説明

10,11−ジヒドロ−10−ヒドルオキシ−5H−ジベンズ/b,f/アゼピン−5−カルボキシアミド及び10,11−ジヒドロ−10−オキソ−5H−ジベンズ/b,f/アゼピン−5−カルボキシアミドの製造方法

【課題】10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミドから、10,11-ジヒドロ-10-オキソ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミドを製造する改良法の提供。
【解決手段】(i)カルバマゼピンのエポキシ化;(ii)得られたエポキシドの開環及び(iii)該得られたアルコールの酸化を含む3工程プロセスを介し、カルバマゼピンから10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド及び10,11-ジヒドロ-10-オキソ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミドを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)及び10,11-ジヒドロ-10-オキソ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(2)の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オキカルバマゼピンとして知られている化合物(2)は、てんかんの治療にとり重要な特性を有し、カルバマゼピン(化合物(3)、式中R=NH)よりも耐性のある薬剤として、また、構造上関連した抗てんかん薬(Grant, S. M. et al., Drugs, 43, 873-888, (1992))としてクレームされている。また、化合物(1)も、抗てんかん活性を有する公知の化合物であり、実際、(2)の重要な代謝産物である(Schutz, H. et al., Xenobiotica, 16, 769-778 (1986))。
また、これらの抗てんかん活性に加えて、化合物(1)と(2)は、最近発表された抗てんかん薬(Benes, J. et al., J. Med. Chem., 42, 2582-2587 (1999))である。(S)-(-)-10-アセトキシ-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(4)の製造に有用な中間体として役立つ。したがって、この双方の量産スケールの製造を行う、短く、高収率、かつ環境的に許容できる方法では、共通し、容易に入手できる前駆体から開始されることが望ましいであろう。
【0003】
【化2】

【0004】
先に記載したヒドルオキシ化合物(1)の合成は、最初に、m-クロロペルオキシ安息香酸を用いるカルバマゼピン(すなわち、化合物(3),式中R=NH2)、又はクロロ類似体(すなわち、化合物(3),式中R=Cl)のいずれかのエポキシ化を伴い、これによりわずかに中程度の収量(〜60%)の該エポキシド類(すなわち、化合物(5),式中R=NH2又はCl)を提供する(Bellucci, G. et al., J. Med. Chem., 30, 768-773(1987))。次いで、アンモニアを用いる(6)のアミノ化により、下記(5)が形成される。
【0005】
【化3】

【0006】
しかしながらその主な欠点は、m-クロロペルオキシ安息香酸が潜在的に爆発性であり、かつその使用には厳格な安全手段を講じなければならないことである。加えてこのエポキシ化には、相当な過剰量の高価な試薬が必要とされる。したがってその方法は大規模な合成には受け入れがたいものであり、かつ実際に多くの商業的供給者は、現在、この危険な試薬の生産を停止している。化合物(3)のエポキシ化に関する他のレポートには微生物学的エポキシ化(Kittelmann, M. et al., Biosci, Biotechnol. Biochem., 57(9), 1589-1590 (1993); Chem. Abstr. 120:75516)、鉄ポルピリン/ペルオキシド触媒的エポキシ化(Yang, S. J. et al., Inorg. Chem., 37(4), 606-607 (1998); (Chem. Abstr. 128:140628))、及び過硫酸を用いるコバルト媒介エポキシ化(Nam, W. et al., Bull. Korean Chem. Soc., 17(5), 414-416 (1996); (Chem. Abstr. 125:86408)がある。しかしながらこれらの方法は大規模な生産には不適切である。
【0007】
エポキシド(5)は多用途な中間体である。リチウム及びマグネシウムのハロゲン化物を用いる再構成により、オキシカルバマゼピン(2)を直接的に合成できる(NL 7902811及びHU 63390)。しかしながらこれらの試薬は、湿度感受性であり、商業的供給者から得ると高価であり、また現場における合成を要求し、かつ(2)の収量はしばしば低く軽度から中程度である。これにかわりエポキシド(5)はパラジウムを用いる触媒的水素化によってアルコール(1)に転換される(Baker, K. M. et al., J. Med. Chem., 16(6), 703-705 (1973))。しかしながら、該触媒の充填は非常に高価であり、かつ該アルコールの全体的な収量はわずかに中程度である。
異なる出発物質を使用する多くの方法により、オキシカルバマゼピンが量産されている(WO9621649及びWO0055138)。しかしながらアルコール(1)の直接的酸化によるその製造は示されていない。
したがって次のようにまとめることができる。安価、かつ容易で大量に入手できる、同じ出発物質、カルバマゼピン(3)から、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)及び10,11-ジヒドロ-10-オキソ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(2)を製造するのに有用な、経済的、スケール的、かつ高収率の方法は、先行技術に欠けているものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)から、10,11-ジヒドロ-10-オキソ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(2)を製造する改良法を提供することである。本発明の具体的な目的は、先行技術の欠点を避ける方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって本発明は、(i)カルバマゼピンのエポキシ化;(ii)得られたエポキシドの開環、かつ;(iii)該得られたアルコールの酸化工程を介する、カルバマゼピン(3)から10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)、及び10,11-ジヒドロ-10-オキソ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(2)を製造する方法を提供する。本発明に従うことにより、これらの方法の工程を個々に、又は組み合わせて実施することができる。したがって本発明は、それぞれ、工程(i)、(ii)、及び(iii)を個別に含む方法を提供する。さらに本発明は工程(i)、及び(ii)、又は工程(ii)及び(iii)のみを含む方法を提供する。最後に、本発明は全ての3工程(i)、(ii)、及び(iii)を含む方法を提供する。該工程(i)、(ii)、及び(iii)をこれから詳細に記載する。
【0010】
工程(i)
【化4】

【0011】
好ましくは、カルバマゼピンのエポキシ化は、不活性溶媒中のカルバマゼピン(3)、及び金属触媒の撹拌された懸濁液に、過剰量のペルオキシ酢酸を添加することにより行う。該反応は無機塩基の存在下において行うことができる。ペルオキシ酢酸は、安価で、かつ酢酸中の溶液として商業的に容易に入手でき、又は酢酸及び過酸化水素の混合物からその場で製造することができる(Hudlicky, M. Oxidations in Organic Chemistry, ACS Monogragh, Washington DC, 1990)。ペルオキシ酢酸の1.5−3mol当量を用いるのが好ましい。
適当な不活性溶媒には塩素化炭化水素がある。前記無機塩基には例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムがあり、これらは全て入手が容易で、かつ安価である。該無機塩基2.5−3.2mol当量を用いるのが好ましい。いくつかの金属触媒は前記エポキシ化反応に取り適当であり、これらにはマンガン、コバルト、ニッケル、銅、ロジウム、及び鉄の錯体が含まれる。
好ましい触媒には、サレンマンガン(III)、アセチルアセトネートマンガン(III)、酸化マンガン(IV)、及び過マンガン酸カリウムがある。通常良好な転換を行うためには、触媒0.025−3mol%とするのが好ましい。さらに好ましい場合、例えばAdogen 464、又はAliquat 336のような相転換触媒を用いることができる。さらに所望であれば、該金属触媒は反応後、単純なろ過により良好に回収するために、粉末、ペレット、又はビーズの形態である、アルミナ、シリカ、又は不活性クレイのような不活性支持体上に担持することができる。ここで重要はファクターは環境問題である。通常2−4%w/w担持触媒が好ましい。
【0012】
またそれにかわり、かつ所望であれば、試薬を加える順序を逆にし、かつカルバマゼピン(3)を好ましい溶媒系中のペルオキシ酢酸及び触媒の溶液に加えても良い。いずれの場合においても、穏やかな発熱性反応が完結した後、該無機塩基及び担持された触媒をろ過により回収することができ、かつろ液を水性亜硫酸ナトリウム溶液とともに撹拌して、過剰量の過酸化物をなくすことができる。次いで有機相を分離し水及び重炭酸ナトリウムで洗浄する。該粗エポキシド(5)を有機溶媒を蒸発させることにより得ることができ、かつ所望であれば酢酸エチル、又はエタノール、又はイソプロパノールのような炭素原子1〜6個を有するアルコールのような適当な溶媒から精製することができる。通常、該収量は薬85%であり、かつ該精製物は通常、HPLC分析によると>97%純度である。
【0013】
工程(ii)
【化5】

【0014】
エポキシド(5)の開環は、触媒的水素転移、又は触媒的水素化により簡単に行うことができる。我々は該反応の条件を注意深く選択することにより、予想外の高収率を得ることを可能とした。触媒的水素転移を行うために、適当な触媒を、適切な溶媒混合物中の該エポキシド及び水素供与体の溶液に加え、かつ該混合物を、反応が完了するまで室温において撹拌する。
好ましい触媒は、好ましくは例えば活性炭のような不活性支持体上に吸着されたパラジウムであり、かつ通常、該支持体上にある5−10w%パラジウム0.1−1mol%を使用する。好ましいのは、支持体上のパラジウム5−10w%が、0.2−1mol%、最も好ましくは0.25−0.4mol%あることである。さらに好ましいのは支持体上にパラジウム5−7w%があることである。我々は、触媒の最適な選択が該反応の収率を改善することを見いだした。
【0015】
好ましい水素供与体には、シクロヘキセン、ギ酸、ギ酸ナトリウム、及びギ酸アンモニウムがあり、通常1.5−3mol当量用いる。
該反応に好ましい溶媒には、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、又はイソプロパノールのような炭素原子1〜6個を有するアルコール、及び水があり、また該反応は前記溶媒の混合物中においても行うことができる。我々はジクロロメタン、メタノール、及び水を用いて最良の結果を得た。水の添加(好ましくは該エポキシドに対し1容量)により副成物の減少により該反応を改善することを見いだした。
該反応は環境温度、すなわち15−25℃で実施することが好ましい。
該反応を完了した後、該触媒をセライト、又はシリカを通してろ過することにより回収することができ、かつ該ろ液を真空下において蒸発させることができる。所望であれば、該精製物を酢酸エチル、又はエタノールのような低級アルコールのような適当な溶媒から再結晶させることができる。
【0016】
触媒的水素化を行うために、適当な触媒を任意の有機塩基を含む適当な溶媒混合液中の該エポキシド(5)の撹拌された溶液に加える。適当な触媒及び溶媒混合物は、触媒的水素転移反応との関係で先に記載したものと同じである。我々は、メタノール(該エポキシドに対し約20容量)、及び水(該エポキシドに対し約1容量)を用いて最良の結果を得た。該最良の結果はメタノール、及び水の双方を用いた場合に得られる。水の添加(好ましくは該エポキシドに対し1容量)は、副生成物の減少による該反応の改良をもたらすことを見いだした。また、我々は該反応がトリエチルアミンのような、具体的なトリアルキルアミンである有機塩基を使用することにより、改善することができることを見いだした。また、これにより該反応の速度が上がり、それにより副生成物の形成がほとんどなくなり、かつより高い収量が得られる。有機塩基の最良の濃度は該エポキシドに対し3−4モル当量である。該反応は異なる温度及び圧力で実施することもできるが、大気圧、及び室温(15−25℃)で行うことが好ましい。水素ガスは反応混合物を介して気泡とし、かつ該反応の完結時(1−3時間)、該触媒はろ過により回収することができ、かつ該精製物を前記触媒的水素転移反応との関連で先に記載したように分離することができる。
該触媒的水素転移、及び該触媒的水素転移反応の双方における収率は通常85−95%の範囲であり、かつ生成物純度は通常>97%である。
【0017】
工程(iii)
【化6】

【0018】
金属触媒と組み合わせて過酸を用いる単純アルコールの酸化が化学文献に報告されている(ruthenium catalysed: Murahashi, S. I. Et al., Synlett, 7, 733-734 (1995)), (chromate catalysed: Corey, E. J. et al., Tetrahedren Letters, 26 (48), 5855-5858 (1985))。同様に臭化ナトリウムの存在下でペルオキシ酢酸を用いる単純アルコールの酸化が報告されている(Morimoto, T. et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 65, 703-706 (1992))。しかし、過酸化水素、又はt-ブチルヒドロペルオキシドに関し酸化剤として用いることが最も普通である(Muzart, J. et al., Synthesis, 785-787, (1993))。
しかしながら、本発明の特に有利な特徴に基づくと、アルコール(1)の酸化は過剰量のペルオキシ酢酸を、適当な溶媒中のアルコール(1)、及び金属触媒の撹拌された懸濁液に加えることで行うことができる。所望であれば、例えばAdogen 464、又はAliquat 336のような相転移触媒を用いることができる。通常、ペルオキシ酢酸は3−5モル当量要求される。適当な溶媒には、例えばジクロロメタン、又は1,2-ジクロロエタンのような塩素化アルカンがある。好ましい金属触媒には、クロム三酸化物、二酸化マンガン、酢酸マンガン(III)、過マンガン酸カリウム、塩化コバルト(II)、及び重クロム酸カリウム及びナトリウムがある。所望であれば、該金属触媒は反応終了後簡単なろ過によりよりよく回収することができるように、粉末、ペレット、又はビーズの形態で、アルミナ、シリカ、又は不活性クレイのような不活性支持体状に担持させても良い。通常、2−4% w/w担持触媒が好ましく、かつ通常該金属触媒0.5−5mol%を、該酸化反応に用いる。
【0019】
これに代わり、かつ所望であれば、該試薬の添加順位を逆にすることができ、かつ同体アルコール(1)を好ましい溶媒系中のペルオキシ酢酸、及び触媒の溶液に加えることができる。穏やかな発熱反応が終了した後、該担持金属触媒をろ過により除去すことができ、かつ該ろ液を水性亜硫酸ナトリウム溶液とともに撹拌して過剰量の過酸化物をなくすことができる。該有機相を分離し、水及び重炭酸水素ナトリウムで洗浄する。該粗オキカルバマゼピン(2)を有機溶媒の蒸発により得ることができ、好ましければ、酢酸エチル、例えばエタノール、又はイソプロパノールのような炭素原子1〜6個を有するアルコールのような適当な溶媒から精製することができる。通常、該収率は85%よりも高く、かつ該生成物は通常>97%純度である。
本発明の他の側面に従い、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)の製造方法を提供する。該方法においてはカルバマゼピン(3)を、実質的に不活性な溶媒中にあるペルオキシ酢酸、及び金属触媒と反応させて、1a,10b-ジヒドロ-6H-ジベンズ/b,f/オキシレノ[d]アゼピン-6-カルボキシアミド(5)を生成し、続いて水素供与体、及び金属触媒の存在下で触媒的転移水素化により、又はそれに代わり金属触媒の存在下において、ガス状水素を用いる触媒的水素化により、1a,10b-ジヒドロ-6H-ジベンズ/b,f/オキシレノ[d]アゼピン-6-カルボキシアミド(5)の開環を行うことにより実施する。この方法では、前記工程(i)、及び(ii)に記述された特性に基づき実施するのが好ましい。
【0020】
本発明の一側面に従い、10,11-ジヒドロ-10-オキソ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(2)を、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)から製造する方法が提供される。該方法は、実質的に不活性な溶媒中、金属触媒の存在下でペルオキシ酢酸と反応させることにより、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)を酸化させることを含む。
本発明の他の側面に従い、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)の製造方法が提供される。この方法は、水素供与体、及び金属触媒の存在下において、触媒的転移水素化により、又はそれに代わり金属触媒の存在下でガス状水素により触媒的水素化を行うことにより実施される。この方法は前記工程(ii)との関連で記述された特徴に従って実施されることが好ましい。
本発明の他の側面に従い、1a,10b-ジヒドロ-6H-ジベンズ/b,f/オキシレノ[d]アゼピン-6-カルボキシアミド(5)の製造方法が提供される。この方法は、実質的に不活性な溶媒中、ペルオキシ酢酸、及び金属触媒とカルバマゼピン(3)を反応させることにより行う。この方法は前記工程(i)との関連で記述された特性に従って行われることが好ましい。
【0021】
本発明の他の側面に従い、下記式(6)の化合物の製造方法が提供される:
【化7】

【0022】
式中、Rが、水素、アルキル、ハロゲンアルキル、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシ、アリール、又はピリジルであり;用語「アルキル」は、炭素原子1〜18個を含む直鎖又は分枝炭化水素を意味し;用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味し;用語「シクロアルキル」は、炭素原子3〜6個を有する脂環式飽和基を意味し;用語「アリール」は、未置換フェニル基、又はアルコキシ、ハロゲン、又はニトロ基によって置換されているフェニルを意味する。該方法では前記方法によって、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミドを形成し、次いで該10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミドを処理して、式(6)の化合物を製造する。式(6)の化合物を、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミドをアシル化することにより製造することが好ましい。
【0023】
式(6)の化合物は米国特許第5753646号に詳細に記述されており、この内容は引用により本明細書に取り込まれている。該方法を使用して米国特許第5753646号に開示されている全ての化合物を製造することができる。例えば10-アセトキシ-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミドを製造するために、米国特許第5753646号の実施例4に記述されているように、ジクロロメタン中10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド、及びピリジンの懸濁液に、ジクロロメタン中アセチルクロライドを加えることが可能である。
米国特許第5753646号の実施例4〜17に記載されている化合物を、適当なハロゲン化アシルを用いてアシル化することにより製造することができる。実施例18〜23に記述されている化合物を、適当なカルボン酸を用いて製造することができる。
【0024】
従って本発明を用いることにより下記化合物を製造することができる。
(1) 10-アセトキシ-10,11-ジヒドロ-5H-ベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(2) 10-ベンゾイルオキシ10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(3) 10-(4-メトキシベンゾイルオキシ)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(4) 10-(3-メトキシベンゾイルオキシ)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(5) 10-(2-メトキシベンゾイルオキシ)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(6) 10-(4-ニトロベンゾイルオキシ)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(7) 10-(3-ニトロベンゾイルオキシ)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
【0025】
(8) 10-(2-ニトロベンゾイルオキシ)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(9) 10-(4-クロロベンゾイルオキシ)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(10) 10-(3-クロロベンゾイルオキシ)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(11) 10-(2-アセトキシベンゾイルオキシ)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(12) 10-プロピオニルオキシ10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(13) 10-ブチリルオキシ10,1-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(14) 10-ピバロイルオキシ10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(15) 10-[(2-プロピル)ペンタノイルオキシ]-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
【0026】
(16) 10-[(2-エチル)ヘキサノイルオキシ]-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(17) 10-ステアロイルオキシ10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(18) 10-シクロペンタノイルオキシ10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(19) 10-シクロヘキサノイルオキシ10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(20) 10-フェニルアセトキシ-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(21) 10-(4-メトキシフェニル)アセトキシ-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
【0027】
(22) 10-(3-メトキシフェニル)アセトキシ-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(23) 10-(4-ニトロフェニル)アセトキシ-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(24) 10-(3-ニトロフェニル)アセトキシ-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(25) 10-ニコチノイルオキシ10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(26) 10-イソニコチノイルオキシ10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(27) 10-クロロアセトキシ-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(28) 10-ブロモアセトキシ-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(29) 10-ホルミルオキシ10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(30) 10-エトキシカルボニルオキシ10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
(31) 10-(2-クロロプロピオニルオキシ)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド
【0028】
10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミドを、その (R)-(+)-、及び (S)-(-)- 立体異性体に分割することができ、それにより前記化合物の所望の (R)-(+)-、又は (S)-(-)- 立体異性体を製造することができる。
これらの化合物、又は医薬として許容され得るその誘導体(例えば塩)、この化合物自体、又はその誘導体を含み、医薬として許容され得るキャリアと組み合わせて医薬組成物を製造することができる。このような組成物は抗ケイレン性を有する、いくつかの中枢、及び末端神経系疾患、例えばてんかんの治療に用いることができる。
本明細書に記載された発明は、製造方法の下記実施例により例示されるが、これらの記載の範囲に限定されるものと解釈してはならない。本発明の明快な改良点、及び均等物が当業者に取り明らかであることから、本発明は下記操作の正確な詳細には限定されないと理解されるべきである。
【0029】
(実施例1)
1a,10b-ジヒドロ-6H-ジベンズ/b,f/オキシレノ[d]アゼピン-6-カルボキシアミド(5)
ジクロロメタン(1000ml)中、カルバマゼピン(3)(200g、847.5mmol)、及び炭酸ナトリウム(287.4g、2711mmol)の撹拌された懸濁液に、アルミナ上に担持されたマンガン酸カリウム(3.5% w/w、3.46g、0.77mmol)のダブレットを加えた。その後、ペルオキシ酢酸(酢酸中39%溶液、432ml、2538mmol)を、1時間に渡り滴下して加え、該溶媒の穏やかな還流が生じるまで、温度を徐々に上げた。該混合物を20分間撹拌し、次いで20分間そのまま静置した。次いで炭酸ナトリウム、及び担持された触媒をろ過により除去し、ジクロロメタン(200ml)で洗浄した。該アルミナビーズを、篩を介するスクリーニングで炭酸ナトリウムから分離した。次いで組合せろ液を1時間に渡り、水(250ml)中、亜硫酸ナトリウム(20g)、及び重炭酸水素ナトリウム(20g)の水性溶液とともに撹拌した。次いで該相を分離し、ジクロロメタン(50ml)より該水相を抽出した。該組合せ有機相を水(100ml)、飽和水性重炭酸水素ナトリウム(100ml)、再び水(100ml)及び塩水で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、かつろ過した。該溶媒の蒸発(ロータリーエバポレータ、水アスピレータ圧力、40℃)を行い、ベージュ色固体として粗エポキシド(5)を得て、これを酢酸エチル(100ml)から結晶化させ、淡灰色固体の生成物を得た(194.2g、(収率91%))。
【0030】
(実施例2)
10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)
(a)触媒的水素転移
窒素雰囲気化、室温で、エタノール(100ml)、ジクロロメタン(50ml)、及び水(5ml)中、1a,10b-ジヒドロ-6H-ジベンズ/b,f/オキシレノ[d]アゼピン-6-カルボキシアミド(5)(5.03g、20mmol)の溶液に対し、ギ酸アンモニウム(3.78g、60mmol)を加え、次いで活性炭上に担持した10%パラジウム(540mg、0.51mmol Pd)を加えた。該得られた混合物を室温で1時間撹拌し、次いで該触媒をセライトを介する触媒により回収した。該フィルターパッドをジクロロメタン(20ml)で洗浄し、かつ組合せろ液の有機相を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。ろ過及び溶媒の蒸発(ロータリーエバポレータ、水アスピレータ圧力、40℃)を行い、粗アルコール(1)を得て、これを酢酸エチル(20ml)から結晶化して白色の結晶(4.7g(収率93%))を得た。
【0031】
(b)触媒的水素化
エタノール(950ml)、水(50ml)、及びトリエチルアミン(64.8g、89ml、641mmol)中、1a,10b-ジヒドロ-6H-ジベンズ/b,f/オキシレノ[d]アゼピン-6-カルボキシアミド(5)(50.0g、198mmol)の撹拌された溶液に、室温で、活性炭上に担持された5%パラジウム(1.29g、0.61mmol)を加えた。ガス状水素を、2時間、大気圧下、室温で、反応混合物を介して気泡として通し、かつ次いで該触媒をセライトを介してろ過することにより回収した。該フィルターパッドをジクロロメタン(20ml)で洗浄し、該組合せろ液の有機相を洗浄し、かつ無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。ろ過、及び溶媒の蒸発(ロータリーエバポレータ、水アスピレータ圧力、40℃)を行って、粗アルコール(1)を得て、これを酢酸エチル(100ml)から結晶化し、白色の結晶(46.7g(収率93%))を得た。
【0032】
(実施例3)
10,11-ジヒドロ-10-オキソ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(2)
室温において、1,2-ジクロロエタン(1000ml)中、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)(100g、394mmol)の撹拌された懸濁液に、シリカゲル上に吸着された重クロム酸カリウム(46.3g、(0.34mmol/g、15.6mmol))を加えた。その後、ペルオキシ酢酸(300ml、酢酸中39%溶液、1425mmol)を滴下し、該反応物においてその外観が紫色になり、かつ穏やかな発熱反応が始まった。さらに1時間撹拌した後、該シリカ担持触媒をろ過により除去し、ジクロロメタン(100ml)により洗浄した。次いで該組合せろ液を、1時間、亜硫酸ナトリウムの水性溶液(5%、500ml)とともに撹拌した。次いで、該相を分離し、かつ該水相をジクロロメタン(50ml)により抽出した。該組合せ有機相を、水(100ml)、飽和水性重炭酸水素ナトリウム(100ml)、再び水(100ml)、及び塩水により洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、かつろ過した。該溶媒の蒸発(ロータリーエバポレータ、水アスピレータ圧力、40℃)を行い、淡灰色固体として粗生成物(2)を得て、これをエタノールから結晶化させ、白色結晶(89.5g(収率90%)を得た。
これまで記載された発明は改良することができると評価されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)の製造方法であって、下記工程を含む;カルバマゼピン(3)を実質的に不活性な溶媒においてペルオキシ酢酸及び金属触媒と反応させ、11a,10b-ジヒドロ-6H-ジベンズ/b,f/オキシレノ[d]アゼピン-6-カルボキシアミド(5)製造し、続いて、水素供与体及び金属触媒の存在下において、触媒的転移水素化により、又はそれにかわり金属触媒の存在下においてガス状水素による触媒的水素化により、1a,10b-ジヒドロ-6H-ジベンズ/b,f/オキシレノ[d]アゼピン-6-カルボキシアミド(5)の開環を行うことにより、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)を製造する、前記方法。
【請求項2】
前記開環反応が金属触媒及び水素供与体を用いる触媒的水素転移により行われる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記開環反応において用いる水素供与体が、ギ酸、シクロヘキセン、ギ酸ナトリウム及びギ酸アンモニウムから選ばれる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記開環反応が、金属触媒の存在下においてガス状水素を用いる触媒的水素化により行われる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記開環反応が、トリアルキルアミンである有機塩基の存在下において行われる、請求項1又は4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記開環反応において用いる金属触媒が、活性炭に吸着されている5−10w%パラジウムの0.1−1mol%である、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記開環反応が、塩素化炭化水素、炭素原子1〜6個を有するアルコール、及び水、又はこれらの混合物から選ばれた溶媒において行われる、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
カルバマゼピン(3)の反応において用いる金属触媒が、サレンマンガン(III)、アセチルアセトネートマンガン(III)、酸化マンガン(IV)、又は過マンガン酸カリウムから選ばれる、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
カルバマゼピン(3)の反応において用いる前記金属触媒が、シリカゲル、アルミナ、クレイ、又は分子篩いから選ばれた不活性担体上に担持されている、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
カルバマゼピン(3)の反応が無機塩基の存在下において行われ、かつ該無機塩基が酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸カリウムから選ばれる、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
カルバマゼピン(3)の反応において使用される実質的に不活性な溶媒が、塩素化炭化水素溶媒である、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)の製造方法であって、水素供与体及び金属触媒の存在下において触媒的転移水素化により、又はそれに代わり金属触媒の存在下においてガス状水素を用いる触媒的水素化により、1a,10b-ジヒドロ-6H-ジベンズ/b,f/オキシレノ[d]アゼピン-6-カルボキシアミド(5)の開環反応により行う前記方法。
【請求項13】
前記開環反応がトリアリキルアミンである、有機塩基の存在下において行われる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記開環反応において用いる金属触媒が、活性炭に吸着されている5−10w%パラジウムの0.1−1mol%である、請求項12又は13記載の方法。
【請求項15】
下記式(6)の化合物の製造方法であって;
【化1】

(式中、Rが、水素、アルキル、ハロゲンアルキル、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシ、アリール、又はピリジルであり;用語「アルキル」は、炭素原子1〜18個を含む直鎖又は分枝炭化水素を意味し;用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味し;用語「シクロアルキル」は、炭素原子3〜6個を有する脂環式飽和基を意味し;用語「アリール」は、未置換フェニル基、又はアルコキシ、ハロゲン、又はニトロ基によって置換されているフェニルを意味する。):
前記請求項のいずれか1項記載の方法によって10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミドを形成し、次いで該10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミドを処理して、式(6)の化合物を製造する前記方法。
【請求項16】
式(6)の化合物が、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミドをアシル化することにより製造される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
10-アセトキシ-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミドの製造方法であって、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法により、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミドを形成し、次いで10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミドをアセチルクロライドによりアシル化することを含む前記方法。
【請求項18】
10,11-ジヒドロ-10-オキソ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(2)の製造方法であって、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法により、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)を製造し、次いで、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)を、実質的に不活性な溶媒において金属触媒の存在下で、ペルオキシ酢酸と反応させることにより酸化させることを含む前記方法。
【請求項19】
10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)からの、10,11-ジヒドロ-10-オキソ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(2)の製造方法であって、10,11-ジヒドロ-10-ヒドルオキシ-5H-ジベンズ/b,f/アゼピン-5-カルボキシアミド(1)を、実質的に不活性な溶媒において、金属触媒の存在下において、ペルオキシ酢酸と反応させて酸化することを含む前記方法。
【請求項20】
該酸化反応において用いる金属触媒が、二酸化マンガン、酢酸マンガン(III)、過マンガン酸カリウム、塩化コバルト(II)、重クロム酸カリウム、及び重クロム酸ナトリウムから選択される、請求項18又は19記載の方法。
【請求項21】
該酸化反応において用いる金属触媒が、シリカゲル、アルミナ、クレイ、及び分子篩いから選ばれる不活性担体上に担持されている、請求項18、19又は20記載の方法。
【請求項22】
該酸化反応において用いられる実質的に不活性な溶媒が、塩素化炭化水素溶媒である、請求項18〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
カルバマゼピン(3)を実質的に不活性な溶媒において、ペルオキシ酢酸及び金属触媒と反応させる、1a,10b-ジヒドロ-6H-ジベンズ/b,f/オキシレノ[d]アゼピン-6-カルボキシアミド(5)の製造方法。

【公開番号】特開2009−57376(P2009−57376A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201613(P2008−201613)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【分割の表示】特願2003−500061(P2003−500061)の分割
【原出願日】平成14年5月22日(2002.5.22)
【出願人】(596095518)バイアル−ポルテラ アンド シーエー,エス.エー. (25)
【Fターム(参考)】