説明

2相変調復号用のシステムおよび方法

本発明の一実施形態は、2相変調信号(BI−Φ_IN)を復号して出力符号を生成する復号器システム(10)を含む。このシステムは、第1論理状態に関連する第1フィルタ(12)を含み、第1フィルタは、2相変調信号の複数の連続デジタルサンプルと、第1フィルタのそれぞれ複数のタップ重みとの第1ドット積を生成するように構成される。このシステムは、第2論理状態に関連する第2フィルタ(14)も含み、第2フィルタは、2相変調信号の複数の連続デジタルサンプルと、第2フィルタのそれぞれ複数のタップ重みとの第2ドット積を生成するように構成される。このシステムはさらに、第1ドット積と第2ドット積を比較し、この比較に基づいて第1論理状態および第2論理状態の一方を有するビットとして出力符号を提供するように構成されるコンパレータ(16)を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して通信に関し、特に2相変調復号用のシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データを伝達するために利用し得る符号化方式の一例は2相変調である。2相変調信号の各ビットウィンドウ(すなわち期間)は単一の論理ビットを表し、各ビットウィンドウは論理状態の遷移で始まる。ビットウィンドウを通して実質的に一定の論理状態が論理ローを表し、ビットウィンドウのほぼ中心におけるさらなる論理状態の遷移が論理ハイを表す。
【0003】
2相変調信号の振幅が充分であるときは、様々な異なる復号アルゴリズムのいずれを実装してもその2相変調信号を復号することができる。しかし、例えばフィルタリングおよび/または送信媒体のロスにより、信号の振幅が小さくなると、ノイズが有効な論理遷移と見えてしまう可能性が高くなるため、2相変調信号の復号が難しくなることがある。それに加えて、幾つかの2相変調信号の送信実装形態では、2相変調信号の位相および/または周波数を整合させる外部クロックがないことがあり、このため、2相変調信号の復号がさらに複雑になり得る。さらに、2相変調信号に、例えば搬送波周波数を除去するため、ローパスフィルタリングが施される場合、論理ハイ符号の振幅が、周波数が論理ハイ符号の周波数の半分である論理ロー符号よりも一層減衰することがある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一実施形態は、2相変調信号を復号して出力符号を生成する復号器システムを含む。このシステムは、第1論理状態に関連する第1フィルタを含み、第1フィルタは、2相変調信号の複数の連続デジタルサンプルの第1統計値を、第1フィルタのそれぞれ複数のタップ重みに関連して生成するように構成される。このシステムはさらに、第2論理状態に関連する第2フィルタを含み、第2フィルタは、2相変調信号のこれら複数の連続デジタルサンプルの第2統計値を、第2フィルタのそれぞれ複数のタップ重みに関連して生成するように構成される。このシステムはさらに、第1統計値と第2統計値を比較し、この比較に基づいて第1論理状態および第2論理状態の一方を有するビットとして出力符号を提供するように構成されるコンパレータを含む。
【0005】
本発明の別の実施形態は、2相変調信号を復号するための方法を含む。この方法は、送信媒体を介して2相変調信号を受け取ることと、この2相変調信号をアナログ形式から複数の連続デジタルサンプルを含むデジタル形式に変換することとを含む。この方法はさらに、これら複数の連続デジタルサンプルと第1論理状態に関連する第1有限インパルス応答フィルタのそれぞれ複数のタップ重みとの第1ドット積を生成することと、これら複数の連続デジタルサンプルと第2論理状態に関連する第2有限インパルス応答フィルタのそれぞれ複数のタップ重みとの第2ドット積を生成することとを含む。この方法はさらに、第1ドット積の絶対値と第2ドット積の絶対値とを比較することと、第1ドット積の絶対値が第2ドット積の絶対値よりも大きいと第1論理状態を有し、第2ドット積の絶対値が第1ドット積の絶対値よりも大きいと第2論理状態を有するビットとして出力符号を生成することとを含む。
【0006】
本発明の別の実施形態は、無線電力システムを含む。このシステムは、2次インダクタに関連する2次電流に対して2相通信信号を変調するように構成される送信器を含む携帯電子デバイスを含む。このシステムはさらに、1次インダクタに関連する1次電流をモニタリングするように構成される受信器を含む無線充電器を含む。1次インダクタおよび2次インダクタが共同で、1次インダクタから2次インダクタにエネルギーを伝達して携帯電子デバイス内に電圧を生成するように構成される絶縁変圧器を形成する。この受信器は復号器を含み、この復号器は、第1論理状態に関連する少なくとも1つの第1フィルタを含み、第1フィルタはそれぞれ、1次電流に関連する2相変調信号の複数の連続デジタルサンプルと、少なくとも1つの第1フィルタのそれぞれに関連する個別の複数のタップに関連するタップ重みとのドット積を生成するように構成される。この復号器はさらに、第2論理状態に関連する少なくとも1つの第2フィルタを含み、第2フィルタはそれぞれ、1次電流に関連する2相変調信号の複数の連続デジタルサンプルと、少なくとも1つの第2フィルタのそれぞれに関連する個別の複数のタップに関連するタップ重みとのドット積を生成するように構成される。この復号器はさらに、少なくとも1つの第1フィルタと少なくとも1つの第2フィルタのそれぞれに関連するドット積とを比較し、この比較に基づいて第1論理状態および第2論理状態の一方を有するビットとして出力符号を提供するように構成されるコンパレータを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一つの態様に従った2相変調復号器の例を示す。
【0008】
【図2】本発明の一つの態様に従った1組のフィルタタップのグラフの例を示す。
【0009】
【図3】本発明の一つの態様に従った1組のフィルタタップのグラフの別の例を示す。
【0010】
【図4】本発明の一つの態様に従った2相変調復号器の例を示す。
【0011】
【図5】本発明の一つの態様に従った無線電力システムの例を示す。
【0012】
【図6】本発明の一つの態様に従って2相変調信号を復号する方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、概して通信に関し、特に2相変調復号用のシステムおよび方法に関する。2相変調復号器は、論理ロー状態に関連する少なくとも1つのフィルタと、論理ハイ状態に関連する少なくとも1つのフィルタと、コンパレータとを含み得る。例として、これらのフィルタは、有限インパルス応答(FIR)フィルタとし得る。複数のデジタルサンプルを有する2相変調信号を論理ロー状態および論理ハイ状態のそれぞれに関連するフィルタのそれぞれに提供することができる。これらのフィルタは、相互に正規化される或る範囲の値のタップ重みを有する複数のタップでプログラムすることができる。例として、これらの値は整数値または浮動小数点値とし得る。そのため、これらのフィルタはそれぞれ、2相変調信号のデジタルサンプルの統計値、例えばドット積、を複数のタップに対して生成し得る。そのため、コンパレータが、これらのフィルタによって生成されるドット積の絶対値を比較して、所与の2相変調符号が論理ローまたは論理ハイのいずれに対応するか判断することができる。
【0014】
所与のフィルタについての複数のタップのタップ重みに関連する値の範囲は、このフィルタに固有の論理状態をよりよく示すドット積が得られる特定の値でプログラムすることができる。例として、論理ローに関連するフィルタは、これらのフィルタのタップを通してほぼ正弦半波としてプロットし得る或る範囲の値をタップ重みが有するようにプログラムすることができ、そのため、これらの値はいずれも基準値(例えばゼロ)よりも大きくなり得る。従って、論理ロー符号化2相変調信号のドット積の絶対値は、論理ローフィルタでは、論理ハイ符号化2相変調信号よりもはるかに大きくなり得る。
【0015】
別の例として、論理ハイに関連するフィルタは、これらのフィルタの複数のタップを通してほぼ正弦波としてプロットし得る或る範囲の値をタップ重みが有するようにプログラムすることができる。具体的には、論理ハイに関連するフィルタについての値は、基準値よりも大きな値を伴う、第1部分のタップと、基準値よりも小さな値を伴う、連続デジタルサンプルに対応する第2部分のタップとを有し得る。従って、論理ハイ符号化2相変調信号のドット積の絶対値は、論理ハイフィルタでは、論理ロー符号化2相変調信号よりもはるかに大きくなり得る。
【0016】
2相変調復号器は、それぞれの論理状態に関連し、個別の数のタップを有する付加的なフィルタを含み得る。例えば、各論理状態に対し、2相変調復号器は、2相変調復号器のデジタルサンプルの予想数に対応する正数であるN個のタップを有する第1フィルタと、N+1個のタップを有する第2フィルタと、N−1個のタップを有する第3フィルタとを含み得る。これら6個のフィルタのタップ重みは、相互に正規化されるようにプログラムすることができる。従って、この2相変調復号器は、2相変調信号の符号を決定し得るだけでなく、2相変調信号に存在する周波数変動やジッタを検出し見つける(account for)こともできる。具体的には、最大絶対値ドット積を有するフィルタは、2相変調信号の符号を決定し得るだけでなく、この2相変調信号の所与のビットウィンドウのサンプル数、ひいては2相変調信号の周波数変動も決定し得る。その結果、この2相変調復号器は、これらのフィルタのうち、2相変調信号のその後の復号に用いるビットウィンドウのデジタルサンプル数に対応する適切な数のタップを有する2つを選択することができる。
【0017】
図1は、本発明の一つの態様に従った2相変調復号器10を示す。2相変調復号器10は、2相変調信号BI−Φ_INを受け取り、2相変調信号BI−Φ_INを復号して出力符号CODE_OUTを生成するように構成される。2相変調信号BI−Φ_INの各ビットウィンドウは単一の論理ビットを表し得、各ビットウィンドウは論理状態の遷移で始まる。ビットウィンドウを通して実質的に一定の論理状態によって論理ローを表すことができ、ビットウィンドウのほぼ中心におけるさらなる論理状態の遷移によって論理ハイを表すことができる。2相変調復号器10は、様々な電子通信用途のいずれにおいても実装し得る。例として、2相変調復号器10は、無線電力用途における受信器に含めることができる。
【0018】
2相変調復号器10は、論理ローに対応する論理ローフィルタ12と、論理ハイに対応する論理ハイフィルタ14と、コンパレータ16とを含む。例として、論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14は、有限インパルス応答(FIR)フィルタとして構成し得る。図1の例では、論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14のいずれにも2相変調信号BI−Φ_INが提供される。2相変調信号BI−Φ_INの所与のビットウィンドウで、論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14はそれぞれ、論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14のそれぞれの一方のそれぞれ複数のタップ重みに関連して2相変調信号BI−Φ_INのデジタルサンプルの統計値、例えばドット積、を生成する。論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14のそれぞれで、実質的に一定の周波数で2相変調信号BI−Φ_INのデジタルサンプルを受け取ることができる。例として、2相変調信号BI−Φ_INのデジタルサンプルをバッファすることができ、そのため、2相変調復号器10が、2相変調信号BI−Φ_INの各ビットウィンドウを、それらデジタルサンプルを受け取ったときに、復号することができる。論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14は各々、それぞれのドット積をコンパレータ16に提供することができ、コンパレータ16が、ドット積のそれぞれの絶対値の大きさを比較して、2相変調信号BI−Φ_INの所与のビットウィンドウが論理ロー符号または論理ハイ符号のいずれに対応するかを判定する。
【0019】
上記で述べたように、論理ロー状態で符号化される2相変調信号BI−Φ_INのビットウィンドウは、ビットウィンドウにわたってほぼ一定の大きさ(すなわちハイまたはロー)を有し得、論理ハイ状態で符号化される2相変調信号BI−Φ_INのビットウィンドウは、そのビットウィンドウのほぼ中心においてさらなる論理状態の遷移を有し得る。2相変調復号器10で受け取る前に、2相変調信号BI−Φ_INにローパスフィルタリングを施すことがあるので、2相変調信号BI−Φ_INの論理状態の遷移は漸進的になることがある。従って、論理ロー状態で符号化される2相変調信号BI−Φ_INのビットウィンドウはほぼ正弦半波に似ており、論理ハイ状態で符号化される2相変調信号BI−Φ_INのビットウィンドウはほぼ正弦波に似ていることがある。従って、論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14はそれぞれ、2相変調信号BI−Φ_INのビットウィンドウのそれぞれの符号化論理状態に対応するようにプロットし得る値を有するタップ重みでプログラムされる複数のタップを含み得る。例として、これらの値は整数値または浮動小数点値とし得る。
【0020】
例えば、論理ローフィルタ12のタップ重みは、論理ローフィルタ12の複数のタップにわたるほぼ正弦半波としてプロットし得る或る範囲の値でプログラムすることができ、そのため、これらの値はいずれも基準値(例えばゼロ)よりも大きくなり得る。別の例として、論理ハイフィルタ14は、論理ハイフィルタ14の複数のタップにわたるほぼ正弦波としてプロットし得る或る範囲の値をタップ重みが有するようにプログラムすることができる。具体的には、論理ハイフィルタ14についての値は、基準値よりも大きな値を伴う、連続デジタルサンプルに対応する第一部分のタップと、基準値よりも小さな値を伴う、連続デジタルサンプルに対応する第2部分のタップとを有し得る。論理ハイフィルタ14の場合、0°または180°の位相で正弦波をプロットすることができ、そのため、基準値よりも大きなタップの部分および基準値よりも小さなタップの部分はそれぞれ反転し得ることを理解されたい。
【0021】
図2は、本発明の一つの態様に従った1組のフィルタタップ52のグラフ50の例を示す。例として、フィルタタップ52は、図1の例における論理ローフィルタ12に関連するフィルタタップとし得る。図2の例において、グラフ50は、図2の例で1〜10まで番号が振られた10個のフィルタタップ52にわたってプロットしたタップ重みとして示されている。上記と同様に、論理ローフィルタ12のタップ重みは、フィルタタップ52にわたるほぼ正弦半波としてプロットされるように示されており、フィルタタップ52のタップ重みはいずれも基準値ゼロよりも大きな値を有する。図2の例では、これらのフィルタのタップが、ほぼ{0、6180、11756、16180、19021、20000、19021、16180、11756、6180}と表される1組の整数タップ重みでプログラムされたとして示されている。図2の例では、これらのタップ重みは、タップ重みのプロットがほぼ正弦半波で示されるように線で相互接続されて表されていることを理解されたい。
【0022】
図3は、本発明の一つの態様に従った1組のフィルタタップ102のグラフ100の例を示す。例として、フィルタタップ102は、図1の例における論理ハイフィルタ14に関連するフィルタタップとし得る。図3の例において、グラフ100は、図3の例で1〜10まで番号が振られた10個のフィルタタップ102にわたってプロットしたタップ重みとして示されている。上記と同様に、論理ハイフィルタ14のタップ重みは、フィルタタップ102全体にわたるほぼ正弦波としてプロットされるように示されている。具体的には、番号2〜5のフィルタタップ102の第1部分のタップ重みは基準値ゼロよりも大きな値を有し、番号7〜10のフィルタタップ102の第2部分のタップ重みは、基準値ゼロよりも小さく第1部分と符号が反対で絶対値が等しい。図3の例では、これらのフィルタタップが、ほぼ{0、11756、19021、19021、11756、0、−11756、−19021、−19021、−11756}と表される1組のタップ重みでプログラムされたとして示されている。図3の例では、これらのタップ重みは、タップ重みのプロットがほぼ正弦波で示されるように線で相互接続されて表されていることを理解されたい。これに加えて、グラフ50に相対的なグラフ100におけるタップ重みの値の範囲が示すように、論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14のタップ重みは相互に正規化されており、そのため、同等のドット積がコンパレータ16に提供される。
【0023】
図1の例に戻って、論理ローフィルタ12が2相変調信号BI−Φ_INのデジタルサンプルとタップ重み52とのドット積を生成し、論理ハイフィルタ14が2相変調信号BI−Φ_INのデジタルサンプルとタップ重み102とのドット積を生成する。ドット積を生成するために、2相変調信号BI−Φ_INの各連続デジタルサンプルに、それぞれ連続フィルタタップ52および102が乗算され、これらの積が共に加算される。従って、2相変調信号BI−Φ_INの各ビットウィンドウごとに、コンパレータ16が、論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14が提供するそれぞれのドット積を受け取る。タップ52および102のプログラムされたタップ重みに基づいて、2相変調信号BI−Φ_INのビットウィンドウの符号化された論理状態に対応する、論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14の所与の一方が生成するドット積は、論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14の他方によるドット積よりもはるかに大きな絶対値を有することになる。従って、コンパレータ16は、2相変調信号BI−Φ_INのビットウィンドウの符号化された論理状態を、論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14から出力されるドット積のいずれの絶対値が大きいかというシンプルな判定に基づいてデジタル出力信号CODE_OUTとして容易に特定し出力し得る。
【0024】
例として、2相変調信号BI−Φ_INは、2kHzの周波数を有し得、アナログデジタルコンバータ(ADC)によって20khzの周波数でサンプリングし得る。そのため、2相変調復号器10が、単一ビットウィンドウ、すなわち、或る符号化論理状態、に対応する2相変調信号BI−Φ_INの10個のデジタルサンプルを受け取る。例えば、これら10個のデジタルサンプルは、{162、646、594、670、−23、−642、−778、−804、−674、−280}の組として数値的に表される。これらのデジタルサンプルは論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14のそれぞれに提供され、論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14がそれぞれ、10個のデジタルサンプルとタップ52および102のそれぞれの組のタップ重みとのドット積を生成する。図2および図3の例にそれぞれ示すタップ52および102のタップ重みに基づいて、論理ローフィルタ12が28,922,541の絶対値ドット積を生成し、論理ハイフィルタ14が71,917,418の絶対値ドット積を生成する。従って、コンパレータ16が、論理ハイフィルタ14によって生成されたドット積の絶対値が論理ローフィルタ12によって生成されたドット積よりも大きいことに基づいて、2相変調信号BI−Φ_INの10個のデジタルサンプルは論理ハイに対応すると判定する。そのため、コンパレータ16が論理ハイとして信号CODE_OUTを出力する。
【0025】
従って、フィルタリングおよび/または送信媒体のロスにより生じ得る振幅の減衰にかかわらず、2相変調復号器10が2相変調信号BI−Φ_INを正確に復号することができる。具体的には、振幅が極めて小さく、そのため、ノイズにより普通なら2相変調信号BI−Φ_INの復号の正確さが損なわれ得るような場合であっても、2相変調復号器10が依然として、論理ローフィルタ12、論理ハイフィルタ14、およびコンパレータ16の動作に基づいて2相変調信号BI−Φ_INを正確に復号し得る。それに加えて、2相変調信号BI−Φ_INに直流(DC)成分が存在する場合でも、2相変調復号器10が、コンパレータ16のシンプルな比較操作に基づいて2相変調信号BI−Φ_INを正確に復号し得る。さらに、それぞれ、論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14のタップ52および102のタップ値による重み付けにより、ノイズおよび/または非対称性の影響下で2相変調信号BI−Φ_INを復号するための単純なゼロクロス検出アルゴリズムよりも信号雑音比(SNR)がよくなる。
【0026】
2相変調復号器10が図1〜図3の例に限定されることを意図していないことを理解されたい。例えば、2相変調復号器10はデジタル領域で動作するので、ソフトウエアまたはハードウエアとソフトウエアの組合せとして2相変調復号器10を実装し得る。具体的には、集積回路(IC)内またはその一部の中に2相変調復号器10を構成し得る。別の例として、論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14はドット積を生成することに限定されず、2相変調信号BI−Φ_INのデジタルサンプルを、論理ローフィルタ12および論理ハイフィルタ14のタップに関連付ける他のタイプの統計値を用いることができる。さらに、タップ52および102のタップ重みがそれぞれ図2および図3の例で示した範囲の値に限定されることを意図していないことを理解されたい。例えば、タップ52および102のタップ重みは、図2および図3の例で示したタップ52間およびタップ102間の値のような緩やかな変化ではなく、矩形波により似ているようにすることもできるし、あるいは、共通の基準値ゼロに関連して反転した大きさを有するようにすることもできる。従って、2相変調復号器10は任意の様々な方法で構成し得る。
【0027】
図4は、本発明の一つの態様に従った2相変調復号器150の別の例を示す。図1の例における2相変調復号器10と同様に、2相変調復号器150は、2相変調信号BI−Φ_INのデジタルサンプルを受け取り、2相変調信号BI−Φ_INを復号して出力符号CODE_OUTを生成するように構成される。
【0028】
2相変調復号器150は、それぞれ個別の数のタップを有する複数の論理ローフィルタと、それぞれ個別の数のタップを有する複数の論理ハイフィルタとを含む。具体的には、2相変調復号器150は、9タップ論理ローフィルタ152と、9タップ論理ハイフィルタ154と、10タップ論理ローフィルタ156と、10タップ論理ハイフィルタ158と、11タップ論理ローフィルタ160と、11タップ論理ハイフィルタ162とを含む。例として、フィルタ152〜162はFIRフィルタとして構成し得る。図4の例では、2相変調信号BI−Φ_INのデジタルサンプルが、一度に2相変調信号BI−Φ_INの11個のデジタルサンプルをバッファするバッファ164に提供される。次いで、これらのデジタルサンプルが、バッファからフィルタ152〜162のすべてに提供され、そのため、2相変調信号BI−Φ_INの所与のビットウィンドウについて、フィルタ152〜162がそれぞれ、2相変調信号BI−Φ_INのデジタルサンプルとフィルタ152〜162のそれぞれの複数のタップ重みとのドット積を生成する。
【0029】
図1の例の論理ローフィルタ12と同様に、論理ローフィルタ152、156、および160の各々は、図2の例で示したものと同様に、それぞれ、9個、10個、および11個のタップにわたるほぼ正弦半波としてプロットし得る或る範囲の値でプログラムすることができる。これに加えて、図1の例の論理ハイフィルタ14と同様に、論理ハイフィルタ154、158、および162の各々は、図3の例で示したものと同様に、それぞれ、9個、10個、および11個のタップにわたるほぼ正弦波としてプロットし得る或る範囲の値でプログラムすることができる。さらに、フィルタ152〜162のタップ重みはすべて相互に正規化することができ、そのため、6個のフィルタ152〜162すべてがほぼ同等のドット積を生成する。具体的には、フィルタ152〜162のタップ重みを正規化することにより、絶対値ドット積が同等になり、そのため、正弦波プロット対正弦半波プロットに対する、あるいは、それぞれのフィルタ152〜162のタップ数に対する本来の利点が提供されないようし得る。例として、絶対値ドット積における項の数が変化することに基づいて、9タップフィルタ152および154のタップ重みを10タップフィルタ156および158のタップ重みよりも大きくし、11タップフィルタ160および162のタップ重みを10タップフィルタ156および158のタップ重みよりも小さくし得る。2相変調復号器150はコンパレータ166も含み、コンパレータ166が各ドット積の絶対値の大きさを比較して、2相変調信号BI−Φ_INの所与のビットウィンドウが論理ロー符号または論理ハイ符号のいずれに対応するかを判定する。これにより、コンパレータ166が、この比較に基づいて、論理ローまたは論理ハイのいずれかとして出力信号CODE_OUTを出力する。
【0030】
理想的には、2相変調信号BI−Φ_INの周波数と、2相変調信号BI−Φ_INのデジタルサンプルを提供する関連するADCのサンプリング周波数とを整合させる。これにより、2相変調復号器150が、2相変調信号BI−Φ_INの1つのビットウィンドウに対応するように1組の数のデジタルサンプルを適切に予想し得る。しかし、関連する通信システムが、2相変調信号BI−Φ_INの周波数とADCのサンプリング周波数とを整合させるための外部クロックを含まないことがある。そのため、様々な要因のいずれかにより、関連する通信システムに周波数変動および/またはジッタが取り込まれてしまうことがある。従って、2相変調信号BI−Φ_INの所与のビットウィンドウに対応し得るサンプルの数は、この周波数変動および/またはジッタに基づいて変動し得る。具体的には、2相変調信号BI−Φ_INの周波数が予想周波数よりも高いと、所与のビットウィンドウについてのデジタルサンプルの数が予想サンプル数よりも少なくなり得る。同様に、2相変調信号BI−Φ_INの周波数が予想周波数よりも低いと、デジタルサンプル数が予想サンプル数よりも多くなり得る。
【0031】
図4の例では、2相変調信号BI−Φ_INは、2kHzの周波数を有し得、ADCによって20kHzの周波数でサンプリングすることができる。そのため、2相変調復号器150が、単一ビットウィンドウ、すなわち、或る符号化論理状態、に対応する2相変調信号BI−Φ_INの10個のデジタルサンプルを受け取ることが予想される。そのため、10タップ論理ローフィルタ156および10タップ論理ハイフィルタ158は、2相変調信号BI−Φ_INの所与のビットウィンドウについて、デジタルサンプルの予想数と同じ数のタップを有する。しかし、周波数変動および/またはジッタにより周波数が2kHzよりも高くなって、その結果、2相変調信号BI−Φ_INの各ビットウィンドウが9個のデジタルサンプルを有することもあるし、周波数が2kHzよりも低くなって、その結果、2相変調信号BI−Φ_INの各ビットウィンドウが11個のデジタルサンプルを有することもある。このため、9タップ論理ローフィルタ152および9タップ論理ハイフィルタ156ならびに11タップ論理ローフィルタ160および11タップ論理ハイフィルタ162が、2相変調信号BI−Φ_INの所与のビットウィンドウについて、周波数変動および/またはジッタに基づいて、それぞれ9個および11個のデジタルサンプルに対応する数のタップを有する。
【0032】
9タップ論理ローフィルタ152および9タップ論理ハイフィルタ156はそれぞれ、バッファ164から提供される最初の9個のデジタルサンプルと9個のそれぞれのタップ重みとのドット積を生成する。10タップ論理ローフィルタ156および10タップ論理ハイフィルタ158はそれぞれ、バッファ164から提供される最初の10個のデジタルサンプルと10個のそれぞれのタップ重みとのドット積を生成する。11タップ論理ローフィルタ160および11タップ論理ハイフィルタ162はそれぞれ、バッファ164から提供される11個すべてのデジタルサンプルと11個のそれぞれのタップ重みとのドット積を生成する。そのため、コンパレータ166が、それぞれ6個のドット積の最大絶対値に基づいて2相変調信号BI−Φ_INのビットウィンドウの符号化論理状態を判定するだけでなく、この所与のビットウィンドウのサイズも決定する。具体的には、最大絶対値の大きさのドット積が、6個のフィルタ152〜162のいずれが最大絶対値の大きさのドット積を生成したかに基づいて、2相変調信号BI−Φ_INのビットウィンドウを構成するデジタルサンプルの数も決定する。従って、2相変調復号器150が、周波数変動および/またはジッタの原因となる外部クロックがない状態で、2相変調信号BI−Φ_INを正確に復号することができる。
【0033】
例として、ビットウィンドウの長さがバッファ164から出力される11個のデジタルサンプル未満であるとコンパレータ166が判定する場合、コンパレータ166は、バッファ164から出力される11個のデジタルサンプルの最後の少なくとも1つまたは2つが2相変調信号BI−Φ_INの次のビットウィンドウに対応することを識別する。例えば、9タップ論理ハイフィルタ154の絶対値ドット積が最大であると判定すると、コンパレータは、符号化論理ハイのビットウィンドウが9個分のデジタルサンプルの長さを有すると判定する。従って、バッファ164から出力される11個のデジタルサンプルの残りの2つのサンプルは、2相変調信号BI−Φ_INの次のビットウィンドウの最初の2つのデジタルサンプルに対応する。その結果、コンパレータ166が、2相変調信号BI−Φ_INの次の9個のサンプルだけを収集するようにバッファ164に指令することができ、それによって、次のビットウィンドウを復号するため、次の組の11個のサンプルがフィルタ152〜162に提供される。
【0034】
図4の例では、コンパレータ166がパターン検出器168を含む。例として、パターン検出器168は、2相変調信号BI−Φ_INの復号済みビットウィンドウそれぞれに対応するデジタルサンプルの数のパターンを検出するアルゴリズムとして構成し得る。そのため、所与のパターンが決定されると、パターン検出器168が、後続の各ビットウィンドウについて、フィルタ152〜162のうち該当する論理ローおよび論理ハイ対だけを評価するようにコンパレータ166に指令することができる。例えば、パターン検出器168は、9個、10個、10個、および10個のデジタルサンプルの繰返しパターンに基づいて、2相変調信号BI−Φ_INが約9.75個分のデジタルサンプルの平均ビット長を有すると判定することができる。従って、パターン検出器168は、このパターンを決定した後で、4つおきのビットウィンドウごとに、9タップ論理ローフィルタ152および9タップ論理ハイフィルタ154だけを評価し、残りのビットウィンドウについては、10タップ論理ローフィルタ156および10タップ論理ハイフィルタ158だけを評価するようにコンパレータ166に指令することができる。その結果、2相変調復号器150は、ビットウィンドウ長パターンを検出した後で、多くの機械命令を減少させることができる。
【0035】
2相変調復号器150が図4の例に限定されるように意図されないことを理解されたい。例えば、図1の例の2相変調復号器10と同様に、ソフトウエアまたはハードウエアとソフトウエアの組合せとして2相変調復号器150を実装し得る。また、2相変調復号器150は、6個のフィルタ152〜162に限定されず、周波数変動範囲および/または1秒当たりの機械命令(MIPS)拘束に基づいて、含まれるフィルタは6個よりも多くても少なくてもよい。例として、2相変調復号器150は、より広い周波数変動を見つけるために、タップサイズが8タップから12タップの10個のフィルタを含み得る。別の例として、2相変調復号器150は、プログラマブルな数のタップを有する4つのフィルタを含み得る。この場合、2相変調復号器150がビットウィンドウサイズに対応するデジタルサンプルの平均数を、2相変調信号BI−Φ_INのプリアンブルに対するゼロクロスアルゴリズムなどで検出した後で、2相変調信号BI−Φ_INを復号するために、これら4つのフィルタを適切な数のタップ(例えば、平均サンプル長が9.75のビットウィンドウについて、それぞれ9個および10個のタップ)でプログラムすることができる。このように、任意の様々な方法で2相変調復号器150を構成し得る。
【0036】
図5は、本発明の一つの態様に従った無線電力システム200の例を示す。無線電力システム200は、無線充電器202および携帯電子デバイス204を含む。例として、携帯電子デバイス204は無線通信デバイスとし得る。図5の例では、無線充電器202は、インダクタLおよび抵抗Rを介して電流Iを生成する電流供給部206を含む。携帯電子デバイス204は、電流Iが誘導されるインダクタLを含み、電流IはインダクタLを介して生成される磁場に基づいて抵抗Rを流れる。従って、無線充電器202内のインダクタLと携帯電子デバイス204内のインダクタLは共同で変圧器208を形成する。その結果、電圧VCHGが携帯電子デバイス204に提供されて、携帯電子デバイス204に電力が供給され、かつ/または、携帯電子デバイス204内の電池が充電される。
【0037】
例として、携帯電子デバイス204が無線充電器202と通信することが必要または望ましいことがある。例として、携帯電子デバイス204は、無線充電器202にメッセージを提供して、携帯電子デバイス204が無線充電器202から電力を受け取っていることを示したり、携帯電子デバイス204がフル充電されたことを示したり、あるいは、様々な他の兆候のいずれかを提供することができる。図5の例では、携帯電子デバイス204は、スイッチSに結合される2相変調送信器210を含む。そのため、2相変調送信器210がスイッチSを開閉して2相変調信号を変調して電流Iにすることができ、そのため、スイッチの開閉により、電流Iのそれぞれ論理ロー状態および論理ハイ状態が得られる。無線電力システム200内の電力は保存されるので、電流Iに対して変調される2相変調信号は、変圧器208の誘導性結合を介して電流Iに対しても同様に変調される。
【0038】
無線充電器202は、電流供給部206、インダクタL、および抵抗Rの電流経路に結合される受信器212を含む。そのため、受信器212は、1次電流Iをモニタリングして、1次電流Iから2相変調信号を復調するように構成される。例として、受信器212は、電圧、電力、または1次電流I自体をモニタリングして2相変調信号を復調することができる。具体的には、受信器212は、1次電流Iあるいは関連する電圧または電力の大きさ、ひいては2相変調信号、に対応する実質的に一定の周波数でデジタルサンプルを生成するように構成されるADC214を含む。受信器212は、2相変調復号器216も含む。例として、2相変調復号器216は、図1の例の2相変調復号器10または図4の例の2相変調復号器150と実質的に同様に構成し得る。従って、2相変調復号器216は、ADC214が生成する電流Iのデジタルサンプルを復号し、出力信号CODE_OUTを生成するように構成される。
【0039】
無線電力システム200が図5の例に限定されることを意図しないことを理解されたい。具体的には、無線電力システム200は簡略化されて示されており、図5の例からは様々な付加的な回路および/または通信構成要素が省略されている。例として、電流IおよびIが流れる回路は、様々な付加的な回路構成要素のいずれか、例えば、電圧VCHGを提供するための抵抗および/またはコンデンサの配置、を含み得る。別の例として、2相変調送信器210は、プロセッサからコマンドを受け取ることもできるし、あるいは、プロセッサの一部として構成することもできる。さらに、無線電力システム200は、電力を提供しかつ/または受け取るための様々な付加的なデバイスのいずれか、例えば、さらなるインダクタに誘導結合されるさらなる携帯電子デバイス、を含み得る。従って、無線電力システム200は任意の様々な方法で構成し得る。
【0040】
上記で説明した構造上および機能上の特徴に鑑みて、本発明の様々な態様に従った方法が図6を参照してよりよく理解されよう。説明を簡単にするために、シリアルに実行するものとして図6の方法を示し説明するが、本発明は図示の順序に限定されないことを理解されたい。というのは、幾つかの態様が、本発明に従って、本明細書で示し説明したものと異なる順序で、かつ/または他の態様と同時に実施し得るからである。さらに、本発明の態様に従った方法を実施するのに、図示した特徴はすべては必要とされない。
【0041】
図6は、本発明の一つの態様に従って2相変調信号を復号する方法250の例を示す。252で、送信媒体を介して2相変調信号を受け取る。この送信媒体は、無線電力システム内の変圧器の1次インダクタを流れる電流などの、無線媒体または有線媒体とし得る。254で、2相変調信号がアナログ形式から複数の連続デジタルサンプルを含むデジタル形式に変換される。この変換は、2相変調信号の周波数よりも高いサンプリングレートを有するADCから得られ、そのため、ビットウィンドウ当たりの予想数のデジタルサンプルが得られる。
【0042】
256で、複数の連続デジタルサンプルと、第1論理状態に関連する第1有限インパルス応答フィルタのそれぞれ複数のタップ重みとの第1ドット積が生成される。これらのタップ重みは、タップ全体にわたるほぼ正弦半波としてプロットし得るように配することができ、タップ重みはいずれも基準値(例えばゼロ)以上である。258で、複数の連続デジタルサンプルと、第2論理状態に関連する第2有限インパルス応答フィルタのそれぞれ複数のタップ重みとの第2ドット積が生成される。これらのタップ重みは、タップ全体を通してほぼ正弦波としてプロットし得るように配することができ、連続タップの第1部分は基準値よりも大きなタップ重みを有し、連続タップの第2部分は基準値よりも小さなタップ重みを有する。これら第1および第2のフィルタは、各フィルタが個別の数の複数のタップを有する、第1および第2の複数のフィルタとすることができる。
【0043】
260で、第1ドット積の絶対値と第2ドット積の絶対値が比較される。262で、第1ドット積の絶対値が第2ドット積の絶対値よりも大きいと第1論理状態を有し、第2ドット積の絶対値が第1ドット積の絶対値よりも大きいと第2論理状態を有するビットとして出力符号が生成される。最大絶対値ドット積を決定することにより、周波数変動および/またはジッタに基づくビットウィンドウのサイズの兆候も提供される。
【0044】
例示の実施形態の文脈で説明した特徴またはステップの全部または一部を有する例示の実施例の文脈で説明した一つ又は複数の特徴又はステップの異なる組合せを有する実施形態も本明細書に包含されることを意図している。
【0045】
当業者には、本発明の特許請求の範囲内で他の実施形態および変形が可能であることが理解されよう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力符号を生成するため2相変調信号を復号する復号器システムであって、
第1論理状態に関連する第1フィルタであって、前記2相変調信号の複数の連続デジタルサンプルの第1統計値を、前記第1フィルタのそれぞれ複数のタップ重みに関連して生成するように構成される前記第1フィルタと、
第2論理状態に関連する第2フィルタであって、前記2相変調信号の前記複数の連続デジタルサンプルの第2統計値を、前記第2フィルタのそれぞれ複数のタップ重みに関連して生成するように構成される前記第2フィルタと、
前記第1統計値と前記第2統計値を比較し、前記比較に基づいて、前記第1論理状態および前記第2論理状態の一方を有するビットとして前記出力符号を提供するように構成されるコンパレータと、
を含む復号器システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1統計値が第1ドット積であり、前記第2統計値が第2ドット積であり、前記コンパレータが、前記第1ドット積の絶対値が前記第2ドット積の絶対値より大きいと前記第1論理状態として前記ビットを出力し、前記第2ドット積の前記絶対値が前記第1ドット積の前記絶対値より大きいと前記第2論理状態として前記ビットを出力するように構成される、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1フィルタの前記複数のタップ重みが、基準値以上の値の範囲を含み、前記第2フィルタの前記複数のタップ重みが、前記基準値よりも大きい、前記2相変調信号の前記複数の連続デジタルサンプルの第1部分に対応する値の第1範囲と、前記基準値よりも小さい、前記2相変調信号の前記複数の連続デジタルサンプルの第2部分に対応する値の第2範囲とを含み、前記第1および第2フィルタの前記複数のタップ重みが正規化される、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、前記第1フィルタの前記複数のタップ重みの値の前記範囲が、前記第1フィルタの対応する複数のタップにわたるほぼ正弦半波として配され、前記第2フィルタの前記複数のタップ重みの値の前記範囲が、前記第2フィルタの対応する複数のタップにわたるほぼ正弦波として配される、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1フィルタが前記第1論理状態に関連する第1の複数のフィルタを含み、前記第1の複数のフィルタの各々が個別の数のタップを含み、前記第2フィルタが前記第2論理状態に関連する第2の複数のフィルタを含み、前記第2の複数のフィルタの各々が前記第1の複数のフィルタの前記個別の数のタップにそれぞれ対応する個別の数のタップを含む、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、前記コンパレータが、前記第1および第2の複数のフィルタのそれぞれによって生成されるドット積としての前記統計値を比較し、前記比較に基づいて、前記第1論理状態および前記第2論理状態の一方を有する前記ビットとして前記出力符号を提供するように構成される、システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、前記コンパレータがさらに、前記比較に基づいて、前記2相変調信号の各ビットウィンドウに対応するデジタルサンプルの数を特定し、前記2相変調信号の各ビットウィンドウに対応する前記デジタルサンプルの数のパターンに基づいて、前記2相変調信号の後続のビットウィンドウを復号するため、前記第1の複数のフィルタおよび前記第2の複数のフィルタの各々から対応する適切なサブセットを選択するように構成される、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1および第2フィルタの各々がN個のタップを含み、Nが前記2相変調信号のビットウィンドウ当たりのそれぞれN個の予想デジタルサンプルに対応する正の整数であり、前記システムがさらに、
前記第1論理状態に関連する第3フィルタであって、前記2相変調信号のN+1個の連続デジタルサンプルの第3統計値を、前記第3フィルタのN+1個のタップ重みに関連して生成するように構成される前記第3フィルタと、
前記第1論理状態に関連する第4フィルタであって、前記2相変調信号のN−1個のデジタルサンプルの第4統計値を、前記第4フィルタのN−1個のタップ重みに関連して生成するように構成される前記第4フィルタと、
前記第2論理状態に関連する第5フィルタであって、前記2相変調信号のN+1個の連続デジタルサンプルの第5統計値を、前記第5フィルタのN+1個のタップ重みに関連して生成するように構成される前記第5フィルタと、
前記第2論理状態に関連する第6フィルタであって、前記2相変調信号のN−1個の連続デジタルサンプルの第6統計値を、前記第6フィルタのN−1個のタップ重みに関連して生成するように構成される前記第6フィルタと、
を含み、
前記コンパレータが、前記第1から第6統計値の大きさを比較し、前記比較に基づいて、前記第1論理状態および前記第2論理状態の一方を有する前記ビットとして前記出力符号を提供するように構成される、
システム。
【請求項9】
請求項1に記載の復号器システムを含む無線電力システムであって、
1次インダクタに関連する1次電流をモニタリングするように構成される受信器を含む無線充電器であって、前記受信器が請求項1に記載の復号器システムを含む、前記無線充電器と、
2次インダクタに関連する2次電流に対して2相通信信号を変調するように構成される送信器を含む携帯電子デバイスとを含み、
前記1次インダクタと2次インダクタが共同で、前記1次インダクタから前記2次インダクタにエネルギーを伝達して前記携帯電子デバイス内に電圧を生成するように構成される絶縁変圧器を形成する、
無線電力システム。
【請求項10】
請求項9に記載の無線電力システムであって、前記受信器がさらに、前記1次インダクタに関連する電圧、電力、および電流のうち1つの大きさを、前記2相変調信号の前記複数の連続デジタルサンプルに変換するように構成されるアナログデジタルコンバータ(ADC)を含む、無線電力システム。
【請求項11】
2相変調信号を復号するための方法であって、
送信媒体を介して前記2相変調信号を受け取ること、
前記2相変調信号をアナログ形式から複数の連続デジタルサンプルを含むデジタル形式に変換すること、
前記複数の連続デジタルサンプルと、第1論理状態に関連する第1有限インパルス応答(FIR)フィルタのそれぞれ複数のタップ重みとの第1ドット積を生成すること、
前記複数の連続デジタルサンプルと、第2論理状態に関連する第2FIRフィルタのそれぞれ複数のタップ重みとの第2ドット積を生成すること、
前記第1ドット積の絶対値と前記第2ドット積の絶対値とを比較すること、及び、
前記第1ドット積の前記絶対値が前記第2ドット積の前記絶対値より大きいと前記第1論理状態を有し、前記第2ドット積の前記絶対値が前記第1ドット積の前記絶対値より大きいと前記第2論理状態を有するビットとして出力符号を生成すること、
を含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記第1フィルタの前記複数のタップ重みを、基準値以上の値の範囲を有するようにプログラムすること、
前記第2フィルタの前記複数のタップ重みを、前記基準値よりも大きい、前記2相変調信号の連続デジタルサンプルに対応する値の第1範囲と、前記基準値よりも小さい、前記2相変調信号の連続デジタルサンプルに対応する値の第2範囲とを有するようにプログラムすること、及び、
前記第1および第2フィルタのそれぞれの前記複数のタップ重みを正規化すること、
をさらに含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記第1フィルタの前記複数のタップ重みをプログラムすることが、前記第1フィルタの前記複数のタップ重みの値の前記範囲を、前記第1フィルタの対応する複数のタップにわたるほぼ正弦半波としてプログラムすることを含み、前記第2フィルタの前記複数のタップ重みをプログラムすることが、前記第2フィルタの前記複数のタップ重みの値の前記範囲を、前記第2フィルタの対応する複数のタップにわたるほぼ正弦波としてプログラムすることを含む、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、前記第1フィルタが前記第1論理状態に関連する第1の複数のフィルタを含み、前記第1の複数のフィルタの各々が個別の数のタップを含み、前記第2フィルタが前記第2論理状態に関連する第2の複数のフィルタを含み、前記第2の複数のフィルタの各々が前記第1の複数のフィルタの前記個別の数のタップにそれぞれ対応する個別の数のタップを含む、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって前記第1および第2フィルタの各々がN個のタップを含み、Nが前記2相変調信号のビットウィンドウ当たりのそれぞれN個の予想デジタルサンプルに対応する正の整数であり、前記方法がさらに、
前記2相変調信号のN+1個の連続デジタルサンプルと、前記第1論理状態に関連する第3有限インパルス応答フィルタのN+1個のタップ重みとの第3ドット積を生成すること、
前記2相変調信号のN−1個の連続デジタルサンプルと、前記第1論理状態に関連する第4有限インパルス応答フィルタのN−1個のタップ重みとの第4ドット積を生成すること、
前記2相変調信号のN+1個の連続デジタルサンプルと、前記第2論理状態に関連する第5有限インパルス応答フィルタのN+1個のタップ重みとの第5ドット積を生成すること、及び、
前記2相変調信号のN−1個の連続デジタルサンプルと、前記第2論理状態に関連する第6有限インパルス応答フィルタのN−1個のタップ重みとの第6ドット積を生成すること、
を含み、
前記大きさを比較することが、前記第1から第6ドット積の絶対値の大きさを比較することを含む、
方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記比較に基づいて、前記2相変調信号の各ビットウィンドウに対応する受け取ったデジタルサンプルの数を特定すること、及び、
前記2相変調信号の各ビットウィンドウに対応する受け取ったデジタルサンプルの数のパターンに基づいて、前記2相変調信号の後続のビットウィンドウを復号するため、前記第1、第3、および第4有限インパルス応答フィルタの適切なサブセットおよび前記第2、第5、および第6有限インパルス応答フィルタの適切なサブセットを選択すること、
をさらに含む、方法。
【請求項17】
無線電力システムであって、
2次インダクタに関連する2次電流に対して2相通信信号を変調するように構成される送信器を含む携帯電子デバイス、及び、
1次インダクタに関連する1次電流をモニタリングするように構成される受信器を含む無線充電器、
を含む無線電力システムであって、
前記1次インダクタおよび2次インダクタが共同で、前記1次インダクタから前記2次インダクタにエネルギーを伝達して前記携帯電子デバイス内に電圧を生成するように構成される絶縁変圧器を形成し、前記受信器が、
第1論理状態に関連する少なくとも1つの第1フィルタであって、前記1次電流に関連する2相変調信号の複数の連続デジタルサンプルと、前記少なくとも1つの第1フィルタのそれぞれに関連する個別の複数のタップに関連するタップ重みとのドット積を生成するように各々構成される前記第1フィルタと、
第2論理状態に関連する少なくとも1つの第2フィルタであって、前記1次電流に関連する前記2相変調信号の前記複数の連続デジタルサンプルと、前記少なくとも1つの第2フィルタのそれぞれに関連する個別の複数のタップに関連するタップ重みとのドット積を生成するように各々構成される前記第2フィルタと、
前記少なくとも1つの第1フィルタおよび前記少なくとも1つの第2フィルタのそれぞれに関連する前記ドット積を比較し、前記比較に基づいて、前記第1論理状態および前記第2論理状態の一方を有するビットとして出力符号を提供するように構成されるコンパレータと、
を含む復号器を含む、
無線電力システム。
【請求項18】
請求項17に記載の無線電力システムであって、前記受信器がさらに、前記1次電流の大きさを前記2相変調信号の前記複数の連続デジタルサンプルに変換するように構成されるアナログデジタルコンバータ(ADC)を含む、無線電力システム。
【請求項19】
請求項17に記載の無線電力システムであって、前記少なくとも1つの第1フィルタが前記第1論理状態に関連する第1の複数のフィルタを含み、前記少なくとも1つの第2フィルタが前記第2論理状態に関連する第2の複数のフィルタを含み、前記コンパレータがさらに、前記比較に基づいて、前記2相変調信号の各ビットウィンドウに対応するデジタルサンプルの数を特定し、前記2相変調信号の各ビットウィンドウに対応する前記デジタルサンプルの数のパターンに基づいて前記2相変調信号の後続のビットウィンドウを復号するため、前記第1の複数のフィルタおよび前記第2の複数のフィルタの各々の適切なサブセットを選択するように構成される、無線電力システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−516106(P2013−516106A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546014(P2012−546014)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/059935
【国際公開番号】WO2011/087651
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(390020248)日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 (219)
【出願人】(507107291)テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド (50)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
【Fターム(参考)】