説明

2層シートを有する合成樹脂成形品

【課題】アニーリングをすることなく熱伸縮の差によりそりの生じにくい、合成樹脂シートを一体化して成形した合成樹脂成形品を提供すること。
【解決手段】金型表面に隣接して合成樹脂シートを装填した後、金型内に溶融樹脂を射出して、該合成樹脂シートを溶着接合してなる合成樹脂成形品1であって、少なくとも片面にインク膜層21が形成された第1の合成樹脂シート20と;第1の合成樹脂シート20が第1の面10aに溶着接合された合成樹脂板10と;合成樹脂板10の第1の面10aと表裏の関係の第2の面10bに溶着接合された第2の合成樹脂シート30とを備える合成樹脂成形品1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂シートを一体化して成形する合成樹脂成形品に関し、特に、2層の合成樹脂シートを有する合成樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の計器盤や家電製品のパネル等では、計器盤やパネルの裏側から光を当て、前面から文字や模様を明るく見えやすくすること(以降、「バックライティング」という)が多く行われている。バックライティングの文字や模様は、合成樹脂成形品に印刷し、あるいは、文字や模様を印刷した合成樹脂シートを貼り付けることによって製作されている。この内、文字や模様を印刷した合成樹脂シートを合成樹脂成形品に貼り付けて製作することが、製作コスト等の観点からは優位であった。そこで、文字や模様を印刷した合成樹脂シートを金型に装填し、溶融樹脂を射出して一体に成形することにより、効率よく、美麗なバックライティング可能な合成樹脂成形品を製造することが行われている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
合成樹脂シートを一体化して成形した合成樹脂成形品においては、合成樹脂本体と合成樹脂シートとの材質が異なるのが一般的であり、その射出成型後の熱伸縮の差により、バイメタルと同様なそりが生じてしまうという問題があった。そこで、合成樹脂成形品の製作後にアニーリングを施し、熱伸縮によるそりを矯正することも行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−178362号公報(第4、5ページ、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アニーリング工程は時間を要するため、アニーリング工程が入ることにより合成樹脂成形品の製造効率が低下し、また、アニーリング工程が合成樹脂成形品の生産性のボトルネックとなることもあった。
【0006】
そこで、本発明は、アニーリングをすることなく熱伸縮の差によるそりの生じにくい、合成樹脂シートを一体化して成形した合成樹脂成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る合成樹脂成形品は、たとえば図1に示すように、金型表面に隣接して合成樹脂シートを装填した後、金型内に溶融樹脂を射出して、該合成樹脂シートを溶着接合してなる合成樹脂成形品1であって、少なくとも片面にインク膜層21が形成された第1の合成樹脂シート20と;第1の合成樹脂シート20が第1の面10aに溶着接合された合成樹脂板10と;合成樹脂板10の第1の面10aと表裏の関係の第2の面10bに溶着接合された第2の合成樹脂シート30とを備える。
【0008】
このように構成すると、合成樹脂板の両面に合成樹脂シートが溶着接合されているので、合成樹脂板と合成樹脂シートとの熱伸縮の差によるそりを生じさせる力は、両面の合成樹脂シートで打ち消しあい、熱伸縮の差によるそりの生じにくい合成樹脂成形品となる。
【0009】
また、本発明の第2の態様に係る合成樹脂成形品は、たとえば図3に示すように、第1の態様に係る合成樹脂成形品2において、第1の合成樹脂シート22は第1の面の全面を覆い;第2の合成樹脂シート32は、合成樹脂板12のたわみ易い部分を含む、第2の面の一部を覆う。
このように構成すると、第2の合成樹脂シートが合成樹脂板のたわみやすい部分を含む、第2の面の一部を覆うだけであるので、第2の合成樹脂シートの使用量を減らすことができ、経済的に優れた合成樹脂成形品となる。それでも、第2の合成樹脂シートが合成樹脂板のたわみやすい部分を覆っているので、熱伸縮の差によりそりの生じにくい合成樹脂成形品である。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係る合成樹脂成形品は、第1または第2の態様に係る合成樹脂成形品において、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートとが、同じ素材で形成される。
このように構成すると、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートとが同じ素材で形成されるので、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートとの間に熱伸縮の差が生じることがなく、熱伸縮の差によるそりが、さらに生じにくい合成樹脂成形品となる。
【0011】
また、本発明の第4の態様に係る合成樹脂成形品は、第3の態様に係る合成樹脂成形品において、合成樹脂板が、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートとの素材と異なる素材で形成される。
このように構成すると、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートとが同じ素材で形成され、合成樹脂板が異なる素材で形成されるが、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートとの間に熱伸縮の差が生じることがなく、熱伸縮の差によるそりが生じにくい合成樹脂成形品となる。
【0012】
また、本発明の第5の態様に係る合成樹脂成形品は、第4の態様に係る合成樹脂成形品において、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートとの素材がポリカーボネートであり;合成樹脂板の素材がABS樹脂である。
このように構成すると、合成樹脂板の素材がABS樹脂であるので、低温で成形可能であり、合成樹脂シートに成形されたインク膜層のインク流れを生じることがない。また、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートとの素材がポリカーボネートであるので、透明性や強度に優れ、バックライティング用に適し、かつ、傷つきにくい合成樹脂成形品となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、合成樹脂成形品は、金型表面に隣接して合成樹脂シートを装填した後、金型内に溶融樹脂を射出して、該合成樹脂シートを溶着接合してなる合成樹脂成形品であって、少なくとも片面にインク膜層が形成された第1の合成樹脂シートと、第1の合成樹脂シートが第1の面に溶着接合された合成樹脂板と、合成樹脂板の第1の面と表裏の関係の第2の面に溶着接合された第2の合成樹脂シートとを備えるので、熱伸縮の差によるそりの生じにくい合成樹脂成形品となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態としての合成樹脂成形品の断面図である。
【図2】本発明に係る合成樹脂成形品を製造する工程を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態としての合成樹脂成形品の図で、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は(a)あるいは(b)におけるc−c断面図である。
【図4】第2の合成樹脂シートの形状の例を示す合成樹脂成形品の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する装置には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態としての合成樹脂成形品1の断面図である。合成樹脂成形品1は、合成樹脂成形板10と、合成樹脂成形板10の第1の面(図1の上面)10aに溶着接合された第1の合成樹脂シート20と、合成樹脂成形板10の第1の面10aと表裏の関係にある第2の面(図1の下面)10bに溶着接合された第2の合成樹脂シート30とを備える。第1の合成樹脂シート10の少なくとも1面にインク膜層21が形成されている。なお、図1では、インク膜層21は、破線で図示しているが、連続した膜層であるのが一般的であり、あるいは、部分的に形成されていてもよい。
【0017】
合成樹脂成形品1では、インク膜層21は第1の合成樹脂シート20の合成樹脂成形板10と溶着接合される面(図1の下面)に形成されているが、表面側(図1の上面)に形成されてもよい。さらに、インク膜層21は第1の合成樹脂シート20にだけ形成されているが、第2の合成樹脂シート30にも形成されてもよい。
【0018】
ここで図2のフローチャートを参照して、合成樹脂成形品1の製造方法を説明する。第1の金型としての上金型に第1の合成樹脂シート20を装填する(S10)。この場合、第1の合成樹脂シート20が金型内でずれないようにピン等で固定するのが好ましい。第1の合成樹脂シート20には、金型への装填前にインク膜層21が形成され、合成樹脂成形品1を所望の外観とする。インク膜層21は、第1の合成樹脂シート20が透明の場合には、金型と接する側に配置すると、合成樹脂成形品1となったときに第1の合成樹脂シート20の裏面側となり、インク膜層21の損傷を抑えることができるので、好ましい。第1の合成樹脂シート20が不透明の場合には、金型と接しない側、すなわち表面側に配置し、合成樹脂成形品1となったときに視認できるようにする。なお、「透明」とは半透明を含み、「不透明」とは遮光することで半透明を含まない。
【0019】
第2の金型としての下金型に第2の合成樹脂シート30を装填する(S12)。第1の合成樹脂シート20の装填と、第2の合成樹脂シート30の装填とは、同時でも、あるいは、いずれが先でもよい。合成樹脂板10が透明の場合、あるいは、合成樹脂成形品1が両面から視認されるような場合には、第2の合成樹脂シート30にインク膜層を形成してもよい。なお、ここでは、第1の金型としての上金型、第2の金型として下金型を用いるものとして説明するが、第1の金型としての下金型、第2の金型として上金型を用いてもよい。
【0020】
上金型、下金型に第1の合成樹脂シート20、第2の合成樹脂シート30を装填した後、上金型と下金型とを組み合わせる(S14)。上金型と下金型とで囲まれた空洞部が、合成樹脂板10を射出成形するための空間となる。
【0021】
空洞部に溶融樹脂を射出し、合成樹脂板10を射出成形する(S16)。射出成形は周知の方法でよい。上金型と下金型に予め合成樹脂シート20、30を装填して、射出成形することにより合成樹脂シート20、30が一体化して成形された合成樹脂成形品1が製造される。
金型内の空洞部に射出された溶融樹脂を冷却固化する(S18)。溶融樹脂が冷却固化することにより、合成樹脂板10となり、合成樹脂成形品1が完成する。
【0022】
第1の合成樹脂シート20および第2の合成樹脂シート30の素材としては、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PC/PETブレンド、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)等のシートが好ましいが、これらには限定されない。ただし、バックライティング用に用いる場合には、第1の合成樹脂シート20および第2の合成樹脂シート30の素材としては、透明な合成樹脂シートを用いるのがよい。合成樹脂板10の素材としては、ポリカーボネート、アクリル、ABS樹脂、ポリプロピレン(PP)など任意の樹脂でよいが、バックライティング用には透明な樹脂がよい。
【0023】
なお、合成樹脂板10を射出成形する際に、予め金型に装填された第1および第2の合成樹脂シート20、30が溶融したり軟化したりしないことが好ましく、合成樹脂板10の素材と第1および第2の合成樹脂シート20、30の素材とは異なるのが一般的である。好適な組合せの一例として、第1および第2の合成樹脂シート20、30の素材としてガラス転移温度Tが146℃のポリカーボネートを用い、合成樹脂板10の素材としてガラス転移温度Tが97℃のABS樹脂を用いる。合成樹脂板10の素材として用いるABS樹脂のガラス転移温度Tが97℃と低いので、第1の合成樹脂シート20に、場合によっては第2の合成樹脂シート30にも形成したインク膜層21のインク流れが生じにくく、好適である。また、低温であるので、ポリカーボネートを素材とする第1の合成樹脂シート20および第2の合成樹脂シート30の透明性(ヘイズ)に悪影響を与えることもない。
【0024】
第1の合成樹脂シート20、第2の合成樹脂シート30と射出される溶融樹脂との素材が異なるために、冷却による熱収縮に差が生じ、合成樹脂成形品1にそりが生じうる。異なる材料では、熱膨張率が異なるのが一般的だからである。いわゆるバイメタルと同様なそりである。また、異なる素材を用いるために荷重たわみ温度が異なり、成形後のアニーリング処理も施しにくい。しかし、合成樹脂成形品1では、合成樹脂板10の両面に第1および第2の合成樹脂シート20、30が溶着接合されているので、合成樹脂板10の片側の面にのみ引張りあるいは収縮が生じることがない。熱伸縮による引張りあるいは収縮は両面に生じるので、バイメタルと同様なそりは生じない、あるいは、低減される。
【0025】
図3は、本発明の実施の形態としての合成樹脂成形品2の図で、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は(a)あるいは(b)におけるc−c断面図である。合成樹脂成形品2では、合成樹脂板12の上面に第1の合成樹脂シート22が、下面に第2の合成樹脂シート32が溶着接合されている。合成樹脂成形品2は全体として、矩形の合成樹脂板12に楕円形の孔14が形成された形状を有する。たとえば、自動車の計器用として、孔14の周囲に目盛を印刷し、孔14の部分に可動な針をはめ込んでもよい。この場合、合成樹脂成形品2は上面側から視認されるように使用するのが好ましい。なお、矩形の合成樹脂板12は平板ではなく、曲率を持った板であってもよい。
【0026】
図3(a)からも分かるように、第1の合成樹脂シート22は合成樹脂板12の上面の全面を覆っている。バックライティング用として用いる場合に、第1の合成樹脂シート22には、合成樹脂板12に溶着接合する前にインク膜層(不図示)を形成することで、所望の色彩、模様、文字を印刷することができる。また、第1の合成樹脂シート22の上面(合成樹脂板12と溶着接合される面とは反対の面)にハードコート層を形成することにより、傷つきにくい合成樹脂成形品2を製造することができる。
【0027】
図3(b)を参照すると、第2の合成樹脂シート32は合成樹脂板12の下面の全面を覆ってはいない。すなわち、第2の合成樹脂シート32は、細長い矩形形状を有して、矩形の合成樹脂板12の長手方向の辺に沿って配置される。
【0028】
ここで、合成樹脂板12、すなわち合成樹脂成形品2の形状から、第1の合成樹脂シート22あるいは第2の合成樹脂シート32と合成樹脂板12との熱伸縮の差により生じる可能性のあるそりについて検討する。合成樹脂板12は均一な板厚を有している。合成樹脂板12は図3(b)で横方向が長手方向となる矩形である。そして、中央に孔14が形成されている。よって、図3(b)における孔14の上下部分が最も幅の狭い部分となる。すなわち、たわみ易い部分となる。したがって、合成樹脂成形品2は、孔14の上下部分がたわむことにより、合成樹脂成形品2の長手方向の端部が図3(a)、(b)の面外方向に変形するそりを生ずる可能性がある。
【0029】
そこで、図3(b)に示すように、孔14の上下部分を合成樹脂板12の長手方向に覆うように第2の合成樹脂シート32を配置する。孔14の上下部分のたわみ易い部分においては、合成樹脂板12の上下両面に第1の合成樹脂シート22と第2の合成樹脂シート32とが配置され、合成樹脂成形品1で説明したように、熱伸縮の差によるそりが抑えられる。このように、第2の合成樹脂シート32を、たわみ易い部分を含んで、合成樹脂板12の一部だけを覆うようにしても、熱伸縮の差によるそりの生じにくい合成樹脂成形品2となる。ここで、たわみ易い部分とは、合成樹脂成形品2として、合成樹脂板12と、第1および第2の合成樹脂シート22、32との熱伸縮の差によりそりを生ずるとしたら、そのそりを生ずるための応力が集中する部分であり、孔14の周囲、幅が細くなっている部分、板圧の薄くなっている部分などである。たわみ易い部分を含む一部とは、たわみ易い部分とその周辺を含んだ部分をいう。
【0030】
第2の合成樹脂シート32を合成樹脂板12の一部だけを覆うようにすることにより、第2の合成樹脂シート32の使用量を減らすことができる。よって、コストの低減に寄与できる。なお、合成樹脂成形品2を上面(第1の合成樹脂シート22側)から視認するようにすれば、第2の合成樹脂シート32が合成樹脂板12の一部だけしか覆わなくても、外観が悪くなることもなく、また、傷つきやすくなるなど、強度的に落ちるということもない。
【0031】
図4は、図3と同じ形状の合成樹脂成形品3、4を製造するときの、第2の合成樹脂シート33、34の形状の変形例を示す図である。図4(a)は、図3より幅を広げた第2の合成樹脂シート33を示す。第2の合成樹脂シート33の幅を広げることにより、孔14と重なってしまうので、孔14に対応する部分を孔14の形状に合わせて削除している。図3(b)に示す第2の合成樹脂シート32より幅が広がった分、熱伸縮の差によるそりを抑える効果が向上する。図4(b)は、図4(a)に示す第2の合成樹脂シート33の孔14に対応する部分を、孔14の形状に合わせて削除する代わりに、直線で凹形状に削除している。このように削除することで、第2の合成樹脂シート34の形状の加工が容易となり、また、合成樹脂板12への溶着接合の際の位置合せも容易となる。
【0032】
これまでの説明では、第1の合成樹脂シート22は合成樹脂板12の全面を覆うものとしたが、用途によっては、第1の合成樹脂シート22は合成樹脂板12の全面を覆わなくてもよい。
【0033】
また、これまでの説明では、合成樹脂成形品2、3、4のたわみ易い部分は、一箇所(詳細には、孔14の上下対称な2箇所)としているが、合成樹脂成形品2、3、4に複数のたわみ易い部分を認定し、各部分に第2の合成樹脂シート32、33、34を溶着接合する構造としてもよい。たとえば、図2で孔14の左右の部分にも第2の合成樹脂シート32、33、34を溶着接合してもよい。あるいは、第2の合成樹脂シート32、33、34は、その他の部分にも溶着接合されてもよい。
【0034】
また、これまでの説明では第2の合成樹脂シート32、33、34を合成樹脂板12の一部を覆うものとして説明したが、第1の合成樹脂シート22と同様に、合成樹脂板12の全面を覆ってもよい。第2の合成樹脂シート32、33、34で合成樹脂板12の全面を覆うことにより、2番目、3番目等のたわみ易い部分においても熱伸縮の差によるそりが生じることがない。なお、突起部、切欠き部等の小さな部分については第2の合成樹脂シート32、33、34で覆っていなくても、実質的にそりが生ずることはなく、影響はない。
【0035】
本発明に係る合成樹脂成形品1〜4において、製造後にアニーリングを施してもよい。この場合、アニーリングを、残留応力が軽減し形状を安定化させる目的のほか、荷重たわみ温度や機械的性質を向上させるなどの目的で行う場合もある。
【符号の説明】
【0036】
1、2、3、4 合成樹脂成形品
10、12 合成樹脂板
10a、10b 合成樹脂板の第1、第2の面
14 孔
20、22 第1の合成樹脂シート
21 インク膜層
30、32、33、34 第2の合成樹脂シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型表面に隣接して合成樹脂シートを装填した後、金型内に溶融樹脂を射出して、該合成樹脂シートを溶着接合してなる合成樹脂成形品であって、
少なくとも片面にインク膜層が形成された第1の合成樹脂シートと;
前記第1の合成樹脂シートが第1の面に溶着接合された合成樹脂板と;
前記合成樹脂板の前記第1の面と表裏の関係の第2の面に溶着接合された第2の合成樹脂シートとを備える;
合成樹脂成形品。
【請求項2】
前記第1の合成樹脂シートは前記第1の面の全面を覆い;
前記第2の合成樹脂シートは、前記合成樹脂板のたわみ易い部分を含む、前記第2の面の一部を覆う;
請求項1に記載の合成樹脂成形品。
【請求項3】
前記第1の合成樹脂シートと前記第2の合成樹脂シートとが、同じ素材で形成される;
請求項1または請求項2に記載の合成樹脂成形品。
【請求項4】
前記合成樹脂板が、前記第1の合成樹脂シートと前記第2の合成樹脂シートとの素材と異なる素材で形成される;
請求項3に記載の合成樹脂成形品。
【請求項5】
前記第1の合成樹脂シートと前記第2の合成樹脂シートとの素材がポリカーボネートであり;
前記合成樹脂板の素材がABS樹脂である;
請求項4に記載の合成樹脂成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−83954(P2011−83954A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238117(P2009−238117)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(392010267)株式会社サカイヤ (24)
【Fターム(参考)】