説明

(S)−2−メチル酪酸の製造方法

【課題】天然の原料を用い、高純度且つ高収率で(S)−2−メチル酪酸を製造する方法の提供。
【解決手段】バシラス(Bacillus)属に属する(S)−2−メチル酪酸生産菌をL−イソロイシンを含む培地で培養する、(S)−2−メチル酪酸の製造方法。(S)−2−メチル酪酸生産菌がバシラス_パミラス(Bacillus_pumilus)、バシラス_メガテリウム(Bacillus_megaterium)、バシラス_サチリス(Bacillus_subtilis)、バシラス_サーキュランス(Bacillus_circulans)、バシラス_シンプレックス(Bacillus_simplex)、バシラス_アゾトフォルマンス(Bacillus_azotoformans)およびバシラス_サイクロサッカロリティカス(Bacillus_psychrosaccharolyticus)から選ばれる、該方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料、あるいは香料、医薬品などの製造原料として有用な(S)−2−メチル酪酸を高純度且つ高収率で製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2−メチル酪酸は、天然には、アンゲリカ根油、ストロベリーなどの果実、アルコール飲料などに広く存在が知られる化合物である。2−メチル酪酸には(S)体および(R)体の2つの光学異性体があり、(S)体は甘いフルーツ香気を有し、そして(R)体は汗、チーズ様の香気を有している(非特許文献1)。市販品の多くはラセミ体の合成品として販売されており、果実、ナッツ、ココア、発酵乳などの調合香料の原料として用いられている(特許文献1〜5)。
【0003】
一方、納豆菌であるバシラス サチリス(Bacillus subtilis)が納豆中の納豆臭の原因となる短鎖分岐脂肪酸である2−メチル酪酸、イソ酪酸、イソ吉草酸を生産することは知られている(非特許文献1)が、2−メチル酪酸、イソ酪酸およびイソ吉草酸の生合成経路はいまだに解明されていない。
【0004】
これまでこれらの化合物の光学異性体の製造に関する報告は意外に少なく、例えば、特許文献6にラセミ体の2−メチル酪酸または2−メチルペンタン酸に、(S)−2−メチル酪酸および(S)−2−メチルペンタン酸資化能を有する微生物、特にシュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物を作用させて(R)−2−メチル酪酸または(R)−2−メチルペンタン酸を製造する方法が開示され、また、特許文献7に、チグリン酸をメタノール、エタノールのような溶媒に溶解し、ルテニウム−光学活性ホスフィンを加え、水素圧4〜125kg/cm2および反応温度5〜50℃で1〜100時間反応させることにより光学純度70%e.e.以上の(S)−2−メチル酪酸を大量に得る製造法が開示されている程度である。
【0005】
このように、従来の提案はいずれも合成品または半合成品の原料を用いた(S)−2−メチル酪酸または(R)−2−メチル酪酸の製造に関するものであり、天然の原料を用い、天然の方法、すなわち、植物体、微生物または酵素の作用により得られるナチュラルの(S)−2−メチル酪酸を高純度且つ高収率で製造する方法についての報告は見あたらない。
【非特許文献1】Nippon Shokuhin Kagaku Kaishi Vol.47,No.10,773〜779(2000)
【特許文献1】特開2004−135522号公報
【特許文献2】特開2005−015686号公報
【特許文献3】特開2006−025706号公報
【特許文献4】特開2006−121958号公報
【特許文献5】特開2006−124490号公報
【特許文献6】特開2005−348727号公報
【特許文献7】特許3372329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、天然の原料を用い、ナチュラルな(S)−2−メチル酪酸を高純度且つ高収率で製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、今回、バシラス(Bacillus)属に属する(S)−2−メチル酪酸生産菌をL−イソロイシンを含む培地で培養することにより高純度且つ高収率で(S)−2−メチル酪酸が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
かくして、本発明は、バシラス(Bacillus)属に属する(S)−2−メチル酪酸生産菌をL−イソロイシンを含む培地で培養することを特徴とする(S)−2−メチル酪酸の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バシラス(Bacillus)属に属する(S)−2−メチル酪酸生産菌をL−イソロイシンを含む培地で培養することにより、ナチュラルの(S)−2−メチル酪酸を高純度且つ高収率で得ることができる。また、得られる(S)−2−メチル酪酸はラセミ体または(R)体の2−メチル酪酸に比べて、甘いフルーツ香気を有し、調合香料の原料として使用することができるのみならず、香料、医薬品などの原料として広い分野での利用が見込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で使用することができるバシラス(Bacillus)属に属する(S)−2−メチル酪酸生産菌としては、例えば、バシラス パミラス(Bacillus pumilus)、バシラス メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシラス サチリス(Bacillus subtilis)、バシラス サーキュランス(Bacillus circulans)、バシラス シンプレックス(Bacillus simplex)、バシラス アゾトフォルマンス(Bacillus azotoformans)、バシラス サイクロサッカロリティカス(Bacillus psychrosaccharolyticus)などを挙げることができ、市場で入手できる菌株としては、例えば、Bacillus pumilus NBRC14367(独立行政法人 製品評価技術基盤機構による分譲菌株)、Bacillus subtilis JCM2499、Bacillus subtilis JCM20118、Bacillus subtilis IAM1231、Bacillus circulans JCM2504、Bacillus megaterium JCM2506、Bacillus simplex JCM12307、Bacillus azotoformans JCM12210(以上、独立行政法人 理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室による分譲菌株)、Bacillus psychrosaccharolyticus ATCC23296(アメリカン・タイプカルチャー・コレクション)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
本発明において培地としては、炭素源、窒素源、無機塩類などを含む通常の培地に、L−イソロイシンを加えた培地またはL−イソロイシンを比較的多く含むアミノ酸混合物、ペプチド、蛋白質もしくはこれらを組み合わせた培地を用いることができる。L−イソロイシンとしては、例えば、市販品であるL−イソロイシン(協和醗酵社製)、L−イソロイシン(味の素社製)、L−イソロイシン W527602(アルドリッチ社製)、L−イソロイシン(和光純薬社製)などを挙げることができ、また、L−イソロイシンを比較的多く含むアミノ酸混合物、ペプチドまたは蛋白質としては、例えば、チーズホエー、牛乳、鶏肉、鮭、大豆、小麦などを挙げることができる。
【0012】
培地に配合しうる炭素源としては、例えば、グルコース、フラクトースなどの糖類;クエン酸、リンゴ酸などの有機酸類;エタノール、グリセロールなどのアルコール類等が挙げられ、また、窒素源としては、例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無機窒素化合物;ペプトンなどの有機窒素源などを利用することができ、さらに、無機塩類としては、例えば、各種のリン酸塩、硫酸マグネシウムなどを使用することができ、そして培地には、さらに必要に応じて、微量の金属塩(鉄塩、カルシウム塩など)などを添加してもよい。
【0013】
前記の如き菌株を使用して、(S)−2−メチル酪酸を製造する方法としては、例えば、以上に述べた如き炭素源、窒素源、無機塩類などを含む培地にL−イソロイシンを添加して該菌株を培養する方法;炭素源、窒素源、無機塩類などを含む培地で該菌株を1日〜3日程度前培養した後、L−イソロイシンを添加してさらに培養する方法;該菌株を炭素源、窒素源、無機塩類などを含む培地で培養した後、遠心分離等の手段により菌体を集め、該菌体を緩衝液等に分散させ、L−イソロイシンを添加して反応させる方法;該菌株をそれ自体既知の方法で固定化し、L−イソロイシンを添加して反応させる方法等を挙げることができる。
【0014】
培養は好気条件下に行うことができ、例えば、空気中での振盪培養、通気撹拌培養などの方法を採用することができる。培養温度は約20℃〜約40℃の範囲内、そして培地のpHは6〜8の範囲内が好ましい。また、培養日数は特に限定されないが、通常、1日〜14日程度が実用上好ましい。
【0015】
L−イソロイシンの培地に対する添加濃度は、用いる培養方法等により異なり、厳密には限定されないが、一般には1g/L〜100g/L、好ましくは10g/L〜30g/Lの範囲内を例示することができる。L−イソロイシンの添加濃度が100g/Lを超えると、微生物の生育阻害が起こり、L−イソロイシンから(S)−2−メチル酪酸への変換率が悪くなり、1g/L未満では、(S)−2−メチル酪酸の生成量が少なすぎ、生産コストが上がるので好ましくない。
【0016】
培地または培養後の菌体に上記濃度範囲でL−イソロイシンを加えることにより、培地中に0.1%〜8%程度の(S)−2−メチル酪酸を生成させることができる。
【0017】
L−イソロイシンから(S)−2−メチル酪酸への変換率は、添加するL−イソロイシンの量などにもよるが、通常、50%〜105%、好ましくは80%〜105%の範囲内である。
【0018】
以上に述べた培養により生産される(S)−2−メチル酪酸を含有する培地または反応液からの(S)−2−メチル酪酸の分離、精製は、それ自体既知の方法で行うことができ、例えば、培地または反応液に塩酸を加えた後、塩化ナトリウム、エーテルを加え、攪拌抽出し、濾過助剤を加えて濾過した濾液のエーテル層を分離し、これに無水硫酸マグネシウムを加え、蒸留を行いエーテルを除去することにより、粗製の(S)−2−メチル酪酸を得ることができる。さらに、常法に従い、例えば、減圧蒸留により分画することにより、通常、75%e.e.以上、好ましくは95〜100%e.e.の範囲内の光学純度、より好ましくはの99.5〜100%e.e.の範囲内の光学純度で精製(S)−2−メチル酪酸を得ることができる。
【0019】
本発明の微生物菌株を利用する方法により得ることのできる(S)−2−メチル酪酸は、甘いフルーツ様の香気・香味を有しており、これを添加した嗜好性の高い各種の香料組成物は調合素材として利用することができる。
【0020】
本発明によれば、例えば、炭酸飲料、果汁飲料、果実酒飲料類、乳飲料などの飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類などの冷菓類;和・洋菓子、チューインガム類、パン類、コーヒー、紅茶、お茶、タバコなどの嗜好品類;和風スープ類、洋風スープ類などのスープ類;ハム、ソーセージなどの畜肉加工品;風味調味料、各種インスタント飲料乃至食品類、各種のスナック類などに、(S)−2−メチル酪酸を有効成分として含有する香料組成物の適当量を添加することにより、そのユニークな香気香味が賦与された飲食品類を提供することができる。また、本発明によれば、例えば、シャンプー類、ヘアクリーム類、その他の毛髪化粧料基剤;オシロイ、口紅、その他の化粧用基剤や化粧用洗剤類基剤などに、(S)−2−メチル酪酸を有効成分として含有する香料組成物の適当量を添加することにより、そのユニークな香気が賦与された化粧品類を提供することができる。さらにまた、本発明によれば、(S)−2−メチル酪酸を有効成分として含有する香料組成物の適当量が配合された洗濯用洗剤類、消毒用洗剤類、防臭洗剤類、その他各種の保健・衛生用洗剤類;歯磨き、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの各種保健・衛生材料類;医薬品類などを提供することができる。
【0021】
さらに、本発明の方法によって製造される(S)−2−メチル酪酸から、合成あるいは生化学的手法を用いて、医薬中間体、医薬品、各種工業製品を製造することもできる。
【0022】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【実施例】
【0023】
実施例1
培 地
イーストペプトン1.5g、塩化ナトリウム0.5g、リン酸ナトリウム・12水0.8g、リン酸1カリウム0.2g、イオン交換水50gおよびL−イソロイシン(協和発酵社製)0.5gを混合、溶解し、培地を調製した。
【0024】
培養方法
Bacillus pumilus NBRC14367を植菌したスラントから一白金耳を取り、生理食塩水10mlに懸濁し、懸濁液1mlを培地に接種し、30℃、100rpmで約50時間培養を行った。培養は二連で行い、pHおよび660nmにおける吸光度(OD660)を測定した。
【0025】
(S)−2−メチル酪酸の生成量(%)、変換率(%)の算出
培養液にブタノールを添加し、4N 塩酸でpHを1.7 に調整し、10000rpmで10分間遠心分離を行い、上清0.2μlをガスクロマトグラフィー分析(以後、GC分析と呼ぶ)に供した。また、以下に示すブタノールを内部標準とする内部標準法により生成量を算出した。
【0026】
検量線の作成
ブタノールと2−メチル酪酸を任意の重量比で混合し、GC分析を行った。GC分析結果から得られたブタノールと2−メチル酪酸のAREA%の比を表1に示す。この結果から得られたAREA%の比をX軸、重量比をY軸にプロットし、ゼロ点を通過する検量線を作成し、その検量線から二次方程式 y=1.326x−0.0211(図1)を得た。
【0027】
【表1】

【0028】
(S)−2−メチル酪酸変換率%の算出
変換率%は、添加したL−イソロイシンから2−メチル酪酸へのモル変換率を表し、以下の式により算出した。その結果を後記表2にまとめて示す。
【0029】
変換率% = {(2−メチル酪酸生成量×1.29*)/L−イソロイシン添加量(%)} × 100
*L−イソロイシンの分子量/2−メチル酪酸の分子量=1.29
【0030】
実施例2
Bacillus pumilus NBRC14367に代え、B.megaterium JCM2506を用いる以外は実施例1と同様な方法で培養し、pH、OD660、(S)−2−メチル酪酸の生成量(%)および変換率(%)を測定または算出した。その結果を後記表2にまとめて示す。
【0031】
実施例3
Bacillus pumilus NBRC14367に代え、B.sutilis JCM 2499を用いる以外は実施例1と同様な方法で培養し、pH、OD660、(S)−2−メチル酪酸の生成量(%)および変換率(%)を測定または算出した。その結果を後記表2にまとめて示す。
【0032】
実施例4
Bacillus pumilus NBRC14367に代え、B.simplex JCM12307を用いる以外は実施例1と同様な方法で培養し、pH、OD660、(S)−2−メチル酪酸の生成量(%)および変換率(%)を測定または算出した。その結果を後記表2にまとめて示す。
【0033】
比較例1
実施例1の培地組成からL−イソロイシン0.5gを除いた培地を用いる以外は実施例1と同様な方法で培養し、pH、OD660および(S)−2−メチル酪酸の生成量(%)を測定または算出した。その結果を後記表2にまとめて示す。
【0034】
比較例2
実施例1の培地組成からL−イソロイシン0.5gを除いた培地を用いる以外は実施例2と同様な方法で培養し、pH、OD660および(S)−2−メチル酪酸の生成量(%)を測定または算出した。その結果を後記表2にまとめて示す。
【0035】
比較例3
実施例1の培地組成からL−イソロイシン0.5gを除いた培地を用いる以外は実施例3と同様な方法で培養し、pH、OD660および(S)−2−メチル酪酸の生成量(%)を測定または算出した。その結果を後記表2にまとめて示す。
【0036】
〔(S)−2−メチル酪酸の生成量、変換率の比較〕
【0037】
【表2】

【0038】
表2に示すように、L−イソロイシンを添加した培地で培養した実施例1〜4の培養液は、いずれも、(S)−2−メチル酪酸を培地中に生産していることが確認された。特に、実施例1、2および3で用いたB.pumilus NBRC14367、B.megaterium JCM2506およびB.subtilis JCM2499による変換率は91.1%、53.1%および76.0%と高かった。実施例4で用いたB.simplex JCM12307はこれらに次ぐ30.7%の変換率であった。また、培養物から分離した(S)−2−メチル酪酸を分析したところ、その光学純度は表2のように99.5〜99.9e.e.の範囲内の数値となり、非常に高い値であった。
【0039】
一方、L−イソロイシンを添加しない培地で培養した比較例1〜3の培養液も(S)−2−メチル酪酸を培地中に生産していたが、その生産量(%)は0.08〜0.09と非常に低く、L−イソロイシンを添加した実施例1〜4の場合の約1/3〜1/9程度であった。
【0040】
以上の結果より、バシラス属に属する菌株はいずれも(S)−2−メチル酪酸を生産する能力を有するが、L−イソロイシンを添加した培地で培養することにより、その生産性は大きく向上することが確認された。また、菌株の中ではBacillus pumilus NBRC14367、B.megaterium JCM2506およびB.subtilis JCM2499の生産性が良好であった。
【0041】
実施例5
前培養
ひだ付き三角フラスコに、イーストペプトン3.0g、塩化ナトリウム1.0g、リン酸ナトリウム・12水1.5g、リン酸1カリウム0.3g、イオン交換水100gおよびL−イソロイシン(協和発酵社製)1.0gを入れ、混合、溶解、殺菌し、培地とした。Bacillus pumilus NBRC14367を植菌したスラントから一白金耳取り、上記培地に接種し、30℃、100rpmで29.5時間前培養を行った。
【0042】
本培養
イーストペプトン30g、塩化ナトリウム10g、リン酸ナトリウム・12水15.3g、リン酸1カリウム3.3g、イオン交換水1000gおよびL−イソロイシン(協和発酵社製)225gを混合溶解させた培地を用意し、2L容発酵槽を用いて本培養を行った。培地殺菌後、前培養液50mlを本培養培地に接種し、30℃、600rpm、通気量0.3〜0.4リットル/分で90時間培養を行い、pHおよびOD660を測定した。また、実施例1と同様、GC分析により(S)−2−メチル酪酸の濃度を求め、生成量(%)および変換率(%)を算出した。
【0043】
培養の結果
表3に2L容発酵槽を用いたBacillus pumilus NBRC14367の培養におけるpH、OD660、生成量(%)および変換率(%)の経時変化を示す。
【0044】
【表3】

【0045】
表3に示すように、時間の経過とともに(S)−2−メチル酪酸の生成量(%)は増加し、90時間後に2.06%と最大になった。変換率も同様に上昇し、86.5時間、90時間では105.7、106.4%となった。これにより、添加したL−イソロイシンはすべて(S)−2−メチル酪酸に変換されていたことがわかる。また、90時間後の(S)−2−メチル酪酸を分離し、分析したところ、その光学純度は99.5e.e.であった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1はブタノール及び2−メチル酪酸の検量線である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バシラス(Bacillus)属に属する(S)−2−メチル酪酸生産菌をL−イソロイシンを含む培地で培養することを特徴とする(S)−2−メチル酪酸の製造方法。
【請求項2】
(S)−2−メチル酪酸生産菌がバシラス パミラス(Bacillus pumilus)、バシラス メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシラス サチリス(Bacillus subtilis)、バシラス サーキュランス(Bacillus circulans)、バシラス シンプレックス(Bacillus simplex)、バシラス アゾトフォルマンス(Bacillus azotoformans)およびバシラス サイクロサッカロリティカス(Bacillus psychrosaccharolyticus)から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
製造される(S)−2−メチル酪酸の光学純度が75%e.e.以上である請求項1または2に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−284861(P2009−284861A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142948(P2008−142948)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000214537)長谷川香料株式会社 (176)
【Fターム(参考)】