説明

1,3‐ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオラン誘導体および1,3‐オキサチオラン誘導体、並びに農園芸用殺菌剤

【課題】各種植物病害に対して防除効果を示し、特に、イネいもち病に高い土壌処理効果および水面施用効果を有する新規な1,3−ジオキソラン誘導体(I)およびそれを含有する農園芸用殺菌剤の提供。
【解決手段】一般式(I)


[式中、XおよびYは、それぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を示し、R1は、水素、アルキル基等を示し、RおよびRは、水素またはアルキル基を示し、Aは、シクロヘキサン環またはシクロペンタン環を示す。]で表される化合物並びに農園芸用殺菌剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な1,3‐ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオラン誘導体および1,3‐オキサチオラン誘導体、並びに当該誘導体を含む農園芸用殺菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに本発明の1,3‐ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオラン誘導体および1,3‐オキサチオラン誘導体の類似化合物としては、下記一般式(III)〜(VII)で表される化合物などが知られている(特許文献1〜5参照)。
これらの化合物は各種植物病害に対して殺菌活性を有することが知られており、特にイネいもち病ならびにトマト、キュウリ、およびインゲンの灰色かび病に対して有用であるが、十分な防除効果があるとはいえない。また、これらの化合物は、イネいもち病に対して茎葉散布による防除効果を有するものの、土壌処理および水面施用による防除効果は極めて弱いために、イネいもち病を満足に防除できるものとはいえない。
【0003】
一般式(III)〜(VII)
【化2】

[式中、一般式(III)におけるR、Z、Xは特許文献1によって定義され、一般式(IV)におけるA、W、X、Yn、は特許文献2によって定義され、一般式(V)におけるA、B、X、Yp、Zは特許文献3によって定義され、一般式(VI)におけるA,X、Y、W、Zは特許文献4によって定義され、一般式(VII)におけるA,R、X、Yは特許文献5によって定義される。]
【特許文献1】国際公開特許WO02/088086号パンフレット
【特許文献2】国際公開特許WO04/005261号パンフレット
【特許文献3】特開2004‐115435号公報
【特許文献4】特開2005‐206517号公報
【特許文献5】国際公開特許WO04/039783号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各種植物病害の中でもイネいもち病は重要病害の一つであり、これまでにも多くの殺菌剤が開発されている。しかしながら、茎葉散布による防除効果は有するものの、土壌処理および水面施用場面でも十分な防除効果を示す薬剤は少ないのが現状である。また薬剤によっては耐性菌の出現により防除効果の低下しているものもあり、新規な化学構造を有する薬剤が強く望まれている。さらに、農家従事者の減少・高齢化が進む今日の情勢においては、予防・治療活性、浸透移行性、長期残効性などの特性を有した防除作業の軽減・省力化を促進する薬剤が望まれている。また農薬の本田での茎葉散布によるイネいもち病の防除は、薬剤の飛散による周辺環境への影響や使用者の安全が懸念されるため、安心して使用できる防除方法ではない。そのため、消費者はもちろん、施用場面における使用者および周辺環境の安全性を確保するために、土壌処理および水面施用場面でも十分な防除効果を有する薬剤が強く求められている。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであって、イネいもち病に対して実際場面で求められる高い土壌処理効果および水面施用効果を有する新規な1,3‐ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオラン誘導体または1,3‐オキサチオラン誘導体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の新規な1,3‐ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオラン誘導体および1,3‐オキサチオラン誘導体が種々の植物病害に対して殺菌活性を有し、特にイネいもち病に対して優れた土壌処理効果および水面施用効果を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
したがって、本願の第1の発明は、下記一般式(I)で表される新規な1,3‐ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオラン誘導体および1,3‐オキサチオラン誘導体に関するものである。
【0008】
ここで一般式(I)で表される1,3‐ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオラン誘導体および1,3‐オキサチオラン誘導体には、後述するように立体異性体も含まれる。
一般式(I)
【化3】

一般式(I)中、XおよびYは、それぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を示し、R1は、アルキル基、アルコキシアルキル基またはハロアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を示し、Aは、シクロヘキサン環またはシクロペンタン環を示す。
本願の第2の発明は、上記一般式(I)で表される1,3‐ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオラン誘導体若しくは1,3‐オキサチオラン誘導体を含有することを特徴とする農園芸用殺菌剤に関する
【発明の効果】
【0009】
本発明の1,3‐ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオラン誘導体若しくは1,3‐オキサチオラン誘導体を農園芸用殺菌剤として用いると次のような効果が奏される。
第1に、本発明化合物は、キュウリ灰色かび病、オオムギうどんこ病、コムギ赤さび病、イネいもち病などの植物病害に対し防除活性を示し、農園芸用殺菌剤として有用である。
第2に、本発明化合物は、土壌処理および水面施用した場合でも稲体内への浸透移行性を示し、イネいもち病を土壌処理および水面施用によっても防除できる。
第3に、本発明化合物は、特にいもち病に対して予防効果と治療効果を兼ね備えており、またその効果は長期残効性を示す。
第4に、本発明の農園芸用殺菌剤は、有用作物には薬害を与えることがなく、安心して使用できる。
したがって、本発明に係る化合物を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤は、農園芸用作物の種々の病害に対して茎葉散布、土壌処理および水面施用などにより使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る新規1,3−ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオラン誘導体および1,3−オキサチオラン誘導体、その製造方法並びにこれを有効成分として含有する農園芸用殺菌剤について具体的に説明する。
【0011】
[1,3-ジオキソラン誘導体、1,3-ジチオラン誘導体および1,3-オキサチオラン誘導体]
以下に、前記一般式(I)におけるR,RおよびRで示される各置換基、並びにAについて説明する。
但し、前記一般式(I)における各置換基がここに示す例に限定されることはない。
【0012】
で示されるアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。具体的には、例えばメチル基、エチル基、n‐プロピル基、i‐プロピル基、n‐ブチル基、s‐ブチル基、i‐ブチル基、n‐ペンチル基、1‐メチルブチル基、2‐メチルブチル基、i‐ペンチル基、ネオペンチル基、n‐ヘキシル基、1‐メチルペンチル基、i‐ヘキシル基、2‐エチルブチル基などを挙げることができる。好ましくはメチル基、エチル基である。
【0013】
で示されるアルコキシアルキル基において、そのアルコキシアルキル基のアルコキシ部位としては、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシを挙げることができる。具体的には、メトキシ、エトキシ、n‐プロポキシ、i‐プロポキシ、n‐ブトキシ、s‐ブトキシ、i‐ブトキシ、n‐ペンチルオキシ、2‐ペンチルオキシ、3‐ペンチルオキシ、2‐メチル‐1‐ブトキシ、i‐ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n‐ヘキシルオキシ、2‐メチル‐1‐ペンチルオキシ、2‐エチル‐1‐ブトキシなどを挙げることができる。好ましくはメトキシである。かつ、上記アルコキシアルキル基のアルキル部位は、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキルを挙げることができる。具体的にはメチレン、エチレン、n‐プロピレン、1‐メチルエチレン、2‐メチルエチレン、n‐ブチレン、1‐メチルプロピレン、2‐メチルプロピレン、n‐ペンチレン、1‐メチルブチレン、2‐エチルプロピレン、n‐へキシレン、1‐メチルペンチレンなどを挙げることができる。好ましくはメチレンである。
で示されるハロアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のハロアルキル基を挙げることができる。具体的には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1‐フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、1‐トリフルオロメチル‐2,2,2‐トリフルオロエチル基、1‐フルオロ‐i‐ブチル基、1‐フルオロ‐i‐ヘキシル基などを挙げることができる。好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0014】
、Rで示されるアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基を挙げることができる。具体的には、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、n‐ブチル基、n‐ペンチル基、n‐ヘキシル基なを挙げることができる。好ましくはメチル基、エチル基である。
Aは、シクロヘキサン環またはシクロペンタン環を示す。
【0015】
本発明に係る一般式(I)で表される化合物は、1つまたはそれ以上の不斉炭素原子をもつ場合がある。そのため、本発明の化合物は二つ以上の立体異性体として存在している可能性がある。本発明の化合物は、鏡像異性体およびジアステレオマーのような全ての立体異性体が含まれ、異性体の混合物である場合、その比率は特に制限されず任意であってよい。
【0016】
一般式(I)で表される化合物の具体例を表1に示すが、本発明の化合物がここに例示された化合物のみに限定されることはない。
表1において、それぞれ「cHex」はシクロヘキサン環、「cPen」はシクロペンタン環を表わす。
表1中のR、Rの欄におけるEt、Hは、R=Et、R=HとR=H、R=Etの混合物であることを示す。
表1中のX,Yの欄におけるO,Sは、X=O,Y=SとX=S,Y=Oの混合物であることを示す。
表1中のcis,transは、RとRのそれぞれの付け根に帰属されるプロトン間のカップリング定数とKarplusによるビシナル相関関係からcis,transの相対配置を決定した。
また、表1における化合物番号は、以下の表2、表3、実施例および試験例でも参照される。
【0017】
【化4】

【0018】
【表1】

*1:表中、cHexはシクロヘキサン環、cPenはシクロペンタン環を表す。
*2:R=Et、R=HとR=H、R=Etの混合物
*3:X=O,Y=SとX=S,Y=Oの混合物
*4:RとRのそれぞれの付け根に帰属されるプロトン間のカップリング定数とKarplusによるビシナル相関関係からcis、transを決定した。
【0019】
[本発明化合物の製造方法]
本発明に係る一般式(I)で表される化合物は、例えば下記する製造法Aおよび製造法Bに従って製造できる。
[製造法A]
【化5】


[式中、Xは、酸素原子または硫黄原子を示し、R1は、水素、アルキル基、アルコキシアルキル基またはハロアルキル基を示し、RおよびRは、水素原子またはアルキル基を示し、Aはシクロヘキサン環またはシクロペンタン環を示し、Halはハロゲン原子を示す。]
【0020】
工程A-1は、任意の反応条件で実施しうるが、好ましくは不活性な有機溶媒中で行うのが好ましい。不活性な溶媒とは、溶質、すなわち原料、生成物等と反応しない有機溶媒を意味する(以下、不活性有機溶媒ともいう)。
本製造法で使用できる不活性溶媒としては、例えばジクロロメタン、1,2‐ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒などを挙げることができる。これらのうち、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。
また、反応に用いられるハロゲン化剤としては、オキサリルクロライド、塩化チオニル、三塩化リンまたは五塩化リンなどが挙げられる。
反応に用いられるハロゲン化剤の量は、一般式(II)で表される化合物1モルに対して、ハロゲン化剤は通常1〜2モル、好ましくは1〜1.5モルの量で用いられる。この反応は、通常0〜100℃、好ましくは20〜80℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から6時間で完結することが多い。
反応終了後は、反応混合物をそのまま濃縮する等の後処理を行うことにより、一般式(VIII)で表される化合物を単離することができる。反応終了とは、例えば溶媒中の原料の一方または両方が消費されることをいい、例えば薄層クロマトグラフィーなどによって確認できる(以下、特に注意がない限り、同じ意味を表す)。単離された式(VIII)で表される化合物は、通常精製することなく次の工程に用いることができる。
【0021】
工程A-2は、任意の反応条件で実施しうるが、不活性有機溶媒中で行うのが好ましい。本製造法で使用できる不活性溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2‐ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒などを挙げることができる。これらのうち、好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)である。
反応に用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ピリジン、トリエチルアミン、トリ‐n‐プロピルアミン、N,N‐ジイソプロピルエチルアミンなどを挙げることができる。
反応に用いる試薬の量は、一般式(IX)に表される化合物1モルに対して塩基が通常の1〜5モル、好ましくは1〜2モルの量で用い、一般式(VIII)で表される化合物が通常1〜2モル、好ましくは1.05モルの量で用いる。
この反応は、通常0〜100℃、好ましくは20〜80℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から24時間で完結することが多い。
反応終了後、本発明の一般式(I)-aで表される1,3‐ジオキソラン誘導体または1,3‐ジチオラン誘導体は、たとえば該誘導体が含まれる反応溶液に水と有機溶媒を加えて抽出後、さらに水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的物(I)-aは、必要ならば、さらにカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶などの操作によって精製することができる。
【0022】
[製造法B]
【化6】

[式中、Xは、それぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を示し、R1は、水素、アルキル基、アルコキシアルキル基またはハロアルキル基を示し、RおよびRは水素原子またはアルキル基を示し、Aは、シクロヘキサン環またはシクロペンタン環を示す。]
【0023】
一般式(II)で表されるカルボン酸誘導体を、塩基の存在下に縮合剤と反応(脱水縮合)することにより、本発明の一般式(I)‐aで表される1,3‐ジオキソラン誘導体または1,3‐ジチオラン誘導体を製造することができる。
この反応は、任意の反応条件にて実施しうるが、不活性有機溶媒中で行うのが好ましい。本製造法で使用できる不活性溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2‐ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミドなどのヘテロ原子を含む溶媒などを挙げることができる。これらのうち、好ましくはアセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミドである。
縮合剤としては、1,3‐ジシクロヘキシルカルボジイミド、1‐エチル‐3‐(3’‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、2‐メチル‐6‐ニトロ安息香酸無水物、塩化メタンスルホニル、塩化p−トルエンスルホニルなどを挙げることができる。
使用できる塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、トリ‐n‐プロピルアミン、N,N‐ジイソプロピルエチルアミン、4‐ジメチルアミノピリジンなどを挙げることができる。
縮合剤の使用量は、一般式(IX)で表される化合物1モルに対して、通常1〜2モル、好ましくは1〜1.1モルであり、塩基は通常1〜4モル、好ましくは1〜2モル、一般式(II)で表される化合物は通常1〜2モル、好ましくは1.05モルの量で用いることができる。この反応は、通常0〜80℃、好ましくは0〜40℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から24時間で完結することが多い。
反応終了後、本発明の一般式(I)‐aで表される1,3‐ジオキソラン誘導体または1,3‐ジチオラン誘導体は、たとえば該誘導体が含まれた反応溶液に水と有機溶媒を加えて抽出後、さらに水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的物(I)‐aは、必要ならば、さらにカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶などの操作によって精製することができる。
【0024】
本発明の一般式(I)で示される化合物の原料となる一般式(II)で表される化合物は、任意の方法により合成できるが、特に好ましい一般的な製造方法を以下の製造法C〜製造法Eに示す。
【0025】
[製造法C]
【化7】

[式中、Xは、酸素原子または硫黄原子を示し、Rは水素原子を示し、Rは炭素数1〜6の低級アルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6の低級アルキル基を示し、Aは、シクロヘキサン環またはシクロペンタン環を示し、Qは水素原子またはトリメチルシリル基を示す。]
【0026】
工程C‐1は、任意の反応条件で実施できるが、不活性有機溶媒中で行うのが好ましい。本製造法で使用できる不活性溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、n‐ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などを挙げることができる。これらのうち、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)である。
反応に用いられる塩基としてはリチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、カリウムt‐ブトキシドなどを挙げることができる。ホルミル化剤としては、蟻酸メチル、蟻酸エチルなどを挙げることができる。
反応に用いるホルミル化剤の量は、一般式(XII)で示される化合物1モルに対して、通常1〜10モル、好ましくは1.5〜5モルの量であり、塩基の量は通常1〜10モル、好ましくは1.1〜5モルの量で用いられる。この反応は、通常−80〜20℃、好ましくは−70〜0℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から6時間で完結することが多い。
反応終了後、一般式(XIII)で表される化合物は、たとえば該誘導体が含まれた反応溶液に水と有機溶媒を加えて抽出後、さらに水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的物(XIII)は、必要ならば、カラムクロマトグラフィーなどの操作によって精製することができる。
【0027】
工程C‐2は、任意の反応条件で実施できるが、不活性有機溶媒中で行うのが好ましい。本製造法で使用できる不活性溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2‐ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒などを挙げることができる。これらのうち、好ましくはジクロロメタン、トルエンである。
反応に用いる触媒としては塩化水素(あるいは塩酸)、臭化水素、p‐トルエンスルホン酸などのブレンステッド酸、塩化アンモニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸ピリジニウムなどのアンモニウム塩、トリメチルシリルフルオロメタンスルホナート、三フッ化ホウ素エーテラート、四塩化チタン、スカンジウムトリフルオロメタンスルホナートなどのルイス酸などを挙げることができる。これらのうち、好ましくはp‐トルエンスルホン酸である。
また、反応に用いる一般式(XIV)で表される化合物としては、エチレングリコール、1,2‐プロパンジオール、1,2‐ブタンジオール、1,2‐ペンタンジオール、1,2‐ヘキサンジオール、1,2‐ヘプタンジオール、1,2‐オクタンジオール、エチレンジオキシビス( トリメチルシラン)、2,3‐ブタンジオール、1,2‐エタンジチオール、1,2‐プロパンジチオール、2,3‐ブタンジチオール、エチレンジチオビス( トリメチルシラン)などを挙げることができる。
反応に用いる試薬の量は、一般式(XIII)で表される化合物1モルに対して、一般式(XIV)で示される化合物は通常の1〜30モル、好ましくは4〜20モルの量で用いられる。触媒の量は通常0.01〜1.0モル、好ましくは0.02〜0.5モルの量で使用できる。この反応は、通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から24時間で完結することが多い。
反応終了後、一般式(XV)で表される化合物は、たとえば該誘導体が含まれた反応溶液に水と有機溶媒を加えて抽出後、さらに水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的物(XV)は、必要ならば、さらにカラムクロマトグラフィーなどの操作によって精製することができる。
【0028】
工程C‐3は、任意の反応条件で実施できるが、不活性有機溶媒中で行うのが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N‐ジメチルホルムアミドなどのヘテロ原子を含む溶媒と水を任意の割合で混合したものを挙げることができる。これらのうち、好ましくはジメチルスルホキシド:水=1〜10:1の割合で混合したものである。
反応に用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、カリウムt‐ブトキシドなどのアルカリ金属の水酸化物などを挙げることができる。
反応に用いる塩基の量は、一般式(XV)で表される化合物1モルに対して、通常1〜10モル、好ましくは3〜5モルの量で用いることができる。
この反応は、通常0〜130℃、好ましくは20〜120℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から24時間で完結することが多い。
反応終了後、一般式(II)で表される化合物は、たとえば該誘導体が含まれた反応溶液に水を加えた後、塩酸、硫酸などを加えて酸性とし、ジエチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルムなどの抽出用溶媒により抽出後、水および飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去すること等により得ることができる。得られた目的物(II)は、必要ならば、さらにカラムクロマトグラフィーなどの操作によって精製することができる。
【0029】
また、製造法Cにおいて、一般式(XIII)で表される化合物は公知化合物であり、Journal of Organic
Chemistry38巻1号36項(1973年)に記載された方法に従って(XIII)を合成し、利用することもできる。
【0030】
[製造法D]
【化8】

[式中、Xは、酸素原子または硫黄原子を示し、R1は、炭素数1〜6の低級アルキル基、アルコキシアルキル基またはハロアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6の低級アルキル基を示し、Rは炭素数1〜6の低級アルキル基を示し、Rは炭素数1〜5の低級アルキル基、アルコキシアルキル基またはハロアルキル基を示し、Aは、シクロヘキサン環またはシクロペンタン環を示し、Qは、水素原子またはトリメチルシリル基を示す。]
【0031】
工程D‐1は、任意の反応条件で実施しうるが、不活性有機溶媒中で行うのが好ましい。本製造法で使用できる不活性溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、n‐ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などを挙げることができる。これらのうち、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)である。
反応に用いる塩基aとしてはリチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、カリウムt‐ブトキシドなどを挙げることができる。
また、反応に用いるアシル化剤としては、無水酢酸、無水‐n‐プロピオン酸、無水‐n‐酪酸、無水‐i‐酪酸、無水‐n‐吉草酸、無水‐i‐吉草酸、無水‐n‐ヘキサン酸、無水‐n‐へプタン酸、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、n‐酪酸メチル、i‐酪酸メチル、n‐吉草酸メチル、2‐メチルブタン酸メチル、i‐吉草酸メチル、n‐ヘキサン酸メチル、2‐メチルペンタン酸メチル、t‐ブチル酢酸エチル、n‐ヘプタン酸メチル、2‐メチルヘキサン酸メチル、アセチルクロライド、プロピオン酸クロライド、n‐酪酸クロライド、i‐酪酸クロライド、n‐吉草酸クロライド、2‐メチルブタン酸クロライド、i‐吉草酸クロライド、n‐ヘキサン酸クロライド、2‐メチルペンタン酸クロライド、3‐メチルペンタン酸クロライド、i-ヘキサン酸クロライド、t‐ブチル酢酸クロライド、n‐ヘプタン酸クロライド、2‐メチルヘキサン酸クロライド、i-ヘプタン酸クロライド、3‐エチルペンタン酸クロライド、メトキシ酢酸クロライド、エトキシ酢酸クロライド、n‐プロポキシ酢酸クロライド、i‐プロポキシ酢酸クロライド、n‐ブトキシ酢酸クロライド、s‐ブトキシ酢酸クロライド、i‐ブトキシ酢酸クロライド、n‐ペントキシ酢酸クロライド、1‐メチル‐ブトキシ酢酸クロライド、2‐メチル‐ブトキシ酢酸クロライド、i‐ペントキシ酢酸クロライド、2,2‐ジメチルプロポキシ酢酸クロライド、n‐ヘキソキシ酢酸クロライド、1‐メチル‐n‐ペントキシ酢酸クロライド、2‐メチル‐ペントキシ酢酸クロライド、2‐メトキシ‐プロピオン酸クロライド、2‐エトキシ‐プロピオン酸クロライド、3‐メトキシ‐プロピオン酸クロライド、3‐メトキシ‐2‐メチル‐プロピオン酸クロライド、3‐メトキシ‐3‐メチル‐プロピオン酸クロライド、4‐メトキシ‐ブタン酸クロライド、3‐メトキシ‐2‐メチル‐プロピオン酸クロライド、3‐メトキシ‐3‐メチル‐プロピオン酸クロライド、5‐メトキシ‐n‐ペンタン酸クロライド、4‐メトキシ‐2‐メチル‐n‐ブタン酸クロライド、6‐メトキシ‐ヘキサン酸クロライド、7‐メトキシ‐ヘプタン酸クロライド、6‐メトキシ‐1‐メチル‐ヘキサン酸クロライド、無水トリフルオロ酢酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸、無水‐n‐ヘプタフルオロブタン酸、モノフルオロ酢酸エチル、ジフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸エチル、ペンタフルオロ‐n‐プロピオン酸エチル、ヘプタフルオロ‐n‐ブタン酸エチル、ノナフルオロ-n‐ペンタン酸エチル、2‐トリフルオロメチル‐3,3,3‐トリフルオロプロピオン酸メチル、2‐フルオロ‐ヘキサン酸メチル、2‐フルオロ‐i‐ヘキサン酸メチル、2‐フルオロ‐ヘプタン酸メチル、2‐フルオロ‐i‐ヘプタン酸メチルなどを挙げることができる。
反応に用いるアシル化剤の量は、式(XII)で示される化合物1モルに対して、通常1〜10モル、好ましくは1.5〜5モルの量であり、塩基aの量は通常1〜10モル、好ましくは1.1〜5モルの量で使用できる。この反応は、通常−80〜20℃、好ましくは-70〜0℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から6時間で完結することが多い。
反応終了後、該誘導体が含まれた反応溶液に水と有機溶媒を加えて抽出後、さらに水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーなどの操作によって精製し、一般式(XIII)で表される化合物を得ることができる。また、工程D‐1において、目的とする一般式(XIII)で表される化合物以外に、一般式(XVI)で表される化合物が副生成物として生成する可能性がある。この一般式(XVI)で表される化合物は、工程D‐1で得られた粗生成物の状態から、工程D‐2の操作をすることによって一般式(XIII)で表される化合物に変換することができる。
【0032】
工程D‐2は、任意の反応条件で実施できるが、不活性有機溶媒中で行うのが好ましい。本製造法で使用できる不活性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒などと水を任意の割合で混合したものを挙げることができる。これらのうち、好ましくはメタノール:水=1:1の割合で混合したものである。
反応に使用できる塩基bとしては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができる。
反応に用いる塩基bの量は、一般式(XII)に示される化合物1モルに対して通常1〜5モル、好ましくは1.1〜2モルの量で用いることができる。
この反応は、通常0〜100℃、好ましくは20〜80℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から24時間で完結することが多い。
反応終了後、一般式(XIII)で表される化合物は、たとえば該誘導体が含まれた反応溶液に水と有機溶媒を加えて抽出後、さらに水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的物(XIII)は、必要ならば、さらにカラムクロマトグラフィーなどの操作によって精製することができる。
【0033】
工程D‐3は、工程C‐2と同様な合成法により一般式(XV)で表される化合物を得ることができる。
【0034】
工程D‐4は、工程C‐3と同様な合成法により一般式(II)で表される化合物を得ることができる。
また、製造法Dにおいて、一般式(XIII)で表される化合物は公知化合物であり、欧州特許出願公開第1246825号明細書に記載された方法に従って(XIII)を合成し、利用することもできる。
【0035】
[製造法E]
【化9】

[式中、R1は、炭素数1〜6の低級アルキル基、アルコキシアルキル基またはハロアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6の低級アルキル基を示し、Rは、炭素数1〜6の低級アルキル基を示し、Aは、シクロヘキサン環またはシクロペンタン環を示し、Halはハロゲン原子を示す。]
【0036】
工程E‐1は任意の反応条件で実施できるが、無溶媒、もしくは不活性有機溶媒中で行うのが好ましい。本製造法で使用できる不活性溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N‐ジメチルホルムアミドなどのヘテロ原子を含む溶媒などを挙げることができる。これらのうち、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)、N,N‐ジメチルホルムアミドである。また、化合物(XVII)を大過剰に用い、溶媒として用いることもできる。
反応に用いる塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、N,N‐ジイソプロピルエチルアミンなどを挙げることができる。
また、反応に用いる一般式(XVII)で表される化合物としては、2‐クロロエタノール、2‐ブロモエタノール、2‐ヨードエタノール、2‐クロロ‐1‐プロパノール、2‐ブロモ‐1‐プロパノール、1‐ブロモ‐2‐ブタノール、1‐クロロ‐2-プロパノール、1‐ブロモ‐2-プロパノールなどを挙げることができる。
反応に用いる化合物(XVII)の量は、式(XIII)で表される化合物1モルに対して、通常1〜100モル、好ましくは3〜10モル、塩基の量は通常1〜5モル、好ましくは1.1〜2モルの量で使用できる。この反応は、通常0〜100℃、好ましくは20〜80℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から24時間で完結することが多い。
反応終了後、一般式(XV)で表される化合物は、たとえば該誘導体が含まれた反応溶液に水と有機溶媒を加えて抽出後、さらに水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的物(XV)は、必要ならば、さらにカラムクロマトグラフィーなどの操作によって精製することができる。
【0037】
工程E‐2は、工程C‐3と同様な合成法により、一般式(II)で表される化合物を得ることができる。
【0038】
一般式(I)で表される化合物は、必要に応じて、融点、赤外線吸収スペクトル、1H‐NMR、13C‐NMR、質量分析、X線構造解析などによって分析、確認、同定することができる。
【0039】
本発明に係る一般式(I)で表される化合物の、より具体的な製造例を、本明細書の実施例中、実施例1〜6に記載する。
【0040】
[本発明の農園芸用殺菌剤]
本発明に係る一般式(I)で表される化合物は、広範囲の種類の糸状菌、例えば、ネコブカビ類(Plasmodiophoromycetes)、藻菌類(Oomycetes)、子のう(嚢)菌類(Ascomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)に属する菌に対し、低薬量で防除することができ、例えば農園芸用の殺菌性組成物として有用である。
【0041】
本発明により防除することができる植物病害として具体的に挙げれば、例えば、
イネのいもち病(Pyricularia
grisea)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Thanatephorus cucumeris、ばか苗病(Gibberella
fujikuroi)、苗立枯病(Fusarium 菌、Rhizopus菌、Pythium菌、Trichoderma viride)、稲こうじ病(Claviceps virens)、
ムギ類の赤かび病(Gibberella
zeae、Fusarium avenaceum、Fusarium
culmorum、Monographella nivale)、雪腐病(Pythium菌、Typhula菌、Monographella
nivalis、Myriosclerotinia borealis)、裸黒穂病(Ustilago nuda)、なまぐさ黒穂病(Tilletia controversa)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、葉枯病(Septoria
tritici)、ふ枯病(Phaeosphaeria nodorum)、
カンキツ類の黒点病(Diaporthe
citri)、小黒点病(Diaporthe medusa, Alternaria citri)、そうか病(Elsinoe fawcettii)、褐色腐敗病(Phytophthora
citrophthra)、緑かび病(Penicillium digitatum)、青かび病(Penicillium italicum)、
リンゴのモニリア病(Monilinia
mali)、黒星病(Venturia inaequalis)、斑点落葉病(Alternaria mali)、黒点病(Mycosphaerella pomi)、すす斑病(Gloeodes pomigena)、すす点病(Zygophiala
jamaicensis)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)、褐斑病(Diplocarpon mali)、赤星病(Gymnosporangium
yamadae)、腐らん病(Valsa ceratosperma)
ナシの黒星病(Venturia
nashicola)、赤星病(Gymnosporangium asiaticum)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)、胴枯病(Phomopsis
fukushii)、
モモの縮葉病(Taphrina
deformans)、灰星病(Monilinia fructicola、 Monilinia fructigena)、黒星病(Cladosporium
carpophilum)、ホモフ゜シス腐敗病(Phomopsis)、
オウトウの灰星病(Monilinia
fructicola 、Monilinia fructigena)、幼果菌核病(Monilinia kusanoi)、
ウメの黒星病(Cladosporium
carpophilum)、
ブドウの黒とう病(Elsinoe
ampelina)、晩腐病(Colletotrichum acutatum、Glomerella cingulata)、褐斑病(Pseudocercospora
vitis)、つる割病(Phomopsis viticola)
カキの角斑落葉病(Cercospora
kaki)、円星落葉病(Mycosphaerella nawae)、
チャの輪斑病(Pestalotiopsis
longiseta、Pestalotiopsis theae)、褐色円星病(Pseudocercospora ocellata、Cercospora chaae)、もち病(Exobasidium vexans)、網もち病(Exobasidium
reticulatum)、
ウリ類のつる枯病(Mycosphaerella
melonis)、つる割病(Fusarium oxysporum)、黒星病(Cladosporium cucumerinum)、褐斑病(Corynespora
cassiicola)、
トマトの葉かび病(Fulvia
fulva)、輪紋病(Alternaria solani)、
ナスの褐紋病(Phomopsis
vexans)、すすかび病(Mycovellosiella nattrassii)、
アブラナ科野菜の白さび病(Albugo macrospora)、白斑病(Cercosporella
brassicae、Pseudocercosporella capsellae)、
タマネギの灰色腐敗病(Botrytis allii)、
イチゴのじゃのめ病(Mycosphaerella
fragariae)、
ジャガイモの夏疫病(Alternaria
solani)、
ダイズの茎疫病(Phytophthora
sojae)、紫斑病( Cercospora kikuchii)、
アズキの茎疫病(Phytophthora
vignae)
ラッカセイの褐斑病(Mycosphaerella
arachidis)、
テンサイの褐斑病(Cercospora
beticola)、葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、
シバのカーブラリア葉枯病(Curvularia菌)、ダラースポット病(Sclerotinia homoeocarpa)、ヘルミントスポリウム葉枯病(Cochliobolus菌)、
バラの黒星病(Diplocarpon
rosae)、
キクの白さび病(Puccinia
horiana)、
および各種作物のべと病(Peronospora菌、Pseudoperonospora菌、Plasmopara菌、Bremia菌)、疫病(Phytophthora菌)、うどんこ病(Erysiphe菌、Blumeria菌、Sphaerotheca菌、Podosphaerea菌、Phyllactinia菌、Uncinula菌、Oidiopsis菌)、さび病(Puccinia菌、Uromyces菌、Physopella菌)、炭疽病(Glomerella菌、 Colletotrichum菌、Gloeosporium菌)、黒斑病(Alternaria菌)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、白紋羽病(Rosellinia
necatrix)、紫紋羽病(Helicobasidium mompa)、白絹病(Sclerotium rolfsii)、その他各種土壌病害(Fusarium菌、Rhizoctonia菌、Pythium菌、Aphanomyces菌、Phoma菌、Verticillium菌、Plasmodiophora brassicaeなど)
などの病害を挙げることができる。
【0042】
本発明に係る一般式(I)で表される1,3‐ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオラン誘導体または1,3‐オキサチオラン誘導体は、殺菌活性を示す。特に、一般式(I)で表される化合物を活性成分として含む組成物を、農園芸用殺菌剤として用いることができる。
【0043】
本発明に係る一般式(I)で表される化合物を活性成分として含む農園芸用殺菌剤の組成は、活性成分として一般式(I)に表される化合物を含む以外は、通常の農園芸用殺菌剤の組成としてもよい。通常の組成とは、例えば、農薬製剤ガイド(編集:日本農薬学会施用法研究会、発行:社団法人日本植物防疫協会)に記載される。すなわち、一般式(I)で表される化合物、適当な担体、補助剤、界面活性剤、結合剤、および安定剤などを配合してもよい。
【0044】
本発明に係る一般式(I)で表される化合物を含む農園芸用殺菌剤の組成物は、農薬の剤型として一般に使用されている任意の剤型に製剤化することができる。例えば、粉剤、粗粉剤、DL(ドリフトレス型)粉剤、フローダスト剤、微粒剤、細粒剤、粒剤、水和剤、顆粒水和剤、液剤、ゾル剤(フロアブル剤)、乳剤、および油剤などに製剤化することができるが、これらに限定されない。
【0045】
本発明に係る一般式(I)で表される化合物の含有量は、製剤の剤型、および使用方法により、適宜選択することができる。一般に好ましい含有量は、製剤全体量に対して0.1〜90重量%の範囲である。
【0046】
本発明の式(I)の活性化合物は、農薬として使用する場合には必要に応じて製剤時または散布時に、殺菌剤(殺かび剤、殺細菌剤、抗ウィルス剤、植物抵抗性誘導剤)、殺虫剤、殺ダニ剤、殺センチュウ剤、除草剤、鳥類忌避剤、生長調整剤、肥料および/または土壌改良剤等と混合、混用施用してもよい。
【0047】
本発明の式(I)の化合物等と混合、混用して使用できる代表例を以下に示すが、必ずしもこれらのみに限定されるものではない。
殺菌剤:
プロベナゾール(probenazole)、アシベンゾラール(acibenzolar)、チアジニル(tiadinil)、カルプロパミド(carpropamid)、ジクロシメット(diclocymet)、フェノキサニル(fenoxanil)、フサライド(phthalide)、ピロキロン(pyroquilon)、トリシクラゾール(tricyclazole)、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、メトミノストロビン(metominostrobin)、オリザストロビン(oryzastrobin)、ブラストサイジン−S(blasticidin-S)、カスガマイシン(kasugamycin)、フェリムゾン(ferimzone)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、イプロベンホス(iprobenfos)、ベノミル(benomyl)、チオファネート−メチル(thiophanate-methyl)、ペフラゾエート(pefurzoate)、イプコナゾール(ipconazole)、プロクロラズ(prochloraz)、トリフルミゾール(triflumizole)、フルジオキソニル(fludioxonil)、チラム(thiram)、
フルトラニル(flutolanil)、メプロニル(Mepronil)、チフルザミド(thifluzamide)、フラメトピル(furametpyr)、ペンシクロン(pencycuron)、ジクロメジン(diclomedine)、バリダマイシン(validamycin)、メタラキシル(metalaxyl)、ヒメキサゾール(hymexazol)、クルルタロニル(chlorothalonil)
殺虫剤:
フィプロニル(fipronil)、ジノテフラン(dinotefuran)、イミダクロプリド(imidacloprid)、クロチアニジン(clothianidin)、チアクロプリド(thiaclopid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミピリド(acetamipirid)、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、シラフルオフェン(silafluofen)、スピノサド(spinosad)、カルタップ(cartap)フェンチオン(fenthion)、フェニトロチオン(fenitrothion)、ブプロフェジン(buprofezin)、エトフェンプロックス(etofenprox)、フェノブカルブ(fenobucarb)、テブフェノジド(tebfenozide)、ベンスルタップ(bensultap)、アセフェート(acephate)、エチプロール(ethiprole)、ピメトロジン(pymetrozine)等。
【0048】
本発明に係る一般式(I)で表される化合物を活性成分として含む農園芸用殺菌剤は、一般の農園芸用殺菌剤が使用される方法と同様の方法で使用することができる。具体的には、水和剤、液剤、乳剤、ゾル剤(フロアブル剤)、顆粒水和剤、または油剤の場合は、水で50〜10000倍に希釈して、一般に活性成分が1〜10000ppmの濃度の液になるように調製し、この希釈液を、水稲や果樹など作物形態により異なるが、農耕地10アール当たり50〜1000L、通常は、100〜600Lの範囲で植物の病害発生部位の茎葉に散布しうる。
【0049】
また、液剤、乳剤、またはゾル剤(フロアブル剤)の場合は、水で希釈することなく、または50倍以内に希釈して、微量散布剤として10アール当たり、5〜5000mLの量を、主に空中散布することもできる。空中散布は、ヘリコプターなどを用いて実施される。
【0050】
また、粉剤、粗粒剤、DL粉剤、フローダスト剤、微粒剤、細粒剤、または粒剤の場合は、10アール当たり0.3〜5kgの剤(活性成分含有量は約5〜500g)を、植物の病害発生部位の茎葉、土壌表面、土壌中、または水面に施用してもよい。
【0051】
また、水稲などの育苗箱栽培においては、粒剤などを育苗箱(標準サイズ:30cm
×60cm × 5cm)当り10〜100gを、フロアブルなどは希釈せずにそのままあるいは希釈して、30〜1000mLを、播種時前あるいは後、育苗期中の土壌表面に施用することができる。
【0052】
本発明に係る一般式(I)で表される化合物を農園芸用殺菌剤として製剤化する方法の具体例を実施例7〜11に示す。
以下、本発明の実施例、および試験例により具体的に説明するが、これらにより本発明の範囲が限定されるものではない。
以下実施例1〜6において、本発明に係る一般式(I)で表される化合物の製造例を具体的に示す。記載されたNMRデータは、LNM−LA300スペクトロメーター(日本電子データム株式会社製)によって測定したデータであり、全てδ値をppmで示している。
【実施例1】
【0053】
1‐(1,3‐ジオキソラン‐2−イル)‐N‐キノリン-3-イルシクロヘキサンカルボキサミド(化合物番号1)の製造
【化10】

【0054】
[製造法C]
工程C‐1 1‐ホルミル‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチルの合成
還流冷却器、攪拌器および温度計を装備した500mL四つ口フラスコ中に、ジイソプロピルアミン(25.6g,253mmol)およびテトラヒドロフラン(THF)(100mL)を入れた。これにn‐ブチルリチウムヘキサン溶液(1.58mol/L)(147mL,232mmol)を−65℃にて加え、窒素雰囲気下で攪拌した。1時間後、シクロヘキサンカルボン酸メチル(30.0g,211mmol)を−65℃で加え、攪拌した。1時間後、蟻酸メチル(38.0g,633mmol)を-10℃で加え、徐々に室温に戻しながら1時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に水を加えて洗浄し、次いで飽和食塩水にて洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去し、さらに得られた残渣をシリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=40:1(溶媒容量比)}により精製し、標記目的物25.2g(収率70%)を無色透明液体として得た。
【0055】
工程C‐2 1‐(1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチルの合成
Dean‐Stark管、還流冷却器、攪拌器、塩化カルシウム管および温度計を装備した100mL四つ口フラスコ中に、上記で得た1‐ホルミル‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチル(6.3g,37.0mmol)、エチレングリコール(9.2g,148mmol)、トルエン(30mL)およびp‐トルエンスルホン酸一水和物(0.21g,1.10mmol)を加え、4時間還流した。反応終了後、室温に戻して、得られた反応混合物に水を加えて洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去し、さらに得られた残渣をシリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=20:1(溶媒容量比)}により精製し、標記目的物5.15g(収率65%)を無色透明液体として得た。
【0056】
工程C‐3 1‐(1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸の合成
還流冷却器、攪拌器および温度計を装備した30mL四つ口フラスコ中に、水酸化カリウム(1.0g,17.8mmol)、水(3mL)、ジメチルスルホキシド(7mL)および上記で得た1‐(1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチル(1.3g,6.10mmol)を加え、100℃で3時間攪拌した。反応終了後、室温に戻して、得られた反応混合物に水、トルエンを加えて洗浄し、1N塩酸を用いて酸性にし、トルエンにて抽出し、水、飽和食塩水にて洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去し、標記目的物1.01g(収率83%)を白色固体として得た。
【0057】
[製造法A]
1‐(1,3‐ジオキソラン‐2−イル)‐N‐キノリン-3-イルシクロヘキサンカルボキサミド(化合物No.1)の合成
還流冷却器、攪拌器、および温度計を装備した30mL四つ口フラスコ中に、上記で得た1‐(1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸(0.27g,1.35mmol)、クロロホルム(5.0mL)およびオキサリルクロライド(0.2g,1.58mmol)を加えて室温で攪拌した。30分後、N,N‐ジメチルホルムアミドを2滴加え、さらに室温にて攪拌した。1時間後、この反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣をクロロホルム(1mL)で希釈した。次いで、別途用意した還流冷却器、攪拌器および温度計の装備した30mL四つ口フラスコ中に、3‐アミノキノリン(0.095g,0.66mmol)、トリエチルアミン(0.2g,1.98mmol)およびクロロホルム(3mL)を入れた。これに上記希釈したクロロホルム溶液を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に水を加えて洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去し、さらに得られた残渣をシリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=3:1(溶媒容量比)}により精製し、標記目的物0.14g(収率68%)を白色固体として得た。
【実施例2】
【0058】
1‐(2‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐N‐キノリン-3-イルシクロヘキサンカルボキサミド(化合物番号4)の製造
【化11】

【0059】
[製造法D]
工程D‐1
1‐アセチル‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチルの合成および工程E‐2による精製
還流冷却器、攪拌器および温度計を装備した200mL四つ口フラスコ中に、ジイソプロピルアミン(8.7g,86.0mmol)およびテトラヒドロフラン(THF)(50mL)を入れた。これにn‐ブチルリチウムヘキサン溶液(1.58mol/L)(49.9mL,78.8mmol)を−65℃でて加え、窒素雰囲気下で攪拌した。1時間後、シクロヘキサンカルボン酸メチル(10.2g,71.7mmol)を−65℃で加え、攪拌した。1時間後、無水酢酸(10.9g,107mmol)を−65℃で加え、徐々に室温に戻しながら1時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に水、ヘキサンを加えて抽出処理し、さらに水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去した。次いで、別途用意した還流冷却器、攪拌器、および温度計の装備した200mL四つ口フラスコ中に、上記で得られた残渣をメタノール(50mL)に溶かして加え、さらに炭酸カリウム(11.9g,86.1mmol)を水(50mL)に溶かして加えて室温で3時間攪拌した。反応終了後、減圧下メタノールを留去し、トルエン、水を加えて抽出処理し、水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去し、標記目的物10.7g(収率81%)を無色透明液体として得た。
【0060】
工程D‐3
1‐(2‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチルの合成
Dean‐Stark管、還流冷却器、攪拌器、塩化カルシウム管および温度計を装備した500mL四つ口フラスコ中に、上記で得た1‐アセチル‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチル(13g,70.6mmol)、エチレングリコール(17.5g,282mmol)、トルエン(200mL)およびp‐トルエンスルホン酸一水和物(0.33g,1.73mmol)を加え、6時間還流した。反応終了後、室温に戻して、得られた反応混合物に水を加えて洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、得られた残渣をシリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=30:1(溶媒容量比)}により精製し、標記目的物13.7g(収率85%)を無色透明液体として得た。
【0061】
工程D‐4
1‐(2‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸の合成
還流冷却器、攪拌器および温度計を装備した100mL四つ口フラスコ中に、水酸化カリウム(7.3g,130mmol)、水(10mL)、ジメチルスルホキシド(40mL)および上記で得た1‐(2‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチル(10.0g,43.8mmol)を加え、120℃にて2時間攪拌した。反応終了後、室温に戻して、得られた反応混合物に水、トルエンを加えて洗浄し、1N塩酸を用いて酸性にし、トルエンにて抽出し、水、飽和食塩水にて洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去し、標記目的物7.79g(収率83%)を白色固体として得た(融点:64〜67℃)。
【0062】
[製造法A]
1‐(2‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐N‐キノリン-3-イルシクロヘキサンカルボキサミド(化合物No.4)の合成
還流冷却器、攪拌器、および温度計を装備した50mL四つ口フラスコ中に、上記で得た1‐(2‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸(1.57g,7.33mmol)、クロロホルム(15.0mL)及びオキサリルクロライド(0.93g,7.33mmol)を加えて室温で攪拌した。30分後、N,N‐ジメチルホルムアミドを2滴加え、さらに室温で攪拌した。1時間後、この反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣をクロロホルム(5mL)で希釈した。次に、別途用意した還流冷却器、攪拌器および温度計の装備した50mL四つ口フラスコ中に、3‐アミノキノリン(0.96g,6.66mmol)、トリエチルアミン(2.02g,20.0mmol)およびクロロホルム(10mL)を加えた。これに上記の希釈したクロロホルム溶液を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に水を加えて洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去した後、得られた残渣をシリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=3:1(溶媒容量比)}により精製し、標記目的物1.89g(収率83%)を無色油状物として得た。
【実施例3】
【0063】
1‐(2‐メチル‐trans-4,5‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐N‐キノリン-3-イルシクロヘキサンカルボキサミド(化合物番号11)の製造
【化12】

【0064】
[製造法D]
工程D‐3
1‐(2‐メチル‐trans-4,5‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチルの合成
Dean‐Stark管、還流冷却器、攪拌器、塩化カルシウム管および温度計を装備した200mL四つ口フラスコ中に、1‐アセチル‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチル(5.0g,27.1mmol)、2,3‐ブタンジオール(12.2g,135mmol)、トルエン(100mL)およびp‐トルエンスルホン酸一水和物(0.52g,2.73mmol)を加え、7時間還流した。反応終了後、室温に戻して、得られた反応混合物に水を加えて洗浄し、次いで飽和食塩水にて洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去した後、得られた残渣をシリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=40:1(溶媒容量比)}により精製し、標記目的物2.71g(収率39%)を白色固体として得た。
【0065】
工程D‐4
1‐(2‐メチル‐trans-4,5‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸の合成
還流冷却器、攪拌器および温度計を装備した50mL四つ口フラスコ中に、カリウムt‐ブトキシド(1.58g,14.1mmol)、水(2mL)、ジメチルスルホキシド(20mL)および上記で得た1‐(2‐メチル‐trans-4,5‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチル(1.81g,7.06mmol)を加え、100℃で1時間攪拌した。反応終了後、室温に戻して、得られた反応混合物に水およびトルエンを加えて洗浄し、1N塩酸を用いて酸性にし、トルエンにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去し、標記目的物1.52g(収率89%)を白色固体として得た(融点:106〜109℃)。
【0066】
[製造法A]
1‐(2‐メチル‐trans-4,5‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐N‐キノリン-3-イルシクロヘキサンカルボキサミド(化合物No.11)の合成
還流冷却器、攪拌器、および温度計を装備した30mL四つ口フラスコ中に、上記で得た1‐(2‐メチル‐trans-4,5‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸(0.20g,0.83mmol)、クロロホルム(5.0mL)およびオキサリルクロライド(0.15g,1.18mmol)を加えて室温で攪拌した。30分後、N,N‐ジメチルホルムアミドを2滴加え、さらに室温で攪拌した。1時間後、この反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣をクロロホルム(1mL)で希釈した。次に、別途用意した還流冷却器、攪拌器、および温度計の装備した30mL四つ口フラスコ中に、3‐アミノキノリン(0.1g,0.67mmol)、トリエチルアミン(0.25g,2.47mmol)およびクロロホルム(3mL)を加えた。これに上記で希釈したクロロホルム溶液を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に水を加えて洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去した後、得られた残渣をシリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=3:1(溶媒容量比)}により精製し、標記目的物0.16g(収率64%)を白色固体として得た。
【実施例4】
【0067】
1‐(2‐エチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐N‐キノリン-3-イルシクロヘキサンカルボキサミド(化合物番号5)の製造
【化13】

【0068】
[製造法D]
工程D‐1 1‐プロピオニル‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチルの合成
還流冷却器、攪拌器および温度計を装備した100mL四つ口フラスコ中に、ジイソプロピルアミン(4.25g,42.0mmol)およびテトラヒドロフラン(THF)(10mL)を入れた。これにn‐ブチルリチウムヘキサン溶液(1.58mol/L)(24.4mL,38.6mmol)を−65℃で加え、窒素雰囲気下で攪拌した。1時間後、シクロヘキサンカルボン酸メチル(5.0g,35.2mmol)を−65℃で加え、攪拌した。1時間後、プロピオン酸クロライド(3.26g,35.2mmol)を−65℃で加え、徐々に室温に戻しながら1時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に水、ヘキサンを加えて抽出処理し、さらに水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去した後、得られた残渣をシリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=40:1(溶媒容量比)}により精製し、標記目的物2.79g(収率40%)を無色透明液体として得た。
【0069】
工程D‐3 1‐(2‐エチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチルの合成
Dean‐Stark管、還流冷却器、攪拌器、塩化カルシウム管および温度計を装備した30mL四つ口フラスコ中に、上記で得た1‐プロピオニル‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチル(1.0g,5.04mmol)、エチレンジオキシビス(トリメチルシラン)(1.25g,6.06mmol)およびジクロロメタン(10mL)加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、室温に戻して、得られた反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて洗浄し、次いで飽和食塩水にて洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、得られた残渣をシリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=8:1(溶媒容量比)}により精製し、標記目的物0.90g(収率74%)を無色透明液体として得た。
【0070】
工程D‐4 1‐(2‐エチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸の合成
還流冷却器、攪拌器および温度計を装備した30mL四つ口フラスコ中に、水酸化カリウム(1.05g,18.7mmol)、水(1mL)、ジメチルスルホキシド(10mL)および上記で得た1‐(2‐エチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチル(1.52g,6.27mmol)を加え、110℃にて2時間攪拌した。反応終了後、室温に戻して、得られた反応混合物に水、トルエンを加えて洗浄し、1N塩酸を用いて酸性にし、トルエンで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去し、標記目的物1.0g(収率70%)を白色固体として得た。
【0071】
[製造法A]
1‐(2‐エチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐N‐キノリン-3-イルシクロヘキサンカルボキサミド(化合物No.5)の合成
還流冷却器、攪拌器、および温度計を装備した30mL四つ口フラスコ中に上記で得た1‐(2‐エチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸(0.33g,1.45mmol)、クロロホルム(5.0mL)およびオキサリルクロライド(0.20g,1.58mmol)を加えて室温で攪拌した。30分後、N,N‐ジメチルホルムアミドを2滴加え、さらに室温で攪拌した。1時間後、この反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣をクロロホルム(1mL)で希釈した。次いで、別途用意した還流冷却器、攪拌器、および温度計の装備した30mL四つ口フラスコ中に、5‐アミノフロ[2,3‐b]ピリジン(0.15g,1.12mmol)、トリエチルアミン(0.34g,3.36mmol)およびクロロホルム(3mL)を加えた。さらに上記で希釈したクロロホルム溶液を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に水を加えて洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、得られた残渣をシリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=3:1(溶媒容量比)}により精製し、標記目的物0.31g(収率82%)を白色固体として得た。
【実施例5】
【0072】
1‐(2‐トリフルオロメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐N‐キノリン-3-イルシクロヘキサンカルボキサミド(化合物番号9)の製造
【化14】

【0073】
[製造法E]
工程E‐1 1‐(2‐トリフルオロメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチルの合成
還流冷却器、攪拌器および温度計を装備した100mL四つ口フラスコ中に、水素化ナトリウム(0.35g,14.6mmol)を入れた。これに1‐トリフルオロアセチル‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチル(3.2g,13.4mmol)を氷冷下で加え、窒素雰囲気下で30分攪拌した。30分後、2‐ブロモエタノール(33g,264mol)を氷冷下で加え、室温に戻し、80℃で5時間撹拌した。室温に戻して、トリエチルアミン(3.5g,34.6mmol)を加え、さらに3時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に水、ヘキサンを加えて抽出処理し、0.5N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、得られた残渣をシリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1(溶媒容量比)}により精製し、標記目的物2.20g(収率58%)を無色透明液体として得た。
【0074】
工程E‐2 1‐(2‐トリフルオロメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸の合成
還流冷却器、攪拌器および温度計を装備した30mL四つ口フラスコ中に、水酸化カリウム(0.6g,10.7mmol)、水(1mL)、ジメチルスルホキシド(5mL)および上記で得た1‐(2‐トリフルオロメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸メチル(1.0g,3.54mmol)を加え、110℃にて9時間攪拌した。反応終了後、室温に戻して、得られた反応混合物に水、ヘキサンを加えて洗浄し、1N塩酸を用いて酸性にし、トルエンにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去し、標記目的物0.4g(収率42%)を白色固体として得た。
【0075】
[製造法A]
1‐(2‐トリフルオロメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐N‐キノリン-3-イルシクロヘキサンカルボキサミド(化合物No.9)の合成
還流冷却器、攪拌器、および温度計を装備した30mL四つ口フラスコ中に、1‐(2‐トリフルオロメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸(0.2g,0.75mmol)、クロロホルム(3.0mL)およびオキサリルクロライド(0.11g,0.87mmol)を加えて室温で攪拌した。30分後、N,N‐ジメチルホルムアミドを2滴加え、さらに室温で攪拌した。1時間後、この反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣をクロロホルム(1mL)で希釈した。次いで、別途用意した還流冷却器、攪拌器および温度計の装備した30mL四つ口フラスコ中に、5‐アミノチエノ[2,3‐b]ピリジン(0.1g,0.67mmol)、トリエチルアミン(0.2g,1.98mmol)およびクロロホルム(3mL)を加えた。これに上記クロロホルムで希釈した溶液を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に水を加えて洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、得られた残渣をシリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=3:1(溶媒容量比)}により精製し、標記目的物0.13g(収率53%)を白色固体として得た。
【実施例6】
【0076】
1‐(2‐イソプロピル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐N‐キノリン-3-イルシクロヘキサンカルボキサミド(化合物番号10)の製造
【化15】

【0077】
[製造法B]
還流冷却器、攪拌器および温度計を装備した30mL四つ口フラスコ中に、1‐(2‐メトキシメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)‐1‐シクロヘキサンカルボン酸(70mg,0.29mmol)、アセトニトリル(3mL)およびトリエチルアミン(0.12g,1.16mmol)を加え、0℃に冷却した。さらに窒素雰囲気下に塩化メタンスルホニル(40mg,0.35mmol)を同温度で加え、攪拌した。30分後、3‐アミノキノリン(42mg,0.29mmol)を加え、徐々に室温に戻しながら攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に水を加えて、トルエンで抽出した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、得られた残渣をシリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=3:1(溶媒容量比)}により精製し、標記目的物47mg(収率44%)を白色固体として得た。
【0078】
本発明の一般式(I)で表される化合物のいくつかについて、表2にそのNMRによる分析データを示す。
【表2】

【実施例7】
【0079】
粉剤
化合物番号25の化合物(2重量部)、PAP(イソプロピルリン酸エステル)(物理性改良剤)(1重量部)およびクレ−(97重量部)の混合物を、均一に粉砕混合して、活性成分を2重量%含有する粉剤を得ることができる。さらに、化合物番号25に替えて、表1に記載の各化合物を用いること以外は、同様の方法により、それぞれの粉剤を得ることができる。
【実施例8】
【0080】
水和剤
化合物番号22の化合物(20重量部)、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(3重量部)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(5重量部)および白土(72重量部)の混合物を均一に混合し、粉砕することにより、活性成分を20重量%含有する水和剤を得ることができる。さらに、化合物番号22の化合物に替えて、表1に記載の各化合物を用いること以外は、同様の方法により、それぞれ水和剤を得ることができる。
【実施例9】
【0081】
乳剤
化合物番号19の化合物(30重量部)、メチルエチルケトン(40重量部)およびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(30重量部)混合して溶解することにより、活性成分を30重量%含有する乳剤を得ることができる。さらに、化合物番号19の化合物に替えて、表1に記載の各化合物を用いること以外は、同様の方法により、それぞれ乳剤を得ることができる。
【実施例10】
【0082】
フロアブル剤
化合物番号4の化合物(25重量部)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(1重量部)、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(1重量部)、カルボキシメチルセルロース(1重量部)および水(72重量部)の混合物を均一に混合することにより、活性成分を25重量%含有するゾル剤を得ることができる。さらに、化合物番号4の化合物に替えて、表1に記載の各化合物を用いること以外は、同様の方法により、それぞれのフロアブル剤を得ることができる。
【実施例11】
【0083】
粒剤
化合物番号4の化合物(5重量部)、ラウリル硫酸ナトリウム(1重量部)、リグニンスルホン酸カルシウム(5重量部)、ベントナイト(30重量部)およびクレー(59重量部)の混合物に、さらに水(15重量部)を加えて混練機で混練したのち、造粒機で造粒し、流動乾燥機で乾燥して、活性成分を5重量%含有する粒剤を得ることができる。さらに、化合物番号4の化合物に替えて、表1に記載の各化合物を用いること以外は、同様の方法により、それぞれの粒剤を得ることができる。
【0084】
(試験例)
以下に、本発明に係る一般式(I)で表される1,3‐ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオソラン誘導体または1,3‐オキサチオラン誘導体およびそれを有効成分として含む農園芸用殺菌剤の有用性について、以下に試験例1〜6を参照して明らかにする。しかしながら、本発明の有用性は、これらの試験例によって明らかにされる有用性に限定されるものではない。また、供試化合物番号とは、表1で表す化合物と同一の番号を表す。
【0085】
(試験例1)
[イネいもち病に対する箱処理による防除効果試験(フロアブル剤)]
温室内で育苗箱(標準育苗箱の1/10面積サイズ:12cm×15cm×高さ4cm)を用いて育苗した水稲(品種:朝日)の2.5葉期苗に、実施例10に準じて調製したフロアブル剤の希釈液(5000ppm)を50mL潅注した。この薬剤処理した水稲苗を直ちに水田土(湛水)を詰めたポット(1/10000アールサイズ)に5苗/ポットで移植した。温室内で4週間栽培後、あらかじめ、別の水稲葉上で形成させたイネいもち病菌(Pyricularia grisea)の分生胞子を薬剤処理した水稲に接種し、24℃の接種箱内に24時間静置した後、24℃の人工気象室内において、発病を促した。接種の7日後に、水稲の1株当りのイネいもち病の病斑数を調査し、平均病斑数を求め、下記の式1により防除価(%)を算出した。そして、下記の表3に従い、防除価を評価値に換算した。本試験は、1薬剤区当り、1区1ポットの5連制で行った。
【0086】
【数1】

【0087】
【表3】

【0088】
また、下記の基準により、作物に対する薬害程度を調査した。
薬害程度の調査指数(6段階で評価)
5:激甚 4:甚 3:多 2:若干 1:わずか 0:なし
防除効果の評価値と薬害程度の調査指数は試験例2〜5においても適用した。
【0089】
これらの結果を表4に示す。
なお、表4〜表6中の比較化合物Aは、国際公開特許WO04‐005261号公報記載の下記の化合物である。
【0090】
【化16】

【0091】
【表4】

【0092】
(試験例2)
[イネいもち病に対する箱処理による防除効果試験(粒剤)]
温室内で育苗箱(標準育苗箱の1/10面積サイズ:12cmx15cmx高さ4cm)を用いて育苗した水稲(品種:朝日)の2.5葉期苗に、実施例11に準じて調製した粒剤5gを育苗箱上部より散布した。この薬剤処理した水稲苗を直ちに水田土(湛水)を詰めたポット(1/10000アールサイズ)に5苗/ポットで移植した。温室内で6週間栽培後、あらかじめ、別の水稲葉上で形成させたイネいもち病菌(Pyricularia grisea)の分生胞子を薬剤処理した水稲に接種し、24℃の接種箱内に24時間静置した後、24℃の人工気象室内において、発病を促した。接種の7日後に、水稲の1株当りのイネいもち病の病斑数を調査し、平均病斑数を求め、式1により防除価(%)を算出した。そして、表3に従い、防除価を評価値に換算した。本試験は、1薬剤区当り、1区1ポットの5連制で行った。
これらの結果を表5に示す。
【0093】
【表5】

【0094】
(試験例3)
[イネいもち病に対する水面施用による防除効果試験(フロアブル剤)]
温室内で水田土(湛水)を詰めたポット(1/10000アールサイズ)で栽培した水稲(品種:朝日)の5葉期苗(5苗/株、1株/ポット)に、実施例10に準じて調製したフロアブル剤の希釈液(1000ppm)1mLを田面水へ点滴処理した。温室内で1週間栽培後、あらかじめ、別の水稲葉上で形成させたイネいもち病菌(Pyricularia grisea)の分生胞子を薬剤処理した水稲に接種し、24℃の接種箱内に24時間静置した後、24℃の人工気象室内において、発病を促した。接種の7日後に、水稲の1株当りのイネいもち病の病斑数を調査し、平均病斑数を求め、の式1により防除価(%)を算出した。そして、表3に従い、防除価を評価値に換算した。本試験は、1薬剤区当り、1区1ポットの5連制で行った。
これらの結果を表6に示した。
【0095】
【表6】

【0096】
(試験例4)
[キュウリ灰色かび病防除効果試験]
温室内で直径6cmの大きさのプラスチックポットで栽培したキュウリ(品種:相模半白)の1.5葉期苗に、実施例8に準じて調製した水和剤の希釈液(500ppm)を1ポットあたり10mL散布した(茎葉散布)。薬剤処理をした翌日、あらかじめジャガイモ煎汁培地上で培養したキュウリ灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の含菌寒天片(直径5mm)を薬剤処理したキュウリの第1葉上に接種し、20℃の温室内に入れた。接種の4日後に、病斑直径(cm)を測定し、下記の式2により防除価(%)を算出した。そして、表3に従い、防除価を評価値に換算した。本試験は、1薬液濃度当り、1区1ポットの3連制で行った。その平均の防除効果の評価値を求めた。
【0097】
【数2】

【0098】
これらの結果を表7に示す。
【表7】

【0099】
(試験例5)
[コムギ赤さび病防除効果試験]
温室内で直径6cmの大きさのプラスチックポットで栽培した小麦(品種:農林61号)の1.5葉期苗に、実施例8に準じて調製した水和剤の希釈液(500ppm)を1ポットあたり10mL散布した(茎葉散布)。薬剤処理をした翌日、あらかじめ別の小麦葉上で形成させたコムギ赤さび病菌(Puccinia recondita)の夏胞子の胞子懸濁液(胞子濃度5X10個/mL)を薬剤散布したポット上に1ポットあたり5mL噴霧接種し、20℃の人工気象室内において、発病を管理した。接種の10日後に、第1葉上の病斑数を調査し、式1により防除価(%)を算出した。そして、表3に従い、防除価を評価値に換算した。本試験は、1薬液濃度当り、1区1ポットの3連制で行った。その平均の防除効果の評価値を求めた。
これらの結果を以下の表8に示す。
【0100】
【表8】

注1) 無散布区の
( ) 内の数値は、1葉当りの病斑数を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

[一般式(I)中、XおよびYは、それぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を示し、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基またはハロアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を示し、Aは、シクロヘキサン環またはシクロペンタン環を示す。]で表される1,3‐ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオラン誘導体若しくは1,3‐オキサチオラン誘導体。
【請求項2】
前記一般式(I)において、XおよびYは、それぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を示し、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6の低級アルキル基を示し、Aは、シクロヘキサン環を示すことを特徴とする請求項1に記載の1,3‐ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオラン誘導体若しくは1,3‐オキサチオラン誘導体。
【請求項3】
請求項1および請求項2に記載の一般式(I)で表される1,3‐ジオキソラン誘導体、1,3‐ジチオラン誘導体若しくは1,3‐オキサチオラン誘導体を含有することを特徴とする農園芸用殺菌剤

【公開番号】特開2009−91320(P2009−91320A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265093(P2007−265093)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000242002)北興化学工業株式会社 (182)
【Fターム(参考)】