説明

2次成形品製造方法

【課題】2次成形品を製造する方法においては、金型を1次成形用と2次成形を一つの金型内において同時に出来るようにし、コストを抑え精度の良い製品を提供する。
【解決手段】1次固定側製品形状部7には成形用可動型10が来て1次成形品12が成型され、2次固定側製品形状部8にはインサート部材9を挿入した後、成形用可動型11が来て型締めされ2次成形品13が成型される第一の工程があり、型開き後に予め可動側金型2に設けてある駆動装置5により、可動側金型2が回転中心軸6を中心に180°回転移動した後、1次固定側製品形状部7には成形用可動型11が来て1次成形品12が成型され、2次固定側製品形状部8にはインサート部材9を挿入した後、成形用可動型10が来て型締めされ2次成形品13が成型される第二の工程があり、該駆動装置5の180°回転往復移動により、これら第一の工程及び第二の工程を交互に繰り返すことで解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次成形後にインサート部材などを挿入した後、2次成形品とする際、金型を取り換えずに2次成形品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2次成形品を製造する方法において、まず1つの成形機に取り付けた金型で1次成形品を成形した後、別の成形機に取り付けた2次成形用金型において1次成形品を挿入し、更にインサート部材も挿入した後、2次成形品として製造していた。
【0003】
一方で、固定型と可動型と、これらの金型内に回転可能に設けられている一対の回転金型と保持装置とにより構成されているキャビティに硬質材を射出充填して1次成形品を成形後、1次成形品の1部を保持装置で保持した状態で可動型を開いて、そして間に設けられた回転金型を回転して1次成形品の外側に2次成形用のキャビティを確保して、軟質材を充填し積層形成形品、いわゆる2次成形品とする方法や金型が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献】特許公開1997年第76287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の成形方法では、金型を2面用意しなければならず、金型費用が高くなったり、1次成形後に一旦成形品を金型から取り外して、2次成形用の金型に取り付けて2次成形品としなければならないため、精度の悪い製品が出来る欠点があった。
【0006】
又、特許文献1のような場合は、基本的に1つの金型内で、1次成形品を作製後に2次成形品を作製するため、工程数が多く、2次成形用のキャビティを確保してのいわゆる積層形成形品にのみ有効で用途の限られたものであり、回転金型が間に設けられているため、金型として大きなものとなる欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1次固定側製品形状部(7)には成形用可動型(10)が来て1次成形品(12)が成型され、2次固定側製品形状部(8)にはインサート部材(9)を挿入した後、成形用可動型(11)が来て型締めされ2次成形品(13)が成型される第一の工程があり、型開き後に予め可動側金型(2)に設けてある駆動装置(5)により、可動側金型(2)が回転中心軸(6)を中心に180°回転移動した後、1次固定側製品形状部(7)には成形用可動型(11)が来て1次成形品(12)が成型され、2次固定側製品形状部(8)にはインサート部材(9)を挿入した後、成形用可動型(10)が来て型締めされ2次成形品(13)が成型される第二の工程があり、該駆動装置(5)の180°回転往復移動により、これら第一の工程及び第二の工程を交互に繰り返すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、1次成形後にインサート部材などを挿入した後、更に2次成形品とする際に一つの金型内において、1次成形品と2次成形品が同時に出来るため、金型が1面で済むこととなり、金型費用を抑える事が出来る。
【0009】
又、可動金型に予め設けてある駆動装置により、型開き後に可動金型が回転中心軸を中心に180°回転移動した後、となり合わせの対称に配置された1次固定側製品形状部と2次固定側製品形状部のある固定側金型に型締め成型され、この回転往復移動により、これらの工程を繰り返して1次成形品と2次成形品が同時に一つの金型内で成形されるため、精度が良く、工程数が少なくて済む優れた2次成形品製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の2次成形品製造方法における固定型、移動型は、いわゆる射出成型の金型を言う。この金型の大きさや構造、射出材料、インサート部材等は特に限定される事はないが、1次成形後にインサート部材を挿入して2次成形品を製造する方法とするのが好ましい。
【0012】
又、可動側に予め設けてある駆動装置の取り付け方、駆動方法等も特に限定されることはないが、電動式モーターで可動型回転中心に電子制御されるようにしたものが好ましい。
以下、実施例と図に基づき説明する。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の一実施例を図1及び図2で説明するが、これによって本発明は何ら限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の一実施例を示し、固定側金型(1)に回転中心軸(6)を中心に180°対称に予め1次固定側製品形状部(7)及び2次固定側製品形状部(8)を設けておく。
なお、1次固定側製品形状部(7)及び2次固定側製品形状部(8)には、樹脂がスプール(4)からそれぞれのランナー(3)を通って射出成型される。
【0015】
第一の工程として1次固定側製品形状部(7)には可動側金型(2)に取り付けられた成形用可動型(10)が、一方の2次固定側製品形状部(8)には、インサート部材(9)を挿入後、成形用可動型(11)が型締めされる様子を示している。なお、一番初めの成型時のみ、2次固定側製品形状部(8)には樹脂が流入しないようにゲート調節等を施しておき、1次固定側製品形状部(7)のみで1次成形品(12)を作製する。その後、型開き、ランナー除去を行ってから可動側金型(2)を180°回転移動させることで、本考案の2次成形品製造が連続成型可能な方法となる。
【0016】
第二の工程として予め可動側金型(2)に取り付けてある駆動装置(5)によって型開き後に可動側金型(2)が回転中心軸(6)を中心に180°回転移動させて、第一の工程とは逆になるよう1次固定側製品形状部(7)には成形用可動型(11)が来て1次成形品(12)が成型され、2次固定側製品形状部(8)にはインサート部材(9)を挿入した後、成形用可動型(10)が来て型締めされ2次成形品(13)が成型されるのである。
【0017】
以上のように、駆動装置(5)の180°回転往復移動により、これら第一の工程及び第二の工程を交互に繰り返して一つの金型、一つの射出成型機内で、1次成形品のみならず2次成形品までを連続で製造することが出来る。
【0018】
図2は、本発明の1次成形品(12)とインサート部材(9)が挿入された2次成形品(13)が一つの金型内の固定側金型(1)と成形可動型(10)及び成形可動型(11)を設けた可動側金型(2)において成型される様子を示したものである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
一つの金型内において、1次成形品とインサート部材が挿入された2次成形品が同時に連続成型出来るため、金型費用を安く抑えられる。
【0020】
可動側金型に予め設けてある駆動装置により、型開き後にまず2次成形品のみを取り出し、可動側金型が回転中心軸を中心に180°回転移動した後、となり合わせの対称に配置された同形状の1次固定側製品形状部及び2次固定側製品形状部においてこれら回転往復移動して、型締め、型開きの工程を繰り返して1次成形品と2次成形品を同時に一つの金型内で成形出来ため、1次成形後に1次成形品を取り出して2次成形用の金型に設置する必要が無くなるので精度の良い、しかも工程数の少ない2次成形品製造方法となる。
【符号の説明】
1 固定側金型 2 可動側金型 3 ランナー 4 スプール
5 駆動装置 6 回転中心軸 7 1次固定側製品形状部
8 2次固定側製品形状部 9 インサート部材
10 成形用可動型 11 成形用可動型 12 1次成形品
13 2次成形品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次固定側製品形状部(7)には成形用可動型(10)が来て1次成形品(12)が成型され、2次固定側製品形状部(8)にはインサート部材(9)を挿入した後、成形用可動型(11)が来て型締めされ2次成形品(13)が成型される第一の工程があり、型開き後に予め可動側金型(2)に設けてある駆動装置(5)により、可動側金型(2)が回転中心軸(6)を中心に180°回転移動した後、1次固定側製品形状部(7)には成形用可動型(11)が来て1次成形品(12)が成型され、2次固定側製品形状部(8)にはインサート部材(9)を挿入した後、成形用可動型(10)が来て型締めされ2次成形品(13)が成型される第二の工程があり、該駆動装置(5)の180°回転往復移動により、これら第一の工程及び第二の工程を交互に繰り返すことを特徴とする2次成形品製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−79290(P2011−79290A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249490(P2009−249490)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(509121754)
【Fターム(参考)】