説明

(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンL−酒石酸塩およびそれを用いる(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンの精製方法

【課題】分解物や不純物の混入により、純度が低下した(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを工業的に簡便な精製方法を提供する。
【解決手段】 (R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸塩。および、純度が低下した(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンにL-酒石酸を加えることにより、高純度の(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸塩が結晶として得る、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンの精製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学分割剤として有用な(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンのL-酒石酸塩およびそれを用いる(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンの精製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンは、有用な光学分割剤として知られている(例えば特許文献1)。(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンはベラトルムアルデヒドと(R)−1−フェニルエチルアミンとを縮合し、イミン化合物を還元することにより得ることができる。しかしながら、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンは高沸点の液体であり、工場での大量生産において、触媒の活性や、反応温度、水素圧などの変化により分解物が生成した場合、もしくは光学分割において不純物の混入によりその純度が低下した場合に、経済的に精製する手段がなく、簡便な工業的精製方法が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】国際公開03/066564号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンの製造、およびそれを用いる光学分割における上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、分解物や不純物の混入により、純度が低下した(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを、簡便な工業的精製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、これらの問題点を鋭意検討した結果、純度が低下した(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンにL-酒石酸を加えることにより、高純度の(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸塩が結晶として得られ、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンの簡便な工業的精製方法を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸塩、
(2)(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンをL-酒石酸と造塩し、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸塩として結晶化させて(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを精製する方法、
(3)ベラトルムアルデヒドと(R)−1−フェニルエチルアミンとを縮合し、還元することにより得られる(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを使用する上記(2)に記載の方法、
(4)純度が低下した(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンをL-酒石酸と造塩する上記(2)に記載の方法、
(5)ケトン溶媒中で、L-酒石酸の水溶液を添加する上記(2)〜(4)いずれかに記載の方法、
(6)ケトン溶媒がアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンから選ばれる1種以上である上記(2)〜(5)いずれかに記載の方法、に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸塩およびそれを用いる(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンの精製方法により、純度が低下した(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを工業的規模で経済的に精製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
1.(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンの製造

(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンはベラトルムアルデヒドと(R)−1−フェニルエチルアミンとを縮合し、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジリデン)−1−フェニルエチルアミン(イミン化合物と略する)を還元することにより得られる。
縮合及び還元は、特許文献1の方法、または特開平5-201938号公報等に記載の方法に準じて行ってもよい。
【0008】
2.(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンのL-酒石酸塩化

L-酒石酸塩化は(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを予め溶媒に溶解させた溶液の状態で行う。または、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを用いてラセミのカルボン酸誘導体を光学分割した後、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを回収するため溶媒で抽出した溶液を使用する事ができる。

溶媒としては、通常、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略す)等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等)が挙げられ、ケトン溶媒およびこれらの混合溶媒が好適に使用される。また、これらの溶媒には、ベラトルムアルデヒドと(R)−1−フェニルエチルアミンとの縮合、イミン化合物の還元に使用した溶媒もしくは、光学分割に使用した後の(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを抽出した溶媒が、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン1重量部に対して約2重量部含んでいてもよい。

上記溶媒の使用量に特に制限はないが、より高い収率、より高い光学純度で(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンのL-酒石酸塩を得るための溶媒の使用量としては、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン1重量部に対して、通常15〜25容量部、好ましくは17〜22容量部である。溶媒の使用量が(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン1重量部に対して、15容量部未満であると、不純物が析出して、光学純度を低下させる虞があり、25容量部を越える量であれば収率が低下する虞がある。
【0009】
L-酒石酸量の使用量としては、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン1モルに対して、通常0.9〜1.1モル量、好ましくは0.95〜1.05モル量である。
L-酒石酸量が0.9モル量未満の場合は、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸の収率が低下する虞があり、1.1モル量を越える量である場合は、不純物が混入する虞がある。

L-酒石酸は粉末化して混合してもよいが、通常、水、メタノールなどの低級アルコール等の溶媒に溶解させて使用することができる。溶媒に溶解させて使用する場合は、溶解性の観点より、水が好ましい。

L-酒石酸を溶媒に溶解して使用する場合の濃度としては、特に制限はないが、通常10〜70%の濃度でよい。
【0010】
造塩する方法としては特に限定されないが、例えば、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンの溶液に攪拌しながらL-酒石酸の溶液を滴下して造塩する。

L-酒石酸を溶液として滴下する場合の温度としては、特に制限はないが、例えば、室温以上でアセトンの沸点までの温度、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上でアセトンの沸点までの温度である。
【0011】
造塩後に直ちに冷却してもよいが、40℃以上の温度で熟成してもよい。熟成時間としては特に制限されないが、例えば、1〜3時間である。
その後、徐々に冷却する。冷却温度は通常20〜30℃、好ましくは23〜27℃に冷却し、熟成する。熟成時間としては、通常、0.5〜20時間である。

結晶を濾過して溶媒で洗浄して撹拌することで、高い光学純度の(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸塩を得ることができる。
濾過、洗浄に使用する溶媒としては、造塩に用いた溶媒組成の溶媒が好ましい。なお、洗浄に使用する溶媒の量は、特に限定されず、濾過物が充分洗浄できる程度であればよい。
得られた(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸塩の結晶は乾燥して使用してもよいが、湿結晶のまま(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを遊離化して使用することができる。
【0012】
3.(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンの遊離化

2.の(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸塩は常法により、アルカリを加えて(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを遊離化することができる。
例えば、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸塩を有機溶媒(例えば、トルエン等の炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、MIBK等のケトン類、あるいはこれらの混合溶媒)中で、例えば苛性ソーダなどの苛性アルカリの水溶液、炭酸ナトリウムなどの炭酸アルカリの水溶液または重曹水などで分解し、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンとすることができる。

(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンは溶媒を濃縮して光学分割に使用してもよく、また溶液の状態で光学分割に使用してもよい。
【0013】
4.光学分割後のろ液に含まれる(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンの精製、回収

(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを用いて、ラセミカルボン酸を光学分割した後のろ液中には、異性体のカルボン酸と(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンが含まれる。純度の高いラセミカルボン酸を用いた場合は、ろ液に含まれる不純物は少ないが、粗製のカルボン酸を光学分割に使用した場合、ろ液には粗製物に由来する不純物を含む。酸、アルカリ処理により除去できない不純物の場合は、回収した(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンに含まれ、純度が低下する。
【0014】
ろ液中に含まれる(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンは、L-酒石酸塩とすることにより、高純度で精製、回収することができる。
【0015】
ろ液は、通常、濃縮後に溶媒に溶解する。
【0016】
溶媒としては、通常、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、MIBK等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等)が挙げられ、ケトン溶媒およびこれらの混合溶媒が好適に使用される。
これらの溶媒が、光学分割の溶媒、または抽出溶媒と同様である場合には、濃縮することなく、溶液のまま使用する事ができる。さらに溶媒には、光学分割に使用した後の(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを抽出した溶媒が、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン1重量部に対して約2重量部含んでいてもよい。
【0017】
溶媒の使用量としては、1. に記載した量と同様でよい。
L-酒石酸の使用量、その溶媒及び使用量は、1. に記載した量と同様でよい.
さらに、L-酒石酸塩化の方法は、1. に記載した方法と同様でよい。

(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸塩は、3. に記載した方法で(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンとして回収することができる。
【実施例】
【0018】
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

光学純度はHPLCを用い、次の条件で測定した。
キラルパックAD、ヘキサン/エタノール/トリフルオロ酢酸=480:20:1

製造例 (R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン
イソプロパノール(3104容量部)にベラトルムアルデヒド(1658重量部)とトリエチルアミン(48重量部)を43〜48℃で加え、約50℃で(R)−1−フェニルエチルアミン(1151重量部)を1.6時間かけて滴下し、1時間撹拌した。この溶液に5%パラジウム炭素(50%wet、25.6重量部)とイソプロパノール(1103容量部)を加え、0.024〜0.405MPaの水素雰囲気下、44〜49℃で6.75時間撹拌した。触媒を濾過後、濾液を濃縮し、表題化合物が得られる。

IR(νcm-1)3325(N−H),1514(N−H).
【0019】
実施例1 (R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンL-酒石酸塩
光学純度94.04%eeの(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン14.2g(純分13.57g 50ミリモル)をアセトン210gに溶解した。40℃で50%L-酒石酸水溶液15.0g(50ミルモル)を滴下し、21℃に冷却した。結晶をろ過し、白色結晶20.44gを得た。
(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンの光学純度をHPLCで測定したところ、98.3%eeであった。

1H-NMR(DMSO-d6) 1.45 (3H, d, J=6.8 Hz, NHCHCH3), 3.65 (1H, d, J=13.2 Hz, NHCH2Ar), 3.74-3.76 (1H, m, NHCH2Ar), 3.74 (6H, s, OCH3), 4.00-4.10 (1H, m, NHCHCH3), 4.07 (2H, s, HOCHCO2H), 6.84 (1H, d, J=8 Hz, Ar-H of dimethoxyphenyl), 6.92 (1H, d, J=8 Hz, Ar-H of dimethoxyphenyl), 6.99 (1H, s, Ar-H of dimethoxyphenyl), 7.34-7.47 (5H, m, C6H).

IR (KBr) 3321.9, 2976.0, 1605.0, 1521.3, 1266.1 cm-1
【0020】
実施例2
光学純度94.04%eeの(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン14.2g(純分13.57g)をアセトン210gに溶解した。50℃で50%L-酒石酸水溶液15.0gを滴下し、25℃に冷却した。結晶をろ過し、白色結晶20.99gを得た。
得られた結晶をトルエン60mL、水25mLに懸濁させ、20%苛性ソーダ水溶液20gを加えて攪拌し、有機層を分液した。有機層を水洗後濃縮し(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン12.60g(収率、93%)を得た。
光学純度をHPLCで測定したところ、99.39%eeであった。
【0021】
実施例3
光学純度94.04%eeの(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン14.2g(純分13.57g)をアセトン210gに溶解した。57℃で50%L-酒石酸水溶液15.0gを滴下し、55℃で1時間保温後、25℃に冷却した。生じた結晶をろ過し、白色結晶21.60gを得た。
得られた結晶をトルエン50mL、水30mLに懸濁させ、20%苛性ソーダ水溶液21gを加えた後、有機層を分液した。有機層を水洗後濃縮し、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン12.48g(収率、92%)を得た。
光学純度をHPLCで測定したところ、99.58%eeであった。
【0022】
実施例4
光学純度94.5%eeの(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンのMIBK溶液165.3g(純分51.3g)をアセトン831mLに溶解した。57℃で50%L-酒石酸水溶液56.8gを滴下し、55℃で2時間保温後、25℃に冷却した。生じた結晶をろ過し、白色結晶80.3g(見かけ収率はほぼ100%)を得た。
得られた結晶21.0gをMIBK35mLに懸濁させ、20%苛性ソーダ水溶液20gを加えた。分液後、有機層を水洗し、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンのMIBK溶液39.94g(純分13.49g、収率99.8%)を得た。
光学純度をHPLCで測定したところ、99.2%eeであった
【0023】
実施例5
光学分割濾洗液からの(R)-N-(3,4-ジメトキシベンジル)-1-フェニルエチルアミン

ラセミカルボン酸誘導体の光学分割で得られた濾洗液(溶媒MIBK、1964.8g、ラセミカルボン酸誘導体0.43mole、(R)-N-(3,4-ジメトキシベンジル)-1-フェニルエチルアミン0.35moleを含む)を10%硫酸水溶液431.1gで一回、さらに10%硫酸水溶液215gで一回抽出した。水層(合計764.5g)のHPLC分析により(R)-N-(3,4-ジメトキシベンジル)-1-フェニルエチルアミン95.89gが含まれていた。水層にMIBK(485g)を加え、20%苛性ソーダ水溶液(277.2g)を加えて撹拌後静置した。水層を除去し、有機層に水(291g)を加えて再度撹拌、静置した。
水層を除去後、有機層に50%L-酒石酸水溶液107gを滴下し、55℃で2時間保温後、25℃に冷却する。生じた結晶をろ過し、アセトンで洗浄し(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸塩を得る。実施例4の方法により、(R)-N-(3,4-ジメトキシベンジル)-1-フェニルエチルアミンを得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸塩。
【請求項2】
(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンをL-酒石酸と造塩し、(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミン L-酒石酸塩として結晶化させて(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを精製する方法。
【請求項3】
ベラトルムアルデヒドと(R)−1−フェニルエチルアミンとを縮合し、還元することにより得られる(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンを使用する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
純度が低下した(R)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−1−フェニルエチルアミンをL-酒石酸と造塩する請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ケトン溶媒中で、L-酒石酸の水溶液を添加する請求項2〜4いずれかに記載の方法。
【請求項6】
ケトン溶媒がアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンから選ばれる1種以上である請求項2〜5いずれかに記載の方法。

【公開番号】特開2006−225272(P2006−225272A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37385(P2005−37385)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】