説明

(1−アルコキシ−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)(メタ)アクリラートの製造方法

本発明の主題は、α−ヒドロキシイソ酪酸アルキルエステルのエステル交換による、(1−アルコキシ−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)−(メタ)アクリラート、例えば(1−メトキシ−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)−(メタ)アクリラートの製造方法である。このようなモノマーの共重合によって、ポリ(メタ)アクリラートを基礎とする成形材料の製造の際にその熱成形抵抗性が改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明の主題は、α−ヒドロキシイソ酪酸アルキルエステルのエステル交換による、(1−アルコキシ−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)−(メタ)アクリラート、例えば(1−メトキシ−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)−(メタ)アクリラートの製造方法である。このようなモノマーの共重合によってポリ(メタ)アクリラートを基礎とする成形材料の製造の際にその熱成形抵抗性が改善される。
【0002】
(メタ)アクリラート又はポリ(メタ)アクリラートとは以下ではアクリル酸、メタクリル酸の誘導体及びこれらの混合物又はそのポリマーが理解される。(1−アルコキシ−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)−(メタ)アクリラートとの称呼に関しては更に(メタ)アクリロイル−イソ酪酸−アルキルエステル又はα−ヒドロキシイソ酪酸アルキルエステル−(メタ)アクリラート又は略称HIBSA−M(A)も同義に使用される。相応することは特殊な化合物に当てはまる。特に(1−メトキシ−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)−メタクリラートについては更にメタクリロイル−イソ酪酸−メチルエステル又はα−ヒドロキシイソ酪酸−メチルエステル−メタクリラート又はその略称HIBSM−MAが同義に使用される。
【0003】
背景技術
JP 11 222 460では、三環式不飽和化合物が弱く酸変性したポリメタクリラートと反応させられる。この基は、酸基が障害するだろうポリマー加工後に高エネルギー線の適用により分離されることができる。しかし、この方法はその適用能に関して様々な理由から、わずかな分野、例えばレーザーリソグラフィに限定されている。加えて、この官能基はポリマー類似にのみ付加される。
【0004】
分離生成物として酸を形成する、高エネルギー線の適用によって取り除くことができる更なる基に関する十分な概要は、JP 2000 347 410に見出される。この場合に、これは、重合前にメタクリル酸とエステル化される5種のアルコールである:一環式、複素環式、高級環式、例えば二又は三環式基、エーテルであって、エステルに対するC1架橋を有するもの及び三級アルコールによってエステル化している化合物。後者の群は、純粋なアルキル−又はハロゲン置換したアルキル基のみを含む。このメタクリラートは他のメタクリラートによって共重合される。全ての化合物については重合後にエネルギー線を用いた活性化だけが記載されており、熱処理を用いた活性化は記載されていない。
【0005】
レーザーリソグラフィにおける適用のために、三環式基と一緒にポリメタクリラートへと組み込まれることができる、分離下で酸へと変換可能な更なる基は、JP 11 024 274に記載されている。これには、特に次の、より詳細には具体化されない種類のモノマーが共重合されることができる:
【化1】

【0006】
上記式中、数n=0又は1であり、基R13は水素、標準アルキル基又は類似物であり、この残基はより詳細には特定されない。R4はC1基、C2基又はC3基としてだけ使用される。この構成要素の活性化は再度エネルギーリッチな放射線を用いてのみ行われ、従って、レーザーリソグラフィの適用に適合して表面でのみ行われる。問題であるのは、前記した例におけるように、生成物中で障害となって残存するか又は手間をかけて取り除かなければならない副生成物である。後者のものは、加工の後に実施される放射線活性化の際に全く可能でないか又は最良でも表面でだけ可能である。この構成要素の合成方法は更に具体化されていない。
【0007】
Kricheldorf et al . (J. Pol. Sci.: Part A: Pol. Chem.,46, 6229-6237頁, 2008)では、式
【化2】

の物質が、ポリヒドロキシイソ酪酸へのα−ヒドロキシイソ酪酸アンヒドロスルフィットの重縮合の副生成物として検出されている。
【0008】
しかし、この物質は単離されることもメタクリラートの重合に供されることもない。さらに、R3=メチル又はベンゾイルを有するこの箇所で検出された物質は、少なくとも20のnを有するその高い縮合度のために、モノマーとしては完全に不適当である。
【0009】
課題
本発明の課題は、新種の、熱により活性化可能なモノマーを提供することである。さらに、ポリ(メタ)アクリラートと簡易に共重合でき、かつ、例えばPMMA成形材料中に組み込まれるモノマーを提供することが課題である。
【0010】
さらに、多様に、異なる機能において使用可能であるモノマーの製造方法を提供することが課題である。
【0011】
成形材料の熱成形抵抗性の増加を可能にする、モノマーを提供することが一観点である。
【0012】
他の観点は、塗料結合剤の付着特性を、特に金属表面に対して改善するモノマーを提供することである。
【0013】
第三の観点は、特に高い酸価を有するポリ(メタ)アクリラートを、このためにそれ自体では適していない重合方法、例えば非極性溶媒中の溶液重合又はATRP(atom transfer polymerization)によって提供するために適しているモノマーを提供することである。
【0014】
明示されていない更なる課題は、以下の発明の詳細な説明、特許請求の範囲及び実施例の全体の脈絡から明らかである。
【0015】
解決策
前記課題は、(メタ)アクリラートベースの新種の官能性モノマーの新種の製造方法により解決される。特にこの方法は、一般式
【化3】

[式中R1は水素又はメチル基、R2は水素又はアルキル基であって1〜10個の炭素原子から構成されるもの、及びmは0〜10、好ましくは0〜5、特に好ましくは0〜2の数である]のモノマー(I)の合成に関する。本発明の方法の生成物は、様々なモノマー(I)の混合物でもあってよいので、mは同時にかつ独立して、この範囲にある複数の値を有して存在してよい。
【0016】
2は鎖状、分枝鎖状又は環式の構造を有してよい。好ましくは、R2は、単純アルキル基、例えばtert−ブチル、n−ブチル、イソプロピル、プロピル、エチル又はメチルである。特にとりわけ好ましくはメチル基であり、従って総じてα−ヒドロキシイソ酪酸−メチルエステル(メタ)アクリラートである。代わりに、R2は6〜10個の炭素原子を有する芳香族化合物、例えばフェニル基又はベンジル基であってよい。
【0017】
本発明の方法からのこの新種モノマーは、(メタ)アクリラート又は(メタ)アクリル酸及びα−ヒドロキシイソ酪酸又はα−ヒドロキシイソ酪酸−アルキルエステルから獲得される。より正確には、このモノマーは、(メタ)アクリラートからのエステル交換により又は(メタ)アクリル酸からのエステル化により獲得されることができる。
【0018】
(メタ)アクリラートとの書き方は無論アクリル酸又はメタクリル酸のエステルを指す。(メタ)アクリル酸は相応してアクリル酸又はメタクリル酸を指す。
【0019】
本発明により製造したモノマーは複数のモノマー(I)の混合物として得られる。これは縮合度において、すなわち、mの数において相違する。総じて、この混合物は合成後かつ後処理前にモノマー(I)の割合少なくとも40質量%、好ましくは55質量%を有する。
【0020】
代わりに、このモノマー混合物は、モノマー(I)の割合を高めるか又は個々のモノマー種(例えばmは0〜2の間にあってよい)を単離するために、合成工程後に蒸留により精製されることができる。このような蒸留物は少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも90質量%のモノマー(I)の割合を有する。この割合は、追加的な蒸留又は多段階の蒸留塔の使用により更に増加されることができる。
【0021】
このようにして例えばm=0を有するモノマー(II)又はm=1を有するモノマー(III)が得られる。
【化4】

【0022】
モノマー(II)及び(III)の合成又は単離は、R1=Hを有するモノマー(I)、即ち、アクリラート、又は最大10個の炭素原子からなるR2基を有するモノマー(I)の合成と同様にまさに新規である。
【0023】
特に好ましくはα−ヒドロキシイソ酪酸−メチルエステルのメタクリル酸エステル、すなわち、R1及びR2はそのつどメチル基であるモノマー(IIa)又は(IIIa)である。
【化5】

【0024】
本発明により製造したモノマー、特に基R2が1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子からなるモノマー(I)、特にとりわけ好ましくはモノマー(II)又は(III)は、高い酸含有量を有するポリマーを製造するために使用可能である。このために、このモノマーと他のモノマーとが重合方法においてエステル側基を有するポリマーへと共重合される。引き続き、式
【化6】

の物質(V)が熱供給によってポリマー類似に分離される。このようにしてポリマーには酸基が形成される。本発明によるモノマーのエステル基が第三級OH官能基のエステル化によって得られるので、このエステル基は、任意に一緒に使用されるコモノマーのエステル官能基に比較してより容易に分離される。
【0025】
この方法は多様に使用可能である。そして、このポリマーは、熱成形抵抗性の成形材料であることができる。このためには、物質(V)のポリマー類似分離が好ましくは押出機又はニーダー中で行われる。この押出機又はニーダー中では、残留モノマー及び/又は残存する放出物質(V)の除去も行われてよい。モノマー(I)がα−ヒドロキシイソ酪酸−メチルエステル(メタ)アクリラートである場合には、本発明による熱分離の際にメチルメタクリラート(MMA)が放出される。
【0026】
(メタ)アクリル酸の構成要素からの、好ましくはメタクリル酸の構成要素からの繰り返し単位は、成形材料及びこの成形材料から製造した成形体の顕著により改善した熱成形抵抗性に寄与する。この酸割合と共に、この成形材料のガラス温度、ひいては熱成形抵抗性が増加する。
【0027】
本発明の方法の特殊性は、物質(V)がメタクリル酸又はメタクリル酸のエステルであることである。このような、成形材料の製造に前もって使用されるモノマーに類似する化合物又はそれどころかこれと同一の化合物の放出の利点は、この化合物が放出後に、存在しているか又は新規であるポリマー鎖中に組み込まれること、又は、この系から残留モノマーと一緒になって蒸留により除去され、かつ、他の分離生成物とは対照的に、新たにモノマー合成に又はポリマー製造に使用されることができることである。
【0028】
本発明のモノマー(I)の製造には、エステル化の他に好ましくは、例えばMMA又はtert−ブチル(メタ)アクリラートのエステル交換又は酸ハロゲン化物、例えば(メタ)アクリル酸塩化物との反応又は(メタ)アクリル酸無水物との反応もが考慮される。
【0029】
意外なことに、このために使用される触媒は、生成物中に残存する場合に、高温での分離反応においてポリマーのエステル側基の鹸化を支援することが見出された。この目的には、このようなエステル交換触媒が、本発明により製造したモノマーを含むポリマーにも、熱供給前に添加されることができる。この物質(V)のポリマー類似分離は、従って、任意に、エステル交換触媒の添加又は存在によって促進されることができる。
【0030】
エステル交換触媒としてa.)ブレンステッド酸、例えば硫酸、パラトルエンスルホン酸、酸性イオン交換体又はこれらと金属、例えば酸化亜鉛との組み合わせ;b.)塩基、例えば特に金属アルコラート、特にリチウム、ナトリウム又はカリウムのアルコラート、例えばLiOCH3、NaOCH3、KOCH3、この相応するアセタート、プロピオナート又はブタノラート;アルミニウム化合物、例えばアルミニウムイソプロピオナート;カーボナート、例えばK2CO3;水酸化物、例えば、LiOH、NaOH、Ca(OH)2;塩基性酸化物、例えばCaO;塩基性イオン交換体;アンモニア;金属アミド、例えばLiNH2又はNaNH2;アミン、例えば第一級、第二級又は第三級アミン、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン;又は特に強アミン、例えば4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU;LiBrと一緒に使用すべき);及びc.)ルイス酸又は金属酸化物、特にチタン−、ジルコニウム−又は錫触媒、例えばイソプロピルチタナート、イソブチルチタナート、水酸化チタン、二酸化チタン、ジオクチル錫酸化物、ジブチル錫酸化物、トリブチル錫アルコラート、ジブチル錫ジアルコラート;ジブチル錫二塩化物;チタンテトラアルコラート、チタンテトラ塩化物又は混合形、例えばTi(OEt)4、Ti(OEt)4-n(OMe)n、Ti(Oi−Pr)3Cl又はTi(Oi−Pr)2Cl2;他の金属化合物、例えばi−PrOCu(PPh)3、パラジウム触媒が使用されることができる。代わりに、このために適した酵素がエステル交換に使用されることもできる。多数の使用可能なエステル交換触媒及びエステル交換方法に関する十分な概要はOtera (Chem.Rev., 93, 1993, 1449-70頁)に見出される。
【0031】
好ましくは塩基、特に好ましくは金属アルコラート、特にとりわけ好ましくはリチウム、ナトリウム又はカリウムのメタノラート、エタノラート、プロピオナート、イソプロピオナート、ブタノラート又はイソブタノラートがエステル交換触媒として使用される。
【0032】
収率改善のためには、付加的に更なる助剤、例えばモレキュラーシーブが使用されることができる。この放出されるアルコールはエステル交換反応の間に蒸留により除去されることもできる。
【0033】
しかし、さらにこの方法は、ポリマー化学の他の領域でも使用可能である。従って、背景技術によれば、高い酸含有量を有するポリ(メタ)アクリラートは、特に有機溶媒又は非極性溶媒中の溶液重合を用いて、全く製造できないか又は極めて手間をかけてしか製造できない。これに対して、任意に触媒作用した、熱による後処理によって、本発明による方法を用いて、この重合方法を、高い酸価を有するポリ(メタ)アクリラートの合成のためにも使用することが完全に可能である。
【0034】
この観点は制御されたラジカル重合に関して特に重要な役割を果たし、このラジカル重合を用いて、ポリマー構築物、例えばブロックコポリマー、星形コポリマー又はグラフトコポリマー(例えば両親媒性ブロックコポリマーの形にある)が製造され、例えばこれはメンブラン技術において使用される。このような重合方法の例は、NMP(Nitroxide Mediated Polymerization)及びRAFT(Reversible Additition Fragmentation Chain Transfer Polymerization)である。
【0035】
本発明の方法はアニオン性重合又は更なる制御されたラジカル重合方法、ATRP(Atom Transfer Radical Polymerization)の使用の場合に、更なる重要性を有し、この両者は、開始剤又は触媒の不活性化のために、酸の存在下では実施可能でない。
【0036】
しかし、本発明の方法は、モノマー(IV)の製造に関しても大きな重要性を有する。
【化7】

【0037】
モノマー(IV)は特に、(メタ)アクリル基又は−重合後は−ポリマー鎖と、酸基の間に、(メタ)アクリル酸に比較してより長い架橋が存在することにより特徴付けられる。つまりスペーサー配置された酸である。適用技術的に、このような酸が(メタ)アクリル酸に比較して、基材、例えば特に金属への付着により良好に寄与することが示された。このことは、特に塗膜結合剤の製造の際に利点を生じる。このモノマー(IV)から製造した(コ)ポリマーの熱安定性は、硬化が通常室温で行われるような塗料適用には十分である。
【0038】
式(I)、(II)、(III)又は(IV)のモノマーは、コモノマーとしても使用できる。特に(メタ)アクリラート及び/又は(メタ)アクリラートと共重合可能なモノマーとの共重合は、本発明により製造したモノマーの可能性のある使用である。
【0039】
本発明のモノマーは、ポリマー、例えば成形材料又は塗料結合剤の製造のために、モノマー系列の1つと共重合されることができる。例えば、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、tert−ブチル(メタ)アクリラート、ヘキシル(メタ)アクリラート、ヘプチル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート、オクチル(メタ)アクリラート、イソオクチル(メタ)アクリラート、デシル(メタ)アクリラート、ベンジル(メタ)アクリラート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラート、オクタデシル(メタ)アクリラート、ドデシル(メタ)アクリラート、テトラデシル(メタ)アクリラート、オレイル(メタ)アクリラート、4−メチルフェニル(メタ)アクリラート、ベンジル(メタ)アクリラート、フルフリル(メタ)アクリラート、セチル(メタ)アクリラート、2−フェニルエチル(メタ)アクリラート、イソボルニル(メタ)アクリラート、ネオペンチル(メタ)アクリラート、ビニルメタクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、メタクリルアミド、n−イソプロピルメタクリルアミド又は2以上の列記したモノマーの混合物を使用できる。
【0040】
列記した(メタ)アクリラートに加えて、ポリマーは、(メタ)アクリル酸を基礎としないが、これと共重合可能な他のモノマーから構築されることもできる。この例は、スチレン、α−メチルスチレン、ノルボルネン、シクロヘキシルマレイミド、イタコン酸又は無水マレイン酸である。
【0041】
(メタ)アクリラートと、(メタ)アクリラートと共重合可能なモノマーとの、両方の列記は例示的であり、かつ、本発明をいかなる様式でも限定するのに適さない。
【0042】
実施例
実施例1(モノマー合成)
α−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル(HIBSM)885.8g、メチルメタクリラート(MMA、Evonik Roehm社)1876.9g、ヒドロキノンモノメチルエーテル(Merck社)0.349g及び4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル(TEMPOL、Evonik Degussa社)0.014gからの混合物を、サーベル撹拌機(Saebelruehrer)(撹拌ケース、撹拌モーター)、温度計、圧縮空気のための導入管、銀鏡塔(8*8のラッシヒリング及び自動塔頂部からなる)、強力冷却器、蒸留冷却器、Thiele-Anschuetz受接管、温度制御装置を備える油浴、及び、真空ポンプ(コールドトラップを備える)を備える4Lの四ツ口フラスコ中に装入する。この混合物を沸騰するまで加熱し、この場合に含まれる水を共沸により分離する。
【0043】
80℃への冷却後に触媒(ナトリウムメチラート溶液27.93g、メタノール中30質量%、Evonik Degussa社)を添加する。引き続き15時間油浴温度約130℃で還流する。このフラスコ内部温度はこの場合に全時間にわたり105℃〜108℃である。
【0044】
最後に、同じ外側温度で真空下で揮発性成分を取り除く。粗生成物として濾過後に741.9gの濁った、褐色の、わずかに粘性のある液体が得られる。
【0045】
表1:GCによる粗生成物の組成(面積%)
【表1】

更なる略称:
HIBS−HIBSM α−ヒドロキシイソ酪酸(HIBS)及びHIBSMからのエステル
HIBS−HIBS−HIBSM HIBS及びHIBS−HIBSMからのエステル
HIBSM+MMA HIBSMのヒドロキシ基へのMMAの付加生成物
HIBSM−MA+MAS HIBSM−MAのOH基へのMASの付加生成物。
【0046】
実施例2(実施例1からの粗生成物の蒸留)
サーベル撹拌機(撹拌ケース、撹拌モーター)、沸騰細管、温度計、銀鏡塔(20cm、6mm、ラッシヒリング)、変化物温度計(Uebergangsthermometer)、蒸留ブリッジ部、Thiele-Anschuetz受接管、温度調節装置を備える油浴、コールドトラップ、マノメーター及び油回転弁真空ポンプを備える1Lの三ツ口フラスコ中に、実施例1からの粗生成物668.0gをヒドロキシモノメチルエーテル(Merck社)0.334g、TEMPOL0.013及び伝熱試薬Malotherm SH(Sasol社)70.0gと共に装入する。真空下で分別蒸留する。これについては表2中の蒸留経過参照のこと。
【0047】
全ての分画は、無色透明な液体である。分画F及びGには、数時間後に白色結晶が形成される。この蒸留残留物は、褐色の濁った液体である。
【0048】
分画B及びCは、モノマー(IIa)が蒸留によって88面積%超(GC、質量割合にもおおよそ相応)までの純度を獲得することを示す。分画Gからは、モノマー(IIIa)も50面積%超の含有量で獲得されることが認識される。
【0049】
さらに、本発明のモノマーの全含有量は分画B及びCにおいて90面積%超、分画Dにおいて85面積%超、そして、分画A及びEにおいて70面積%超であることが認識される。従って、最適化していない蒸留のみによって既にモノマーが高い純度で、MASのような障害となる成分なしに、獲得される。
【0050】
表2:蒸留経過
【表2】

【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)及び/又は(III)のモノマーを他のモノマーと一緒に重合方法において共重合してポリマーにし、引き続き熱供給によって、式
【化1】

の物質(V)をポリマー類似に分離させ、このようにしてポリマーに酸基が形成されることを特徴とする、モノマーの使用。
【請求項2】
前記物質のポリマー類似分離が押出機又はニーダー中で行われることを特徴とする請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記ポリマー類似分離が、エステル交換触媒の添加又は存在により促進されることを特徴とする請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
前記重合方法が、アニオン性の又は制御されたラジカル性の重合であることを特徴とする請求項1記載の使用。

【公表番号】特表2013−509460(P2013−509460A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535702(P2012−535702)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063066
【国際公開番号】WO2011/051031
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】