインターフェロンとの組み合わせであり、かつ組成物が抗癌剤をさらに含んでもよい、請求項46記載の方法。
【請求項53】
I、II、またはIII期の黒色腫を有する対象の黒色腫の治療方法であって、以下の構造式で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を対象に投与する段階を含む、方法:

式中、
Yは、共有結合もしくは置換されていてもよい直鎖状ヒドロカルビル基であるか、またはYは、それが結合する両>C=Z基と一緒になって、置換されていてもよい芳香族基であり;
〜Rは独立して、−H、置換されていてもよい脂肪族基、置換されていてもよいアリール基であるか、またはRおよびRが、それらが結合する炭素原子および窒素原子と一緒になって、かつ/もしくはRおよびRが、それらが結合する炭素原子および窒素原子と一緒になって、芳香環に縮合されていてもよい非芳香族複素環を形成し;
〜Rは独立して、−H、置換されていてもよい脂肪族基、または置換されていてもよいアリール基であり;かつ
Zは、OまたはSである。
【請求項54】
ZがOであり、RとRとが同一であり、かつRとRとが同一である、請求項1記載の方法。
【請求項55】
Yが、共有結合、−C(R)−、−(CHCH)−、トランス−(CH=CH)−、シス−(CH=CH)−、または−(C≡C)−であり;かつ
およびRが各々独立して、−H、脂肪族基、もしくは置換脂肪族基であるか、またはRが−HでありかつRが置換されていてもよいアリール基であるか、またはRおよびRが一緒になって、置換されていてもよいC2〜C6アルキレン基である、
請求項53記載の方法。
【請求項56】
Yが−C(R)−であり;
およびRが各々、置換されていてもよいアリール基であり;かつ
およびRが各々、置換されていてもよい脂肪族基である、
請求項55記載の方法。
【請求項57】
が−Hであり、かつRが、−H、脂肪族基、または置換脂肪族基である、請求項56記載の方法。
【請求項58】
およびRが各々、−OH、ハロゲン、フェニル、ベンジル、ピリジル、またはC1〜C8アルコキシで置換されていてもよいアルキル基であり、かつRが−Hまたはメチルである、請求項57記載の方法。
【請求項59】
およびRが各々、置換されていてもよいフェニル基である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
で表されるフェニル基およびRで表されるフェニル基が、−R、−OH、−Br、−Cl、−I、−F、−OR、−O−COR、−COR、−CN、−NCS、−NO、−COOH、−SOH、−NH、−NHR、−N(R)、−COOR、−CHO、−CONH、−CONHR、−CON(R)、−NHCOR、−NRCOR、−NHCONH、−NHCONRH、−NHCON(R)、−NRCONH、−NRCONRH、−NRCON(R)、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NHR、−C(=NH)−N(R)、−C(=NR)−NH、−C(=NR)−NHR、−C(=NR)−N(R)、−NH−C(=NH)−NH、−NH−C(=NH)−NHR、−NH−C(=NH)−N(R)、−NH−C(=NR)−NH、−NH−C(=NR)−NHR、−NH−C(=NR)−N(R)、−NR−C(=NH)−NH、−NR−C(=NH)−NHR、−NR−C(=NH)−N(R)、−NR−C(=NR)−NH、−NR−C(=NR)−NHR、−NR−C(=NR)−N(R)、−NHNH、−NHNHR、−NHNR、−SONH、−SONHR、−SONR、−CH=CHR、−CH=CR、−CR=CR、−CR=CHR、−CR=CR、−CCR、−SH、−SR、−S(O)R、−S(O)より選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよく、ここでR〜Rは各々独立して、アルキル基、芳香族基、非芳香族複素環基であるか、または一緒になった−N(R)は、置換されていてもよい非芳香族複素環基を形成し、ここでR〜Rで表されるアルキル基、芳香族基、および非芳香族複素環基、ならびに−N(R)で表される非芳香族複素環基が各々独立して、Rで表される1つまたは複数の基で置換されていてもよく、ここでRは、R、−OR、−O(ハロアルキル)、−SR、−NO、−CN、−NCS、−N(R、−NHCO、−NHC(O)R、−NHNHC(O)R、−NHC(O)N(R、−NHNHC(O)N(R、−NHNHCO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−CO、−C(O)R、C(O)N(R、−OC(O)R、−OC(O)N(R、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NHSON(R、−NHSO、−C(=S)N(R、または−C(=NH)−N(Rであり、ここでRは、−H、C1〜C4アルキル基、単環式ヘテロアリール基、非芳香族複素環基、またはアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロ、−CN、−NO、アミン、アルキルアミン、もしくはジアルキルアミンで置換されていてもよいフェニル基であるか、または−N(Rが非芳香族複素環基であり、ただし、第二級環式アミンを含むRおよび−N(Rで表される非芳香族複素環基が、アシル化またはアルキル化されていてもよい、請求項59記載の方法。
【請求項61】
およびRで表されるフェニル基が、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4ハロアルキル、C1〜C4ハロアルコキシ、フェニル、ベンジル、ピリジル、−OH、−NH、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、または−CNで置換されていてもよい、請求項60記載の方法。
【請求項62】
およびRで表されるフェニル基が、−OH、−CN、ハロゲン、C1〜4アルキル、またはC1〜C4アルコキシで置換されていてもよく、かつRおよびRが各々、−OH、ハロゲン、またはC1〜C4アルコキシで置換されていてもよいメチルまたはエチルである、請求項61記載の方法。
【請求項63】
Yが−CR−であり;
およびRがいずれも、置換されていてもよい脂肪族基であり;
が−Hであり;かつ
が−Hまたは置換されていてもよい脂肪族基である、
請求項55記載の方法。
【請求項64】
およびRがいずれも、少なくとも1つのアルキル基で置換されていてもよいC3〜C8シクロアルキル基である、請求項63記載の方法。
【請求項65】
およびRがいずれも、−OH、ハロゲン、フェニル、ベンジル、ピリジル、またはC1〜C8アルコキシで置換されていてもよいアルキル基であり、かつRが−Hまたはメチルである、請求項64記載の方法。
【請求項66】
およびRがいずれも、シクロプロピルまたは1−メチルシクロプロピルである、請求項65記載の方法。
【請求項67】
化合物が、以下の構造式で表されるかまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項53記載の方法:

式中、
〜Rはいずれも−Hであり;かつ
およびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもエチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも4−シアノフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも4−メトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもエチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも4−シアノフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも3−シアノフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも3−フルオロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも4−クロロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも2−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも3−メトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,3−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,3−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジフルオロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジフルオロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジクロロフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジメチルフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2,5−ジメトキシフェニルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれもシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもエチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはメチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはエチルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、Rはn−プロピルであり、かつRは−Hであるか、
およびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれもメチルであるか、
およびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもエチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも1−メチルシクロプロピルであり、Rはメチルであり、Rはエチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2−メチルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも2−フェニルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれも1−フェニルシクロプロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもシクロブチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもシクロペンチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもシクロヘキシルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもシクロヘキシルであり、RおよびRはいずれもフェニルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもメチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもメチルであり、RおよびRはいずれもt−ブチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもメチルであり、RおよびRはいずれもフェニルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはいずれもt−ブチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、
およびRはエチルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hであるか、または、
およびRはいずれもn−プロピルであり、RおよびRはいずれもメチルであり、かつRおよびRはいずれも−Hである。
【請求項68】
化合物が、以下の構造式で表されるかまたはその薬学的に許容される塩である、請求項53記載の方法:


【請求項69】
化合物が、以下の構造式のうちの1つで表されるかまたはその薬学的に許容される塩である、請求項68記載の方法:


【請求項70】
化合物が、以下の構造式で表されるかまたはその薬学的に許容される塩である、請求項69記載の方法:


【請求項71】
対象がヒトである、請求項53〜70のいずれか一項記載の方法。
【請求項72】
化合物を単剤療法として投与する、請求項53〜70のいずれか一項記載の方法。
【請求項73】
化合物が二ナトリウム塩または二カリウム塩である、請求項53〜70のいずれか一項記載の方法。
【請求項74】
対象が、悪性黒子、表在拡大型悪性黒色腫、末端黒子型悪性黒色腫、および結節性悪性黒色腫からなる群より選択されるI、II、またはIII期の黒色腫に羅患している、請求項53〜70のいずれか一項記載の方法。
【請求項75】
化合物を、タキソール、タキソール類似体、ジスコデルモリド(NVP−XX−A−296としても周知);エポチロン(エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC(デスオキシエポチロンAまたはdEpoAとしても周知);エポチロンD(KOS−862、dEpoB、およびデスオキシエポチロンBとも呼ばれる);エポチロンE;エポチロンF;エポチロンB N−オキシド;エポチロンA N−オキシド;16−アザ−エポチロンB;21−アミノエポチロンB(BMS−310705としても周知);21−ヒドロキシエポチロンD(デスオキシエポチロンFおよびdEpoFとしても周知)、26−フルオロエポチロン);FR−182877(藤沢薬品工業、WS−9885Bとしても周知)、BSF−223651(BASF、ILX−651およびLU−223651としても周知);AC−7739(味の素、AVE−8063AおよびCS−39.HClとしても周知);AC−7700(味の素、AVE−8062、AVE−8062A、CS−39−L−Ser.HCl、およびRPR−258062Aとしても周知);フィジアノリドB;ラウリマリド;カリバエオシド;カリバエオリン;タッカロノリド;エリュテロビン;サルコジクチン;ラウリマリド;ジクチオスタチン−1;ジャトロファンエステル;ならびにその類似体および誘導体からなる群より選択される有効量の微小管安定剤と組み合わせて投与する、請求項53〜70のいずれか一項記載の方法。
【請求項76】
化合物を、有効量のタキソールまたはタキソール類似体と組み合わせて投与する、請求項53〜70のいずれか一項記載の方法。
【請求項77】
タキソール類似体が、以下より選択される構造式で表される、請求項76記載の方法:

または

式中、
10は、低級アルキル基、置換低級アルキル基、フェニル基、置換フェニル基、−SR19、−NHR19、または−OR19であり;
11は、低級アルキル基、置換低級アルキル基、アリール基、または置換アリール基であり;
12は、−H、−OH、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルコキシ、置換低級アルコキシ、−O−C(O)−(低級アルキル)、−O−C(O)−(置換低級アルキル)、−O−CH−O−(低級アルキル)−S−CH−O−(低級アルキル)であり;
13は、−H、−CHであるか、またはR14と一緒になって−CH−であり;
14は、−H、−OH、低級アルコキシ、−O−C(O)−(低級アルキル)、置換低級アルコキシ、−O−C(O)−(置換低級アルキル)、−O−CH−O−P(O)(OH)、−O−CH−O−(低級アルキル)、−O−CH−S−(低級アルキル)であるか、またはR20と一緒になって二重結合であり;
15は、−H、低級アシル、低級アルキル、置換低級アルキル、アルコキシメチル、アルキルチオメチル、−OC(O)−O(低級アルキル)、−OC(O)−O(置換低級アルキル)、−OC(O)−NH(低級アルキル)、または−OC(O)−NH(置換低級アルキル)であり;
16は、フェニルまたは置換フェニルであり;
17は、−H、低級アシル、置換低級アシル、低級アルキル、置換低級アルキル、(低級アルコキシ)メチル、または(低級アルキル)チオメチルであり;
18は、−H、−CHであるか、またはR17ならびにR17およびR18が結合する炭素原子と一緒になって、5または6員の非芳香族複素環であり;
19は、低級アルキル基、置換低級アルキル基、フェニル基、置換フェニル基であり;
20は、−Hまたはハロゲンであり;かつ
21は、−H、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アシル、または置換低級アシルである。
【請求項78】
10が、フェニル、tert−ブトキシ、−S−CH−CH−(CH、−S−CH(CH、−S−(CHCH、−O−CH(CH、−NH−CH(CH、−CH=C(CH、またはパラ−クロロフェニルであり;
11が、フェニル、(CHCHCH−、−2−フラニル、シクロプロピル、またはパラ−トルイルであり;
12が、−H、−OH、CHCO−、または−(CH−N−モルホリノであり;
13がメチルであるか、またはR13およびR14が一緒になって−CH−であり;
14が、−H、−CHSCH、または−CH−O−P(O)(OH)であり;
15がCHCO−であり;
16がフェニルであり;
17が−Hであるか、またはR17およびR18が一緒になって−O−CO−O−であり;
18が−Hであり;
20が−Hまたは−Fであり;かつ
21が、−H、−C(O)−CHBr−(CH13−CH、または−C(O)−(CH14−CH;−C(O)−CH−CH(OH)−COOH、−C(O)−CH−O−C(O)−CHCH(NH)−CONH、−C(O)−CH−O−−CHCHOCH、または−C(O)−O−C(O)−CHCHである、
請求項77記載の方法。
【請求項79】
タキソール類似体が、








より選択される、請求項78記載の方法。
【請求項80】
タキソール類似体が、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、メタクリロイルグリシン−2−ヒドロキシプロピルアミド、および[2aR[2α,4β,4β,6β,9α(2R,3S),11β,12α,12α,12α]]−6,12b−ジアセトキシ−9−[3−ベンズアミド−2−(メタクリロイル−グリシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシル.グリシルオキシ)−3−フェニルプロピオニルオキシ]−12−ベンゾイルオキシ−4,11−ジヒドロキシ−4a,8,13,13−テトラメチル−2a,3,4,4a,5,6,9,10,11,12,12a,12b−ドデカヒドロ−1H−7,11−メタノシクロデカ[3,4]ベンズ[1,2−b]オキセト−5−オンのコポリマーである、請求項79記載の方法。
【請求項81】
化合物を、有効量のタキソールまたはタキソテールと同時投与する、請求項53〜70のいずれか一項記載の方法。
【請求項82】
化合物をさらに、ダカルバジン、テモゾロミド、シスプラチン、カルムスチン、ホテムスチン、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、G−CSF、ナベルビン、タモキシフェン、カルボプラチン、ノルバデックス、ソラフェニブ、ブレオマイシン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される有効量の抗癌剤と同時投与する、請求項81記載の方法。
【請求項83】
抗癌剤が、
(a)ダカルバジンおよびG−CSF;
(b)カルボプラチンおよびソラフェニブ;
(c)ダカルバジン、カルムスチン シスプラチン、およびタモキシフェン;
(d)ナベルビンおよびノルバデックス;または
(e)シスプラチン、ビンブラスチン、およびダカルバジン
からなる群より選択される、請求項82記載の方法。
【請求項84】
化合物を、ダカルバジン、テモゾロミド、シスプラチン、カルムスチン、ホテムスチン、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、G−CSF、ナベルビン、タモキシフェン、カルボプラチン、ノルバデックス、ソラフェニブ、またはブレオマイシンからなる群より選択される有効量の抗癌剤と同時投与する、請求項53〜70のいずれか一項記載の方法。
【請求項85】
抗癌剤が、
(a)ダカルバジンおよびG−CSF;
(b)カルボプラチンおよびソラフェニブ;
(c)ダカルバジン、カルムスチン シスプラチン、およびタモキシフェン;
(d)ナベルビンおよびノルバデックス;または
(e)シスプラチン、ビンブラスチン、およびダカルバジン
からなる群より選択される、請求項53〜70のいずれか一項記載の方法。
【請求項86】
I、II、またはIII期の黒色腫の治療を受けている対象において黒色腫の再発を予防するまたは遅らせる方法であって、

より選択される構造式で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を対象に投与する段階を含む、方法。
【請求項87】
化合物が、以下の構造式で表されるかまたはその薬学的に許容される塩である、請求項86記載の方法:


【請求項88】
対象がヒトである、請求項87記載の方法。
【請求項89】
化合物を単剤療法として投与する、請求項87記載の方法。
【請求項90】
化合物が二ナトリウム塩または二カリウム塩である、請求項87記載の方法。
【請求項91】
対象が、悪性黒子、表在拡大型悪性黒色腫、末端黒子型悪性黒色腫、および結節性悪性黒色腫からなる群より選択されるI、II、またはIII期の黒色腫に羅患している、請求項87記載の方法。
【請求項92】
化合物を、有効量のタキソールまたはタキソール類似体と組み合わせて投与する、請求項86〜91のいずれか一項記載の方法。
【請求項93】
化合物を、ダカルバジン、テモゾロミド、シスプラチン、カルムスチン、ホテムスチン、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、G−CSF、ナベルビン、タモキシフェン、カルボプラチン、ノルバデックス、ソラフェニブ、またはブレオマイシンからなる群より選択される有効量の抗癌剤と同時投与する、請求項86〜91のいずれか一項記載の方法。
【請求項94】
抗癌剤が、
(a)ダカルバジンおよびG−CSF;
(b)カルボプラチンおよびソラフェニブ;
(c)ダカルバジン、カルムスチン シスプラチン、およびタモキシフェン;
(d)ナベルビンおよびノルバデックス;または
(e)シスプラチン、ビンブラスチン、およびダカルバジン
からなる群より選択される、請求項86〜91のいずれか一項記載の方法。
【請求項95】
I、II、またはIII期の黒色腫の治療を受けている対象において黒色腫の再発を予防するまたは遅らせる方法であって、以下の構造式で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、有効量のタキソールまたはタキソテールと組み合わせて、対象に投与する段階を含む、方法:


【請求項96】
化合物をさらに、ダカルバジン、テモゾロミド、シスプラチン、カルムスチン、ホテムスチン、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、G−CSF、ナベルビン、タモキシフェン、カルボプラチン、ノルバデックス、ソラフェニブ、ブレオマイシン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される有効量の抗癌剤と同時投与する、請求項95記載の方法。
【請求項97】
抗癌剤が、
(a)ダカルバジンおよびG−CSF;
(b)カルボプラチンおよびソラフェニブ;
(c)ダカルバジン、カルムスチン シスプラチン、およびタモキシフェン;
(d)ナベルビンおよびノルバデックス;または
(e)シスプラチン、ビンブラスチン、およびダカルバジン
からなる群より選択される、請求項96記載の方法。
【請求項98】
免疫治療剤を投与する段階をさらに含む、請求項53〜97のいずれか一項記載の方法。
【請求項99】
免疫治療剤が、ワクチン、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞処置剤、モノクローナル抗体、毒素含有標的処置剤、サイトカイン、水酸化アルミニウム(ミョウバン)、ウシ型弱毒結核菌ワクチン(BCG)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、不完全フロイントアジュバント(IFA)、QS−21、DETOX、レバミソール、ジニトロフェニル(DNP)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項98記載の方法。
【請求項100】
免疫治療剤が、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)−1−α、インターロイキン、腫瘍壊死因子、インターフェロン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるサイトカインである、請求項99記載の方法。
【請求項101】
サイトカインが、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−7、IL−12、IL−15、IL−18、IL−21、およびIL−27からなる群より選択されるインターロイキンである、請求項100記載の方法。
【請求項102】
サイトカインが、IFN−α、IFN−β、およびIFN−γからなる群より選択されるインターフェロンである、請求項100記載の方法。
【請求項103】
免疫治療剤が、
(i)IFN−αおよびIL−2;
(ii)BCG、ワクチン、および任意で別の免疫治療剤;
(iii)IL−12およびTNF−α;ならびに
(v)DNAワクチンおよびリンパ球
からなる群より選択される組み合わせである、請求項98記載の方法。
【請求項104】
免疫治療剤がIL−2とインターフェロンとの組み合わせであり、かつ組成物が抗癌剤をさらに含んでもよい、請求項98記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−501559(P2010−501559A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525583(P2009−525583)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/018357
【国際公開番号】WO2008/024301
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(504151848)シンタ ファーマシューティカルズ コーポレーション (72)
【Fターム(参考)】