説明

2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物

【解決手段】(A)分子鎖両末端が水酸基で封止されたジオルガノポリシロキサンと、
(B)分子鎖中に加水分解性シリル基を有するポリシロキサンと、
(C)分子内に少なくとも1個の2級アミンを有するシランカップリング剤と
をそれぞれ含む室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であって、
前記(A)、(B)成分が第1成分、(C)成分が第2成分の形で存在する2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物であって、(A)、(B)成分の合計100質量部に対し、(C)成分を0.1〜20質量部混合することにより硬化することを特徴とする2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【効果】本発明の2液混合型オルガノポリシロキサン組成物は、従来使用してきた縮合反応触媒(有機スズ化合物及び/又は有機チタン化合物)を含有せずとも良好に硬化し、かつ硬化性が非常に遅いことから作業時間を非常に長く確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性が非常に遅いことから作業時間を非常に長く確保でき、通常、縮合反応触媒として含有する有機スズ化合物及び/又は有機チタン化合物を含有せずとも良好に硬化することができ、かつ未硬化時の反応性シラン化合物の揮発が殆どない2液混合型のオルガノポリシロキサン組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
縮合硬化型シリコーン系シーリング剤、接着剤、コーティング剤、ポッティング剤組成物は、建築、電気電子、輸送機、電装部品、家電製品等々の非常に多くの分野で使用されている。通常、これら用途に使用される縮合硬化型シリコーン系シーリング剤、接着剤、コーティング剤、ポッティング剤組成物は、架橋剤として1分子中にケイ素原子に結合した加水分解可能な基を少なくとも3個有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物が使用される。これは本質的に3官能加水分解性シラン及び/又はその部分加水分解物を指すものであり、具体的にはアルキルトリメトキシシラン、アルキルトリブタノキシシムシラン、アルキルトリアセトキシシラン、アルキルトリイソプロペノキシシラン及び/又はその部分加水分解物である。これら反応性シランの反応性は非常に高いため、上記用途の大部分を占める速硬化性の要求に適合している。しかし、屋根防水、屋根塗膜防水、水中構造物塗料、船底塗料、壁面塗装等の大面積の構造物への塗装や、シーリング、接着、コーティング、ポッティング後の接着対象物の位置合わせ、面修正等では、逆に24時間を超えるような非常に長い作業可使時間が必要とされる場合があり、通常用いられる架橋剤ではそのように長い作業可使時間を得ることは非常に困難である。
【0003】
また、未硬化時に発生する架橋剤由来のシラン単量体成分、低分子シロキサンオリゴマーは、硬化直後の加熱による形状変化、有機塗装のはじき、電気接点の短絡、同通不良、作業場床のすべり等の不具合を発生してきた。従来、その主原因はベースポリマー中に含まれる低分子環状シロキサンであるとされてきた。しかしながら、ベースポリマーからでき得る限りの低分子環状シロキサンを取り除いても問題は完全な解決には至らない場合が多く見られる。揮発性を有する架橋剤由来のシラン単量体成分もその原因となっている。
【0004】
特開2006−265529号公報、特開2006−348165号公報(特許文献1,2)には、末端水酸基ポリオルガノシロキサンと末端反応性ポリオルガノシロキサンを有機スズ触媒にて硬化させる事例が報告されている。しかし、最近、有機スズ化合物を使用した製品を使用することはあまり好まれない傾向にあり、更にEU諸国では2012年以降、スズ換算で0.1%を超えるとその製品を使用することはできない状況になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−265529号公報
【特許文献2】特開2006−348165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、非常に長い作業可使時間の確保が容易であり、揮発性を有する架橋剤由来のシラン単量体成分による不具合がなく、かつ通常縮合反応触媒として含有される有機スズ化合物及び/又は有機チタン化合物を含有せずとも良好に硬化する2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサンの架橋剤として分子鎖中のアルキレン結合又は酸素結合を介した加水分解性シリル基を有するポリシロキサンを用い、これを第1成分にすると共に、分子内に2級アミンを有するシランカップリング剤を用い、これを第2成分とした2液混合型のオルガノポリシロキサン組成物とし、これら第1成分と第2成分とを特定の割合で混合することにより、硬化速度を遅延することができると共に、有機スズ化合物や有機チタン化合物を用いることなく、室温で良好に硬化することを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
従って、本発明は、下記の2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
請求項1:
(A)分子鎖両末端が水酸基で封止されたジオルガノポリシロキサンと、
(B)分子鎖中に加水分解性シリル基を有するポリシロキサンと、
(C)分子内に少なくとも1個の2級アミンを有するシランカップリング剤と
をそれぞれ含む室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であって、
前記(A)、(B)成分が第1成分、(C)成分が第2成分の形で存在する2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物であって、(A)、(B)成分の合計100質量部に対し、(C)成分を0.1〜20質量部混合することにより硬化することを特徴とする2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
請求項2:
(A)成分が下記一般式(3)
HO(R2SiO)kH (3)
(式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜20の非置換又は置換1価炭化水素基であり、kは10以上の整数でこのジオルガノポリシロキサンの粘度が25℃において10〜10万mPa・sの範囲となる数である。)
で示されるものであり、(B)成分が下記一般式(4)
(R2O)p33-pSi−X−(R2SiO)k−R2Si−X−SiR33-p(OR2p
(4)
(式中、R及びkは上記の通りである。R2は同一又は異種の炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシアルキル基、R3は同一又は異種の炭素数1〜20の非置換又は置換1価炭化水素基、Xは酸素原子又は炭素数1〜12のアルキレン基を示し、pは2又は3である。)
で示されるものである請求項1記載の2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
請求項3:
(A)成分と(B)成分の配合比率が質量比で(A)/(B)=0.5〜1.5である請求項1又は2記載の2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
請求項4:
前記(C)成分の分子内に少なくとも1個の2級アミンを有するシランカップリング剤が、下記一般式(1)及び/又は(2)で示されるシランカップリング剤である請求項1〜3のいずれか1項記載の2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
(R1O)3-m1mSiR4NHC24NHR4COOR4SiR1m(OR13-m
(1)
(R1O)3-m1mSiR4NHR4NHR4SiR1m(OR13-m (2)
(式中、R1は炭素数1〜10の非置換又は置換1価炭化水素基であり、R1は互いに同一であっても異種の基であってもよい。R4は同一であっても異種であってもよい炭素数1〜10の2価炭化水素基である。mは0,1,2の中から選ばれる整数である。)
請求項5:
更に、(D)成分として充填剤を、第1成分及び/又は第2成分に、(A)、(B)成分の合計100質量部に対して1〜500質量部添加する請求項1〜4のいずれか1項記載の2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
請求項6:
更に、(E)成分として非反応性シリコーンオイルを、第1成分及び/又は第2成分に、(A)、(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜100質量部添加する請求項1〜5のいずれか1項記載の2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の2液混合型オルガノポリシロキサン組成物は、従来使用してきた縮合反応触媒(有機スズ化合物及び/又は有機チタン化合物)を含有せずとも良好に硬化し、かつ硬化性が非常に遅いことから作業時間を非常に長く確保できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[(A)成分]
(A)成分の分子鎖末端が水酸基で封止されたジオルガノポリシロキサンは、下記一般式(3)で表されるものが好適である。
HO(R2SiO)kH (3)
【0011】
Rはそれぞれ独立に炭素数1〜20の非置換又は置換1価炭化水素基であり、特には炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、及びそれらの水素原子の一部がハロゲン原子で置換された基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基等、アルケニル基としてはビニル基、アリル基等、アリール基としてはフェニル基等、ハロゲン置換基としては3,3,3−トリフルオロプロピル基等が例示される。メチル基、フェニル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。また、kは10以上の整数で、このジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度が10〜10万mPa・sの範囲、好ましくは100〜5万mPa・sの範囲となる数である。なお、この粘度は回転粘度計により測定することができる。
【0012】
[(B)成分]
(B)成分の分子鎖中にアルキレン結合を介した加水分解性シリル基を有するポリシロキサン及び/又は分子鎖中に加水分解性シリル基を有するポリシロキサンは、下記一般式(4)で表され、本組成物の架橋剤として作用するものである。
(R2O)p33-pSi−X−(R2SiO)k−R2Si−X−SiR33-p(OR2p
(4)
【0013】
Rは上記の通りである。R2は同一又は異種の炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシアルキル基、R3は同一又は異種の炭素数1〜20の非置換又は置換1価炭化水素基で、Rと同様のものが例示され、特には炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、及びそれらの水素原子の一部がハロゲン原子で置換された基が挙げられ、Xは酸素原子及び/又は炭素数1〜12、特に1〜6のアルキレン基、pは2又は3である。kは上記の通りである。
【0014】
本架橋剤は相当する水酸基を有するオルガノポリシロキサンとアルコキシ基を有するシランを反応させること、並びに相当するアルケニルシロキサンにヒドロシリル基とアルコキシ基を有するシラン、もしくは相当するヒドロシロキサンにアルケニル基とアルコキシ基を有するシランを触媒存在下で付加反応させることで容易に得ることができる。
【0015】
上記(A)、(B)成分の配合量は、(A)と(B)の比率が(A)/(B)=0.5〜1.5、より好ましくは(A)と(B)の比率が(A)/(B)=0.8〜1.2であることが好ましく、(A)と(B)成分のトータル量が100質量部で下記成分と反応させることで良好な硬化物を得ることができる。(A)と(B)の比率が(A)/(B)=0.5未満、即ち(B)成分の量が多いと、良好な深部硬化性が得ることができず1液硬化となってしまうおそれがあり、また(A)と(B)の比率が(A)/(B)=1.5を超える、即ち(B)成分の量が多いと硬化不良となる可能性があり、期待されるゴム物性を得ることができなくなる場合がある。
【0016】
[(C)成分]
(C)成分の分子内に少なくとも1個の2級アミンを有するシランカップリング剤は、第1成分中の(A)成分と(B)成分を反応させるための必須成分である。
(C)成分の分子内に少なくとも1個の2級アミンを有するシランカップリング剤の具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、(CH3O)3SiC36NHC36Si(OCH33のような2級アミノ基を1個有するもの、下記一般式(1)及び/又は(2)で示される2級アミノ基を2個有するシランカップリング剤等が例示され、式(1)、(2)で示されるものが好ましい。かかるシランカップリング剤を使用すると、より第1成分中に含まれるシラノール基との反応が促進し、良好な速硬化性・接着性を得ることができる。また、これらは1種類に限定されず、その2種類を同時に使用してもよい。
【0017】
(R1O)3-m1mSiR4NHC24NHR4COOR4SiR1m(OR13-m
(1)
(R1O)3-m1mSiR4NHR4NHR4SiR1m(OR13-m (2)
(式中、R1は炭素数1〜10の非置換又は置換1価炭化水素基であり、R1は互いに同一であっても異種の基であってもよい。R4は同一であっても異種であってもよい炭素数1〜10の2価炭化水素基である。mは0,1,2の中から選ばれる整数である。)
【0018】
ここで、R1の1価炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、及びそれらの水素原子の一部がハロゲン原子で置換された基等が挙げられ、上記Rで例示したものと同様のものが例示され、メチル基が特に好ましい。なお、OR2としては炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。R4は炭素数1〜10のアルキレン基等の2価炭化水素基であり、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、特に炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。mは0,1又は2であり、0,1が好ましく、特の0が好ましい。
【0019】
上記式(4)のシランカップリング剤は、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等の2級アミノ基含有シランカップリング剤とクロロプロピルトリメトキシシランを反応させたり、該アミノ基含有シランカップリング剤と3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤を反応させることによって得ることができる。この場合、前者の反応では式(2)のシランカップリング剤が得られ、後者の反応では式(1)のシランカップリング剤が得られる。
【0020】
上記分子内に少なくとも1個の2級アミンを有するシランカップリング剤は、(A)、(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは1〜10質量部の範囲で使用されるものであり、配合量が少なすぎると期待される速硬化性・接着性が得られず、逆に配合量が多すぎると得られるゴムの機械特性に劣り、かつコスト的にも不利となる。
【0021】
[(D)成分]
(D)成分の充填剤は、本発明の組成物において補強剤、増量剤として作用するものである。(D)成分は第1成分及び第2成分のどちらに添加してもよいが、より好ましくは第1成分への添加が好ましい。充填剤としては、表面処理及び/又は無処理の煙霧質シリカ、湿式シリカ、沈降性シリカ、金属酸化物、表面処理及び/又は無処理の重質炭酸カルシウム、表面処理及び/又は無処理のコロイダル炭酸カルシウム、金属水酸化物、ガラスビーズ、ガラスバルーン、樹脂ビーズ、樹脂バルーンなどが挙げられるが、特には煙霧質シリカ、沈降性シリカ、炭酸カルシウムが好ましく使用される。これら充填剤の配合量は、第1成分100質量部に対し1〜500質量部、特には5〜250質量部が好ましい。1質量部未満では補強剤、増量剤としての効果が得られないことがあり、500質量部を超える量では組成物の吐出性が低下して作業性が悪化するおそれがある。
【0022】
[(E)成分]
(E)成分の非反応性シリコーンオイルは、作業性、糸切れ性等の特性が向上すると共に、硬化後のゴム物性を調整する作用がある。この(E)成分は第1成分及び第2成分のどちらに添加してもよいが、より好ましくは第2成分への添加が好ましい。この非反応性シリコーンオイルは、好ましくは両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたポリジメチルシロキサンを配合することがより好ましい。この非反応性シリコーンオイルの25℃における粘度は5〜50,000mPa・sが好ましく、特に50〜5,000mPa・sであることが好ましい。なお、この粘度は回転粘度計により測定することができる。配合量は、第1成分100質量部に対して0.1〜100質量部、特に1〜80質量部であることが好ましい。
【0023】
[その他の成分]
また、本発明には、上記成分以外に一般に知られている添加剤を使用しても差し支えない。添加剤としては、チクソ性向上剤としてのポリエーテル、イソパラフィン、架橋密度向上剤としてのトリメチルシロキシ単位とSiO2単位からなる網状ポリシロキサン等が挙げられ、必要に応じて顔料、染料、蛍光増白剤等の着色剤、防かび剤、抗菌剤、ゴキブリ忌避剤、海洋生物忌避剤等の生理活性添加剤、シリコーンと非相溶の有機液体等の表面改質剤、トルエン、キシレン、溶剤揮発油、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、低沸点イソパラフィン等の溶剤も添加することができる。なお、これらの成分は第1成分に配合しても、第2成分に配合しても、両者に配合してもよい。
【0024】
上記第1成分と第2成分とは、それぞれ別包装とされるが、使用時にこれを混合することにより硬化する。この場合、硬化条件は、市販又は公知の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物と同様であり、室温(常温)で硬化させればよい。
【0025】
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、作業時間を非常に長く確保することができ、作業性に優れたものとなる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例において、粘度の測定は回転粘度計により求めた。
【0027】
[実施例1]
両末端が水酸基で封鎖された粘度5,000mPa・sのジメチルポリシロキサンを50質量部、両末端がトリメトキシシリル基で封鎖された粘度20,000mPa・sのジメチルポリシロキサンを50質量部加えて、減圧下で完全に混合し、第1成分を得た。
その第1成分100質量部に対し、第2成分としてN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランとクロロプロピルトリメトキシシランの反応物である(CH3O)3SiC36NHC24NHC36Si(OCH33を2質量部加えて、減圧下で完全に混合し、組成物1を調製した。
【0028】
[実施例2]
両末端が水酸基で封鎖された粘度5,000mPa・sのジメチルポリシロキサンを50質量部、両末端がシルエチレン基を介してトリメトキシシリル基で封鎖された粘度30,000mPa・sのジメチルポリシロキサンを50質量部加えて、減圧下で完全に混合し、第1成分を得た。
その第1成分100質量部に対し、実施例1で使用した第2成分を2質量部加えて、減圧下で完全に混合し、組成物2を調製した。
【0029】
[実施例3]
両末端が水酸基で封鎖された粘度5,000mPa・sのジメチルポリシロキサンを50質量部、両末端がトリメトキシシリル基で封鎖された粘度20,000mPa・sのジメチルポリシロキサンを50質量部加えて、減圧下で完全に混合し、第1成分を得た。
その第1成分100質量部に対し、第2成分として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランとの反応物である
【化1】

を2質量部加えて、減圧下で完全に混合し、組成物3を調製した。
【0030】
[実施例4]
両末端が水酸基で封鎖された粘度5,000mPa・sのジメチルポリシロキサンを50質量部、両末端がトリメトキシシリル基で封鎖された粘度20,000mPa・sのジメチルポリシロキサンを50質量部加えて減圧下で完全に混合した。その後、重質炭酸カルシウム(商品名;ライトンBS−O、白石カルシウム(株)製)50質量部、コロイダル炭酸カルシウム(商品名;白艶華CC−R、白石カルシウム(株)製)40質量部を加え減圧下で完全に混合し、第1成分を得た。
その第1成分100質量部に対し、両末端がメチル基で封鎖された粘度400mPa・sのポリメチルフェニルシロキサン9質量部と実施例1で使用した第2成分1質量部とを混合したものを第2成分として10質量部加えて減圧下で完全に混合し、組成物4を調製した。
【0031】
[比較例1]
実施例1において、使用したすべての成分を混合し、1液型の組成物5を調製した。
【0032】
[比較例2]
実施例1において、両末端がトリメトキシシリル基で封鎖された粘度20,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50質量部に代えてメチルトリメトキシシランを5質量部とした以外は実施例1と同様の手法で組成物6を調製した。
【0033】
[比較例3]
実施例1において、第2成分であるN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランとクロロプロピルトリメトキシシランの反応物に代えて3−アミノプロピルトリメトキシシランとした以外は実施例1と同様の手法で組成物7を調製した。
【0034】
[試験方法]
上記実施例、比較例の2液型室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物は、常温にて混合撹拌し、目的のサンプルを得た。ここで、得られる第1成分、第2成分は安定性を確認するため、約1日経過後に混合することとした。比較例1に関しては1液型のため、サンプル作製後約1日経過後に試験体の作製を試みた。また第1成分及び第2成分を常温6ヶ月放置した後、同様に混合撹拌し、両成分の保存安定性を確認した。シリコーンゴム組成物を得るには、上記の方法で混合させた組成物を2mmの型枠に流し込み、23℃,50%RHで7日間養生して2mm厚のゴムシートを得た。また、深部硬化性を測定するため、上記混合物を深さ10cmの容器内に充填し、23℃,50%RHで24時間硬化させた後、内部の硬化状態を目視及び指触にてゴム化を確認した。
【0035】
得られた混合組成物は、JIS A 5758に規定する方法に準じてタックフリータイム(指触乾燥時間)を測定し、得られたゴム組成物はJIS K 6249に準じて2mm厚シートよりゴム物性を測定した。また、ガラス、アルミニウムに対する接着性を評価するため、25×100×2mm厚の樹脂被着体に、上記で作製した実施例、比較例の組成物を塗布し、23℃,50%RHで7日間養生してゴム弾性体としたのち、得られた硬化物を引張ることで被着体の接着性を目視にて確認した。試験の評価結果については、下記のようにまとめた。
〈評価〉 ○:良好 △:一部剥離 ×:不可
下記表1に実施例1〜4及び比較例1〜3の結果を示す。
【0036】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子鎖両末端が水酸基で封止されたジオルガノポリシロキサンと、
(B)分子鎖中に加水分解性シリル基を有するポリシロキサンと、
(C)分子内に少なくとも1個の2級アミンを有するシランカップリング剤と
をそれぞれ含む室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であって、
前記(A)、(B)成分が第1成分、(C)成分が第2成分の形で存在する2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物であって、(A)、(B)成分の合計100質量部に対し、(C)成分を0.1〜20質量部混合することにより硬化することを特徴とする2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】
(A)成分が下記一般式(3)
HO(R2SiO)kH (3)
(式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜20の非置換又は置換1価炭化水素基であり、kは10以上の整数でこのジオルガノポリシロキサンの粘度が25℃において10〜10万mPa・sの範囲となる数である。)
で示されるものであり、(B)成分が下記一般式(4)
(R2O)p33-pSi−X−(R2SiO)k−R2Si−X−SiR33-p(OR2p
(4)
(式中、R及びkは上記の通りである。R2は同一又は異種の炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシアルキル基、R3は同一又は異種の炭素数1〜20の非置換又は置換1価炭化水素基、Xは酸素原子又は炭素数1〜12のアルキレン基を示し、pは2又は3である。)
で示されるものである請求項1記載の2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
(A)成分と(B)成分の配合比率が質量比で(A)/(B)=0.5〜1.5である請求項1又は2記載の2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項4】
前記(C)成分の分子内に少なくとも1個の2級アミンを有するシランカップリング剤が、下記一般式(1)及び/又は(2)で示されるシランカップリング剤である請求項1〜3のいずれか1項記載の2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
(R1O)3-m1mSiR4NHC24NHR4COOR4SiR1m(OR13-m
(1)
(R1O)3-m1mSiR4NHR4NHR4SiR1m(OR13-m (2)
(式中、R1は炭素数1〜10の非置換又は置換1価炭化水素基であり、R1は互いに同一であっても異種の基であってもよい。R4は同一であっても異種であってもよい炭素数1〜10の2価炭化水素基である。mは0,1,2の中から選ばれる整数である。)
【請求項5】
更に、(D)成分として充填剤を、第1成分及び/又は第2成分に、(A)、(B)成分の合計100質量部に対して1〜500質量部添加する請求項1〜4のいずれか1項記載の2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項6】
更に、(E)成分として非反応性シリコーンオイルを、第1成分及び/又は第2成分に、(A)、(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜100質量部添加する請求項1〜5のいずれか1項記載の2液混合型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。

【公開番号】特開2012−193257(P2012−193257A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57477(P2011−57477)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】