説明

(メタ)アクリルアミドモノマーを製造する方法

エステル交換反応触媒の存在下に有機溶媒中で(メタ)アクリル酸エステルエステルをアミノ官能性化合物と反応させることからなる(メタ)アクリルアミドモノマーを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は(メタ)アクリルアミドモノマーを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒の存在下における(メタ)アクリル酸エステルのアミノリシスによって、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(「DMAPMA」)のような(メタ)アクリルアミドモノマーの製造が知られているが、競争副反応がマイケル付加アダクトを生成し、典型的にはDMAPMA生成物の収率を下げる。競争副反応の問題は、米国特許第4,287,363号明細書に記載されているように、DMAPMAを回収するために高温でアダクトを分解することによって、または米国特許第4,206,143号明細書および独国特許発明第2,816,516号明細書に記載されているように、大過剰の(メタ)アクリル酸エステルを使用することによって望まれないアダクトの量を減らそうと努力することによって、取り組まれてきた。アダクトの分解は長ったらしくて退屈なものであり、分解温度で重合するために収率が低い。後者の方法では、製品混合物から未反応の過剰のエステルを回収する必要があり、そして反応器体積を非能率的な利用するため、(メタ)アクリルアミドモノマー製品の原価を非常に高くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4287363号明細書
【特許文献2】米国特許第4206143号明細書
【特許文献3】独国特許発明第2816516号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当技術分野において必要なのは、より便利でおよび/または原価のより低い(メタ)アクリルアミドモノマーの製法である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様においては、本発明は、エステル交換反応触媒の存在下に有機溶媒中で(メタ)アクリル酸エステルをアミノ官能性化合物と反応させることを含む(メタ)アクリルアミドモノマーを製造する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ここで用いるときは、有機基に関して用語「(C−C)」(ただしxとyは各々整数である。)は、その基が基1個当たりx個〜y個の炭素原子を含むことを示す。
【0007】
ここで用いるときは、用語「(メタ)アクリル」とは、アクリル、メタクリルまたはアクリルとメタクリルの混合物を意味する。
【0008】
ここで用いるときは、用語「アルキル」は、1価の飽和直鎖または分岐炭化水素基を意味し、より典型的には1価の飽和(C−C)炭化水素基を意味し、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、またはn−ヘキシルを意味する。
【0009】
ここで用いるときは、用語「アルキレン」は、2価の飽和直鎖または分岐炭化水素基を意味し、より典型的には2価の飽和(C−C)炭化水素基を意味し、たとえば、メチレン、ジメチレン、トリメチレンを意味する。
【0010】
上記のとおり、過剰のエステルを用いて、(メタ)アクリル酸エステルのアミノリシスを行うことは知られている。我々は、反応時間および収率を犠牲にせずに、エステル反応物の一部をキシレンのような不活性溶媒で部分的に置き換えることができ、したがって反応物の量を減らすことができることを見いだした。溶媒は、また、より高い反応温度および所望により反応混合物の水分を減らす能力を提供する。
【0011】
適した無極性有機溶媒としては、予想される反応条件下で不活性または実質的に不活性な有機溶媒が挙げられ、そして芳香族炭化水素溶剤(たとえばキシレン、ベンゼン、トルエン)、直鎖脂肪族炭化水素溶媒(たとえばヘキサン、デカン、ウンデカンおよびドデカン)、ミネラルスピリット、および環状炭化水素(たとえばシクロヘキサンおよびシクロヘプタンが挙げられる。
【0012】
1つの実施態様において、反応は、(メタ)アクリル酸エステルの全仕込み量100質量部(「pbw」)当たり約1〜約200質量部、より典型的には約10〜約100質量部の有機溶媒の中で行われる。
【0013】
1つの実施態様において、反応は、(メタ)アクリル酸エステル化合物1モル当たり約0.1モル以上1.0モル未満、より典型的には約0.25〜約0.75モルのアミン化合物を用いて行われる。
【0014】
反応物は各々、1つまたはそれ以上の別々の部分として反応混合物に導入してもよいし、反応の間中、反応混合物の中に供給原料として導入してもよいし、またはそれらの組合わせでもよく、たとえば第1の部分を最初の仕込み原料(shot)として導入し、続いて残りの部分を供給原料として導入してもよい。
【0015】
1つの実施態様においては、(メタ)アクリル酸エステル化合物の全仕込み量が、アミン化合物を付加する前に有機溶媒と混合され、その後、アミン化合物の仕込み量が時間をかけて、典型的には約1〜約5時間の時間をかけて、より典型的には約2〜約4時間の時間をかけて、混合物の中に供給される。(メタ)アクリル酸エステルに対するアミン化合物の比を低く維持することにより、望ましくない副反応、たとえばマイケル付加反応を防止できると考えられている。しかし、長引かされた反応時間は工程所要時間を増加させ、潜在的に反応混合物の中身の望まれない重合を起こさせるであろう。
【0016】
適したエステル交換反応触媒は、当技術分野において知られており、たとえば、有機スズ、有機ジルコニウムおよび有機チタン化合物が挙げられ、たとえば、酸化ジアルキルスズ、ジアルキルジアルコキシスズ化合物、テトラメトキシスズ化合物、ビス(ジアルキルアミノ)ジアルキルスズ化合物、およびチタン酸テトライソブチルのようなチタン酸テトラアルキル化合物ならびにそのような触媒の混合物が挙げられる。典型的には、触媒は、酸化ジアルキルスズ触媒であり、より典型的には酸化ジブチルスズまたは酸化ジオクチルスズである。
【0017】
1つの実施態様においては、反応混合物は、約0.01〜約10質量%(「wt%」)、より典型的には約1〜約5wt%のエステル交換反応触媒を含む。
【0018】
1つの実施態様においては、エステル交換反応は約10℃〜約150℃、より典型的には約50℃〜約120℃の温度範囲内で行われる。典型的には、反応は約2〜約10時間、より典型的には約4〜約6時間の反応時間の間実行される。
【0019】
1つの実施態様において、(メタ)アクリルアミドモノマーを製造するための反応混合物は、アミノ(メタ)アクリルアミドモノマーの合成中に(メタ)アクリル酸エステル反応物および(または)生成物モノマーの重合を抑制するために、ヒドロキノン化合物、フェノチアジンまたはそれらの混合物のような重合防止剤をさらに含む。適したヒドロキノン化合物としては、たとえば、ヒドロキノンおよびメチルヒドロキノンが挙げられる。
【0020】
1つの実施態様においては、(メタ)アクリルアミドモノマーを製造する反応は、アミノ(メタ)アクリルアミドモノマーの合成中に(メタ)アクリル酸エステル反応物および(または)生成物モノマーの重合を抑制するために、空気をまき散らしながら行われる。
【0021】
1つの実施態様においては、(メタ)アクリルアミドモノマーは、反応式Aに従って、構造式(III)の(メタ)アクリルアミドモノマーを製造するために、構造式(I)の1種以上の(メタ)アクリル酸エステルを構造式(II)の1種以上のアミノ官能性化合物と、有機溶媒中、エステル交換反応触媒の存在下で、反応させることによって製造される。
【0022】
【化1】

【0023】
ここで、RはHまたは(C−C)アルキルであり、Rは脂肪族または芳香族炭化水素基、より典型的には(C−C)アルキルであり、Rは反応条件下で実質的に不活性な有機基である。
【0024】
1つの実施態様においては、化合物(II)は構造式(II−a)のジアルキルアミノアルキルアミン化合物である。
【0025】
【化2】

【0026】
ここで、
は2価の連結基であり、典型的には所望により1個以上の炭素原子上に置換基があってもよいまたは1か所以上の箇所にヘテロ原子が挿入されていてもよい(C−C)アルキレン、より典型的には(C−C)アルキレンであり、そして
およびRは、各々独立に、アルキルであり、典型的には(C−C)アルキルであり、またはそれらに結合した窒素原子とともに連結して飽和または不飽和の複素環構造を形成していてもよく、所望により追加の環構成窒素原子を含んでいてもよいし、また所望により環原子の1個以上がアルキルまたは酸素で置換されていてもよい。
【0027】
化合物(II)が構造式(II−a)のジアルキルアミノアルキルアミン化合物である場合は、(メタ)アクリルアミドモノマーは構造式(III−a)の化合物である。
【0028】
【化3】

【0029】
ここで、R、R、RおよびRは各々上に定義したとおりである。
【0030】
1つの実施態様においては、RおよびRは連結して飽和または不飽和の単環複素環構造(所望により追加の環構成窒素原子を含んでいてもよい。)を形成し、たとえばピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニルまたはピリダジニル基を形成する。
【0031】
1つの実施態様においては、RおよびRは連結して、環原子の1個以上がアルキルまたは酸素で置換された飽和または不飽和の単環複素環構造(所望により追加の環構成窒素原子を含んでいてもよい。)を形成し、たとえば1−(2−アミノエチル)−2−イミダゾリジノンを形成する。
【0032】
1つの実施態様においては、(メタ)アクリルアミドモノマー(III)と1種以上の(メタ)アクリル酸エステル副生成物(V)の生成物混合物は、反応式Bに従って、(メタ)アクリル酸エステル(I)をアミノ官能性化合物(II)およびアルコール(V)の混合物と反応させることによって、製造される。
【0033】
【化4】

【0034】
ここで、R、RおよびRは各々上述のとおりであり、Rは反応条件下で実質的に不活性な有機基である。典型的にはRは(C−C20)アルキルであり、そして典型的にはRはRと同じではない。
【0035】
アルコール化合物(IV)および副生成物(V)は各々(メタ)アクリル酸エステル(I)とアミノ官能性化合物(II)の反応のための溶媒としての役目を果たし、(メタ)アクリル酸エステル(I)に対するアミノ官能性化合物(II)の比を下げる役目をし、それにより、アミノ官能性化合物(II)の望まないマイケル付加副生成物の形成を防止する。
【0036】
アミノ官能性化合物(II)およびアルコール(IV)は、(メタ)アクリルアミドモノマー生成物(III)から容易に分離できる(メタ)アクリル酸エステル副生成物(V)を提供するために選択される。1つの実施態様においては、アミノ化合物(II)およびアルコール(IV)は、蒸留によって容易に分離できるように沸点が十分に異なる、たとえば10℃以上異なる、より典型的には20℃以上異なる(メタ)アクリルアミドモノマー生成物(III)および(メタ)アクリル酸エステル副生成物(IV)を提供するように選択される。1つの実施態様においては、RはRと同じである。
【0037】
反応混合物は、アミノ官能性化合物(II)とアルコール(IV)の比がいかなる値であってもよい。1つの実施態様においては、アミノ官能性化合物(II)の合計量は、アルコール化合物(IV)の量の約10モル%以上、より典型的には約60モル%以上を含む。
【0038】
1つの実施態様においては、(メタ)アクリルアミドモノマー(III−a)および1種以上(メタ)アクリル酸エステル副生成物(V−a)の生成物混合物は、反応式B−1に従って、(メタ)アクリル酸エステル(I)をアミノ官能性化合物(II−a)およびアルコール(IV−a)の混合物と反応させることによって製造される。
【0039】
【化5】

【0040】
ここで、
、R、R、RおよびRは各々上述のとおりであり、
は2価の連結基であり、典型的には(C−C)アルキレンであり、所望により1個以上の炭素原子が置換されていてもよいし、1か所以上の箇所にヘテロ原子が挿入されていてもよく、
およびR10は、各々独立に、アルキルであり、より典型的には(C−C)アルキルであり、またはそれらに結合した窒素原子とともに連結して飽和または不飽和の複素環構造を形成していてもよく、所望により追加の環構成窒素原子を含んでいてもよく、そして所望により環原子の1個以上がアルキルまたは酸素で置換されていてもよい。
【0041】
1つの実施態様においては、エステル交換された生成物の混合物は、RがHまたはメチルであり、Rがメチルであり、RおよびRが各々独立に(C−C)アルキレンであり、R、R、RおよびR10が各々独立に(C−C)アルキルであるような反応式B−1に従って反応を行うことによって製造される。
【0042】
1つの実施態様においては、RはRと同じであり、そしてR10はRと同じである。
【実施例】
【0043】
実施例1〜5
実施例1〜5の方法においては、以下に記述するように、反応式A−1に従って、溶媒中で、エステル交換反応触媒の存在下に、アミン化合物(II−1)とメタクリル酸エステル(1−1)を反応させることによって、メタクリルアミドモノマー(III−1)を製造した。
【0044】
【化6】

【0045】
実施例1〜5の各々については、原料仕込み量は後述の表I−Aに、そして結果は後述の表I−Bに示す。
【0046】
実施例1の方法においては、温度計、気体注入口、添加ポート、磁気撹拌機、および凝縮器に連結した蒸留ヘッドが上部に取り付けられた5段の蒸留塔を装備した500mLのフラスコに、キシレン20g、メタクリル酸メチル(MMA、オールドリッチ社(Aldrich))62.7gおよびフェノチアジン(PTZ)0.31gを仕込んだ。その混合物を、乾燥空気を非常にゆっくりパージしながら、還流するように加熱した。バッチ温度が70℃に達したときに、酸化ジブチルスズ(BuSnO、クロプトン社(Crompton)製Eurecat 9555)2.81gを加えた。加熱を続けた。バッチが103℃で沸騰し始めたときに、ジメチルアミノプロピルアミン(バスフ社(BASF)製DMAPA)8.0gを素早く加えた。留出物が20分後に留出し始め、そして30分以内にバッチは不溶の触媒がなくなり透明になった。その後、33.0gのDMAPAを3時間にわたって加え、そしてバッチ温度が140℃まで上昇するのを許した。留出物を採取した。添加後、バッチを140〜150℃に2時間保持した。合計20gのメタノール/メタクリル酸エステル共沸混合物が採取された。DMAPA添加の30分後に留出物がほとんど採取されなくなり、それは反応がほとんど終わったことを示していることに留意すべきである。バッチ温度が−17.5インチHgで135℃に下がるまで、残りのメタクリル酸メチルおよびキシレンを減圧蒸留した。再利用することができる留出物が合計29g回収され、74.2gの残留物が反応器の中に残った。HPLC分析は、DMAPMAが89.7%であり、そしてメタクリル酸が2.0%であることを示した。これはDMAPAからの収率が97.4%であることを示す(表Iの実施例1)。
【0047】
実施例2の方法は、DMAPAをそれほど均一に供給せず、流量変動が許した以外は、上述した実施例1の方法に従って実行した。実施例1に類似した収率が得られた。
【0048】
実施例3の方法は、溶媒を用いなかったこと以外は、上述した実施例1の方法に従って実行した。わずかに低い収率が得られた。
【0049】
実施例4の方法は、溶媒としてヘキサンとキシレンの混合物を用いた以外は、上述した実施例1の方法に従って実行した。DMAPAの添加は2時間にわたって行い、そしてヘキサンは反応の初期段階の間に留出させた。実施例1に類似した収率が得られた。
【0050】
実施例5の方法は、溶媒としてより多くのキシレンを用い、そしてより少ない酸化ジブチルスズ触媒を用いた以外は、上述した実施例1の方法に従って実行した。DMAPAの添加は1.5時間にわたって行なった。実施例1に類似した収率が得られた。
【0051】
実施例6〜11
実施例6〜11の方法においては、以下に記述するように、反応式B−2に従って、溶媒としてのアルコール化合物(II−b−1)中で、エステル交換反応触媒の存在下に、メタクリル酸エステル(1−1)をアミン化合物(II−a−1)と反応させることによって、メタクリルアミドモノマー(III−a−1)を製造した。
【0052】
【化7】

【0053】
実施例6〜11の各々について、原料仕込み量を表I−Aに、そして結果を表I−Bに示す。
【0054】
実施例6の方法においては、温度計、気体注入口、添加ポート、磁気撹拌機、および凝縮器に連結した蒸留ヘッドが上部に取り付けられた5段の蒸留塔を装備した500mLのフラスコに、メタクリル酸メチル(オールドリッチ社)206.7gおよびフェノチアジン0.3gを仕込んだ。その混合物を、乾燥空気を非常にゆっくりパージしながら、還流するように加熱した。バッチ温度が70℃に達したときに、酸化ジブチルスズ(クロプトン社製Eurecat 9555)5.01gを加えた。加熱を続けた。バッチが101℃で沸騰し始めたときに、ジメチルエタノールアミン(バスフ社製DMEA)11.8gを素早く加えた。留出物が15分後に留出し始め、そしてバッチは不溶の触媒がなくなり透明になった。その後、35.3gのDMEAを45分間にわたって加え、そしてバッチ温度が上昇するのを許した。留出物を採取した。DMEAの添加終了後に、Tyzor TPT 0.35gを加え、バッチを103〜107℃で1時間還流を維持し、その後DMAPA 53.34gを90分間にわたって加えた。60〜65℃で留出物の採取を続け、反応温度が上昇するのを許した。添加後、バッチを120〜150℃に3時間保持した。バッチ温度は徐々に上昇した。合計57gのメタノール/メタクリル酸エステル共沸混合物が採取された。バッチ温度が−17.5インチHgで130℃に下がるまで、残りのメタクリル酸メチルを減圧蒸留した。再利用することができる留出物が合計63.5g回収された。HPLC分析は、185gの残留物が45.4%のDMAPMA、41.9%のメタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)および1.6%のメタクリル酸を含有することを示した。これは、DMAPAからDMAPMAへの収率が95%であり、そしてDMEAからDMAEMAへの収率が94%であることを示す(実施例6)。
【0055】
実施例7の方法は、エステル交換反応触媒としてオールドリッチ社製酸化ジブチルスズを用いたこと以外は、上述した実施例6に従って実行した。
【0056】
実施例8の方法は、エステル交換反応触媒として酸化ジオクチルスズ(Eurecat DOTO、クロプトン社)を用いたこと以外は、上述した実施例6の方法に従って実行した。
【0057】
実施例9の方法は、MMAの一部が前の反応から再利用したものであること以外は、上述した実施例7の方法に従って実行した。
【0058】
実施例10の方法は、系から残存するすべての量の水を取り除くために少量のヘキサンを用いたこと以外は、上述した実施例7の方法に従って実行した。少し良い収率が観察された。
【0059】
実施例11の方法は、上述した実施例6の方法に従って実行した。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
実施例12
水不溶性の有機スズ触媒および1300ppmのメタクリル酸(MMA)を含む上記の反応からのDMAPMA留出物170.0gに、25%NaOH 2gおよびフェノチアジン0.05gを混合した。その混合物を減圧蒸留した。91〜93℃、−30.3インチHgで留出物を採取したところ、105gの純粋なDMAPMA(91%の収率)が得られ、それは、HPLC分析によれば、水不溶物を含まず、MAAは検出されなかった(<10ppm)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル交換反応触媒の存在下に有機溶媒中で(メタ)アクリル酸エステルをアミノ官能性化合物と反応させることを含む、(メタ)アクリルアミドモノマーを製造する方法。
【請求項2】
有機溶媒が無極性有機溶媒であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項3】
有機溶媒が、芳香族炭化水素溶媒、直鎖脂肪族炭化水素溶媒および環状炭化水素から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
反応が(メタ)アクリル酸エステルの全仕込み量100質量部当たり約1〜約200質量部の有機溶媒の中で行なわれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
反応が(メタ)アクリル酸エステル化合物1モル当たり約0.1モル以上1.0モル未満の量のアミン化合物を使用して行なわれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
反応混合物が約0.01〜約10質量%のエステル交換反応触媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
反応式A
【化1】

(ここで、
はHまたは(C−C)アルキルであり、
は脂肪族または芳香族炭化水素基であり、
は反応条件下で実質的に不活性の有機基である。)
に従って、有機溶媒中で、エステル交換反応触媒の存在下に、構造式(I)の1種以上(メタ)アクリル酸エステルを構造式(II)の1種以上のアミノ官能性化合物と反応させて構造式(III)の(メタ)アクリルアミドモノマーを製造することを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリルアミドモノマーを製造する方法。
【請求項8】
化合物(II)が、構造式(II−a)
【化2】

(ここで、
は、2価の連結基であって、1個以上の炭素原子に置換基が付いていてもよいし、1か所以上の箇所にヘテロ原子が挿入されていてもよく、そして
およびRは、各々独立して、アルキルであるか、またはそれらに結合した窒素原子とともに連結して飽和または不飽和の複素環構造を形成していてもよく、該複素環構造は追加の環構成窒素原子を含んでもよいし、環原子の1個以上がアルキルまたは酸素で置換されていてもよい。)
のジアルキルアミノアルキルアミン化合物であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
とRが連結して飽和または不飽和の単環式複素環構造(ただし該複素環構造は追加の環構成窒素原子を含んでいてもよい。)を形成していることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
とRが連結して飽和または不飽和の単環式複素環構造(ただし該複素環構造は追加の環構成窒素原子を含んでいてもよい。)を形成し、環原子の1個以上がアルキルまたは酸素で置換されていることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
メタクリルアミドモノマー(III−1)が、反応式A−1
【化3】

に従って(メタ)アクリル酸エステル(1−1)をアミノ官能性化合物(II−1)と反応させることによって製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
(メタ)アクリルアミドモノマー(III)および1種以上の(メタ)アクリル酸エステル副生成物(V)の生成物混合物が、反応式B
【化4】

(ここで、
はHまたは(C−C)アルキルであり、
は脂肪族または芳香族炭化水素基であり、
は反応条件下で実質的に不活性の有機基であり、そして
は反応条件下で実質的に不活性の有機基である。)
に従って、(メタ)アクリル酸エステル(I)を、アミノ官能性化合物(II)およびアルコール(V)の混合物と、構造式(II)の1種以上のアミノ官能性化合物と、反応させることによって製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
アミノ化合物(II)およびアルコール(IV)が、約10℃以上異なる沸点を有する(メタ)アクリルアミドモノマー生成物(III)と(メタ)アクリル酸エステル副生成物(IV)を提供するように選択されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(メタ)アクリルアミドモノマー(III−a)と1種以上(メタ)アクリル酸エステル副生成物(V−a)の生成物混合物が、反応式B−1
【化5】

(ここで、
はHまたは(C−C)アルキルであり、
は脂肪族または芳香族炭化水素基であり、
は2価の連結基であり、ただし該連結基は1個以上の炭素原子に置換基が付いていてもよいし、1か所以上の箇所にヘテロ原子が挿入されていてもよく、
とRは、各々独立してアルキルであるか、またはそれらに結合した窒素原子とともに連結して飽和または不飽和の複素環構造を形成していてもよく、該複素環構造は追加の環構成窒素原子を含んでいてもよく、環原子の1個以上がアルキルまたは酸素で置換されていてもよく、
は2価の連結基であり、典型的には(C−C)アルキレンであり、1個以上の炭素原子に置換基が付いていてもよいし、1か所以上の箇所にヘテロ原子が挿入されていてもよく、
およびR10は、各々独立してアルキルであるか、またはそれらに結合した窒素原子とともに連結して飽和または不飽和の複素環構造を形成していてもよく、該複素環構造は追加の環構成窒素原子を含んでいてもよく、環原子の1個以上がアルキルまたは酸素が置換されていてもよい。)
に従って、(メタ)アクリル酸エステル(I)をアミノ官能性化合物(II−a)およびアルコール(IV−a)の混合物と反応させることによって製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
はHまたはメチルであり、
はメチルであり、
およびRは各々独立して(C−C)アルキレンであり、そして
、R、RおよびR10は各々独立して(C−C)アルキルである
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
がRと同じであり、そしてR10がRと同じであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
メタクリルアミドモノマー(III−a−1)およびメタクリル酸エステル副生成物の生成物混合物は、反応式B−2
【化6】

に従って、メタクリル酸エステル(I)をアミノ官能性化合物(I−a−1)およびアルコール(IV−a−1)と反応させることによって製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2010−522166(P2010−522166A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554557(P2009−554557)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/003579
【国際公開番号】WO2008/118312
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(598109291)ローディア インコーポレイティド (41)
【Fターム(参考)】