2×4住宅の制震構造、並びに、それに用いるパネル部材及び面材
【課題】2×4住宅において、より高い制震性能を得る。
【解決手段】2×4住宅の制震構造10は、横架材11及び床組部材12と、一対の縦軸材14と、一対の縦軸材14のそれぞれに引抜防止具18を介して結合した一対の横軸材15,25と、一対の縦軸材14及び一対の横軸材15,25で囲われる部分に設けられた面材17と、を備える。横架材11と床組部材12との間に、一対の縦軸材14、一対の横軸材15,25、及び面材17が、一方の横軸材15が横架材に、また、他方の横軸材25が床組部材12にそれぞれ接合一体化して設けられている。面材17は、一対の縦軸材14のそれぞれに制震部材20を介して設けられている。制震部材20は、縦軸材14に取り付けられた軸材取付部22と、面材17に取り付けられた面材取付部23と、それらの間に設けられた制震ダンパー21と、を有する。
【解決手段】2×4住宅の制震構造10は、横架材11及び床組部材12と、一対の縦軸材14と、一対の縦軸材14のそれぞれに引抜防止具18を介して結合した一対の横軸材15,25と、一対の縦軸材14及び一対の横軸材15,25で囲われる部分に設けられた面材17と、を備える。横架材11と床組部材12との間に、一対の縦軸材14、一対の横軸材15,25、及び面材17が、一方の横軸材15が横架材に、また、他方の横軸材25が床組部材12にそれぞれ接合一体化して設けられている。面材17は、一対の縦軸材14のそれぞれに制震部材20を介して設けられている。制震部材20は、縦軸材14に取り付けられた軸材取付部22と、面材17に取り付けられた面材取付部23と、それらの間に設けられた制震ダンパー21と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2×4住宅の制震構造、並びに、それに用いるパネル部材及び面材に関する。
【背景技術】
【0002】
耐震性を高めるために建物に制震装置を設けることが広く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、油圧ダンパーによって振動を吸収する制震装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2及び3には、粘弾性体或いは制震ゴムによって振動を吸収する制震装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−218226号公報
【特許文献2】特開2005−290819号公報
【特許文献3】特開2006−132182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、2×4住宅は、構造耐力に優れた軸材と面材とが一体となった「面」で支える構造であり、6面相互の緊結により住宅形成し、これによって地震や台風などの力を建物全体で受け止め、荷重を一点に集中させることなく全体に分散してしまうので、外力に対して抜群の強さを発揮する住宅構造である。
【0006】
本発明は、この2×4住宅において、より高い制震性能を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の2×4住宅の制震構造は、
上下に間隔をおいて水平方向に並行に延びるように設けられた横架材及び床組部材と、
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、
上記一対の縦軸材の両端のそれぞれを連結するように設けられ、各々、該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した一対の横軸材と、
少なくとも上記一対の縦軸材及び上記一対の横軸材で囲われる部分に設けられた面材と、
を備え、
上記横架材と上記床組部材との間に、上記一対の縦軸材、上記一対の横軸材、及び上記面材が、該一対の横軸材の一方が該横架材に、また、該一対の横軸材の他方が該床組部材にそれぞれ接合一体化して設けられた2×4住宅の制震構造であって、
上記面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有する、
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の2×4住宅の制震構造は、上記制震部材が、上記面材取付部が受材を介して上記面材に固定されているものであってもよい。
【0009】
本発明の2×4住宅の制震構造は、上記面材が、上記一対の縦軸材及び上記一対の横軸材を含む他部材との当接部分において該他部材に接合一体化しているものであってもよい。
【0010】
本発明の2×4住宅の制震構造は、上記面材が無機質面材で構成されているものであってもよい。
【0011】
本発明の2×4住宅の制震構造は、 並行に延びるように設けられた一対の第2の縦軸材と、
上記一対の第2の縦軸材の両端のそれぞれを連結するように設けられ、各々、該一対の第2の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した一対の第2の横軸材と、
少なくとも上記一対の第2の縦軸材及び上記一対の第2の横軸材で囲われる部分に設けられた第2の面材と、
をさらに備え、
上記横架材と上記床組部材との間に、上記一対の第2の縦軸材、上記一対の第2の横軸材、及び上記第2の面材が、該一対の第2の横軸材の一方が該横架材に、また、該一対の第2の横軸材の他方が該床組部材にそれぞれ接合一体化して設けられており、
上記当接した縦軸材と第2の縦軸材とは接合一体化しているものであってもよい。
【0012】
本発明の2×4住宅の制震構造は、上記制震部材が取り付けられた縦軸材が、複数の軸材が並列して接合一体化したもので構成されているものであってもよい。
【0013】
本発明の第1の2×4住宅用のパネル部材は、
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体と、
少なくとも上記枠体で囲われる部分に設けられた面材と、
を備え、
上記面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有するものであって、
上記面材は、上記一対の縦軸材及び上記横軸材を含む他部材との当接部分において該他部材に接合一体化している、
ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の2×4住宅用のパネル部材は、
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体と、
少なくとも上記枠体で囲われる部分に設けられた面材と、
を備え、
上記面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有するものであって、
上記一対の縦軸材、上記横軸材、及び上記面材は、それらの表面が面一になるように設けられている、
ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の2×4住宅用のパネル部材は、
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体と、
上記枠体で囲われる部分に設けられた制震面材と、
を備え、
上記制震面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記制震面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有するものであって、
上記一対の縦軸材、上記横軸材、及び上記制震面材は、それらの表面が面一になるように設けられていると共に、該一対の縦軸材、該横軸材、及び該制震面材の表面を覆うようにさらに耐震面材が設けられている、
ことを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の2×4住宅用のパネル部材は、上記制震面材と上記耐震面材とが接合一体化しているものであってもよい。
【0017】
本発明の2×4住宅の制震構造用の面材は、並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体で囲われる部分に少なくとも設けられるものであって、
裏面側の両側辺部のそれぞれに制震部材が設けられており、
上記制震部材は、軸材取付部と、面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、2×4住宅において、面材と縦軸材との間に制震部材が設けられていると共に、縦軸材の上端及び下端がそれぞれ引抜防止具を介して横軸材に結合しているので、面材張り枠組壁工法耐力壁の持つ剛性及び強度を落とすことなく、制震部材の制震ダンパーによってより高い制震性能を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施形態1)
図1〜3は、実施形態1に係る2×4住宅の制震構造10を示す。
【0020】
この2×4住宅の制震構造10は、横架材11及び床組部材12とそれらの間に設けられた一対のパネル部材13とを備えている。
【0021】
横架材11及び床組部材12は、上下に間隔をおいて並行に延びるように設けられている。横架材11及び床組部材12のそれぞれは、例えば、木製の長さ1000〜7000mm、幅90〜150mm及び厚さ90〜400mmの角材で構成されており、耐震強度等が考慮されて、形状や断面積、材質が適宜選択される。横架材11と床組部材12との間隔は、例えば2000〜2750mmである。
【0022】
一対のパネル部材13のそれぞれは、3本の縦軸材14及び横軸材15からなる枠体16と面材17とを有する。
【0023】
枠体16の3本の縦軸材14は、左右に略均等間隔をおいて並行に延びるように設けられている。各縦軸材14は、例えば、木製の長さ1820〜2730mm、幅40mm程度及び厚さ90mm程度以上の断面を有する建築基準法の規定に準拠した角材で構成されている。3本の縦軸材14のうち1本の縦軸材14(左側のパネル部材13の左端の縦軸材14及び右側のパネル部材13の右端の縦軸材14)は、角材(例えば204材)の2本を重ね合わせ、接着剤、木ネジ、ビスや釘などにより接合一体化したもので構成されている。左側一対及び右側一対の縦軸材14の間隔は、例えば910mm程度である。
【0024】
枠体16の横軸材15は、3本の縦軸材14の上端(一端)を連結するように設けられている。横軸材15は、例えば、木製の長さ1820〜2730mm、幅40mm程度及び厚さ90mm程度以上の断面を有する建築基準法の規定に準拠した角材で構成されている。
【0025】
3本の縦軸材14のそれぞれは、例えば、横軸材15の外側から釘や木ネジ等の固定具nが打ち付けられ、それによって横軸材15に接合一体化している。また、3本の縦軸材14のうち両側のそれぞれは、その上端において、引抜防止具18を介して横軸材15に結合している。引抜防止具18としては、例えば、(財)日本住宅・木材技術センター規格の柱頭金物の記号PCやGL−PCや各種の三角金物が挙げられる。引抜防止具18は、固定具n(好ましくは木ネジ)により縦軸材14及び横軸材15のそれぞれに固定されている。
【0026】
面材17は、縦長矩形平板状に形成されており、枠体16のうち2本構成の縦軸材14の外側側部を除いた全面を覆うように設けられている。面材17は、壁を構成したときに耐力要素となる程度の高い剪断剛性を有する材料により、例えば、長さ1820〜3000mm、幅910mm程度及び厚さ9〜24mmの板状体で構成されている。面材17としては、内装下地材であれば、合板、OSBやMDFなどの木質材料、火山性ガラス質複層材料、石膏ボード、珪酸カルシウム板などのものが挙げられ、外装下地材であれば、合板やOSBなどの木質材料、火山性ガラス質複層材料、珪酸カルシウム板や硬質木片セメント板などのものが挙げられる。面材17は無機質面材で構成されていることが望ましい。建物が地震や風圧によって大きな水平力を受けたとき、この面材17の持つ剪断剛性が主要な抵抗要素として作用する。
【0027】
面材17は、表面側から釘、木ネジ、ビス、ピンネイル等の固定具nが間隔をおいて打ち付けられ、それによって枠体16の横軸材15及び3本の縦軸材14のそれぞれに接合一体化している。
【0028】
面材17の裏面側には、両側の縦軸材14のそれぞれに沿って延びる受材19が設けられている。各受材19は、木材、合板やMDFなどの木質材料等により、例えば、長さ300〜3000mm、幅50〜100mm及び厚さ25〜50mm程度の断面を有する角材で構成されている。各受材19は、面材17の表面側から釘、木ネジ、ビス、ピンネイル等の固定具nが間隔をおいて打ち付けられ、それによって面材17に接合一体化している。なお、受材19の面材17への接合一体化は、例えば、酢酸ビニル系接着剤(木工用接着剤)、ビニルウレタン系接着剤、ラテックス系接着剤、シリコーン系接着剤、或いは、これらの変性物や混合物からなる弾性接着剤により行われていても、また、それと固定具nとの併用によって行われていてもよい。
【0029】
各受材19の上部及び下部のそれぞれには制震部材20が設けられている。
【0030】
図4はその制震部材20を示す。
【0031】
各制震部材20は、シート状の制震ダンパー21とそれを挟むように設けられた軸材取付部22及び面材取付部23とを有する。
【0032】
制震ダンパー21は、減衰性(特に0.1〜10Hzの周波数域)を有する材料により、例えば、縦300〜3000mm、横50〜100mm及び厚さ3〜30mmに形成されている。具体的には、制震ダンパー21は、シリコン系粘弾性体、ジエン系粘弾性体、イソプレンゴム(IR)系粘弾性体、天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)等をベースとした高減衰性のゴム組成物粘弾性体等により構成されている。制震ダンパー21の性能としては、5〜30℃の温度範囲において、損失係数(tanδ)が0.4以上で且つ貯蔵弾性率が1.0×105Pa以上であることが好ましい。
【0033】
軸材取付部22は、鋼板やアルミニウム板やステンレス板などの金属材料、ABS樹脂板やアクリル樹脂板などの樹脂材料、木質材料、火山性ガラス質複層板などの無機質材料等の剛性を有する材料により、軸材取付片22aとダンパー取付片22bとを有する断面L字状に形成されている(好ましくは厚さ5mm以上)。軸材取付片22aには複数の留具孔が形成されている。ダンパー取付片22bは、エポキシ系接着剤やウレタン系接着剤などにより、或いは、加硫接着により制震ダンパー21に接着している。
【0034】
面材取付部23は、鋼板やアルミニウム板やステンレス板などの金属材料、ABS樹脂板やアクリル樹脂板などの樹脂材料、木質材料、火山性ガラス質複層板などの無機質材料等の剛性を有する材料により、一対の板状の面材取付片23aとそれらを連結する連結片23bとを有する断面コの字状に形成されている。各面材取付片23aには複数の留具孔が形成されている。連結片23bは、エポキシ系接着剤やウレタン系接着剤などにより、或いは、加硫接着により制震ダンパー21に接着している。
【0035】
制震部材20は、図5に示すように、軸材取付部22の軸材取付片22aが縦軸材14の面材17に直交する枠体16内側面に当接するように設けられ、軸材取付片22aに形成された留具孔に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nが通され、それによって縦軸材14に取り付けられている。また、制震部材20は、図5に示すように、面材取付部23が面材17の裏面の受材19に嵌合するように設けられ、面材取付片23aに形成された留具孔に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nが通され、それによって面材17に取り付けられている。従って、シート状の制震ダンパー21は、面材17に平行に設けられている。
【0036】
一対のパネル部材13は、縦軸材14同士が当接するように相互に隣接して設けられている。
【0037】
一対のパネル部材13は、横軸材15の上側を掛け渡すように頭繋ぎ材24が設けられ、その頭繋ぎ材24の外側から釘、木ネジ等の固定具nが打ち付けられ、それによって横軸材15が連結されて接合一体化している。頭繋ぎ材24は、例えば、木製の長さが1820〜3000mm、幅40mm程度及び厚さ90mm程度以上の断面を有する建築基準法の規定に準拠した角材で構成されている。
【0038】
一対のパネル部材13のそれぞれは、3本の縦軸材14の下端(他端)を連結するように共通の長尺横軸材25が設けられ、その長尺横軸材25の外側から釘、木ネジ等の固定具nが打ち付けられ、それによって長尺横軸材25に接合一体化している。また、3本の縦軸材14のうち両側のそれぞれは、その下端において、引抜防止具18を介して長尺横軸材25に結合している。引抜防止具18としては、例えば、(財)日本住宅・木材技術センター規格の柱頭金物の記号PCやGL−PCや各種の三角金物が挙げられる。引抜防止具18は、固定具n(好ましくは木ネジ)により縦軸材14及び長尺横軸材25のそれぞれに固定されている。長尺横軸材25は、例えば、木製の長さ1820〜3000mm、幅40mm程度及び厚さ120mm程度の建築基準法の規定に準拠した角材で構成されている。
【0039】
一対のパネル部材13の相互に当接した縦軸材14は、接着剤やビスなどによる物理的固定や接着剤等により接合一体化している。これにより、その接合一体化した縦軸材14が一対のパネル部材13によって共有される共通の縦軸材14に構成されている。そして、この制震構造10において、制震部材20が取り付けられた縦軸材14は、いずれも複数の軸材が接合一体化したもので構成されたものとなっている。
【0040】
一対のパネル部材13が頭繋ぎ材24及び長尺横軸材25で上下に挟まれた構造体は、横架材11と床組部材12との間に嵌め入れられるように設けられている。なお、構造体と床組部材12との間には床下地材29が介設されている。また、横架材11の上側にも床下地材29が設けられている。
【0041】
この構造体は、縦軸材14の上部と図示しない二階部分のパネル部材の縦軸材14の下部との間に横架材11を跨いで帯金物が設けられ、それによって上部が固定されており、また、長尺横軸材25側から釘、木ネジ等の固定具nが下向きに打ち付けられ、それによって下部が床組部材12に接合一体化している。なお、長尺横軸材25及び床組部材12は、それらに連通したボルト孔が形成されており、そこに土台に立設されたボルトが通されて固定されている。
【0042】
この2×4住宅の制震構造10では、図6に示すように、枠体16と面材17との相対変位が生じると、制震部材20の制震ダンパー21が変形して制震効果を発現する。
【0043】
以上の構成の2×4住宅の制震構造10は、まず、一対のパネル部材13、頭繋ぎ材24、及び長尺横軸材25を準備した後、一対のパネル部材13を頭繋ぎ材24で連結する工程、一対のパネル部材13を長尺横軸材25に接合一体化する工程、及び一対のパネル部材13の当接する縦軸材14同士を接合一体化する工程を順不同で行い、そして、組上がった一対のパネル部材13が頭繋ぎ材24及び長尺横軸材25で上下に挟まれた構造体を横架材11と床下地材29を介した床組部材12との間に配置し、それらを上下で接合一体化することにより施工することができる。このように予め準備したパネル部材13を用いることにより施工の効率化を図ることができる。
【0044】
別の施工方法として、図7に示すように、横架材11と床組部材12との間に中央の縦軸材14を除いた枠体16のみを組み、その後に、図8に示すような裏面側の両側辺部のそれぞれに制震部材20が設けられていると共に、中央に縦軸材14が接合一体化した面材17を取り付けることにより施工することもできる。このように予め制震部材20を設けた面材17を用いることにより施工の効率化を図ることができる。
【0045】
他の別の施工方法として、横架材11と床組部材12との間に枠体16のみを組み、そこに面材17を取り付けた後、その裏面側の両側辺部のそれぞれに制震部材20が設けて縦軸材14と接合一体化することにより施工することもできる。このようにすれば、不陸などの施工誤差を小さくすることができ、安定した制震性能を得ることができる。
【0046】
このようにして、面材張り枠組壁工法により、本実施形態の2×4住宅の制震構造10の耐力壁が構成されることとなる。
【0047】
以上の構成の2×4住宅の制震構造10によれば、2×4住宅において、面材17と縦軸材14との間に制震部材20が設けられていると共に、縦軸材14の上端及び下端がそれぞれ引抜防止具18を介して横軸材15に結合しているので、面材張り枠組壁工法による耐力壁の持つ剛性及び強度を落とすことなく、制震部材20の制震ダンパー21によってより高い制震性能を得ることができる。加えて、制震ダンパー21の有する剛性により、耐力壁自体の高剛性及び高強度を得ることができる。
【0048】
また、大掛かりな補強部材を用いることなく、制震部材20が取り付けられた制震構造10を構成することができる。しかも、特殊な工具、手順、及び方法が不要であり、一般的な枠組壁工法により施工することができる。
【0049】
また、制震部材20が壁構造内の一部を占有するだけであるので、断熱欠損による結露の危険性を最小限に抑えることができる。
【0050】
さらに、面材17が縦軸材14等の他部材との当接部分においてそれらの他部材に接合一体化していれば、その上に設けられる下地材の不陸や波打ち、或いは、経年変化による壁紙等の仕上げ材の変形や割れ等を回避することができる。
【0051】
本実施形態の2×4住宅の制震構造10は、制震部材20の数や制震ダンパー21の材質等を変更することにより、壁構造全体を大きく変えることなく、種々に構成することができる。従って、自由度が大きく、また、設計も容易である。
【0052】
(実施形態2)
図9及び10は、実施形態2に係る2×4住宅の制震構造10を示す。なお、実施形態1と同一名称のものは実施形態1と同一符号で示す。
【0053】
この2×4住宅の制震構造10では、面材17は、枠体16で囲われる部分よりも小さい縦長矩形平板状に形成されている。面材17は、壁を構成したときに耐力要素となる程度の高い剪断剛性を有する材料により、例えば、長さ300〜1800mm、幅900mm程度及び厚さ9〜24mmの剛体板で構成されている。面材17としては、例えば、合板やMDF、ハードボードなどの木質材料、火山性ガラス質複層材料、石膏ボード、珪酸カルシウム板、鋼板、硬質木片セメント板等のものが挙げられる。
【0054】
また、縦軸材14、横軸材15、長尺横軸材25、及び面材17は、それらの表面が面一になるように設けられている。
【0055】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0056】
(実施形態3)
図11は、実施形態3に係る2×4住宅の制震構造10を示す。なお、実施形態1と同一名称のものは実施形態1と同一符号で示す。
【0057】
この2×4住宅の制震構造10では、枠体16の内側に、枠体16で囲われる部分よりも小さい縦長矩形平板状に形成された制震面材26が設けられている。制震面材26は、実施形態2の面材17と同一の構成である。また、縦軸材14、横軸材15、長尺横軸材25、及び制震面材26は、それらの表面が面一になるように設けられている。
【0058】
そして、それらの縦軸材14、横軸材15、及び制震面材26の表面を覆うようにさらに耐震面材27が設けられている。耐震面材27は、実施形態1の面材17と同一の構成である。
【0059】
制震面材26と耐震面材27とは、接合一体化していても、また、接合一体化していなくてもどちらでもよい。制震面材26と耐震面材27とが接合一体化している場合、それらの接合一体化は、耐震面材27の表面側から釘、木ネジ、ビス、ピンネイル等の固定具nが打ち付けられることにより行われても、また、例えば、酢酸ビニル系接着剤(木工用接着剤)、ビニルウレタン系接着剤、ラテックス系接着剤、シリコーン系接着剤、或いは、これらの変性物や混合物からなる弾性接着剤により行われていても、或いは、それらの併用によって行われていてもよい。
【0060】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0061】
(実施形態4)
図12は、実施形態4に係る2×4住宅の制震構造10を示す。なお、実施形態1と同一名称のものは実施形態1と同一符号で示す。
【0062】
この2×4住宅の制震構造10では、制震部材20は、軸材取付部22が平板状に形成され、また、面材取付部23が断面コの字状に形成されている。そして、制震部材20は、軸材取付部22が縦軸材14の面材17に直交する枠体16内側面に当接するように設けられ、留具孔に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nが通され、それによって縦軸材14に取り付けられ、また、面材取付部23の連結片23bが受材19の外側側面に当接すると共に、一方の面材取付片23aが受材19の裏面に当接し、他方の面材取付片23aが受材19に形成された嵌合溝に嵌合するように設けられ、一方の面材取付片23aに形成された留具孔に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nが通され、それによって受材19を介して面材17に取り付けられている。従って、シート状の制震ダンパー21は、面材17に直交する方向に延びるように設けられている。
【0063】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0064】
(実施形態5)
図13は、実施形態5に係る2×4住宅の制震構造10を示す。なお、実施形態1と同一名称のものは実施形態1と同一符号で示す。
【0065】
この2×4住宅の制震構造10では、制震部材20は、軸材取付部22が平板状に形成され、また、面材取付部23が断面コの字状に形成されている。そして、制震部材20は、軸材取付部22が縦軸材14の面材17に直交する枠体16内側面に形成された軸材取付部22及び制震ダンパー21の厚さの和に略等しい深さの欠損部に収容されるように設けられ、留具孔に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nが通され、それによって縦軸材14に取り付けられ、また、面材取付部23の連結片23bが受材19の外側側面に形成された連結片23bの厚さに略等しい深さの欠損部に収容されるように設けられると共に、一方の面材取付片23aが受材19の裏面に当接し、他方の面材取付片23aが受材19に形成された嵌合溝に嵌合するように設けられ、一方の面材取付片23aに形成された留具孔に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nが通され、それによって受材19を介して面材17に取り付けられている。シート状の制震ダンパー21は、面材17に直交する方向に延びるように設けられている。
【0066】
このような構成により、制震部材20が縦軸材14と受材19との間に埋設され、縦軸材14と受材19とが当接した構成となっており、制震部材20の滑りが抑えられ、制震ダンパー21への変形の伝達が適正に行われる。
【0067】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0068】
(実施形態6)
図14は、実施形態6に係る2×4住宅の制震構造10を示す。なお、実施形態1と同一名称のものは実施形態1と同一符号で示す。
【0069】
この2×4住宅の制震構造10では、面材17の裏面側に受材19が間隔をおいて複数設けられており、各受材19に対応するように制震部材20が設けられている。また、間隔をおいて設けられた複数の制震部材20を連結するように長尺のL字状部材28が設けられている。L字状部材28は、縦軸材14に沿った片に形成された留具孔に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nが通され、それによって縦軸材14に接合一体化している。各受材19は、面材17の表面側から釘、木ネジ、ビス、ピンネイル等の固定具が打ち付けられ、それによって面材17に接合一体化している。制震部材20は、軸材取付部22がL字状部材28の面材17に平行な片に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nで接合一体化し、それによってL字状部材28を介して縦軸材14に取り付けられ、また、面材取付部23が受材19に接着剤或いはボルト等で受材19に接合一体化し、それによって受材19を介して面材17に取り付けられている。
【0070】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0071】
(実施形態7)
図15は、実施形態7に係る2×4住宅の制震構造10を示す。
なお、実施形態1と同一名称のものは実施形態1と同一符号で示す。
【0072】
この2×4住宅の制震構造10では、一対のパネル部材13は、縦軸材14が単一の縦軸材14で構成されていると共に、真ん中の単一の縦軸材14を両者で供給しており、また、単一の長尺の横軸材15も両者で共有している。
【0073】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0074】
(その他の実施形態)
上記実施形態1〜7では、一対のパネル部材13を設けた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、1枚の構成であっても、また、2枚以上の構成であってもよい。
【0075】
上記実施形態1〜7では、受材19を介して制震部材20を面材17に取り付けた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、制震部材20を直接面材17に取り付けた構成であってもよい。
【0076】
上記実施形態1〜7では、各パネル部材13が下側の横軸材を有さず、一対のパネル部材13で長尺横軸材25を共有する構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、各パネル部材13が下側にも上側の横軸材15と同じ長さの横軸材を有する構成としてもよい。
【0077】
上記実施形態1〜6では、一対のパネル部材13の相互に当接した縦軸材14が接合一体化した構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、それらが接合されていない構成であってもよい。但し、枠構造の高剛性及び高強度を得ることができる観点からは、それらが接合一体化した構成であることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、2×4住宅の制震構造、並びに、それに用いるパネル部材及び面材について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施形態1に係る2×4住宅の制震構造の正面図である。
【図2】実施形態1に係る2×4住宅の制震構造の背面図である。
【図3】図1におけるIII-III断面図である。
【図4】制震部材の上面図である。
【図5】制震部材の取付構造の上面図である。
【図6】制震構造の制震動作を示す正面図である。
【図7】横架材と床組部材との間に枠体のみを組み付けた状態を示す正面図である。
【図8】面材の上面図である。
【図9】実施形態2に係る2×4住宅の制震構造の正面図である。
【図10】実施形態2に係る2×4住宅の制震構造の制震部材の取付構造の上面図である。
【図11】実施形態3に係る2×4住宅の制震構造の制震部材の取付構造の上面図である。
【図12】実施形態4に係る2×4住宅の制震構造の制震部材の取付構造の上面図である。
【図13】実施形態5に係る2×4住宅の制震構造の制震部材の取付構造の上面図である。
【図14】実施形態6に係る2×4住宅の制震構造の制震部材の取付構造の斜視図である。
【図15】実施形態7に係る2×4住宅の制震構造の制震部材の正面図である。
【符号の説明】
【0080】
10 2×4住宅の制震構造
11 横架材
12 床組部材
13 パネル部材
14 縦軸材
15 横軸材
16 枠体
17 面材
18 引抜防止具
19 受材
20 制震部材
26 制震面材
27 耐震面材
【技術分野】
【0001】
本発明は、2×4住宅の制震構造、並びに、それに用いるパネル部材及び面材に関する。
【背景技術】
【0002】
耐震性を高めるために建物に制震装置を設けることが広く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、油圧ダンパーによって振動を吸収する制震装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2及び3には、粘弾性体或いは制震ゴムによって振動を吸収する制震装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−218226号公報
【特許文献2】特開2005−290819号公報
【特許文献3】特開2006−132182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、2×4住宅は、構造耐力に優れた軸材と面材とが一体となった「面」で支える構造であり、6面相互の緊結により住宅形成し、これによって地震や台風などの力を建物全体で受け止め、荷重を一点に集中させることなく全体に分散してしまうので、外力に対して抜群の強さを発揮する住宅構造である。
【0006】
本発明は、この2×4住宅において、より高い制震性能を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の2×4住宅の制震構造は、
上下に間隔をおいて水平方向に並行に延びるように設けられた横架材及び床組部材と、
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、
上記一対の縦軸材の両端のそれぞれを連結するように設けられ、各々、該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した一対の横軸材と、
少なくとも上記一対の縦軸材及び上記一対の横軸材で囲われる部分に設けられた面材と、
を備え、
上記横架材と上記床組部材との間に、上記一対の縦軸材、上記一対の横軸材、及び上記面材が、該一対の横軸材の一方が該横架材に、また、該一対の横軸材の他方が該床組部材にそれぞれ接合一体化して設けられた2×4住宅の制震構造であって、
上記面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有する、
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の2×4住宅の制震構造は、上記制震部材が、上記面材取付部が受材を介して上記面材に固定されているものであってもよい。
【0009】
本発明の2×4住宅の制震構造は、上記面材が、上記一対の縦軸材及び上記一対の横軸材を含む他部材との当接部分において該他部材に接合一体化しているものであってもよい。
【0010】
本発明の2×4住宅の制震構造は、上記面材が無機質面材で構成されているものであってもよい。
【0011】
本発明の2×4住宅の制震構造は、 並行に延びるように設けられた一対の第2の縦軸材と、
上記一対の第2の縦軸材の両端のそれぞれを連結するように設けられ、各々、該一対の第2の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した一対の第2の横軸材と、
少なくとも上記一対の第2の縦軸材及び上記一対の第2の横軸材で囲われる部分に設けられた第2の面材と、
をさらに備え、
上記横架材と上記床組部材との間に、上記一対の第2の縦軸材、上記一対の第2の横軸材、及び上記第2の面材が、該一対の第2の横軸材の一方が該横架材に、また、該一対の第2の横軸材の他方が該床組部材にそれぞれ接合一体化して設けられており、
上記当接した縦軸材と第2の縦軸材とは接合一体化しているものであってもよい。
【0012】
本発明の2×4住宅の制震構造は、上記制震部材が取り付けられた縦軸材が、複数の軸材が並列して接合一体化したもので構成されているものであってもよい。
【0013】
本発明の第1の2×4住宅用のパネル部材は、
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体と、
少なくとも上記枠体で囲われる部分に設けられた面材と、
を備え、
上記面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有するものであって、
上記面材は、上記一対の縦軸材及び上記横軸材を含む他部材との当接部分において該他部材に接合一体化している、
ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の2×4住宅用のパネル部材は、
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体と、
少なくとも上記枠体で囲われる部分に設けられた面材と、
を備え、
上記面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有するものであって、
上記一対の縦軸材、上記横軸材、及び上記面材は、それらの表面が面一になるように設けられている、
ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の2×4住宅用のパネル部材は、
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体と、
上記枠体で囲われる部分に設けられた制震面材と、
を備え、
上記制震面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記制震面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有するものであって、
上記一対の縦軸材、上記横軸材、及び上記制震面材は、それらの表面が面一になるように設けられていると共に、該一対の縦軸材、該横軸材、及び該制震面材の表面を覆うようにさらに耐震面材が設けられている、
ことを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の2×4住宅用のパネル部材は、上記制震面材と上記耐震面材とが接合一体化しているものであってもよい。
【0017】
本発明の2×4住宅の制震構造用の面材は、並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体で囲われる部分に少なくとも設けられるものであって、
裏面側の両側辺部のそれぞれに制震部材が設けられており、
上記制震部材は、軸材取付部と、面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、2×4住宅において、面材と縦軸材との間に制震部材が設けられていると共に、縦軸材の上端及び下端がそれぞれ引抜防止具を介して横軸材に結合しているので、面材張り枠組壁工法耐力壁の持つ剛性及び強度を落とすことなく、制震部材の制震ダンパーによってより高い制震性能を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施形態1)
図1〜3は、実施形態1に係る2×4住宅の制震構造10を示す。
【0020】
この2×4住宅の制震構造10は、横架材11及び床組部材12とそれらの間に設けられた一対のパネル部材13とを備えている。
【0021】
横架材11及び床組部材12は、上下に間隔をおいて並行に延びるように設けられている。横架材11及び床組部材12のそれぞれは、例えば、木製の長さ1000〜7000mm、幅90〜150mm及び厚さ90〜400mmの角材で構成されており、耐震強度等が考慮されて、形状や断面積、材質が適宜選択される。横架材11と床組部材12との間隔は、例えば2000〜2750mmである。
【0022】
一対のパネル部材13のそれぞれは、3本の縦軸材14及び横軸材15からなる枠体16と面材17とを有する。
【0023】
枠体16の3本の縦軸材14は、左右に略均等間隔をおいて並行に延びるように設けられている。各縦軸材14は、例えば、木製の長さ1820〜2730mm、幅40mm程度及び厚さ90mm程度以上の断面を有する建築基準法の規定に準拠した角材で構成されている。3本の縦軸材14のうち1本の縦軸材14(左側のパネル部材13の左端の縦軸材14及び右側のパネル部材13の右端の縦軸材14)は、角材(例えば204材)の2本を重ね合わせ、接着剤、木ネジ、ビスや釘などにより接合一体化したもので構成されている。左側一対及び右側一対の縦軸材14の間隔は、例えば910mm程度である。
【0024】
枠体16の横軸材15は、3本の縦軸材14の上端(一端)を連結するように設けられている。横軸材15は、例えば、木製の長さ1820〜2730mm、幅40mm程度及び厚さ90mm程度以上の断面を有する建築基準法の規定に準拠した角材で構成されている。
【0025】
3本の縦軸材14のそれぞれは、例えば、横軸材15の外側から釘や木ネジ等の固定具nが打ち付けられ、それによって横軸材15に接合一体化している。また、3本の縦軸材14のうち両側のそれぞれは、その上端において、引抜防止具18を介して横軸材15に結合している。引抜防止具18としては、例えば、(財)日本住宅・木材技術センター規格の柱頭金物の記号PCやGL−PCや各種の三角金物が挙げられる。引抜防止具18は、固定具n(好ましくは木ネジ)により縦軸材14及び横軸材15のそれぞれに固定されている。
【0026】
面材17は、縦長矩形平板状に形成されており、枠体16のうち2本構成の縦軸材14の外側側部を除いた全面を覆うように設けられている。面材17は、壁を構成したときに耐力要素となる程度の高い剪断剛性を有する材料により、例えば、長さ1820〜3000mm、幅910mm程度及び厚さ9〜24mmの板状体で構成されている。面材17としては、内装下地材であれば、合板、OSBやMDFなどの木質材料、火山性ガラス質複層材料、石膏ボード、珪酸カルシウム板などのものが挙げられ、外装下地材であれば、合板やOSBなどの木質材料、火山性ガラス質複層材料、珪酸カルシウム板や硬質木片セメント板などのものが挙げられる。面材17は無機質面材で構成されていることが望ましい。建物が地震や風圧によって大きな水平力を受けたとき、この面材17の持つ剪断剛性が主要な抵抗要素として作用する。
【0027】
面材17は、表面側から釘、木ネジ、ビス、ピンネイル等の固定具nが間隔をおいて打ち付けられ、それによって枠体16の横軸材15及び3本の縦軸材14のそれぞれに接合一体化している。
【0028】
面材17の裏面側には、両側の縦軸材14のそれぞれに沿って延びる受材19が設けられている。各受材19は、木材、合板やMDFなどの木質材料等により、例えば、長さ300〜3000mm、幅50〜100mm及び厚さ25〜50mm程度の断面を有する角材で構成されている。各受材19は、面材17の表面側から釘、木ネジ、ビス、ピンネイル等の固定具nが間隔をおいて打ち付けられ、それによって面材17に接合一体化している。なお、受材19の面材17への接合一体化は、例えば、酢酸ビニル系接着剤(木工用接着剤)、ビニルウレタン系接着剤、ラテックス系接着剤、シリコーン系接着剤、或いは、これらの変性物や混合物からなる弾性接着剤により行われていても、また、それと固定具nとの併用によって行われていてもよい。
【0029】
各受材19の上部及び下部のそれぞれには制震部材20が設けられている。
【0030】
図4はその制震部材20を示す。
【0031】
各制震部材20は、シート状の制震ダンパー21とそれを挟むように設けられた軸材取付部22及び面材取付部23とを有する。
【0032】
制震ダンパー21は、減衰性(特に0.1〜10Hzの周波数域)を有する材料により、例えば、縦300〜3000mm、横50〜100mm及び厚さ3〜30mmに形成されている。具体的には、制震ダンパー21は、シリコン系粘弾性体、ジエン系粘弾性体、イソプレンゴム(IR)系粘弾性体、天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)等をベースとした高減衰性のゴム組成物粘弾性体等により構成されている。制震ダンパー21の性能としては、5〜30℃の温度範囲において、損失係数(tanδ)が0.4以上で且つ貯蔵弾性率が1.0×105Pa以上であることが好ましい。
【0033】
軸材取付部22は、鋼板やアルミニウム板やステンレス板などの金属材料、ABS樹脂板やアクリル樹脂板などの樹脂材料、木質材料、火山性ガラス質複層板などの無機質材料等の剛性を有する材料により、軸材取付片22aとダンパー取付片22bとを有する断面L字状に形成されている(好ましくは厚さ5mm以上)。軸材取付片22aには複数の留具孔が形成されている。ダンパー取付片22bは、エポキシ系接着剤やウレタン系接着剤などにより、或いは、加硫接着により制震ダンパー21に接着している。
【0034】
面材取付部23は、鋼板やアルミニウム板やステンレス板などの金属材料、ABS樹脂板やアクリル樹脂板などの樹脂材料、木質材料、火山性ガラス質複層板などの無機質材料等の剛性を有する材料により、一対の板状の面材取付片23aとそれらを連結する連結片23bとを有する断面コの字状に形成されている。各面材取付片23aには複数の留具孔が形成されている。連結片23bは、エポキシ系接着剤やウレタン系接着剤などにより、或いは、加硫接着により制震ダンパー21に接着している。
【0035】
制震部材20は、図5に示すように、軸材取付部22の軸材取付片22aが縦軸材14の面材17に直交する枠体16内側面に当接するように設けられ、軸材取付片22aに形成された留具孔に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nが通され、それによって縦軸材14に取り付けられている。また、制震部材20は、図5に示すように、面材取付部23が面材17の裏面の受材19に嵌合するように設けられ、面材取付片23aに形成された留具孔に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nが通され、それによって面材17に取り付けられている。従って、シート状の制震ダンパー21は、面材17に平行に設けられている。
【0036】
一対のパネル部材13は、縦軸材14同士が当接するように相互に隣接して設けられている。
【0037】
一対のパネル部材13は、横軸材15の上側を掛け渡すように頭繋ぎ材24が設けられ、その頭繋ぎ材24の外側から釘、木ネジ等の固定具nが打ち付けられ、それによって横軸材15が連結されて接合一体化している。頭繋ぎ材24は、例えば、木製の長さが1820〜3000mm、幅40mm程度及び厚さ90mm程度以上の断面を有する建築基準法の規定に準拠した角材で構成されている。
【0038】
一対のパネル部材13のそれぞれは、3本の縦軸材14の下端(他端)を連結するように共通の長尺横軸材25が設けられ、その長尺横軸材25の外側から釘、木ネジ等の固定具nが打ち付けられ、それによって長尺横軸材25に接合一体化している。また、3本の縦軸材14のうち両側のそれぞれは、その下端において、引抜防止具18を介して長尺横軸材25に結合している。引抜防止具18としては、例えば、(財)日本住宅・木材技術センター規格の柱頭金物の記号PCやGL−PCや各種の三角金物が挙げられる。引抜防止具18は、固定具n(好ましくは木ネジ)により縦軸材14及び長尺横軸材25のそれぞれに固定されている。長尺横軸材25は、例えば、木製の長さ1820〜3000mm、幅40mm程度及び厚さ120mm程度の建築基準法の規定に準拠した角材で構成されている。
【0039】
一対のパネル部材13の相互に当接した縦軸材14は、接着剤やビスなどによる物理的固定や接着剤等により接合一体化している。これにより、その接合一体化した縦軸材14が一対のパネル部材13によって共有される共通の縦軸材14に構成されている。そして、この制震構造10において、制震部材20が取り付けられた縦軸材14は、いずれも複数の軸材が接合一体化したもので構成されたものとなっている。
【0040】
一対のパネル部材13が頭繋ぎ材24及び長尺横軸材25で上下に挟まれた構造体は、横架材11と床組部材12との間に嵌め入れられるように設けられている。なお、構造体と床組部材12との間には床下地材29が介設されている。また、横架材11の上側にも床下地材29が設けられている。
【0041】
この構造体は、縦軸材14の上部と図示しない二階部分のパネル部材の縦軸材14の下部との間に横架材11を跨いで帯金物が設けられ、それによって上部が固定されており、また、長尺横軸材25側から釘、木ネジ等の固定具nが下向きに打ち付けられ、それによって下部が床組部材12に接合一体化している。なお、長尺横軸材25及び床組部材12は、それらに連通したボルト孔が形成されており、そこに土台に立設されたボルトが通されて固定されている。
【0042】
この2×4住宅の制震構造10では、図6に示すように、枠体16と面材17との相対変位が生じると、制震部材20の制震ダンパー21が変形して制震効果を発現する。
【0043】
以上の構成の2×4住宅の制震構造10は、まず、一対のパネル部材13、頭繋ぎ材24、及び長尺横軸材25を準備した後、一対のパネル部材13を頭繋ぎ材24で連結する工程、一対のパネル部材13を長尺横軸材25に接合一体化する工程、及び一対のパネル部材13の当接する縦軸材14同士を接合一体化する工程を順不同で行い、そして、組上がった一対のパネル部材13が頭繋ぎ材24及び長尺横軸材25で上下に挟まれた構造体を横架材11と床下地材29を介した床組部材12との間に配置し、それらを上下で接合一体化することにより施工することができる。このように予め準備したパネル部材13を用いることにより施工の効率化を図ることができる。
【0044】
別の施工方法として、図7に示すように、横架材11と床組部材12との間に中央の縦軸材14を除いた枠体16のみを組み、その後に、図8に示すような裏面側の両側辺部のそれぞれに制震部材20が設けられていると共に、中央に縦軸材14が接合一体化した面材17を取り付けることにより施工することもできる。このように予め制震部材20を設けた面材17を用いることにより施工の効率化を図ることができる。
【0045】
他の別の施工方法として、横架材11と床組部材12との間に枠体16のみを組み、そこに面材17を取り付けた後、その裏面側の両側辺部のそれぞれに制震部材20が設けて縦軸材14と接合一体化することにより施工することもできる。このようにすれば、不陸などの施工誤差を小さくすることができ、安定した制震性能を得ることができる。
【0046】
このようにして、面材張り枠組壁工法により、本実施形態の2×4住宅の制震構造10の耐力壁が構成されることとなる。
【0047】
以上の構成の2×4住宅の制震構造10によれば、2×4住宅において、面材17と縦軸材14との間に制震部材20が設けられていると共に、縦軸材14の上端及び下端がそれぞれ引抜防止具18を介して横軸材15に結合しているので、面材張り枠組壁工法による耐力壁の持つ剛性及び強度を落とすことなく、制震部材20の制震ダンパー21によってより高い制震性能を得ることができる。加えて、制震ダンパー21の有する剛性により、耐力壁自体の高剛性及び高強度を得ることができる。
【0048】
また、大掛かりな補強部材を用いることなく、制震部材20が取り付けられた制震構造10を構成することができる。しかも、特殊な工具、手順、及び方法が不要であり、一般的な枠組壁工法により施工することができる。
【0049】
また、制震部材20が壁構造内の一部を占有するだけであるので、断熱欠損による結露の危険性を最小限に抑えることができる。
【0050】
さらに、面材17が縦軸材14等の他部材との当接部分においてそれらの他部材に接合一体化していれば、その上に設けられる下地材の不陸や波打ち、或いは、経年変化による壁紙等の仕上げ材の変形や割れ等を回避することができる。
【0051】
本実施形態の2×4住宅の制震構造10は、制震部材20の数や制震ダンパー21の材質等を変更することにより、壁構造全体を大きく変えることなく、種々に構成することができる。従って、自由度が大きく、また、設計も容易である。
【0052】
(実施形態2)
図9及び10は、実施形態2に係る2×4住宅の制震構造10を示す。なお、実施形態1と同一名称のものは実施形態1と同一符号で示す。
【0053】
この2×4住宅の制震構造10では、面材17は、枠体16で囲われる部分よりも小さい縦長矩形平板状に形成されている。面材17は、壁を構成したときに耐力要素となる程度の高い剪断剛性を有する材料により、例えば、長さ300〜1800mm、幅900mm程度及び厚さ9〜24mmの剛体板で構成されている。面材17としては、例えば、合板やMDF、ハードボードなどの木質材料、火山性ガラス質複層材料、石膏ボード、珪酸カルシウム板、鋼板、硬質木片セメント板等のものが挙げられる。
【0054】
また、縦軸材14、横軸材15、長尺横軸材25、及び面材17は、それらの表面が面一になるように設けられている。
【0055】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0056】
(実施形態3)
図11は、実施形態3に係る2×4住宅の制震構造10を示す。なお、実施形態1と同一名称のものは実施形態1と同一符号で示す。
【0057】
この2×4住宅の制震構造10では、枠体16の内側に、枠体16で囲われる部分よりも小さい縦長矩形平板状に形成された制震面材26が設けられている。制震面材26は、実施形態2の面材17と同一の構成である。また、縦軸材14、横軸材15、長尺横軸材25、及び制震面材26は、それらの表面が面一になるように設けられている。
【0058】
そして、それらの縦軸材14、横軸材15、及び制震面材26の表面を覆うようにさらに耐震面材27が設けられている。耐震面材27は、実施形態1の面材17と同一の構成である。
【0059】
制震面材26と耐震面材27とは、接合一体化していても、また、接合一体化していなくてもどちらでもよい。制震面材26と耐震面材27とが接合一体化している場合、それらの接合一体化は、耐震面材27の表面側から釘、木ネジ、ビス、ピンネイル等の固定具nが打ち付けられることにより行われても、また、例えば、酢酸ビニル系接着剤(木工用接着剤)、ビニルウレタン系接着剤、ラテックス系接着剤、シリコーン系接着剤、或いは、これらの変性物や混合物からなる弾性接着剤により行われていても、或いは、それらの併用によって行われていてもよい。
【0060】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0061】
(実施形態4)
図12は、実施形態4に係る2×4住宅の制震構造10を示す。なお、実施形態1と同一名称のものは実施形態1と同一符号で示す。
【0062】
この2×4住宅の制震構造10では、制震部材20は、軸材取付部22が平板状に形成され、また、面材取付部23が断面コの字状に形成されている。そして、制震部材20は、軸材取付部22が縦軸材14の面材17に直交する枠体16内側面に当接するように設けられ、留具孔に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nが通され、それによって縦軸材14に取り付けられ、また、面材取付部23の連結片23bが受材19の外側側面に当接すると共に、一方の面材取付片23aが受材19の裏面に当接し、他方の面材取付片23aが受材19に形成された嵌合溝に嵌合するように設けられ、一方の面材取付片23aに形成された留具孔に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nが通され、それによって受材19を介して面材17に取り付けられている。従って、シート状の制震ダンパー21は、面材17に直交する方向に延びるように設けられている。
【0063】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0064】
(実施形態5)
図13は、実施形態5に係る2×4住宅の制震構造10を示す。なお、実施形態1と同一名称のものは実施形態1と同一符号で示す。
【0065】
この2×4住宅の制震構造10では、制震部材20は、軸材取付部22が平板状に形成され、また、面材取付部23が断面コの字状に形成されている。そして、制震部材20は、軸材取付部22が縦軸材14の面材17に直交する枠体16内側面に形成された軸材取付部22及び制震ダンパー21の厚さの和に略等しい深さの欠損部に収容されるように設けられ、留具孔に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nが通され、それによって縦軸材14に取り付けられ、また、面材取付部23の連結片23bが受材19の外側側面に形成された連結片23bの厚さに略等しい深さの欠損部に収容されるように設けられると共に、一方の面材取付片23aが受材19の裏面に当接し、他方の面材取付片23aが受材19に形成された嵌合溝に嵌合するように設けられ、一方の面材取付片23aに形成された留具孔に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nが通され、それによって受材19を介して面材17に取り付けられている。シート状の制震ダンパー21は、面材17に直交する方向に延びるように設けられている。
【0066】
このような構成により、制震部材20が縦軸材14と受材19との間に埋設され、縦軸材14と受材19とが当接した構成となっており、制震部材20の滑りが抑えられ、制震ダンパー21への変形の伝達が適正に行われる。
【0067】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0068】
(実施形態6)
図14は、実施形態6に係る2×4住宅の制震構造10を示す。なお、実施形態1と同一名称のものは実施形態1と同一符号で示す。
【0069】
この2×4住宅の制震構造10では、面材17の裏面側に受材19が間隔をおいて複数設けられており、各受材19に対応するように制震部材20が設けられている。また、間隔をおいて設けられた複数の制震部材20を連結するように長尺のL字状部材28が設けられている。L字状部材28は、縦軸材14に沿った片に形成された留具孔に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nが通され、それによって縦軸材14に接合一体化している。各受材19は、面材17の表面側から釘、木ネジ、ビス、ピンネイル等の固定具が打ち付けられ、それによって面材17に接合一体化している。制震部材20は、軸材取付部22がL字状部材28の面材17に平行な片に釘、木ネジ、ビス、ボルト、ラグスクリュー等の固定具nで接合一体化し、それによってL字状部材28を介して縦軸材14に取り付けられ、また、面材取付部23が受材19に接着剤或いはボルト等で受材19に接合一体化し、それによって受材19を介して面材17に取り付けられている。
【0070】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0071】
(実施形態7)
図15は、実施形態7に係る2×4住宅の制震構造10を示す。
なお、実施形態1と同一名称のものは実施形態1と同一符号で示す。
【0072】
この2×4住宅の制震構造10では、一対のパネル部材13は、縦軸材14が単一の縦軸材14で構成されていると共に、真ん中の単一の縦軸材14を両者で供給しており、また、単一の長尺の横軸材15も両者で共有している。
【0073】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0074】
(その他の実施形態)
上記実施形態1〜7では、一対のパネル部材13を設けた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、1枚の構成であっても、また、2枚以上の構成であってもよい。
【0075】
上記実施形態1〜7では、受材19を介して制震部材20を面材17に取り付けた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、制震部材20を直接面材17に取り付けた構成であってもよい。
【0076】
上記実施形態1〜7では、各パネル部材13が下側の横軸材を有さず、一対のパネル部材13で長尺横軸材25を共有する構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、各パネル部材13が下側にも上側の横軸材15と同じ長さの横軸材を有する構成としてもよい。
【0077】
上記実施形態1〜6では、一対のパネル部材13の相互に当接した縦軸材14が接合一体化した構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、それらが接合されていない構成であってもよい。但し、枠構造の高剛性及び高強度を得ることができる観点からは、それらが接合一体化した構成であることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、2×4住宅の制震構造、並びに、それに用いるパネル部材及び面材について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施形態1に係る2×4住宅の制震構造の正面図である。
【図2】実施形態1に係る2×4住宅の制震構造の背面図である。
【図3】図1におけるIII-III断面図である。
【図4】制震部材の上面図である。
【図5】制震部材の取付構造の上面図である。
【図6】制震構造の制震動作を示す正面図である。
【図7】横架材と床組部材との間に枠体のみを組み付けた状態を示す正面図である。
【図8】面材の上面図である。
【図9】実施形態2に係る2×4住宅の制震構造の正面図である。
【図10】実施形態2に係る2×4住宅の制震構造の制震部材の取付構造の上面図である。
【図11】実施形態3に係る2×4住宅の制震構造の制震部材の取付構造の上面図である。
【図12】実施形態4に係る2×4住宅の制震構造の制震部材の取付構造の上面図である。
【図13】実施形態5に係る2×4住宅の制震構造の制震部材の取付構造の上面図である。
【図14】実施形態6に係る2×4住宅の制震構造の制震部材の取付構造の斜視図である。
【図15】実施形態7に係る2×4住宅の制震構造の制震部材の正面図である。
【符号の説明】
【0080】
10 2×4住宅の制震構造
11 横架材
12 床組部材
13 パネル部材
14 縦軸材
15 横軸材
16 枠体
17 面材
18 引抜防止具
19 受材
20 制震部材
26 制震面材
27 耐震面材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に間隔をおいて水平方向に並行に延びるように設けられた横架材及び床組部材と、
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、
上記一対の縦軸材の両端のそれぞれを連結するように設けられ、各々、該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した一対の横軸材と、
少なくとも上記一対の縦軸材及び上記一対の横軸材で囲われる部分に設けられた面材と、
を備え、
上記横架材と上記床組部材との間に、上記一対の縦軸材、上記一対の横軸材、及び上記面材が、該一対の横軸材の一方が該横架材に、また、該一対の横軸材の他方が該床組部材にそれぞれ接合一体化して設けられた2×4住宅の制震構造であって、
上記面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有する、
ことを特徴とする2×4住宅の制震構造。
【請求項2】
上記制震部材は、上記面材取付部が受材を介して上記面材に固定されていることを特徴とする請求項1に記載された2×4住宅の制震構造。
【請求項3】
上記面材は、上記一対の縦軸材及び上記一対の横軸材を含む他部材との当接部分において該他部材に接合一体化していることを特徴とする請求項1又は2に記載された2×4住宅の制震構造。
【請求項4】
上記面材が無機質面材で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載された2×4住宅の制震構造。
【請求項5】
並行に延びるように設けられた一対の第2の縦軸材と、
上記一対の第2の縦軸材の両端のそれぞれを連結するように設けられ、各々、該一対の第2の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した一対の第2の横軸材と、
少なくとも上記一対の第2の縦軸材及び上記一対の第2の横軸材で囲われる部分に設けられた第2の面材と、
をさらに備え、
上記横架材と上記床組部材との間に、上記一対の第2の縦軸材、上記一対の第2の横軸材、及び上記第2の面材が、該一対の第2の横軸材の一方が該横架材に、また、該一対の第2の横軸材の他方が該床組部材にそれぞれ接合一体化して設けられており、
上記当接した縦軸材と第2の縦軸材とは接合一体化していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載された2×4住宅の制震構造。
【請求項6】
上記制震部材が取り付けられた縦軸材は、複数の軸材が並列して接合一体化したもので構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載された2×4住宅の制震構造。
【請求項7】
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体と、
少なくとも上記枠体で囲われる部分に設けられた面材と、
を備え、
上記面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有する2×4住宅用のパネル部材であって、
上記面材は、上記一対の縦軸材及び上記横軸材を含む他部材との当接部分において該他部材に接合一体化している、
ことを特徴とする2×4住宅用のパネル部材。
【請求項8】
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体と、
少なくとも上記枠体で囲われる部分に設けられた面材と、
を備え、
上記面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有する2×4住宅用のパネル部材であって、
上記一対の縦軸材、上記横軸材、及び上記面材は、それらの表面が面一になるように設けられている、
ことを特徴とする2×4住宅用のパネル部材。
【請求項9】
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体と、
上記枠体で囲われる部分に設けられた制震面材と、
を備え、
上記制震面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記制震面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有する2×4住宅用のパネル部材であって、
上記一対の縦軸材、上記横軸材、及び上記制震面材は、それらの表面が面一になるように設けられていると共に、該一対の縦軸材、該横軸材、及び該制震面材の表面を覆うようにさらに耐震面材が設けられている、
ことを特徴とする2×4住宅用のパネル部材。
【請求項10】
上記制震面材と上記耐震面材とは接合一体化していることを特徴とする請求項8に記載された2×4住宅用のパネル部材。
【請求項11】
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体で囲われる部分に少なくとも設けられる2×4住宅の制震構造用の面材であって、
裏面側の両側辺部のそれぞれに制震部材が設けられており、
上記制震部材は、軸材取付部と、面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有する、
ことを特徴とする面材。
【請求項1】
上下に間隔をおいて水平方向に並行に延びるように設けられた横架材及び床組部材と、
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、
上記一対の縦軸材の両端のそれぞれを連結するように設けられ、各々、該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した一対の横軸材と、
少なくとも上記一対の縦軸材及び上記一対の横軸材で囲われる部分に設けられた面材と、
を備え、
上記横架材と上記床組部材との間に、上記一対の縦軸材、上記一対の横軸材、及び上記面材が、該一対の横軸材の一方が該横架材に、また、該一対の横軸材の他方が該床組部材にそれぞれ接合一体化して設けられた2×4住宅の制震構造であって、
上記面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有する、
ことを特徴とする2×4住宅の制震構造。
【請求項2】
上記制震部材は、上記面材取付部が受材を介して上記面材に固定されていることを特徴とする請求項1に記載された2×4住宅の制震構造。
【請求項3】
上記面材は、上記一対の縦軸材及び上記一対の横軸材を含む他部材との当接部分において該他部材に接合一体化していることを特徴とする請求項1又は2に記載された2×4住宅の制震構造。
【請求項4】
上記面材が無機質面材で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載された2×4住宅の制震構造。
【請求項5】
並行に延びるように設けられた一対の第2の縦軸材と、
上記一対の第2の縦軸材の両端のそれぞれを連結するように設けられ、各々、該一対の第2の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した一対の第2の横軸材と、
少なくとも上記一対の第2の縦軸材及び上記一対の第2の横軸材で囲われる部分に設けられた第2の面材と、
をさらに備え、
上記横架材と上記床組部材との間に、上記一対の第2の縦軸材、上記一対の第2の横軸材、及び上記第2の面材が、該一対の第2の横軸材の一方が該横架材に、また、該一対の第2の横軸材の他方が該床組部材にそれぞれ接合一体化して設けられており、
上記当接した縦軸材と第2の縦軸材とは接合一体化していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載された2×4住宅の制震構造。
【請求項6】
上記制震部材が取り付けられた縦軸材は、複数の軸材が並列して接合一体化したもので構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載された2×4住宅の制震構造。
【請求項7】
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体と、
少なくとも上記枠体で囲われる部分に設けられた面材と、
を備え、
上記面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有する2×4住宅用のパネル部材であって、
上記面材は、上記一対の縦軸材及び上記横軸材を含む他部材との当接部分において該他部材に接合一体化している、
ことを特徴とする2×4住宅用のパネル部材。
【請求項8】
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体と、
少なくとも上記枠体で囲われる部分に設けられた面材と、
を備え、
上記面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有する2×4住宅用のパネル部材であって、
上記一対の縦軸材、上記横軸材、及び上記面材は、それらの表面が面一になるように設けられている、
ことを特徴とする2×4住宅用のパネル部材。
【請求項9】
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体と、
上記枠体で囲われる部分に設けられた制震面材と、
を備え、
上記制震面材は、上記一対の縦軸材のそれぞれに制震部材を介して設けられており、
上記制震部材は、上記縦軸材に取り付けられた軸材取付部と、上記制震面材に取り付けられた面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有する2×4住宅用のパネル部材であって、
上記一対の縦軸材、上記横軸材、及び上記制震面材は、それらの表面が面一になるように設けられていると共に、該一対の縦軸材、該横軸材、及び該制震面材の表面を覆うようにさらに耐震面材が設けられている、
ことを特徴とする2×4住宅用のパネル部材。
【請求項10】
上記制震面材と上記耐震面材とは接合一体化していることを特徴とする請求項8に記載された2×4住宅用のパネル部材。
【請求項11】
並行に延びるように設けられた一対の縦軸材と、該一対の縦軸材の一端を連結するように設けられ該一対の縦軸材のそれぞれに引抜防止具を介して結合した横軸材と、を有する枠体で囲われる部分に少なくとも設けられる2×4住宅の制震構造用の面材であって、
裏面側の両側辺部のそれぞれに制震部材が設けられており、
上記制震部材は、軸材取付部と、面材取付部と、それらの間に設けられた制震ダンパーと、を有する、
ことを特徴とする面材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−7868(P2009−7868A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171544(P2007−171544)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]