説明

1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体の製造

本発明は、二つのフェニル基の一方がカルボキシアルキルオキシ基またはカルボキシアルキルチオ基で置換された、1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンの製造法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つのフェニル基の一方がカルボキシアルキルオキシ基またはカルボキシアルキルチオ基で置換された、1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体の新規な製造方法に関する。
【0002】
一般に、1,3−ジフェニルプロペン−1−オンは、クライゼン−シュミット反応でのアルデヒドとケトンとの縮合反応によって製造される(March, J., 1992, "Advanced Organic Chemistry"、第4版、940, Wiley Interscience)。
【0003】
古典的には、カルボキシアルキルオキシ基で置換された1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンは、該方法によって、カルボキシアルキルオキシ基または対応するエステルで置換されるようにして選ばれる出発材料(アルデヒドおよびケトン)から得られる。工程のこの順序は、下記のダイヤグラムの一つによって要約され得る:
【0004】
【化3】

【0005】
しかし、そのようにして得られた化合物の酸性の性質、ならびにしばしば二次生成物および未反応出発材料が反応媒体中に存在することは、再結晶またはシリカゲルでのクロマトグラフィーによる精製を困難にさせ、収率の有意な低下を招く。
【0006】
したがって、本明細書に実施例1および実施例3として引用される化合物を製造するのにこの合成のストラテジーを用いても、10%超の全体的収率を達成することは可能ではなかった。
【0007】
ここに、本発明者らは、カルボキシアルキルオキシ基またはカルボキシアルキルチオ基で置換された1,3−ジフェニル−2−エン−1−オンを高収率で得ることができる、実施が簡単な方法を開発した。この方法は、ヒドロキシルまたはチオール基で置換された1,3−ジフェニル−2−エン−1−オン誘導体との反応によって、カルボキシアルキルオキシまたはカルボキシアルキルチオ基を、tert−ブチルエステルまたはイソプロピルエステルの形態で導入する点が前記の合成と異なる。後者は、一般的には、クライゼン−シュミット反応によって得られる。
【0008】
本発明の方法の一実施態様は、酸に不安定なカルボン酸保護基(acid-labile protective group of carboxylic acid)、たとえばtert−ブチルまたはイソプロピル型の使用に基づく。該基は、ジフェニル−1,3−プロパ−2−エン−1−オンの化学構造に適合できる条件下で付加かつ切断できることを、本発明者らは示した。本発明の目的である新規な合成法を開発するのに、これらの利点を本発明者らは利用した。
【0009】
このようにして得られる、カルボキシアルキルオキシ基またはカルボキシアルキルチオ基で置換された1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンは、製薬または化粧品の分野では、多大な関心が持たれる。事実、該化合物は、PPAR活性剤、抗酸化剤および抗炎症性の特性を同時に示し、そのようなものとして、治療または予防の高いポテンシャルを有し、特に、脳血管性疾患、心血管性疾患、X症候群、再狭窄、糖尿病、肥満症、高血圧、炎症性障害、癌または新生物(良性または悪性腫瘍)、神経変性性、皮膚科疾患、および酸化性ストレスに関連する障害の治療または予防に、加齢の全般的効果、たとえば皮膚の老化、特に化粧品の分野でのもの(しわの出現等々)の予防および治療に用いることができる。
【0010】
上記により、本発明は、二つのフェニル基の一方がカルボキシアルキルオキシ基またはカルボキシアルキルチオ基で置換された、1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体の、実施するのが容易で、高い収率を与える方法を提供することを対象とする。
【0011】
この目的およびその他は、カルボキシアルキルオキシまたはカルボキシアルキルチオ基で置換された1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体を製造する方法を特に目的として有する、本発明によって達成されて、該方法は、フェニル基の一方がヒドロキシルまたはチオール基で置換された、少なくとも1種類の1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体を、下記の一般式(II)[式中、Yは、ハロゲン原子を表し、Rは、C1〜C24アルキル鎖(1〜24個の炭素原子を有する)であり、R’は、酸に不安定なカルボン酸保護基である]で表される、少なくとも1種類のハロゲン化化合物と接触させる工程(以下(i)と称する)を含む。
【0012】
該工程は、下記のダイヤグラムの一つによって要約され得る:
【0013】
【化4】

【0014】
該工程は、好都合には、25〜120℃、より好ましくは80〜120℃を含む温度で、好ましくは大気圧で、触媒、たとえば炭酸セシウムまたは炭酸カリウムの存在下で実施する。
【0015】
好ましい方式では、該工程は、一般式(II)で表されるハロゲン化化合物、および場合により触媒、たとえば炭酸セシウムまたは炭酸カリウムを、好都合には、フェニル基の一方がヒドロキシルまたはチオール基で置換された1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体が消失するまで、数回、添加して繰り返す。
【0016】
一般式(II)で表されるハロゲン化化合物のアルキル鎖Rは、1〜24個、好ましくは1〜10個の炭素原子、とりわけ1個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖または環状の炭化水素鎖を意味する。該鎖は、1〜12個、好都合には1〜6個の炭素原子を有する、一つ以上の飽和の直鎖または環状の炭化水素の基、たとえばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、とりわけメチルで置換されていることができる。
【0017】
好ましくは、このカルボン酸保護基は、カルボン酸官能基に結合する炭素原子が、1〜4個の炭素原子を有する、一つまたは二つの直鎖もしくは分枝鎖アルキル基で置換された、C1〜C5アルキル(1〜5個の炭素原子を有する)型の酸不安定の官能基からなる群から選ばれる。より好ましくは、好ましくは保護基は、tert−ブチル基およびイソプロピル基のうちから選ばれる。
【0018】
本発明の説明中、用語「tert−ブチル基およびイソプロピル基」を用いるが、それらは、上記に定義されたような、カルボン酸の他のいかなる保護基にも一般化できることを理解しなければならない。
【0019】
好都合には、上記の工程(i)に用いられる、ヒドロキシルまたはチオール基で置換された1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体は、アセトフェノン型化合物とチオ−もしくはヒドロキシ−ベンズアルデヒド誘導体との、またはチオ−もしくはヒドロキシ−アセトフェノン誘導体とベンズアルデヒド型化合物との、酸性または塩基性媒体中でのクライゼン−シュミット反応によって得る。
【0020】
上記の工程(i)の後、本発明の方法は、工程(i)で得られたエステルの酸加水分解によって、1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンのカルボキシアルキルオキシまたはカルボキシアルキルチオ誘導体を製造する工程(ii)を含む。
【0021】
該工程(ii)は、下記のダイヤグラムの一つによって要約され得る:
【0022】
【化5】

【0023】
好都合には、該酸加水分解工程は、アルキルオキシカルボニルアルキルオキシまたはアルキルオキシカルボニルアルキルチオ基で置換された、1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体をトリフルオロ酢酸と接触させることによって実施する。一般的には、トリフルオロ酢酸の量は、1〜20当量、好ましくは8〜12当量である。好都合には、該工程は、0〜100℃、より好ましくは18〜25℃の温度で、好ましくは大気圧で実施する。
【0024】
より具体的には、本発明は、カルボキシアルキルオキシ基またはカルボキシアルキルチオ基で置換された1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンの製造を記載する。該方法の利益は、二つの合成工程の組み合わせ:フェニル基の一方がヒドロキシルまたはチオール基で置換された1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン体からのtert−ブチルエステルまたはイソプロピルエステル(または他のいかなる保護基も)の合成、その後の製造された中間体エステルの酸加水分解工程、にある。
【0025】
tert−ブチルオキシカルボニルアルキルまたはイソプロピルオキシカルボニルアルキル基は、ハロゲン化された誘導体による化学的前駆体(ヒドロキシ−1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンまたはその硫酸化された類似体)のアルキル化によって、高収率で容易に付加される。そうして得られたtert−ブチルエステルまたはイソプロピルエステル中間体は、特にシリカゲルでのクロマトグラフィーまたは再結晶によって、容易に精製することができる。
【0026】
tert−ブチルエステルまたはイソプロピルエステルは、トリフルオロ酢酸の作用によって、対応する酸へと切断される。この、tert−ブチルまたはイソプロピル基の切断に適応させた方法は、エステルから対応する酸への完全な転換を達成するのを可能にする。本発明者らは、該方法は、1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンの化学構造に適合することを発見した。その結果、それは、分解生成物の形成へとまさに導き、古典的に観察されるものより高い収率での酸の生成を許す。
【0027】
本発明の範囲内で実施することができる3工程は、下記のとおりに要約され得る。
【0028】
第一工程:化学的前駆体の合成
ヒドロキシ−1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン、または硫酸化されたその類似体は、酸性または塩基性媒体中での古典的なクライゼン−シュミット反応によって製造することができる:
【0029】
【化6】

【0030】
該反応に用いられるアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン(または硫酸化されたその類似体)、ベンズアルデヒドおよびヒドロキシベンズアルデヒド(または硫酸化されたその類似体)型の化合物は、場合により、フェニル基で置換されていることができる。該置換基は、より詳しくは、ハロゲン原子、アルキル基、チオニトロソ基およびアルキルオキシ基またはアルキルチオ基からなる群から選ばれる。
【0031】
該反応を酸性または塩基性媒体中で実施する条件は、当業者には熟知されており、広範囲に変化させることができる。
【0032】
好都合な方式では、該二つの化合物を化学量論的比率で接触させる。接触は、好ましくは、室温(ほぼ18〜25℃)および大気圧で実施する。
【0033】
塩基性媒体中では、反応は、好ましくは、強塩基、たとえば、水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物、またはナトリウムエチラートのようなアルカリ金属アルコラートの存在下で実施する。
【0034】
酸性媒体中では、反応は、好ましくは、強酸、たとえば塩酸の存在下で実施する。
【0035】
好都合には、塩基性媒体中での合成は、以下のようにして実施することができる。
【0036】
1モル当量のケトンおよび1モル当量のアルデヒドを、20モル当量での水酸化ナトリウムの水−アルコール溶液に溶解する。この混合物を、6〜48時間、好ましくは16〜20時間、0〜100℃、好ましくは18〜25℃の温度で撹拌する。次いで、媒体を、特に塩酸で(特に約2のpHまで)酸性化する。
【0037】
期待されるヒドロキシ−1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン(または硫酸化されたその類似体)は、反応媒体の蒸発後に、沈澱または固体/液体抽出によって得ることができる。次いで、シリカゲルでのクロマトグラフィーまたは再結晶によって精製することができる。
【0038】
好都合には、酸性媒体中での合成は、以下のようにして実施することができる:
【0039】
1モル当量のケトンおよび1モル当量のアルデヒドを、気体の塩酸で飽和させたエタノール溶液に溶解する。この混合物を、0〜100℃、好ましくは18〜25℃の温度で1〜24時間、好ましくは1〜6時間、好ましくは大気圧で撹拌する。溶媒は、特に減圧下での蒸発によって除去する。1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンは、特にシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。
【0040】
第二工程:tert−ブチルエステルまたはイソプロピルエステルの製造
【0041】
【化7】

【0042】
反応は、以下のようにして実施することができる:
1モル当量のヒドロキシ−1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン(または硫酸化されたその類似体)を、溶媒、好ましくはアセトニトリルまたはアセトンに溶解し、1〜10当量、好ましくは4〜6当量の炭酸セシウムまたは炭酸カリウムを加えた後、ハロゲン化されたtert−ブチルエステルまたはイソプロピルエステル型の誘導体(1〜20モル当量、好ましくは4〜8モル当量、より好ましくは6当量)を加える。混合物を、(活溌に)撹拌しつつ、25〜120℃、好ましくは100℃に、1〜24時間、好ましくは10〜14時間、より好ましくは10時間、一般的には大気圧で加熱する。特に減圧下での蒸発によって、溶媒を除去する。場合により、反応媒体を、3〜6モル当量のハロゲン化誘導体および3〜5モル当量の炭酸セシウムまたは炭酸カリウムと再度反応させ、該操作を、出発材料の完全な消失まで繰り返すことができる。
【0043】
tert−ブチルオキシカルボニルアルキルオキシ、tert−ブチルオキシカルボニルアルキルチオ、イソプロピルオキシカルボニルアルキルオキシまたはイソプロピルオキシカルボニルアルキルチオ基で置換された1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンは、特にシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。
【0044】
第三工程:tert−ブチルエステルまたはイソプロピルエステルからの酸の製造
【0045】
【化8】

【0046】
tert−ブチルオキシカルボニルアルキルオキシ基、tert−ブチルオキシカルボニルアルキルチオ基、イソプロピルオキシカルボニルアルキルオキシ基またはイソプロピルオキシカルボニルアルキルチオ基で置換された、1モル当量の1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンを、溶媒、たとえばジクロロメタンに溶解する。1〜20当量、好ましくは8〜12当量の酸、より好ましくは10当量の酸、好ましくはトリフルオロ酢酸を加える。混合物を、0〜100℃、好ましくは18〜25℃の温度で、1〜24時間、好ましくは8〜14時間、より好ましくは12時間、好ましくは大気圧で活溌に撹拌する。特に減圧下での蒸発によって、溶媒を除去する。カルボキシアルキルオキシまたはカルボキシアルキルチオ基で置換された1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンは、特にシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。好ましくは、反応は大気圧で実施する。
【0047】
この方法は、好都合には、2002年7月8日に本出願人らが提出した、フランス国特許出願FR 02 08571に記載された化合物を製造するのに実施することができる。該化合物は、一般式(I):
【0048】
【化9】

【0049】
(式中、
1は、ハロゲンもしくは−R1基、または式:−G1−R1に相当する基を表し、
2は、水素原子、チオニトロソ基、アルキルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基またはアルキルカルボニルチオ基を表し、
3は、−R3基、または式:−G3−R3に相当する基を表し、
4は、ハロゲン、チオニトロソ基、−R4基、または式:−G4−R4に相当する基を表し、
5は、−R5基、または式:−G5−R5に相当に相当する基を表し、
1、R3、R4、R5は、同一、または異なっており、水素原子、またはカルボン酸官能基で置換されているか、もしくは置換されていないアルキル基を表し、
1、G3、G4、G5は、同一、または異なっており、酸素または硫黄原子を表し、
基X1、X3、X4またはX5の一つは、Rがカルボン酸官能基を有するアルキル基である、式−G−Rに相当する)
によって表される。
【0050】
好都合には、該合成方法は、基X1、X3、X4またはX5のいずれもがヒドロキシルまたはチオール基ではない、一般式(I)で表される化合物の製造を可能にする。
【0051】
好ましい方式では、該方法は、基R3、R4およびR5の少なくとも一つがカルボン酸官能基を有するアルキル基を表す、一般式(I)で表される化合物の製造を可能にする。
【0052】
好ましい方式では、R4は、カルボン酸官能基を有するアルキル基である。
【0053】
好ましい方式では、R4は、カルボン酸官能基を有するアルキル基であり、X3およびX5は、非置換アルキルである。
【0054】
より好ましい方式では、X4は、カルボキシジメチルメチルオキシまたはカルボキシジメチルメチルチオ基である。
【0055】
好ましい方式では、G4は、酸素原子であり、R4は、カルボン酸官能基を有するアルキル基である。
【0056】
好ましい方式では、G4は、酸素原子であり、R4は、カルボン酸官能基を有するアルキル基であり、X3およびX5は、非置換アルキルである。
【0057】
より好ましい方式では、X4は、カルボキシジメチルメチルオキシ基である。
【0058】
より好ましい方式では、X4は、カルボキシジメチルメチルチオ基である。
【0059】
上記のような一般式(I)で表される誘導体は、シスまたはトランスの立体配座をとることができる。
【0060】
好都合には、X3、X4およびX5は、水素原子ではない。
【0061】
本発明の精神では、用語「アルキル」は、直鎖、分枝鎖または環状の、ハロゲン化されているか、またはされていない、特に1〜24個、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する、飽和炭化水素の基、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシルを意味する。C1〜C2またはC2〜C7の基が特に好ましい。より詳しくは、メチルおよびエチル基が好ましい。
【0062】
用語「チオニトロソ」は、硫黄原子によって芳香環と結合したニトロソ基を意味する。
【0063】
用語「ハロゲン」は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはフッ素原子を表す。
【0064】
用語「アルキルオキシ」は、酸素原子によって環と結合したアルキル鎖を意味する。アルキル鎖は、上記に定義されている。
【0065】
用語「アルキルチオ」は、硫黄原子によって環と結合した(チオエーテル結合)アルキル鎖を意味する。アルキル鎖は、上記に定義されている。
【0066】
以下、本発明の方法によって好ましくも得られた化合物または中間生成物(エステル)を、対応するそれらの式とともに示す。
【0067】
1−(4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0068】
【化10】

【0069】
1−(4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−イソプロピルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0070】
【化11】

【0071】
1−(4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0072】
【化12】

【0073】
1−(4−メチルチオフェニル)−3−(4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0074】
【化13】

【0075】
1−(4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)−3−(4−クロロフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0076】
【化14】

【0077】
1−(4−カルボキシジメチルメチルチオフェニル)−3−(4−メチルチオフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0078】
【化15】

【0079】
1−(4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)−3−(4−メチルチオフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0080】
【化16】

【0081】
1−(4−メチルチオフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0082】
【化17】

【0083】
1−(4−メチルチオフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−イソプロピルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0084】
【化18】

【0085】
1−(4−メチルチオフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0086】
【化19】

【0087】
1−(2−メトキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0088】
【化20】

【0089】
1−(2−メトキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0090】
【化21】

【0091】
1−(4−ヘキシルオキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0092】
【化22】

【0093】
1−(4−ヘキシルオキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0094】
【化23】

【0095】
1−(2−メチルオキシ−4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0096】
【化24】

【0097】
1−(2−メチルオキシ−4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0098】
【化25】

【0099】
1−(4−ヘプチルフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0100】
【化26】

【0101】
1−(4−ヘプチルフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0102】
【化27】

【0103】
1−(4−ブロモフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0104】
【化28】

【0105】
1−(4−ブロモフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0106】
【化29】

【0107】
本発明のその他の態様および利点は、下記の、例示を目的として示され、限定のためではない実施例において明らかになるであろう。
【0108】
実施例
1−全般的な合成方法の説明
一般手順1:
ヒドロキシ−1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンの合成:
1モル当量のヒドロキシアセトフェノン(または硫酸化されたその類似体)と1モル当量のアルデヒド、または1モル当量のヒドロキシベンズアルデヒド(または硫酸化されたその類似体)と1モル当量のケトン、を気体の塩酸で飽和させたエタノール溶液に溶解させる。混合物を室温で1〜6時間撹拌し、減圧下での蒸発によって、溶媒を除去する。シリカゲルでのクロマトグラフィーまたは再結晶によって、ヒドロキシ−1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンを精製する。
【0109】
一般手順2:
ヒドロキシ−1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンのアルキル化:
1モル当量のヒドロキシ−1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン(または硫酸化されたその類似体)をアセトニトリルに溶解し、3〜6モル当量のハロゲン化された誘導体、次いで3〜5モル当量の炭酸カリウムを加える。反応媒体を、還流下で約10時間激しく撹拌する。塩を濾過によって除去する。場合により、反応媒体を、3〜6モル当量のハロゲン化誘導体および3〜5モル当量の炭酸カリウムと再び反応させる。この操作は、出発材料の完全な消失まで繰り返すことができる。
【0110】
溶媒および過剰な試薬を、減圧下での蒸発によって除去し、期待された生成物を、シリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。
【0111】
一般手順3:
1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンのtert−ブチルエステルのトリフルオロ酢酸による酸加水分解:
1モル当量の1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オンtert−ブチルエステルをジクロロメタンに溶解し、次いで、10モル当量のトリフルオロ酢酸を加え、混合物を室温で12時間撹拌する。形成された生成物を、シリカゲルでのクロマトグラフィーまたは再結晶によって精製する。
【0112】
2−実施例
実施例1:1−(4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オンの合成
【0113】
【化30】

【0114】
本方法は、56%の全体的収率での該化合物の製造を可能にした。
【0115】
化学的前駆体の合成:
【0116】
【化31】

【0117】
1−(4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物1)
この化合物は、上記の一般手順1に従い、4−クロロアセトフェノンと3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドから合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル=95:5)によって精製した。収率:91%。
【0118】
【表1】

【0119】
tert−ブチルエステルの合成:
【0120】
【化32】

【0121】
1−(4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物2)
この化合物は、上記の一般手順2に従い、1−(4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物1)とtert−ブチルブロモイソブチラートから合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル=90:10)によって精製した。収率:70%。
【0122】
tert−ブチルエステルの酸加水分解:
【0123】
【化33】

【0124】
1−(4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物3)
この化合物は、上記の一般手順3に従い、1−(4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物2)から合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=98:2)によって精製した。収率:88%。
【0125】
【表2】

【0126】
実施例2:1−(2−メトキシ)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オンの合成
【0127】
【化34】

【0128】
本方法は、20%の全体的収率での該化合物の製造を可能にした。
【0129】
化学的前駆体の合成:
【0130】
【化35】

【0131】
1−(2−メトキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物4)
この化合物は、上記の一般手順1に従い、2−メトキシアセトフェノンと3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドから合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル=80:20)によって精製した。収率:66%。
【0132】
【表3】

【0133】
tert−ブチルエステルの合成:
【0134】
【化36】

【0135】
1−(2−メトキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物5)
この化合物は、上記の一般手順2に従い、1−(2−メトキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物4)とtert−ブチルブロモイソブチラートから合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル=80:20)によって精製した。収率:41%。
【0136】
tert−ブチルエステルの酸加水分解:
【0137】
【化37】

【0138】
1−(2−メトキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物6)
この化合物は、上記の一般手順3に従い、1−(2−メトキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物5)から合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=98:2)によって精製した。収率:70%。
【0139】
【表4】

【0140】
実施例3:1−(4−メチルチオフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オンの合成
【0141】
【化38】

【0142】
本方法は、49%の全体的収率での該化合物の製造を可能にした。
【0143】
化学的前駆体の合成
【0144】
【化39】

【0145】
1−(4−メチルチオフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物7)
この化合物は、上記の一般手順1に従い、4−メチルチオアセトフェノンと3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドから合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル=80:20)によって精製した。収率:86%。
【0146】
【表5】

【0147】
tert−ブチルエステルの合成:
【0148】
【化40】

【0149】
1−(4−メチルチオフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物8)
この化合物は、1−(4−メチルチオフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物7)とtert−ブチルブロモイソブチラートから合成した。1−(4−メチルチオフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オンを、アセトニトリルに溶解し、次いで、3モル当量の炭酸カリウムおよび3モル当量のtert−ブチルブロモイソブチラートを加えた。混合物を、80℃で12時間撹拌し、次いで室温にさせた。塩を濾過によって除去した。3モル当量の炭酸カリウムおよび3モル当量のtert−ブチルブロモイソブチラートを加えた。混合物を、更に12時間反応させ、次いで室温にさせた。塩を濾過によって除去した。3モル当量の炭酸カリウムおよび3モル当量のtert−ブチルブロモイソブチラートを加えた。混合物を、80℃で12時間撹拌し、塩を濾過によって除去した。溶媒を減圧下での蒸発によって除去した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル=90:10)によって精製した。収率:74%。
【0150】
tert−ブチルエステルの酸加水分解:
【0151】
【化41】

【0152】
1−(4−メチルチオフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物9)
この化合物は、上記の一般手順3に従い、1−(4−メチルチオフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物8)から合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=98:2)によって精製した。収率:81%。
【0153】
【表6】

【0154】
実施例4:1−(4−ヘキシルオキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オンの合成:
【0155】
【化42】

【0156】
本方法は、24%の全体的収率での該化合物の製造を可能にした。
【0157】
化学的前駆体の合成
【0158】
【化43】

【0159】
1−(4−ヘキシルオキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物10)
この化合物は、上記の一般手順1に従い、4−ヘキシルオキシアセトフェノンと3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドから合成した。生成物は、反応の終点で晶出し、乾燥させた。収率:63%。
【0160】
【表7】

【0161】
tert−ブチルエステルの合成:
【0162】
【化44】

【0163】
1−(4−ヘキシルオキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物11)
この化合物は、上記の一般手順2に従い、1−(4−ヘキシルオキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物10)とtert−ブチルブロモイソブチラートから合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル=95:5)によって精製した。収率:75%。
【0164】
tert−ブチルエステルの酸加水分解:
【0165】
【化45】

【0166】
1−(4−ヘキシルオキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物12)
この化合物は、上記の一般手順3に従い、1−(4−ヘキシルオキシフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物11)から合成した。メタノール中での再結晶によって精製した。収率:51%。
【0167】
【表8】

【0168】
実施例5:1−(2−メチルオキシ−4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オンの合成
【0169】
【化46】

【0170】
本方法は、22%の全体的収率での該化合物の製造を可能にした。
【0171】
化学的前駆体の合成:
【0172】
【化47】

【0173】
1−(2−メチルオキシ−4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物13)
この化合物は、上記の一般手順1に従い、4−クロロ−2−メトキシアセトフェノンと3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドから合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル=85:15)によって精製した。収率:72%。
【0174】
【表9】

【0175】
tert−ブチルエステルの合成:
【0176】
【化48】

【0177】
1−(2−メチルオキシ−4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物14)
この化合物は、上記の一般手順2に従い、1−(2−メチルオキシ−4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物13)とtert−ブチルブロモイソブチラートから合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル=90:10)によって精製した。収率:43%。
【0178】
tert−ブチルエステルの酸加水分解:
【0179】
【化49】

【0180】
1−(2−メチルオキシ−4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物15)
この化合物は、上記の一般手順3に従い、1−(2−メトキシ−4−クロロフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物14)から合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=98:2)によって精製した。収率:70%。
【0181】
【表10】

【0182】
実施例6:1−(4−ブロモフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0183】
【化50】

【0184】
本方法は、21%の全体的収率での該化合物の製造を可能にした。
【0185】
化学的前駆体の合成:
【0186】
【化51】

【0187】
1−(4−ブロモフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物16)
この化合物は、上記の一般手順1に従い、4−ブロモアセトフェノンと3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドから合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル=90:10)によって精製した。収率:37%。
【0188】
【表11】

【0189】
tert−ブチルエステルの合成:
【0190】
【化52】

【0191】
1−(4−ブロモフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物17)
この化合物は、上記の一般手順2に従い、1−(4−ブロモフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物16)とtert−ブチルブロモイソブチラートから合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル=90:10)によって精製した。収率:75%。
【0192】
tert−ブチルエステルの酸加水分解:
【0193】
【化53】

【0194】
1−(4−ブロモフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物18)
この化合物は、上記の一般手順3に従い、1−(4−ブロモフェニル)−3−(3,5−ジメチル−4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(化合物17)から合成した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=98:2)によって精製した。収率:38%。
【0195】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシアルキルオキシまたはカルボキシアルキルチオ基で置換された1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体の製造方法であって、
(i)二つのフェニル基の一方がヒドロキシルまたはチオール基で置換された、少なくとも1種類の1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体を、一般式(II):
【化1】


(式中、Yは、ハロゲン原子を表し、Rは、C1〜C24アルキル鎖であり、R’は、酸に不安定なカルボン酸保護基である)
で表される、少なくとも1種類のハロゲン化化合物と接触させる工程と;
(ii)工程(i)で得られたエステルを酸加水分解する工程と
を含む方法。
【請求項2】
式(II)で表される化合物のカルボン酸保護基が、カルボキシル官能基に結合した炭素原子が、1〜4個の炭素原子を有する一つまたは二つの直鎖もしくは分枝鎖アルキル基で置換された、C1〜C5アルキル型の酸不安定基のうちから選ばれることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
式(II)で表される化合物のカルボン酸保護基が、tert−ブチルおよびイソプロピル基のうちから選ばれることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
R基が、一つ以上の炭化水素基で場合により置換された、1〜12個の炭素原子を有する、飽和の、直鎖または環状のC1〜C10アルキル鎖であることを特徴とする、請求項1、2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(i)を、25〜120℃、より好ましくは80〜120℃を含む温度で実施することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(i)を、触媒の存在下で実施することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(i)を、触媒としての炭酸セシウムまたは炭酸カリウムの存在下で実施することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(i)を、一般式(II)で表されるハロゲン化化合物、および必要ならば触媒の数回の添加によって繰り返すことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(i)で用いられる、ヒドロキシルまたはチオール基で置換された1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体を、アセトフェノン型化合物とチオ−もしくはヒドロキシ−ベンズアルデヒド誘導体との、またはチオ−もしくはヒドロキシ−アセトフェノン誘導体とベンズアルデヒド型化合物との、酸性または塩基性媒体中でのクライゼン−シュミット反応によって得ることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
酸加水分解工程(ii)を、アルキルオキシカルボニルアルキルオキシまたはアルキルオキシカルボニルアルキルチオ基で置換された1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体をトリフルオロ酢酸と接触させることによって実施することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(ii)で用いられるトリフルオロ酢酸の量が、1〜20当量、好ましくは8〜12当量であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程(ii)を、0〜100℃、より好ましくは18〜25℃の温度で実施することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
製造された生成物が、下記の一般式(I):
【化2】


(式中、
1は、ハロゲンもしくは−R1基、または式:−G1−R1に相当する基を表し、
2は、水素原子、チオニトロソ基、アルキルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基またはアルキルカルボニルチオ基を表し、
3は、−R3基、または式:−G3−R3に相当する基を表し、
4は、ハロゲン、チオニトロソ基、−R4基、または式:−G4−R4に相当する基を表し、
5は、−R5基、または式:−G5−R5に相当に相当する基を表し、
1、R3、R4、R5は、同一、または異なっており、水素原子、またはカルボン酸官能基で置換されているか、もしくは置換されていないアルキル基を表し、
1、G3、G4、G5は、同一、または異なっており、酸素または硫黄原子を表し、
基X1、X3、X4またはX5の一つは、Rがカルボン酸官能基を有するアルキル基である、式:−G−Rに相当する)
で示されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2007−516189(P2007−516189A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518300(P2006−518300)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001797
【国際公開番号】WO2005/005369
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(503067111)
【氏名又は名称原語表記】GENFIT
【Fターム(参考)】