説明

(発明の内容を簡単に表したものを記載して下さい。)歯周などの粘膜組織を含むヒト皮膚組織内に存在する抗酸化物質あるいは他の類似物質を非浸襲的かつ定量的に測定する方法

【課題】被験者に対して非侵襲的でありながら、歯周などの粘膜組織を含むヒト皮膚組織のinvivoにおける抗酸化物質あるいは他の栄養成分の量を簡便かつ定量的に測定・評価することができる方法を発明する。
【解決手段】被験者の歯周などの粘膜組織を含む皮膚組織表面に可視光線を照射し、得られた吸収スペクトルから多変量解析手法により分析することにより、可視光線を照射した皮膚組織内に含まれる抗酸化物質などの特定の物質を量的に測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
近年、動脈硬化、糖尿病、ガンなどの生活習慣病をはじめとした種々の疾病や老化の原因の一つとして、活性酸素による酸化ストレスの関与が指摘されており、健康を維持する上で、活性酸素の攻撃から身体を守る種種の抗酸化物質に注目が集まっている。
【0002】
本発明は、生体における抗酸化物質あるいは他の類似物質などの存在量を測定する方法等に関するものであり、特に、invivoにおける抗酸化物質あるいは他の類似物質の存在量を測定する方法等に好適な技術に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来、血液や組織中の個々の抗酸化物質を師液検査やクロマトグラフィーなどを用いて直接定量する方法が、生体の抗酸化力を調べる方法として−般に用いられている。生体内の抗酸化物質としては、SOD(superoxide dismutase)、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ビタミンE、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビリルビン、β−カロチン等がある。従って、血液等の生体組織におけるこれら個々の成分の活性または存在量を調べることにより、生体の抗酸化力が測定されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の抗酸化力を調べる方法では、被験者の血液や尿、あるいは細胞を採取して分析する必要があるため、けっして簡便な方法とはいえず、被験者が苦痛やわずらわしさを感じることになり、費用も時間もかかることから汎用できる方法ではないという問題点がある。
【0005】
このため、非侵襲的であり、かつinvivoにおける抗酸化力を簡便かつ正確に測定・評価する方法等やその利用法の開発が強く求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決する方法として、歯周などの粘膜組織を含むヒト皮膚組織表面の近傍から、もしくは接触した状態で可視光線を照射し、得られた吸収スペクトルから多変量解析手法により対象物中の抗酸化物質あるいは他の類似物質などの存在量を推定するのに適したそれぞれの検量線を求め、存在量未知の対象物について前記検量線に採用した波長の吸光度から前記検査線を用いて各存在量を算出することによって歯周などの粘膜組織を含むヒト皮膚組織内に存在する抗酸化物質あるいは他の類似物質などを非浸襲的に判定する方法を示すものである。
【0007】
可視光線とは、380〜800nm付近の波長の光をいう。生体に可視光線を照射した場合、散乱光の吸収スペクトルは、生体内に存在する各成分に帰属した特徴のあるスペクトルを示す。複数の成分から成る物体では、それぞれの成分による吸収が相互に干渉し、吸収スペクトルはそれぞれの成分量に比例して影響を受けることから、重回帰分析などの多変量解析の手法により吸収スペクトルからそれぞれの成分含量を測定することができる。
【0008】
可視光線を用いることにより、製造コストも安価で、コンパクトであり、数秒という非常に短い時間で正確な測定ができる点において、現在使われているどの測定機器よりも簡便に使用でき、かつ広く普及できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯周などの粘膜組織を含むヒト皮膚組織表面の近傍から、もしくは接触した状態で可視光線を照射し、得られた吸収スペクトルから多変量解析手法により対象物中の抗酸化物質あるいは他の類似物質などの存在量を推定するのに適したそれぞれの検量線を求め、存在量未知の対象物について前記検量線に採用した波長の吸光度から前記検査線を用いて各存在量を算出することを特徴とする可視光線による歯周などの粘膜組織を含むヒト皮膚組織内の抗酸化物質あるいは他の類似物質の非浸襲的判定方法。