説明

17−AAG又は17−AG又はどちらかのプロドラッグを使用する多発性骨髄腫の治療方法

17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-AAG)又は17-アミノゲルダナマイシン(17-AG)又は17-AAG若しくは17-AGのどちらかのプロドラッグを患者に投与することによる当該患者における多発性骨髄腫の治療方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン又は17-アミノゲルダナマイシン又はどちらかのプロドラッグを使用する多発性骨髄腫の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多発性骨髄腫(“MM”、骨髄腫又は形質細胞性骨髄腫としても知られる)は、不治であるが治療可能な形質細胞の癌である。形質細胞は、免疫系の重要な部分であり、感染症及び疾患との闘いを助ける免疫グロブリン(抗体)を産生する。MMは、骨髄(“BM”)中の過剰な数の異常な形質細胞及びインタクトモノクローナル免疫グロブリン(IgG、IgA、IgD若しくはIgE;“M-タンパク”)若しくはベンス・ジョーンズタンパク(遊離型モノクローナルL鎖)の過剰産生により特徴付けられる。高カルシウム血症、貧血、腎障害、増大した細菌感染への感受性及び正常な免疫グロブリンの障害性の産生は、MMの一般的な臨床所見である。MMはしばしばまた、広範性(diffuse)骨粗鬆症、通常、骨盤、脊椎、肋骨及び頭蓋骨における骨粗鬆症によっても特徴付けられる。
【0003】
MMの治療は、化学療法、幹細胞移植、幹細胞移植を伴う高投与量化学療法及び救済療法を含む。化学療法は、Thalomid(登録商標)(サリドマイド)、Valcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、Aredia(登録商標)(パミドロネート)、ステロイド及びZometa(登録商標)(ゾレドロン酸)での治療を含む。しかしながら、多くの化学療法薬剤は、BMの細胞、胃及び腸の内壁並びに毛包のような活発に分裂する非癌性細胞に毒性を有する。従って、化学療法は結果として血球数の減少、悪心、嘔吐、下痢及び脱毛をもたらすかもしれない。
【0004】
従来の化学療法又は標準的投与量の化学療法は、概してMMの患者に関する基礎的な若しくは初期の治療である。患者はまた、高投与量化学療法及び幹細胞移植に向けた化学療法を受けてもよい。導入療法(幹細胞移植に先立つ従来の化学療法)を、移植に先立って腫瘍量を削減するために用いることができる。特定の化学療法薬剤は、他のものと比べて導入療法により適しており、その理由はそれらがBM細胞により低毒性であり、結果としてBM細胞からより多い幹細胞の産生をもたらすことである。導入療法に適した化学療法薬剤の例としては、デキザメタゾン、サリドマイド/デキサメタゾン、VAD(ビンクリスチン、Adriamycin(登録商標)(ドキソルビシン)及びデキサメタゾンを組み合わせて)及びDVd(ペグ化リポソームドキソルビシン(Doxil(登録商標)、Caelyx(登録商標))、ビンクリスチン及び削減されたスケジュールのデキサメタゾンを組み合わせて)が挙げられる。
【0005】
MMの標準的な治療は、プレドニゾン(副腎皮質ステロイド薬剤)と組み合わせたメルファランであり、50 % の奏効率を達成する。残念なことに、メルファランはアルキル化剤であり、導入療法により適さない。副腎皮質ステロイド(とりわけ、デキサメタゾン)は、時々単独でMM治療として、とりわけ年配の患者で化学療法に耐えられない人々に使用される。デキサメタゾンはまた、導入療法の形態としても、単独で又は他の薬剤と組み合わせて使用される。VADは、最も広く使用される導入療法であるが、DVdが最近導入療法として有効であることが明らかとなってきた。ボルテゾミブは最近MMの治療に関して承認されたが、極めて毒性が高い。しかしながら、治療への大きな潜在的可能性を提供する既存の治療は全く存在しない。
【0006】
17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(“17-AAG”、時々17-アリルアミノゲルダナマイシンとも称される)は、自然発生化合物であるゲルダナマイシンの半合成アナログである(Sasaki et al., 1981)。ゲルダナマイシンは、Streptomyces hygroscopicus var. geldanus NRRL 3602 のような産生生物体を培養することにより入手可能である。他の生物学的活性のあるゲルダナマイシン誘導体は、17-アミノゲルダナマイシン(“17-AG”)であり、これは17-AAGの代謝によりヒトの体内で産生される。17-AGはまた、ゲルダナマイシンから作ることができる(Sasaki et al., 1979)。ゲルダナマイシン及びそのアナログが1990年代に抗癌剤として集中的に研究されてきたが(例えば、Sasaki et al., 1981; Schnur, 1995; Schnur et al., 1999)、それらは一つとして抗癌用途に関して承認されていない。
【化1】

【0007】
17-AAG及びゲルダナマイシンは、熱ショックタンパク-90(“Hsp90”)に結合してその活性を阻害することにより作用すると考えられている(Schulte and Neckers, 1998)。Hsp90は多くの細胞性タンパク(“クライアントタンパク”)の正常プロセシングに関するシャペロンとして作用し、あらゆる哺乳動物細胞において発見される。ストレス(低酸素、熱など)により、その発現の数倍の上昇が誘導される。熱ショックタンパク-70(“Hsp70”)のような他のストレス誘導タンパクが存在し、これもまた、ストレスへの細胞応答及びストレスからの回復に関与する。
【0008】
癌細胞において、Hsp90阻害は結果として、Hsp90とerbB2、ステロイドレセプター、raf−1、cdk4及びAktのようなそのクライアントタンパクとの間の相互作用の崩壊をもたらす。例えば、17-AAGへの曝露は結果として、SKBr3乳癌細胞におけるerbB2の枯渇及びRaf−1及び変異型p53の不安定化(Schulte and Neckers, 1998)、乳癌細胞におけるステロイドレセプターの枯渇(Bagatell et al., 2001)、MEXF276Lメラノーマ細胞におけるHsp90の枯渇及びRaf−1及びerbB2の下方制御(Burger et al., 2004)、結腸腺癌細胞におけるRaf−1、c−Akt及びErk1/2の枯渇(Hostein et al., 2001)、白血病細胞における細胞内Bcr−Ablタンパク及びc−Rafタンパクの下方制御及びAktキナーゼ活性の低減(Nimmanapalli et al., 2001)、野生型Rbを有する肺癌細胞におけるcdk4、cdk6及びCyclinEの分解(Jiang and Shapiro, 2002)並びにNSCLC細胞におけるerbB1(EFGR)レベル及びerbB2(p185)レベルの枯渇(Nguyen et al., 2000)をもたらす。
【0009】
Hsp90並びに発癌及び癌細胞の転移に関与する他のタンパクに関連する17-AAGの活性に起因して、数々の臨床研究者達がその抗癌剤としての有効性をヒトの臨床試験において評価してきた。これらの種々の試験から、国立癌研究所の癌治療評価プログラム(CTEP)は、さらなる研究に向けたこれらのフェーズ2投与量/スケジュールレジメンを推奨した:220 mg/m2(患者又は被験者の体表面面積1平方メートルあたりのmg)を3週間の内2週間毎週2回投与する、450 mg/m2 を一週間に一回継続的に又は休薬若しくは中断しながら投与する並びに 300 mg/m2 を4週間の内3週間一週につき一回投与する。17-AAGでの種々の臨床試験(ほぼ例外なく固形癌を有している患者)の結果は、概して制限された臨床活性を示すが、下記に要約する。
【0010】
(a)固形癌を有する成人患者におけるフェーズ1試験は、患者に17-AAGを3週間毎に5日間毎日投与して行われた。開始投与量は 10 mg/m2 であり、56 mg/m2まで段階的に増量され、最大耐投与量(“MTD”)及び推奨フェーズ2投与量は 40 mg/m2 と決定された。当該プロトコルは、重大な既に存在する肝疾患を有する患者を除外して、その後患者を同一のスケジュールで 110 mg/m2 までの投与量で治療するように修正された。客観的な腫瘍反応は全く観察されなかった。投与量を制限する可逆的な肝毒性に起因して、当該プロトコルは、1日につき 40 mg/m2 の投与量から始めて隔週のスケジュールで1週間につき2回患者に投与するようにさらに修正された。5日間の間 40 mg/m2 及び 56 mg/m2 の1日投与量で、ピーク血漿濃度はそれぞれ、1,860 ± 660 nM 及び 3,170 ± 1,310 nM であった。56 mg/m2 で治療した患者に関し、17-AAG及び17-AGに関する平均AUC値はそれぞれ 6,708 nM×時間 及び 5,558 nM ×時間 であり、平均t1/2 はそれぞれ 3.8時間及び8.6時間であった。17-AAG及び17-AGのクリアランスはそれぞれ 19.9 L/時間/m2 及び 30.8 L/時間/m2 であり、Vz値はそれぞれ 93 L/m2 及び 203 L/m2 であった(Grem et al., 2005)。
【0011】
(b)2つ目のフェーズ1試験において、進行性固形癌を有する患者に、5 mg/m2 の開始投与量で毎日5回のスケジュールで17-AAGを投与した。80 mg/m2 で、投与量を制限する毒性(肝炎、腹痛、悪心、呼吸困難)が観察されたが、それにもかかわらず、投与量の段階的増量は、当該投与量が 157 mg/m2/日 に達するまで続けられた。さらなる投与スケジュールの修正が、毎週2回の投薬を可能にするために実施された。80 mg/m2 の投与量レベルで、t1/2 は1.5時間であり、血漿Cmaxは 2,700 nM であった。同様に、17-AGに関しては、t1/2 は1.75時間であり、Cmaxは 607 nM であった。血漿濃度は、インビトロ及びインビボ異種移植モデルにおいて殺細胞を達成するのに必要な濃度(10 nM − 500 nM)を越えた(Munster et al., 2001)。
【0012】
(c)17-AAGのフェーズ1試験は進行性固形癌を有する患者を 10 mg/m2 の開始投与量で4週間毎に3週間の間毎週治療して行われ、推奨フェーズ2投与量は 295 mg/m2 であった。投与量の段階的増量は 395 mg/m2 の投与量まで達し、その時点で、悪心並びに膵炎及びグレード3の疲労に続発する嘔吐が観察された。当該投薬スケジュールは、4週間毎に3週間毎週2回の投薬及び3週間毎に2週間毎週2回の投薬を可能にするように修正された。母集団薬物動態(PK)解析が、当該試験から得られたデータで行われた。17-AAGに関するVd(分布容積)は、体循環コンパートメント(central compartment)に関して 24.2 L であり、末梢コンパートメントに関して 89.6 L であった。クリアランス値は、17-AAG及び17-AGに関してそれぞれ 26.7 L/時間 及び 21.3 L/時間 であった。代謝クリアランスは、17-AAGの 46.4 % が17-AGへ代謝されたことを示唆した。客観的な腫瘍反応は現在までのところ当該試験において全く観察されていない(Chen et al., 2005)。
【0013】
(d)固形癌及びリンパ腫を有する患者での他のフェーズ1試験が、4週毎に3週間で毎週1回の投薬サイクルを用いて実施された。開始投与量は、15 mg/m2 であった。投与量の段階的増量は重大な毒性なく 112 mg/m2 まで達し、“生物学的”活性の投与量範囲まで達するという目標を持って続けられた。毎週の17-AAG投与に関するMTDは、308 mg/m2 に達した。当該試験において現在までに客観的な腫瘍反応は全く観察されておらず、測定されたHsp90クライアントタンパクのレベルは、治療期間中不変であった。シャペロンタンパクレベル又はクライアントタンパクレベルと17-AAGのPK又は17-AGのPKとの間の相関関係は見られなかった。17-AAGのPKとその臨床毒性との相関関係も全くなかった(Goetz et al., 2005)。
【0014】
(e)転移性黒色腫を有する11人の患者を含む他のフェーズ1試験が、毎週1回の投与スケジュールを用いて実施された。開始投与量は 10 mg/m2 であり、投与量を制限する毒性が 450 mg/m2/週 で観察された(グレード3/4のASTの上昇)。より高い投与量(16 mg/m2/週 − 450 mg/m2/週)で、採用された17-AAG配合物は一回の注入中に 10 mL − 40 mL のジメチルスルホキシド(DMSO)を含み、これがおそらく当該試験において観察された胃腸毒性をもたらした。320 mg/m2 − 450 mg/m2 で治療した患者のうちで、2人が、放射線学的に記録された長期間の安定した疾患を示した。完全反応又は部分的反応は、全く記録されなかった。最高投与量レベル(450 mg/m2)で、17-AAGの血漿濃度は 10 μM を越え、24時間を超える間 120 nM を上回ったままであった。450 mg/m2 の最高投与量で、平均分布容積は 142.6 L であり、平均クリアランスは 32.2 L/時間であり、平均ピーク血漿レベルは 8,998 μg/L であった。投与量と試験された投与量レベルに関する曲線下面積(AUC)との間の線形相関が存在した。薬力学(PD)パラメータも測定され、コシャペロンタンパクHsp70の誘導が 320 mg/m2/週 − 450 mg/m2/週 で治療された9人の患者の8人で観察された。腫瘍生険標本中でクライアントタンパクの枯渇も観察された(24時間時点で、9人の患者の内8人におけるCDK4枯渇及び6人の患者の内4人におけるRaf−1枯渇)。これらのデータは、腫瘍中のHsp90が1日間−5日間で阻害されることを示唆した(Banerji et al., 2005)。
【0015】
17-AAGのインビボにおける抗-MM活性が、SCID/NODマウスでの広範性GFP陽性MM病変モデルを用いて研究された(Mitsiades et al., 2006)。生存率分析は、治療が全体的な生存の中央値を著しく延長させることを示唆したが、非臨床データはしばしば臨床活性を予測できない。上記で検討されたとおり、これはとりわけ固形癌における17-AAGの場合であり、非臨床データの見込みはフェーズ1臨床試験で実証されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、抗癌剤として17-AAGを開発するための集中的な取り組みにもかかわらず、いずれの癌の治療に関しても17-AAGを規制当局は全く承認していない。その潜在的な治療効果を実現することができるような17-AAG及び17-AAGのプロドラッグ(及びその代謝対応物である17-AG)を投薬する方法及び投与する方法に関する必要性が依然として存在する。本発明は、17-AAGを用いるMMの治療に有効な当該方法を提供する。
【0017】
本明細書で引用される参考文献のリストを、本明細書の最後に提供する。本明細書で引用される全ての文献は、あたかも各々の当該出版物又は文献が具体的かつ個別に参照によって本明細書に取り込まれるかの如く、参照により本明細書に取り込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の要約)
本発明は、当該治療を必要とする患者における多発性骨髄腫の治療方法であって:
医薬配合物を前記患者へ投与するステップ及び必要に応じてさらなる治療効果が全く得られなくなるまで前記ステップを繰り返すことを含み、
前記医薬配合物が治療的に有効な投与量の17-AAG又は17-AG又は17-AAG若しくは17-AGのどちらかのプロドラッグ及び必要に応じて医薬的に許容されるキャリア若しくは希釈剤を含む、前記治療方法を提供する。
【0019】
ある実施態様において、当該方法はMMを有する被験者への少なくとも2週間の期間を超える期間の多様な投与量の17-AAG又はそのプロドラッグの投与を含み、各々の当該投与量は約 275 mg/m2 − 約 420 mg/m2 の範囲の17-AAG又は17-AAGのプロドラッグ若しくは17-AGのプロドラッグの相当量(モル基準で)である。ある実施態様において、当該投与量は、約 340 mg/m2 の17-AAG又は17-AAGのプロドラッグ若しくは17-AGのプロドラッグの相当量(モル基準で)である。ある実施態様において、当該投与量が少なくとも2週間の間毎週2回投与される。ある実施態様において、当該投与量が3週間の期間に少なくとも2週間の間毎週2回投与され、3週間の期間あたりの投薬のこの速度をサイクルと呼び、複数サイクルの当該治療が当該被験者に投与される。
【0020】
ある実施態様において、17-AAG又は17-AAGのプロドラッグの治療的に有効な投与量は、結果として一投与量あたり約 12,500 ng/mL×時間 − 25,000 ng/mL×時間 の範囲の17-AAGのAUCtotalをもたらす投与量である。ある実施態様において、当該投与量が、17-AAGのCmaxが 15,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される。ある実施態様において、当該投与量が、17-AAGのCmaxが 1,800 ng/mL を超えるような速度及び頻度で投与される。ある実施態様において、当該投与量が、17-AAGのCmaxが 3,000 ng/mL を超えるような速度及び頻度で投与される。ある実施態様において、当該投与量が、17-AAGのCmaxが 1,800 ng/mL を超えるが 15,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される。ある実施態様において、当該投与量が、17-AAGのCmaxが 3,000 ng/mL を超えるが 15,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される。
【0021】
ある実施態様において、17-AG又は17-AGのプロドラッグ(このプロドラッグは17-AAGを含んでいてもよい)の治療的に有効な投与量は、結果として一投与量あたり約 5,000 ng/mL×時間 − 約 18,000 ng/mL×時間 の範囲の17-AGのAUCtotalをもたらす投与量である。ある実施態様において、当該投与量が、17-AGのCmaxが 2,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される。ある実施態様において、当該投与量が、17-AGのCmaxが 500 ng/mL を超えるような速度及び頻度で投与される。ある実施態様において、当該投与量が、17-AGのCmaxが 900 ng/mL を超えるような速度及び頻度で投与される。ある実施態様において、当該投与量が、17-AGのCmaxが 500 ng/mL を超えるが 2,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される。ある実施態様において、当該投与量が、17-AGのCmaxが 900 ng/mL を超えるが 2,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される。
【0022】
ある実施態様において、17-AAG、17-AAGのプロドラッグ、17-AG又は17-AGのプロドラッグの治療的に有効な投与量は、結果として一投与量あたり 約 17,500 ng/mL×時間 − 約 43,000 ng/mL×時間 の範囲の17-AAGと17-AGの総合体としてのAUCtotalをもたらす投与量である。ある実施態様において、当該投与量が、17-AAGのCmaxが 15,000 ng/mL 越えない及び/又は17-AGのCmaxが 2,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される。ある実施態様において、当該投与量が、17-AAGのCmaxが 1,800 ng/mL 超える及び/又は17-AGのCmaxが 500 ng/mL を超えるような速度及び頻度で投与される。ある実施態様において、当該投与量が、17-AAGのCmaxが 3,000 ng/mL 超える及び/又は17-AGのCmaxが 900 ng/mL を超えるような速度及び頻度で投与される。ある実施態様において、当該投与量が、17-AAGのCmaxが 1,800 ng/mL 超えるが 15,000 ng/mL を越えない及び/又は17-AGのCmaxが 500 ng/mL を超えるが 2,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される。ある実施態様において、当該投与量が、17-AAGのCmaxが 3,000 ng/mL 超えるが 15,000 ng/mL を越えない及び/又は17-AGのCmaxが 900 ng/mL を超えるが 2,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される。
【0023】
ある実施態様において、17-AAG又は17-AAGのプロドラッグの治療的に有効な投与量は、結果として3時間 − 4.5時間の範囲の17-AAGの終末T1/2をもたらす投与量である。ある実施態様において、17-AAG又は17-AAGのプロドラッグの治療的に有効な投与量は、結果として上述の範囲の17-AAGの終末T1/2及び一投与量あたり約 12,500 ng/mL×時間 − 約 25,000 ng/mL×時間の範囲の17-AAGのAUCtotalをもたらす投与量である。
【0024】
ある実施態様において、17-AG又は17-AGのプロドラッグの治療的に有効な投与量は、結果として4時間 − 7時間の範囲の17-AGの終末T1/2をもたらす投与量である。ある実施態様において、17-AG又は17-AGのプロドラッグの治療的に有効な投与量は、結果として上述の範囲の17-AGの終末T1/2及び一投与量あたり約 5,000 ng/mL×時間 − 約 18,000 ng/mL×時間の範囲の17-AGのAUCtotalをもたらす投与量である。
【0025】
ある実施態様において、17-AAG又は17-AAGのプロドラッグの治療的に有効な投与量は、結果として 100 L − 270 L の範囲の17-AAGの分布容積Vzをもたらす投与量である。ある実施態様において、17-AAG又は17-AAGのプロドラッグの治療的に有効な投与量は、結果として上述の範囲の17-AAGの分布容積Vz及び一投与量あたり約 12,500 ng/mL×時間 − 約 25,000 ng/mL×時間の範囲の17-AAGのAUCtotalをもたらす投与量である。
【0026】
ある実施態様において、17-AAG又は17-AAGのプロドラッグの治療的に有効な投与量は、結果として 30 L/時間 − 50 L/時間 の範囲のクリアランスをもたらす投与量である。ある実施態様において、17-AAG又は17-AAGのプロドラッグの治療的に有効な投与量は、結果として上述の範囲の17-AAGのクリアランス及び一投与量あたり 約 12,500 ng/mL×時間 − 25,000 ng/mL×時間の範囲の17-AAGのAUCtotalをもたらす投与量である。
【0027】
ある実施態様において、17-AAG又は17-AAGのプロドラッグの治療的に有効な投与量は、結果として 100 L − 150 L の範囲のVssをもたらす投与量である。ある実施態様において、17-AAG又は17-AAGのプロドラッグの治療的に有効な投与量は、結果として上述の範囲の17-AAGのVss及び一投与量あたり約 12,500 ng/mL×時間 − 25,000 ng/mL×時間 の範囲の17-AAGのAUCtotalをもたらす投与量である。
【0028】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本発明の理解及び実施を助けるために、本明細書で用いられる特定の用語に関する定義を以下に提供する。
【0029】
“副作用”は、国立癌研究所で定義されるとおりである(2003)。
“投与量を制限する毒性”(DLT)は、国立癌研究所を参照するいずれの以下の臨床毒性としても定義される(2003)。血液学的毒性としては、(1)連続的な5日間を超えるグレード4の好中球減少症(好中球絶対数(ANC)< 0.5×109 /L)又は発熱性好中球減少症(ANC< 1.0×109 /L、熱≧38.5℃)、(2)グレード4の血小板減少症(血小板< 25.0×109 /L 若しくは血小板輸血を必要とする出血症状)、及び/又はグレード4の貧血(ヘモグロビン< 6.5 g/dL)が挙げられる。非血液学的毒性としては、(1)グレード3以上のいずれの非血液学的毒性(グレード3の注射部位反応、脱毛症、食欲不振、疲労を除く)、(2)最大限の医療介入及び/又は予防の使用にもかかわらずグレード3以上の悪心、下痢及び/又は嘔吐、及び/又は(3)薬剤関連性の毒性からの長期の回復に起因する4週間を超える治療遅延が挙げられる。
【0030】
“完全反応(CR)”は、少なくとも6週間維持される血清及び尿の両方の陰性免疫固定法(“IF”)に基づいて定義される。5%未満の形質細胞を含む骨髄吸引(“BMA”)をCRの確認に使用することができる。トレフィン生検を行い、結果が5%未満の形質細胞を示す。非分泌性骨髄腫においては、CRの確認のために6週間の間隔で骨髄生検が繰り返される。渙散性病変のサイズ又は数の上昇は全く観察されず(圧迫骨折の進展は反応を排除しない)、軟組織形質細胞腫の消失を伴う(Blade et al., 1998)。
【0031】
“KPS一般状態”は表1で定義されるとおりであり、またECOGスケールとの比較も提供する。
【表1】

【0032】
“最小反応”は、以下の1つ以上として定義される:少なくとも6週間維持される血清M−タンパクの 25 % − 49 % の減少;少なくとも6週間維持されるまだ 200 mg/24時間 を超える尿中L鎖排泄の 50 % − 89 % の減少;非分泌性骨髄腫のみを有する患者に関する少なくとも6週間維持されるBMA又は骨トレフィン生検(生検が行われる場合)中の形質細胞の 25 % − 49 % の減少;軟組織形質細胞腫のサイズの 25 % − 49 % の減少(X線検査又は臨床監査による);及び渙散性病変のサイズ又は数の上昇が全くないこと(圧迫骨折の進展は反応を排除しない)(Blade et al., 1998)。
“変化なし”は、最小反応又は進行性疾患のどちらかの判定基準を満たさないものとして定義される(Blade et al., 1988)。
【0033】
“部分的反応(PR)”は、CRに関する判定基準のいくつかを満たすが全てを満たすわけではない患者であって、日常的な電気泳動法が陰性であるがIFが行われていない患者であってもよい患者が発生することとして定義される。Blade et al.(1988)を参照すると例が提供されている。
“プラトーフェーズ”は、最低3ヶ月間安定的なパラプロテインレベルに基づいて定義される。プラトーは、反応が評価される際に当該値が 25 % の範囲内に観察されることが必要であり、25 % を超える上昇は疾患の進行に関する当該判定基準の一つである(Blade et al., 1998)。
【0034】
“疾患の進行”は、CRにない患者に関して、部分寛解又はプラトーフェーズの患者における疾患活動性の明確な上昇として定義され、一方で再燃という用語は、以前にCRであった患者における明らかな疾患の再発に適用される。例が提供される Blade et al.,(1998)を参照。
“難治性癌”は、一つ以上の前治療に反応しない癌を意味する。
【0035】
“再燃”は、一つ以上の前治療による改善の期間後に癌の兆候及び症状が戻ることを意味する。“CRからの再燃”は、以下の一つ以上として定義される:少なくとも一つのさらなる検査及びオリゴクローナルな再構成を除外することにより確認されるIF又は日常的な電気泳動法での血清パラプロテイン又は尿中パラプロテインの再出現;BMA中又はトレフィン骨生検における 5 % を超える形質細胞;新たな溶解性骨病変軟若しくは軟組織形質細胞腫の発生又は残りの骨病変のサイズの明確な上昇(圧迫骨折の発生が持続的な反応を排除せず、かつ進行を示唆しなくてもよい);並びにいかなる他の原因にも起因しない高カルシウム血症(11.5 mg/dL を超える補正血清カルシウム値)の発生。
【0036】
“治療的に有効な投与量”は、特に指示されない限り、好ましい治療効果を達成するために投与されるのに必要とされる薬剤の量を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
(実施態様)
本発明は、MMを治療するための17-AAG又は17-AG及びインビボでの17-AAG又は17-AGの形成を介したそれらの制癌効果を発揮するそれらのプロドラッグの重要な新規の使用方法を提供する。本発明の方法のある実施態様において、17-AAG又は17-AAGのプロドラッグは、MMを治療するために当該患者へ投与される医薬配合物中の唯一の治療薬である。本発明は一つには、管理し難い毒性を引き起こしそうな血中レベルに到達することなくAUCtotal、Cmax、終末T1/2、クリアランス及び/又はVz若しくはVssのどちらかとして表される分布容積として表される17-AAG又は17-AGの治療的に有効な血中レベル(又は、これらの成分が細胞アッセイで等しい効力を有している場合には、17-AGと共に加えられる17-AAGの血中レベル)を達成し維持するために17-AAGを投薬するための及び投与するための新たな方法の発見から生じる。
【0038】
ある実施態様において、本発明は3週間を超える期間多様な投与量の17-AAG又は17-AAGのプロドラッグを投与することを含む。集合的に、3週間の期間を超えるこれらの投与は、サイクルと呼ばれる。患者は、複数のサイクルの処置で治療されてもよい。本明細書に記載される治療的に有効な投与量が達成される限りは、本明細書に特に記載されるよりもより長い持続時間若しくはより短い持続時間のサイクルを含むか又はより多い若しくはより少ない投与量を含む種々のサイクルを本発明を実施するために使用することができる。
【0039】
ある実施態様において、当該治療的に有効な投与量はMMを有する患者へ少なくとも3週間を超える期間17-AAG又は17-AAGのプロドラッグの多様な投与量を投与することによって達成され、当該多様な投与量は、結果として一投与量あたり少なくとも 12,500 ng/mL×時間の17-AAGに関するAUCtotalをもたらすが、25,000 ng/mL×時間を超えない。ある実施態様において、1サイクルあたり4回の投与で投与され、各々の投与量は少なくとも 150 mg/m2 であり、さらに各々の投与の間に3日間−4日間の期間が存在する。他の実施態様において、1サイクルあたり4回の投与で投与され、1週あたり2回の投与で当該3週間サイクルの内最初の2週間投与される。
【0040】
インビボで17-AAG又は17-AGに変換される(プロドラッグ)17-AAG又は17-AG以外の化合物を投与することができる。あるタイプのプロドラッグは、当該ベンゾキノン環がヒドロキノン環に還元されているが、当該被験者において代謝されてベンゾキノン環に戻されるものである。17-AAGプロドラッグの1つの具体的な例は、17-アリルアミノ-18,21-ジヒドロ-17-デメトキシゲルダナマイシン(Adams et al., 2005)である。本発明の方法は従って、ある実施態様においては、前記治療を必要とする患者におけるMMの治療方法であって、当該方法がMMを有する患者への多様な投与量の17-AAG若しくは17-AG又は17-AAG若しくは17-AGのプロドラッグを少なくとも3週間を超える期間投与することを含み、当該多様な投与量が結果として一投与量あたり少なくとも 5,000 ng/mL×時間の17-AGに関するAUCtotalをもたらすが、18,000 ng/mL×時間 を超えない、前記方法であってもよい。ある実施態様において、1サイクルあたり4回の投与で投与され、各々の投与量は少なくとも 150 mg/m2 であって、さらに各々の投与の間に3日間−4日間の期間が存在する。他の実施態様において、1サイクルあたり4回の投与で投与され、1週間あたり2回の投与で当該3週間サイクルの内最初の2週間投与される。
【0041】
従って、本発明はその発明の範囲内に17-AAGのプロドラッグの使用を含み、“投与する”という用語はそれを必要とする当該患者への投与後にインビボで17-AAG又は17-AGへ変わる化合物の医薬的な相当量でのMMの治療を包含する。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製に関する従来の方法は、Wermuth, 2003 に記載される。
【0042】
治療を必要とする被験者は、本発明の目的のために、概してMMを患うヒトの患者であるが、本発明の方法は所定の特定の哺乳動物(ネコ、ウシ、イヌ、ウマなどを含む)に関して本明細書に記載されるAUCtotal又は他のPKパラメータ及びPDパラメータと等価であることを達成するための当該単位投与量の適切な調整と共に獣医学的目的のために実施することができる。薬学の当業者は、所定の種に適用できる換算因子を知っているか又は容易に割り出すことができる。しかしながら概して、当該方法はヒト被験者の利益になるように実施され、それらの被験者は概して以下の一つ以上を含むMMのいくつかの組織学的証拠を提示するであろう:血清中若しくは尿中のM−スパイク、30 % を超えるBM形質細胞増加症、貧血、腎不全、高カルシウム血症及び/又は溶解性骨病変。
【0043】
ある実施態様において、被験者はデューリーサーモンシステム(Durie-Salmon system)に基づいてステージIIIのMMと診断されており、これらの症状の一つ以上を提示する:ヘモグロビン値 < 8.5 g/dL、血清カルシウム値 > 12 mg/dL、進行型の溶解性骨病変(スケール3)、高いM−コンポーネント産生率(IgG値 > 7g/dL;IgA値 > 5g/dL;ベンス・ジョーンズタンパク > 12 g/24時間)。あるいは、被験者は国際病気分類基準(ISS)システムに基づきステージIIIのMMと診断されており、β-2ミクログロブリンの血清レベル > 5.5 g/dL を有する。
【0044】
他の実施態様において、患者はデューリーサーモンシステム(Durie-Salmon system)に基づいてステージIIのMMと診断されており、被験者はステージIIIのMMを有しておらず(デューリーサーモンシステム(Durie-Salmon system)に基づき)、以下の一つ以上の症状を有しているが全ての症状を有しているわけではない:ヘモグロビン値 > 10 g/dL、血清カルシウム値 ≦ 12 md/dL、骨X線、正常な骨格(スケール0)若しくは孤立性の骨の形質細胞腫のみ、低いM−コンポーネント産生率(IgG値 < 5g/dL;IgA値 < 5g/dL)。他の実施態様において、被験者はISSシステムに基づきステージIIのMMと診断されており、被験者はステージIIIのMMを有しておらず(ISSシステムに基づき)、β-2ミクログロブリンの血清レベル < 3.5 g/dL かつ アルブミン ≧ 3.5 g/dL を有していない。
【0045】
他の実施態様において、患者は以下のMMの兆候又は症状の一つ以上を有している:高いレベルの血清Mタンパク(>3g/dL のような)及び/又は被験者からのBMサンプル中の 10 % を超える細胞が形質細胞である。他の実施態様において、患者のカルノフスキー(Karnofsky)一般状態(KPS)は、少なくとも 70 % である。他の側面において、治療前の患者のKPSは、少なくとも 60 %、50 %、40 %、30 %、20 % 又は 10 % である。ある側面において、患者のECOGは、少なくとも 0、1、2又は3である。
【0046】
17-AAG、17-AG又は17-AAG若しくは17-AGのどちらかのプロドラッグの治療的に有効な投与量は、治療効果をもたらす被験者へ1治療サイクルを超えて各々の投与で投与される17-AAGの量である。治療効果は、癌の進行速度又は癌の伝播速度がある程度の期間遅らせられるか又は停止されることであってもよい。何人かの患者において、治療効果はMMの完全消失であってもよい。何人かの患者において、治療効果は1治療サイクルで達成される。他の患者において、治療効果は複数サイクルの治療後においてのみ達成される。しかしながら、当業者はすべてのMM患者が治療効果を達成するという保証が全くないこともあり得ることを十分に理解することができる。
【0047】
上述のとおり、ある実施態様において、各々の治療サイクルは3週間である。他の実施態様において、本明細書に記載されるAUCtotal又は他のPKパラメータ及びPDパラメータと等価であることが達成される限りは、2週間又は4週間(又は1ヶ月)のような他の治療サイクル回数を採用することができる。各々のサイクルで採用される単位投与量が1治療サイクルあたり少なくとも1回で最大で8回まで投与される。概して、当該投与量が1治療サイクルあたり2回−4回投与される。ある実施態様において、当該投与量が3週間の各々の治療サイクルの内2週間毎週2回投与される。例えば、第一の投与量の投与でサイクルを開始する場合、ある実施態様において、当該単位投与量が当該治療サイクルの初めの2週間で1回又は2回投与され、3週目の間は投与されない。ある実施態様において、当該投与量が各々の治療サイクルの1日目、4日目、8日目及び11日目に投与され、1日目が第一の投与量が投与される日である。
【0048】
17-AAGの各々の投与量は最大耐投与量(“MTD”)を超えない投与量であり、これは、当該治療方法を受けている6人の被験者の2人以下が対症療法に敏感に反応しない血液学的毒性又は非血液学的毒性を経験する最大の投与量として定義される。好ましくは、投与される17-AAGの量はMTDと同じ又はMTD未満である。好ましくは、投与される17-AAGの量は、結果として容認できない及び/又は扱いにくい血液学的毒性又は非血液学的毒性をもたらさない量である。好ましくは、MTDは1投与量あたり約 340 mg/m2 である。
【0049】
17-AAG若しくは17-AG又はどちらかのプロドラッグの単位投与量の治療的に有効な量は、本発明に従う投与の1回以上のサイクルの後に、結果として完全反応(CR)、部分的反応(PR)、最小反応(MR)、安定的疾患状態(StD)、血清モノクローナルタンパク(血清Mタンパク)の減少又は当該被験者のBMにおける形質細胞の減少(Blade et al., 1998)を、少なくとも3週間、6週間、2ヶ月間、6ヶ月間、1年間又は数年間といった期間もたらす量である。ある実施態様において、17-AAGの投与は結果として、MM患者において血清Mタンパク及び/又は尿中Mタンパクの減少、BM形質細胞増加症、貧血の緩和、腎不全の緩和、高カルシウム血症の緩和及び/又は溶解性骨病変の減少/緩和をもたらす。ある実施態様において、何人かの患者はCRから再燃しない又は当該疾患の進行の顕著な遅延を経験する。
【0050】
1単位投与量で投与される17-AAGの量は、一投与量あたり 275 mg/m2 − 340 mg/m2 であってもよい。17-AAGが3週間毎に2週間毎週2回投与される場合には、投与される17-AAGの量は一投与量あたり 275 mg/m2 − 340 mg/m2 である。当業者は、17-AAG又は17-AGのプロドラッグ若しくは17-AG自身の単位投与量が17-AAGに関して本明細書に提供される投与量並びに当該プロドラッグ又は17-AGの分子量及び相対的なバイオアベイラビリティから計算することができることを理解することができる。
【0051】
本発明の方法はまた、1治療サイクルあたりに投与される17-AAGの量の形で記載されてもよい。1サイクルあたりの量は概して少なくとも 1,100 mg/m2 である。概して、1サイクルあたりの量は少なくとも 1,360 mg/m2 である。種々の実施態様において、投与される17-AAGの量は少なくとも 1,100 mg/m2/1治療サイクル − 少なくとも 1,360 mg/m2/1治療サイクル である。
【0052】
上述のとおり、単位投与量の投与頻度は毎週1回又は毎週2回である。本発明の方法のある実施態様において、当該医薬配合物は3週間毎又は4週間毎に2週間毎週2回静脈内に投与される。ある実施態様において、患者は治療に関連する毒性を回避する又は改善するために前治療医薬を投与される。当該前治療医薬の例は以下に記載される。本発明の方法のある実施態様において、17-AAG若しくは17-AG又はどちらかのプロドラッグの投与が各々のサイクルの1日目、4日目、8日目及び11日目に行われ、当該サイクル期間は3週間である。17-AAGは概して、少なくとも30分間、60分間、90分間又は120分間の間に注入される点滴静注によって投与される。2.4 m2 を超える体表面積(“BSA”)を有する患者に関しては、投薬は2.4 m2 の最大BSAを用いて本明細書の方法に従って計算することができる。
【0053】
本発明の方法のヒト臨床試験において、以下の投与レジメンがいずれの治療される患者においても投与量を制限する毒性(“DLT”)に達することなく採用されている:1投与あたり275 mg/m2 の17-AAGを3週間の内2週間毎週2回(21日間のサイクル期間で、1日目、4日目、8日目及び11日目)。
【0054】
上述のとおり、17-AAGが投与される後、それ自体で抗癌活性を有する主要な代謝産物である17-AGが当該被験者において出現する。17-AAG及び17-AGは従って各々、そして共に、本発明の方法の治療効果に寄与する。治療的に有効な投与量及び17-AAGの投薬レジメンは、本明細書に記載されるとおりの当該被験者における17-AAG及び/又は17-AGの曲線下面積(AUCtotal)を実現するものである。種々の治療的に有効な投与量及び投薬レジメンが以下の実施例で明らかにされる。本発明によって提供される17-AAG及び/又は17-AGの治療的に有効な投与量及び投薬レジメンはまた、終末半減期(t1/2);クリアランス(CL);及び/又は消失相又は定常状態における分布容積(Vz及び/又はVss)の形で記載することもできる。
【0055】
本発明の治療方法の治療効果は、治療の開始から3週間、6週間、12週間、18週間又は24週間ですぐに反応する被験者において観察され得る。ある実施態様において、当該治療の治療効果は、当該患者の血清タンパクの減少及び/又はBUNの減少又は血清カルシウムの減少である。種々の実施態様において、当該減少は少なくとも 25 % ;少なくとも 50 % − 80 %;少なくとも 90 % ;及び、100 % である。血清Mタンパクの減少は例えば、血清タンパクの電気泳動法又は免役固定法技術によって判断することができる。パーセント減少は、治療期間後に測定され次に治療の直前に測定された当該患者における血清Mタンパク、BUN又はカルシウムのレベルと比較した当該患者における血清タンパク、BUN又はカルシウムのレベルである。血清タンパクは、血清中に高いレベルで存在する際に当該被験者がMMを患っていることを示唆するタンパクである。当該血清タンパクの例としては、血清Mタンパク(血清Mパラプロテインとしても知られる)、β2-ミクログロブリン、L鎖及び総タンパクが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
本発明によって実現することができる他の治療効果は、以下の一つ以上であってもよい:BM形質細胞増加症の減少、貧血の緩和、腎不全の緩和、高カルシウム血症の緩和及び/又は溶解性骨病変の減少/緩和。他の治療効果は、少なくとも約 10 %、少なくとも約 20 %、少なくとも約 30 %、少なくとも約 40 % 又は少なくとも約 50 % の当該患者のKPSの改善である。他の治療効果は、少なくとも約1、少なくとも約2又は少なくとも約3の当該患者のECOGの改善である。
【0057】
理想的には、本発明の実施は結果的に扱いにくい血液学的毒性又は非血液学的毒性をもたらさない。回避されるべき血液学的毒性の例としては、グレード4の好中球減少症、グレード4の血小板減少症及び/又はグレード4の貧血が挙げられる。非血液学的毒性の例としては、いずれのグレード3以上の非血液学的毒性(グレードの注射部位反応、脱毛症、食欲不振、疲労を除く)、グレード3以上の悪心、下痢及び/又は嘔吐(最大限の医療介入及び/又は予防の使用にもかかわらず)、及び/又は薬剤関連性の毒性からの長期の回復に起因する4週間を超える治療遅延が挙げられる。当業者は、種々の毒性が癌患者において起こるかもしれず、本発明の方法が当該毒性の発生を削減する又は除去する利益を提供することを理解することができる。
【0058】
当該医薬配合物がアナフィラキシー反応を引き起こすかもしれない追加的な化合物(Cremophor(登録商標)のような)を含む場合には、(a)ロラタジン(loratidine)又はジフェンヒドラミン、(b)ファモチジン、及び(c)メチルプレドニゾン又はデキサメタゾンのような追加的な医薬を当該アナフィラキシー反応を回避し又は低減するために投与することができる。
【0059】
本発明はまた、種々の実施態様において、例えば、Thalomid(登録商標)、Aredia(登録商標)及びZometa(登録商標)又はRevlimid(登録商標)(レナリドマイド)であってもよい他の抗癌化合物と組み合わせて17-AAG若しくは17-AG又はどちらかのプロドラッグを投与することによるMMの治療方法を提供する。当該他の抗癌剤又は薬剤は、当業界で現在採用される単位投与量及び投薬レジメンで投与することができる。
【0060】
重要なことは、本発明は少なくとも1つの従来の抗癌治療レジメンに失敗した、すなわち難治性MM又は再発性難治性MMを有するMM患者を治療するために使用することができる。これらの従来の抗癌治療の例としては、単独療法(単一の薬剤治療)又は以下の治療と抗癌剤:化学療法、幹細胞移植、Thalomid(登録商標)、Velcade(登録商標)及びRevlimid(登録商標)、の併用療法が挙げられるが、これらに限定されない。化学療法の例としては、メルファランとプレドニゾンの組み合わせ(MP)での治療、VADでの治療又は、アルキル化剤単独又はシクロホスファミド+エトポシド若しくはエトポシド、デキサメタゾン、ドキソルビシンの組み合わせのような他の薬剤と組み合わせた治療が挙げられる。
【0061】
本発明の実施に有効であってもよい診断及び実験室の方法及び検査は、当業者によく知られている。例えば、Pagana and Pagana, Mosby's Manual of Diagnostic and Laboratory Tests, 2d Ed., Mosby-Year Book, 2002 及び Jacobs & DeMott Laboratory Test Handbook, 5th Ed., Jacobs et al. (eds), Lexi-Comp, Inc., 2001(各々は、参照によって本明細書に取り込まれる)を参照のこと。血清中の遊離κL鎖濃度及び遊離λL鎖濃度は、Freelite(登録商標)(The Binding Site Inc., Birmingham, United Kingdom)を使用して測定することができる。
【0062】
本発明の方法で有用な活性医薬成分(“API”、17-AAG、17-AG、プロドラッグ、他の抗癌化合物など)は、適切な固体形態又は液体形態で経口的な投与用又は静脈内投与用に処方することができる。参照によって本明細書に取り込まれる Gennaro, ed., Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed.(Lippincott Williams & Wilkins 2003)を参照のこと。当該APIは例えば、溶液、エマルション、懸濁液又は経腸的な投与若しくは非経口的な投与に適したいずれの他の形態用の無毒性の医薬的に許容されるキャリア又は賦形剤と共に構成することができる。医薬的に許容されるキャリアの例としては、水及び液化形態で製剤を製造する際の使用に適した他のキャリアが挙げられる。さらに、補助的な安定化剤、増粘剤及び着色剤が使用されてもよい。
【0063】
本発明の方法において有用なAPIは、マイクロカプセル、ナノ粒子又はナノ懸濁液として処方されてもよい。当該配合物用の一般的なプロトコルは例えば、Microcapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy by Max Donbrow, ed., CRC Press (1992) 及び Bosch et al. (1996), De Castro (1996), 及び Bagchi et al. (1997)に記載される。体積に対する表面積の割合の増加によって、これらの配合物は17-AAG又は他の比較的不溶性のAPIにとりわけ適している。
【0064】
17-AAGは、ビタミンEを含有するエマルションで又はPEG化されたその誘導体で処方することができる。当該賦形剤を含有する配合物への一般的なアプローチは、Quay et al.(1998)及び Lambert et al.(2000)に記載される。17-AAGは、エタノールを含む(好ましくは、1% w/v 未満)水溶液に溶解することができる。ビタミンE又はPEG化されたビタミンEが加えられる。次にエタノールが除去されて静脈内経路又は経口経路の投与用に処方することができるプレエマルションを形成する。
【0065】
本発明の方法で有用な医薬配合物の他の調製方法は、17-AAGをリポソーム中に被包することであってもよい。薬物送達ビークルとしてのリポソームの形成のための方法は、当業界でよく知られる。本発明に適合性の適切なプロトコルとしては、パクリタキセルに関して Boni et al. (1997), Straubinder et al. (1995) 及び Rahman et al. (1995) により記載されたもの、並びにエポチロン, mutatis mutandis に関して Sonntag et al. (2001) により記載されたものが挙げられる。当該配合物中に使用されてもよい種々の脂質の内、ホスファチジルコリン及びポリエチレングリコール-誘導体化されたジステアリルホスファチジル-エタノールアミン(distearyl phosphatidyl-ethanoloamine)が注目に値する。
【0066】
単一剤形又は単位剤形を製造するために当該キャリア材料と組み合わせてもよい17-AAG又は他のAPIの量は、治療される当該被験者及び特定の投与形態に応じて変わる。例えば、静脈内用途用の配合物は、約1mg/mL − 約 25 mg/mL の範囲の量の17-AAGを含み、好ましくは約5mg/mL −、さらにより好ましくは約 10 mg/mL − である。静脈内投与用配合物は概して、使用の前に、注射用蒸留水(WFI)、生理食塩水又は5% デキストロース溶液で約2倍−約30倍に希釈される。多くの場合、当該希釈度は約5倍−約10倍である。
【0067】
本発明の方法のある実施態様において、17-AAGは、Zhong et al.(2005)に開示されるとおり、(i)エタノールである第一の成分;(ii)ポリエトキシレート化ヒマシ油である第二の成分;及び(iii)プロピレングリコール、PEG300、PEG400、グリセロール及びそれらの組み合わせから選択される第三の成分、を含むビークル中に溶解される17-AAGを含む薬剤溶液配合物として処方される。
【0068】
使用されてもよい17-AAGの他の配合物は、Tabibi et al.(2004)で教示されるとおり、ジメチルスルホキシド(“DMSO”)及び卵レシチン(卵リン脂質)を基盤とするものである。しかしながら、DMSOのいくつかの特性(匂い、患者の副作用)に起因して、当該配合物は本明細書で教示されるDMSOを含まない配合物よりもより好ましくない。
【0069】
本発明の方法において採用されてもよい17-AAGのための他の配合物は、Ulm et al. (2003), Ulm et al. (2004), Mansfield et al. (2006), Desai et al. (2006) 及び Isaacs et al. (2006) に記載される。
【0070】
他の実施態様において、当該医薬配合物は投与前に無菌のWFI、USPで1:7に希釈することができる(6の割合の無菌WFIに対して1の割合の無希釈の薬剤製品)。希釈は、無菌状態管理下で行われる。最終的な希釈された薬剤製品濃度は、例として17-AAGを使用して、約 1.43 mg/mL、約 2.00 mg/mL 又は約 10.00 mg/mL のように少なくとも 1.00 mg/mL である。
【0071】
BSA及び当該被験者へ割り当てられる投与量に応じて、17-AAG又は他のAPIの投与量は、当該混合バッグへ加えられる薬剤製品の種々の容積を必要とする。オーバーフィル(overfill)を計算することができ、さらに当該投与セットにおける損失を補填するために採用することができる。好ましくは、当該希釈された薬剤製品を含有する医薬配合物は中性pHであり、当該溶液は約 600 mOsm の高浸透圧性である。当該医薬配合物は、遮光して -20 ℃ で保管することができる。薬剤製品は混合前に室温に達することが許容され、次に穏やかな転置により混合される。希釈後、当該薬剤製品は室温で約10時間まで安定なはずである(1:7の希釈で)。
【0072】
要約的な様式及び詳細に上記で記載されてきた本発明は、以下の実施例で説明される。
【実施例】
【0073】
実施例1:Cremophor(登録商標)を基盤とする配合物中の17-AAGのイヌにおける薬物動態
癌における17-AAGの従前の臨床報告は、17-AAGがDMSO及び卵リン脂質からなる配合物で投与された試験に関連した(Tabibi et al 2004 及び 2005)。実施例2で報告される臨床試験で使用されるCremophor(登録商標)を基盤とする配合物と17-AAGの本発明の配合物のPKとを比較するために、17-AAGの各々の配合物を、ビーグル犬に2つの投与量(1mg/kg 及び 2mg/kg;20 mg/m2 及び 40 mg/m2)で投与した。6匹のイヌに1mg/kgの投与量を与え、5匹のイヌに2mg/kgの投与量を与え、クロスオーバーデザインで、各々のイヌに両方の配合物を与えた。以下の表に要約される結果は、Cremophor(登録商標)を基盤とする配合物がDMSO/卵リン脂質配合物と比べて遜色ないことを示す。平均AUCは 20 % の範囲内にあり;Cmax、Tmax及び消失半減期値もまた当該2つの配合物に関して同程度であった。
【表2】

【0074】
実施例2:多発性骨髄腫を有する患者の17-AAGでの治療
本発明の方法を、非盲検の投与量漸増臨床試験で試験した。当該試験を、3週間続く投薬サイクルの1日目、4日目、8日目及び11日目に60分間を超えるIV注入によって投与して17-AAGのMTDを確立するように設計した。当該試験を、17-AAGの投与量を 150 mg/m2 からMTDまで段階的に増量する投与量漸増成分を考慮して設計した。
【0075】
疾患反応の評価を、次の2回の治療サイクル毎に(約6週間毎)行った。安定した患者又は反応する患者における抗癌効果の判定は、標準化された骨髄腫反応評価システムに従ってなされた客観的な腫瘍評価を基盤とした。
【0076】
ベースラインの画像を基盤とする腫瘍評価を治療開始前28日以内に行い、その後6週間毎に(約2サイクル毎)に再評価した。反応性腫瘍(CR又はPR)を有する全ての患者を反応の初めての記述の6週間後に検査して当該反応を確認した。使用した反応の判定基準は、Blade et al.(1998)に従った。
【0077】
薬物動態学的(PK)及び薬力学的(PD)な試料採取は、初めの治療サイクルの期間にのみ行った。薬剤関連性の重篤有害事象(SAE)及び/又はグレード4の毒性の事象の際に、追加的なPKサンプルを採取した。
【0078】
当該試験に登録されるMM患者は、少なくとも2つの従来の抗癌治療レジメンに失敗した人々であった。登録判定基準は:(1)患者が少なくとも18歳である;(2)患者が 70 % 以上のKPS一般状態を有している;(3)患者がMMの組織学的証拠を有しているが必ずしも測定可能な疾患を有していない、しかしながら疾患が治療開始前28日以内に評価されなければならない;(4)患者が、いずれの従来の化学療法、外科手術又は放射線治療の全ての有害事象に関して、NCI CTCAE(v. 3.0)グレード2以下と判定された;並びに(5)患者が17-AAGの投与の10日以内に以下の検査結果を有していた:ヘモグロビン≧8g/dL、好中球絶対数≧1.5×109/L、血小板数≧75×109/L、血清ビリルビン≦正常上限(ULN)×2、AST≦2.5ULN及び血清クレアチニン≦2×ULN であった。
【0079】
患者を、表1に記載されるとおりのKPS一般状態スケール及び判定基準に従ってグレード付けした。患者が事前の神経障害、妊娠、授乳、つい最近行われた化学療法などのような状態を有している場合には、患者を当該試験から除外した。登録に関して適格であるために、患者はまたいくつかの血液学的条件を満たしていなければならなかった。
【0080】
17-AAGは血清中で高度にタンパク結合するが(ヒト血液を用いたインビトロアッセイで約 95 %)、薬剤が結合する血清タンパク及び結合の親和性は知られていない。高度にタンパク結合することが知られる薬剤を受けている患者を、当該試験に登録されている間、綿密な臨床モニタリングを受けさせた。インビトロ研究は、17-AAGの代謝にチトクロムp450が関与することを示す。17-AAG及びチトクロムp450−3A4の基質、阻害剤又は誘導物質である薬剤での正式な薬剤−薬剤相互作用研究は行われていない。17-AAGとのいずれの医薬の併用に対する禁忌は全く存在しないけれども、17-AAGを、やはり高度にタンパク結合する薬剤(例えば、ワルファリン)及びチトクロムp450−3A4の基質、阻害剤又は誘導物質である薬剤と組み合わせて慎重に使用した。当該試験に登録される妊娠の可能性がある女性において、ホルモン避妊薬は使用しなかった。当該試験の継続期間全体を通して、他の治験薬は全く許可しなかった。
【0081】
PK評価は以下の試験を含んでいた:親化合物及びその一次代謝産物の血漿濃度測定用の血液サンプルを、1回目の17-AAGの投与及び4回目の17-AAGの投与でのみ(1日目及び11日目)採取した。採取されたPKサンプルの総数は、約 110 mL の全血(テーブルスプーンで7−8杯)であった。患者が潜在的に薬剤関連性のSAEを経験した場合には、追加的なPKサンプルを採取した。血液は、留置カテーテルを使用して注入部位と反対側の腕から採取して何度も注射するのを避けた。17-AAGのサンプルに関して、5mLの血液を、抗凝血剤としてヘパリンを含む真空チューブ中に採取した。当該血液チューブを数回転置し、当該チューブをウェットアイス中に直ちに置いて血漿の分離をペンディングした。カテーテルが血液採取に使用された場合には、カテーテル中の当該流体を各々のサンプル採取前に完全に回収し、廃棄した。血漿サンプルを、採取及び遠心分離の間ウェットアイス上に保持した。血漿サンプルを、−70 ℃ で凍結する前に2つの冷凍バイアルに分けた。17-AAG及びその一次代謝産物の血漿濃度を、バリデートされた(validated)液体クロマトグラフィー/質量分析法によって測定した(Egorin et al, 1998)。
【0082】
PD評価は以下の試験を含んでいた:特定の毒性の発現(例えば、重症度、持続期間及び可逆性)を、PKパラメータ(例えば、クリアランス、曝露量(exposure)、消失半減期、最大血漿濃度及び標的血漿濃度を超える時間)を比較した。これらの毒性は、肝毒性及び胃腸毒性を含んでいた。研究室相関(laboratory correlates)は、a)インスリン様増殖因子レセプター1(IGF−1R)の表面発現及びb)Akt、Hsp90及びHsp70の総発現、を含んでいた。MM細胞を、17-AAGの初めの投与の24時間以内のベースラインにおいて行われたBMA及び治療の終点後に行われたBMAから精製した。MM細胞を電磁ビーズ技術を使用してCD138発現に基づいてBMAから精製し、フローサイトメトリー分析によってCD138+ MM細胞が 95 % を超えることを確認した。フローサイトメトリー分析を使用してフルオレセインチオシアナート(FITC)-抱合型抗ヒトIGF−1Rモノクローナル抗体を使用するIGF−1R表面発現の評価を行った(Mitsiades et al., 2002)。免疫ブロット分析を使用してAkt、Hsp90及びHsp70の総レベルを評価した。BM吸引を定期的に行いMMの臨床状態を評価した。これらの相関研究により、a)プロトコルで治療されたMM患者からの腫瘍細胞におけるHsp90の機能を17-AAGがどの程度まで阻害したかの評価;及びb)バイオマーカーの調節の度合いを含む臨床反応の17-AAGに対する相関関係、が可能であった。さらに、遺伝子発現プロファイリング(Davies et al., 2003)を使用して将来の臨床試験でバリデートすることができる薬剤感受性 対 薬剤耐性に関する他の潜在的なバイオマーカーを確認した。最終的に、末梢血単核球を注入前及び注入の4時間後の2回の時(サイクル1の1日目及び11日目である初めの注入及び最後の注入)に単離した。細胞を、ウェスタンブロットによってクライアントタンパク発現の変化に関して試験した。当該クライアントタンパクは、Hsp70、RAF1、LCK及びCDK及び示されるとおりの他のものを含んでいた。
【0083】
治療終点の評価を、以下のとおり行った。計画された治療期間は、24週間(8サイクル)であった。進行性疾患又は容認できない治療に伴う毒性がない限り、患者を治療した。当該試験薬剤の少なくとも1回投与を受けていずれかの理由(死亡を除く)で治療を中止した全ての患者で治療終点の評価を行った。当該評価は17-AAGの最後の投与の後28日間まで行われ、体重測定及びバイタルサイン測定を含む身体検査、KPS一般状態の記録、血液学、凝固及び化学/電解質測定、尿検査、患者の現在の投薬の評価並びに患者の進行中の臨床有害事象(もしあれば))を含んでいた。腫瘍評価(骨髄腫の実験室検査、骨髄外疾患の評価、BMA及び他のX線検査的ステージ付け(radiographic staging)(適切な場合)を、前回の評価が退薬の4週間よりも前に行われていた場合に限りその時点で行った。
【0084】
当該試験における17-AAGの投与量及びスケジュールは以下のとおりであった。17-AAGを、3週間毎に2週間毎週2回(1日目、4日目、8日目及び11日目)漸増投与量で(計算された mg/m2)前治療(pre-medication)後60分を超えて注入した。体表面積が 2.4 m2 を超える患者に関しては、投薬を 2.4 m2 の最大BSAを使用して計算した。
【0085】
17-AAGの調製及び投与は以下のとおりであった。17-AAGを、30 % プロピレングリコール、20 % Cremophor(登録商標)EL 及び 50 % エタノールに 10 mg/mL の濃度になるようにバイアル中で溶解した。薬剤製品は、20 mm の仕上げ(finish)を有する 20 mL の1型透明ガラスバイアル(200 mg/バイアル で含む)で入手可能であった。当該バイアルは、灰色の 20 mm のテフロン(登録商標)コートした血清栓及び 20 mm のフリップオフの(flip-off)白色のラッカー塗装した押し上げ式のふたで閉じられていた。それを投与前に無菌のWFI、USP(6の割合の無菌のWFIに対して1の割合の無希釈の薬剤製品)で1:7に希釈した。希釈は、無菌状態管理下で行った。最終的な希釈された薬剤製品は、約 1.43 mg/mL の濃度を有していた。17-AAGは、ガラス真空容器又は適合性の非−PVC、非−DEHP(ジ(2-エチルヘキシル)フタラート)IV混合バッグのどちらかを使用して調製した。両方のシステムともに、投与セット及びインラインの 0.22 μm フィルター又はそのようなフィルターを含む増設セットの使用のどちらかを含む非−PVC、非−DEHPを必要とする。17-AAGの光感受性に起因して、遮光が推奨される。
【0086】
体表面積及び個々の患者に割り当てられた投与量に応じて、17-AAGの投与量は当該混合バッグに加えられる薬剤製品の種々の容積を必要とした。オーバーフィル(overfill)を計算して当該投与セットにおけるいずれの損失をも補填した。
【0087】
上述のとおり、17-AAGを3週間毎に2週間毎週2回60分間を超えて静脈内に投与した。運搬される総投与量は、最も近いミリグラムの概算で表した。
【0088】
全ての患者を、17-AAGの各々の注入前に前治療した。適切な前治療レジメンを、潜在的なCremophor(登録商標)誘導性過敏症反応の既往歴並びに17-AAGでの治療後に観察される過敏症反応の種類及び重症度に基づいて各々の患者に関して使用した。標準的な前治療レジメンは、17-AAGの注入の前に、ロラタジン(loratidine)10 mg p.o.、ファモチジン 20 mg p.o. 及び 30分間のメチルプレドニゾロン 40 mg − 80 mg IV又はデキサメタゾン 10 mg − 20 mg IVのどちらかで前治療することであった。抗ヒスタミン剤及び副腎皮質ステロイド剤、投与経路並びに17-AAGの注入前の投与量の選択は治験責任医師(investigator)の裁量に委ねられていたが、他のCremophor(登録商標)含有製品(例えば、Taxol(登録商標)(パクリタキセル)のような)に関する予防と同様であった。患者がプレドニゾンの併用を受けている場合には、副腎皮質ステロイド剤の投与量を下げた。高投与量の前治療レジメンは、17-AAGの注入前に少なくとも30分前に、ジフェンヒドラミン 50 mg IV、ファモチジン 20 mg IV及びメチルプレドニゾロン 80 mg IV又はデキサメタゾン 20 mg IVのどちらかで前治療することであった。
【0089】
試験薬剤の投与量及びスケジュールは以下のとおりであった。最初の患者コホートに、150 mg/m2 の単位投与量で17-AAGの静脈内注入を受けさせた。次の患者コホートを観察される毒性によって支持されるとおり以下の表に要点をまとめた漸増計画毎に登録した。当該次の患者コホートには以下の投与量を受けさせた:220 mg/m2、275 mg/m2 及び 340 mg/m2。340 mg/m2 投与量レベルにおいてDLTを有する評価可能な患者が6人中1人未満である場合には、投与量の漸増を行った。各々のコホートに3人の患者を割り当てた。投与量漸増判断に関して評価可能な(“評価可能な”は、ここでは3週間の期間で4回治療を受けて、薬剤関連性の毒性が原因で中止されていないこととして定義される)3人の患者のコホートにおいてDLTが全く観察されなかった場合には、次の投与量レベルで評価した。3人の評価可能な患者のうち1人がDLTを経験した場合には、当該コホートを6人の評価可能な患者まで増やした。コホートの6人の評価可能な患者の2人以上がDLTを経験した場合には、MTDを超えていると判断した;全てのさらなる増加(accrual)は前の投与量レベルであった。6人の患者のわずか1人がDLTを経験した場合には、次の投与量レベルで評価した。MTDが規定されたらすぐに、当該MTD投与量レベルで累積総数12人の患者に達するまで追加的な数の患者を登録した。
【0090】
22人の患者を、当該プロトコルに従って治療した。当該患者は、90 のKPS中央値を有していた。17-AAGを、約1.0時間を超えて投与した。22人の患者の内、これまでのところ19人が評価可能である。
【0091】
4人の患者に、150 mg/m2 の投与量(1時間の点滴静注)を3週間毎に2週間毎週2回投与した。当該4人の患者の内、4人全てが評価可能であった。一人がMR(血清M-タンパクの少なくとも 25 % の減少)を示した。DLTは、当該4人の患者のいずれにおいても観察されなかった。
【0092】
9人の患者に、220 mg/m2 の投与量(1時間の点滴静注)を3週間毎に2週間毎週2回投与した。当該9人の患者の内、7人がこれまでのところ評価可能である。これらの7人の評価可能な患者の内、4人は安定性疾患であり、3人は進行性疾患であった。DLTが一人の患者で観察された;当該DLTはグレード3の高ALTを伴う形質細胞の肝臓浸潤であった。DLTは他の6人の患者では観察されなかった。患者のBMAの分析は、スクリーニング時及び11日目に得られるデータを比較してアポトーシスの増加(ミトコンドリア電位の測定によって判定されるとおり)及びAktの減少を示した(p=0.06)。末梢血白血球(PBL)は、17-AAGでの治療後のHsp70の反応性誘導を示した。
【0093】
3人の患者に、275 mg/m2 の投与量(1時間の点滴静注)を3週間毎に2週間毎週2回投与した。当該3人の患者の内、3人全てが評価可能であった。DLTは、当該3人の患者のいずれにおいても観察されなかった。
6人の患者に、340 mg/m2 の投与量(1時間の点滴静注)を3週間毎に2週間毎週2回投与した。当該6人の患者の内、5人が評価可能であった。
グレード3の高ALTを有する一人の患者以外の患者で観察された薬剤にのみ関連する毒性は、グレード1−2の高トランスアミナーゼ、悪心、疲労、下痢、貧血、筋肉痛及び発疹であった。Cremophor(登録商標)含有薬剤への禁忌は、全く観察されなかった。
【0094】
上記の患者の内、19人の評価可能な患者を抗骨髄腫活性に関して評価した。当該19人の患者の内、MRを有する患者が一人であり、3サイクル以上の治療後に安定的な疾患を有する患者が7人であった。一人の患者はPR(尿中M-タンパクの 90 % の減少)であると判断されたが、皮膚発疹及び喘鳴のために当該試験から離脱した。反応(MR)を有する患者のパーセントは5%であり、安定的な疾患を有する患者のパーセントは 58 % であった。150 mg/m2 で投薬された4人の患者の内、一人の患者がMRを有しており、2人が安定的な疾患を有しており、一人が進行性疾患を有していた。220 mg/m2 で投薬された7人の患者の内、4人の患者が安定的な疾患を有しており、3人が進行性疾患を有していた。275 mg/m2 で投薬された3人の患者の内、3人全てが安定的な疾患を有していた。340 mg/m2 で投薬された5人の患者の内、2人の患者が安定的な疾患を有しており、3人が進行性疾患を有していた。
【0095】
PK解析を以下のとおり行った。血液を血漿薬剤濃度分析のために以下のとおり採取した:投与前、注入最中の30分、注入の終点(EOI)の直前、並びに注入後 5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間及び24時間。図1−図3及び図5は、17-AAG及び主要な代謝産物である17-アミノゲルダナマイシン(17-AG)の血漿濃度 対 実時間を投与量コホート別にプロットする。図4は、275 mg/m2 の投与量コホートに関する親化合物及び代謝産物に関しての1日目及び11日目の平均値曲線を示す。
親化合物17-AAG及び主要な代謝産物(17-AG)に関しての血清濃度 対 時間 の曲線は、1日目の初めの注入後及び11日目の17-AAGの4回目の注入後に関して極めて類似した減少を示した。患者間の標準偏差は小さかった。
【0096】
17-AGに関しての血漿濃度 対 時間 の曲線は17-AAGに関してのCmax後約30分で頂点に達し、17-AGの血漿レベルは、150 mg/m2 及び 275 mg/m2 コホートに関しては注入後約3時間から親化合物を上回り、220 mg/m2 コホートに関しては注入後約7時間から親化合物を上回った。17-AAGのCmaxは、ほぼ投与量に比例して上昇した。しかしながら、代謝産物17-AGのCmaxは、投与量に比例して上昇しなかった。17-AAGのCmaxは17-AAGの投与量の上昇に伴って明らかに上昇するが、これは17-AGのCmaxに関しては必ずしもあてはまらない。これは 275 mg/m2 及び 340 mg/m2 の投与量に関してあてはまる(図7を参照)。
【0097】
消失パターンは 275 mg/m2 の投与レベルの3人の患者全てによって実証されるとおり1日目から11日目まで変化しなかった(図4)。11日目において非ゼロ投薬前血漿レベルを示した患者はいなかった。しかしながら、220 mg/m2 の投与量レベルに関して、10人の患者の内2人に関して11日目にトラフレベルの代謝産物濃度が存在した。これらの患者の両方共に、平均よりも遅い17-AAGに関するクリアランスを有していた(当該コホートに関する平均CL= 25.3 ± 9.6 L/時間/m2 と比べて、CL= 16.8 L/時間/m2 及びCL= 17.3 L/時間/m2)。
【0098】
PKパラメータを、Kinetica version 4.3 ソフトウェア(Innaphase, Champs sur Marne, France)を用いて非コンパートメント解析によって血漿濃度時間データを基に計算した。AUCを混合性対数線形規則(mixed log-linear rule)によって計算した:線形規則は濃度が上昇している範囲に適用し、対数線形規則は濃度が降下している範囲に適用した。AUClastは t=0 からtlast(最後の採取時点)までの面積である。AUCextraはAUClastから無限大まで外挿しかつ AUCtotal=AUClast+AUCextra の面積であり、0時間から無限大までの濃度−時間曲線下面積AUC0→∞とも命名される。終末速度定数λZを、定量化の下限よりも大きな値を有する消失曲線上の少なくとも3つの点を基に計算した。表4は、17-AAGに関するPKパラメータを一覧にしたものである(平均値±標準偏差)。表5は、代謝産物17-AGに関する面積、Cmax及び半減期を一覧にしたものである(平均値±標準偏差)。全ての患者にわたって、17-AAGに関する半減期は、 2.19 ± 0.58 時間 − 3.68 ± 0.27 時間の範囲にあった。全ての患者にわたって、17-AGに関する半減期は、4.6 ± 0.50 時間 − 5.40 ± 1.39 時間の範囲にあった。これらの投与量の投与に関しての半減期、クリアランス又は分布容積に関する投与量依存性は全くなかった。17-AAGに関する総全身性クリアランスは、38.18 ± 11.10 L/時間 − 54.92 ± 6.76 L/時間の範囲であった。17-AAGに関する分布容積(Vz)は、159.6 ± 54.4 L − 204.2 ± 65.6 L の範囲であった。17-AAGに関する分布容積(Vss)は、123.4 ± 23.4 L − 170.9 ± 41.7 L の範囲であった。
【表3】

【表4】

【0099】
17-AAGに関してAUCtotalは投与量と共に上昇し、代謝産物に関して平均AUCtotalレベル及び平均Cmaxレベルの両方共に、220 mg/m2 のコホートに関しての線形投与量反応に関して予想されたものよりも低かった。これらの17人の患者において、17-AAGに関して1日目及び11日目の間のAUCtotalにおける上昇は全くなかった。代謝産物(17-AG)に関して、結果はいかなる上昇又は減少のパターンも有さず同様であった(図6)。しかしながら、150 mg/m2 の2人の患者に関して、代謝産物に関するAUCtotalは親薬剤のAUCtotalを上回った。
【0100】
患者間で、親薬剤に対する代謝産物の割合は大きく異なっており、31 % − 173 % であった。1日目から11日目までで、当該割合は、時々わずかにより高く、他の患者に関してわずかにより低かったものの、いずれの特定の患者に関しても類似していた。従って、患者間の割合は非常に異なるが、各々の患者は後の投与量で変化しないユニークな様式で当該薬剤を代謝する。
【0101】
当該試験では、Cremophor(登録商標)基盤の17-AAGの配合物を採用した(以前の試験使用されたDMSO/卵リン脂質配合物(Banerji et al., 2002)と比較のこと)。図7は、当該試験の結果に関する17-AAG及び17-AGの平均Cmaxを以前の試験結果の上に重ね合わせたものである。図8は、17-AAGのAUCtotalに関して同じことをしたものである。
【0102】
17-AAGに関する結果は、当該2つの配合物に関するCmax又はAUCtotalに全く差がないことを示唆する。Banerji et al., (2002) における 320 mg/m2 の投与量レベルに関す得るAUCtotalの非常に幅広いばらつきは、本試験に関しての 275 mg/m2 又は 340 mg/m2 の投与量レベルのどちらにおいても見られなかった。340 mg/m2 に関してのCremophor(登録商標)製品に関する注入剤(infusates)容積は、1時間を超えて運搬される約 428 cc であった。320 mg/m2 に関しての卵リン脂質/DMSO製品に関する注入剤(infusate)容積は、1時間を超えて運搬される約 576 cc であった。当該初めの少数の患者に関する結果がDMSO/卵リン脂質配合物を用いた以前の試験で検出されたものよりも低い代謝産物に関するCmaxを与えているように思われるかもしれないが、患者の数が少なすぎて統計的優位性を確実にすることができない。
【0103】
17-AAGに関する及び17-AGに関する半減期(T1/2)は他の試験と類似しており、CL= 47.52 ± 12.81 L/時間 及びVss= 144.45 ± 43.51 L の結果は毎週投薬スケジュールに関しての種々の固形癌の治療に関する以前の試験で報告された値と極めて近かった(Banerji et al. 2002; 17-AAG CL= 33 L/時間 − 71 L/時間、Vss= 130 ± 50 L 及び t1/2= 2.98 ± 1.0 時間)。
【0104】
PD解析を行い、以下のことが示唆された。150 mg/m2 投与量及び 220 mg/m2 投与量に関するPDデータは、17-AAGの投与前及び11日目で取得したBMAがアポトーシスの増加及びpAKTの減少を有していることを示唆した。BMAを、試験前の患者(17-AAGの投与前)及び11日目から取得した。MM細胞を、蛍光標示式細胞分取器によってCD138発現に基づきBMAから精製した。回収されたこれらのCD138+細胞を次に、アネキシンV(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いて形質細胞のミトコンドリア電位を測定することによって異常なミトコンドリア電位に関して試験した。図9は、17-AAGの投与前及び11日目における患者からのサンプルのCD138+骨髄腫細胞のアポトーシスのパーセントを示す。異常なミトコンドリア電位が、細胞のアポトーシス前に観察される(プログラム細胞死)。増加したアポトーシスの統計的有意差は、0.06のp値を有していた。BM中の異常なミトコンドリア電位を有するCD128+細胞のパーセントは、5%未満(治療前)から 40 % を超える(治療の11日目で)まで上昇した。当該パーセント変化は、35 % を超える差で上昇した。当該パーセント変化は、8倍を超える差で上昇した。
【0105】
回収されたBMAはまた、17-AAGの投与前及び11日目の患者からのサンプルを比較した際にリン酸化型AKT及びpAKTの減少を示した(図10を参照)。図10は、BM細胞の総数中のAKTが検出された細胞のパーセントを示す。AKTは、骨髄腫細胞において上方制御される骨髄腫細胞の増殖及び発達に重要なRas/Raf/MAPK細胞内経路上のシグナル伝達タンパクである。AKT+細胞の減少の統計的有意差は、0.057 のp値を有していた。総BM細胞中のAKT+細胞のパーセントは、20 % を超えるところから(治療前)10 % 未満まで(治療の11日目)減少した。当該パーセント変化は、10 % を超える差で減少した。当該パーセント変化は、1/2を超える差で減少した。
【0106】
1日目及び11日目における17-AAGの注入前及び17-AAGの注入後4時間で患者から取得したPBLを、タンパク用ゲル(protein gel)上でランさせ、Hsp70、総AKT、ILK、raf−1及びLCKに関して免疫ブロットした。図10は、2人の患者に関しての結果を示す(一人は 275 mg/m2 で投薬され、もう一人は 340mg/m2 で投薬された)。これらの患者の両方に関する結果は、Hsp70の増加を示したが(図11を参照)、これはHSP90阻害剤で見られる典型的な熱ストレス反応である。
【0107】
150 mg/m2 の投与量レベルで治療した患者における血清中M-スパイク及び尿中M-タンパクの測定は、2サイクルの治療後に尿中M-タンパクが 41 % 減少することを示した(図12)。当該患者は、MRを有していると判断された。当該患者は当該試験に登録される前に以下のレジメン(及びこれらの前治療から得られたそれぞれの結果)を有していた:VAD(未知の反応)、ボルテゾミブ(進行性疾患)、ボルテゾミブ/デキサメタゾン(安定的な疾患)、レナリドマイド(進行性疾患)及び自己移植。
【0108】
275 mg/m2 の投与量レベルで治療した患者における血清中M-スパイク及びIgGの測定は、8サイクルの治療後に血清中M-スパイクが 11 % 減少することを示した(図13を参照)。当該患者は、8サイクルの治療を完結した後3ヶ月間いずれの治療もなしで安定的な疾患を有していると判断された。当該患者は当該試験に登録される前に以下のレジメン(及びこれらの前治療から得られたそれぞれの結果)を有していた:サリドマイド/デキサメタゾン(PR)、サリドマイド/デキサメタゾン/シクロホスファミド(PR)、ボルテゾミブ(PR)及びデキサメタゾン(進行性疾患)。
【0109】
本発明は特定の実施態様に関して詳細に記載されてきたが、当業者は変更及び改良が本発明の範囲内及び精神の範囲内にあることを理解することができる。出版物及び特許文献の引用はいずれの当該文書も適切な従来技術であることを是認することを意図しておらず、当該文書の内容又は日付に関するいずれの是認を構成するものでもない。本発明はここに書面による記載を手段として記載されてきたが、当業者は、本発明を様々な実施態様で実施することができ、さらに上述の記載が以下の特許請求の範囲の限定でなく例示の目的のためであることを理解することができる。
【0110】
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【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】図1は、150 mg/m2 の投与量レベルの17-AAGに関する17-AAG及び17-AGの血漿濃度 対 実時間を示す(1日目及び11日目に関する組み合わせた平均値及び標準偏差(SD))。
【図2】図2は、220 mg/m2 の投与量レベルの17-AAGに関する17-AAG及び17-AGの血漿濃度 対 実時間を示す(1日目及び11日目に関する組み合わせた平均値及び標準偏差(SD))。
【図3】図3は、275 mg/m2 の投与量レベルの17-AAGに関する17-AAG及び17-AGの血漿濃度 対 実時間を示す(1日目及び11日目に関する組み合わせた平均値及び標準偏差(SD))。
【図4】図4は、275 mg/m2 の投与量レベルの17-AAGに関する1日目及び11日目の17-AAG並びに1日目及び11日目の17-AGの血漿濃度 対 実時間を示す(1日目及び11日目(平均値))。
【図5】図5は、340 mg/m2 の投与量レベルの17-AAGに関する17-AAG及び17-AGの血漿濃度 対 実時間を示す(1日目及び11日目に関する組み合わせた平均値及びSD)。
【図6】図6は、全ての患者に関する17-AAG及び17-AGに関するAUCtotalを示す。
【図7】図7は、Benerji et al.(2002)で報告された1日目の17-AAGに関する、8日目の17-AAGに関する、1日目の17-AGに関する及び8日目の17-AGに関する平均Cmaxと比較した17-AAG及び17-AGに関して本試験において観察された平均Cmaxを示す。
【図8】図8は、Benerji et al.(2002)で報告された17-AAGの平均AUCtotalと比較した本試験で観察された17-AAGの平均AUCtotalを示す。
【図9】図9は、治療前と治療の11日目(17-AAGの4回注入後)の期間における患者に関するBMでの異常なミトコンドリア電位を有するCD138+細胞のパーセントを示す。
【図10】図10は、治療前と治療の11日目(17-AAGの4回注入後)の期間における患者に関する全BM細胞中のAKT+細胞のパーセントを示す。
【図11】図11A(275 mg/m2 の投与量)及び図11B(340 mg/m2 の投与量)は、1日目及び4日目における投与後0時間及び4時間で採取したサンプルのHsp70、総AKT、ILK、raf−1及びLCKの免疫ブロットを示す(全てのデータはサイクル1の治療に由来する;1:1日目の0時間、2:1日目の4時間、3:11日目の0時間、4:11日目の4時間)。
【図12】図12は、150 mg/m2 の17-AAGの投与量レベルで治療した患者の血清中M−スパイク及び尿中M−タンパクのパーセント変化を示す。
【図13】図13は、275 mg/m2 の17-AAGの投与量レベルで治療した患者の血清中M−スパイク及び総IgGのパーセント変化を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該治療を必要とする患者における多発性骨髄腫(MM)の治療方法であって:
治療的に有効な投与量の17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-AAG)又は17-アミノゲルダナマイシン(17-AG)又は17-AAG若しくは17-AGのどちらかのプロドラッグ及び必要に応じて医薬的に許容されるキャリア若しくは希釈剤を含む医薬配合物を前記患者へ投与するステップ、並びに
必要に応じてさらなる治療効果が全く得られなくなるまで前記投与ステップを繰り返すことを含む、前記治療方法。
【請求項2】
当該治療を必要とする患者におけるMMの治療方法であって:
多様な投与量の17-AAG又は17-AG又はどちらかのプロドラッグを前記患者へ少なくとも2週間の期間を超える時間投与するステップを含み;
当該それぞれの投与量が約 275 mg/m2−約 420 mg/m2 の範囲の17-AAG又は相当量の17-AG若しくは17-AAGプロドラッグ若しくは17-AGプロドラッグである、前記治療方法。
【請求項3】
17-AAGのそれぞれの投与量が約 340 mg/m2 又は相当量の17-AG若しくは17-AAGプロドラッグ若しくは17-AGプロドラッグである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記投与量が少なくとも2週間毎週2回投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記投与量が3週間の期間中に少なくとも2週間毎週2回投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
複数のサイクルの治療が患者へ施され、それぞれのサイクルの治療が前記投与量を3週間の期間中に少なくとも2週間毎週2回投与されることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
当該治療を必要とする患者におけるMMの治療方法であって:
結果として一投与量あたり 約 12,500 ng/mL×時間 − 約 25,000 ng/mL×時間 の範囲の17-AAGのAUCtotalをもたらす治療的に有効な投与量の17-AAG又は17-AAGのプロドラッグを前記患者へ投与するステップを含む、前記方法。
【請求項8】
前記投与量が、17-AAGのCmaxが 15,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記投与量が、17-AAGのCmaxが 1,800 ng/mL を越えるような速度及び頻度で投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記投与量が、17-AAGのCmaxが 3,000 ng/mL を越えるような速度及び頻度で投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記投与量が、17-AAGのCmaxが 1,800 ng/mL を越えるが 15,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記投与量が、17-AAGのCmaxが 3,000 ng/mL を越えるが 15,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
当該治療を必要とする患者におけるMMの治療方法であって:
結果として一投与量あたり 約 5,000 ng/mL×時間 − 約 18,000 ng/mL×時間 の範囲の17-AGのAUCtotalをもたらす治療的に有効な投与量の17-AG又は17-AGのプロドラッグを前記患者へ投与するステップを含む、前記方法。
【請求項14】
前記投与量が、17-AGのCmaxが 2,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記投与量が、17-AGのCmaxが 500 ng/mL を越えるような速度及び頻度で投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記投与量が、17-AGのCmaxが 900 ng/mL を越えるような速度及び頻度で投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記投与量が、17-AGのCmaxが 500 ng/mL を越えるが 2,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記投与量が、17-AGのCmaxが 900 ng/mL を越えるが 2,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
当該治療を必要とする患者におけるMMの治療方法であって:
結果として一投与量あたり 約 17,500 ng/mL×時間 − 約 43,000 ng/mL×時間 の範囲の17-AAGと17-AGの総合体としてのAUCtotalをもたらす治療的に有効な投与量の17-AAG、17-AAGのプロドラッグ、17-AG又は17-AGのプロドラッグを前記患者へ投与するステップを含む、前記方法。
【請求項20】
前記投与量が、17-AAGのCmaxが 15,000 ng/mL 越えない又は17-AGのCmaxが 2,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記投与量が、17-AAGのCmaxが 1,800 ng/mL 越える又は17-AGのCmaxが 500 ng/mL を越えるような速度及び頻度で投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記投与量が、17-AAGのCmaxが 3,000 ng/mL 越える又は17-AGのCmaxが 900 ng/mL を越えるような速度及び頻度で投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記投与量が、17-AAGのCmaxが 1,800 ng/mL 越えるが 15,000 ng/mL を越えない又は17-AGのCmaxが 500 ng/mL を越えるが 2,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記投与量が、17-AAGのCmaxが 3,000 ng/mL 越えるが 15,000 ng/mL を越えない又は17-AGのCmaxが 900 ng/mL を越えるが 2,000 ng/mL を越えないような速度及び頻度で投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
当該治療を必要とする患者におけるMMの治療方法であって:
結果として3時間 − 4.5時間の範囲の17-AAGの終末T1/2をもたらす治療的に有効な投与量の17-AAG又は17-AAGのプロドラッグを前記患者へ投与するステップを含む、前記方法。
【請求項26】
投与される前記投与量が結果として一投与量あたり約 12,500 ng/mL×時間 − 約 25,000 ng/mL×時間の範囲の17-AAGのAUCtotalをもたらす、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
当該治療を必要とする患者におけるMMの治療方法であって:
結果として4時間 − 7時間の範囲の17-AGの終末T1/2をもたらす治療的に有効な投与量の17-AG又は17-AGのプロドラッグを前記患者へ投与するステップを含む、前記方法。
【請求項28】
前記投与量が結果として一投与量あたり約 5,000 ng/mL×時間 − 約 18,000 ng/mL×時間の範囲の17-AGのAUCtotalをもたらす、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
当該治療を必要とする患者におけるMMの治療方法であって:
結果として 100 L − 270 L の範囲の17-AAGの分布容積Vzをもたらす治療的に有効な投与量の17-AAG又は17-AAGのプロドラッグを前記患者へ投与するステップを含む、前記方法。
【請求項30】
前記投与量が結果として一投与量あたり約 12,500 ng/mL×時間 − 約 25,000 ng/mL×時間の範囲の17-AAGのAUCtotalをもたらす、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
当該治療を必要とする患者におけるMMの治療方法であって:
結果として 30 L/時間 − 50 L/時間 の範囲の17-AAGのクリアランスをもたらす治療的に有効な投与量の17-AAG又は17-AAGのプロドラッグを前記患者へ投与するステップを含む、前記方法。
【請求項32】
前記投与量が結果として一投与量あたり 約 12,500 ng/mL×時間 − 25,000 ng/mL×時間の範囲の17-AAGのAUCtotalをもたらす、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
当該治療を必要とする患者におけるMMの治療方法であって:
結果として 100 L − 150 L の範囲の17-AAGの分布容積Vssをもたらす治療的に有効な投与量の17-AAG又は17-AAGのプロドラッグを前記患者へ投与するステップを含む、前記方法。
【請求項34】
前記投与量が結果として一投与量あたり約 12,500 ng/mL×時間 − 25,000 ng/mL×時間 の範囲の17-AAGのAUCtotalをもたらす、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記投与ステップが結果として前記患者の末梢血単核球におけるHSP70の誘導をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記HSP70の誘導が前記投与ステップの一日後に観察可能である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記投与ステップが結果として前記患者の骨髄穿刺液細胞の中でCD138+細胞のアポトーシスの増加をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記CD138+細胞のアポトーシスの増加が前記投与ステップの4時間後に観察可能である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記投与ステップが結果として前記患者の骨髄穿刺液細胞における総AKTの減少をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記総AKTの減少が前記投与ステップの4時間後に観察可能である、請求項39に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−539265(P2008−539265A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509123(P2008−509123)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/016043
【国際公開番号】WO2006/118953
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(504269110)コーザン バイオサイエンシス インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】