説明

2次元コード及び該2次元コードによる情報検証システム並びに情報検証方法

【課題】 本発明の目的は、身分証明書やクレジットカード等の物品について、本人確認が可能であるとともに、偽造防止への対応がなされた2次元コード及び該2次元コードによる情報検証システム並びに情報検証方法を提供する。
【解決手段】 暗色及び明色の単位セルがマトリクス状に配列された2次元コード1であって、2次元コード1を構成する単位セルはn×m(但しn、mは自然数)に縦横に配列されるドットからなり、暗色の単位セル3には、ドットを連ねた線パターンが形成され、線パターンは第一の線パターン61と、第一の線パターン61に重ならずに配置される第二の線パターン62とが設けられ、第二の線パターン62の集合により文字または図形63が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2次元コード及び該2次元コードによる情報検証システム並びに情報検証方法に係り、特に、2次元コードに格納される一般情報に加えて、2次元コードの真偽を判定するための透かし情報が埋め込まれた2次元コード及び該2次元コードによる情報検証システム並びに情報検証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、店舗での買い物や施設利用の際に、会員カードを提示してサービスポイントの提供を受けたり、施設利用の許可を得ることが行われている。従来では、特に本人確認等を行うことなく、カードの使用がなされていた。
このため、第三者が拾得して不正に使用した場合であっても、本人かどうかを見分けることができず、そのまま使用を許可してしまうという問題があった。
【0003】
なお、クレジットカードを用いて商品購入等を行う場合は、提示したクレジットカードが本人のものであると認証する必要があるため、認証の方法として、自筆のサインを示すことが一般的に行われている。
しかし、このように自筆のサインを示すものであっても、クレジットカードが拾得されて不正に使用された場合、クレジットカードに書かれた筆跡を真似されてしまったり、或いはクレジットカードのサイン部分を改竄されてしまうと、正規のサインかどうかを、商品提供者が完璧に見極めることは困難であった。
このため、カードに本人の顔写真を組み込み、この顔写真により認証を行う方法が知られている。しかし、顔写真の部分を改竄された場合には、対応することができなかった。
或いは、本人専用の認証コードをクレジットカードに登録しておき、カード使用時に、前記認証コードをユーザに問い合わせることにより、本人の認証を行うシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−99855号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の技術では、ユーザが口頭で認証コードを回答する構成であるため、第三者が付近にいた場合、第三者に認証コードが知られてしまうおそれがあった。
また、カードが拾得されて解析され、認証コードが割り出されてしまった場合は、カードの不正使用を防止することができなかった。、
【0006】
本発明の目的は、身分証明書やクレジットカード等の物品について、本人確認が可能であるとともに、偽造防止への対応がなされた2次元コード及び該2次元コードによる情報検証システム並びに情報検証方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、かばん,衣類,電気製品等の物品について、本物であるか否かの判断を可能とする2次元コード及び該2次元コードによる情報検証システム並びに情報検証方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の請求項1に係る2次元コードによれば、暗色及び明色の単位セルがマトリクス状に配列された2次元コードであって、前記2次元コードを構成する単位セルはn×m(但しn、mは自然数)に縦横に配列されるドットからなり、前記暗色の単位セルには、前記ドットを連ねた線パターンが形成され、前記線パターンは第一の線パターンと、前記第一の線パターンに重ならずに配置される第二の線パターンとが設けられ、前記第二の線パターンの集合により文字または図形が形成されていることにより解決される。
【0008】
このように、本発明の2次元コードは、マトリクス状に配設されたセルのうち、暗色の単位セルに、第一の線パターンと第二の線パターンが設けられており、第二の線パターンの集合により文字または図形が形成されている。
本発明の2次元コードは、外観上は、暗色セルと明色セルを備えた一般的な2次元コードとして形成されている。
しかし、実際には、暗色セルの一部に、第一の線パターンと第二の線パターンが設けられ、第二の線パターンの集合により、文字や図形が形成されている。
したがって、2次元コード内に、2次元コード情報として格納される情報以外に、上記文字や図形等の別の情報を追加して埋め込むことが可能となる。
【0009】
上記課題は、本発明の請求項2に係る2次元コードによる情報検証システムによれば、前記2次元コードの形成装置と、2次元コードの検証装置とを備え、前記2次元コードの形成装置は、単位セルの一部に複数の線パターンを有する2次元コードのマーキングパターンを生成するマーキングパターン生成手段と、前記マーキングパターンに基づいて、物品に2次元コードを形成するマーキング手段と、を備え、前記2次元コードの検証装置は、前記物品から2次元コードのマーキングパターンを取得する取得手段と、前記線パターンの一つに合致する縞状パターンを記憶する記憶手段と、前記物品から取得されたマーキングパターンに、前記縞状パターンを重ねて表示する表示手段と、を備えたことにより解決される。
【0010】
このように、本発明の2次元コードによる情報検証システムは、物品に2次元コードを付すための形成装置と、2次元コードを付してから所定期間経過した後に、2次元コードが付された物品の真偽を判定するための検証装置とを備えている。
本発明の2次元コードの形成装置は、2次元コードの単位セルの一部に、ドットを連ねてなる複数の線パターンを設けるように構成されている。
この線パターンを利用して、2次元コードの真偽が判定され、結果として2次元コードが付された物品の真偽が判定される。
すなわち、真偽を判定する段階では、2次元コードの検証装置において、物品から取り込まれた2次元コードに、縞状パターンを重ねて表示する処理が行われる。
このとき、2次元コードの単位セルに複数の線パターンが付されていれば、縞状パターンを重ねることにより、単位セル内の線パターンのうち、特定の線パターンが可視化されることとなる。
特定の線パターンが可視化されることにより、物品に付された2次元コードは、本システムの2次元コード形成装置によって付された正規なものであることが判定される。
【0011】
前記線パターンが付された単位セルはn×m(但しn、mは自然数)に縦横に配列されるドットからなるものである。このように、ドットを連ねたことにより形成された線であるため、太さにおいてばらつくことがなく、精度の高い線パターンが形成される。
【0012】
なお、より確実に検証を行うために、前記2次元コードの検証装置は、前記2次元コードの形成装置から前記マーキングパターンを取得する情報取得手段を備え、該2次元コードの形成装置から取得されたマーキングパターンに前記縞状パターンを重ねた表示態様と、前記物品から取得されたマーキングパターンに、前記縞状パターンを重ねた表示態様とを比較する比較手段と、を備えた構成とすると好適である。
【0013】
本発明の請求項5に係る2次元コードによる情報検証方法は、物品に付与された2次元コードのマーキングパターンを取得する工程と、前記物品から取得したマーキングパターンに、複数の線パターンからなる縞状パターンを重ねる工程と、前記縞状パターンが重ねられた状態でのマーキングパターンの表示態様を検証する工程と、を備えたことを特徴とする。
なお、前記縞状パターンを重ねる工程では、前記2次元コードの単位セルに対して前記縞状パターンが重ねられるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カード等の物品に形成された2次元コードに、不可視な状態で、真偽を判定するための情報が組み込まれており、偽造を防止することが可能である。
上記真偽を判定するための情報は、複数の線パターンから形成されている。
この線パターンは、n×m(但しn、mは自然数)に縦横に配列されるドットから形成されるので、高い精度が確保されており、このため容易に偽造することができず、また真偽の判定についても、より正確に行うことが可能となる。
そして、本発明の2次元コードは、レーザマーキングにより物品に直接形成されているので、2次元コードの真偽が判定されることにより、同時に物品の真偽も判定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0016】
図1及び図2は本実施形態に係るレーザマーキング装置の構成を示す説明図、図3は2次元コード検証装置の構成を示す説明図、図4は単位セルの説明図、図5は図4の要部拡大図、図6は2次元コードの検証時の状態を示す説明図、図7は埋込情報の一例を示す説明図、図8はレーザマーキング装置及び2次元コード検証装置の記憶部に記憶された2次元コードに関する情報を示す説明図、図9乃至図14はレーザマーキングから2次元コード検証までの処理の流れを示す流れ図である。
【0017】
本実施形態に係る2次元コードは、明色及び暗色の単位セルがマトリクス状に配列され形成されている。2次元コードはドットマーキング方式により形成される。
ドットマーキング方式とは、被マーキング体に2次元コードを形成するときに、2次元コードを構成する各セルについて、複数のドットを配列することにより形成する方式を指すものである。
本例では、レーザマーカーを使用してドットマーキングを行っている。すなわち、被マーキング体の表面に平面視で略円形のマーキング痕であるドットを複数形成することによりマーキングを行うものである。
【0018】
図1及び図2は、本実施形態に係る情報検証システムSを構成する各装置を示す説明図である。
情報検証システムSは、2次元コード形成装置としてのレーザマーキング装置S1と、2次元コード1の真偽を判定する2次元コード検証装置S2とを備えて構成されている。
【0019】
レーザマーキング装置S1は、2次元コード、文字、図形、記号、画像などのマーキングパターンをワーク(被マーキング体)Wにマーキングするのに好適に使用されるものであり、主に制御装置Aと、マーキング手段としてのレーザマーカーBとから構成されている。
制御装置Aは、マーキングするデータの取り込み、取り込んだデータのマーキングパターンへの変換、マーキングパターンの出力等を制御するものである。制御装置Aは、図2に示すように、データを入力するための入力部10と、CRT,LCD等の表示部11と、プリンタ等の出力部12と、通信回線Iとの入出力インターフェースである入出力部13と、各種データ等を記憶する記憶部16と、これらを制御する制御部としてのCPU14等から構成されている。本実施形態における制御装置Aは、パーソナルコンピュータで構成することができる。
【0020】
制御装置Aは、入力部10や入出力部13からマーキング用のデータを取り込むことができ、取り込まれたデータは記憶部16内に格納される。
本例では、マーキング用のデータとして、氏名,住所等の一般情報と、2次元コードの真偽を判定するための埋込情報とが取得される。
マーキング用のデータは、テキストデータ,画像データ等の電子データである。入力部10は、マウス,キーボード,スキャナ,タブレット,CCDカメラ,デジタルカメラ等から構成することが可能である。
【0021】
記憶部16は、全体の制御を行うための制御プログラム等を記憶する主記憶部と、一時的にデータを記憶する作業領域として使用されるRAM等から構成されている。記憶部16には、取り込まれたデータをマーキングパターンに変換するための変換データ17が格納されている。さらに、取り込まれたデータや、変換されたマーキングパターンを格納するためのデータメモリ18が備えられている。
【0022】
データメモリ18には、マーキング用のデータとして入力された一般情報と埋込情報が記憶される。また、データメモリ18には、これら一般情報と埋込情報に基づいて生成される2次元コードのマーキングパターンが記憶される。
【0023】
さらに、記憶部16には、パラメータ情報が記憶されている。パラメータ情報は、レーザマーキングを行う際の条件を設定したものである。この条件としては、レーザ周波数、出力、印字回数、ビーム径、照射時間等がある。これらの条件は、レーザマーキングを行う際に設定され、CPU14により読み込まれる。
【0024】
制御装置Aは、マーキングパターンを生成し、このマーキングパターンをレーザマーカーBへ出力する処理を行う。レーザマーカーBは、制御装置Aから受け取ったマーキングパターンに基づいて、被マーキング体Wにレーザマーキングを行う。
制御装置AからレーザマーカーBへは、マーキングパターンを表わすデータだけでなく、レーザマーキングを行う際の条件に関する制御信号も送出される。
また、制御装置Aの入出力部13から、次述する2次元コード検証装置S2へ、上記マーキングパターンデータが送信される。
【0025】
制御装置AとレーザマーカーBは、ケーブルによって直接に接続されていてもよいし、或いは無線LANやインターネット等の情報通信網を介して接続されていてもよい。
LAN接続やインターネット接続がなされていれば、遠隔地よりレーザマーカーBを制御することが可能となる。
例えば、受付等に制御装置Aを設置し、事務処理室にレーザマーカーBを設置するような構成が可能となる。或いは、本社に制御装置Aを設置し、各地の工場にレーザマーカーBを設置するような構成が可能となる。
【0026】
レーザマーカーBは、従来公知のものであり、例えばYAGレーザ、COレーザ、YVOレーザ、UVレーザ、グリーンレーザ等がある。
本実施形態では、制御装置AとレーザマーカーBとが一対一で設置されている構成を示しているが、制御装置Aに対して複数のレーザマーカーBを接続し、被マーキング材に応じて、適切なレーザ光を出射するレーザマーカーBが選択される構成としても良い。
【0027】
レーザマーカーBの一例として、本実施形態において使用されるYAGレーザ装置の構成を図1に示す。
レーザマーカーBにおいて、YAGレーザ発振機50から出力されたレーザ光は、レベリングミラー56により光路を変更され、アパーチャ55によりビーム径を絞られた後、ガリレオ式エキスパンダ57によりビーム径を広げられる。
更に、アパーチャ58によりビーム径を調整された後、アッテネータ46により減衰されてから、ガルバノミラー47により光路を変更及び調整され、fθレンズ59で集光されて、被マーキング体Wに照射される。
【0028】
YAGレーザ発振機50には、ピーク出力(尖頭値)の極めて高いパルスレーザ光を得るための超音波Qスイッチ素子43が設けられている。本例のレーザマーカーBでは、所定回数のQスイッチパルスで1個のドット4がマーキングされるように構成されている。
YAGレーザ発振機50は、更に全面反射鏡51、内部アパーチャ52、ランプハウス53、内部シャッタ44、出力鏡54を備えており、YAGレーザ発振機50の出力側には外部シャッタ45が設けられている。
コントローラ42は、上記Qスイッチ素子43、内部シャッタ44、外部シャッタ45、アッテネータ46、ガルバノミラー47を、制御装置Aから送信されたデータ及び制御信号に基づいて制御する。
【0029】
図3に、2次元コード検証装置S2の構成を示す。2次元コード検証装置S2は、物品に付された2次元コード1の真偽を判定するものである。
2次元コード検証装置S2は、本体部Cとイメージ取込部Dとを備えて構成されている。
本体部Cは、操作信号や電子データ等を入力するための入力部30と、2次元コードのイメージデータや、2次元コードを復号化したデータを表示する表示部31と、イメージデータ及び復号化データを印字したり、或いは電子媒体への出力等を行う出力部32と、記憶部36と、制御部としてのCPU34と、通信回線Iとの入出力インターフェースであり、レーザマーキング装置S1からの情報取得手段である入出力部39とを備えて構成されている。
【0030】
イメージ取込部Dは、本体部Cからの操作信号に基づいて、2次元コードのイメージデータを取り込むものである。イメージ取込部Dは、2次元コードをデジタル画像として取り込んで、本体部Cへ出力する。
イメージ取込部Dは、CCDカメラ41と、鏡筒42と、対物レンズ43とを備えてなる。イメージ取込部Dは、2次元コードについて、拡大されたイメージを撮像することができるように構成されている。イメージ取込部Dとしては、公知のデジタル顕微鏡を使用することが可能である。
【0031】
記憶部36は、主記憶部と、作業領域等として用いられるRAMと、を備えて構成されている。主記憶部には、制御プログラムが記憶されている。また、主記憶部にはデータメモリ38が設けられている。
データメモリ38には、イメージ取込部Dから取り込んだイメージデータが記憶される。
また、データメモリ38には、2次元コードのマーキングパターンデータが記憶されている。このマーキングパターンデータは、レーザマーキング装置S1の制御装置Aから送信されたものであり、所定の物品に付された2次元コードのマーキングパターンを示すものである。
さらに、データメモリ38には、縞状パターンデータが記憶されている。縞状パターンは、2次元コードの真偽を検証する際に使用するものであり、後に詳細に説明する。
【0032】
次に、本実施形態の2次元コードについて説明する。
本例の2次元コード1は、図4に示すように、明色セル2と暗色セル3がマトリクス状に配設され、表面上は、一般的な態様の2次元コードとなっている。したがって、通常の2次元コードリーダで読み取りが可能である。この2次元コード1を通常の2次元コードリーダで読み取ることにより、カード所有者のプロフィール情報や、製品の製造年月日やロット番号等の一般情報を取得することができる。
【0033】
本例の2次元コード1は、暗色セル3の少なくとも一つに、埋込情報が格納された構成とされている。この埋込情報が格納された暗色セル3を利用して、2次元コード1の真偽を判定するものである。
図4に示されているように、埋込情報が格納された暗色セル3は、セルのなかに平行線からなる第一の線パターン61と、この第一の線パターン61に平行で、且つ第一の線パターン61とは異なる線上に位置する第二の線パターン62とが設けられている。そして、第二の線パターン62により文字または図形63が形成されている。この文字または図形63が、埋込情報に該当するものである。図4の例では、十字形の図形が描かれている。
【0034】
図5に示すように、それぞれの線パターン61,62は、ドット4を連続的または間欠的に連ねることにより形成されている。
図4及び図5の例で説明すると、暗色セル3の背景領域64には、第一の線パターン61が形成されている。そして、暗色セル3の略中央部に位置する十字形の図形63の部分には、第二の線パターン62が設けられている。
図示されているように、十字形の図形63の部分では、背景領域64と所定幅で線パターンがずれるように形成されている。
このように、背景領域64と図形63の部分で線パターンがずれるようにされていると、次述する縞状パターン65を重ねて配置したときに、図形63の部分を浮き出させて可視化させることが可能となる。
【0035】
単位セルに埋め込まれた埋込情報は、図6(A)に示す縞状パターン65を用いて可視化される。
2次元コードの真偽を検証する際は、埋込情報が可視化されたか否かにより真偽を判定する。また、埋込情報が可視化された場合は、可視化された文字や図形を確認して、真偽を判定する。
【0036】
これらの確認は、2次元コード検証装置S2により自動的に行ってもよいし、或いは人が目視により行っても良い。
2次元コード検証装置S2により確認を行う場合は、レーザマーキング装置S1から取得されたマーキングパターンに縞状パターン65を重ねたときに可視化された図形又は文字と、物品から取得されたマーキングパターンに縞状パターン65を重ねたときに可視化された図形又は文字とを比較するようにする。
図形又は文字の比較は、例えば、両画像の対応する一対の画素データについて、排他的論理和を演算する。そして、その演算結果に基づいて、両画像の不一致量を算出し、得られた不一致量が予め設定された許容不一致量以内であるか否かを判定する。
得られた不一致量が許容不一致量以内であれば、両画像は一致していると判定される。また、得られた不一致量が許容不一致量以外であれば、両画像は異なるものとして判定される。
【0037】
縞状パターン65は縞パターンからなり、この縞パターンは、第一の線パターン61または第二の線パターン62の線ピッチうち、小さい方の線ピッチに合わせて形成される。縞状パターン65の情報は、2次元コード検証装置S2の記憶部36に格納されており、2次元コードの真偽について検証を行うときに、2次元コード検証装置S2の表示部31に画像イメージとして表示可能に構成されている。
【0038】
図6(B)は、埋込情報を有する暗色セル3に、縞状パターン65を重ねて示した図である。
縞状パターンとして、第一の線パターン61と同一ピッチの縞パターンを有するものを使用した場合は、縞状パターン65の縞パターンが、第一の線パターン61に一致するようにして、重ね合わせる。
そうすると、図示されているように、図形63の部分のみが濃く浮かび上がり、埋込パターンを確認することが可能となる。
縞状パターン65として、第二の線パターン62と同一ピッチの縞パターンを有するものを使用した場合は、縞状パターン65の縞パターンが、第二の線パターン62に一致するようにして、重ね合わせる。
そうすると、模様部分のみが白く浮かび上がり、埋込パターンを確認することが可能となる。なお、第一の線パターン61と第二の線パターン62とが同一ピッチである場合は、いずれかの線パターンに一致させて縞状パターン65を重ねれば良い。
【0039】
なお、埋込情報としては、図4に示すような十字形に限らず、他の形状の図形であっても良いことは勿論である。例えば、図7(A)に示すような数字、図7(B)に示すような文字であっても良い。
このように、埋込情報は形状を限られることなく、自由な形状とすることが可能である。
【0040】
上記したように、暗色セル3の中では、背景領域64と図形63の部分とで線形パターンがずらされている。線形パターンをずらす方法は、次の通りである。
本例の2次元コードは、前記したように、レーザマーカーBからのレーザビームによって、セルのなかに、平面視略円形のドット4を縦横にn×m(n,mは自然数)に配列することにより形成されているものである。
埋込情報が組み込まれる単位セルについては、図5に示すように、セルをさらに細かい複数の領域に分割し、背景領域64に付されるドット4と、図形63の部分に付されるドット4とで、位置をずらして形成する。
【0041】
すなわち、背景領域64では、図5に示すように、ドット4が縦横に6×4に配列されており、第一の線パターン61を形成している。
図形63の部分を構成する領域は、ドット4が縦横に6×5に配列されており、このドット4は、背景領域64の第一の線パターン61と、ずらした位置に配列されている。図形63の部分を構成する領域では、連続するドット4により、第二の線パターン62が形成されている。
なお、調整をより簡略にするためには、第一の線パターン61の線ピッチと、第二の線パターン62の線ピッチとを同一にすれば良い。
【0042】
ドット4の直径は、数十μm〜数百μm程度とされているため、背景領域と図形部分とでドット4の位置がずれて配列されていても、その違いを目視で確認することは不可能である。よって、不可視な状態で、埋込情報を2次元コード1に組み込むことが可能となる。
【0043】
本例では、2次元コード1をレーザビームによるドットマーキング方式にて形成しているため、各ドット4の寸法精度が高く、ドット4を確実に所定位置にマーキングすることが可能である。
【0044】
本例の情報検証システムSでは、カードやラベルに2次元コードを付すとき、単位セルに埋込情報を格納することにより、そのカードやラベルに固有な2次元コードを付すようにしている。
【0045】
2次元コードに格納された一般情報と、単位セルに格納された埋込情報は、2次元コードが付された物品毎に、レーザマーキング装置S1の記憶部16と、2次元コード検証装置S2の記憶部36に記憶される。
図8は、記憶部16及び記憶部36に記憶された2次元コードに関する情報を示すものである。図示されているように、これらの情報は、2次元コードが付された物品毎に格納されている。例えば、銀行のカードであれば、銀行名、支店名、口座番号、名義人により一つのカードが特定され、これに対応して、2次元コードに格納された一般情報と、埋込情報の内容が記録されている。
【0046】
次に、図9乃至図11により、上記構成からなるレーザマーキング装置S1を用いて、ユーザにより設定入力された情報を有する2次元コード1を、被マーキング体Wにマーキングする方法について説明する。
図9にレーザマーキング方法の処理の流れを示す。
はじめに、情報取得処理において、レーザマーカーBが、被マーキング体Wにマーキングするデータとして、一般情報と埋込情報を取得する(ステップS10)。
取得されたデータは、データメモリ18に記憶される。
【0047】
この情報取得処理では、図10に示すように、一般情報の取得処理(ステップS11)と、埋込情報の取得処理(ステップS12)とが行われる。
一般情報として、銀行のキャッシュカードであれば、カード所有者の氏名、住所、口座番号等の情報が取得される。また、製品ラベルであれば、製造年月日やロット番号等の情報が取得される。
埋込情報としては、埋込情報の形状に関する情報と、埋込情報の格納位置に関する情報が取得される。
それぞれの情報は、データメモリ18に分別して格納される。
【0048】
2次元コード変換処理(ステップS20)では、ステップS10で取得された一般情報が単位セルからなる2次元コードに変換される。
2次元コード変換工程では、図11に示すように、まず、データメモリ18に格納された一般情報が通常の2次元コード化処理によって通常の2次元コードに変換される(ステップS21)。
2次元コードの形式は、明暗模様のマトリクスからなるものであればよい。この2次元コード化は、記憶部16に記憶された変換データ17に基づいて、公知の手法で行われる。
【0049】
次いで、埋込情報のコード化処理が行われる。
この処理では、先ず、取得された埋込情報に基づいて、埋込情報が格納される単位セルと、この単位セル内でのドット4の配列が決定される(ステップS22)。
ステップS23では、ステップS21で生成された2次元コードのマーキングパターンに、ステップS22で決定された単位セルにおけるマーキングパターンを組み込む処理が行われる。
そして、ステップS24で、制御装置AからレーザマーカーBへ、生成されたマーキングパターンが出力される。レーザマーカーBは、被マーキング体Wの上にドットマーキングを行う。
さらに、ステップS25では、ステップS23で生成された2次元コードのマーキングパターンが2次元コード検証装置S2に送信され、2次元コード検証装置S2の記憶部36に格納される。
【0050】
次いで、図12において、2次元コードに格納された一般情報の読取処理について説明する。
先ず、コードリーダで2次元コードが読み取られる(ステップS41)。このときは、埋込情報が組み込まれれたセルと、そうではないセルの区別なく、全てが2次元コードを構成するセルとして認識されて読み取られる。
次いで、コードリーダの制御部において、復号化処理が行われる(ステップS42)。この復号化処理は、公知の復号化方法により行われる。
すなわち、コードリーダの記憶部には、2次元コードを復号化するための情報等が記録された復号化データが記憶されており、この復号化データと2次元コード1を比較することにより2次元コード1に記録された情報を文字形式に変換することができる。
【0051】
このように2次元コード1に記録された一般情報を文字形式に変換した後、文字形式に変換された情報は、コードリーダの表示部に表示される(ステップS43)。なお、コードリーダの出力部から外部に出力し、外部の表示部に情報を表示することも可能である。
【0052】
次に、図13及び図14に基づいて、2次元コード検証装置S2による2次元コード1の検証処理を示す。
この処理は、物品に付された2次元コードが真正なものであるか、すなわちその物品が真正なものであるか否かを確認するために行われる。
この処理は、キャッシュカード等のカード類であれば、銀行の窓口、各種施設の窓口、会社の入口等において行われる。また、かばん,衣類,電気製品等の製品ラベルであれば、各種店舗、卸売店等において行われる。
【0053】
先ず、2次元コード取込処理(ステップS100)において、埋込情報の取り込みを行う。
この処理では、物品に付された2次元コードから、埋込情報が格納された暗色セル3を拡大して撮像し、この拡大された画像情報を本体部Cに出力する。埋込情報がどの暗色セル3に格納されているかは、図8に示すように、記憶部36に記録されているので、この情報を参照することにより判断することが可能である。
【0054】
次いで、トリミング処理(ステップS110)が行われ、取り込んだ画像データの画像領域を確定する。
まず、単位セルを含む画像は、周囲に余白部分が付いた状態で取り込まれる。取り込まれた画像は、セルの周縁部に沿って画像領域確定線が作成されると共に、X軸方向及びY軸方向に沿うように時計方向又は反時計方向に回転調整される。そして、最終的に、画像領域確定線に沿ってトリミングが施され、特定されたセルのみの画像が切り出される。
【0055】
次に、2次元コードの検証処理(ステップS120)が行われる。この処理の流れを図13に示す。
先ず、2次元コード検証装置S2の記憶部36から、縞状パターンが読み込まれる(ステップS121)。縞状パターンは、2次元コード検証装置S2の表示部31に表示される(ステップS122)。
そして、カードやラベルから読み込まれ、切り出された特定セルの画像と、縞状パターンの画像とを重ね合わせる処理がなされる(ステップS123)。
【0056】
次いで、埋込情報が浮かび上がったか否かが判定される(ステップS124)。この処理において、例えばカードやラベルが偽物だった場合は、2次元コードについてもコピーなどによる偽造であるため、重ね合わせたときのセルの状態は真っ黒なものとなり、埋込情報が浮かび上がらない状態となる。これにより、カードやラベルが偽造であると判断される。
埋込情報が浮かび上がっていないと判定された場合(ステップS124;No)、2次元コード1は偽物であると判定し(ステップS125)、処理を終了する。
【0057】
埋込情報が浮かび上がったと判定された場合(ステップS124;Yes)、浮かび上がった文字や図形が、2次元コード検証装置S2に記憶された文字や図形と同じものであるか否かが検証される(ステップS126)。ここでは、記憶部36のマーキングパターン情報を参照して判定がなされる。
埋込情報が、予め登録されたものと同一であると判定された場合には(ステップS126;Yes)、この2次元コードが真正であると判断され(ステップS127)、処理を終了する。
埋込情報が、予め登録されたものと同一ではないと判定された場合には(ステップS126;No)、この2次元コードが偽物であると判断され(ステップS125)、処理を終了する。
【0058】
本例の情報検証システムSの具体的業務の流れを示す。
キャッシュカードが発行されるときは、ユーザの一般情報と、埋込情報を設定し、これらを2次元コードに変換して、カード表面にレーザマーキングする。
ユーザがカードを使用するときは、銀行の窓口において、カードが提示される。
受付では、ユーザが提示したカード2に付された2次元コードを、受付にあるコードリーダで読み取る。さらに、2次元コード検証装置S2での検証を行う。
【0059】
コードリーダで読み取られた一般情報は、受付にあるモニターに表示される。
窓口では、モニターに表示された情報を確認することにより、カードが本人によって公正に使用されたかどうかを確認する。
さらに、2次元コード検証装置S2により、カードに付された2次元コードの検証を行う。
【0060】
2次元コード検証装置S2では、予め記録されているマーキングパターンと、カードから取得されたイメージデータとを重ね合わせる処理がなされる。パターンが一致したときには、カードが真正のものであると判断される。
このようにして、2次元コードに登録された一般情報と、2次元コードを構成するセル内のドットの状態とから、カードが真正なものであるかを二重にチェックすることが可能となり、カードやラベルに対して、より高い信頼性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態に係るレーザマーキング装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るレーザマーキング装置のうち、制御装置の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る2次元コード検証装置の構成を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る2次元コードの単位セルの説明図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】2次元コードの検証時の状態を示す説明図である。
【図7】埋込情報の一例を示す説明図である。
【図8】レーザマーキング装置及び2次元コード検証装置の記憶部に記憶された2次元コードに関する情報を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るレーザマーキング工程の流れ図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る情報取得処理の流れ図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る2次元コード変換処理の流れ図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る2次元コードの読取処理の流れ図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る2次元コードの取り込み処理の流れ図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る2次元コードの検証処理の流れ図である。
【符号の説明】
【0062】
1 2次元コード
2 明色セル
3 暗色セル
3´ 変色セル
4 ドット
10,30 入力部
11,31 表示部
12,32 出力部
13,39 入出力部
14,34 CPU
16,36 記憶部
17 変換データ
18,38 データメモリ
42 コントローラ
43 Qスイッチ素子
44 内部シャッタ
45 外部シャッタ
46 アッテネータ
47 ガルバノミラー
50 YAGレーザ発振機
51 全面反射鏡
52 内部アパーチャ
53 ランプハウス
54 出力鏡
55 アパーチャ
59 fθレンズ
A 制御装置
B レーザマーカー
C 本体部
D イメージ取込部
I 通信回線
S1 レーザマーキング装置
S2 2次元コード検証装置
W 被マーキング体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗色及び明色の単位セルがマトリクス状に配列された2次元コードであって、
前記2次元コードを構成する単位セルはn×m(但しn、mは自然数)に縦横に配列されるドットからなり、
前記暗色の単位セルには、前記ドットを連ねた線パターンが形成され、
前記線パターンは第一の線パターンと、
前記前記第一の線パターンに重ならずに配置される第二の線パターンとが設けられ、
前記第二の線パターンの集合により文字または図形が形成されていることを特徴とする2次元コード。
【請求項2】
2次元コードによる情報検証システムであって、
前記2次元コードの形成装置と、2次元コードの検証装置とを備え、
前記2次元コードの形成装置は、
単位セルの一部に複数の線パターンを有する2次元コードのマーキングパターンを生成するマーキングパターン生成手段と、
前記マーキングパターンに基づいて、物品に2次元コードを形成するマーキング手段と、を備え、
前記2次元コードの検証装置は、
前記物品から2次元コードのマーキングパターンを取得する取得手段と、
前記線パターンの一つに合致する縞状パターンを記憶する記憶手段と、
前記物品から取得されたマーキングパターンに、前記縞状パターンを重ねて表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする2次元コードによる情報検証システム。
【請求項3】
前記線パターンが付された単位セルはn×m(但しn、mは自然数)に縦横に配列されるドットからなることを特徴とする請求項2記載の2次元コードによる情報検証システム。
【請求項4】
前記2次元コードの検証装置は、前記2次元コードの形成装置から前記マーキングパターンを取得する情報取得手段を備え、
該2次元コードの形成装置から取得されたマーキングパターンに前記縞状パターンを重ねた表示態様と、前記物品から取得されたマーキングパターンに、前記縞状パターンを重ねた表示態様とを比較する比較手段と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の2次元コードによる情報検証システム。
【請求項5】
2次元コードによる情報検証方法であって、
物品に付与された2次元コードのマーキングパターンを取得する工程と、
前記物品から取得したマーキングパターンに、複数の線パターンからなる縞状パターンを重ねる工程と、
前記縞状パターンが重ねられた状態でのマーキングパターンの表示態様を検証する工程と、を備えたことを特徴とする2次元コードによる情報検証方法。
【請求項6】
前記縞状パターンを重ねる工程では、前記2次元コードの単位セルに対して前記縞状パターンが重ねられることを特徴とする請求項5記載の2次元コードによる情報検証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−11846(P2006−11846A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188373(P2004−188373)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(593153934)株式会社技術トランスファーサービス (2)
【Fターム(参考)】