説明

1,2−不飽和アザステロイド類の製造方法

本発明の対象は、一般式 IIで表わされる構造上類似する飽和アザステロイド から出発して、一般式 I で表わされる1,2-不飽和アザステロイド類を製造する方法である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,2-不飽和アザステロイド類の製造及びこれを医薬の製造に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アザステロイド類は薬理作用に高い能力を有する化合物である。この化合物類の種々の代表物は、ずっと以前から(フィナステリド)又はつい先き頃から (ツロステリド(Turosterid))が医薬物質として容認されている。医学的に使用されるアザステロイド類, 特に有効物質フィナステリドに対する一連の製造方法は知られている。その合成は市場で得られるステロイド中間体 (たとえば プレグレノロンアセテート, アンドロステノロンアセテート)から出発する。これらはそれ自体一般に植物を供給源として得られる。
【0003】
ステロイド骨格の環Aで炭素原子1と2の間に二重結合を導入することが特に重要である。というのはそれによってたとえば医薬物質フィナステリドの場合有効性の増加及び個々の投薬量の減少が達成されるからである。 一連の直接及び間接(求電子付加/置換を経て引き続きの離脱を伴う迂回で) 酸化処理は知られており、そして多数の特許明出願の対象である。しかしこれらの方法に関して、しばしばほんの僅かな収率でしか報告されていないか、又は毒性試薬,たとえば無水フェニルセレン酸又はジフェニルセレニドを使用することに至っている。
【0004】
抗アンドロゲン性質を有するアザステロイド類に関して、1,2-二重結合を化合物4-メチルジヒドロフィナステリド (一般式II: R1 = NRR( 式中、 R はHを示し、Rはt.-ブチルを示し、 そしてR2 = メチル, この場合 --- は単結合を示し、そしてステロイドのA-環及びB-環をトランス結合させる。)に間接酸化によって導入することは知られている。この場合先ず出発化合物を塩基のリチウムジイソプロピルアミドで脱プロトン化し, ついでチオフェニル基をジフェニルジスルフィドを用いて導入する。カラムクロマトグラフィーによる精製後、チオエーテル基をメタ過ヨウ素酸ナトリウムを用いて酸化し、得られた中間体を離脱のためにトルエン中で加熱する。最終生成物がカラムクロマトグラフィーによる精製の後に得られる。ジスルフィド処理の後に1,2-二重結合をアザステロイドに導入することは、ジヒドロフィナステリドの3-O-ラクチムエーテル合成に基づくとも記載されている。この3-O-メチル基は(4位の窒素でプロトンの脱プロトン化のためにさらに過剰のリチウムジイソプロピルアミドの使用を回避するための) 保護基としてみなすことができる。脱水素の後、フィナステリドをラクチムエーテルの離脱の後に得ることができる。この方法は煩雑で、悪い収率で進行する。リチウムオルガニル類の面倒な取り扱い及び価格, 後処理及びカラムクロマトグラフィーによる精製の悪い収率及び煩雑性を考慮すれば、ジスルフィド処理がその後更に続けられなかったこと、そしてその代わりに言及される多様な合成特許に至ることは、驚くにあたらない。
【0005】
本来の実施範囲で、リチウムジイソプロピルアミド/ジフェニルスルフィドを使用した場合、そして1,2-二重結合をアザステロイド類に導入する、文献上公知の合成法を使用した場合効率が悪いことが確認された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基礎は、不活性溶剤中でアルカリアルコラートを使用することにある。このアルコラートは、カルボニル基に対してα-位でのアザステロイドの適切な脱プロトン化に最適であると示すばかりでなく, 1,2-脱水素が先行文献の方法とは対照的に極めて良好ないし優れた収率で進行することもできる。アルコラートの使用によって、面倒な取り扱い及び高価なリチウムオルガニル類の使用が不必要となる。中間体の製造での高い収率は、またその単離及び精製(Reinherstellung)及び最終生成物のいずれかを著しくより簡単に、そして費用のかかる分離処理せずに可能にする。必要な医薬品質を得るために、不純物を医薬から0.1%の範囲で分離できなければならない。ジヒドロアザステロールそれ自体がアザステロールの厳密な不純物であるので, 反応の際に本発明によって起こりうる高い変換率が特に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はまた一般式I
【0008】
【化1】

【0009】
{式中、
R1はNRR [式中、R及びRは同一又は異なっていてよく、H, 分枝状又は非分枝状, 飽和又は不飽和, 置換されているか又は置換されていない、炭素原子1〜7個を有する低級アルキル, 好ましくは t.-ブチル, i-プロピル, エチニル, アリールアルキル, ベンジル, 及び(置換されていないか又は分枝状又は非分枝状の炭素原子1〜7個を有する低級アルキルで置換されたアミノ)カルボニル, 好ましくは (イソプロピルアミノ)カルボニルであることができる。],
OR(式中、RはH, 分枝状又は非分枝状, 置換されているか又は置換されていない、炭素原子1〜7個を有する低級アルキル, 好ましくはメチルを示す。)
又はニトリルを示し、
R2 はH を示し、
そして - - -- によって表わされた結合は、任意の組み合わせで単結合及び二重結合を示す。}
で表わされる1,2-不飽和アザステロイド類を、一般式IIで表わされる1,2-飽和アザステロイド類の効率のよい脱水素化によって製造する方法に関する。本発明の方法は次の工程を包含する:
(a) 出発化合物としての 一般式II
【0010】
【化2】

【0011】
{式中、
R1はNRR[式中、R 及びRは同一又は異なっていてよく、H, 分枝状又は非分枝状, 飽和又は不飽和, 置換されているか又は置換されていない、炭素原子1〜7個を有する低級アルキル, 好ましくは t.-ブチル, i-プロピル, エチニル, アリールアルキル, ベンジル, 及び(置換されていないか又は 分枝状又は非分枝状の炭素原子1〜7個を有する低級アルキルによって置換されたアミノ)カルボニル, 好ましくは (イソプロピルアミノ)カルボニルであることができる。] 、
OR(式中、 R はH, 分枝状又は非分枝状, 置換されているか又は置換されていない、炭素原子1〜7個を有する低級アルキル, 好ましくはメチルを示す。),
ニトリル, ハロゲン 又はピリジニウムメチルを示し、
R2はHを示し、
そして- - - によって表わされた結合は、任意の組み合わせで単結合及び二重結合 を示す。}
で表わされる1,2-飽和アザステロイドを分枝状又は非分枝状低級アルコールのアルカリ塩と、不活性溶剤中で一般式III,

Ar-S-S-Ar III

(式中、Ar は置換されていないか又は置換されている芳香族環を示す。)
で表わされるアリールジスルフィドの存在下に反応させ、
(b) 生じたチオエーテル-中間体を、一般式 IIで表わされる出発化合物の残部から及び過剰の式 IIIで表わされる試薬から又は芳香族チオールから分離し,
(c) チオエーテル-中間体のイオウを酸化し,
(d)得られた生成物を不活性溶剤中で加熱し,
(e)最終生成物を反応混合物から単離し、ついで
(f)場合により、得られた最終生成物を再結晶させる。
【0012】
本発明の特徴によれば、工程 (a)で使用される分枝状又は非分枝状低級アルコールのアルカリ塩はナトリウムアルコラート又はカリウムアルコラートであることができる。好ましいアルカリアルコラートはナトリウムメタノラート, ナトリウムエタノラート 又はカリウム-t.-ブチラートである。使用されうるアルコラートは安価であって、簡単に取り扱えることが本発明の利点である。
【0013】
本発明の特徴によれば、工程(a)で不活性溶剤として、非純アルコール性溶剤, たとえばエーテルを使用することができる。 好ましい溶剤はテトラヒドロフランである。
【0014】
本発明の特徴によれば、工程(a)で反応混合物に、開始時にすでに一般式 IIIで表わされるアリールスルフィドを添加することができる。使用されるアリールスルフィドはたとえばジフェニルスルフィドであることができる。
【0015】
本発明の方法の工程(a)で、チオエーテル基の導入が良好ないし優れた収率で行われることが本発明の利点である。
【0016】
本発明の特徴によれば、工程 (b)でチオエーテル-中間体を一般式 IIで表わされる出発化合物の残部から及び過剰の式 IIIで表わされる試薬から又は芳香族チオールからスタートフレック濾過(Startfleckfiltration)を用いてシリカゲルを介して分離することができる。
【0017】
本発明の方法の工程 (c)で、チオエーテル-中間体のイオウをチオエーテルの酸化に適する試薬を用いて酸化する。本発明の特徴によれば、この酸化をメタ過ヨウ素酸アルカリ金属塩又は過マンガン酸アルカリ金属塩を用いて行うことができる。
【0018】
ついで1,2-二重結合を、離脱反応で本発明にしたがって不活性溶剤中で簡単に加熱して導入することができる。工程(d)で不活性溶剤として、置換されているか又は置換されていない不活性芳香族溶剤を使用することができる。好ましい溶剤はキシレンである。
【0019】
本発明の特徴によれば、工程(e)での最終生成物の単離を、冷却と同時に反応混合物から結晶性の,十分に純粋な形で結晶化させることによって行うことができる。
【0020】
本発明の方法の工程 (d)で使用される好ましい溶剤は、キシレンである。キシレンの高い沸点の故に、急速な反応が生じ, そしてトルエンに比べてキシレン中のアザステロイドの少し悪い溶解度の故に、冷却と同時により容易に自発結晶化が開始する。それによって反応混合物の後処理は, 特に工業的規模で, 著しく簡素化される。最後に、最終生成物が 好ましくは反応混合物から結晶性の,十分に純粋な形で結晶化することによって得られる。
【0021】
得られた最終生成物を、場合により、ほんの僅かな不純物の残量を除去するためにつぎの工程で再結晶させることことができる。再結晶に適する溶剤は、たとえばキシレン, ジオキサン, イソプロパノール 又はこれらの溶剤の混合物より成る群から選ばれる。
【0022】
本発明の特徴によれば、 出発化合物として ジヒドロフィナステリド[一般式II: R1 = NRR(式中、R はHを示し、Rはt.-ブチルを示す。)、 そしてR2はH を示し、この場合--- は単結合を表わし、そしてステロイドのA-環及びB-環をトランス結合させる。]を使用し, これを反応させて生成物フィナステリド[一般式 I: R1 = NRR(式中、R はHを示し、R はt.-ブチルを示す。)、そしてR2 はHを示し、 この場合 ---は単結合を表わし、そしてステロイドのA-環及びB-環をトランス結合させる。]とする。
【0023】
本発明の特徴によれば、工程(a)でのアルコラートを出発化合物に対する限定された分子比で使用することができ, この場合少なくとも1 モル当量及び最大 3モル当量, 好ましくはしかし2 モル当量のアルコラートを使用する。
【0024】
本発明の特徴によれば、反応をエーテル性溶剤, 好ましくは テトラヒドロフラン中で実施し、ついで高められた温度, 好ましくは溶剤の沸騰温度で進行させることができる。
【0025】
本発明の特徴によれば、ツロステリドを本発明の方法にしたがって製造する。本発明の特徴によれば、本発明の方法にしたがって製造された1,2-不飽和アザステロイドを医薬の製造に使用する。
【実施例】
【0026】
以下に、本発明の具体的な実施態様を例によって説明するが、本発明はこれらによって限定されない。
【0027】
例1: ナトリウムメタノラートを用いる脱プロトン化及びジスルフィドの添加
【0028】
【化3】

【0029】
10 g のジヒドロフィナステリドを、100 mlの の無水テトラヒドロフラン中に アルゴン雰囲気(水分の排除) 下で懸濁させ、2,87gのNa-メタノラート及び28,75gの ジフェニルスルフィドと共に16 時間沸騰加熱する。ついで反応を冷却し, ジクロロエタン及び2N 硫酸で希釈し, 相を分離し、それぞれ2N硫酸, 2 N 苛性ソーダ溶液, ついで水で振り分けて、蒸発させる。36,138 g の黄色塊状物が得られ, これは溶融物から結晶化する。
【0030】
例2: ナトリウムエタノラートを用いる脱プロトン化及びジスルフィドの添加
【0031】
【化4】

【0032】
1,5 gのジヒドロフィナステリドを15 mlの 無水 テトラヒドロフラン中にアルゴン雰囲気(水分の排除) 下で懸濁させ、0,544gのNa-エタノラート及び4,31gのジフェニルスルフィドと共に16 時間沸騰加熱する。
【0033】
ついで反応を冷却し, 15 mlのジクロロエタン及び15 mlの2N硫酸で希釈し, 相を分離し、それぞれ15 mlの2N硫酸, 2N苛性ソーダ溶液, ついで 水で振り分け、蒸発させる。1,80gの黄色塊状物が得られ, これは溶融物から結晶化する。
【0034】
例3: カリウム-t.-ブチラートを用いる脱プロトン化及びジスルフィドの添加
【0035】
【化5】

【0036】
1,5 g の ジヒドロフィナステリドを15 mlの 無水 テトラヒドロフラン中にアルゴン雰囲気(水分の排除) 下で懸濁させ、0,90 g の K-t.-ブチラート及び4,31g (20,0 mmol)のジフェニルスルフィドを16 時間沸騰加熱する。
【0037】
ついで反応を冷却し, 15mlのジクロロエタン及び15mlの2N硫酸で希釈し, 相を分離し、それぞれ15 mlの2 N硫酸, 2 N苛性ソーダ溶液, ついで水で振り分け、蒸発させる。1,76 g の黄色塊状物が得られ, これは溶融物から結晶化する。
【0038】
例4: スタートフレク濾過(Startfleckfiltration)
チオエーテル-中間体 (例1 〜3)の粗製塊状物36 g を100 mlの ジクロロメタンに溶解させ、200gのシリカゲルからなる床を介して 石油エーテル:メチル-tert.-ブチルエーテル = 20:1 の開始点(Startpunkt)で濾過する。溶離後、12,3 g の十分に純粋なチオエーテル-中間体が得られる。
【0039】
例5: チオエーテルの酸化及び離脱
【0040】
【化6】

【0041】
12,27gのチオエーテル-中間体を130mlのメタノール (20%水分含有率) 中に取り、ついで13,5g の メタ過ヨウ素酸ナトリウムと共に16 時間室温で攪拌する。
その後ジクロロエタン及び水で希釈し, 相を分離して、再度ジクロロエタンで振り分ける。蒸発後、14,2 g のほのかな黄色の固体が得られる。
【0042】
この固体をキシレン中に取り、2時間還流加熱する。攪拌下に冷却と同時に、結晶化が開始する。結晶を吸引濾取し、キシレンで後洗浄する。8,4 gのフィナステリドが得られる。
【0043】
例6: 再結晶
例5からの8gのフィナステリドをイソプロパノールに加熱下の溶解させ, 冷却と同時に結晶種を入れ、16時間5℃で放置する。結晶を吸引濾取し、減圧で乾燥する。5,6 g の フィナステリドが得られる。
【0044】
文献:
1. Uskokovic, Gut; Helv.Chim.Acta; 42; 1959; 2258,2261.
2. Rasmusson, Gary H.; Reynolds, Glenn F., Utne, Torleif; Jobson, Ronald B., Primka, Raymond L., et al.; J. Med. Chem.; 27, 12, 1984, 1690-1701.
3. Rasmusson, Gary H.; Reynolds, Glenn F., Steinberg, Nathan G, Walton, Edward; Patel, Gool F, et al.; J. Med. Chem.; 29, 11, 1986, 2298-2315.
4. Bakshi, Raman K.; Rasmusson, Gary H.; Baginsky, Walter F., Edward; Patel, Gool F, Cimis, George et al.; J. Med. Chem.; 37, 23, 1994, 3871-3874.
5. Xia, Peng; Yang, Zhen-Yu; Xia, Yi; Zheng, Yun-Quing; Cosentino, L. Mark; Lee, Kuo-Hsiung; Bioorg. Med. Chem.; 7; 9; 1999; 1907-1912.
6. Morzycki, Jacek W; Lotowski, Zenon; Wilczewska; Angieszka, Z.; Stuart, J. Darren; Bioorg. Med. Chem.; 4;8; 1996; 1209-1216.
7. Guarnao, Antonio; Occhiato, Ernesto G; Machetti, Fabrizio; Scarpi, Dina; J.Org.Chem; 63; 12; 1998; 4111-4115.
8. Xia, Peng; Yang, Zheng-yu; Xia, Yi; Zhang, Hao-bing; Zhang, Ke-hua; et al; Hetero-cycles; 47; 2; 1998; 703-716.
9. Hasserodt, Jens; Janda, Kim D.; Lerner, Richard A.; Bioorg.Med.Chem; 8; 5; 2000; 995-1004.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

{式中、
R1はNRR[式中、R及びRは同一又は異なっていてよく、H, 分枝状又は非分枝状, 飽和又は不飽和, 置換されているか又は置換されていない、炭素原子1〜7個を有する低級アルキル, 好ましくは t.-ブチル, i-プロピル, エチニル, アリールアルキル, ベンジル, 及び (置換されていないか又は分枝状又は非分枝状の炭素原子1〜7個を有する低級アルキルで置換されたアミノ)カルボニル, 好ましくは (イソプロピルアミノ)カルボニルであることができる。],
OR(式中、RはH, 分枝状又は非分枝状, 置換されているか又は置換されていない、炭素原子1〜7個を有する低級アルキル, 好ましくはメチルを示す。)
又はニトリルを示し、
R2 はH を示し、
そして - - -- によって表わされた結合は、任意の組み合わせで単結合及び二重結合を示す。}
で表わされる1,2-不飽和アザステロイド類の製造方法であって、
(a) 出発化合物としての一般式II
【化2】


{式中、
R1はNRR [式中、R 及びRは同一又は異なっていてよく、H, 分枝状又は非分枝状, 飽和又は不飽和, 置換されているか又は置換されていない、炭素原子1〜7個を有する低級アルキル, 好ましくは t.-ブチル, i-プロピル, エチニル, アリールアルキル, ベンジル, 及び(置換されていないか又は 分枝状又は非分枝状の炭素原子1〜7個を有する低級アルキルによって置換されたアミノ)カルボニル, 好ましくは (イソプロピルアミノ)カルボニルであることができる。] 、
OR(式中、 R はH, 分枝状又は非分枝状, 置換されているか又は置換されていない、炭素原子1〜7個を有する低級アルキル, 好ましくはメチルを示す。),
ニトリル, ハロゲン 又はピリジニウムメチルを示し、
R2はHを示し、
そして- - - によって表わされた結合は、任意の組み合わせで単結合及び二重結合を示す。}
で表わされる1,2-飽和アザステロイドを分枝状又は非分枝状低級アルコールのアルカリ塩と、不活性溶剤中で一般式III,
Ar-S-S-Ar III
(式中、Ar は置換されていないか又は置換されている芳香族環を示す。)
で表わされるアリールジスルフィドの存在下に反応させ、
(b)生じたチオエーテル-中間体を、一般式 IIで表わされる出発化合物の残部から及び過剰の式 IIIで表わされる試薬から又は芳香族チオールから分離し,
(c)チオエーテル-中間体のイオウを酸化し,
(d)得られた生成物を不活性溶剤中で加熱し,
(e)最終生成物を反応混合物から単離し、ついで
(f)場合により、得られた最終生成物を再結晶させる、
ことを特徴とする、上記一般式Iで表わされる化合物の製造方法。
【請求項2】
工程(a)で使用される分枝状又は非分枝状低級アルコールのアルカリ塩、 好ましくはナトリウムアルコラート又はカリウムアルコラートが, たとえばナトリウムメタノラート, ナトリウムエタノラート 又はカリウム-t.-ブチラートである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程(a)で不活性溶剤として、好ましくはエーテル, たとえばテトラヒドロフランを使用する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
反応混合物に、開始時にすでに一般式 IIIで表わされるアリールスルフィドを添加する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
工程(a)で使用される アリールスルフィドがジフェニルスルフィドである、請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
工程(b)でチオエーテル-中間体を、一般式 IIで表わされる出発化合物の残部から及び過剰の式 IIIで表わされる試薬から又は芳香族チオールからスタートフレック濾過(Startfleckfiltration)を用いてシリカゲルを介して分離する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
工程(c)でチオエーテル-中間体のイオウを、好ましくはメタ過ヨウ素酸アルカリ金属塩又は過マンガン酸アルカリ金属塩を用いて酸化する、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
工程(d)で不活性溶剤として、置換されているか又は置換されていない不活性芳香族溶剤, 好ましくは キシレンを使用する、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
工程(e)での最終生成物の単離を、冷却と同時に反応混合物から結晶性の、十分に純粋な形で結晶化させることによって行う、請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
酸化を行った後、離脱をキシレン中で行い、ついで冷却と同時に反応溶液から結晶化させた後、最終生成物の単離を行う、請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
工程(f)で最終生成物を、キシレン , ジオキサン, イソプロパノール又はこれらの溶剤の混合物から再結晶させる、請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
出発化合物として ジヒドロフィナステリド [一般式II: R1 = NRR(式中、R はHを示し、Rはt.-ブチルを示す。)、 そしてR2 はH を示し, この場合 --- は単結合を表わし、そしてステロイドのA-環及びB-環をトランス結合させる。]を使用し, これを反応させて生成物フィナステリド [一般式 I: R1= NRR(式中、R はHを示し、R はt.-ブチルを示す。)、そしてR2 はHを示し、この場合 ---は単結合を表わし、そしてステロイドのA-環及びB-環をトランス結合させる。] とする、請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
アルコラートを出発化合物に対する限定された分子比で使用し, この場合少なくとも1 モル当量及び最大 3モル当量, 好ましくは2 モル当量のアルコラートを使用する、請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
反応をエーテル性溶剤 , 好ましくは テトラヒドロフラン中で実施し、ついで高められた温度, 好ましくは 溶剤の沸騰温度で進行させる、請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
最終生成物をイソプロパノール から再結晶させる、請求項10〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
ツロステリド(Turosterid)を製造する、請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1つに記載の方法にしたがって製造された1,2-不飽和アザステロイド類を医薬の製造に使用する方法。

【公表番号】特表2007−517788(P2007−517788A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546186(P2006−546186)
【出願日】平成17年1月3日(2005.1.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000004
【国際公開番号】WO2005/066195
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(505231523)ファルマコン・フォルシュング・ウント・ベラートゥング・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (2)
【Fターム(参考)】