説明

(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造する方法

本発明は、乾燥メルカプト化試薬と(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランとの反応によって、(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造する方法に関する。
【0002】
EP1285926から、一般式(RO)Si−R−YのシランとアルキルポリエーテルアルコールROHとの反応によって、式(RO)(RO)Si−R−Y及び(RO)(RO)Si−R−Yの有機珪素化合物を製造することが公知である。
【0003】
JP62−181346から、(メルカプトオルガニル)アルコキシシランからアルキルポリエーテルアルコールとのエステル交換によって、(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造することが公知である。
【0004】
更にEP1529782又はEP1538152から、(メルカプトオルガニル)−アルコキシシランの製造法が公知であり、この場合には、アルカリ金属硫化物又はアルカリ金属硫化水素塩(Alkalimetallhydrogensulfid)を、アルコール中で空気遮断下に(ハロゲンオルガニル)アルコキシシラン及び(ハロゲンオルガニル)−ハロゲンシランからの混合物と反応させている。
【0005】
JP3091993、JP2005−047846、JP2004−099483及びUS5840952から、式Y−(CH−Si(R(OR3−nのハロゲンプロピルシランとアルカリ金属硫化水素塩との反応による、式 HS−(CH−Si(R(OR3−nのメルカプトプロピルシランの製造法が公知である。
【0006】
DE102005032658.7から、メルカプトプロシランの製造法が公知であり、この場合には、一般式 (R11)((R11)(R10)Si−R−S−Rのシランを、アルコキシル化されたアルコールR−Hと接触反応させてR−OHを離脱させ、この反応混合物からR−OHを分離除去している。
【0007】
DE102005052233から、(ハロゲンオルガニル)アルコキシシランと水含有硫化反応試薬との反応による、一般式[R(R’O)Si−R"−]のオルガノシランの製造法が公知である。
【0008】
これら公知方法の欠点は、長い反応時間及び低い変換率もしくは良好な選択率での低い空時収率である。
【0009】
本発明の課題は、(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランの製造法を、出発物質の反応の際に、高い変換率での短い反応時間もしくは良好な選択率での高い空時収率を可能とすることである。
【0010】
本発明の目的は、(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランの製造法であり、この方法は、3質量%より低い水含有率を有する乾燥メルカプト化試薬を(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランと反応させることを特徴としている。
【0011】
この反応は、空気遮断下に実施することができる。この反応は、密封容器中で実施することができる。
【0012】
この反応は、溶剤中又は溶剤不含で実施することができる。
【0013】
(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランは、一般式Iの化合物でありうる:
(X)(X’)(X")Si−R−SH I
式中で、Xは、アルキルポリエーテル基 O−((CRII−O−)Alk、
有利にはO−(CH−CH−O−)Alk又はO−(CH(CH)−CH−O−)Alkであり、ここで、
v=1〜40、好ましくは2〜30、特別好ましくは3〜25、全く特別好ましくは4〜20、極めて好ましくは6〜16、
w=1〜40、好ましくは2〜30、特別好ましくは2〜20、全く特別好ましくは3〜10、
u=1〜40、好ましくは2〜30、特別好ましくは3〜25、全く特別好ましくは4〜20、極めて好ましくは6〜16、
r=1〜40、好ましくは2〜30、特別好ましくは3〜25、全く特別好ましくは4〜20、極めて好ましくは6〜16、
IIは相互に無関係に、H、フェニル−又はアルキル基、有利にはC〜C11−アルキル基、特別好ましくはCH−又はCH−CH−基であり、
Alkは、分枝又は非分枝の、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、脂肪族、芳香族又は混合脂肪族/芳香族の1価のC〜C35−、好ましくはC〜C25−、特別好ましくはC〜C20−、全く特別好ましくはC〜C18−、極めて好ましくはC11〜C18炭化水素基であり、
X’は、分枝又は非分枝のアルキル、好ましくはC〜C18アルキル、特別好ましくはCH、CH−CH、CH(CH)−CH、CH−CH−CH又はC〜C18−アルキル、
分枝又は非分枝のアルコキシ、好ましくはC〜C18アルコキシ−、特別好ましくは −OCH、−OCH−CH、−OCH(CH)−CH、−OCH−CH−CH、−OC1225、−OC1327、−OC1429又はC15〜C18アルコキシ、
分枝又は非分枝のC〜C25アルケニルオキシ−、有利にはC〜C20アルケニルオキシ、特別好ましくはC〜C18アルケニルオキシ、
〜C35アリールオキシ−、有利にはC〜C30アリールオキシ、特別好ましくはフェニルオキシ(−OC)又はC〜C18アリールオキシ、
分枝又は非分枝のC〜C35アルキルアリールオキシ基、有利にはC〜C30アルキルアリールオキシ基、特別好ましくはベンジルオキシ−、(−O−CH−C)又は−O−CH−CH−C
分枝又は非分枝のC〜C35アラルキルオキシ基、有利にはC〜C25アラルキルオキシ基、特別好ましくはトリルオキシ(−O−C−CH)又はC〜C18アラルキルオキシ基又はXであり、
X"は、分枝又は非分枝のアルキル、好ましくはC〜C18アルキル、特別好ましくはCH、CH−CH、CH(CH)−CH、CH−CH−CH又はC〜C18−アルキル、
分枝又は非分枝のアルコキシ、好ましくはC〜C18アルコキシ−、特別好ましくは−OCH、−OCH−CH、−OCH(CH)−CH、−OCH−CH−CH、−OC1225、−OC1327、−OC1429又はC15〜C18アルコキシ、
分枝又は非分枝のC〜C25アルケニルオキシ−、有利にはC〜C20アルケニルオキシ、特別好ましくはC〜C18アルケニルオキシ、
〜C35アリールオキシ−、有利にはC〜C30アリールオキシ、特別好ましくはフェニルオキシ(−OC)又はC〜C18アリールオキシ、
分枝又は非分枝のC〜C35アルキルアリールオキシ基、有利にはC〜C30アルキルアリールオキシ基、特別好ましくはベンジルオキシ−、(−O−CH−C)又は−O−CH−CH−C
分枝又は非分枝のC〜C35アラルキルオキシ基、有利にはC〜C25アラルキルオキシ基、特別好ましくはトリルオキシ(−O−C−CH)又はC〜C18アラルキルオキシ基又はXであり、
は、分枝又は非分枝の、飽和又は不飽和の、脂肪族、芳香族又は混合脂肪族/芳香族の2価のC〜C30−であり、これらは場合により置換されている。
【0014】
(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランの本発明の製造法において、一般式Iの化合物又は一般式Iの化合物からの混合物を生じることもできる。
【0015】
一般式Iの化合物の加水分解及び縮合による本発明の方法の場合に、そのオリゴマーが副産物として生じることがありうる。
【0016】
は、
【化1】

を表すことができる。
【0017】
アルキルポリエーテル基 O−((CRII−O−)Alkは、
O−(CRII−CRII−O−)Alkであることができる。
【0018】
好ましい基(CRII−CRII−O−)Alkには、エチレンオキシド−、(CH−CH−O)−Alk、プロピレンオキシド−、(CH(CH)−CH−O)−Alk又は(CH−CH(CH−O)−Alk又はブチレンオキシド単位、例えば(−CH(CH−CH)−CH−O)−Alk又は(−CH−CH(CH−CH)−O)−Alkを包含することができる。
【0019】
アルキルポリエーテル基 O−(CRII−CRII−O)−Alkは、次のものを表すことができ:
O−(CH−CHO)−C、O−(CH−CHO)−C
O−(CH−CHO)−C、O−(CH−CHO)−C
O−(CH−CHO)−C、O−(CH−CHO)−C
【化2】

【0020】
【化3】

【0021】
【化4】

【0022】
【化5】

この際、炭化水素鎖は分枝しているか又は非分枝であってもよい。
【0023】
アルキルポリエーテル基 O−((CRII−O−)Alkは、
−O−CH−CHO−CH−基であることはできない。
【0024】
O−((CRII−O−)Alkに等しいアルキルポリエーテル基Xは、6を上回る、好ましくは8を上回る、特別好ましくは10を上回る炭素原子を含有することができる。
【0025】
O−((CH−CH−O−)−Alkに等しいアルキルポリエーテル基Xは、6を上回る、好ましくは8を上回る、特別好ましくは10を上回る炭素原子を含有することができる。
【0026】
O−((CH−CH−O−)−Alkに等しいアルキルポリエーテル基Xは、7を上回る、好ましくは10を上回る、特別好ましくは12を上回る炭素原子を含有することができる。
【0027】
一般式Iの(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランは、次のものであることができる:
【化6】

【0028】
【化7】

【0029】
【化8】

【0030】
【化9】

【0031】
【化10】

【0032】
【化11】

【0033】
【化12】

【0034】
【化13】

【0035】
【化14】

【0036】
【化15】

【0037】
【化16】

【0038】
【化17】

【0039】
【化18】

【0040】
【化19】

[(C1837O−(CHCHO)Si(CHSH、
ここで、アルキル基は、非分枝であっても分枝していてもよい。
【0041】
Alk=C、C、C11、C13、C15、C17、C19、C1021、C1123、C1225、C1327、C1429、C1531、C1633、C1735、C1837、C1939又は
2041を有する式Iの化合物は、次のものであることができる:
【化20】

【0042】
【化21】

【0043】
【化22】

【0044】
【化23】

【0045】
【化24】

ここで、基Alkは、非分枝であるか又は分枝していてよい。
【0046】
(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランとして、一般式II:
(X)(X’)(X")Si−R−Hal II
[式中、R、X、X’及びX"は前記のものを表し、Halは塩素、臭素、弗素又は沃素である]の化合物を使用することができる。
【0047】
有利に、(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランとして、前記の(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランから、置換基HS−をHal−で形式的に交換することにより生じるものを使用することができる。
【0048】
(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランは、式IIの(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシラン又は式IIの(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシラン類からの混合物であることができる。
【0049】
メルカプト化試薬は、炭化水素中のハロゲン−C−結合をHS−C−結合に変換することができる化合物である。
【0050】
乾燥メルカプト化試薬は、2.5質量%を下回る、有利には2質量%を下回る、特別好ましくは1質量%を下回る、全く特別好ましくは0.5質量%を下回る、極めて好ましくは0.2質量%を下回る水含有率を有することができる。
【0051】
固体メルカプト化試薬の水含有率は、次のようにして測定することができる:水含有率測定のためにガラスパールを湿らせ、五酸化燐で被覆し、引き続きU−管内に充填する。試料約3gを50mlフラスコ中に秤取し、シカペント(Sicapent)で乾燥された窒素流(30ml/分)下に、320℃で2時間加熱し、引き続き窒素流下になお30分間放置する。湿ったキャリアガスを、ホース結合部を経てフラスコからU−管中に導く。この加熱相の間でのフラスコとU−管との間の可能な凝縮を、熱風ドライヤーを用いて排除する。U−管を再秤量して、硫化試薬から放出された水分量を重量測定する。
【0052】
例えばHS及びアルカリアルコレートからその場で形成されるメルカプト化試薬の水含有率は、そのために使用される出発物質、例えばHS及びアルカリアルコレート中の水分測定によって測定することができる。
【0053】
例えばHS及び乾燥固体試薬NaSからその場で形成されるメルカプト化試薬の水含有率は、そのために使用される出発物質、例えばHS及び乾燥固体NaS中の水分測定によって測定することができる。
【0054】
その場で形成されるメルカプト化試薬、例えばHS及びアミンからの硫化水素アンモニウムの水含有率は、そのために使用される出発物質、例えばHS及びアミン中の水分測定によって測定することができる。
【0055】
この反応のために必要である乾燥メルカプト化試薬は、アルカリ金属硫化水素塩又は硫化水素アンモニウムであることができる。
【0056】
使用されるメルカプト化試薬は、尿素誘導体又はチオ尿素誘導体を含有することはできないか又はこれらから形成することはできない。
【0057】
乾燥アルカリ金属硫化水素塩として、硫化水素リチウム(LiSH)、硫化水素ナトリウム(NaSH)、硫化水素カリウム(KSH)及び硫化水素セシウム(CsSH)を使用することができる。
【0058】
乾燥硫化水素アンモニウムとして、(NH)SH、NH(Sub)SH、NH(Sub)SH又はNH(Sub)SHを使用することができ、ここで、Subは、分枝又は非分枝の、飽和又は不飽和の、脂肪族、芳香族又は混合脂肪族/芳香族の1価C〜C30−、好ましくはC〜C25−、特別好ましくはC〜C20−、全く特別好ましくはC〜C16−、極めて好ましくはC11〜C25−炭化水素基である。基Subは、CH、CH−CH、i−プロピル、n−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル又はフェニルであることができる。
【0059】
乾燥メルカプト化試薬の使用モル量は、使用(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランの量に対して70モル%〜150モル%、有利には90モル%〜125モル%、特別好ましくは95モル%〜115モル%、極めて好ましくは100〜110モル%であることができる。
【0060】
乾燥メルカプト化試薬の当モル量よりも少ない量は、不完全反応をもたらすことがありうる。従って結果的に、生成物は出発物質で不純化されるか、又は状況によってはコストのかかる精製、例えば出発物質及び生成物を相互に分離するために蒸留が必要となる。
【0061】
この反応のために必要である乾燥メルカプト化試薬は、反応の前又は間に形成させることができる。
【0062】
必要な乾燥メルカプト化試薬の形成を、(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランとの反応の前に終結させることができる。
【0063】
乾燥硫化水素アルカリは、水含有硫化水素アルカリから乾燥により形成することができる。この乾燥は、共沸乾燥、赤外線を用いる乾燥、マイクロ波を用いる乾燥、高温での乾燥、減圧下での乾燥、高温及び減圧下での乾燥又は低温での乾燥(凍結乾燥)でありうる。
【0064】
この反応に必要である乾燥メルカプト化試薬は、反応の前又は間にアルコレート及びHSから形成することができる。
【0065】
アルコレートはアルカリアルコレートであってよい。アルコレートは、アルカリアルコレート類の混合物であってよい。
【0066】
好ましいアルカリアルコレートは次のものであることができる:Na(O−Alk)、Li(O−Alk)、K(O−Alk)、NaO−(CRII−CRII−O)−Alk、LiO−(CRII−CRII−O)−Alk及びKO−(CRII−CRII−O)−Alk。特別好ましいアルカリアルコレートは、Na−OMe、Na−OEt、Na−OC、Na−O−C、Li−OMe、Li−OEt、Li−OC、Li−O−C、K−OMe、K−OEt、K−OC及びK−O−Cであることができる。
【0067】
この反応に必要である乾燥メルカプト化試薬は、この反応の前又は間に乾燥硫化アルカリ及びHSから形成することができる。好ましい硫化アルカリは、LiS、NaS又はKSである。
【0068】
乾燥硫化アルカリは、アルコレート及びHSから形成することができる。
【0069】
乾燥硫化アルカリは、水含有硫化アルカリから乾燥により形成することができる。この乾燥は、共沸乾燥、赤外線を用いる乾燥、マイクロ波を用いる乾燥、高温での乾燥、減圧下での乾燥、高温及び減圧下での乾燥又は低温での乾燥(凍結乾燥)であることができる。
【0070】
この反応のために必要である乾燥メルカプト化試薬は、この反応の前又は間に、水含有メルカプト化試薬及び乾燥剤から形成することができる。
【0071】
乾燥剤は、ハロゲンシラン又はアルコキシシランであることができる。
【0072】
この反応に必要である乾燥メルカプト化試薬は、この反応の前又は間に、水含有メルカプト化試薬とハロゲンシランとから形成することができる。
【0073】
ハロゲンシランは、珪素原子1個当たり1、2、3又は4個のHal−結合を有することができる。ハロゲンシランは、クロルシランであることができる。クロルシランは、
(CH)SiCl、(CHSiCl、(CHSiCl、SiCl、(CHCHCH)SiCl、(Cl−CHCHCH)SiCl、(Cl−CHCHCH)SiCl(OMe)、(Cl−CHCHCH)SiCl(OEt)、(Cl−CHCHCH)SiCl(X)、(Cl−CHCHCH)SiCl(OMe)、(Cl−CHCHCH)SiCl(OEt)、(Cl−CHCHCH)SiCl(X)、HSiCl又はHSiClであることができる。
【0074】
ハロゲンシランは、種々のハロゲンシランの混合物であることができる。
【0075】
この反応のために必要である乾燥メルカプト化試薬は、反応の前又は間に水含有メルカプト化試薬及びアルコキシシランから形成することができる。
【0076】
アルコキシシランは、珪素原子1個当たり1、2、3又は4個の(−O−Sub)−置換基を有することができる。アルコキシシランは、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシ又はブトキシシランであることができる。アルコキシシランは、次のものであることができる:
【化25】

【0077】
アルコキシシランは、種々のアルコキシシランの混合物であることができる。
【0078】
反応のために必要である乾燥メルカプト化試薬は、この反応の前又は間に、アミン及びHSから形成することができる。アミンは、(Sub)−NH、(Sub)−NH、(Sub)−Nであることができる。アミンは好ましくは、NH、CH−NH、(CHNH、(CHN、CHCH−NH、(CHCHNH、(CHCHN又はC−NHであることができる。
【0079】
それから反応の前又は間に硫化水素アルカリ又は硫化水素アンモニウムが形成されうる出発化合物のプロトン化は、HS及び/又は有機及び/又は無機の酸によって行うことができる。
【0080】
それから反応の前又は間に硫化水素アルカリ又は硫化水素アンモニウムが形成されうる出発化合物の脱プロトン化は、有機及び/又は無機の塩基によって行うことができる。
【0081】
それから脱プロトン化により硫化水素アルカリが形成されうる出発化合物は、HSであることができる。
【0082】
Sの脱プロトン化のための無機塩基としては、例えば(アルカリイオン)HPO、(アルカリイオン)PO、(アルカリイオン)CO又は(アルカリイオン)SOを使用することができる。好ましくはNaPO、KPO、NaHPO、KHPO、KCO、NaCO、NaSO又はKSOを使用することができる。
【0083】
この反応の前、間又は後に、添加剤を添加することができる。
【0084】
添加剤として、好ましくは純粋な又は工業用品質のアルカン、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン又はオクタン、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、ジオキソラン、エチレングリコール又はプロピレングリコール、芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン又はp−キシレン又はカルボニル化合物、例えばジメチルホルムアミドを使用することができる。
【0085】
添加剤として、ハロゲンオルガニル(ハロゲンシラン)を使用することができる。ハロゲンオルガニル(ハロゲンシラン)として、一般式III、IV又はV:
(X)3−fHalSi−R−Hal III
(X)2−hHal(CH)Si−R−Hal IV
Hal(CHSi−R−Hal V
[式中、fは1〜3であり、hは1又は2であり、
X、Hal及びRは前記のものを表す]の化合物を使用することができる。
【0086】
有利に、(ハロゲンオルガニル)ハロゲンシランとして次のものを使用することができる:
3−クロルブチル(トリクロルシラン)、
3−クロルプロピル(トリクロルシラン)、
3−クロル−2−メチル−プロピル(トリクロルシラン)、
2−クロルエチル(トリクロルシラン)、
1−クロルメチル(トリクロルシラン)、
3−クロルブチル(ジクロルメトキシシラン)、
3−クロルプロピル(ジクロルメトキシシラン)、
2−クロルエチル(ジクロルメトキシシラン)、
1−クロルメチル(ジクロルメトキシシラン)、
3−クロルブチル(ジクロルエトキシシラン)、
3−クロルプロピル(ジクロルエトキシシラン)、
2−クロルエチル(ジクロルエトキシシラン)、
1−クロルメチル(ジクロルエトキシシラン)、
3−クロルブチル(クロルジエトキシシラン)、
3−クロルプロピル(クロルジエトキシシラン)、
2−クロルエチル(クロルジエトキシシラン)、
1−クロルメチル(クロルジエトキシシラン)、
3−クロルブチル(クロルジメトキシシラン)、
3−クロルプロピル(クロルジメトキシシラン)、
2−クロルエチル(クロルジメトキシシラン)、
1−クロルメチル(クロルジメトキシシラン)、
3−クロルブチル(ジクロルメチルシラン)、
3−クロルプロピル(ジクロルメチルシラン)、
2−クロルエチル(ジクロルメチルシラン)、
1−クロルメチル(ジクロルメチルシラン)、
3−クロルブチル(クロル−)(メチル−)メトキシシラン、
3−クロルプロピル(クロル−)(メチル−)メトキシシラン、
2−クロルエチル(クロル−)(メチル−)メトキシシラン、
1−クロルメチル(クロル−)(メチル−)メトキシシラン、
3−クロルブチル(クロル−)(メチル−)エトキシシラン、
3−クロルプロピル(クロル−)(メチル−)エトキシシラン、
2−クロルエチル(クロル−)(メチル−)エトキシシラン、
1−クロルメチル(クロル−)(メチル−)エトキシシラン、
3−クロルブチル(クロルジメチルシラン)、
3−クロルプロピル(クロルジメチルシラン)、
2−クロルエチル(クロルジメチルシラン)又は
1−クロルメチル(クロルジメチルシラン)。
【0087】
(ハロゲンオルガニル)ハロゲンシランは、一般式III、IV又はVの(ハロゲンオルガニル)ハロゲンシラン又は一般式III、IV又はVの(ハロゲンオルガニル)ハロゲンシランからの混合物であることができる。
【0088】
反応の開始時に及び/又は反応の間に及び/又は反応の終わりに、極性で、プロトン性、非プロトン性の、塩基性又は酸性の添加剤を反応混合物に添加することができる。
【0089】
添加剤は、例えば、HS、(アルカリイオン)HPO、(アルカリイオン)HPO、(アルカリイオン)PO、(アルカリイオン)HCO、(アルカリイオン)CO、(アルカリイオン)SO又は(アルカリイオン)HSOであることができる。好ましくは、KHPO、KHPO、KHCO、NaHCO、KCO又はNaCOを使用することができる。
【0090】
本発明の方法の粗製生成物収率は、一般式Iの化合物の製造時に、(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランの使用モル量に対して70%を上回る、好ましくは85%を上回る、特別好ましくは90%を上回る、全く特別好ましくは95%を上回ることができる。
【0091】
粗製生成物収率は、溶剤及び固体が除去された後の単離された全シラン化合物の重量で測定される合計量であることができる。
【0092】
一般式Iの化合物の製造時に副産物として生じる(X)(X’)(X")Si−(R)−S−(R)−Si(X)(X’)(X")の量は、粗製生成物量に対して50質量%を下回る、好ましくは15質量%を下回る、特別好ましくは10質量%を下回る、全く特別好ましくは5質量%を下回ることができる。
【0093】
一般式Iの化合物の製造時に使用される乾燥メルカプト化試薬を、固体として又は溶液中で反応に添加することができる。
【0094】
(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシラン、添加剤及び溶剤を、任意の順序、方法、温度及び時間で相互に混合し、次いではじめて乾燥メルカプト化試薬を添加することができる。
【0095】
(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシラン、添加剤及び乾燥メルカプト化試薬を、任意の順序、方法、温度及び時間で相互に混合し、次いではじめて溶剤を添加することができる。
【0096】
乾燥メルカプト化試薬、添加剤及び溶剤を、任意の順序、方法、温度及び時間で相互に混合し、次いではじめて(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランを添加することができる。
【0097】
(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシラン、溶剤及び乾燥メルカプト化試薬を、任意の順序、方法、温度及び時間で相互に混合し、次いではじめて添加剤を添加することができる。
【0098】
一般式I:
(X)(X’)(X")Si−R−SH I
の(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランは、好ましくは密閉容器中、空気遮断下に及び高められた圧力下で、乾燥メルカプト化試薬を一般式II:
(X)(X’)(X")Si−R−Hal II
の(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシラン及び場合による添加剤及び/又は溶剤と反応させることによって製造することができる。
【0099】
(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシラン、添加剤及び溶剤の選択によって、一般式Iの化合物の混合物の組成に、積極的及び合目的に影響を与えることができる。
【0100】
(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシラン中の加水分解可能なSi−ハロゲニドの量は、1〜1000mg/kgであることができる。
(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシラン中の加水分解可能なSi−ハロゲニドの量は、好ましくは5〜500ppm、特別好ましくは5〜200ppm、全く特別好ましくは10〜50ppmであることができる。
【0101】
加水分解可能なSi−ハロゲニドの量は、次の方法によって測定される:
試料の最大20gに、150mlビーカー中で、エタノール80ml及び酢酸10mlを加える。ハロゲニド含分を、硝酸銀溶液(c(AgNO)=0.01モル/l)を用いる電位差グラフ(potentiographisch)で滴定する。
【0102】
本発明の方法は、溶剤なしで又は溶剤の存在下に実施することができる。
【0103】
溶剤として、溶剤の混合物を使用することができる。
【0104】
溶剤は、非アルコール性溶剤であることができる。非アルコール性溶剤としては、アルカン、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン又はオクタン、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、ジオキソラン、エチレングリコール又はプロピレングリコール、芳香族溶剤、例えばベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン又はp−キシレン又はカルボニル含有溶剤、例えばジメチルホルムアミドを使用することができる。
【0105】
溶剤は、圧縮ガスであってよい。圧縮ガスは、液状で、近臨界状態又は過臨界状態で存在することができる。圧縮ガスは、HS又はNHであることができる。
【0106】
溶剤はアルコールであることができる。アルコールとしては、炭素原子数1〜24、有利には1〜4及び12〜24、特別好ましくは1〜4及び12〜18を有する1級、2級又は3級のアルコールを使用することができる。
【0107】
1級、2級又は3級のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−ブタノール、線状又は分枝したドデカノール、n−トリデカノール、i−トリデカノール、線状又は分枝したテトラデカノール、線状又は分枝したヘキサデカノール又は線状又は分枝したオクタデカノールを使用することができる。
【0108】
アルコールとしては、式: HO−(CRIII)−O−Alk又は HO−(CRIII−O−Alkのアルキルエーテルアルコール又は式:HO−(CRIIIO)−AlkII又はHO−(CRIII−CRIII−O)−AlkIIのアルキルポリエーテルアルコールを使用することができ、ここで、g=2〜20、好ましくは2〜10、特別好ましくは3〜6であり、RIIIは相互に無関係に、H又はアルキル基、有利にはCH−基であり、Alk及びAlkIIは相互に無関係に、分枝又は非分枝の、飽和又は不飽和の、脂肪族、芳香族又は混合脂肪族/芳香族の1価のC〜C35−、好ましくはC〜C25−、特別好ましくはC〜C20−、全く特別好ましくはC〜C18−、極めて好ましくはC11〜C18−炭化水素基である。
【0109】
アルキルポリエーテルアルコールとして、 HO−(CH−CH−O)−C2b+1(ここで、aは2〜20、好ましくは2〜10、特別好ましくは2〜8、全く特別好ましくは3〜6、b=1〜30、好ましくは2〜20、特別好ましくは6〜18、全く特別好ましくは10〜18)を使用することができる。
【0110】
アルキルポリエーテルアルコールは、次のものであることができる:
【化26】

【0111】
アルコールとして、アルコール類の混合物を使用することができる。
【0112】
アルコールとして、アルキルポリエーテルアルコール類の混合物を使用することができる。
【0113】
溶剤がアルコールである場合に、メルカプト化反応の間に溶剤として使用されるアルコールの一部分を、珪素上でのエステル交換によって、一般式Iの生成物中に取り入れることができる。
【0114】
溶剤が圧縮ガスでない場合の溶剤の量は、使用されるハロゲンオルガニル(アルキルポリエーテルシラン)の少なくとも0.1質量%、好ましくは10〜1000質量%、特別好ましくは25〜500質量%、全く特別好ましくは50〜200質量%であることができる。
【0115】
圧縮ガスでない溶剤の使用の場合の高められた圧力とは、常圧を上回る0.1〜50バール、好ましくは0.5〜25バール、特別好ましくは0.5〜10バール、極めて好ましくは0.5〜6バールの超過圧であると理解することができる。
【0116】
圧縮ガスの使用の場合の高められた圧力とは、常圧を上回る0.1〜250バール、好ましくは0.5〜200バール、特別好ましくは1〜150バール、極めて好ましくは1〜100バールの超過圧であると理解することができる。
【0117】
反応は、0〜200℃、好ましくは50〜150℃、特別好ましくは60〜125℃、極めて好ましくは70〜110℃の温度で行うことができる。
【0118】
目的生成物の収率及び反応容積の利用率に関して最適な反応温度及び圧力は、使用(ハロゲンオルガニル)アルコキシシラン及び溶剤の構造に依存して変えることができる。
【0119】
反応は、密閉容器中で保護ガス下に行うことができる。
【0120】
反応は、耐食性又は腐食敏感な反応容器又はオートクレーブ中で行うことができる。
【0121】
反応は、好ましくは、例えばガラス、テフロン、ほうろう引き鋼板又は被覆鋼板、ハステロイ又はタンタル製の耐食性反応容器又はオートクレーブ中で行うことができる。
【0122】
副産物量は、反応条件の選択によって、使用(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランに対して20モル%を下回る、好ましくは15モル%を下回る、特別好ましくは10モル%を下回ることができる。
【0123】
所望のメルカプトオルガニルシラン化合物と並んで副産物として、相応するモノスルファン並びにモノマーメルカプトオルガニルシラン化合物の構造に依存して、ジマー又はオリゴマーシロキサンの種々の組み合わせ物は、生成物から又は生成物と出発物質とから成ることができる。
【0124】
本発明の方法の1つの利点は、短いバッチ時間及び工業的に簡単に実現可能な温度での高い変換率である。
【0125】
実施例
乾燥NaSHとして、Firma STREM/ABCRの市販製品(水含有率:0.1質量%、前記方法で測定)が使用される。
【0126】
使用HS(純度 99.5%+)は、Firma Aldrichからガラス瓶中で入手される。
【0127】
出発化合物:
【化27】

は、DE102006027235.8中に記載の方法と同様に、クロルプロピル(トリエトキシシラン)及び相応する(ポリエーテル)モノアルキルアルコールから、触媒作用エステル交換によって製造される。
【0128】
例1
HS−CH−Si(Me)(O−C)(O−CH−CH−O−C1327
Firma Buechiのガラスオートクレーブ中に、乾燥i−プロパノール(Seccosolv)300ml及び乾燥NaSH(ex STREM)37.1gを予め装入する。この混合物に氷酢酸6.3gを加え、オートクレーブを閉じる。このオートクレーブ中にポンプを用いて、Cl−CH−Si(Me)[(O−CH−CH−O−C1327 471.6gを、50℃で40分かかって添加する。懸濁液を、80℃で180分間撹拌する。懸濁液中に含有されている固体を濾別し、i−プロパノール50mlで洗浄する。濾液を回転蒸発器で濃縮させる。最終濾過の後に、生成物435.9gが得られる。
【0129】
得られた生成物の13C−NMR−分析は、このシラン化合物に関して次の平均的組成を示している:
HS−CH−Si(Me)(O−C0.52((O−CH−CH−O−C13271.48 96%
Cl−CH−Si(Me)(O−C0.52((O−CH−CH−O−C13271.48 4% 。
【0130】
このエステル交換時に放出されたポリエーテルアルコール H−(O−CH−CH−O−C1327は、13C−NMR−スペクトルで検出可能である。
【0131】
例2
HS−CH−Si(O−Et)0.33(O−C1.56[(O−CH−CH−O−C13271.1
Firma Buechiのガラスオートクレーブ中に、乾燥i−プロパノール(Seccosolv)300ml及び乾燥NaSH(ex STREM)37.5gを予め装入する。この混合物に氷酢酸6.3gを加え、オートクレーブを閉じる。このオートクレーブ中にポンプを用いて、Cl−CH−Si(O−Et)[(O−CH−CH−O−C1327] 283.5gを、50℃で40分かかって添加する。懸濁液を、80℃で180分間撹拌する。懸濁液中に含有されている固体を濾別する。濾液を回転蒸発器で濃縮させる。最終濾過の後に、生成物203.3gが得られる。
【0132】
得られた生成物の13C−NMR−分析は、シラン化合物に関して次の平均的組成を示している:
HS−CH−Si(O−Et)0.33(O−C1.56[(O−CH−CH−O−C13271.1
【0133】
Cl−官能基のHS−官能基での置換は、NMR−検査の結果によれば定量的に進行している。
【0134】
例3
Cl−CH−CH−CH−Si(O−C)[(O−CH−CH−O−C1327の反応
Firma Buechiのガラスオートクレーブ中に、乾燥i−プロパノール(Seccosolv)97g及び乾燥NaSH7.6gを予め装入する。このオートクレーブ中にポンプを用いて、Cl−CH−CH−CH−Si(O−C)[(O−CH−CH−O−C1327 145gを加える。懸濁液及びオートクレーブを、HSで15分間パージし、引き続きオートクレーブを閉じ、HSで1バール超過圧(ゲージ圧)に調節する。懸濁液を50℃で30分間、かつ引き続き85℃で300分間撹拌する。得られた懸濁液をフラスコ中に移し、蒸発により溶剤を除き、かつ濾過する。生成物136.7gが得られ、これは理論量の94.3%に相当する。
【0135】
得られた生成物のH−NMR−分析は、Cl−官能基の100%がHS−官能基に変換され、かつその4%がS−官能基を有する酸化生成物に変換されていることを示している。
【0136】
行われたi−プロパノールとのエステル交換時に放出されたポリエーテルアルコール H−(O−CH−CH−O−C1327は、13C−NMR−スペクトルで検出可能である。
【0137】
例4
HS−CH−CH−CH−Si(O−Et)[(O−CH−CH−O−C1327
Firma Buechiのガラスオートクレーブ中に、乾燥NaSH 15.6gを予め装入し、ポンプを用いて、これにCl−CH−CH−CH−Si(O−C)[(O−CH−CH−O−C1327 300gを加える。懸濁液及びオートクレーブを、HSで15分間パージし、引き続きオートクレーブを閉じ、HSで1バール超過圧に調節する。懸濁液を50℃で30分間、かつ引き続き110〜120℃で300分間撹拌する。得られた懸濁液を濾過し、フラスコ中に移し、真空中、80℃で30分間揮発性成分を除去する。生成物276.6gが得られ、これは理論量の92.6%に相当する。
【0138】
得られた生成物のH−NMR−分析は、Cl−官能基の100%がHS−官能基に、かつその5.2%がS−官能基を有する酸化生成物に変換されていることを示している。
【0139】
この反応において珪素上のエステル交換分布は、そのまま残り、NMR−検査によれば、出発物質 Cl−CH−CH−CH−Si(O−C)[(O−CH−CH−O−C1327のそれに一致している。
【0140】
例5
HS−CH−CH−CH−Si(O−Et)[(O−CH−CH−O−C1327
Firma Buechiのガラスオートクレーブ中に、乾燥NaSH 15.6gを予め装入し、ポンプを用いて、これにCl−CH−CH−CH−Si(O−C[(O−CH−CH−O−C1327] 200gを加える。懸濁液及びオートクレーブをHSで15分間パージし、引き続きオートクレーブを閉じる。懸濁液を75℃で30分間、かつ引き続き110〜120℃で300分間撹拌する。得られた懸濁液を濾過し、フラスコ中に移す。生成物185.2gが得られ、これは理論量の92.9%に相当する。
【0141】
例6
HS−CH−CH−CH−Si(O−Et)[(O−CH−CH10−O−C1327
Firma Buechiのガラスオートクレーブ中に、乾燥NaSH 15.6gを予め装入し、ポンプを用いて、これにCl−CH−CH−CH−Si(O−C[(O−CH−CH10−O−C1327] 257gを加える。懸濁液及びオートクレーブを、HSで15分間パージし、引き続きオートクレーブを閉じる。懸濁液を50℃で30分間、かつ引き続き110〜120℃で300分間撹拌する。得られた懸濁液を濾過し、フラスコ中に移す。生成物246.7gが得られ、これは理論量の96.2%に相当する。
【0142】
例7
HS−CH−CH−CH−Si(O−Et)[(O−CH−CH18−O−C1327
Firma Buechiのガラスオートクレーブ中に、乾燥NaSH 15.6gを予め装入し、ポンプを用いて、これにCl−CH−CH−CH−Si(O−C[(O−CH−CH18−O−C1327] 350gを加える。懸濁液及びオートクレーブを、HSで15分間パージし、引き続きオートクレーブを閉じる。懸濁液を50℃で30分間、かつ引き続き110〜120℃で300分間撹拌する。得られた懸濁液を濾過し、フラスコ中に移す。生成物336.4gが得られ、これは理論量の96.3%に相当する。
【0143】
例8
HS−CH−CH−CH−Si(O−Et)[(O−CH−CH)−O−C
Firma Buechiのガラスオートクレーブ中に、乾燥NaSH 15.6gを予め装入し、ポンプを用いて、これにCl−CH−CH−CH−Si(O−Et)[(O−CH−CH)−O−C 101.5gを加える。懸濁液及びオートクレーブを、HSで15分間パージし、引き続きオートクレーブを閉じる。懸濁液を50℃で30分間、かつ引き続き110〜120℃で300分間撹拌する。得られた懸濁液を濾過し、フラスコ中に移す。生成物93.6gが得られ、これは理論量の92.8%に相当する。
【0144】
H−NMR検査によれば、全Cl−プロピル官能基の22%のみがHS−プロピル官能基に変換されている。
【0145】
珪素原子上のエステル交換分布は、NMR−検査によれば、出発物質Cl−CH−CH−CH−Si(O−Et)[(O−CH−CH)−O−Cに比べて変わっていない。
【0146】
例9
HS−CH−CH−CH−Si(O−Et)[(O−CH−CH−O−C
Firma Buechiのガラスオートクレーブ中に、乾燥NaSH 15.6gを予め装入し、ポンプを用いて、これにCl−CH−CH−CH−Si(O−Et)[(O−CH−CH−O−C 110gを加える。懸濁液及びオートクレーブを、HSで15分間パージし、引き続きオートクレーブを閉じる。懸濁液を50℃で30分間、かつ引き続き110〜120℃で300分間撹拌する。得られた懸濁液を濾過し、フラスコ中に移す。生成物98gが得られ、これは理論量の90.8%に相当する。
【0147】
H−NMR検査によれば、全Cl−プロピル官能基の63%のみがHS−プロピル官能基に変換されている。
【0148】
珪素原子上のエステル交換分布は、NMR−検査によれば、出発物質Cl−CH−CH−CH−Si(O−Et)[(O−CH−CH−O−Cに比べて変わっていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造する方法において、3質量%を下回る水含有率を有する乾燥メルカプト化試薬を(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランと反応させることを特徴とする、(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造する方法。
【請求項2】
反応を、密封容器中で、空気遮断下及び高圧下に実施することを特徴とする、請求項1に記載の(メルカプトオルガニル)−アルキルポリエーテルシランを製造する方法。
【請求項3】
反応を、溶剤中で実施することを特徴とする、請求項1又は2に記載の(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造する方法。
【請求項4】
(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランは、一般式I:
(X)(X’)(X")Si−R−SH I
[式中、
Xは、アルキルポリエーテル基 O−((CRII−O−)Alkであり、
ここで、v=1〜40、w=1〜40であり、RIIは相互に無関係に、H、フェニル−又はアルキル基であり、Alkは、分枝又は非分枝の、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の脂肪族、芳香族又は混合脂肪族/芳香族の1価のC〜C35−炭化水素基であり、
X’は、分枝又は非分枝のアルキル、分枝又は非分枝のアルコキシ、分枝又は非分枝のアルケニルオキシ−、分枝又は非分枝のアリールオキシ−、分枝又は非分枝のアルキルアリールオキシ基、分枝又は非分枝のアラルキルオキシ基又はXであり、
X"は、分枝又は非分枝のアルキル、分枝又は非分枝のアルコキシ、分枝又は非分枝のアルケニルオキシ−、分枝又は非分枝のアリールオキシ−、分枝又は非分枝のアルキルアリールオキシ基、分枝又は非分枝のアラルキルオキシ基又はXであり、
は、分枝又は非分枝の、飽和又は不飽和の、脂肪族、芳香族又は混合脂肪族/芳香族の2価のC〜C30−炭化水素基である]の化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造する方法。
【請求項5】
(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランとして、一般式II:
(X)(X’)(X")Si−R−Hal II
[式中、R、X、X’及びX"は、式I中に記載のものを表し、Halは、塩素、臭素、弗素又は沃素である]の化合物を使用することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造する方法。
【請求項6】
乾燥メルカプト化試薬として、アルカリ金属硫化水素塩又は硫化水素アンモニウムを使用することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造する方法。
【請求項7】
アルカリ金属硫化水素塩として、硫化水素リチウム(LiSH)、硫化水素ナトリウム(NaSH)、硫化水素カリウム(KSH)及び硫化水素セシウム(CsSH)を使用することを特徴とする、請求項6に記載の(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造する方法。
【請求項8】
硫化水素アンモニウムとして、(NH)SH、NH(Sub)SH、NH(Sub)SH又はNH(Sub)SH(ここで、Subは、分枝又は非分枝の、飽和又は不飽和の、脂肪族、芳香族又は混合脂肪族/芳香族の1価のC〜C30−炭化水素基である)を使用することを特徴とする、請求項6に記載の(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造する方法。
【請求項9】
反応の開始時に及び/又は反応の間に及び/又は反応の終りに、反応混合物に添加剤を加えることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造する方法。
【請求項10】
乾燥メルカプト化試薬の使用モル量は、使用(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランのモル量の70モル%〜150モル%であることを特徴とする、請求項1に記載の(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造する方法。
【請求項11】
溶剤として、非アルコール性溶剤、アルコール又は圧縮ガスを使用することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の(メルカプトオルガニル)アルキルポリエーテルシランを製造する方法。

【公表番号】特表2009−519287(P2009−519287A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544924(P2008−544924)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068674
【国際公開番号】WO2007/068555
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】