説明

(メタ)アクリルポリマーと会合基を有するコポリマーとを含む組成物

少なくとも一種の(メタ)アクリルポリマーと、この(メタ)アクリルポリマーと相容可能にする少なくとも一つのモノマー(から得られる少なくとも一つの単位(A)と、会合性の基を有する第2の単位(B)とを有する少なくとも一つのコポリマーとを含む組成物。会合性の基を有する上記コポリマーの、(メタ)アクリルポリマーの各種特性を改良するための使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリルポリマーと会合基(groups associatifs)を有するコポリマーとをベースにした新規な組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
「超分子(Supramolecular)」といわれる材料は非共有結合、例えば水素結合、イオン結合および/または疎水性結合を介して会合(associes)した化合物から成る材料である。これは特に水素結合を介して一体化可能な会合基がグラフトしたポリマーにすることができる。この材料の一つの利点はその物理的結合に可逆性があり、特に温度の影響または溶媒の選択によって物理的結合に可逆性がある点にある。従って、ポリマーの加工性および/または特性、例えば機械特性、レオロジー特性、熱特性、光学特性、化学特性、物理化学特性をこれらの会合基のグラフト化によって改良することができる。また、会合基のグラフト化によって加工が容易な低質量のポリマーに高質量のポリマーの性質を付与することができる。
【0003】
特許文献1(米国特許第US-2 980 652号明細書)には酸無水物官能基を有する一定のモノマー、無水マレイン酸または無水イタコン酸または無水シトラコン酸と少なくとも一つの不飽和エチレンモノマーとの共重合で得られるコポリマーにミダゾリドン会合基を有する単位を反応させて得られる生成物が開示されている。この生成物は金属、ガラスおよびプラスチックに優れた接着性を示すことが示されている。実施例9には無水マレイン酸とメタクリル酸メチルとのコポリマーにN- アミノエチル-2-イミダゾリドン(UDETA)を反応させた生成物が記載されている。この生成物はラッカーとして配合でき、鋼板にスプレーできる(実施例14、15)。
【0004】
特許文献2(国際特許第WO 2006/016041号公報)には高い弾性係数および耐溶剤性を有する会合基をグラフトしたポリマーが開示されている。この文献では巨大分子鎖が会合性の基を有するしている。この材料は主として2つの製造方法で作ることができる。
【0005】
その1つの方法では、反応基(例えば酸、エポキシまたは酸無水物基)を有するポリマーにイミダゾリドンをベースにした基と反応基(アミン、アルコール、等)を有する分子を会合性の基を有する分子にグラフトする。このグラフトは溶媒経路で行うか、反応性押出し段階に実行ができる。従って、この方法は反応官能基を有するポリマーにしか適用できない。
【0006】
第2の方法では重合段階中に反応基を導入する。コモノマとして会合性の基を有するメタアクリル・モノマーを使用する。この方法は上記の方法と比較して広範囲の会合性の基を有する(メタ)アクリルポリマーを選択できるが、共重合による直接改質を最適化するためには分子量と分子量分布を最適に制御し、変成後の分子鎖の会合性基の比率と分布を最適に制御する必要がある。これは多くの場合、複雑でコストがかかる作業になる。このタイプのプロセスは工業的に大規模な組織を必要とし、多くのグレードのグラフト度の異なる多くの会合基がグラフトしたポリマーを得る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第US-2 980 652号明細書
【特許文献2】国際特許第WO2006/016041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、PMMAのような(メタ)アクリルポリマーの特性を改良するために、材料の超分子の分子鎖を全くあるいはほぼ完全に変えずに、(メタ)アクリルポリマーを超分子化学で変成することに興味を持った。
【0009】
会合性基のフリーなポリマー鎖の大多数を保持したまま特性が改良された(メタ)アクリルポリマーをベースにした超分子タイプの材料の化学組成物が得られることは有利なことである。そのために、本発明者は(メタ)アクリルポリマーの加工時に重合の後にそれと相溶性のある混合物となり且つ会合性の基を有するモノマーがリッチなコポリマーと混合することで、PMMAのような(メタ)アクリルポリマーを「間接的に改造」することを考えた。そうすることで各ポリマーと高度に相溶性がある均一な混合物を得ることができ、(メタ)アクリルポリマーに会合性の基を間接的に持たせてそれに各種の特性を付与することができる。
【0010】
変成可能な(メタ)アクリルポリマーの選択は非常に広範囲で、単なるブレンディングでできる。この種のポリマーに上記の変成をしたいユーザは、所望の改質を得るために被変成ポリマーを直接反応押出したり、直接共重合する必要はなく、重合後に(メタ)アクリルポリマーと相溶性があり且つ会合性の基を有する混合物となるモノマーがリッチなコポリマー変成すべきPMMAのような(メタ)アクリルポリマー材料に単に混合するだけでよい。
【0011】
より正確には、会合性の基を有するポリマーは(メタ)アクリルポリマー、例えばPMMAに耐クリープ性、耐溶剤性を与え、必要に応じてさらに熱特性、特に高いガラス遷移温度を付与する、ということが証明されている。しかも、これらの特性は(メタ)アクリル材料の形成温度での粘弾性挙動を変えずに得ることができる。
【0012】
さらに、同様な特性を得るために、分子鎖全体を変成する方法に比べて、会合性の基の含有量を減らすことができるということも証明されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、本発明の対象は、少なくとも一つの(メタ)アクリルポリマーと、この(メタ)アクリルポリマーと相溶化可能な少なくとも一つの第1モノマーから得られる単位(A)と、会合性の基を有する少なくとも一つの第2の単位(B)とを有する含んでいる少なくとも一つのコポリマーとを含む組成物にある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ポリマーV825TおよびHT121と、PMMAと会合性の基を有するPMMAコポリマーとの混合物またはPMMAと会合性の基を有しないPMMAコポリマーとの混合物の90/10比率の2つの組成物の複合粘性を表す図。
【図2】ポリマーV825TおよびHT121と、PMMAと会合性の基を有するPMMAコポリマーとの混合物またはPMMAと会合性の基を有しないPMMAコポリマーとの混合物の90/10比率の2つの組成物の75/25比率の2つの組成物の複合粘性を表す図。
【図3】PMMAと会合性の基を有するPMMAコポリマーとの混合物またはPMMAと会合性の基を有しないPMMAコポリマーとの混合物の組成物およびポリマーV825Tの10MPa応力下の100℃でのクリープ試験の変形量を表す図。
【図4】PMMAと会合性の基を有するPMMAコポリマーとの混合物またはPMMAと会合性の基を有しないPMMAコポリマーとの混合物の組成物およびポリマーV825Tのストレス亀裂試験での規格化したストレスの変化を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「(メタ)アクリルポリマー」という用語はアクリル重合体またはメタアクリル重合体を意味する。(メタ)アクリルポリマーは特にメタクリル酸メチルをベースにしたホモポリマーまたはコポリマーにすることができ、一般に熱可塑性高分子である。(メタ)アクリルポリマーはコモノマの一つがメタクリル酸メチルであるコポリマーにすることができる。
【0016】
(メタ)アクリルポリマーの好ましい例はポリ(メチルメタクリレート)またはPMMAとそのコポリマーである。メタクリル酸メチルがメジャー成分のコポリマーもPMMAとよばれることがある。この種のポリマーはアルケマ(Arkema)社から商品名アルツグラス(Altuglas、登録商標)の名称で市販されている。本発明で使用可能な他の(メタ)アクリルポリマーとしてはポリ(アクリル酸)のホモポリマー、ポリ(メタアクリル酸)のホモポリマー、それらのエステルのホモポリマー、例えばポリ(アクリル酸ブチル)、ポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸エチル)、ポリ(ポリエチレングリコールメタクリレート)またはポリ(メトオキシポリエチレングリコールメタクリレート)、ポリ(アクリロニトリル)ホモポリマーおよびこれらのモノマーの少なくとも2つを含むコポリマーが挙げられる。
【0017】
また、本発明の(メタ)アクリルポリマーは重量(メタ)アクリルポリマーまたはコポリマーの少なくとも2つを含む混合物でもよい。上記に記載の本発明(メタ)アクリルポリマーは一般に単に(メタ)アクリルポリマーともよばれる場合がある。本発明ではPMMAまたはそのコポリマーを使用するのが好ましい。
【0018】
(メタ)アクリルポリマーは当業者に公知の懸濁重合、マイクロ懸濁重合、乳化重合または塊重合方法で重合でき、本発明組成物の総重量に対して1〜99.5重量%、好ましくは5〜99.5重量%、10〜99.5重量%、20〜99.5重量%、30〜99.5重量%、40〜99.5%、さらには50〜99重量%にすることができる。
【0019】
この(メタ)アクリルポリマーは加工後にリジッドかつ透明な最終原料となる組成にすることができ、下記で詳細に説明する一つ以上の添加剤を添加することができる。
この(メタ)アクリルポリマーが本発明組成物会合性の基を有するコポリマーと組み合わせて「コンパウンド」を形成する。
【0020】
会合性の基を有するこのコポリマーは上記コポリマーを上記(メタ)アクリルポリマーと相溶化する少なくとも一つの第1モノマー(A)の単位と、会合性の基を有する少なくとも一つの1単位(B)とを含む。モノマー(A)はコポリマーの少なくとも20モル%存在するのが好ましい。本発明の会合性の基を有するコポリマーは一般に単に「コポリマー」とよばれる。
【0021】
「相溶化できる」という用語は(メタ)アクリルポリマーとコポリマーが均一な混合物を形成することを意味する。(メタ)アクリルポリマーがコポリマーによって膨潤するか、(メタ)アクリルポリマーがコポリマーを膨潤するような混合性を示す。(メタ)アクリルポリマーとコポリマーが単一相のみを形成する。コポリマー、特にその合成で使用したモノマー(A)の種類に従って、本発明でいう(メタ)アクリルポリマーとの相容性は2つのポリマー((メタ)アクリルポリマーと会合性の基を有するコポリマー)の混合物の各種配合比で得られることができる。この相容性は混合性を物理測定することで示すことができる。
【0022】
この混合性は当業者に公知の各種分析法、例えば走査電子顕微鏡検査法(SEM)、透過型電子顕微鏡(MEB)または1ミクロン以上の特定サイズの不混和性領域の形で混合物の不均質性を測定きる原子力顕微鏡検査(AFM)で正確に測定できる。また、2つのポリマーの混合物のガラス遷移温度Tgの測定で求めることもできる。混合性は混合物が単一のTgを有することで反映される。ポリマーまたはポリマー混合物のTgの測定方法は当業者に公知であり、示差走査熱分析(DSC)、容量分析または動的機械分析(DMA)がある。光学的測定(例えば透視度)によって混合性を求めることもできる。
【0023】
PMMAのような非晶質のポリマー系の混合性を透視度測定で決定する場合には、例えば試料間の透視度の違いを裸眼で知覚できてはならない。すなわち、2〜4mmの厚さを有する混合物のシートの透視度と同じ厚さの(メタ)アクリルポリマー単独のシートの透視度との差が見えてはならない。換言すれば、混合物のサンプルと(メタ)アクリルポリマーだけサンプルとを比較したとき眼で知覚できる衰光度の差がある場合、本発明の意味での相溶ではない。当業者は公知の光学測定法で透視度(例えば透過百分比またはヘイズ百分比)を容易に定量化することができる。
【0024】
すなわち、上記意味で(メタ)アクリルポリマーと相溶でき且つ会合性の基を有する任意のコポリマーを本発明では使用できる。特に、対応するホモポリマーが(メタ)アクリルポリマーと層養成になることが分かっていか、モノマー(A)から得られる単位の存在によって(メタ)アクリルポリマーが結果として相容性になるモノマー(A)をベースにした任意のコポリマーが使用できる。
【0025】
会合性の基を有するコポリマーのモノマー(A)の選択は本発明の(メタ)アクリルポリマー組成物に依存する。
【0026】
本発明では(メタ)アクリルポリマーを分子量が非常に異なる会合性の基を有するコポリマーと混合することで、2つのタイプのポリマーの利点を組み合わせて利用することができる。
【0027】
本発明ではさらに、(メタ)アクリルポリマー(ポリマー1)と、分子量が非常に異なる会合性の基を有するコポリマー(ポリマー2)とを混合して、2つのタイプのポリマーの利点を組み合わせて利用することができる。特に、分子量がW1のポリマー1を分子量がW2のポリマー2と混合した場合(W2>W1)、得られた材料は低粘性勾配がポリマー1よりも高く、高粘性勾配がポリマー1よりわずかに低い。
【0028】
この状況は、成形時の粘性が相対的に低く、溶融耐久性(溶融強度)が高いプラスチックを得ることが要求された場合、加工性の観点から有利である。
【0029】
本発明方法を用いることで、会合性の基を有するコポリマー(ポリマー2)を比較的低含有量を使用して、衝撃強度と耐溶剤性が改良できる。
【0030】
モノマー(A)の非限定的な例としてはメタクリル酸メチル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリルまたは無水マレイン酸を挙げることができる。本発明の可逆的な物理的結合で相容性および「間接的変成」効果を得るための(メタ)アクリルポリマーとの(メタ)アクリルポリマーの種類に応じて種々の配合比で混合可能な混合を可能にする会合性の基を有するコポリマーとしては、会合性の基を有するメタクリル酸メチル・コポリマー(PMMAタイプのコポリマーとよばれる)、会合性の基を有する無水マレイン酸コポリマー、会合性の基を有するアクリロニトリル共重合体、より一般的には上記モノマーから得られる全てのポリマーを挙げることができる。
【0031】
「会合性の基(groups associatifs)」という用語は水素結合、好ましくは1〜6個の水素結合を介して互いと結合可能な基を意味する。本発明で使用可能な会合性の基の例はイミダゾリジニル、トリアゾリル、トリアジニル、ビス−ウレイルまたはウレイド−ピリミジルであり、イミダゾリジニルが好ましい。
【0032】
本発明の一実施例では、会合性の基はコポリマーの製造時に導入できる。しかし、この実施例に限定されるものではなく、会合性の基と(メタ)アクリルポリマーとの混合物を反応押出しで予め形成することもできる。
【0033】
コポリマーは、モノマー(A)と会合性の基を有するモノマー(B)と、任意成分の一種または複数の他のモノマーとの共重合で得ることができ、好ましくは下記(1)と(2)(さらには任意成分の(3))にするのが好ましい:
(1)その対応するホモポリマーが(メタ)アクリルポリマーに可溶性であることが公知であるか、モノマー(A)から得られる単位の存在で(メタ)アクリルポリマーと相溶性になるモノマーで、このモノマーはメタクリル酸メチル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸の中から以下から選択されるモノマー(A)
(2)会合性の基、好ましくはイミダゾリジニル基を有するモノマー(B)、好ましくはエチルイミダゾリドンメタクリレート(またはEIOM)およびエチルイミダゾリドン・メタ−アクリルアミドの中から選択されるモノマーモノマー(B)
(3)さらに、任意成分としての、アクリル酸またはメタアクリル酸、そのエステル、そのアミドまたはその塩、イタコン酸、そのエステル、そのアミドまたはその塩、スチレンおよびその誘導体、例えば4-スチレンスルホナートの中から選択される一種または複数の他のモノマー。
【0034】
本発明の好ましい組成物の実施例では、(メタ)アクリルポリマーはポリ(メチルメタクリレート)で、モノマー(A)から得られる単位を含むコポリマーはメタクリル酸メチルである。従って、この組成物はPMMAと会合性の基を有するPMMAとの混合物にすることができる。
【0035】
この種のコポリマーは公知の方法に従ってクロロホルムまたはテトラヒドロフランのような溶剤中での溶液ラジカル重合または分散媒体、例えば水性懸濁液またはエマルション中で製造できる。本発明で使用するコポリマーは水性懸濁液またはエマルション中でのラジカル重合で得るのが好ましい。溶液重合または水性懸濁重合の場合、モノマーの混合物に可溶なラジカル重合開始剤を使用して重合を開始できる。ラジカルを発生させる機構は種々のもの、例えば熱分解、酸化/還元反応または電磁放射線、特に紫外線照射を使用できる。開始剤の非限定的な例としてはヒドロペルオキシド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシアセタール、アゾ化合物およびこれらの組合せや、アミンおよび金属原子のような分解を促進する試薬が挙げられる。
【0036】
ヒドロペルオキシドの例としてtert-のブチル・ヒドロペルオキシド、tert-アミル・ヒドロペルオキシド、クミル・ヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ヒドロペルオキシ)−ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシドそして、パラ-メンタン・ヒドロペルオキシドが挙げられる。
【0037】
ジアルキルペルオキシドの例としては2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン(3)、(tert-ブチル)パーオキサイド、ジ(tert-アミル)パーオキサイド、1,3-ジ(tert- ブチルペルオキシイソプロピル)benzene、2,5- ジメチル(2,5-)ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン、1,1,4,4,7,7-ヘキサメチル−シクロ-4、7-ジペルオキシノナンまたは3,3,6,6,9,9-ヘキサメチル−シクロ-1,2,4,5-テトラオキサノナンが挙げられる。
【0038】
過酸化ベンゾイルの例としてはラウロイル・パーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイル・シクロヘキシルスルホニル・パーオキサイド、ジアシルペルオキシド、パーオキサイド・パーオキサイド、デカノイルまたはアセチルが挙げられる。
【0039】
ペルオキシエステルの例としてtert-ブチル・ペルオキシベンゾアート、tert-ブチル・ペルオキシアセタート、tert-ブチル・ペルオキシ-3,5,5-ヘキサノエートトリメチル、tert-アミル・ペルオキシ-3,5,5-]トリメチルする、2,5-ジメチル-2,5-ジ−(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、OO-tert-ブチル-0-イソプロピルモノ−ペルオキシカーボネート、OO-tert-ブチル0-(2-エチルヘキシル)モノ−ペルオキシカーボネート、tert-ブチルペルオキシイソブチラート、tert-ブチル・ペルオキシ-2-カプロン酸エチル、tert-アミル・ペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイル−ペルオキシ)ヘキサン、tert-ブチル・ペルオキシネオデノエート、tert-ブチルペルオキシイソノナノエート、tert-ブチルペルオキシピバレート、tert-アミル・ペルオキシピバレート、α-クミル・ペルオキシネオドカノエート、tert-アミル・ペルオキシデカノエート、tert-ブチル-3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルブチルペルオキシネオドカノエートおよびtert-ブチル・ペルオキシ-マレアート、
が挙げられる。
【0040】
ペルオキシジカーボネートの例としてはジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ(n-プロピル)ペルオキシジカーボネートまたはジ(4-(tert-ブチル)シクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートが挙げられる。
【0041】
ペルオキシアセタールの例としては1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、エチル3,3-ジ(tert-ブチルペルオキシ) ブチレート、エチル3,3−ジ(tert-アミル−ペルオキシ)ブチレート、n-ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)−バレレート、2,2- ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ジ(tert-アミルペルオキシ)シクロヘキサンまたは2,2- ビス[4,4-ジ(tert-ブチル−ペルオキシ)シクロヘキシル]プロパンが挙げられる。
【0042】
アゾ化合物の例としては2,2'-アゾビスイソブチロニトリルまたは2-[(E)-(1- シアノ-l-メチルエチル)ジアゼニル]-2-メチルプロパンニトリル、2-[(E)-(1-シアノ-l-メチルプロピル)ジアゼニル-2-メチルブタンニトリルまたはアゾビスメチルブチロニトリル、アゾビイソブチルアミド、ジメチルアゾビスジイソブチラート、ジエチルアゾビスイソブチレートまたはシアノ吉草酸または4-[(E)-(3- カルボキシ-l-シアノ-1-メチルプロピル)ジアゼニル-4-シアノペンタン酸が挙げられる。
【0043】
また、重合を制御されたラジカル重合の開始剤/制御剤、例えばアルコキシアミン、特にアルケマ(Arkema)社からブロックビルダー(BlocBuilder)の名称で市販の下記式の2-メチル-2-[N-(tert-ブチル)-N-(1-ジエトキシ−ホスホリル-2,2-ジメチルプロピル)アミノオキシ]プロピオン酸またはその金属塩、有機塩で開始することもできる:
【0044】

【0045】
この開始剤はモノマーの総重量に対して0.05〜10重量%の比率で使用できる。
【0046】
有機溶液重合または水性懸濁重合またはエマルション重合の場合には、重合開始剤に加えて、モノマー中に他の添加剤を添加することができる。添加剤としては分子量を減らす連鎖移動剤が挙げられる。この連鎖移動剤の例としてはルキル・メルカプタン、例えばメタンチオール、エチルメルカプタン、n-プロピル・メルカプタン、イソプロピル・メルカプタン、n-ブチルメルカプタン、tert-ブチルメルカプタン、シクロヘキシル・メルカプタン、ベンジルメルカプタン、n-オクチル・メルカプタン、tert-ノニル・メルカプタン、n-ドデシルメルカプタンまたはtert-ドデシルメルカプタンまたはアルキル・チオグリコレート、例えばメチル・チオグリコレート、エチル・チオグリコレート、2-エチル−ヘキシル・チオグリコレートまたはチオグリコール酸イソオクチルが挙げられる。連鎖移動剤はモノマーの総重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.5〜2重量%使用できる。
【0047】
有機溶液重合または分散媒体中での重合、例えば水性懸濁重合または乳化重合の場合には、モノマー中に他の添加剤、例えば抗酸化剤、例えばブチルオキシトルエンBHT、重合開始剤、生物致死剤または活性化剤等を添加できる。
溶かすことは、また、可能である。これらの添加剤はモノマーの総重量に対して0.01〜5重量%の比率で使用できる。
【0048】
水性懸濁重合の場合、モノマーの混合物は開始剤と任意成分のその他の添加剤を含むことができる。この添加剤は重合中に懸濁液の安定性を促進する懸垂剤を含む連続水相中に溶かすことができる。使用可能な懸垂剤の非限定的な例としては無機微粉末、例えばタルクまたはカルシウムリン酸塩、保護コロイドとして知られたポリマー懸垂剤、例えば部分的にまたは完全に加水分解されたポリビニールアルコール、スチレンと(メタ)アクリル酸と任意成分の第3モノマー、例えばα−メチルスチレンとのコポリマー、ソルビタンのエトキシエステルのようなある種の界面活性剤、水溶性高分子濃化剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、(メタ)アクリル酸またはその塩をベースにしたポリマーおよびコポリマー、(メタ)アクリルアミドとその誘導体をベースにしたポリマーおよびコポリマーが挙げられる。この懸垂剤はモノマーから成る分散相の総重量に対して0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の比率で配合できる。懸垂剤と一緒に他の添加剤を水相に添加できる。添加剤としては塩、例えば媒体のイオン強度を調節するが硫酸ナトリウムまたは硫安(「エキステンダ」として公知)またはpH調節剤、例えば重炭酸ナトリウムが挙げられる。これらは連続水相の総重量に対して0.05〜5重量%の比率で配合できる。
【0049】
水性乳化重合の場合には水溶性のラジカル重合開始剤を使用する。ラジカルを発生させる機構は種々のもの、例えば熱分解、酸化/還元反応または電磁放射線特に紫外線分解を使用できる。水溶性開始剤の非限定的な例としてはヒドロペルオキシド、例えばtert-ブチル・ヒドロペルオキシド、水溶性アゾ化合物、例えば2,2'-アゾビス(2-アミノジプロパン)二塩化水素、4,4'-アゾビス(4- シアノバレイック酸)の有機または無機塩、無機酸化剤、例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムまたはアンモニウムペルオキソ硫酸塩、過酸化水素水溶液、過塩素酸塩、パーカボネートまたは第二鉄塩が挙げられる。これらの酸化剤は単独または無機または有機の還元剤、例えば亜硫酸水素ナトリウム、異性重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウムまたはメタ重亜硫酸カリウム(ビタミンC)または次亜リン酸ナトリウムまたは次亜リン酸カリウムと一緒に使用できる。有機または無機の還元剤は無機酸化剤なしで単独で使用ができる、単独で使用できる。乳化重合の場合、水相に可溶なこれらの開始剤はモノマー総重量に対して0.01〜10重量%の配合比率で使用できる。
【0050】
水性乳化重合の場合、得られる最終のラテックスを安定させるために、出発材料のエマルションに界面活性剤または安定剤を使用できる。下記の3つの界面活性剤または安定剤の群の中から選択できる:
(1)静電反発力で安定効果を出す正負の電荷を有する両性分子から成る天然または合成由来の界面活性または水相で両性イオンを形成する(両親媒性の)分子。その非限定的な例としてはアルキル硫酸またはアルキルスルホネートのナトリウムまたはカリウム塩、特にドデシル硫酸ナトリウム、アルキルアリール硫酸エステルまたはアルキルアリールスルホネートナトリウムまたはカリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、カリウム、脂肪酸のアンモニウム塩、特にステアリン酸ナトリウム、アルキル化およびジスルホネート化したジフェニルオキサイド、特に、Dowfax(登録商標)で市販の界面活性剤、例えばDowfax 2A1、スルホスシネート、特に、Aerosol(登録商標)で市販の界面活性剤、例えばAerosol MA 80(これはスルホスシネートジヘキシルのナトリウム塩)またはAerosol OT-75(これはスルホコハク酸ジオクチルナトリウム)、リン酸エステル、脂肪アミン、ポリアミンおよびこれらの四価のアンモニウム塩、例えばアルキルトリメチルアンモニウムクロライドまたはアンモニウムブロマイド、ベタイン、例えばN-アルキル・ベタインまたはスルホベタイン、イミダゾリンカルボキシレートおよびこれら価の全ての組合せを挙げることができる。
(2)立体的反発による分散効果と安定化効果を有する電荷を持たない非イオン性の界面活性分子、その非限定的な例としてはエトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化脂肪アルコール、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド・ブロック共重合体、例えばプルロニックス(Pluronics)、脂肪酸エステルまたはアルキルポリグルコキシドを挙げることができる。
(3)電荷を有するまたは有しない両親媒性または完全に親水性のポリマー分子、その非限定的な例としては天然または合成起源の水溶性高分子、例えば(メタ)アクリル酸のポリマーおよびコポリマー、その塩、アクリルアミドおよびその誘導体、ビニールアルコールのポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニールをベースにしたポリマー、ヒドロキシエチルセルロースおよび疎水性変成されたヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルカプロラクタムまたはポリビニルピロリドンを挙げることができる。
【0051】
乳化重合で使用されるこれらの分散剤または安定剤はモノマー総重量に対して0.1〜10重量%の比率で使用できる。界面活性剤または安定剤または分散剤無しに乳化重合を実行することもできる。この場合には、ポリマーの最終比率は、最終固体含有率または最終乾燥分で(すなわち揮発分、特に水を蒸発させた後)、乳化重合で得られるゴム乳液粒子の総重量の20重量%以下である。
【0052】
本発明の会合性の基を有すコポリマーの合成で使用可能な溶液重合法および水性懸濁重合または乳化重合法は大気圧または加圧下で重合温度で5〜180℃で実行できる。このコポリマーは水性懸濁重合または乳化重合で大気圧および50〜95℃の重合温度で得るのが好ましい。水性懸濁重合または水性乳化重合後のポリマーの最終濃度、溶液重合の場合の他の不揮発性成分の濃度は、最終乾燥重量または最終固形分で表して、溶液、懸濁液またはエマルション(ラテックス)の総重量に対して1〜75重量%、好ましくは15〜50重量%である。
【0053】
コポリマーの合成は連続法または非連続(バッチ)で行うことができ、また、半連続法すなわちモノマーと一緒に成分を添加しながら行うか、水性乳剤重合のようにプレエマルジョンの形にするか、分散剤または安定剤のように開始剤、その他の添加剤を添加しながら行うことができる。
【0054】
一般に、本発明の会合性の基を有するコポリマーを得るのに用いる水性乳化重合または水性懸濁重合は当業者に周知であり、例えば下記文献の第7章に記載されている:
【非特許文献1】Elaboration, Proprittes, Applications [Synthetic Latexes: Preparation, Properties and Applications], edited by C. Pichot and J.C. Daniel (Editions TEC&DOC of Lavoisier, France, 2006)。
【0055】
本発明の他の実施例では、上記コポリマーが、モノマー(A)に加えて、酸、酸無水物、アルコール、メルカプタン、アミン、エポキシまたはイソシアネート官能基、好ましくは酸無水物官能基のような少なくとも一種の反応性官能基を有するモノマー(B')を有する予め作ったコポリマーに会合性の基をグラフトすることによって得られる。この予め作ったコポリマーは会合性の基とアミン、メルカプタン、エポキシ、イソシアネート、酸無水物またはアルコール基、好ましくはアミン基の中から選択される反応基とを有する一種以上の変性剤の反応によって得られる。反応性官能基は反応基と共有結合を形成できる。
【0056】
この実施例では、上記反応性官能基を有するコポリマーは例えば数平均分子量が例えば1000〜10000 000 g/モル、好ましくは5000〜100000 g/モルの酸無水物官能基を有するアルキル(メタ)アクリレートのホモまたはコポリマーにすることができる。このコポリマーはアルキル(メタ)アクリレート、特にメチル(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸、例えば(メタ)アクリル酸単位を例えば15モル%含むアルケマ(Arkema)社のアルツグラス(Altuglas、登録商標)HT 121とのコポリマーから押出機で実行可能な塩基触媒条件下での環化で得られる。好ましい塩基性触媒は水酸化ナトリウムおよびナトリウムメトキシド(CH3ONa)を含む。環化は出発コポリマーと触媒および任意成分の他の添加剤、例えば滑剤、抗酸化剤、着色剤または光沢を出し黄変を減らす光特性改良剤と一緒に単軸または2軸押出機で200〜300℃、好ましくは250℃の押出温度で行うことができる。所望のレベルの環化(無水グリシジル酸の形成)を得るために一回以上の押出しを繰り返すことができる。得られる酸無水物官能基の比率を調整するために環化の程度を制御できる。環化度は例えば0.1〜20モル%の範囲にすることができる。
【0057】
変性剤の反応基および会合性の基は1〜30個の炭素原子を有するリジッドまたは可撓性の分子鎖によって分離できる。上記は分子鎖の少なくともいくつかは置換されていてもよく、必要に応じて一つ以上のヘテロ原子、特に硫黄、酸素および窒素の中から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、必要に応じて一つ以上のエステルまたはアミド結合を有するしていてもよい。好ましいのは直鎖または分岐したC1〜C10アルキレン鎖、好ましくは、直鎖C1〜C5アルキレン鎖で、これは必要に応じて一つ以上の窒素原子で分離されていてもよい。
【0058】
好ましい変性剤の例は1-(2- アミノエチル)イミダゾリジン-2-オン(UDETA)、1-(2-[(2-アミノエチル)アミノ]エチル)イミダゾリドン(UTETA)1-(2-{2-[(2- アミノエチルアミノ)]エチルアミノ}thyl )イミダゾリドン(UTEPA)、3- アミノ-lH-1,2,4-トリアゾール(3−ATA)および4-アミノ(1H-1,2,4-)トリアゾール(4−ATA)である。本発明ではUDETAが好ましく用いられる。
【0059】
イミダゾリドン官能基を有するアミン自体はウレアと、アルキレンアミンおよびアミンの中から選択される少なくとも一種の化合物との反応で得られる。すなわち、UDETAはジエチレントリアミン(DETA)とウレアとを反応させて作ることができる。
【0060】
本発明のこの実施例におけるコポリマーが有する会合性の基の数は、変性剤の量または反応時間および反応温度を変えることによって簡単に調整できる。一般に、変性剤の量は反応性官能基を有するコポリマーの重量に対して0.5〜15重量%、好ましくは1〜5重量%であり、および/または、コポリマー鎖当たりの会合性の基の平均数は1〜200の間、好ましくは1〜30の間である。
【0061】
グラフト化は変性剤と反応性官能基を有するコポリマーとを反応させて実行できる。この段階は溶融状態で例えば押出機またはインターナルミキサで150〜300度、好ましくは200〜280度の範囲の温度で実行できる。変性剤をポリマーと混合するか、予備溶融した変性剤で固形ポリマーを含浸させる添加剤を使用することができる。押出機またはミクサーへ導入する前に固形で混合することで冷却したときに変性剤がより均一に固化させることができる。これをグラフトされるポリマーが溶融し始めた後に押出機またはミクサーに導入することもできる。グラフト温度での時間は数秒から5分である。変性剤をグラフトされるポリマーであるポリマー中へマスターバッチの形で押出機へ導入することもできる。この導入方法では、マスターバッチは変性剤を30重量%以下含むことができる。マスターバッチはその後、グラフト時に被グラフトポリマーに「希釈」される。他の可能性としては、グラフトを液相、例えば無水クロロホルム中の反応で実行することもできる。この場合の反応温度は5〜75度で、反応時間は数分から一日の範囲で、グラフト前のポリマー濃度は溶液の総重量に対して1〜50重量%である。
【0062】
上記の実施例のいずれかで得られる会合性の基を有するコポリマーは顆粒の形または粉末の形にすることができる。これを上記(メタ)アクリルポリマーと任意の手段、特、カレンダー加工、押出し成形、溶融混合、加圧成形、射出成形、溶剤への溶解とその後の溶剤分離によって混合できる。
【0063】
会合性の基を有するコポリマー比率は混合物の重さの0.1〜75重量%で、表す、例えばPMMAの場合は1〜40重量%である。
【0064】
このコポリマーはそれを加える(メタ)アクリルポリマーの機械特性および耐薬品性を改良することができる。
【0065】
従って、本発明の他の対象は、(メタ)アクリルポリマーの下記の特性:クリープ強度、特に25℃以上でのクリープ強度、ガラス遷移温度(Tg)、ビカット軟化点、鋼またはアルミニウムでできた表面のような金属表面への接着力、破断伸び、特に25℃以上での破断伸び、溶融強度または溶融伸び粘性、耐薬品性、加工性、表面硬度、耐引掻き抵抗性、熱安定性またはストレス亀裂試験での抵抗性の一つまたは複数を変成するための、会合性の基を有するコポリマーの使用にある
【0066】
「ストレス亀裂」という用語は原料が機械的ストレスを受けない時にはほとんど知覚できない程度に物質に作用する耐薬品性の現象を記載するのに用いられる。しかし、物質か材料に接触すると細かなひび割れが生じる。従って、材料にストレスが加わるとひび割れが伝搬し、材料が脆化し、破断する。
【0067】
本発明の会合性の基を有するコポリマーの他に、本発明組成物は下記のような各種の添加剤を含むことができる:
(1)滑剤、例えばステアリン酸、パルミチン酸またはステアリルアルコール、
(2)着色剤、
(3)無機または有機顔料、例えば下記文献に記載のもの、
【非特許文献2】J. Edenbaum、Ed.、Van Nostrand、Plastic Additives and Modifiers Handbook、VIII、Colorants, pp884-954
【0068】
使用可能な顔料の例としてはカーボンブラック、酸化チタン(IV)、クレー、メタル粒子またはメルクからるIriodin(登録商標)の名称で市販の処理済みマイカ粒子が挙げられる。
(4)熱安定剤、例えばtert-ドデシルジスルフィド(DtDDS)、イルガノックス(Irganox)1076またはティヌバン(Tinuvin)P、
(5)紫外線安定剤、例えば下記文献に記載のもの、
【非特許文献3】Plastics Additives and Modifiers Handbook, Chap. 16, Environmental Protective Agents", J. Edenbaum, Ed., Van Nostrand, pages 208-271。
【0069】
紫外線安定剤はHALS、トリアジン、ベンゾトリアゾール誘導体またはベンゾフェノン誘導体のファミリーの化合物であるのが好ましい。より良い耐紫外線効果をえるために複数の紫外線安定剤を組み合わせて用いることができる。
(6)共安定剤、
(7)抗酸化剤、例えばヒンダードフェノール、例えばチバ(Ciba)社のIrganox 1010および1098、亜リン酸エステルおよびHALS、
(8)充填剤または強化材、特にセルロース充填材、タルク、炭酸カルシウム、マイカまたはウォラストナイト、ガラスまたは金属酸化物または水化物、
(9)帯電防止剤、例えばアミン誘導体およびリン酸エステル、
(10)殺菌剤および生物致死剤、
(11)耐衝撃剤、例えばアルケマ(Arkema)社から市販のMBSコポリマーのクリアストレングス(Clearstrength、登録商標)、コアシェルタイプのアクリル耐衝撃剤、例えばアルケマ(Arkema)社から市販のデュラストレングス(Durastrength)、国際特許第WO06/053984に記載さのもの、
(12)難燃剤、例えば三酸化アンチモン、硼酸亜鉛、硼素化または塩素化リン酸エステル、欧州特許第EP 1 777 257号公報に記載のもの、
(13)マット化剤、例えば無機充填剤、例えばタルク、炭酸カルシウム、酸化チタンまたは亜鉛酸化物または無機または有機酸化物、例えばスチレンおよび/またはMMAベースの架橋ビーズ(このビーズの例は欧州特許第EP 1 174 465号公報に記載)、
(14)溶剤、および
(15)これらの混合物。
【0070】
これらの添加剤は組成物の総重量の例えば0.1〜50重量%にすることができる。
本発明組成物は固体の形の他に、懸濁液、乳化剤または溶液の形にすることができる。
【0071】
本発明組成物は自動車工業で使用される部品、例えば信号灯または計器盤、建設および土木工業の例えば窓、窓枠、装飾分野、例えば家具または宝石類、衛生学/健康分野、例えばバスタブ、手洗器、家庭電気器具、例えば電子レンジのドアまたはミキサーボウル、オフィス・オートメーションおよびエレクトロニクス、例えば携帯電話、ディスプレイおよび光ディスク(DVD、CD-ROM等)、照明分野、例えばボールおよび拡散板、看板およびディスプレイ、化粧品瓶の製造分野で使用できる。
従って、本発明の他の対象は上記の使用にある。
【0072】
本発明組成物はカレンダー加工、押出成形、押出ブロー成形、押出射出成形、回転成形、熱成形等で成形できる。
以下、本発明をより良く理解するために添付図面を参照して実施例を説明する。しかし、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0073】
実施例1
会合性基のグラフトによる本発明のコポリマーの製造
メタクリル酸メチル、メタアクリル酸および無水グルタル酸のコポリマーにイミダゾリジニル会合性の基とアミン反応基と有する変性剤(UDETA)をグラフトした。このコポリマー自体はメタクリル酸メチルとメタアクリル酸のコポリマーの部分環化で得た。この環化反応は塩基性触媒(例えば水酸化ナトリウム)を用いた押出機での溶融またはその他任意のミクサーで実行できる。この反応は乾燥器中で高真空下でも実行できる。無水グルタル酸官能基を有するコポリマーへのグラフト反応は押出機または任意混合機中で溶融状態で実行でき、または、クロロホルムのような適当な溶剤溶液中で実行できる。
【0074】
より正確にはアルケマ(Arkema)社からアルツグラス(Altuglas、登録商標) HT121の名称で市販のメタクリル酸メチルとタアクリル酸とのコポリマー(メタアクリル酸コモノマーはコポリマーの約5重量%)を235℃の乾燥器中に減圧下に24時間置いて部分的に環化した。出発コポリマーの酸基は隣接する酸基(水から)あるいは隣接すメチルエステル基(メタノールから)との反応によって90%以上環化する。得られた環化したコポリマーを容量が15gの再循環路を備えたDSM二軸マイクロ押出機を用いて UDETAと混合することでUDETAをグラフトした。スクリュー回転速度は毎分200回転数にセットし、温度は230℃にした。窒素でフラッシングして原料の分解を防いだ。コポリマー/UDETAの組合せに対してUDETAは4.5重量%配合した。マイクロ押出機中でのポリマー−UDETA混合物の滞留時間は5分にセットした。変成したポリマーを以下「HT121g」と言う。
【0075】
実施例2
本発明組成物の製造
実施例1で得られたサンプルHT121gおよび製品HT121の各々を同じPMMA(アルケマ(Arkema)社からアルツグラス(Altuglas、登録商標)V825Tの名称で市販)にそれぞれ10重量%および20重量%の配合量で混合した。混合は実施例1と同じマイクロ押出機で230℃の温度で、窒素フラッシュ下に5分間行った。撹拌速度は毎分200回転に合わせた。得られた4つの組成物を[表1]にまとめて示す。
【0076】
【表1】

【0077】
この表にはTA InstrumentsのDSC Q1000を使用してT4モードで求めた10℃/分で測定したDSCによっ混合物のTg値も示してある。各混合物で1つのTgが識別できる。V825T、HT121およびHT121gのTg値は同じ条件下でそれぞれ114.5℃、122℃および122℃である。混合物のTgは特有な値で、混合物を構成する2つの原料のTg値の間にあり、これは混合物が高度に可溶化していることを示している。
【0078】
実施例3
レオージー測定
組成物1、2、glおよびg2およびリマーV825TおよびHT121のレオージーを160℃で測定した。Rheometric Scientific社のレオメータARES(直径25mmの平行板を備えている)を使用した。実験化に気泡が生じるのを防ぐためにテスト前に各サンプルを105℃で16時間、減圧下で乾燥した。走査周波数は100〜0.01ラド/秒の間にした。直線領域に残すために変形は十分に小さくした。[図1]および[図2]は調べた6つの製品の複合粘性モジュラスを示す。
会合性の基を有するPMMAコポリマーを添加することでV825Tに比べて粘性が増加しないことが分かる。従って、組成glおよびg2との相溶性がきわめて良い。
【0079】
実施例4
クリープ試験
組成物1、2、glおよびg2とポリマーV825Tで100℃クリープ試験を行った。
4A プロトコール
このテストでは被測定試材上に一定の押込み応力を加え、変形の時間変化を測定する。応力が同じ場合、材料のクリープ強度が大きい程、変形の時間変化は小さい。サンプルはDACAマイクロ射出成形機を使用して12バールの保持圧力で成形した引張試験片の中央の部分から採った。射出シリンダーおよび金型の温度はそれぞれ285℃および110℃にセットした。サンプルは長さ25mm、幅4mm、厚さ1.5mmの平行六面体である。テストは曲げビームを備えたTA Instruments社のDMA 2980を使用して実行した。温度は100℃にセットした。サンプルを乾燥器中に5分間入れて温度を平衡化し、10MPaの応力を3時間加えた。サンプルに生じた変形を経時測定した。
【0080】
4B 結果
[図3]に示すように、本発明の会合性の基を有するコポリマーを含む組成物glおよびg2は、PMMA V825T単独よりも優れたクリープ強度を示す。組成物1および2のクリープ曲線はこの効果はHT121によるものでないことを証明している。グラフトされてない後者ポリマーHT121はクリープ強度が劣化する。
【0081】
実施例5
ストレス亀裂試験
組成物1、2、gl、g2およびポリマーV825Tに対して室温でストレス亀裂試験を行った。
5A プロトコール
このストレス亀裂試験では溶剤の作用とストレスとを組み合わせた。すなわち、このポリマー原料で多く観測される欠陥の大部分は原料の使用時にストレスと溶媒の2つの作用が加わって生じることが多いので、このテストは重要である。より正確には、このテストは溶剤の存在下でした試料の三点に一定の曲げ歪を押圧して行う。サンプルが破断するか、外観にひび割れが生じるまでの時間を測定する。テスト中のストレスの変化も記録する。サンプルの劣化は、これらの破断/亀裂現象およびテスト中のストレスの下降速度によって表される。耐薬品性時間がより長いか、テスト時に耐応力安定性がより大きいものが耐久性のある製品である。各サンプルは実施例4と同じ手順で調製した。テストは実験室用に設計された装置:垂直方向の力を感知するセンサーを備えた変形レオメータARESを使用して実行した。3つの曲げ点を有し、2つの点の先端間のサンプル長さは24.25mmである。レオメータの変形量を制御して変形量を1.6%にセットした。ストレスはレオメータに記録された垂直方向の力から計算した。押出し注射器に取付けたシリンジのプラスチックパイプからサンプル表面上に溶剤を塗布した。所定変形量に達した時に1滴の溶剤(水およびエタノールの等量混合物)をサンプル上に塗布した。蒸発のために減る量を補正するために溶滴を2分毎に塗布した。コンピュータに接続したカメラでサンプルの外表面上の変化を時間的に記録した。
【0082】
5B 結果
[図4]に示すように、HT121g1との混合物はトレスの緩和が低く、この同じ組成物ではクラック数は製品V825Tよりも少ないことが観測される。組成物 glはV825Tおよび組成物1よりも優れた応力割れ抵抗性を示し、組成物g2は825Tおよび組成物2よりも優れた抵抗性を示すことが分かる。従って、本発明による会合性の基を有するコポリマーを含む組成物はPMMA V825T単独よりもより良い溶剤−ストレス複合作用に対する抵抗性を示す。組成物1および2のクリープ曲線はこの効果がHT121に依存しないことを証明している。これに対して、後者のグラフトされてないポリマーは応力割れ抵抗性が変化することを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種の(メタ)アクリルポリマーと、この(メタ)アクリルポリマーと相容可能にする少なくとも一つのモノマー(から得られる少なくとも一つの単位(A)と、会合性の基を有する第2の単位(B)とを有する少なくとも一つのコポリマーとを含む組成物。
【請求項2】
(メタ)アクリルポリマーがポリ(メチル)メタクリレートまたはコモノマの一つがメタクリル酸メチルであるコポリマーの中から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物の総重量に対して(メタ)アクリルポリマーの比率が10〜99.5重量%である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物の総重量に対して(メタ)アクリルポリマーの比率が50〜99%重量%である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
モノマー(A)比率がコポリマーの少なくとも20モル%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
会合性の基をイミダゾリジニル、トリアゾリル、トリアジニル、ビス-ウレイルおよびウレイド-ピリミジル基の中から選択し、好ましくはイミダゾリジニルにする請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
請求項1のいかなる一つに記載もの組成
【請求項7】
前記モノマー(A)が対応するホモポリマーが(メタ)アクリルポリマーに可溶性であることが公知であるか、モノマー(A)から得られる単位の存在で(メタ)アクリルポリマーと相溶性になるモノマーで、このモノマーはメタクリル酸メチル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸の中から以下から選択される請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
コポリマーが、会合性の基と、アミン、メルカプタン、エポキシ、イソシアネート、酸無水物またはアルコール基、好ましくはアミン基の中から選択される反応基を有する少なくとも一つの反応性官能基とを有する一種または複数の変性剤の反応によって上記モノマー(A)に加えて、少なくとも一つの反応性官能基、例えば酸、酸無水物、アルコール、メルカプタン、アミン、エポキシまたはイソシアネート官能基、好ましくは酸無水物官能基を有するモノマー(B')を加えて予め形成したコポリマーに、会合性の基をグラフトすることによって得られ、上記反応基は上記反応性官能基と共有結合を形成する請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
上記コポリマーが触媒条件下でアルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸とのコポリマーの環化によって得られるモノマー(B')を含む請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
コポリマーが下記(A)と(B)の重合によって得られる請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物:
モノマー(A):メタクリル酸メチル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸ブチル、2-エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メトキシポリエチレングリコール・メタクリレート、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸の中から選択される(メタ)アクリルモノマー、
モノマー(B):、会合性の基を有し、好ましくはイミダゾリジニル基、エチルイミダゾリドンメタクリレートおよびエチルイミダゾリドンメタクリルアミドの中から選択されるモノマー、
(任意成分として、アクリル酸またはメタアクリル酸、これらのエステル、アミドまたは塩、イタコン酸およびそのエステル、アミドまたは塩およびスチレンとその誘導体の中から選択される一種または複数の他のモノマーをさらに含むことができる)
【請求項11】
(メタ)アクリルポリマーがポリ(メチルメタクリレート)で、モノマー(A)から得られる単位を含むコポリマーがメタクリル酸メチルである請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の会合性の基を有するコポリマーの、(メタ)アクリルポリマーの下記の特性:クリープ強度、特に25℃以上でのクリープ強度、ガラス遷移温度(Tg)、ビカット軟化点、鋼またはアルミニウムでできた表面のような金属表面への接着力、破断伸び、特に25℃以上での破断伸び、溶融強度または溶融伸び粘性、耐薬品性、加工性、表面硬度、耐引掻き抵抗性、熱安定性またはストレス亀裂試験での抵抗性の一つまたは複数を変成するための使用。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物の、自動車の信号灯または計器盤のような部品または車内部品、窓または窓機構のような建設および建物工業、家具または宝石類のような装飾分野、バスタブ、手洗器またはトイレのような衛生学/健康分野、電子レンジのドアまたはミクサーボウルのような家庭電気器具、携帯電話のディスプレーおよび光ディスク(DVD、CD-ROM等)のようなオフィス・オートメーションおよびエレクトロニクス、電球およびディフューザのような照明分野、看板およびディスプレーのような表示分野、化粧品分野の瓶の製造での使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−524454(P2011−524454A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514093(P2011−514093)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051113
【国際公開番号】WO2009/153506
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【出願人】(510332431)
【Fターム(参考)】