説明

2−シアノエチル基含有ポリマーを含む非水電解質電池セパレータ用バインダー及びこれを用いたセパレータ並びに電池

【課題】電池特性及び耐熱性を向上させた非水電解質電池を構成し得るセパレータ用バインダー、並びにこれを用いたセパレータ及び該セパレータを備える非水電解質電池を提供することを目的とする。
【解決手段】不純物としてビス−シアノエチルエーテルの含有量が0.5質量%以下である2−シアノエチル基含有ポリマーを含む非水電解質電池セパレータ用バインダーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性多孔質層と多孔性基材から構成される電池用セパレータにおいて、耐熱性多孔質層のバインダーとして特定の不純物の含有量を一定値以下に抑えた2−シアノエチル基含有ポリマーを用いた電池用セパレータ及びこの電池用セパレータを使用することにより耐熱性及び電池特性を向上させた非水電解質電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコン又は携帯電話等のモバイル端末用電源あるいはハイブリッド自動車、電気自動車用電源として高電圧、高エネルギー密度を有する非水電解質電池、特にリチウムイオン二次電池が注目されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質電池は、高容量及び高エネルギー密度を有していることから、電池の内部短絡時あるいは外部短絡時に大電流が流れ、その際に発生するジュール熱により電池が発熱する問題や、電解液分解にともなうガス発生による電池の膨れや特性劣化の問題がある。
【0004】
現行のリチウムイオン二次電池ではこれらの問題を解決するため、ポリプロピレン又はポリエチレンフィルム等の微細孔を有する多孔性基材からなるセパレータを負極と正極の間に介在させている。これら多孔性基材からなるセパレータは短絡時に発熱して温度が上昇するとセパレータが溶融してその微細孔が塞がれ、イオンの移動が阻止されて電流が流れなくなり、電池の暴走が抑制される。
【0005】
現在、リチウムイオン二次電池の用途が広がるに伴って、より耐熱性が高い電池、特に、内部短絡が生じた場合の耐熱性の高い電池が求められている。
【0006】
内部短絡が生じた場合、局部的な発熱によって短絡部分では600℃以上の温度となることがあると考えられる。このため、ポリオレフィン系フィルム等の微細孔を有する多孔性基材からなる従来のセパレータでは、短絡時の熱によって短絡部分のセパレータが収縮あるいは溶融して、電池は発煙、発火、爆発といった危険に曝されることになる。
【0007】
このようなセパレータの熱収縮あるいは熱溶融による短絡を防止し、電池の信頼性を高める技術として、例えば、ポリオレフィン系フィルム等の微細孔を有する多孔性基材の片面又は両面(表面と裏面)に耐熱性多孔質層を備えた多層構造のセパレータが提案されている(特許文献1〜4)。
【0008】
セパレータを構成する耐熱多孔質層のバインダーとして、2−シアノエチル基含有ポリマーを使用することも開示されている(特表2009−518809号公報及び特表2008−503049号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−15917号公報
【特許文献2】特表2009−518809号公報
【特許文献3】特表2008−503049号公報
【特許文献4】特開2010−50076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、これらの2−シアノエチル基含有ポリマーを耐熱性多孔質層のバインダーとして使用したセパレータであっても、耐熱性多孔質層の耐熱性効果を高めるための更なる改良が求められていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電池特性及び耐熱性を向上させた非水電解質電池を構成し得るセパレータ用バインダー、並びにこれを用いたセパレータ及び該セパレータを備える非水電解質電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討した結果、非水電解質電池用セパレータにおいて、2−シアノエチル基含有ポリマーに含まれるビス−シアノエチルエーテルが耐熱性に悪影響を及ぼしており、不純物であるビス−シアノエチルエーテルの含有量が一定値以下である2−シアノエチル基含有ポリマーをバインダーとして用いることにより、電解液中においても耐熱性多孔質層の無機フィラー同士を接着させる接着力が十分であり、耐熱性多孔質層の機械的強度に優れ、かつイオン伝導性の良好なセパレータが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は不純物であるビス−シアノエチルエーテルの含有量が0.5質量%以下である2−シアノエチル基含有ポリマーを含む非水電解質電池セパレータ用バインダーを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電池特性と耐熱性に優れた非水電解質電池の製造を可能とするセパレータ用バインダー、並びにこれを用いたセパレータ及び該セパレータを備える非水電解質電池を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本発明の非水電解質電池セパレータ用バインダーとしては、不純物であるビス−シアノエチルエーテル含有量が0.5質量%以下、好ましくは0.4質量%以下である2−シアノエチル基含有ポリマーを用いる。ここで、ビス−シアノエチルエーテルの含有量は、ガスクロマトグラフィ法に基づく装置を用いて測定できる。ビス−シアノエチルエーテル(NCCHCHO−CHCHCN)は、反応系に存在する水がアクリロニトリルと反応して副生したシアンヒドリン(HOCHCHCN)が、更にアクリロニトリルと反応して生成する副生物である。ビス−シアノエチルエーテルの含有量が0.5質量%を超えると、2−シアノエチル基含有ポリマーからビス−シアノエチルエーテルが電解液に溶け出してセパレータを構成する耐熱性多孔質層の機械的強度が低下して、その結果耐熱性が低下する。また、バインダーの誘電率が低下してセパレータのイオン伝導性が減少するため、電池の負荷特性が低下する問題も生じる。従って、ビス−シアノエチルエーテル含有量が0.5質量%以下の2−シアノエチル基含有ポリマーを耐熱性多孔質層のバインダーとして用いることにより、機械的強度及びイオン電導性に優れた非水電解質電池用セパレータを得ることができる。
【0015】
2−シアノエチル基含有ポリマーは、例えば、下記反応式で示されるようにアクリロニトリルと分子内に水酸基を有するポリマーとのマイケル付加反応によって製造することができる。
Polym−OH+CH=CH−CN → Polym−O−CH−CH−CN
(式中、Polym−OHは水酸基を有するポリマー、Polym−O−CH−CH−CNは2−シアノエチル基含有ポリマーを表す。)
すなわち、2−シアノエチル基含有ポリマー(Polym−O−CH−CH−CN)は、水酸基を有するポリマー(Polym−OH)の水酸基の水素がシアノエチル基(−CH−CH−CN)で置換されたものである。
具体的には、2−シアノエチル基含有ポリマーは、例えば分子内に水酸基を有するポリマーを水に溶解し、水酸基を有するポリマーが均一に溶解するまで混合する。その後、苛性ソーダ、炭酸ナトリウム等の触媒を添加し、水酸基を有するポリマー水溶液と均一になるまで混合する。引き続きアクリロニトリルを添加して、0〜60℃で2〜12時間反応を行うことによって製造される。このように苛性ソーダ、炭酸ナトリウム等の触媒を後添加することにより、アクリロニトリルと水酸基を有するポリマーとの反応が促進され、最終的にアクリロニトリルからビス−シアノエチルエーテルを生成させる副反応が抑制できる。なお、予め水に苛性ソーダ、炭酸ナトリウム等の触媒を溶解させた後、この溶液にポリビニルアルコールを溶解させ、引き続きアクリロニトリルを添加して反応させる方法の場合には、ビス−シアノエチルエーテルの副生が多く、結果的にビス−シアノエチルエーテル含有量が0.5質量%以下の生成物を得ることが困難である。アクリロニトリルは溶剤としての役割も兼ねるが、必要に応じてイソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、アセトン等、アクリロニトリルと反応しない希釈溶剤をさらに添加することもできる。反応終了後、反応液は、水層と2−シアノエチル基含有ポリマーを含む有機層の2層に分かれるが、有機層を取り出し、これに水を加えて生成物を析出させ、析出した粗生成物を大量の水で洗浄したり、再溶解/再析出を繰り返すことにより、ビス−シアノエチルエーテル含有量が0.5質量%以下の2−シアノエチル基含有ポリマーを得ることができる。なお、シアノエチルポリビニルアルコールのような餅状である2−シアノエチル基含有ポリマーの場合、内部に存在する後述の金属塩は30℃よりも温度の高い水を使用して洗浄しないと、不純物として生成物中に多量に残存して所定量まで低減することができないかもしれない。洗浄は、例えば温水洗浄1〜5回、再溶解/再析出のサイクルを1〜5回行うことが好ましく、洗浄に用いる水は、30〜80℃の温度とすることが好ましい。
【0016】
2−シアノエチル基含有ポリマーとしては、例えばシアノエチルプルラン、シアノエチルセルロース、シアノエチルジヒドロキシプロピルプルラン、シアノエチルヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルでん粉等のシアノエチル多糖類や、シアノエチルポリビニルアルコール等を例示することができるが、特にシアノエチルポリビニルアルコールが好ましい。シアノエチルポリビニルアルコールは、無機フィラー同士を接着させる力が強く、また柔軟性のあるバインダーであるため、セパレータを曲げたり、折ったりする際に、割れ等の不良が生じにくいからである。
【0017】
なお、2−シアノエチル基含有ポリマーのシアノエチル化置換率は、30%以上、特に40%以上であることが好ましい。シアノエチル化置換率が30%を下回ると、誘電率が下がって十分なイオン伝導性が発現しない他、溶剤溶解性が悪くなり、耐熱性多孔質層形成に使用されるスラリーの粘度が小さく、多孔性基材表面上にコートする際にダレが生じる場合がある。
シアノエチル化置換率は、出発原料である水酸基を有するポリマーのモノマー単位あたりに存在する水酸基のモル数に対するシアノエチル基で置換された水酸基のモル数の比(%)で表すことができる。をいう。2−シアノエチル基含有ポリマーのシアノエチル化置換率は、ケルダール法により測定した窒素含有量から算出される。また、シアノエチル化置換率は、シアノエチル化ポリマーの製造過程において、苛性ソーダ等の触媒水溶液を後添加することにより、30%以上とすることができる。
【0018】
また、2−シアノエチル基含有ポリマーをN, N−ジメチルホルムアミドに20質量%濃度で溶解した溶液の20℃における粘度は、150〜500mPa・ s、特に200〜400mPa・ s であることが好ましい。上記粘度が150mPa・ sを下回ると、耐熱性多孔質層形成に使用されるスラリー粘度が小さく、多孔性基材表面上にコートする際にダレが大きくなる場合があり、一方500mPa・ sを超えるとスラリー粘度が大きくなりすぎて多孔性基材表面上にコートすることが難しくなる場合がある。
【0019】
2−シアノエチル基含有ポリマー中に含有される金属塩の含有量は、各金属について対応金属の含有量で換算した値の合計が50ppm以下、特に20ppm以下が好ましい。2−シアノエチル基含有ポリマー中の金属含有量は、ICP質量分析装置により測定できる。ここで、金属塩は、原料ポリマーに由来するものの他、触媒である苛性ソーダ又は炭酸ナトリウム等が反応工程の最後に添加される反応停止剤である酸と反応して生成する中和塩をいう。金属は、例えば、Na、Mg、Al、K、Ca、Cr、Fe、Cu、Zn、Pbである。金属塩の含有量が金属換算で合計50ppmを超えると、2−シアノエチル基含有ポリマーから金属塩が電解液に溶け出してセパレータを構成する耐熱性多孔質層の機械的強度が低下し、その結果、電池のサイクル特性が低下する場合がある。金属塩含有量は、2−シアノエチル基含有ポリマーの粗生成物を30℃を超える高温の水で繰り返し洗浄し、任意に再溶解/再析出を繰り返すことにより50ppm以下とすることができる。
【0020】
なお、耐熱性多孔質層形成用のバインダーとしては2−シアノエチル基含有ポリマーを単独で使用してもよいが、必要に応じてエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA、酢酸ビニル由来の構造単位が20〜35モル%のもの)、アクリレート共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタン、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド−トリクロロエチレン、ポリビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド−トリクロロエチレン、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のバインダー樹脂と混合して使用することができる。これらのバインダー樹脂を混合する場合、2−シアノエチル基含有ポリマー100質量部に対し、該バインダー樹脂を10〜1000質量部混合することができる。
【0021】
このような無機フィラーとしては、200 ℃ 以上の融点を有し、電気絶縁性が高く、電気化学的に安定で、電解液や、耐熱多孔質層形成用スラリーに用いる溶媒に安定であれば、特に制限はない。無機フィラーには、例えば、酸化鉄、SiO(シリカ)、Al(アルミナ)、TiO、BaTiO、ZrO、PB(MgNb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、ハフニア(HfO)、SrTiO、SnO、CeO、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO、Y等の無機酸化物微粒子;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機窒化物微粒子;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶微粒子;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶微粒子;タルク、モンモリロナイト等の粘土微粒子;ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト等の鉱物資源由来物質又はリチウムチタンフォスフェ一ト(LixTiy(PO、式中、x及びyは、0<x<2,0<y<3を満たす数である。);又はこれらの組合せ等が挙げられる。
【0022】
前記無機フィラーの粒子径には制限がないが、均一な厚さの耐熱性多孔質層を形成すると共に、適切な空隙率を得るために、平均粒子径が5nm〜5μmであることが好ましく、特に0.01〜1μmであることがより好ましい。ここで、平均粒子径はレーザ回折散乱法に基づく測定装置により測定できる。無機フィラーの直径が5nm未満であれば、無機フィラーの分散性が低下してセパレータの物性を調節し難い場合が有り、5μmを超えると、耐熱性多孔質層の強度が低下し、即ち脆くなり、また表面の平滑性が低下する傾向があり、また同じ固形粉の含有量をもって製造される耐熱性多孔質層が厚くなって機械的な物性が低下してしまう場合がある。
【0023】
耐熱性多孔質層の形成方法は特に制限はないが、例えばバインダーを溶媒に溶かした溶液に、無機フィラーを分散させたスラリーを多孔性基材上にコーティングした後、溶媒を乾燥除去することによって形成することができる。
【0024】
ここで、バインダーを溶かす溶媒としては、バインダーを溶解するものであれば特に制限はないが、例えばアセトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、アセトニトリル、フルフリルアコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、メチルアセトアセテート、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン、γ-ブチルラクトン、プロピレンカーボネート等を使用することができる。溶媒は、バインダー100質量部に対し、例えば300〜5000質量部混合することができる。
【0025】
バインダー溶液に無機フィラーを分散させる方法としては、公知の攪拌機、分散機、粉砕機等を用いることができるが、特にボールミル法であることが好ましい。
【0026】
また、スラリー中の無機フィラーとバインダーの混合組成には特に制限がなく、これにより、最終的に製造される耐熱性多孔層の厚さ、平均気孔径及び気孔度を調節することができるが、耐熱性多孔層中の無機フィラーの含有量は50質量%以上、95質量%以下であることが好ましい。無機フィラーの含有量が50質量%未満であると、耐熱性多孔質層中の気孔の割合が小さくなり電池性能が低下したり、あるいは十分な耐熱性が得られない場合があり、95質量%を超えると、耐熱性多孔質層が脆くなり、取り扱いが難しくなる場合がある。
【0027】
耐熱性多孔質層は気孔を有することによって、イオン伝導経路が確保されるために低抵抗化が可能となる。平均気孔径は、後述の電解液中のリチウムイオンが通過できる大きさであれば特に限定されないが、耐熱性多孔質層の機械的強度の観点から、5nm〜5μm、特に0.1〜3μmが好ましく、気孔度は、5〜95%、特に20〜70%の範囲が好ましい。ここで、平均気孔径は水銀圧入式ポロシメータにより測定できる。一方、気孔度は、無機フィラーの真密度(d)、耐熱性多孔質層の体積(v)及び耐熱性多孔質層の質量(m)を求め、以下の式により算出される。
気孔度(%)={1−m/(vd)}×100
気孔度が5〜95%、平均気孔径が5nm〜5μmの耐熱性多孔質層は、無機粒子の粒子径や無機粒子/バインダー重量比を制御することにより得ることができる。
【0028】
本発明の非水電解質用セパレータは、上記バインダーと無機フィラーを含む耐熱性多孔質層と多孔性基材とを備えるセパレータである。耐熱性多孔質層は、多孔性基材表面の片面あるいは両面に形成されており、その内部に無機フィラー間の空隙に基づく多数の気孔を有する構造を有することが好ましい。耐熱性多孔質層を多孔性基材表面の片面に形成する場合、耐熱性多孔質層は正極側表面あるいは負極側表面のいずれに設けてもよい。
【0029】
多孔性基材としては、特に制限はないが、例えば温度が一定以上上昇すると溶融して多孔性基材に存在する微細孔を閉塞してイオンの移動が阻止されて電流が流れなくなり、電池の過剰な発熱や発火が抑制できる熱可塑性樹脂であればよい。例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、又はこれらの組合せ等の多孔性基材が挙げられる。
多孔性基材は好ましくは膜状であり、その厚さは特に制限されないが、2〜50μm程度が好ましい。厚さが2μm未満だと機械的物性が維持しにくい場合があり、50μmを超えると抵抗層として作用するようになる場合がある。また、多孔性基材の平均気孔径及び気孔度も特に制限はないが、平均気孔径は0.1〜30μm、気孔度は10%〜90%が好ましい。ここで、気孔度は、多孔性基材における気孔の占める体積割合をいう。平均気孔径が0.1μm未満、気孔度が10%未満である場合、イオン伝導性が悪くなる場合があり、平均気孔径が30μm超、気孔度が90%超である場合には機械的強度が低下して基材としての機能を果たせなくなる場合がある。平均気孔径は水銀圧入式ポロシメータにより測定することができる。気孔度は、多孔性基材の真密度(d)、多孔性基材の体積(v)及び多孔性基材の質量(m)を求め、以下の式により算出される。
気孔度(%)={1−m/(vd)}×100
【0030】
前記スラリーを多孔性基材上にコーティングする方法としては、当業界における通常の塗布法を用いることができ、必要とする層厚や塗布面積を実現できる方法であれば特に限定しない。例えば、グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター 法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法等の方式を用いることができる。
【0031】
このようにして得られた本発明のセパレータの全厚みは、特に制限がなく、電池の性能を考慮して調節すればよいが、正極と負極とをより確実に隔離する観点から、2〜55μmの範囲であることが好ましい。
【0032】
次に、本発明の非水電解質電池は、正極、負極、前記セパレータ及び電解液を備えてなる。具体的には、正極と負極の間にセパレータを配置し、これに電解液を含浸させることによって非水電解質電池を作製することができる。耐熱性多孔質層を多孔性基材の片面にのみに備えるセパレータを用いる場合、耐熱性多孔質層を備える面を正極側、負極側のいずれに位置するようにセパレータを配置してもよい。本発明の非水電解質電池としては、具体的にリチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池又はリチウムイオンポリマー二次電池等を含むリチウム二次電池が好適に挙げられる。
【0033】
本発明に係るセパレータと共に適用される電極は一般にバインダーを溶かした溶液に電極活物質及び導電助剤を分散させたものを電極電流集電体に塗布することによって製造される。
【0034】
正極活物質として、Li1+xMO(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mn、Al、Mg、Zr、Ti、Sn等)の一般式で代表される層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物、LiMnやその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムマンガン酸化物、LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Fe等)で表されるオリビン型化合物等を用いることが可能である。前記層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物の具体例としては、LiCoOやLiNi1−xCox−yAl(0.1≦x≦0.3、0.01≦y≦0.2)等のほか、少なくともCo、Ni及びMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiMn5/12Ni5/12Co1/6、LiNi3/5Mn1/5Co1/5等)等を例示することができる。
【0035】
また、負極活物質としては、リチウム金属、リチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、リチウムを吸蔵・放出できる炭素質材料、黒鉛、フェノール樹脂、フラン樹脂等のコークス類、炭素繊維、ガラス状炭素、熱分解炭素、活性炭等を例示することができる。
【0036】
正極電流集電体としては、アルミニウム、ニッケル又はこれらの組合せにより製造される箔等が用いられ、負極電流集電体としては、銅、金、ニッケル、銅合金又はこれらの組合せにより製造される箔等が用いられる。
【0037】
電極活物質を用いて電極を作製する際に用いられる導電助剤としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、アルミニウム、ニッケル等の金属繊維、天然黒鉛、熱膨張黒鉛、炭素繊維、酸化ルテニウム、酸化チタン等が用いられる。これらの中でも、少量の配合で所望の導電性を確保できるアセチレンブラック、ケッチェンブラックが好ましい。
【0038】
また、導電助剤と共に用いられるバインダーとしては、公知の各種バインダーを用いることができ、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、フルオロオレフィン共重合体架橋ポリマー、スチレンーブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。該バインダーは、溶剤に溶かしたものを用いても良く、溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等が挙げられる。
【0039】
電解液としては、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液が用いられる。リチウム塩としては、溶媒中で解離してLiイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解等の副反応を起こしにくいものであれば特に制限は無い。例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF等の無機リチウム塩、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiCnF2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO(式中、Rfはフルオロアルキル基を表す)等の有機リチウム塩等を用いることができる。好ましいリチウム塩は、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiCFSO、Li(CFSONである。
【0040】
電解液に用いる有機溶媒としては、上記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解等の副反応を起こさないものであれば特に制限はない。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状炭酸エステル、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、又はこれらの混合物が例示できるがこれに限定されることはない。環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルとの混合物を用いる場合、環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルとの体積比は、誘電率と粘性の最適化の観点から4:1〜1:4であることが好ましい。
【0041】
本発明の非水電解質電池の形態としては、スチール缶、アルミニウム缶等を外装体(外装缶)として使用した角筒形や円筒形等の筒形が挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[合成例1]
30質量部の重合度1200のポリビニルアルコールを120質量部の水に溶解し、次に12.5質量%の苛性ソーダ水溶液100質量部を添加し、その後150質量部のアクリロニトリル及び120質量部のイソプロピルアルコールを加え、30℃で5時間反応させた。次に苛性ソーダと同モルの酢酸を含んだ25質量%の酢酸水溶液を加えて、中和後、攪拌下で水を添加して、粗シアノエチルポリビニルアルコールを析出させた。粗シアノエチルポリビニルアルコールは50℃の温水200質量部で3回洗浄後、アセトン80質量部に溶解させ、攪拌下、水を添加してシアノエチルポリビニルアルコールを析出させた。このような温水洗浄及び再溶解/再析出の操作を4回繰り返して精製し、その後、乾燥してシアノエチルポリビニルアルコールを得た。
【0043】
[合成例2]
120質量部のアクリロニトリルを使用する以外は合成例1と同様にしてシアノエチルポリビニルアルコールを得た。
【0044】
[合成例3]
重合度1000のポリビニルアルコールを使用する以外は合成例1と同様にしてシアノエチルポリビニルアルコールを得た。
【0045】
[合成例4]
重合度1400のポリビニルアルコールを使用する以外は合成例1と同様にしてシアノエチルポリビニルアルコールを得た。
【0046】
[合成例5]
予め水と苛性ソーダ水溶液を混合したものに、ポリビニルアルコールを添加し、溶解させた後、アクリルニトリル及びイソプロピルアルコールを加える以外は、合成例1と同様にしてシアノエチルポリビニルアルコールを得た。
【0047】
[合成例6]
20℃の水で洗浄を行い、洗浄及び再溶解/再析出の操作を2回繰り返す以外は合成例5と同様にしてシアノエチルポリビニルアルコールを得た。
【0048】
合成例1〜6で得られたシアノエチルポリビニルアルコールについて、ビス−シアノエチルエーテル含有量、金属塩の含有量を対応金属の含有量で換算した値及び粘度を以下の測定により測定した。また、シアノエチル化置換率は、ケルダール法にて窒素含有量を求め、この分析値から求めた。結果を表1に示す。
(a)ビス−シアノエチルエーテル含有量
ガスクロ分析法で測定した。
(b)金属塩の含有量を対応金属の含有量で換算した値
ICP質量分析装置(島津製作所社製)により、Na、Mg、Al、K、Ca、Cr、Fe、Cu、Zn、Pbの含有量の総量を求めた。
(c)粘度
B型粘度計(東京計器社製)(ローター:No2、ローター回転数:30rpm)を用いて、ジメチルホルムアミドに20質量%濃度で溶解した溶液の20℃における粘度を測定した。
【0049】
【表1】

【0050】
[実施例1]
<電池の製造>
以下の方法により得られた正極と負極とをセパレータを介して渦巻状に巻回して巻回電極体とした。この巻回電極体を押しつぶして扁平状にし、アルミニウム製外装缶に入れ、電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを2:1の体積比で混合した溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を濃度1mol/lで溶解させた溶液)を注入した後に封止を行って、リチウムイオン二次電池を作製した。
(a)セパレータの製造
合成例1のシアノエチルポリビニルアルコール10質量部をメチルエチルケトン190質量部に溶解させた溶液にAl(アルミナ)40質量部を添加し、ボールミルで混合し、スラリーを調整した。調整されたスラリーはディップコーティング法でポリエチレン製多孔膜(厚み16μm、気孔度(空孔率)40%)の両面にコートし、乾燥してセパレータを作製した。乾燥後の耐熱性多孔質層の厚さは5μmであった。セパレータの耐熱性多孔質層の平均気孔径は0.6μmであり、気孔度は65%であった。ここで、平均気孔径は、水銀圧入式ポロシメータ(Quantachrome社製)を用いて測定した。気孔度は、無機フィラーの真密度、耐熱多孔層の体積及び耐熱多孔層の質量を求め、上述の式により気孔度を算出した。
(b)正極の製造
正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO)85質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック10質量部と、バインダーであるフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部とを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)100質量部を溶剤として均一になるように混合して正極合剤含有ペーストを調製した。この正極合剤含有ペーストを、アルミニウム箔からなる厚さ15μmの集電体の両面に、塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って全厚が150μmの正極を作製した。更にこの正極のアルミニウム箔の露出部にアルミニウム製のタブを溶接してリード部を形成した。
(c)負極の製造
負極活物質である黒鉛95質量部とバインダーであるPVDF5質量部とを、NMP100質量部を溶剤として均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製した。この負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の両面に塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って全厚142μmの負極を作製した。更にこの負極の銅箔の露出部にニッケル製のタブを溶接してリード部を形成した。
【0051】
[実施例2]
合成例1のシアノエチルポリビニルアルコール10質量部の代わりに合成例1のシアノエチルポリビニルアルコール5質量部とポリビニリデンフルオライド‐クロロトリフルオロエチレン共重合体5質量部の混合物を使用してセパレータを製造する以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。セパレータの耐熱性多孔質層の平均気孔径は0.4μmであり、気孔度は55%であった。
【0052】
[実施例3]
電解液としてエチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート:ジエチルカーボネートを1:2:1の体積比で混合した溶媒にLiPFを濃度1mol/lで溶解させた溶液を使用する以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。セパレータの耐熱性多孔質層の平均気孔径は0.3μmであり、気孔度は63%であった。
【0053】
[実施例4]
ポリエチレン製多孔膜を使用する代わりにポリエチレンテレフタレート製多孔膜(厚み20μm、空孔率70%)を使用し、Al(アルミナ)の代わりに窒化アルミニウムを使用してセパレータを製造する以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。セパレータの耐熱性多孔質層の平均気孔径は0.5μmであり、気孔度は65%であった。
【0054】
[実施例5]
合成例2のシアノエチルポリビニルアルコールを使用してセパレータを製造する以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。セパレータの耐熱性多孔質層の平均気孔径は1.3μmであり、気孔度は58%であった。
【0055】
[実施例6]
合成例3のシアノエチルポリビニルアルコールを使用してセパレータを製造する以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。セパレータの耐熱性多孔質層の平均気孔径は0.2μmであり、気孔度は45%であった。
【0056】
[実施例7]
合成例4のシアノエチルポリビニルアルコールを使用してセパレータを製造する以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。セパレータの耐熱性多孔質層の平均気孔径は0.8μmであり、気孔度は62%であった。
【0057】
[比較例1]
合成例5のシアノエチルポリビニルアルコールを使用してセパレータを製造する以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。セパレータの耐熱性多孔質層の平均気孔径は0.6μmであり、気孔度は48%であった。
【0058】
[比較例2]
合成例6のシアノエチルポリビニルアルコールを使用してセパレータを製造する以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。セパレータの耐熱性多孔質層の平均気孔径は0.4μmであり、気孔度は64%であった。
【0059】
<電池の評価>
(a)耐熱性評価
作製されたリチウムイオン二次電池を150℃及び180℃の条件下で1時間放置した時の状況を調べた。評価は、電池として正常に駆動したものを「○」、ショートにより電池として正常に駆動しなかったものを「×」として行った。結果を表2に示す。実施例1〜7の電池はいずれも電池として正常に駆動したのに対し、比較例1及び2の電池は180℃で1時間放置すると、ショートにより電池として正常に駆動しなかった。これは、比較例1及び2の電池では、耐熱性多孔質層の耐熱性が十分ではないため、ポリエチレン製多孔膜が高温となって、溶融、収縮し、内部ショートが生じた結果と考えられる。
【0060】
(b)負荷特性評価
作製されたリチウムイオン二次電池について0.2Cの電流値で電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電を行い、次いで、4.2Vでの定電圧充電を行う定電流−定電圧充電を行った。充電終了までの総充電時間は15時間とした。充電後の各電池を、0.2Cの放電電流で、電池電圧が3.0Vになるまで放電させて放電容量(0.2C放電容量)を測定した。
次に、各電池について、前記と同じ条件で充電を行った後、2Cの放電電流で、電池電圧が3.0Vになるまで放電させて放電容量(2C放電容量)を測定し、各電池の0.2C放電容量に対する2C放電容量の割合(負荷特性)を調べた。なお、前記の充電及び放電は、全て温度が20℃の環境下で実施した。結果を表2に示す。
実施例1〜7で作製されたリチウムイオン二次電池は、85%を超える高い負荷特性を示した。これは、ビス−シアノエチルエーテル含有量が少なく誘電率の高いシアノエチルポリビニルアルコールをバインダーとしたセパレータを使用しているため、イオン伝導性が良好で内部抵抗による電圧降下を抑制しているためと考えられる。しかし、比較例1及び2で作製されたリチウムイオン二次電池は、負荷特性が75%以下と比較的低い値を示した。これは、比較例1及び2の電池ではビス−シアノエチルエーテル含有量が多く、誘電率の低いシアノエチルポリビニルアルコールをバインダーとしたセパレータを使用しているため、イオン伝導性が遅く負荷特性が悪かったと考えられる。
【0061】
(c)サイクル特性評価
リチウムイオン二次電池について、充放電測定装置(北斗電工社製、HJ−101SM6)を使用し、充放電を100サイクル繰り返した。この充放電の条件として、充電については、1.6mA/hで4.2Vまでの充電を行い、放電については1.6mA/hで2.75Vまでの放電を行った。そして、1サイクル目の放電容量と100サイクル目の放電容量から、サイクル特性を以下の式により算出した。
サイクル特性(%)=(100サイクル目の放電容量)÷(1サイクル目の放電容量)×100
サイクル特性が80%以上であれば良好「○」と評価し、80%未満であれば不良「×」と判断した。実施例1〜7及び比較例1で作製されたリチウムイオン二次電池のサイクル特性は80%以上であり、良好であった。この要因は明確ではないが、金属塩の含有量の少ないシアノエチルポリビニルアルコールをバインダーとしたセパレータを使用しているため、電極上に金属塩が原因となる電解液・電極間物質が成長しなかったためではないかと考えられる。比較例2で作製されたリチウムイオン二次電池は、サイクル特性が悪く、80%未満であった。これは、比較例1のリチウムイオン二次電池は金属塩の含有量の多いシアノエチルポリビニルアルコールをバインダーとしたセパレータを使用しているためである可能性がある。
【0062】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物としてビス−シアノエチルエーテルの含有量が0.5質量%以下である2−シアノエチル基含有ポリマーを含む非水電解質電池セパレータ用バインダー。
【請求項2】
前記2−シアノエチル基含有ポリマー中の金属塩の含有量が金属換算で50ppm以下である請求項1に記載の非水電解質電池セパレータ用バインダー。
【請求項3】
前記2−シアノエチル基含有ポリマーが、シアノエチルポリビニルアルコールである請求項1又は2に記載の非水電解質電池セパレータ用バインダー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のバインダーと無機フィラーを少なくとも含む耐熱性多孔質層と、多孔性基材とを少なくとも備える非水電解質電池用のセパレータ。
【請求項5】
前記多孔性基材が、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、又はこれらの組合せの基材である請求項4に記載のセパレータ。
【請求項6】
前記無機フィラーが、無機酸化物、無機窒化物、難溶性イオン結晶、共有結合性結晶、粘土、鉱物資源由来物質、リチウムチタンフォスフェ一ト(LixTiy(PO、式中、x及びyは0<x<2,0<y<3を満たす数である。)及びこれらの組合せからなる群から選択される請求項4又は5に記載のセパレータ。
【請求項7】
正極、負極、請求項4〜6のいずれかに記載のセパレータ及び電解液を備える非水電解質電池。
【請求項8】
前記電解液が、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートから選択される環状炭酸エステルと、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートから選択される鎖状炭酸エステルと、リチウム塩とを含む請求項7に記載の非水電解質電池。

【公開番号】特開2012−227136(P2012−227136A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−86345(P2012−86345)
【出願日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【出願人】(591222005)松垣薬品工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】